モバP「凛、ハナコをこっちによこせ」 (22)

凛「何をいってるの? ハナコを渡せって」


モバP「いいから早く渡せ。ハナコが大変なことになる前に」


凛「……プロデューサー、大丈夫?」


モバP「どういうことだ?」


凛「……ハナコは、何もおかしくないじゃん。どう見たって……」









ハナコ「クゥン……ウホ」


凛「ね?」


モバP「大丈夫じゃないだろ!!」


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事の発端はとても些細なことだった。


凛がハナコを連れてきた時、その時まではハナコは普通だった。


子犬特有の愛くるしい可愛さ、あどけない目。
……よくわからないが、ヨークシャテリア?という種類らしい。
とくかく、普通の子犬だった。


「ハナコ? いいよ。窮屈だったよね」


凛がそういうまでは。

子犬が光り輝くという現実ではありえない光景を目にしながら、徐々にハナコは姿を変えていく。


黒い体毛、筋骨隆々な体、人間ではかないそうにないであろう力を出す。


人間の二足歩行とは違い、強靭な二本の腕を使い大地を震わせる歩行方法、ナックルウォーキングを行う。


間違いない。
ハナコは、ゴリラになった。

モバP「どう考えてもハナコはゴリラだろ!」


凛「何言ってるのプロデューサー」


ハナコ「クゥン……ウホッ」


凛「ハナコはハナコだよ?」


モバP「凛にはウホッという声が聞こえないのか……」


モバP「とにかく凛! ハナコをこっちに渡すんだ!」


凛「……プロデューサー、大丈夫?」


凛「よく考えてみて? このやり取りをはたから見たら、プロデューサーがスタドリ飲みすぎておかしくなったと思われるよ?」


モバP「目の前にゴリラがいなければなぁ!」

モバP「あぁ、もうどうしたらいいんだ……。ハナコが凛を襲ったら……」


ハナコ「…………」


モバP(いやまてよ? おかしいぞ)


モバP(ゴリラの右ストレートがこない。普通、ゴリラは本能的に人を襲うんじゃ……)


モバP(……! スマホどこだ……あった)


モバP「ハローアキハ。ゴリラの性格で調べてくれ」


アキハ『助手よ、何をいいだすんだ……。ゴリラの性格の検索結果は次の通りだ』


『ゴリラの性格は、見かけによらず臆病な性格。チンパンジーと比べて、かなりの平和主義者だ』


モバP「……そういうことか……だから襲ってこないのか」


モバP(凛を襲わないとしても、それでもだめだ。どうにかして凛から離さないと……)

ガチャ


小春「おはようございます~」


凛「あ、おはよう。小春」


モバP「おはようって、小春! 今ハナコに近づくな!」


小春「えぇ~?」


ハナコ「」ブルブル


モバP「は、ハナコがおびえている!?」


ハナコ「ウ、ウホォ……」ブルブル


ハナコが怯えながら指差す先。
その先には……。


ヒョウくん「…………?」


小春のペット、ヒョウくんがいた。


凛「あ、小春。ハナコに近づけたらだめだって。ちひろさんが言ってたよ?」


小春「あ、そうでした~」


モバP「怯えてる…? まさかっ!」


モバP「ハローアキハ。ゴリラの天敵を調べてくれ!」


アキハ『助手よ、またか……。ゴリラの天敵の検索結果は次の通りだ』


『ゴリラの天敵は、ヒョウである』


モバP「…………」


ヒョウくん「?」←イグアナ


モバP「うっそだろ……でも、現実にきいてる……これしかない!」


凛「ハナコ、大丈夫だよ……」


小春「ヒョウくん、向こうにいこぉ?」


モバP「いいか、小春。ハナコ……そこのゴリラは、ヒョウくんを怖がってるんだ。とりあえず、小春はそのままヒョウくんを抱えてそのまま近くにいてくれ」


小春「いいんですかぁ?」


モバP「俺は、あのゴリラをどうにかする」

モバP「凛」


凛「プロデューサー」


ハナコ「」ブルブル


モバP「今の内ならハナコを無害のままに捕獲できる」


凛「!?」


ハナコ「!?」


モバP「いやお前は驚くなよさっきからやってるだろ」


凛「そんな……ひどいよプロデューサー! 大猩猩を!」


モバP「いやハナコじゃないのかよ。しかもそれゴリラの和名だし」


凛「なんで!? どうして! ハナコを連れてくの!」


モバP「ゴリラだし危ないだろ! それに、ゴリラは特定動物って指定を受けてるから、飼うには許可がいるんだぞ?」


凛「都道府県知事でしょ! とったよ! いまさら何言ってるの!!」


モバP「もうゴリラって認めちゃったよ! さも当たり前みたいに言うなよ!」

小春「ヒョウくん、どうぞ~」


ヒョウくん「~♪」


ハナコ「!?!?!」




凛「あぁ、ハナコォ……」


モバP「そもそもなんでゴリラを飼うことになったんだ?」


モバP「返答しだいでは、俺の命に変えてもゴリラを捕まえるぞ……!」


ガチャ


ちひろ「プロデューサーさん、本当に大丈夫ですか?」


モバP「ちひろさん危ない! ゴリラが! ゴリラが!」


小春「あぁ、もうヒョウくんと遊ばないんですかぁ~?」


ちひろ「ダメだって言ったでしょ! もう……。プロデューサーさんが忘れてるみたいなんで、生い立ちを言いますね?」


そうして、突然ゴリラ……ハナコ……もうどっちでもいい。とにかく奴の説明を始めた。


ゴリラとして生まれたこと。
悪質なハンターに捕まり、売られたこと。
日本の貿易船にのり、密入国したこと。
東京ジャングルの中で、どうやってか見つからずに生活していたこと。
東京ジャングルの影響で、小型犬にも変身できるようになったこと。

小型犬になってから、凛とは別の飼い主に拾われ、捨てられたこと。
……凛がそれを見つけて、拾ったこと。
普段は小型犬で事務所まできて、事務所ではゴリラでいること。

……凛のバックダンサーで、ダンサンブルかつ力強いダンスをしていること。





ちひろ「そして今に至ります」


モバP「そんなバカな……」


モバP「た、多分背中にジッパーついてて中から人が出てくるよ……そうだ……そうに違いない……」


モバP「だって、おかしいじゃないか……ゴリラがいるなんて……」


モバP「そう! これは夢だ! 俺が疲れてみた夢!」


モバP「ハナコ! これは夢だという証明として、俺を思いっきりに殴ってくれ!」


ちひろ「…………」


凛「いいよ、ハナコ。やっちゃえ」


そう。ここは夢の世界だ。
なんで気が付かなかったんだ。
凛はハナコを飼っているんだ。ゴリラを飼っているわけじゃない!


俺が気を失う……現実に目覚める前に見た光景は、ゴリラが力の限り拳を握り、ナックルパートを繰り出す光景だった。


モバP「という夢を見たんですよ」


ちひろ「プロデューサーさん疲れてるんじゃないですか?」


モバP「いやはや……本当にそうですよね。ハナコがゴリラな訳」


ちひろ「何言ってるんですか?」






ちひろ「さっきも説明しましたけど、凛ちゃんをゴリラとセットで売りだそうといったのは、プロデューサーじゃないですか」


モバP「えっ?」


ちひろ「ハナコちゃんをゴリラにして、凛ちゃんの歌っている横で躍らせたら面白いっていって、必死に言ったのはプロデューサーさんですよ?」


モバP「そ、そんなはずは……夢じゃ……」


ちひろ「ほら見てください。凛ちゃんの宣材写真。ゴリラにお姫様だっこされてるでしょ?」


モバP「……本当だ」


ちひろ「プロデューサーさん寝ぼけてないで、仕事してくださいね?」




モバP「おかしい……俺の記憶とちがう……」



ガチャ


凛「……わかった?」


モバP「凛……」


凛「プロデューサー、今朝からおかしいよ……」


モバP「で、でも、ゴリラが……」


凛「プロデューサーが認めてくれたんだよ! 必死に土下座までして! 偉い人に頭をさげて!」


モバP「……でも、夢じゃ」


凛「もういいよ。プロデューサー」


凛「しばらく、一人になったほうがいいよね」


モバP「り、凛……」





モバP「なんだこれ……」


モバP「なんだこれ!!!」





凛「さぁ、ハナコ。残していこうか。私たちの足跡を!」


ハナコ「ウホッ!」



終わり


ハナコ=ゴリラという事実を広めるために書きました。
ハナコはゴリラなんですよ?
拙い文章ですが、読んでいただきありがとうございました。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年05月27日 (金) 14:29:00   ID: bOEbJTMJ

ゴリラだと思ったらゴリラだったこの不思議な安心感

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