「ヒーローさん!」「ヒーローって呼ぶな」 (37)


 たぶん、いくつ年をとったとしてもわすれはしないだろう。

「お前俺様達が何者か分かってんのか?」
「天下のJHAに所属するヒーローのアッ──……」

「っせえーな、あんた等のキッショいスーツ見てりゃ誰だって分かるわ」

 じぶんのことをすくってくれた──

「キ、キショ……お前、ふざけんなよ!ヒーローに楯突いて、許されると思ってんのか?!」

「そりゃこっちの台詞だよ。ガキを寄ってたかっていたぶりやがって、お前等ヒーローっていうかチンピラだろ。ヘンテコスーツのチンピラ」

「なっ……!後で命乞いしても許さねえからな!」

「上等」

 すっごくかっこいい、じぶんにとってさいこうのヒーローを。

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 20××年、日本国にある新しい法律が制定された。『日本を防衛し治安を維持する超人に関する保護及び支援等に関する法律』──通称『ヒーロー法』である。
これは、日本各地で人知れず、日本の平和を守るために戦っていた"ヒーロー"を公的に認めることと、彼らに対しての国から支援を行うことを目的としたものだ。
この法律により、ヒーローは公の場に姿をあらわすことが多くなり、彼らの存在を知らなかった多くの市民の喝采を浴びることになった。

 日陰者であったヒーローに、光が当たった瞬間である。
 

 その後、程なくしてJHA(日本ヒーロー協会)が設立され、ヒーローは全員協会に登録することを義務付けられた。これは、有事の際、現場から近いヒーローを招集し、国家機関と連携して事件の解決に当たらせるためである。
 結果、ヒーロー法とJHAのおかげか、犯罪の検挙率が上がり、日本各地の犯罪率は目に見えて低くなった。国と市民は、犯罪が減ったことに大喜びし、ヒーロー様々だと口々に彼らを讃えた。
 だが、これをよく思わなかった連中がいた。

 本来、このことを一番喜ぶはずのヒーロー達だ。

 いや、これだと語弊を生む書き方になるので訂正すると、殆どのヒーロー達は、市民や国が喜んでいることに満足していた。満足できなかったのは、極一部のヒーロー達である。

 そもそもヒーローというのは、大体が生身の人間だが、一般市民より傑出した能力があった。それは、ヒーローによって個体差が生じるのだが、殆どのヒーローは、所謂特殊能力があったり、肉弾戦に特化しているタイプである。

 日常生活において使用することができない(JHAの規定により、私生活上でヒーローを匂わす行動は禁止されている)彼らは、普段燻っている能力を如何なく発揮出来る数少ない機会──言い換えれば、ただのストレス発散になるが──が減ることを嫌がったのである。

 ストレス発散ができなくなった彼らは何をしたのか。
 何の罪もない市民に危害を加えることを始めた。

 最初は危害と言っても、誰かが殺されるというものはなかった。精々、事件を解決している最中に誤って能力を発揮して相手を傷つけてしまったとか、そんなレベルである。
しかし、次第に"誤って能力を発揮すること"がエスカレートし、遂に死人を出す結果を迎えてしまった。
 市民やマスコミは、ヒーローを責め立てた。が、国はヒーローを逮捕することもなければ、糾弾することさえもしなかった。
 何故か、彼らはヒーロー法を逸脱した行為を行っていなかった為である。

 ヒーロー法の中には、人命に関する項目も記載されていた。
 しかし、その内容をざっくり言うと「英雄的行為を行っている際に起こってしまった不測の事態(ここでは死亡事故)は、故意的なものとみなさず、事故とする」といったもので、このヒーローの起こした死亡事故も、あくまでも英雄的行為中に起こった出来事だった為に、事件と見なされなかったのだ。

 この一件があった後、ヒーロー等は英雄的行為に託けて、市民に対し危害を加えていった。

 最初は他の大多数のヒーローが彼らを止めた。「彼らは傷付ける存在でなく、守る存在だ」と。

 しかし、市民を傷付ける一部ヒーローはこう返した。

「俺等は誰も傷つけてなんかいない。ただ、救助活動中にミスが起きただけ」だと。

 さらに続けて言った。

「奴らが人間であるように、俺等も人間なんだ。ちょっとのミスぐらい、誰だってあるだろ?
それに最近、パワーを使う機会が減ってるんだ、使う限度をミスってしまっても、文句なんか言えねえはずだ。
お前等も本当は燻ってるんだろう?ちょっとのミスぐらい、許されるから、たまにはミスってみろよ」

 このヒーローの発言に呆れ、JHAを去る者もいれば、誘惑に負けて"ミス"を故意に行うヒーローも現れた。

 事件をわざと起こして、他人を犯人に仕立て上げるヒーローまで現れ始めた。市民による犯罪率は確実に減ってきたが、今度は逆に、ヒーローによる犯罪が増えてきたのである。

 最初はヒーローを応援していた市民等も、あまりの目に余るヒーロー等の行為に怒り、市民の中には、国に直訴する者も現れた。が、国は何もしない。JHAも動かない。まるでそれを黙認しているかのように、全く微動だにしなかった。
 市民の一部は呆れて物も言えなかった。そして、「国が頼りにならないなら、自分等で自分を守るしかない」と自警団をポツポツと結成していった。

 自警団は、ヒーローに襲われた市民を守り、その市民が安全な場所に避難するまでの時間稼ぎに戦うのを目的としていた。つまり、ヒーローを倒したいのではなく、ただ純粋に、仲間である市民を守るのが目的なのだ。しかし、ヒーローはそれを許さなかった。

 ヒーロー等は、自警団をヒーローに楯突く存在=悪と見なし、ヒーローに刃向かった者を片っ端から、"正義の鉄槌"と称して壊滅に追いやっていったのだ。そして、これら事実は捻じ曲げられて報道され、真実は藪の中のまま、ヒーローは国の上に"正義の味方"として立ち続けていた──。


───

「JHAって使えねえよなあ」

 春のまだ肌寒いある日の夜、公園の道を歩きながら派手なオレンジ色のぴったりとしたスーツを身につけた男が口を開いた。それに同調するように、同種のカラー違いである水色のスーツを身につけた男も頷く。

水色「本当本当。仕事のワリに金払いがちゃっちいっていうかなんていうか」

「それに比べて」水色はちらりと彼らの後をついて来る小さな影を見るとニヤリと口を歪めた。

水色「こんなガキを連れて行くだけで100万くれるとか、楽な仕事だよなあ」
オレンジ「JHAだったら幾らだったろうな?」
水色「タダだろ」
オレンジ「ボランティアかよ」

 水色とオレンジは笑いあう。

オレンジ「あーあ。それにしても、このガキ一言も喋んねえな」
水色「口が利けないやつじゃねえの?」

 オレンジはピタリと立ち止まると、同様に立ち止まった小さい影──小学生だろうか、背の低いキャップを被って俯いている子ども──に振り向いた。

オレンジ「おい、ガキ。何か言えって」
「…………」
水色「耳ついてんだろ?反応しろって」

 水色が小突くも、子どもは反応する気配がない。オレンジと水色は互いを見遣ると、誰ともなくため息をついた。


水色「ウンともスンとも言わねえな」
オレンジ「一発ぶちかませばなんか言うかもな」

下品な笑いを上げながらオレンジはその場で軽く腕を振った。しかし、水色はそんなオレンジを軽く諌めた。

水色「それはまずいって、傷なんかつけたら100万水の泡になるぞ?」
オレンジ「なあに、依頼者のジジイは無傷でとは言ってねえだろ。"護送していたら突然何者かに殴りかかられたので、大切なお孫さんに傷がついてしまいました"って言えば平気平気」
水色「それもそうだけどよ……」
オレンジ「パワーも10分の1にまで落とすからそんな死にやしねえって」

水色「……勝手にしろ」ハァ


 さあて。オレンジは子どもの前で軽く腕を振ると、口の両端を引き上げた。

子ども「っひ、」
オレンジ「お。やっと喋ったな?でも──」

オレンジは腕を振り上げると、子どもは衝撃に備えようと頭を縮こませた。が、腕はあげられたまま、オレンジは突然右脚を上げると、子どもの脇腹に横から当てるように蹴り上げた。

オレンジ「──手遅れなんだよ」


子ども「ぐっ、あ……!」

 大の大人であり、ヒーローでもあるオレンジの蹴りに幼い子どもが耐えられるはずもなく、蹴られた方向に向かって少し飛ばされると、子どもはドサリと倒れた。
 そして海老のように身を縮こまらせると、痛みに耐えるように浅い呼吸を繰り返す。

オレンジ「なんだよ、骨が無いガキだなあ」
水色「馬鹿ッ、ガキが死ぬだろ!」
オレンジ「ただキックを食らわせただけだろ?ンな死ぬって大げさだなあ」

地面につま先を立てるとそのまま足首を回しながらオレンジはのんびりと言った。

水色「お前なあ……」
オレンジ「まあまあ、次で最後にするからさ」

オレンジはヘラリと笑う。

オレンジ「見とけよー?次のやつは俺のニュー必殺技だからな」
水色「もうどうでもいいから。やるならさっさとやってくれ」

子ども(いたいよ……。こわいよ……)

子ども(しにたく、ないよ……!)




子ども「…………か」

水色「ん?」

子ども「だれか……たすけ、て……」ボソッ

水色「……フン」フイ
オレンジ「ヒーローに命乞いするなんて、無様だな!俺のニュー必殺技!アクション──」

「ちょっと」

水色「あ?」
オレンジ「あ?」

「そのスーツ……。あんたらヒーローだよな?こんな公園でなにやってんだよ」

 オレンジが殴る寸前のところで声をかけた男は、黒いレザーパンツに黒いライダースジャケット、黒いブーツと頭には同様に黒いフルフェイスヘルメットに黒い手袋と、全身真っ黒な男だった。
 男はオレンジと水色を見ると、下に蹲っている子どもを指差す。
 その声には嫌悪感が滲み出ていた。

オレンジ「お前……




なんでバイク乗りみたいな格好の癖に自転車に乗ってんだよ」

オレンジ「ふ……はは、あはははは!」

男「なにがおかしい?」

 男は自転車に乗ったまま、オレンジを見る。フルフェイスヘルメットのせいで表情までは読み取れなかったが、睨んでいるように見えた。

オレンジ「だって、あは、お前荷台付きママチャリで俺たちに喧嘩売るって……馬鹿にもほどがあるだろ!」

男「乗り物ぐらいどうでも良いだろ」

 男は自転車から降りると、子どもとヒーロー等の間に塞がるように立った。

男「この子どもに何をしてたんだ」

水色「別に。一般市民のアンタには関係ないだろ。俺たちゃ今ミッション中なんだ。帰れ」

 水色は男を追い払うように右手を動かす。

男「ガキを殴りつけるのがミッション。へぇー、あんた等ヒーロー様はそんなことをしてるのか」

オレンジ「殴ってるわけないだろ」

 オレンジはハッと笑った。

オレンジ「これは子どもが強いかの体力テストをしていたんだよ。"プロレス"でな」

男「プロレス、ねえ……」

 男はちらと子どもを見た。

子ども「い、たいよ……ハァ……ハァ……」

男「……全く、そんな風に見えないが?」

「ハァ」水色がわざとらしいため息をついた。

水色「お前しつこいな。自警団か?」

男「んな馬鹿みてえな組織はいるわけねえだろ」

 サキュバス男は鼻で笑う。

水色「なら俺たちに絡む意味はないな。さっさと帰れ。俺たちはこのガキを依頼主まで届けるっていうミッション中なんだよ」

男「帰るわけねえだろタコ」

オレンジ「お前、俺様達が何者か分かってんのか?天下のJHAに所属するヒーローのアッ──……」

男「っせえーな」

 男は遮ると、首を軽く左右に曲げた。

男「あんた等のキッショいスーツとガキをフルボッコにしてりゃあ誰だって分かるわ」

オレンジ「キ、キショ……お前、ふざけんなよ!その言い方…お前許されると思ってんのか?!」

男「そりゃこっちの台詞だよ。ガキを寄ってたかっていたぶりやがって、お前等ヒーローっていうかチンピラだろ。ヘンテコスーツのチンピラ。あ、チンピラでもねえな。ヒーローごっこしてるヒトモドキか」

オレンジ「なっ……!後で命乞いしても許さねえからな!」

男「上等」

 男は、自身に向かって向かってまっすぐに打ち出されたオレンジからの拳を屈んでかわすと、そのまま手を地面に着け、足払いをする。
 オレンジは足払いに耐えられず尻餅をするように倒れこむと、立ち上がった男の踵がまっすぐにオレンジの顔に振り落とされた。

オレンジ「ガッ……!」

男「頭悪い見た目筋肉馬鹿って足脆いよな。もっと足を鍛えろよ。足」

 足元で伸びたオレンジの体を爪先で小突くと「見栄えしかないヒーローはこれだから弱いんだよ」と吐き捨てるように呟いた。

水色「なっ……?!」

男「待たせたな。さっさとやろうぜ」


水色「っ、くそ!」

 水色は腰から鞭を取り出すと、男との間合いを広げつつ振り上げた。ヒュンという風を切る音と共に、地面にバチンと鋭い音が響く。

男「へえ、あんたの武器は鞭か。SMをウリにしてる店で女王でもやってんの?」

 叩きつけられる鞭を避けながら、男は笑う。

水色「馬鹿に……するな!」

 水色は鞭をしならせると、男の腕に鞭を巻きつけた。

水色「くらえっ!」

男「?!」

 男の体に鋭い電撃が走る。

水色「ハハ、どうだ?俺の鞭の味……はっ!」

男「っあ"!」

 電撃の強さに耐えられず、立膝をついて男は崩れる。

男「っ……てぇ……」

水色「そりゃあそうだろうな。並の人間だと失神物のやつだし」

男「へえ……」

 男はふらりと立ち上がると、突然、水色の方に走り出した。

水色「電気ショックで頭でもおかしくなったのか?もう一発浴びて……倒れとけ!」

男「倒れるもんかよ……」

 水色の懐に飛び込むと、鞭を巻きつけたまま、相手の首を掴んだ。

 水色は目を見開いた。
 男は不敵に唇を歪める。

男「お前も道連れだよ」

 水色は目を見開くと、首を抑えて倒れこんだ。荒い息を漏らしながら、男は巻きつけられていた鞭を取る。

男「流石に、スーツは絶縁体じゃなかったか……良かった……」

 そして、ふらふらと子どもの方へ向かう。

男「大丈夫か?」

子ども「こ、わかっ……た……!」グスッ

男「……そうか」


 男は子どもの半身を起こすと「立てるか」と尋ねた。

子ども「……わからない」

男「肩貸してみろ」

子ども「うん」

 男は子どもの肩と肩を組んで立ち上がると、子どもを労わるように、自身の自転車に向かって歩き出した。

男「お前、あいつらにどこに連れて行かれるか聞いてたか?」

子ども「……わからないけど、大切なおまごさんって言ってた」

男「オマゴサン……?孫か?じゃあ、依頼主はお前のじいちゃんばあちゃんかもな」

子ども「……!」

男「どうした?」

子ども「おじいちゃんの所、いきたくない」

男「どうした、訳ありか?」

子ども「…………」

男「参ったな」


男「……とりあえず、傷の手当だけはしとくか」

 男は自転車にたどり着くと、荷台に子どもを乗せ、自身も自転車に跨った。

男「ちゃんと捕まっとけよ」

子ども「わかった」

男「そういやお前」

子ども「」ビクッ

男「両親はどうした」

子ども「りょう、しん……?」

男「あー……お父さんとお母さんだよ」

子ども「お母さんはいる。お父さんは……死んじゃった」

男「……そうか。じゃあ、母ちゃんに電話しねえとな。携帯は?持ってるか?」

子ども「……ない」フルフル

男「そうとなりゃ俺の携帯を貸したいところだが、あいにく俺の携帯充電切れでね。今から行くところで貸してもらえ」

子ども「分かった」

男「──よし、着いた」

子ども「ここは……?」

男「オカマバー、ホワイトフィッシュ」

子ども「オカマバー?おかまって、あのおかま?」

男「そうだよ。あのオカマ」

子ども「お兄ちゃん、オカマなの?」

男「なっ……!とりあえずとっとと入るぞ」

子ども「うん」

カランカラン

「あーら、いらっしゃあいヒーローちゃん」

男「ヒーローって変な呼び方をするなカマボコ」

「いいじゃないの~……って、そこの帽子を被った坊やはだあれ?あんたの隠し子?」

男「違えよ。ヒーローにぶん殴られてたのを拉致ってきた。薬箱あるか?」

白魚「そこの戸棚の二番目よ。──いらっしゃい、ぼくちゃん。アタシの名前は白魚麗子(シラウオ レイコ)。あなたのお名前は?」

子ども「えっと……悠里(ユウリ)」

白魚「悠里ちゃんね、よろしく。アタシのことはレイちゃんって呼んでちょうだい」

男「本名が蓮二の癖によく言うよカマボコ。お前、あいつの事レイなんて呼ばなくていいからな。カマボコで上等だ」

白魚「んま!酷い人!」

男「お前、手当てするからこっちこい」チョイチョイ

悠里「…………」

男「痛いところは?」

悠里「……腕と膝」

男「お前腹も蹴られてただろ、そこは平気なのか?」

悠里「…………」

男「平気じゃなさそうだなぁ。ま、とりあえず腕と膝の擦り傷からやるか。ヨードチンキが滲みても我慢しろよ」

悠里「ヨードチンキ?」

男「……知らねえの?」

悠里「」コク

白魚「……ジェネレーションギャップ、って、やつかしらね……」

男「──で、あとは腹なんだが……」

悠里「」

男「俺には見せたくない、と」

悠里「」コク

男「なんだよ女々しいなあ。同じ男同士そんな気にすることねえだろ」

悠里「…………」

男「そんなに睨まなくてもいいじゃねえか」

白魚「まあまあ、悠里ちゃんも見せたくない事情があるのよ。悠里ちゃん、アザがある場所にこれを当てておきなさい。見られたくなかったらタオルケット上から持ってくるわよ」

悠里「ありがとう、ございます」

白魚「ふふふ」

白魚「そうだ、何か飲む?ここはお酒を嗜む場だからそんなにジュースはないけれど」

悠里「えっと、じゃあ……オレンジジュース」

男「俺は牛乳」

白魚「アンタには聞いてないわよ」

男「あ、そ」

白魚「はい、オレンジジュース。おまけに傘の飾り付き」

悠里「ありがとうございます」ゴクゴク

白魚「生絞りの出来立てオレンジジュースよぉ~。美味しいでしょ」

悠里「」コクリ

白魚「よかった」

男「あ、そういや」

白魚「なによ」

男「カマボコ、電話ある?」

白魚「勿論あるっちゃああるけど……何?携帯止められたの?」

男「充電切れだよ。……こいつ、母親がいるみたいだから電話させたくて」

白魚「あら、そうなの?」

悠里「」コクリ

白魚「なら、ヒーローちゃんの後ろにある棚に子機があるから、それ使って」

男「だからヒーローって言うなって」

白魚「それなら、アタシの事もカマボコって呼ぶのをやめたら?」

男「…………」

プルルルル
プルルルル

悠里「」シュン

男「母さん、電話に出ないか」

白魚「可愛い子供からの電話だっていうのに……どうしているのかしら」

男「仕方ねえな。今夜はここで泊めてもらえ。明日、お前の家に行こう」

白魚「ち、ちょっと!家主の意見も聞かず──」

男「別に問題無いだろ?」

白魚「──問題は無いけど」

男「なら決まりだ。良かったな、いいボディーガード付きだぞ」

悠里「ボディーガード?」

男「カマボコはヒーローだから力強えんだ、仮にさっきの野郎が来たとしても、1、2で、K.Oさ」

悠里「……え」サアッ

白魚「そんなの、昔の話よ昔の話」

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