浜面「お前……本当に上条か?」 (21)




グロ、ヘイト等のいやあな要素やキャラ崩壊がありますおそらく





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空き缶を踏んで、見事に転んだ。それからはあっという間だった。襟首を引っ掴まれて、コンクリートの壁に叩きつけられたのだ。上条は喘ぎながらずるずると地面に落ちた。さっと三人のスキルアウトに取り囲まれる。どれもこれも、凶悪な面構えの男達だった。

そのうちの一人が、上条の前髪を持ち上げ、グイと顔を近づけた。

「おいテメェ、手間ァ掛けさすなや」

蛇のように卑しい目つきにさらされて、上条は何も言えなかった。腹底の方から震えが来て、必死に目を逸らすばかりだった。心内に手をすりあわせ、助けが来ることを願ってやまなかった。

「おいコイツ、たった三千円ぽっちしか持ってねーぞ」

いつの間にか財布を掠め取っていた不良の一人がイライラした声で言った。

「マジかよくっそ、見た目通りのシケた野郎だなァ」

「こうなったらよ、気の済むまでサンドバックにしてやろうぜ。野郎は女と違ってスタミナあっから殴り甲斐があらァ」

「へへっ、そりゃいいや」

上条は前髪を掴み上げられ、強引に立たされた。つよく目を瞑ってきたる衝撃に備えようとした。すかさず不良の一人が棒状の鈍器で腹を殴りつけてくる。想像の数十倍は痛かった。

「ぐあばッ!」

胃を分断されたような激痛がこみ上げてきて、上条は空気と一緒に体液のようなものを吐いた。頭の奥が急に熱くなって、逆に冷たい汗がじわりと前身に浮かんできた。前のめりに倒れかけたところに、次の膝蹴りが飛んで来る。鼻のすぐ横のあたりを打ちぬかれた上条は、歯がすべて砕けるのではないかと思った。

「おらよっ!」

今度は別の男が左手から強烈なパンチを打ってきた。上条は鮮やかな血液をぶちまけながら土に転がった。すうっと意思が遠のいていくのを感じた。

うしろからじっと彼を見つめ、同じ速度で追いかけてくるどす黒い空気の塊がある。それはいつも彼が気を抜いた途端に追いついてきて、彼を不幸のどん底に叩き落すのである。彼はいつもその影に怯えていた。









駅前ビルに西陽が差して、街はいくらか賑わいはじめた。授業日程から開放された学生たちが次々と流れ込んでくるのだ。ビルの側面を飾っている大画面には、近頃人気の女子アナウンサーが出演する番組が映しだされていた。

『夏休みまで残すところあと一週間となりました。学生の皆さん、頑張ってください!』

―――夏休みまであと一週間。

そのフレーズは、"外"を基準に考えればたいへん奇妙に思えるが、ここが"中"であることを考慮にいれれば自然と納得がいく。学園都市の夏休みといえば、街のすべての学校が一斉に迎えるのが習わしであるからだ。

たとえばそれは、街でかなりの低いレベルにあるあの少年の学校も、上から五本の指で数えられる美琴や白井の通う常盤台中学も、例外なく同時に夏休みに突入するということである。

少しずつでもズラしてくれた方がイロイロ混み合わなくて楽なんだろうになーと、学生の立場である美琴は思うのだが、学園都市は学校単位というよりむしろ街全体で能力者の管理をしているため、大人からみれば此方の方が都合がいいのかもしれない。

ともあれ、一年で最大級と言ってもいいイベントを控えた学生たちには、どこか浮足立ったような様子が目立っていた。

「まったく、この様子では先が思いやられますわね。こういう浮ついた時期には、毎度のように風紀委員が出突っ張りに……」

げんなりした顔で大きな溜息をつき、頭を垂れる白井黒子は、敬愛する御坂美琴と共に第七学区の歩道を歩いていた。彼女達はこれから、美琴は買い物に、白井は詰め所へと別れることになっている。

「そうねぇ、私も夏休みは研究の手伝いとかいろいろ入ってるし、お互い忙しい夏になりそうね」

「ええ。でもお姉さま、たまには黒子と一緒に」

「わかってるわよ。予定の会う日があればね」

「お姉さまぁ!」

「もちろん、初春さん達も一緒に」

「……そうですわね」

大通りのバス停に、ロンドン式を髣髴とさせる二階建てのバスが滑り込んでくる。彼女達は並んでそれに乗り込んだ。一階の座席は既にその殆どが埋まっていて、ふたりは追いやられるようにして二階に腰を落ち着けた。そこは屋根がなく露出した屋上のような造りになっていて、前からゆるやかな風が吹いていた。バスは高い位置から歩道を見下ろしながら進んでいく。

「それにしてもホントあっついわねー。こんな日に当番だなんて、アンタも大変ね」

「ご心配には及びませんわ。わたくしUV対策だけはきっちりしていますから、この天候がかえって健康に良いくらいですし。お姉さまも特別部活動に所属していらっしゃる訳ではないのですから、運動不足にはお気をつけた方がよろしいかと」

「それならこっちも心配要らないわよ。運動不足なんて、私に限って」

美琴はフフンと笑い、白井は乾いた笑みを浮かべた。(路上でのいさかいごとを運動と呼ぶのはいい加減にして頂きたいところですが……)

「ちょっと黒子、携帯鳴ってるわよ」

「はて、なんでしょう」

画面を確認してみると、風紀委員の同じ支部に属している初春飾利からの着信だった。白井は嫌な予感がした。

「初春、どうかしまして?」

『もう、何処ほっつき歩いてるんですか白井さん』

いつもどおりの初春の、甘ったるい声だった。が、それには緊張めいた厳しさが混じっていた。

「急用ですの?」白井は予感が的を抜くのを感じた。

『ええもちろんです、ああもうとにかくこれからGPS情報を送るので現場に急行してください。学生がスキルアウトに襲われてるんです』

「まったく、今週だけで何度目かしら。了解ですの」

すぐさま電話を切り、白井は辟易しながら受信したGPS情報に目を通してみた。どうやら、現場までは500メートルと離れていない。彼女の能力ならば目と鼻の先といえる距離だった。

「さては急な仕事ね、手伝おっか?」

事態を察した美琴のニヒルな笑みを、白井は手で制した。そして語気を強めて言った。

「結構ですの。以前より再三申し上げておりますが、これは風紀委員の任務」彼女は腕に緑の腕章を通しながら、「くれぐれも余計な気は起こさないようにしてくださいですの」そしてバスの上から姿を消した。

あとには美琴がぽつんと残された。(あれ、、運賃とかってどうなるんだろう)




投下終わり

そんな板できたのか知らなかった
ごめんね
依頼出してくるよ

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