千歌「前から思ってたんだけど廃校の原因ってさ?」 (121)



千歌「学校がこんな高いところにあるからだよね?」


曜「は?」


梨子「千歌ちゃん?」


果南「はぁ…またいつもの高海節が始まるぞ」



千歌「だってさ!!毎朝毎朝あの長ーい坂を登るのってすごい大変でしょ?そりゃ通いたくなくなるよ!」


曜「千歌ちゃん、いつも誰よりも軽々とぴょんぴょん登ってるじゃん」



ダイヤ「…確かに。千歌さんの言う通りですわ」


曜「ダイヤさん!?」

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ダイヤ「去年の夏休みに開催したオープンキャンパスの時はかなり多くの方が見学にいらしていました…しかし実際に入学されたのは三分の一未満…それもこれもこの浦の星女学院の設計ミスにあると思いますわ!!!!」


果南「ダイヤまで…」


ダイヤ「その日、暑さに朦朧としながらフラフラとあの坂を登ってくる見学者たちはまるでゾンビのようでしたわ…あぁ…おぞましい…」ブルブル


千歌「せっかく浦の星女学院前ってバス停があるのにどうして学校の前でおろしてくれないの!?なんでわざわざ坂道のスタート地点に放り出すの!?鬼だよ!!バス会社は鬼畜だよ!!」


ダイヤ「いいえ!!そもそもこの立地自体が問題ですわ!!目の前に世界一深い湾があるのならその海辺はなだらかにそれを受け入れるのが礼儀というものでしょう?」



曜梨果「????????????」



ダイヤ「にもかかわらずその境界がこんなに高い山のような立地。その証拠にこの辺りにはトンネルが大量に存在しますわ!!駿河湾に失礼だと思いませんの??こんな凹からの凸なんて極端なことをするから廃校真っしぐらになったのでしょう?これでは水深は深く、青春は浅いままですわ!!それからこの崖の下に住む方々の日照権が…」クドクド




鞠莉「チャオ〜!!☆あら、ダイヤったらまたハイになっちゃってるわね!!もうっ!硬度10が高度のこと気にしてどうするの?うふふっ♪今のは硬度と高度を…」


ダイヤ「だ・れ・が!硬度10ですって?」


千歌「ああああ!!!!千歌の領分が…で、でも立地がリッチだよね?あ、今のはね、リッチと立地をかけたんだよ!!」


ダイヤ「千歌さん…あなたどっちの味方ですの?」



ワーワーギャーギャー!



果南「三人はほっといて行こうか」


曜&梨子「はい」



果南「はぁ…あの子たちには付き合ってらんないよ…」


梨子「…でも、確かに毎日こんな高いところに登るのって大変だよね?こっちに来てびっくりしちゃったよ…」


曜「学校がもっと街の中心にあれば学生が好きそうな店も多かったのにね。私は昔からここに住んでるからいいけど、地元の人じゃないとイマイチ取っ付きにくいのはあるかも…」



果南「うーん……」



曜「でも、こんな綺麗な自然と潮風の中伸び伸びと授業できる学び舎もそうないからね。やっぱなくなっちゃうのは悲しいよ…」


梨子「うーん、もっと多くの学生を呼び込めるような魅力的な何かがあればいいと思うんだけど…」





ダイヤ「梨子さんそれですわ!!!」


梨子「だ、ダイヤさん!?」



ダイヤ「いいですか梨子さん?この学校は確かに生徒の数が百人に満たないほど少ないですわ。学校だけじゃありません。沼津の中心から離れたここ内浦も人口の少ない静かな港町。にもかかわらずこの地を訪れる人は大勢います。何故だかわかりますか?」


梨子「え、えっと…」


曜「うーん、一応この辺りには三津シーとか…あ、あと淡島マリンパークとかがあって…」





千歌「曜ちゃんそれだよ!!!」」


曜「千歌ちゃん!?」



千歌「人はいーっぱい来るのにみんな学校じゃなくて三津シーやマリンパークの方へ行っちゃうんだよ!!なんでだと思う?」


曜「なんでもなにも…逆になんで一般の人が水族館や淡島差し置いて学校に来るものだと思うの?」


果南「そもそも学校はそういう場所とは違うし…」






鞠莉「ンノー!!!!」


果南「鞠莉!?」



鞠莉「違うわよっ!このハイスクールにはハートを撃ち抜くようなエキサイティングなことがないの!!三津シーやマリンパークみたいにアミューズメントでエンターテインメントな刺激があればみーんなここに集まってきちゃうわ!!!」


ダイヤ「そこでふと思いつきましたわ。この立地条件の悪さを正し、尚且つ多くの人をこの浦の星女学院に集める方法を。名付けて…」




鞠千硬「〜浦の星女学院海上移転大作
戦〜!!!(ですわ!!!)」



曜梨果「!?!?!?」



果南「移転…ってどうする気!?」



ダイヤ「この内浦は陸がぐるっと海を囲うような形になっていて、その囲まれた海が内浦湾と呼ばれていますわ。駿河湾の一部ですのよ」


千歌「その内浦湾の真ん中に学校をポーン!!って移動させればいいんだよ!」



梨子「なるほど…って、えええ!?!?」


鞠莉「うふふっ☆そうすればダイヤがうるさい高さの問題も解決するし…何と言っても淡島みたいで超エキサイティン!なスクールに早変わりよ!!」



ダイヤ「ついでに地元の漁師さん達と協力して学校の敷地で魚の養殖も行いますわ。海域をいただくのですから当然の礼儀ですわよね?沼津市は漁業の発展に加え町の新たなシンボルを得ます。専攻科目も必然的に増えるため浦の星に入学したい方も増える!まさにウィンウィンですわ!!」



ダイヤ「曜さん、心配には及びませんわ。生徒の募集は何も冬の受験だけではありません。夏休みにはオープンキャンパスだけでなく終わりに編入試験があります。その時期に多くの生徒を取り入れ校内の活動を活発化し話題性を生めば、今の廃校真っしぐらの状況は確実に覆りますわ」


曜「そうじゃなくて…」


千歌「安心して曜ちゃん!!陸から学校までは橋を架けるよ!!しかも一つじゃなくていっぱい!!!これなら今までみたいにバスでぐるーっと海沿い走ってここまで来なくても人によって1番近いところから歩いて登校できるよ!」


曜「いや、だからそうじゃなくて…」


鞠莉「ヨウ!安心して♪学校の敷地内にカフェやレストランをたくさん設けるわ!ホテルチェーンをしているパパの知り合いに腕利きの料理人がいっぱいいるの!!オシャレでビューティーな浦の星にグレートアップさせてみせるわ!!」






曜「だからそうじゃなくてー!!!そもそもどうやって学校を海に移動させるの?」







鞠千硬「あ」



梨子「あ…って、その方法を考えてなかったの!?」


千歌「そ、それはその…えっと……あははは……」


鞠莉「さ、さすがねヨウ!!そんなアメイジングな考え全く浮かばなかったわ!」


曜「鞠莉さん…」


ダイヤ「くっ…私としたことが……一体どうすれば………ん?」






花丸「あ、こんなところにいたんだずらね」


ルビィ「お姉ちゃんたち何話してたの?」


善子「ふふん。このヨハネの魅力について話し合っていたのね。いいわ。今日からあなたたちもリトルデーモンに…」


千歌「あ!花丸ちゃん!ルビィちゃん!善子ちゃん!!」




ダイヤ「………」



果南「あぁ、ごめんね。いつものくだらない話だから。ほら、九人揃ったんだし部室に戻るよみんな」


千歌「はーい」


鞠莉「え〜!もっとドリーミン!なお話続けたかったわ!」


梨子「はぁ…やっと終わった…」


曜「ルビィちゃんたちナイスだよ…」


ルビィ「??」


花丸「なんとなく大変だったんだなーってのは察したずら」


ヨハネ「ちょ、ちょちょ、ちょっと!!ヨハネの魅力もっと聞かせなさいよ!!!」







ダイヤ「お待ちなさい!!!!!!!!」



八人「!?!?!?!?!?!?!?!?」


果南「ど、どうしたのダイヤ?」



ダイヤ「コホン……花丸さん、善子さん、ルビィ。あなたたち、自分の立場をわきまえていますの?」


ルビィ「へ?」



ダイヤ「浦の星女学院は昨年度をもって生徒募集をやめました。つまり、あなたたちの代が最後になりますわ。お分かり?たった一度きりの高校生活に後輩がいないのですよ?それがどんなに悲しいことか……善子さん。あなたはいいのですか?後輩がいないということはあなたがその…リトルデーモンとやらを普及させるのに十分な障壁となりますわ」



善子「うっ…た、確かに…」



ダイヤ「花丸さん。あなた聖歌隊のメンバーでしたわよね?その聖歌隊にはミッションスクールである浦の星の生徒も多くいるはずです。もし後輩が入って来ないとなると、新規のメンバーを取り入れるのが困難を極めるのは当然のこと、あなたも寂しい思いをするでしょう。やがて浦の星のように聖歌隊も破滅を迎え兼ねませんわ」



花丸「そ、そんな……」



ダイヤ「ルビィ。正直あなたにはウンザリしていますわ。高校生にもなって姉である私がいなければ何もできない……しかし、姉としてあなたに期待をかけてもいるのですよ?もし廃校を免れ学校が存続したらいずれあなたが上に立つわけです。私が卒業しても自立し先輩としての自覚を持ち、後輩を指導する身になったら私はどれほど嬉しいことか。ルビィ。あなたは高校生活が始まったばかりの1年生。そんな輝かしい未来を持つあなたを、学校の都合なんかでダメにしてしまいたくないのです!!」



ルビィ「お姉ちゃん……」


ダイヤ「さあ、自分たちの置かれている状況が分かってきたようですわね…三人とも、あなたたちで廃校をなんとかしてみなさい!」




八人「!?!?!?!?!?!?!?!?」




ダイヤ「案は先ほど私たちが出しました。それが実行できるまでは……三人のAqoursでの活動を一切禁止します!!!」




八人「!?!?!?!?!?!?!?!?」



花丸「そ、そんな…」


ルビィ「ルビィたちが…」


善子「活動禁止!?!?」


果南「ダイヤ!それはさすがにやりすぎだよ!!」


鞠莉「そうよダイヤ!!シックスピーポーで続けるなんて味気ないわ!!」


曜「だいたい、さっきの方法って物理的に不可能だし…」



ダイヤ「おだまり!!!!!!」


千歌「ダイヤちゃん…」


ダイヤ「期限は今月末……それまでにダメでしたら残念ですが、このスクールアイドルもやめて九人全員に普通の高校生活を過ごしていただきますわ」


梨子「そんな…あんまりですよ……」


ダイヤ「このくらいしないと廃校に対して本気で向き合えませんからね…ではみなさん行きましょう。期待してますわよ善子さん、花丸さん、ルビィ」スタスタ


善花ル「……」



善子「全く!どういうつもりなのよあの人!!」



花丸「善子ちゃん、図書室では静かにするずら」ペラペラ



ルビィ「善子ちゃんも言いくるめられてたよね?」



善子「そ、それは…で、でも、いくらなんでも学校を海の上へ移動させるなんてヨハネの魔力でも不可能よ!」



花丸「ふぅ……確かに、ダイヤちゃんさすがに無理言い過ぎだよ。パタン……はぁ…この本にも手がかりは載ってないずら。他の本探してくるよ」スッ



ルビィ「ご、ごめんね…お姉ちゃんあそこまで無茶なこと言う人じゃないと思ってたんだけど…」



善子「…ほんとにあの人、ヨハネたち抜きで練習やるつもりなのかしら……だったら一刻も早く納得させられるような方法考えないとマズいわ…」






花丸「…えーと…確か一番奥の本棚に……ん?」



ルビィ「と、とりあえずお姉ちゃんの見てないところでこっそり練習するのも…」



善子「もし見つかったら魔界の空を揺るがすほどの怒りに満ちた漆黒の雷が降り注ぐに違いないわ…一体どうすれば…」






花丸「ルビィちゃん!善子ちゃん!ちょっと来てほしいずら!!」



ルビィ「どうしたのマルちゃん?」





花丸「この本棚、おかしいずら」



善子「何がおかしいのよ。どう見ても普通の本棚よ」



花丸「…この本を棚に戻そうとしたら、この先から僅かに風を感じたんだ。ほら、耳を澄ましてみて…」



善ル「???」



……コオオオォォ…



ルビィ「ほ、ほんとだ…風だ!」



善子「しかも冷たい…外の空気ではないわね…これはもしかして魔の世界へと繋がるゲート…」



花丸「ニ人とも、本棚を動かしてみよう」



ルビィ「え、マルちゃんそれはマズいよ!先生に怒られちゃう!」



花丸「安心するずら。今この部屋にはマルたち以外誰もいないし…マルには図書委員の特権があるずら」ジャラン



善子「それに、久々の故郷の空気を吸えるチャンスなのよ?ふふ…一度は失った漆黒の羽を再びこの身に宿してもらおうかしら?」



ルビィ「そ、そんなぁ…」



花丸「いくよ…せーの!!」



ウンショ…ウンショ…ウンショ…ガラガラ




花ルビ善「!?!?!?」



花ルビ善「!?!?!?」




花丸「これは…地下へと続く階段……」



善子「嗚呼…懐かしい。感じるわ…魔物の気配を。悪魔の気配を。堕天使の気配を!!」



ルビィ「なんでこんなところに隠し通路が…?」



花丸「こんな不自然な隠し方するなんておかしいずら。もしかしたらこの先に知られてはいけない浦の星の秘密が眠っているのかもしれない…もしかしたらそれが学校を廃校から救う手掛かりになるかも…」



善子「迷う理由は無いわ!行くわよ二人とも!!」



ルビィ「え、ちょっと…!勝手に入って大丈夫なのかな…」



カツン…カツン…カツン……




ルビィ「真っ暗で何も見えないよ……さ、寒いし…ホコリっぽいし…やっぱ戻ろう?」




花丸「ルビィちゃん安心するずら。踏み外さないように一歩ずつゆっくり進もう。ほら、マルの手を握って?」




ルビィ「マルちゃん……」ギュッ




花丸(それにしても妙ずら……この石でできた階段に壁……サワサワ……校舎の雰囲気とは似ても似つかない。本当にファンタジーの世界にでも入ってしまったのかな)





善子「二人とも」




ルビ丸「??」





善子「暗いなら、スマホのライトつければいいでしょ?」スマホカオテラシー





ルビ丸「い…いやああああああああ!!!!!!!!」ダダダダダ



善子「ちょ、ちょっと!なんで逃げるのよ待ちなさいよ!!」ダダダダダダ




ルビ丸「お、オバケ〜!!!!」ダダダ




善子「オバケって何よ!私は堕天使のヨハネよ??……ってうわ!!」ドンッ!




善子「いたたた…何で急に止まって……」




善子「!?!?」





ルビィ「こ、これは……」





花丸「大きな部屋ずら…」



花丸(広い…部屋というより小さなドーム…天井もマルの通っている教会より高い……それに壁中に設置されているロウソク……マルたちの他に誰かいる?)





善子「お…おほほほほ!!ついに来たわね異界へのゲートへ!ほ、ほら見て!奥に祭壇があるでしょう?あそこで儀式をすることでそれが開くのよ!!」




ルビィ「そんなわけないでしょ!!」




花丸(学校の施設にしてはあまりにも不自然過ぎる……誰が、何のためにこの部屋を作ったのか…そしてなぜ図書室に隠したのか……全く分からないずら…)





ルビィ「あれ?この宝石みたいなやつなんだろう??ピンク、黄色、白に…これは何色だろう?」




善子「勾玉よ!!私も毎晩の儀式に使っているわ。今まで溜めてた堕天の力を今日ここで解き放ってみせるわ!!!」





花丸「ふ、二人とも何勝手に触ってるずら!危ないよ!!」タッタッタッ



善子「はぁ?こんなところに祭壇があって、その上に勾玉が供えてあったらもう答えは一つじゃない。悪魔が私に早くこちらに来なさいと囁いてるのよ」





花丸「でもいくらなんでも不自然過ぎるよ!」





ルビィ「マルちゃん見て!とってもきれい……ってあれ?…なんか光ってるよ!!すごい……って熱っ!?」 ゴトッ…





善子「見なさい。勾玉たちが私の堕天力に反応して宙に浮かんでいるわ。ついに……ついにこの時が…」





花丸「まるで本の世界に入ったみたいずら……こんなことが現実に……」





シュン…! シュン…! シュン…!





花丸「あぐ!?」




ルビ「あむ!?」




善子「ごふっ!?ゴホッゴホ!……急に何よ!?飲んじゃったじゃない!!……って、これは!!!?」





花丸「はわわ…か、体が光って…」





ルビ「マルちゃん………」







うわああああああああああぁぁぁぁ……



チュンチュン…




ダイヤ「今まで門限を破って幾度も叱ったことはありましたが…まさか朝まで帰って来ないとは…いい度胸ですわね。ルビィ」




ダイヤ「花丸さん善子さんとも連絡が取れないですし、スクールアイドルの活動を禁じたことで拗ねて家出でもしているのでしょう。全く幼稚ですわ。さて、学校へと向かいましょう……行って参りますわ」







ザザーン…




ダイヤ「あの子…これで学校に来なかったら今日という今日は……」






ダイヤ「!!!!!!!!!!」





ダイヤ「あ…あれは………」



ヤーヤーアーサカラゼンカイ・・



千歌「う…ん………もうみかん剥けないよ………ん?…あ!!ま、マズい!遅刻しちゃう!!」ドタバタ




イッテキマース!!!







曜「あ…あぁ……」




果南「なんなのこれ………」




梨子「何があったの……?」




鞠莉「ワ〜オ!ドリーミン!!エキサイティン!!!」






千歌「おはようみんな!……ってあれ?どうしたの?」




曜「千歌ちゃん……あれ……」




千歌「へ…?……あ……ああああああああ!!!!!!!!」







千曜梨果鞠「内浦湾に……島ができてるー!?!?!?!?!?」



ダイヤ「」





果南「あ!……だ…ダイヤ!!これ、どういうこと??朝起きたらいつの間にか……」





ダイヤ「」




果南「ダメだ。立ったまま完全に気を失ってる……ほら!ダイヤ!起きて!!ダイヤ!!!」パチンパチン





ダイヤ「……はっ!?か、果南さん……大変です……内浦湾が……内浦湾がまるでモンサンミッシェルになってしまいました……わ……」ガクッ





果南「ダイヤー!!!!」



曜「昨日まで何もなかったのに…いつの間にこんな立派な水上都市…ん?真ん中の建物、どこかで見たことあるような………って、あれ!?!?み、見て!!私たちの学校がなくなってる…!!」




鞠莉「アメイジング!!!学校が島のてっぺんに移動してるんだわ!!!」





千歌「あれ……まだ夢を見てるのかな……」








ヨハネ『…ふふっ。またかわいい小悪魔候補生たちが堕ちて来たのね。ようこそ♪我らの【水上堕天獄 〜混迷の幻魔首都ウラノホシ〜】へ…』




梨子「よっちゃん…え…ええ!?」






5人「えええええええええええ!?!?」



千歌「よ、善子ちゃん!?どうしちゃったの!?…」




ヨハネ『その名は既に捨てたの。私は堕天使ヨハネ。それ以上でも以下でもないわ。堕天の完全体になったのよ』




曜「うっ……なんだか今回は逆らっちゃいけない気がする……ヨ…ヨハネちゃん?昨晩一体何が起こったの?」







ルビィ『…ヨハネちゃん…勝手に学校の名前を変えないでよ……』




果南「る…ルビィちゃん!?!?」



ルビィ『おはようございますみなさん』




ヨハネ『あら?遅いじゃないジュエリーナ・ルビィ。お寝坊はハートジュエルの輝きを損なうご法度じゃなかったかしら?』




ルビィ『ルビィはそんな名前じゃないし一言も言った覚えないよそれ』






ダイヤ「…ん?……はっ!……善子さん…それに……ルビィ!!あなた、一体どこをほっつき歩いて!!それにこれはどういう……」




ルビィ『おはようお姉ちゃん。これはね、お姉ちゃんが望んだ形なんだよ。浦の星女学院の廃校を食い止めるためにお姉ちゃんたちが出してくれた案を具現化したの…驚く理由がないでしょ?さあ、ヨハネちゃん。みなさんを新たな浦の星女学院へ案内してあげよう』



ダイヤ「ルビィ…あなた…」



ヨハネ『さあかわいい小悪魔候補生たち!私たちについて来なさい!』



ダイヤ「……」



ザザーン…



千歌「す、すごい!本当に海の上に橋がかかってる!それに…地面が勝手に動いてるよ梨子ちゃん!!」ウィーーーン



梨子「う、うん…これは多分ただの動く歩道だと思うけど…千歌ちゃん初めて見るんだ」



果南「その…ヨハネ、ルビィちゃん。聞きたいことが山ほどあるんだけどさ……」




ダイヤ「…果南さん。お待ちなさい。」



果南「ダイヤ?」




ダイヤ「今の私はとても現状を受け入れることはできません……しかし目の前にあるのは紛れもなく私たちが昨日出したあの案そのもの。昨晩何かがあったのは間違いですわ。とりあえず9人が揃ってからその話をしましょう…」



果南「ダイヤ……」



ダイヤ「……」




ルビィ『……』



鞠莉「…ほら見て果南!島が見えてきたわ!きゃあスッゴい!!カフェやレストラン…ってあら?パパの知り合いの方のチェーン店!あ!あの店も!あそこにも!!…いつの間に出店してたの!?アメイジング!!!」



梨子「なんかもう色々謎過ぎてその疑問すら小さく感じるよ」



果南「鞠莉…少しは警戒して…」




鞠莉「ふふっ♪果南?例え何があってもヨハネはヨハネ、ルビィはルビィでしょ?きっと彼女たちは納得のいく説明をしてくれるわ。だって私たち、同じAqoursでしょう?友達でしょう?」



果南「それは……」





千歌「わー!見て!すごい!!そこら中でお魚さん育ててる!!あ、跳ねた!!」



梨子「千歌ちゃん…」



曜「梨子ちゃん。混乱するのも分かるけど、今はとりあえずヨハネちゃんとルビィちゃんに従おう?私も何がなんだか分からないけど、こんなに綺麗な、淡島みたいな島がもう一つできて、なかなか面白そうじゃない?今はとりあえず楽しんで、考え話し合わなきゃいけないのはその後。どう?」



梨子「曜ちゃん…う、うん…」



ゾロゾロ……ワイワイ……




果南「す…すごい…既に人がいっぱいだ!」



ヨハネ『堕天の楽園へようこそ♪今からこのヨハネが悪の魔獣巣食うこの地を案内するわ!!』



千歌「よっ!待ってました!!」パチパチパチ



曜「ヨ〜ソロ〜!!」パチパチパチ



鞠莉「シャイニ〜!!☆」パチパチパチ



ヨハネ『さて、まずこの堕天獄……フン。浦の星女学院は現状、生徒数は変わらないわ。あなたたちはいつも通りこの島の中心にある学校に通ってちょうだい。カリキュラムもまあ、水産系が少し加わっただけでほとんど変化ないわ。』



ルビィ『学校周辺は鞠莉さんのお父さんの知り合いの方が経営されるカフェやレストラン、娯楽施設を設けました。もちろんこのように学校関係者以外の方も利用できます』



鞠莉「エクセレント!!盛り上がること間違いなしだわ!!!…まあ!この間オープンしたばかりのカフェまであるじゃな〜い・うふふっ♪なんだか鼻が高いわ♪」



千歌「うわー!見て!噴水まである!!すごい!!…あ!あっちの方面白そう!行こう曜ちゃん!!」タッタッタッ



曜「ヨーソロー!!」タッタッタッ



鞠莉「二人とも待って〜♪♪」タッタッタッ






梨子「…行っちゃった」



果南「遊園地気分だよね…案内始まって三分で自由行動し出すとか…相変わらずだよほんと…」



ダイヤ「……」



ヨハネ『…まあいいわ。あの三人なら口で説明するより動き回って五感で感じた方がいいと思うし。ふふっ♪知らないうちにこの地の魅力に惚れて堕ちていくはずだわ』




ルビィ『この海沿いは見ての通りほとんどが養殖場に充てられています。地元の人と提携して内浦の、沼津の漁業に貢献する試みです。今はまだ指導に地元の漁師さんを何人かお呼びしているけど、生徒が増えたらいずれ彼らだけで回せるようにするつもりです。』




果南「あれ?…漁師さんにしては明らかに人が多すぎじゃない?どう見てもその手の人じゃなさそうなのも結構いるし……店のスタッフとかもどうしてるの?」





ヨハネ『その質問待っていたわ。いい?あれはすべてヨハネのリトルデーモンよ」



梨子「え?」



ヨハネ『ええ』



梨子「よっちゃんの?」




ヨハネ『リトルデーモンよ』



果南「…えっと、その……つまり、ヨハネのことを大好きな人たちがボランティアで働いてくれてるってこと?」



ヨハネ『そういう言い方もあるわね。正確にはヨハネに魅了されて堕ちしリトルデーモンたちの心をくすぐってあげたのよ。これからヨハネの元に仕える気はない?同じ楽園で生涯を共にしましょう?…と。そうしたら見事大量のリトルデーモンが集まってくれたわ」


果南「そんな…いくらヨハネのことが好きって言ってもそんな簡単に洗脳できるものなの??」


ルビィ「果南さん。まだ現実を受け止めきれてないみたいですね。もし洗脳が本物じゃなかったらもっと厄介なことが起きているはずですよ」






ダイヤ「なぜ突如現れたこの島に私たち以外誰も疑問を抱いていないのか…ですわ」



果南「ダイヤ!?」




ダイヤ「おかしいですわ。家族はもちろん、テレビやインターネットでもこの謎の島出現について全く話題になっておりませんわ。むしろあたかも元からこの地に存在していたかのような……これは洗脳というレベルではありません。私たちが昨晩眠っている間に歴史や人々の心が書き換えられてしまったのですわ…」




ルビィ『すごいよ。さすが私のお姉ちゃん。まあ、ヨハネちゃんだけじゃどうにもならない部分を全部なんとかしてくれたのは…ふふっ。それはこの後のお楽しみです♪』




ダイヤ「ルビィ…ふざけるのもいい加減にしなさい。あなた一体どうしてしまったのですか?昨晩何があったのですか?本当に…本当に何がどうなっているのですか!?これはすべて夢なのですか!?ルビィ!!」




ルビィ『そんないっぱい質問されても……お姉ちゃんさっき9人揃ってからって言ったよね?……うーん、そうだな。じゃあ落ち着いたら学校の図書館に来てよ。それで全てが分かるからさ』




ヨハネ『ふふん。もっとゆっくり見学してジワジワ魅了してあげたかったけど…まあいいわ。あんまり待たせると天罰下すわよ?』




ルビィ『それじゃ、ばいばい梨子さん、果南さん……お姉ちゃん』 スッ




ダイヤ「ルビィ!待ちなさい!!タッタッタッ…きゃっ!?」ドサッ




梨子さん「ダイヤさん!大丈夫ですか!?」




果南「ダイヤ!!」





ダイヤ「くっ…ルビィ……」



千歌「ぷは〜食った食った♪♪」



曜「千歌ちゃんよくみかんパフェ三杯もお腹に入るよね。…でも、鞠莉さんすごいですよ!こんなにオシャレなカフェをたくさん設けられるなんて!」



鞠莉「まあねっ♪どこのお店に行ってもパパの知り合いの顔見知りばかりでつい話し込んじゃうわ♪♪」



千歌「うん…英語全然聞き取れなくてびっくりしたよ…」



曜「私も……」



鞠莉「うふふっ♪」




鞠莉「………」






鞠莉(…オーナーはともかく、厨房やホールのスタッフなんて全然知らない人だし、明らかに素人よね。…おそらくヨハネの魔法にかかっちゃったかわいそうな人たちね…それに、そもそもこの島を訪れている人たち、さっきからあたかも前からこの島が存在しているかのような口ぶり。クレイジーよ。疑問を抱かないネットでも話題にならない………おそらくそのキーは………)



鞠莉「千歌っち!ヨウ!せっかくだし、学校まで行ってみない?お腹いっぱいになったんだし、島の中心からこのビューティー!な景色を眺めてみたいわ!!」



千歌「賛成!!」



曜「よ〜し!!食後の運動だー!!!」



鞠莉「かけっこなら負けないわよ〜?いっけ〜!!☆」



千歌「走れー!!!!」



曜「ヨーソロー!!!」



タッタッタッタッ…



ダイヤ「私がいけなかったのです。私のせいでルビィは……」



果南「ダイヤ…別にダイヤのせいじゃ…」




ダイヤ「違いますわ!私が昨日、まだ入学したばかりのあの子たちに学校の廃校問題というどう考えても覆らないような無理難題を押し付けて脅し、困らせた挙句部内の雰囲気も悪化させ、結果こんなことになってしまったのですわ!!三年生…いえ、生徒会長でありながら私は何をやっているのでしょうか…ルビィはもちろん、善子さんや…私たち以外の人々の情報が書き換わってしまったのも全て…全て私の責任です…あぁ……なんて取り返しのつかないことを……」ポロポロ



梨子「ダイヤさん……」





果南「ダイヤ…学校へ向かおう。」



ダイヤ「………」



果南「現状、そもそも私たち以外の全てがおかしいんだよ?現実的じゃない、あり得ない。そんなことだらけ。変わっていないのは私たちと千歌、曜、鞠莉だけ。きっと善子ちゃんだってルビィちゃんだって、その…何かしらの洗脳を受けているに違いないよ。確かに昨日のダイヤも言い過ぎてた気はするけどそれだけで世界はこんな風に変わったりしない。元どおりになったらきちんと謝ろう?」



ダイヤ「果南さん……」



梨子「そ、そうですよ!ルビィちゃんもすごくいい子だし…あんなになっちゃうのは不自然と言うか…やっぱり二人が言っていたように、その謎は学校にある気がするんです!」



ダイヤ「梨子さん……」





ダイヤ「…わ、分かりましたわ!…こうしてはいられません。今すぐ向かいましょう!!待っていなさいルビィ!!!」



果南「はぁ…浮き沈みが激しいったらありゃしない……」



梨子「あはは…まあでも、いつものダイヤさんに戻ってよかったです」



何をしているのですかー? 行きますよー!



果南「はぁ…全くもう…」



千歌「いっちば〜ん!!!」



曜「く〜!惜しい!!負けた!!!水の中なら勝てるのに〜…」



鞠莉「いや〜ん♪速すぎよ二人とも!」





鞠莉「……」



鞠莉「ねえ、先に図書館に寄っていかない?」



曜千歌「へ?なんで?」



鞠莉「なんとなくよっ♪……なんとなく…」



『アクア・インテリジェンスシステム発動……気温、湿度、天候、風、異常無し。養殖AブロックからRブロックまで異常無し。あ、やっぱCは水温が少し高いかな?…あ、それとこの後潮が若干引くずら……第4ゲート付近に人が溜まりすぎてるからスムーズに移動できるようスタッフを配置せよ』



『ふぅ……インフラ整えてデータの書き換えやっちゃえば基本は平和だなあ…さて、次は D-320〜E-50までの書物をマリン・ブレインシステム通して脳内に叩き込むずら…おっとその前に北緯東経の設定リセットしちゃったんだ……内浦内浦……』






鞠莉「ハァイ♪小さな賢者さん。お仕事お疲れ様♪」


曜「うわ!!すごい本の量…あれは…3D映像?がいっぱい…なんか近未来の研究施設みたいだよ…………って!!」




千歌「花丸ちゃん!!!!!」






花丸『あ、おはようございます。みなさん』


梨子「こ…ここは?」



果南「確か図書室だった場所…ここだけ全く面影が……って!千歌!曜!鞠莉!!」



ダイヤ「それに花丸さん!?」




千歌「梨子ちゃん!果南ちゃん!ダイヤちゃん!」



鞠莉「ふふっ♪やっぱりあなたがみんなの脳内チクっといじくっちゃったわけね?インフラを支えヨハネのシモベ達に指示を出して、ある意味この島の全てを担っているのがあなたってことね」



花丸『はい。突如島が現れたりしたら大パニックになりますから。そうならないよう昨晩、各地区にある広報のスピーカーから特殊な電波を出し、人々にこちらで作っておいたこの島に関する記憶を予めインプットしておきました。無論インターネットの方の情報操作もしましたが、ハッキングは不慣れなものでとても骨が折れましたずら』




ダイヤ「ルビィの様子がおかしくなったのもあなたの仕業ですか花丸さん?」



花丸『それはないずら。ルビィちゃんは最初は怖がっていた……ヨハネちゃんも……それにマルも……でも………』






ヨハネ『何度言わせる気?悪魔の儀式は全員が揃わないと意味なくてよ?』




六人『!?!?!?!?!?!?』



ルビィ『でも安心してお姉ちゃん。マルちゃんも揃ったしいよいよ全てを知る時だよ?』




ダイヤ『ルビィ……』



花丸『そうですね。まずはみなさんを混乱させてしまったことを謝らなければいけません。いくら思い描いていた世界とは言え非現実的……受け入れられないのも無理はありません。申し訳ございませんでした』ペコリ



千歌「花丸ちゃん!千歌たちって今夢の中にいるの?」



花丸『いえ千歌さん。これは夢ではありません…この島の存在はもちろん、みなさんが今朝から体験していること全て、紛れもなく現実です。』



千歌「そうだよね!あんなに美味しいみかんパフェが夢だったらショックだもん!!」



果南「そこ?……ねえマルちゃん。昨日私たちと別れたあの後、何があったのか教えてくれる?」



花丸『はい。私たちはあの後困り果てて、とりあえず図書室で話し合いをすることにしました。そこでマルが本棚を漁っていたら、たまたまその後ろに繋がる隠し階段を見つけてしまったのです」



6人「えっ!?!?」



曜「図書室に隠し階段!?



ダイヤ「そんな場所に扉など……関係者以外立ち入り禁止の場所に足を踏み入れたのではありませんよね?」



花丸『最初はそう思いましたが、その階段の造りが明らかにこの学校とは違うので違和感を感じて興味本位で降りてみました。』



ヨハネ『その先にあったのは小さめのドームみたいな空間と祭壇。そしてその上に勾玉があったわ』



梨子「勾玉?」



ヨハネ『ええ。白と黄色とピンクのね。確かもう一つあった気もするけど…どこへ行ったか分からないわ。その時、これが魔界へのゲートを開くのに必要なものかと思って調べてたんだけど、その勾玉が急に熱を帯びて光り出し私たちの口へ飛び込んで来たわ』



花丸『………』



千歌「えっ!?勾玉食べちゃったの!?」



ルビィ『はい…思わず飲み込んでしまいました…そうしたらルビィたちの体が光り出して、そのまま気を失ってしまいました…目が覚めると体に明らかな違和感を感じました』



花丸『自分が何か大きな力に乗っ取られてしまったような気がして……怖くて、心細くて、しばらく三人で泣いていました』



ヨハネ『でも、時間が経つにつれて徐々に分かってきたの。私たちは力に乗っ取られたんじゃない。力を手にしたんだって…とてつもなく大きな力を』



ルビィ『そして三人で話し合いました。この力をなんとか廃校阻止に生かせないかと……』



ヨハネ『ヨハネはついに堕天に成功したわ。全国にはびこるリトルデーモンを意のままに操れるだけでなく、過去に堕ちた天使たちと契約して地獄から彼らを召喚できるようになったの。この島は彼らに創造させたわ…ふふっ♪もっと時間がかかると思ったけど、さすが神話になるだけあるわ。一瞬よ。一瞬で島を創造してくれたわ』



果南「堕天使の…召喚?……いくらなんでもそれは無理でしょ…」



ヨハネ『あら?もうあなたたちの目の前にいるんだけど?……ほら、姿を見せてやりなさい。私に仕える堕天使、ルシファー!』







ルシファー『…………はい、ヨハネ様』スッ





六人『!?!?!?!?!?!?』



梨子「堕天使……ルシファー………」



千歌「梨子ちゃん知ってるの!?」




梨子「う…うん、東京にいた時、美術部のテーマで堕天使を書いた時があったの。私はそのルシファーってのを描くために色々調べたんだけど……間違いない…私が描いたのと同じ姿!すべての悪魔の統率者で最高位に位置する堕天使ルシファーよ!!!」



曜「そんなすごいのを呼び出して自分に仕えさせてるなんて……」



ヨハネ『ふふっ♪他にもいっぱいいたんだけど、彼が一番カッコよくて優秀だからね。ヨハネのお気に入りよ…もういいわルシファー。引っ込んで』




ルシファー『仰せのままに……』スッ



千歌「消えた!!!!」



ルビィ『ルビィはお裁縫や手芸が唯一の取り柄だったけど……その能力が伸びました。糸を創り出し操ることができます。ただの糸ではなく金属や宝石を圧縮し紡いだ非常に丈夫なもの。養殖や漁業に使う網から、噴水などの装飾、この島の形や元々浦の星女学院が存在した地を整えるための岩石の切断や研磨までこの糸を操って行いました』



梨子「それ能力が伸びるって次元じゃないよね?お裁縫極めるとそんな危ないことできるようになるの?」



ルビィ『危ないだけじゃないですよ。そうですね、例えば…お姉ちゃん』



ダイヤ「!?」



ルビィ「さっき転んだ時、足切ったでしょ?ルビィに見せて」



ダイヤ「………」スッ



果南「うわ…結構傷が深いね……なんで黙ってたの?」



ダイヤ「大したことありませんわこのくらい」




ルビィ『…【CORD 07 キュア・スレッド・オペレーション】』スススッ



ダイヤ果南「!?!?」



果南「傷口が塞がった……!?」



ダイヤ「しかも痛みまで……」



ルビィ『ルビィは硬い糸だけでなく傷の治療に適した糸も出せます。もしこの島で大きな怪我があった時もほとんどの場合ルビィが対応できます。お大事に、お姉ちゃん』




ダイヤ「……」




花丸『マルはヨハネちゃんやルビィちゃんと違って派手なことはできません。さっき説明したようにこの島の基盤を支え、すべての施設に指令を出しています。アクアインテリジェンスにより膨大な情報の受信、発信、過去の資料の分析や島と周辺の海域の監視などをほぼ同時に行っています。しかし進化したマルの脳でもさすがに処理が追いつかないので導入したのがこのマリン・ブレインシステムずら』



曜「これ3Dの映像だと思ったけどよくみたら水でできてる……ん?よく見ると脳の形をしているけど………」



花丸『それはマルのもう一つの脳ずら』



曜「もう一つの脳!?」



花丸『はい。よく見ると小さな光が無数に飛び交ってますよね?実際の脳もこんな風に無数の電気信号により普段の情報伝達を行っています。膨大過ぎる情報をこちらで処理しできるだけ簡易化、その後マルの脳に取り入れます。これはマルの脳にかかる負担を減らす役割もあるずら。それでもまだ慣れないから頭痛がするけど…』


ルビィ『マルちゃん大丈夫?』


花丸『ルビィちゃんありがとう。マルは大丈夫だよ!』


ルビィ『無理しないでね…』



鞠莉「アンビリーバボーでインクレディブルね!まさか日本のこんな小さな町で人生一の刺激に出会えるなんて思わなかったわ!!」



曜「つじつまも何もないけど、確かに一応筋は通ってる。確かにこれならちゃんと機能するはずだよ…」



ヨハネ『とりあえず、このままオープンキャンパスまでに我がウラノホシはさらなる高みに昇るわ。そしていつか、廃校寸前から世界一の魔宮にしてみせる。世界中の人をリトルデーモンにして現世に生きる堕天使ルシファーとしてこの世に名を轟かすのよ!!』



千歌「待って!!スクールアイドルは……Aqoursはどうなるの!?」



花丸『現時点では何とも言えません…その時期までにそれぞれが今の役割に慣れ、掛け持ちできるようになればいいですが……おそらく難しいかと……』




千歌「えっ……」



梨子「そんな………」



曜「嘘でしょ………」



花丸『でも、いつか歌いたいです!!聖歌隊のみんなとも、千歌さんたちともまた!!』



ルビィ『…すみませんみなさん。この後ルビィたちにはまだまだやらなければいけないことがありますのでこの辺で………安心してください。絶対に廃校を食い止めてみせますから!』





ダイヤ「…分かりましたわ。行きますよみなさん」



曜「!?」



梨子「ダイヤさん!!」



千歌「ダイヤちゃん…でも……」



ダイヤ「私が彼女たちに指示を出した。そしてそれを実際にやろうとしている……ほら、何もおかしくないですわ……ルビィ、夕飯までには帰るのですよ?」



ルビィ『……』



果南「……」



カアカアカアカア…





「お待たせしました。アイスコーヒーです」ゴトッ



千歌「…………」



梨子「…………」



曜「…………」



鞠莉「〜♪」ゴクゴク



ダイヤ「夕陽が美しいですわね。ええ、さすが私たちが決めた理想の浦の星女学院。上から見下ろす内浦もきれいですが、海から見渡す内浦もまた然り」



果南「ダイヤ。ルビィちゃんたちに謝るって約束したよね?なんであんなこと言ったの?」



ダイヤ「鞠莉さんさすがですわ。こんな素敵なカフェを用意できて…これならさらなる注目を浴びてやがて廃校も……」







果南「いい加減にしてダイヤ!!!」




ダイヤ「お黙り!!!!!!!」




果南「黙らないよ!!!!!!」



カアカアカアカア…





「お待たせしました。アイスコーヒーです」ゴトッ



千歌「…………」



梨子「…………」



曜「…………」



鞠莉「〜♪」ゴクゴク



ダイヤ「夕陽が美しいですわね。ええ、さすが私たちが決めた理想の浦の星女学院。上から見下ろす内浦もきれいですが、海から見渡す内浦もまた然り」



果南「ダイヤ。ルビィちゃんたちに謝るって約束したよね?なんであんなこと言ったの?」



ダイヤ「鞠莉さんさすがですわ。こんな素敵なカフェを用意できて…これならさらなる注目を浴びてやがて廃校も……」







果南「いい加減にしてダイヤ!!!」




ダイヤ「お黙り!!!!!!!」




果南「黙らないよ!!!!!!」



千梨曜「!?!?!?」ビクッ



千歌「ふ、二人ともケンカは…」



鞠莉「千歌っち。シャラップ」



千歌「……」





果南「ダイヤにとって……ダイヤにとって廃校阻止とAqoursどっちが大事なの!?確かにこの方法なら学校を存続できるのかもしれない…でも、また9人で集まって!Aqoursとして!スクールアイドルを続けられないかもしれないんだよ!? ……三人とも変わっちゃったけど、ヨハネちゃんは廃校阻止してリトルデーモンを増やしたい。マルちゃんは今の役割に精一杯だけど、スクールアイドルや聖歌隊への想いも忘れていない。ルビィちゃんもあんなにか弱い子だったのに、今は二人と力を合わせて新しい学校を機能させようと頑張っている。自分に何ができるか考えてる!……誰もダイヤが昨日言ったこと忘れてないんだよ!!一人の先輩として、Aqoursの仲間として、生徒会長として、姉としてダイヤのこと慕っているから!!!だから…」ポロポロ



ダイヤ「……」



曜「果南さん……」



果南「ごめん、私帰るね……ちょっと頭冷やしたいし……それじゃ…」タッタッタッタッ


梨子「あ、果南さん…」



ダイヤ「……」




梨子「あの……ダイヤさん。果南さんもダイヤさんのことを思って言ったわけで…悪気があったわけじゃ…」



ダイヤ「いいのです梨子さん。
果南さんが怒るのも無理はありません。
やはりルビィたちを洗脳したのは花丸さんでもその勾玉でもなく、私だったのです。
私が彼女たちを、世界を変えてしまったのです…………
私も、そろそろ帰らせてもらいますわ」
タッタッタッ…



梨子「ダイヤさん…」



鞠莉「あの二人なら大丈夫よ。ケンカするほど仲がいい!って言うでしょ?…みんなそれぞれ考えたいこともあるだろうし、今日はもう帰りましょ?」



千歌「……」



ザザーン




曜「今日はなんか疲れちゃったな…」



梨子「無理もないよね…人生で一番濃い一日だったね…」



曜「……」



曜「これって、もう今まで通りのAqoursには戻れないってことだよね?」



梨子「え?」



曜「仮に三人がスクールアイドルできる!ってなったとしても今までのようなAqoursではいられないんじゃないかな……今のルビィちゃんたちのスペックだと自分たちとはとても釣り合わないし、Aqoursの活動にまでああいう力を使ってほしくないな」




千歌「ちがうもん………」




曜「千歌ちゃん?」




千歌
「違うもん!どんなに変わっちゃっても花丸ちゃんは花丸ちゃん、ルビィちゃんはルビィちゃん、ヨハネ……善子ちゃんは善子ちゃんだもん!!
確かにこっちの学校はお魚さんがいっぱいいて、噴水がきれいで、おいしいみかんパフェがあって魅力的だけど……でも……それでもAqoursがなくなっちゃうんだったら全部いらない!!!
廃校なんてどうでもいい…
千歌はただみんなと一緒にいたいの!!!」
ポロポロ



曜「千歌ちゃん……そうだよね…私だってみんなと一緒にいたい………ごめん…」



梨子「…」



ダイヤ「……」ペラペラ



ダイヤ「さて…夜も更けてきましたし寝るとしましょう」パタン



ゴメンクダサーイ・・



ダイヤ「はい!今行きますわ!…こんな時間に誰ですの?」






ダイヤ「!!」



梨子「すみませんダイヤさん。こんな時間に押しかけてしまって…少しお時間をよろしいですか…?」



ダイヤ「……」



ザザーン



梨子「わぁ…見てください!夜になってもあの島、電気がいっぱいついてますよ!きれい…」



ダイヤ「梨子さん。私は夜更かしが嫌いです。ましてやこんな時間に外をフラつくなど以ての外。用件があるのなら早く話してください。」



梨子「ルビィちゃんはもう寝ましたか?」



ダイヤ「……」



梨子「…やっぱりまだ帰ってなかったんですね」



ダイヤ「…父も母も、ルビィは元々あそこにいるものだ。家にいる方がおかしいといった口ぶりでしたわ。もはや…この世界ではそれが正しいこと。むしろ疑問を持つ私たちがおかしいのでしょうかね…」




梨子「…ダイヤさん。私に姉妹はいません。みんなから慕われるような取り柄も無い地味な子です。それに頭もよくありません。だからダイヤさんの気持ちも分かってあげられないかもしれません」




ダイヤ「……」





梨子「だから一つだけ質問させてください。ダイヤさん。ダイヤさんはルビィちゃんのことが好きですか?」





ダイヤ「はぁ?何をおっしゃいますの?」





梨子「ルビィちゃんのことは好きですか?」





ダイヤ「だからなぜそんなことを聞くのです?」





梨子「ルビィちゃんのことは好きですか?」





ダイヤ「…梨子さん。あなた私をバカにしていますの?」





梨子「好きなんですか?嫌いなんですか?」





ダイヤ「あなたいい加減に……」





ダイヤ「!?」





梨子「ダイヤさん答えてください……ルビィちゃんのこと…好きですか?」ポロポロ



ダイヤ「梨子さん…あなた………」




梨子「お願いです…三年生だからとか…生徒会長だからとか…責任があるとか…そういうこと考えないで…純粋に…」ポロポロ









ダイヤ「好きに決まっているじゃありませんか!!!」




梨子「…!!」




ダイヤ
「ルビィは…ルビィは本当に私がいなければ何もできないどうしようもない子でした…
いつも私に怒られてばかりの妹で時には構っていられないと突き放していました……
しかし、私はそれでも嬉しかったのです。いつもお姉ちゃんお姉ちゃんと擦り寄って頼ってくるルビィが、どこにでもうろちょろ付いてくるルビィがかわいくてかわいくて仕方なかったのです…
命より大事なかけがえの無いたった一人の妹です……」ボロボロ




梨子「…ダイヤさん…ありがとうございます」




梨子「ルビィちゃんも、ダイヤさんのこときっと大好きですよ♪いつも真面目で、責任感が強くて、優しくて温かいダイヤさんのことが…」




ダイヤ「そんなこと…」



梨子「私はルビィちゃん、それによっちゃん、花丸ちゃんがああなったのは、必然だったような気がするんです。ダイヤさんがAqoursの活動禁止する!って言った時はちょっとびっくりしましたけど、学校を廃校にしたくない気持ちはもちろん、Aqoursの活動を続けたいって誰もが思っていたと思うんです。もし、私がその立場になったとしても、同じように力に手を伸ばしていたと思います。考えることはみんな一緒。逆にダイヤさんのおかげでそれが分かった気がします」



ダイヤ「梨子さん……」



梨子「ただ、私はAqoursとして廃校の阻止に力を貸したいです。何よりも九人一緒であることが前提だと思います。ルビィちゃんたちも本当はそうしたいはず。例えどんな形になっても私たちは九人で一つ。ダイヤさん!!もう少しルビィちゃんたちを待ってみましょう!!もしかしたら今の役割に慣れてAqoursに戻ってきてくれるかもしれません!」






鞠莉「グッディブニング♪こんな時間にデートかしら?おまわりさんに補導してもらうわよ?」



梨子「鞠莉さん!?」



ダイヤ「鞠莉さん…あなたどうしてここに……」



鞠莉「ふふっ♪お散歩してたらキャーキャー楽しそうな声がしたからつい見に来てしまったの♪」



ダイヤ「はぁ…呆れた」






鞠莉「絶対元どおりになるわよダイヤ」



ダイヤ「……!?」



鞠莉「ね?☆」



ダイヤ「そうですわね…!」




梨子「はい!きっと……!」



花丸『こちら花丸、N2.15 E52.6の海域より巨大な影を確認!時速100㎞で東南東…間違いなくこの島へ接近中……』ザザッ




ヨハネ『はぁ!?また!?今日だけで七度目よ!クロウ達に偵察へ向かわせる?』




花丸『大丈夫!アクア・サテライトシステムに接続中…コネクト完了!海底の映像を受信!うわ…20m超の魔獣が十二体!新しい個体ずら!』ザザッ





ヨハネ『もう!夜更かしはお肌に悪いってのに!!いつになったら寝れるのかしら……』




花丸『二人とも、直ちに向かって!!目標、時速120kmに速度を上げ、なおこちらへ接近中!!過去の傾向からして聴力が発達しているはず。目標確認次第轟音で注意を向けて!!』ザザッ



ヨハネ『了解!!もうルビィと向かってるわ』



ルビィ『マルちゃん!向かってるよ!!うーんそれにしても…スレッドフェザーは慣れないなぁ…』




ヨハネ『ふふっ♪糸で作った羽なんて付け焼刃よ。悪魔の羽を持つこのヨハネに嫉妬するがいいわ!』バサバサッ




花丸『ルビィちゃん大丈夫??』ザザッ




ルビィ『マルちゃん大丈夫だよありがとう!!……あ!…てっ、敵発見したよ!!』




ヨハネ『!?……もはや魚というより龍に近いわね。あの禍々しい牙と鋭利なヒレに触れたらジ・エンドだわ。気をつけてルビィ!…これより戦闘へ移行!!!』




花丸『了解!!』ザザッ



ヨハネ『【サモンズ!!フォールンエンジェ!!】

かつて幾十もの魔軍を率いたその力見せてやりなさい!!堕天使ベリアル!!!』




グゴゴゴゴゴ…カッ!!!




ドオオオオオオオン・・・・・・




ヨハネ『よしっ!!開幕二体撃破!!!ふふっ…こちらに気づいたわね。かかってきなさい!!』




ルビィ『【CORD 01 ジュエリック・ハンドメイド!!】

悪い子はルビィが縫っちゃいます!それっ!!』



シュルルルルルル……ブチッ!!!



グオオオオオオオ・・・・




ルビィ『ひっ』



ヨハネ『あの硬質の糸を簡単に引きちぎるなんて………ルビィ!真正面から突っ込んだら死ぬわよ!!…もう怒った!行きなさいベリアル!

【堕天啓の導き】!!』





グゴゴゴゴゴ…


ヒュゥゥゥゥゥ………ドオオオオオオン!!






ヨハネ『イエイっ!四体撃破!!!』




花丸『ヨハネちゃん!今度は増援は無いずら!安心して迎撃を続けて!ルビィちゃん!がんばって!!』ザザッ




ヨハネ『了解』




ルビィ『【CORD 03 エンドレスミシン!】

今度の糸は頑丈だよ!いけー!!』





ズダダダダダダダダダ…・・…ドオオオオオオンン!!!




ルビィ『やった…!三体やっつけたよ!』



花丸『ルビィちゃんすごいずら!』ザザッ




ヨハネ『関心してる場合じゃないわ!奴ら潜ったわよ!!』




ルビィ『暗くてわからないよぉ……』




花丸『落ち着いて!水深40メートル地点に目標確認!!おそらく何かしらの攻撃を仕掛けてくるはず!警戒するずら!!』ザザッ




ヨハネ『えぇいじれったい!潜ってぶちかまわすわ!行くわよベリアル!!』シュンッ・・




ルビィ『ええっ!!?』




花丸『あ!ヨハネちゃんダメ!!奴ら水面に向かって……』ザザッ




ヨハネ『え?』





ゴオオオオオオッ……バシャッ!・・ドオオオオオン・・・・



ヨハネ『きゃっ!!熱っ!?……ベリアルがやられた!!!……高圧縮したエネルギー弾…ふんっ!芸が無いわね!!』




花丸『二人とも三発来る!!離れて!!』ザザッ



ヨハネ『分かってるわよ!!』



ルビィ『ルビィに任せて!

【CORD 06 プロテクトピンクッション】!!』



ボン!・・・・




ゴオオオオオオッ……バシャッ!・・バシャッ!・・バシャッ!・・



ドオオオオオン・・・・・・




ルビィ『くっ……』




ドオオオオオン・・・・・・




ルビィ『うぅ……』




ドカアアアアアアン・・・・・・



ルビィ『いやぁぁあぁ!!』ヒュゥゥゥゥン…



ヨハネ『ルビィ!!!!』



花丸『ヨハネちゃん!もう一発来てる!!』ザザッ


ヨハネ『えっ……』



ゴオオオオオオッ……バシャッ!・・




キィィィィン・・・・・・




ヨハネ『!?』



ルシファー『……お怪我はありませんか?ヨハネ様』スッ




ヨハネ『ルシファー!もう!!遅すぎよ!!!』




ルシファー『申し訳ございません。ヨハネ様が万が一の時以外手を出すなと仰っていたので』




ルビィ『あいたたた……』




ヨハネ『ルビィ!!』




花丸『ほっ……』




ヨハネ『っしゃー!!海の底めがけてぶっ放すわよ!!!』




花丸『ダメだよヨハネちゃん!暗くて正確な攻撃ができないはず!!派手な技で闇雲に攻撃したらお魚さんたちが巻き込まれちゃう!』ザザッ




ヨハネ『くっ……じゃあどうすれば……』




ルビィ『ルビィに任せて…』



ヨハネ『ルビィ!』




花丸『ルビィちゃん!!』ザザッ




ルビィ『マルちゃん…なんとかしてあの魔獣を水面へ近づけられないかな…ほんの少しでいいから!!』




花丸『わかった!調べてみる!!少し時間を稼いで!!』ザザッ




ヨハネ『ルビィ!あなた何をする気!!』




ルビィ『大丈夫ヨハネちゃん!ルビィだってちゃんと戦えるから!!』




ヨハネ『なんなのよもう!

【失楽への逸脱】!!』




ゴオオオオオオッ……バシャッ!・・ バシャッ!・・ バシャッ!・・




ヨハネ『はっ!!!』




スルスルスルスル………………




ヨハネ『くっ…はぁはぁ……』




ゴオオオオオオッ……バシャッ!・・





キィィィィン・・・・・・



ルシファー『ヨハネ様。先ほどの戦いでも警告しましたが、その技で受け流した攻撃は異次元を通して我の住む地獄へと降り注ぎます。それにお身体への負担も多大なものでしょう。お控えください』




ヨハネ『はぁはぁ…う、うるさい!仕方ないでしょ…』




花丸『ルビィちゃん!ヨハネちゃん!遅くなってごめんずら!分かったよ!!奴らの攻撃は特殊な臓器で熱を増幅、圧縮してそれを強靭な肺の力で撃ち出すの!!』ザザッ




ヨハネ『それがなんだってのよ!!!』




花丸『その肺は確かに凄いんだけど攻撃特化で呼吸機能自体はそこまで発達していない!深海魚のような浮き袋の役目は持たない!皮膚の形状を見ても、やはりそこまで深いところに住んでいるわけじゃないずら!!だから今から奴ら周辺の水圧を一時的に急上昇させる!!そして苦しんで上がってきたところをルビィちゃん!仕留めて!!』ザザッ




ルビィ『うん!任せてマルちゃん!!』




ヨハネ『そんなことできるの!?……もう!任せたわよ!!』




花丸『目標再確認、体温感知、システム、周辺海域の水分子と結合。これで逃げられないずら。

【ルミナスハイドロプレス】!!!』





グゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!!!





ヨハネ『来たわ!!!』




ルビィ『……』




ルビィ(大丈夫。針に糸を通すように…慎重に狙いを定めて………)




ルビィ『そこだよ!!

【CORD 09 フル・アイサイト・スレダー】

はっ!!!』




ズズズン………




ヨハネ『ふふっ♪一石二鳥ならぬ一糸三龍ね。ちゃんと急所を貫くなんて…』




花丸『二人ともお疲れ様!戻ってきて!!』



ヨハネ『はぁぁあぁぁ……疲れた……』



花丸『魚の動き、波のうねり、水温……周辺の海域に異常は無いずら。今日は休んで大丈夫!』



ヨハネ『ここ一ヶ月…この学校ができてから現れ始めた海の魔獣。しかも、どいつも魚や他の海岸には目もくれず真っ直ぐこの島へ向かってくるわ…これは私たちの力に反応しているとしか思えない』



花丸『しかも、奴らが現れるようになってから雨天が多すぎるずら。梅雨前とは言え、この降水量は異常……駿河湾……アクア・サテライトシステムを通してもその底までは解析ができないずら。システムの限界じゃなくて、何か謎の力によって通信を阻まれている……もしかしたら今までとは比べものにならないような……』



ヨハネ『まあ、その時はその時よ。あんたも今日は寝なさい。頭パンクするわよ。』



花丸『ずら』



ルビィ『そうだね!ルビィもお姉ちゃんに怒られちゃうから早く帰らないと!』セカセカ




ヨハネ『ルビィ……』




花丸『ルビィちゃん…』




ルビィ『?』




ルビィ『……あ』




ルビィ『そ、そうだったね!今はここがお家なんだった!あははは!慣れないな〜ほんと……そ、それじゃあおやすみ!!』タッタッタッ




ヨハネ『……』




花丸『やっぱダイヤちゃんのこと気にしてるんだね………ルビィちゃん……』



あれから、新しい学校生活が始まりました。

ダイヤさんと果南さんはとっくに仲直りして、六人で話し合った結果、しばらくAqoursの活動を休止して三人が戻ってくるのを待ち、私たちも新しい学校生活に慣れようという結論に。

千歌ちゃんは最初は納得言ってないようで、しばらくスゴく落ち込んでいました。でも、図書室で三人と話してる時はスゴく嬉しそうで……やっぱりみかんパフェが好きみたいで……そんなこんなであっという間に一ヶ月が過ぎていました。




千歌「もぐもぐ♪」



梨子「深海の魔獣?」



果南「うん。私の知り合いのダイバーさんから聞いたんだけど、この間沖で潜っていたら、岩に大きな爪跡を見つけたらしいんだ。乗って来た漁船なんて吸い込まれちゃうような深く大きな爪跡を……」



梨子「ひっ」



果南「そうしたら同乗してたベテランの人が血相変えて知り合いを呼び戻して、一目散へ港へ帰ったんだって。その後すぐに大雨が降ってその日の漁は中止…ベテランの人曰く、雨雲が船を追っかけてくるみたいだったって…」



曜「最近…私も天気予報を外すんだよね。今日は絶対快晴だ!って思った日も、急に午後から土砂降りになったり……」



鞠莉「イエス!雨が多くてむしむしするのホントに嫌だわ!」



ダイヤ「…花丸さんなら、何か知っているのではないでしょうか?図書室へ向かいましょう」



ポツ…ポツ………サアアアアアアアアア……




曜「雨…今日も快晴の予報だったのに……どうして………」





ズズズズズズズズズズズ……





六人「!?!?!?!?!?!?」




ダイヤ「な、なんですのこの揺れは!?」



鞠莉「アースクエイク!?」



梨子「ち、千歌ちゃん!」



千歌「梨子ちゃん…!」



果南「とにかく図書室へ向かおう!!」



花丸『ルビィちゃん! 糸で島全体の補強をして!ヨハネちゃん!クロウを飛ばせる?』ザザッ




ヨハネ『無理!さすがに雨が強すぎる!』




ルビィ『大丈夫だよ!島の基盤と建物全体に張り巡らした!!』




花丸『アクア・サテライトシステム異常を感知。駿河湾の中心付近N49.58 E31.54の海底より謎の生命体が上昇!!こちらに接近!!データを取得中……解析不能!?二人とも!そのまま目標地点へ向かって!!』ザザッ




ルヨ『了解!』バサッ





曜「花丸ちゃん!!!」



花丸『曜さん!?それにみなさん…』



梨子「花丸ちゃん!一体どうしたの!?」



花丸『……』



果南「お願い!教えて!!」



花丸『…はい……実は最近海底から謎の生物が出現しこの島を強襲する事件が頻繁に起きていました。その度に二人と力を合わせて迎撃していたのですが、これは今までに無いほど巨大で恐ろしい力を秘めています……おそらく最近の事件の黒幕……』



六人「!?!?!?!?!?!?」



ダイヤ「なぜ今まで黙っていたのですか!!」



千歌「そうだよ!!」



花丸『みなさんに心配をおかけしたくなったのです…本当に申し訳ありませんでした……』



梨子「花丸ちゃん……」



ザアアアアアアアアアアアア…




グゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…




ヨハネ『遅かったわ。思ったより島に接近された…それにこの大きさ……笑わせてくれるじゃない。アビス深くに眠る呪われた深き者シーラカンス!!!ふふっ…それがもし何億年も停滞をせず、進化し続ていたらこんな姿になるのね…』



ルビィ『この島が丸呑みされちゃう…こんなの無理だよ………』






花丸『データ受信!…!?!?…こ、これは……』




鞠莉「ベリベリラージ……』



果南「こんなのが……駿河湾に……」



千歌「梨子ちゃん……」ギュッ



梨子「千歌ちゃん……」




ダイヤ「あ、あれは…ルビィ……あなたこんなのに挑もうと言うのですか!?いけませんルビィ!!!」タッタッタッ




果南「ダイヤ!!外は危ないよ!!!」



花丸『果南さん!ダメです!!』



果南「でも!!ダイヤが……」



花丸『外は危険です…それに、ダイヤさんならきっと大丈夫です……』



果南「………ダイヤ」



ザアアアアアアアアアアアア……



ヨハネ『やるしかないでしょ!!

【アンチ・セイクリッドパレス!!】

深淵より出でよ魔宮殿!!!』




ズズズズズズズズズズズ……




曜「な、なに!?地震!?!?」



花丸『みなさん!安心してください!!周辺の島をヨハネさんの生み出した魔宮殿で覆いました!!戦いによる余波で町が巻き込まれないためのものです!!』




花丸『二人とも!!大きいとはいえ生物だよ!!弱点を探りながら慎重に戦って!!!こっちも解析を急ぐずら!!!』ザザッ




ザアアアアアアアアアアア…




ルビィ『マルちゃん了解!!

【CORD 01 ジュエリック・ハンドメイド!!】

駿河の海を、内浦を、私たちの学校生活を妨げる悪い子はルビィが縫っちゃいます!!』




シュルルルルルルルルルル…




ヨハネ『了解!

【サモンズ!フォールンエンジェ!!】

地獄の魔物たちよ!!奴を消し炭にしてしまいなさい!!!』




グルルルルルルルル……

オオオオオオオオオオオ……

ガルルルルルルルル……




梨子「ひいっ」



花丸『大丈夫です!これらもヨハネさんが召喚した悪魔たちです!!……ルビィちゃんヨハネちゃん!真正面は危険だから絶対に避けて!!』ザザッ



ヨハネ『分かってるわ!行け!!ヨハネのシモベたち!!!』




グルルルルルルルル……シュンシュンシュン





グオォォオオォォォオオオォォオォ!!




ドドドドドドドドドン!!




ヨハネ『嘘でしょ!?爪の一振りで悪魔たちが一瞬でやられた……』





ルビィ『はぁぁあああ!!!』




シュルルルルルルルルルルルルルルルル!!!!




グオォォオオォォオオオォォォォ!!



ブチブチブチブチブチブチブチ・・!



ルビィ『まだまだだよ!!はっ!!!』




シュルルルルルルルルルルルルルルルル!!!!



キィィィィィィィィィィン!!!



ルビィ『!?!?』




ルビィ『ヨハネちゃん!!背中は鱗が硬くて全然効かないよ!!』




ヨハネ『えぇ!でも腹には潜り込めないわ!!爪のリスクが高すぎる!!』



ヨハネ『くっ……これだと並大抵の悪魔じゃ太刀打ちできないわね……こうなったら…

【オルタナティブ・フォールンエンジェ!!】

かつてエデンの園を追放されたあなたたち!!その憎しみを堕天の力に変えなさい!!アダム!イヴ!』




ズズズズズズズズ…






堕天使イヴ『…見てアダム。あの愚獣。私たちの幸せを引き裂いた蛇にそっくり。今ここで海の藻屑としましょう』



堕天使アダム『…イヴよ。力を貸そう。再びお前と幸せになれるのら』






曜「な、なにあの禍々しい二人は!?」



梨子「あれはアダムとイヴ!なんで……二人は創造神ヤハウェに生み出された最初の人間!!禁断の果実に手を出し楽園を追放されたとは言え…堕天使にはなってないよ!」



花丸『ヨハネちゃんは過去の熾天使や神がもし堕天していたら?もし悪に寝返っていたら?という理想を具現化して契約、召喚できるずら。ただこれには相当の力を使います……ましてやアダムとイヴだなんて……ヨハネちゃん…』



花丸『!!』




花丸『目標の他に複数の敵を確認!!目標の周辺を遊泳中!!』ザザッ






ザアアアアアアアアアアア…




ヨハネ『くっ……ルビィ!巻き込まれたくなかったら離れて!おこぼれもらいに来た小さいのを殺って!!……行け!堕天使アダム&イヴ!!』




堕天使アダム『【聖・末 崩天の啓】』スッ



堕天使イヴ『【ロストユートピア】』フッ




カッ!ドオオオオオオオオオン!!!!




グオオオォォオオオオォォオオォォォ…



鞠莉「ホワッツ!?」



果南「す…すごい揺れと轟音だ……」



花丸『今、堕天した人類の祖先と、海底で約四億年進化し続けてきた魔獣の激戦が行われています。ヨハネちゃんの魔宮殿がいつまでもつか……』



果南「…みんな…本当に変わっちゃんだ…」



鞠莉「………」






ヨハネ『効いたわ!!!!』



ルビィ『ヨハネちゃんの邪魔はさせない!!

【CORD 2 まち針レイン!!】』


シュバババババババババババ…




ヨハネ『ダっさ!!名前ダっさ!!!』




グオオオオオオオオオオオオ…


ヨハネ『き…効いてる!?』



花丸『複数個体のレーダー消滅!全部倒したよ!!さすがルビィちゃんずら!!!』ザザッ



花丸『…!?』



花丸『まだメインの迎撃目標は倒れていない!!油断しないで!!』




グォォォオォォオオオオォォォォ!!!!



ズズズズズズズズズズズ……



ヨハネ『こいつ尻尾まで振り回すの!?あんな太いのぶつけられたらこの魔宮殿もタダじゃ済まないわ!!』



ルビィ『はっ!!!!!!』



シュルルルルルルルルルルルル……ググググッ!!




ルビィ『くっ……ダメだよ………こんなの抑えきれない………きゃっ!!』ブンッ!



ザアアアアアアアアアアアア……



ダイヤ「はぁ…はぁ…ルビィ!!どこなのですルビィ!!!」




ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン……ドオオオン!!!



ダイヤ「!?」



ダイヤ「あれは…まさか……」



ヨハネ『くっ…アダム!!イヴ!!』


堕天使アダム&堕天使イヴ
『【堕異天・禁断の果実】』



カッ…………


ドオオオオオオオオオン!!!!!!!




グォォォオォォオオオオォォォォ!!!




ヨハネ『はぁ…はぁ…今度こそ!!』



カッ……ドンッ!!!



ヨハネ&堕天使アダム『!?』



堕天使イヴ『か……はっ…』フラッ



堕天使アダム『イヴ!!』




堕天使イヴ『…ごめんなさいアダム………もう一度……二人で幸せに……』フッ




堕天使アダム『イヴ……うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』




ズダダダダダダダダダ!!!!



ヨハネ「す…すごい…背中の鱗にヒビが…」




グオオォォオオオォォォオオォ!!!!


ドン!



ヨハネ『!?』



堕天使アダム『ぐ……はっ…私もこれまでか………イヴ、今そちらへ行こう…また二人で………』フッ




梨子「そんな………」


曜「こんなのに勝てるわけ……」


花丸『ルビィちゃん!返事して!!ルビィちゃん!!!』



ザァァァァァァァァ……


ダイヤ「はぁはぁ…確かこの辺に……」



ルビィ『うっ…うぅ……』ボロ



ダイヤ「ルビィ!!」ザッ



花丸『ルビィちゃん!』ザザッ



ダイヤ「ルビィ…しっかりしなさい!ルビィ!!ルビィ!!!」







ヨハネ『アダム…イヴ…そんな………』



ズズズズズズズズズ……!!



ヨハネ『力を使い過ぎた……か…体が………』ヨロッ



ガキィィィィィィン!!!!!



ヨハネ『!?』






ルシファー『………』グッググ…



ヨハネ『ルシファー!あんた、だから遅いっての!!』




ルシファー『申し訳ございません。先程ヨハネ様が呼び出した堕神とはとある確執がありまして…ですが、安心してください。今からは全力でお守りいたします。


散れ…【明星の咆雷】』



バチバチバチッ!!!!!!!!



グオオォォオオォォォォ……ザバアアアアン!!!






ザバアア!!!


ダイヤ「ぐっ…!ゲホッゲホッ……ルビィ…!絶対に離しませんわ……」


ルビィ『…………』



ヨハネ『どう…!?やった!?』




グググググググググググ………




ヨハネ『なんてタフなの……ルシファーでも倒せないなんて……』




花丸『ヨハネちゃん。敵は何億年を生き延び進化し続けた過程で異常な回復力と再生力を養っている。並大抵の攻撃じゃ絶対に倒せない……だから、あのシステムを発動させるずら』ザザッ




ヨハネ『あれって…あんたまさか……』




花丸『【海滅 アトランティス・タブー】通常、海に住む生き物はその体内より高い海水の浸透圧に対抗するため体液のイオンを同化させたり、尿素を蓄積させたりする。この技は海水魚の持つ対抗手段やナトリウムポンプでは対処しきれない程周辺海域の塩分濃度を上昇させる、その名の通り海の生き物を滅する禁断の技』ザザッ




ヨハネ『そんな残酷なこと言うなんてあんたらしくないわ!!それに、奴は四億年もの間海に住んで進化し続けてきたのよ!?浸透圧の変化なんて幾度も経験して適応させるなんて造作もないはず!!』




花丸『このままじゃどの道生態系…いや、それだけでなく世界中に壊滅的な被害が及ぶずら!一か八かかけてみるしかない!!一瞬でいい…この技で倒せなくても一瞬隙が作れれば……ヨハネちゃん!あの技を!!』ザザッ




ヨハネ『!?』




ヨハネ『分かったわよ…いい?失敗は許されないからね!』




ヨハネ『…ルシファー!私たちが今からやる術は発動に時間がかかる!!それまで時間を稼いで!!』




ルシファー『仰せのままに』



花丸『アクアインテリジェンス!制御解除!!放射範囲、半径20㎞の海域に設定!エネルギーチャージ10%……』




ヨハネ『全国のリトルデーモンたち!!このヨハネに堕天の祈りを捧げなさい!!!信仰しなさい!!!力を貸しなさい!!!』




ヨハネ『くっ…集まってきたわ堕天のパワーが……でもまだまだ足りない……』ブウウウウウン…




花丸『エネルギーチャージ30%!!』




ルシファー『【大罪の呪縛】』



グッ…ググググ…グオオオオォォォォ……




ルシファー『この世にある七つの大罪の苦しみにもがき苦しめ……』







曜「もう…何も分からない……世界がこんな……」



果南「私たちの海も……平和も……今までの学校生活も……みんなも……もう元通りにはならないんだね……あはは…」ポロポロ




千歌「うわあああああああん怖いよおおおおお!!!!」タッタッタッタッ



梨子「ち、千歌ちゃん!?待って!!」タッタッタッタッタッ




花丸『エネルギーチャージ50%!!』



曜「もう……おしまいなんだ……」



果南『うん…………』





鞠莉「……」バッ



曜果「!?!?」



鞠莉「Oh〜…ベリベリタイヤード…」バタッ



曜「鞠莉さん!!」



果南「鞠莉!?あなた何を…」




鞠莉「言った…でしょ?例え何があってもAqoursのメンバーはAqoursのメンバーなの……だからヨハネに力を貸したのよ……思ってることは一緒♪……私たち仲間でしょ?……うふっ…こんなに力を吸い取られちゃうなんて思わなかったけどね…」



曜果「……」



曜果「……」バッ



鞠莉「ホ…ホワッツ!?」



曜「くっ……バタッ…そうですよね…私はこの新しい学校に移ったばかりの頃…千歌ちゃんにも同じことを言って怒られてしまいました…えへへ、それでも迷っていたんです。でも、やっぱり私はみんなの事が好き…みんなと一緒にいたい…だからみんなを信じる…そう決めました」



果南「うっ……私も同じ日…ダイヤにAqoursのことどう思ってるのなんて怒っちゃったよね…でも、今ダイヤはこんな危険なのに外へ飛び出してルビィちゃんの元へ駆け寄ってる……なのに私は目の前のことに整理がつかず怯えてるだけ…ダイヤの方がよっぽど勇気があってみんなのこと考えてたんだよ…でも、私も逃げたくない…全てを守りたい……!」



鞠莉「うふふっ…シャイニ〜☆よ二人とも♪」



ヨハネ『…!?』


ヨハネ『今のはマリーたちの力……』


ヨハネ『……』


ヨハネ『絶対にその想い無駄にしないわよ!!』ブウウウウウン…






花丸『エネルギーチャージ70%…』



ポタ…ポタ……



花丸『うっ…鼻血が………』フラッ



花丸『………』



花丸『諦めちゃダメずら……』







ザアアアアアアアアアアア…



ダイヤ「………」



ルビィ『……うぅ………』



ダイヤ「!?」



ルビィ『…お姉ちゃん…ごめんな…さい……』



ダイヤ「ルビィ……あなた………」



ダイヤ「……………」ギュッ



ダイヤ「お姉ちゃんはここにいますわ。ゆっくり休みなさいルビィ…」



グゴ…ググググッ…グググググググ…



ルシファー『このまま地獄に堕ちるがよい。それが愚獣の定め…』




グオオォォォオォォオオオ!!!!



ブチブチブチブチブチブチッ!!・・・・




ルシファー『!?』



ルシファー『ば……ばかな………この封印を振り払うなどあり得ない………』




ヨハネ『くっ…ルシファー!!…あと少しだってのに……』ブウウウウウウウウン・・・・



ルシファー『……………』





ルシファー『…ヨハネ様。我の力を全て捧げます』




ヨハネ『はっ!?あなた何言ってるの!?』




ルシファー『おそらく今溜まった力でも奴を倒すには到底至らないでしょう。堕天の長である我の全てを使い奴に浴びせてください』




ヨハネ『バカ!!!そんなことしたら…そんなことしたらあんた消えちゃうのよ!?』




花丸『エネルギーチャージ80%!』ポタポタ



ルシファー『…時間がありません。ヨハネ様。我はあなたに仕えることができて幸せでした。かつて先ほどの愚神に仕えることを拒み堕落した我を心から敬ってくださった。あなたに救われたのです。今や堕天の最高位に位置するのはヨハネ様、あなたですよ』




ヨハネ『ルシファー……嫌よ……あんた……いつもいて欲しい時にはいなくて、どーでもいい時にばっか姿現す役立たずの使い魔だったけど……本当の堕天使と話して一緒に戦って…嬉しかったの!!楽しかったのよ!!あんたのこと嫌いじゃないの!!だからこれは命令よ!!私のそばにずっといなさい!!』




花丸『エネルギーチャージ90%!』ボタタタッ




ルシファー『ヨハネ様、あなたと同じ時を過ごせて本当に幸せでした。ありがとうございます。あなたは最高の堕天使です』ニコッ


スゥゥゥゥゥ……






ヨハネ『ルシファァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!』ブウウウウウウウウウウン・・・・・・




花丸『エネルギーチャージ100%

【海滅 アトランティス・タブー】』



花丸『ゴフッ……』ビチャア…ボタボタボタ…



ボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコ………



グォォォオオオォオオオォオオオ!!!




ヨハネ『全部……全部あんたのせいよ……絶対に許さない……喰らえ!!!!!!

【異堕天罰!!!!!!!!】』




ズドオオオオオォォォォオオォォォン!!



グォォォォォォォォォォ………………







花丸『はぁはぁ………やった………うっ…』



ヨハネ『くっ……』フラッ



グォォォオオオォオオオォオオオ!!!!




ヨ花『!?!?!?!?!?!?』





ヨハネ『そんな……効かないなんて……』




花丸『システム強制終了……これ以上は…』




ズズズズズズ…ドガッ!!




ヨハネ『ぐあっ!!!』ヒュゥゥゥゥン…ドガァァァァァァン!!!




花丸『ヨハネ……ちゃん……』




ヨハネ『……………』ズズッ…




ドォォォオオオオォォオオオン!!!・・




花丸『くっ……島が攻撃を受けて………』



ズズズズズゥゥゥゥン



梨子「きゃっ!?!?」バタッ


梨子「いたたたた………」




ハアッ…ハアッ…




梨子「…!この息遣い……」タッタッタッ




梨子「!?」



梨子「千歌ちゃん!!!」





千歌「はぁっ…はぁっ…はぁっ……」



梨子「千歌ちゃん……うわ…すごい熱…」



千歌「千歌のクラス……」



梨子「えっ?」



千歌「ここ…千歌たちの教室だよ…でも…ここからじゃ富士山も、キレイな海も…みかん畑も見えない…千歌、やっぱり前の学校がいい…坂道登るの我慢する…人がいっぱい来なくてもいい…千歌やっぱりみんなと、Aqoursと今まで通り過ごしたい…」ハァハア…



梨子「千歌ちゃん……」ポロポロ



ザアァァァァァァ……



グオォオオオォオオオォォ!!!



ヨハネ「………」


鞠莉「………」


曜「………」


果南「………」


ルビィ「………」


ダイヤ「………」ギュッ






梨子「一体……一体どうしたらいいの……このままじゃ……このままじゃ何もかも無くなっちゃう……」ポロポロ




花丸『梨子……さん……』ザザッ




梨子「は…花丸ちゃん!?」




花丸『もし、校内放送が聞こえていたらお願いがあります………実は、勾玉はもう一つあります……桜色の………その勾玉は梨子さんのものです』



梨子「えっ!?」



花丸『Aqoursの誰かが近づいたり…話したりした時この勾玉は輝きを増していました………最初は誰に反応しているか分かりませんでしたが、皆がこうなった今も輝いているということは……適応者はただ一人、動ける梨子さんのみ。それに、梨子さんにしかない特別な力がある気がします……」




梨子「私にしかない…力……」




花丸『その勾玉を使ってみんなを救ってください………マルの元にあります…できるだけ……急い………』ザザザザザザザザ






梨子「花丸ちゃん!!!!」



千歌「はぁっ…はぁっ…」グッタリ



梨子「………」



梨子「待ってて千歌ちゃん…みんな!絶対に助けてみせるから!!」タッタッタッタッ……



ザアァァァァァァ……


グオオォォォオオオオオォォ!!!





ダイヤ「……」バッ



ダイヤ「妹に手は出させませんわ!絶対に守ると決めましたから!!やるのならこの私にしなさい!!!!」



グオオオオオオオォオオオ!!!!




ズンッ……








ルビィ『うっ……うぅ……こ、ここは…はっ!?お姉ちゃん!!?!?!??』






ダイヤ「ゴフッ…………」ボタタタタッ





ルビィ『お姉ちゃん!!なんで!?なんで!!!!!!!』



ルビィ『【CORD 07 キュア・スレッド・オペレーション!!】』





ダイヤ「…いいのですよ、ルビィ……」





ルビィ『よくないよ!!!!!このままじゃ死んじゃうよ!!!!!』ボロボロ





ダイヤ「この傷ではもう助かりませんわ……最期は姉としてあなたを守れたこと……罪滅ぼしに……な…………」スッ




ルビィ『お姉………ちゃん……?』ボロボロ…






ルビィ『お姉ちゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!!!!!!!!!!!!!!』



梨子『はぁっ……はぁっ』タッタッタッ




梨子『花丸ちゃん!!』




花丸『…うっ……………』




梨子「うそ………こんなに血が………花丸ちゃん…………』




梨子「……!!?」




梨子「これが…これが勾玉なの!?」




ブウウウウウウウウン・・・・・・




梨子「!!!」




梨子「…………」




梨子「お願い………」ポロポロ




梨子『みんなを助けてえええええええええええ!!!!!!!!』



《はぁ……あんたたち、だらしないわねぇ。アイドルとしての自覚が足りないんじゃないの?》




梨子『こっ……この声は………!?』タッタッタッ



梨子『!?』




梨子『雨雲からひとつの光……』








《それってアイドルは関係ないデッショー?》




《ハラショー…まさか日本の海にこんな化け物がいるなんて……》





《お、お米何杯食べるんだろう……》





《うぅ…世界中のパンが食べ尽くされちゃうよ……》





《こんな時にまで食べ物の話ですか…》





《凛はこっちのかよちんも好きだよ!》





《ことりはいつものホノカチャンが好きだよ♪》





《ほな、みんなで力を合わせて魔獣にお仕置きするやん!》



梨子『これは……間違えるわけがない……私がいた音ノ木坂の廃校を救い……そしてラブライブ!全国大会を制した……』





《梨子ちゃん!桜内梨子ちゃんだよね!?元音ノ木坂の!!》



梨子『は、はい!!』



《急に驚かせてしまって申し訳ありません。でも、私たちがここいるのはあなたの勇気ある行動のおかげですよ!》




《ことりはすっごく感謝してます!梨子ちゃん!ありがとう♪》




梨子『うぅっ…ありがとうございます………みんなを…学校を…内浦を救ってください!!お願いしますっ!!!!!』ブワッ



曜「………」


鞠莉「………」


果南「………」


《あんたたちいつまで寝てるの!!こんな時間にそんな場所でゴロゴロしてていいと思ってるの!?…ったく、最近のアイドル事情はどうなってるのよ!?さっさと起きなさい!!!》



曜果『!?!?!?!?!?!?』



鞠莉『ホ…ホワッツ!?』



花丸『うぅ…………』



《希パワーた〜っぷり注入!は〜いぷしゅっ!!》



花丸『!?』



花丸『ち…力が………あっ…あなたは……!!』



《ふっふっふ……スピリチュアルやね♪花丸ちゃん。ウチにそのシステムのデータを見せて?》



花丸『えっ!?うっ……で、でも……』




《おやぁ?まだ元気がないのかなぁ?そんな花丸ちゃんにはわしわしのお仕置きだ〜!!!》ワシワシワシワシ




花丸『へっ?…ず、ずらあああああぁあぁぁぁあぁぁぁぁ!?!?分かりました!見せます見せます!!』



《どれどれ……ふむふむ……なるほど……よーし分かった花丸ちゃん。このシステムは過去のデータ分析や現在の情報収集、解析には長けているけど…一つ、足りないものがあるんや》



花丸『へっ…足りないもの……?』



《それはな、未来を見通す力や!ウチの占いをこのシステムに同期させて未来を見通す力をインプットさせるんや!》



花丸『そ、そんなことできるんですか?』



《おやぁ?信じられないってことは…まだわしわしが足りないのかなぁ?》



花丸『ひいいいいいっ!や、やります!!』



《それから、マリン・ブレインシステムも、まだ開拓できてない脳の回路があるからアップデートさせような?》



花丸『は、はいっ!!』



《ふふふっ……》ギュッ




花丸『!!』



《みんなを後ろから見守って、下から支えるのってすごく地味な役回りなのかもしれないけど、とっても重要なことなんよ?…絶対に大丈夫。カードがウチにそう告げるんや》



花丸『………』



花丸『はい!!』



ヨハネ『………』




《大丈夫ですか?善子さん?》




《海未ちゃんダメだよ?ヨハネちゃんっ!って呼ばないと!》




《は、はぁ……しかし、本名は津島善子さんですよね?その、堕天とかそういうのには疎くて……》




《えぇ!でも、海未ちゃんが昔書いてたノートには堕天使…》




《わわわわっ!!や、やめてくださいことりっ……///》






ヨハネ『うっ……うるさいわねぇ……』





《あ!目が覚めた!!ほらぁ海未ちゃが騒ぐから怒っちゃったー》




《わ、私のせいですか!?》




ヨハネ『い…いい加減に……って、あ、あなたたちは!!どうしてこんなところに……』




《もう大丈夫だよ?ヨハネちゃん♪私たちが力を貸してあげる!!》




ヨハネ『えっ?………!?………力が……それにこの羽は……!!』




《ことりの大きくなった天使の翼と、ヨハネちゃんの素敵な悪魔の羽!えへへっ…合体しちゃった!かわいい♪ことりもこんな衣装作ってみたかったなぁ……あ!さっきの素敵なルシファーさんも、あの後再び天へ昇っていったんだよ?ヨハネちゃんのおかげでまた天使ルシフェルになれたの!!!》



ヨハネ『!?』



ヨハネ『ルシファー……そうだったのね……』



《ヨハネさん。あなたが一番戦闘に長けています。召喚した悪魔を操るのに私の武道で鍛えた力が役立つかと思います。共に戦いましょう》



ヨハネ『えぇ……ありがとう……』ポロポロ



ダイヤ「真っ白な世界………」



ダイヤ「ここは……どこでしょう?」



ダイヤ「あぁ、そうでしたわね…私はルビィを庇って死んだのでした……」




《死んでなんかいないわ。まぁ…今はその境目なんだけどね……》カミノケクルクル



ダイヤ「!?!?」




《驚かせてしまってごめんなさい?でも安心して。私たちはあなたの味方だから》




ダイヤ「この声、聞いたことが……まさか!?」



《あなた…いえ、ダイヤさん。学校はうまくいってる?》



ダイヤ「………」



ダイヤ「…いえ、私の軽はずみな発言から部を乱しただけでなく世界中を変えてしまい……挙げ句の果てにこんなことになってしまいました……妹やみなさんの健全な未来を奪ってしまったのです……廃校を止めるどころか世界を破滅に導いてしまって……私は生徒会長…いえ、人間失格です」




《……………》



《驚いたわ……実は私もね、ダイヤさんと同じ廃校危機にある学校の生徒会長で妹を持つスクールアイドルだったの》



ダイヤ「!?」



ダイヤ「やはり…」



《三年生として、生徒会として……生徒会長としてその廃校を救うために動こうとしていた。だから廃校阻止を掲げて活動するスクールアイドルを、所詮アイドルの真似事に過ぎないって最初は毛嫌いしていたの。大好きな妹がその歌を楽しそうに聴いている時も正直複雑な気持ちでいっぱいだったわ……》



ダイヤ「………」



《でもね?みんなが気付かせてくれたの。生徒会長だとか…そういうつまらない義務感を全て捨てて、自分に正直になってみたら?本当にやりたいことやってみたら?って。ふふ♪不思議よね?そうしたら私を縛っていた鎖がほどけて、体が軽くなっちゃって!みんなとどこまでも飛んでいけるんじゃないかって思ったわ!妹も、そんな私たちを慕って同じスクールアイドルになったのよ!》



ダイヤ「…私も縛られていたのでしょうか……周りの期待に答えるためにウソをついて……自分を殺して空回りして………」



《分かるわ。周りの期待ってすごいプレッシャーよね?…私も……両親が大学病院を経営していて、将来継がなければいけないから色々頑張らなきゃいけなくて…テストとかで満点取るのは当たり前……そうなると周りからは真姫ちゃんすごい…真姫ちゃんってなんでもできるねって評価が増えて…どんどん自分が上へ上へ追い詰められてる気分だったわ……》




ダイヤ「………」



《でもね?ある日私のピアノを聴いたうちのリーダーが上手だね!アイドルみたいにかわいいね!って言ってくれたの。それにアイドルやらないかって……驚いたわ。今まで私を色眼鏡で見ていた人とは違う。本気で私を……私の中身を見てくれたんだって……私はそういうのうまく伝えられないからつい冷たい態度取っちゃうんだけど、本当はすごい嬉しかったの。そして始めてみたらこんなに楽しいんだって…!私の想いや感じたこと……いえ、最初はそうだったけど、いつからか九人と一緒に感じたことや思ったことを曲に表現できて最高に気持ちよかったの》



ダイヤ「真姫さん……」



《ダイヤさん。確かに自分の役割も大事だけど、それによって自分に嘘をつき続けることは違うわ。ダイヤさん。ダイヤさん自身の気持ちは何?もっと自分に正直になっていいのよ?あなたは他に二つと無いダイヤさんなんだから》




ダイヤ「絵里さん……」




ダイヤ「ダイヤの宝石は、一見すると白いような…透明のような…黒のような………無機質で寂しい色をしていますわ……しかし光を当てると七色に輝き、中に色んな模様がつまっているのが確認できます……そんな風に光当たる場所で自分を思い切り表現できる素敵な子になってほしい……それが私の名の由来だと母は言っていましたわ」




《素敵ね…》




ダイヤ「私は義務感から廃校阻止のことばかり考えていて、スクールアイドルもその手段の一つとしか思っていませんでしたわ…でも違ったのです。ここは生徒会長の私ではなく黒澤ダイヤとしての私でいるべきなのだと気付かされました。そして、そんな本当の自分に目を向けてくれるメンバーが本当に温かく幸せだっでした……それにもっと早く気付いてれいれば……一番大事なことなんだと気付いてれば……」ポロポロ




《ダイヤさん。まだ間に合うわ。今すぐその気持ちを伝えに行きましょう……まずは、あなたを一番慕ってくれるかわいい妹さんから……ね?》




ダイヤ「……」




ダイヤ「…はい」グッ



ザアアアアアアアアアアアア……




ルビィ『うぅっ……うう……お姉ぢゃん……ルビィのせいで……ルビィがダメだから………』ボロボロ…




ダイヤ『ルビィ』




ルビィ『ピギィ!?お姉ちゃん…生きてたの…?あ…き、傷が治って…』




ダイヤ『ルビィ。大好きです』




ルビィ『へっ?ど、どうしたのお姉ちゃん…?』




ダイヤ『大好きですわルビィ』




ルビィ『お姉……ちゃん!?』




ダイヤ『大好きですわルビィ』




ルビィ『どうしよう……お姉ちゃんが壊れちゃった……』オロオロ




ギュッ




ルビィ『!?』




ダイヤ『ルビィ…大好きですわ…お姉ちゃん、ルビィがいないとダメなんです…だからどこにも行かないで…いっぱいワガママ言って、いっぱい頼ってください…これからもお姉ちゃんのそばにいて…お願い…』ボロボロ



ルビィ『お姉ちゃん…ごめんね…ルビィの方こそ…私もお姉ちゃんのこと大好きだよ!!あれからお姉ちゃんの事忘れた日なんて一日もなかった…間違えて家に帰ろうとしちゃったこともあって…それだけお姉ちゃんに会いたくて…お姉ちゃん…』ボロボロ




ダイヤ『ルビィ。あなたは本当に強い子ですわ…ここまで立派な学校を作り上げ一ヶ月も機能させたのです…本当に成長しました…自慢の妹ですわ』ニコッ




ルビィ『えへへ……』ギュッ



ダイヤ『…………』ギュッ



梨子『はぁっ…はぁっ…千歌ちゃん!!』タッタッタッ


千歌「はぁっ…!はぁっ…!うぅ……梨子ちゃん……」



《千歌ちゃん!!》



千歌「あ…あなたは……ほ、穂乃果さん!?」



《それ!!》



千歌『わっ……力が…………すごい……体が光ってる!!』



千歌『そんな……夢みたいだ…!μ'sの………穂乃果さん!!』



《えへへっ♪オレンジ色だよ!ほんのり穂乃果色!!》



千歌『違う!!みかん色!!!』



《えっ…えぇぇぇ!?!?》



梨子『すみません穂乃果さん…千歌ちゃんには慣れてください……』



《あ…あはははは……コホン。ねえ千歌ちゃん。千歌ちゃんはなんでスクールアイドルになろうと思ったの?》



千歌『え…えっと、穂乃果さんたちのμ'sに憧れていたからです!!初めて見た時から虜になって…アイドルになりたい!って思って……こんな私でも諦めなければ夢は叶う!って穂乃果さんたちが教えてくれたからです!!』



《ふふっ♪ありがとう千歌ちゃん!じゃあ、スクールアイドル楽しい?》



千歌『はい!!みんなと一緒に歌ったり踊ったり…同じ時間を楽しく過ごすのってこんなにも輝いてることなんだ!って思いました!!』



《千歌ちゃんは本当に明るくて可愛いね♪じゃあ…最後の質問、千歌ちゃんは今、どうしたい…?》



千歌『みんなを助けたい!!またみんなと歌ったり踊ったりしたい……確かに学校を廃校から守ることも大事だけど……みんなを失ってまでそんなことしたくない!!』



《うん!だよねっ!!千歌ちゃん!今、Aqoursのみんなは全く同じことを考えてるよ!みんなメンバーが大事!みんなまた楽しく過ごしたいって思ってる!だから戦おう!!》



千歌『はいっ!!!』



《行くよ千歌ちゃん!ファイトだよ!!》



梨子『千歌ちゃん!穂乃果さん!頑張って!!』



穂乃千歌『《うん!!》』



花丸『みなさん、聞こえますか』ザザッ




ザアアアアアアアアアアアア




ヨハネ『!?』




ダイヤ『花丸さん!?』



ルビィ『マルちゃん!!』



千歌『聞こえてるよ!!』





梨子『花丸ちゃん大丈夫!?』




花丸『大丈夫です。今からマルの言うことをよく聞いてほしいずら。さっき一瞬空に穴が空いたとき、目標の体温、血流、ホルモンバランス等が著しく変化し拒絶反応を示していました……もしかしたら、敵は太陽の光が弱点ではないでしょうか?それならこうして雨を降らせ続けていることにも、四億年進化し続けていたにもかかわらず海底から上がって来なかったことともつじつまが合います!!』ザザッ




ヨハネ『なるほど…陽の光……でも、どうするの!?』




花丸『雨には僅かですが強さに波がある!それに、奴に強い衝撃を与えることで一瞬だけど雨の力を更に弱められる!こっちで次に雨が弱くなる瞬間を的中させ、そのタイミングでヨハネさんたちに重い一撃をぶつけてもらいます!!』



ヨハネ『分かったわ!今度こそ、失敗は許されないわ!!……でもマル!次に呼び出す堕天使はあなたの力が必要よ!!』




花丸『ずらっ!?』ザザッ




ヨハネ『あなた、聖歌隊なんでしょ?その…そういう力はあなたの方が持ってるはずだから…力を貸して!』




花丸『わ、分かったずら………』




《心配せんでええで。花丸ちゃん。落ち着いて深呼吸や……》




花丸『すぅぅぅ…はぁぁぁ……』



花丸『もう大丈夫ずらっ!』




ヨハネ『いくわよ!!!』

【オルタナティブ・フォールンエンジェ!!】

はぁあああああああぁぁぁぁ!!!』







花丸&ヨハネ『ジーザス・クライストォォォォォォ!!!!!!!!』



ズズズズズズズズズ



堕天使イエス・キリスト『この世にある宗教という概念。我はその頂点に立つ者。信仰に身を呈すならその命を差し出す覚悟を持て』




《イエス・キリスト!?確か、キリスト教の信仰の対象でしたよね?教科書だと十字架に打ち付けられていましたが……それが何故あんな禍々しいを!?》




《わ〜!かわいい〜♪》




《こ…ことり…感心してる場合じゃ……》




ヨハネ『ルビィ!お願い!!コイツは私一人の力じゃ操れないわ!!あんたの糸の力を貸して!!』






ルビィ『分かったよ!!』



ダイヤ『ルビィ。私の力を使いなさい。』



ルビィ『お姉ちゃん!?』



ダイヤ『輝きを増したダイヤの宝石は絶対に壊れませんわ。私の手を握って…糸を紡ぎ出してください』




ルビィ『分かったよ!』ギュッ



ルビィ『………』



ダイヤ『………』フフッ




花丸『………なんで笑ってるの?お姉ちゃん?』



ダイヤ『いえ、小さい頃のあなたを思い出していたのです。こうして手を繋ぐのも久しぶりだったのでつい……』



ルビィ『お、お姉ちゃん……//』




ダイヤ『さあ!いきますわよ!!』



ルビィ『うん!!』




ダイヤ&ルビィ『【CORD 10 インフィニティ・カラット】』



シュルルルルルルルルルルルルルルルル…ググッ



ヨハネ『よし!!』



ルビィ『う……糸を這わすことはできたけど……これを操る力はもう………』







《いっくにゃ〜!!!!!》



ルビィ『はっはわわわわ!?体が軽くなって……』



ダイヤ『ルビィ!?』



《ルビィちゃん!凛が力を貸してあげる!!これであの大っきい悪魔さんを動かすにゃー!!!!》



ルビィ『み…μ'sの星空凛さん!!!』



ダイヤ『あなた、イエス・キリストを知らないのですか?』



《にゃ!?えっと…それは……》



ダイヤ『あなた、社会の授業ちゃんと聞いていなかったのですの!?これくらい常識ですわ!!いくらμ'sの一人とは言え、勉学を怠っていたのなら許されませんわ!』



《そ、そんにゃ…ひどいにゃ〜!!》



ルビィ『あ…あはははは……』




《ルビィちゃん?》



ルビィ『あなたは南ことりさん!!』



《糸はね?ここをこうやって持つと簡単に操れるんだよ♪》



ルビィ『ほ……ほんとだ!すごい!!』



《えへへ……///》




ヨハネ『あの子…いつの間にルビィのところに…』



《ことりには慣れてください……》



花丸『現在周辺の降水量は一時間あたり約20mm……しかし雨の強さにはブレがある……その瞬間……それが訪れる未来は……ここだ!!!』


《ピンポーン!!な?ウチの占いはすごいやろ?》



花丸『は、はい!』



《ふふっ♪なーんてウソや。全部花丸ちゃんが導き出した答えや。…さあ!!いくで!!!》



花丸『はい!』



花丸『みなさん!!目標は30秒後に再び水面に現れます!!その瞬間、目標の腹部に思い切り技を当ててください!!』ザザッ






ヨハネ&ルビィ『了解!!!』



《ヨハネさん。技の準備はよろしいですか?》



ヨハネ『ええ。ただ狙いは任せるわ。弓なんて扱ったことないから』



《ふふっ♪お任せください!》





花丸『くっ……さっきの衝撃でシステムの一部が壊れて時間が計れない……小さな故障だからって修復を怠ったのが裏目に出たずら……』





曜『………21……20……19……』





花丸『曜さん!?』




果南『曜ちゃんは泳ぐことが多いから正確なタイムを脳内で計ることができるんだ!!』



鞠莉『カウントダウンは曜にお任せよ!!!』





曜『………13……12……11……』



グオオオオオォォオオォォォォ!!!!



ヨハネ『くっ…来たわね……』



《ヨハネさん精神を集中させてください……大丈夫です…》



ヨハネ『ええ…』



《いくにゃルビィちゃん!》



《ルビィちゃんその調子!》



ルビィ『はい…………!!』ギリギリ…



ダイヤ『…………』ギュッ




曜『……10!………9!………8!………7!………6!………5!………4!………3!………2!………1!………


ヨーソロー!!!!!』




花丸&希『いっけぇぇぇぇぇ!!!!!』





堕天使イエス・キリスト『散れ』


ヨハネ&海未&ダイヤ&ルビィ&凛&ことり
『【硬度∞ラブアローシュートォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!】』


ギュゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!!





ズドォォオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!





グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!




サァァァァァァァァァァ……



ヨハネ『くっ……!!まだ完全に雨が止んでない!!!』







千歌&穂乃果『まだだよ!!!』



全員『!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?』


千歌『いきましょう!!!みんなの太陽穂乃果さん!!!!』


《いくよ!!!もう一つの……いや、みかん大好きな千歌ちゃん♪》


《穂乃果!》


ルビィ『千歌ちゃん!』


《穂乃果ちゃん!》


鞠莉『千歌っち!』


《穂乃果ぁ!!》


花丸『千歌さん!!』


《穂乃果ちゃん!》


ヨハネ『千歌!!』


《穂乃果ちゃーん!》


曜『千歌ちゃん!』


《穂乃果!》


ダイヤ『千歌さん!』


《穂乃果!》


果南『千歌!』


《ホノカチャン!》


梨子『千歌ちゃん!!』





千歌&穂乃果『《スゥゥゥ……


雨止めぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!》』


サァァァァァァァァァァ…


ポツポツポツ………


…………………



花丸『雨が…雨が止んで晴れ間が!!!』



グォォォォォォォォォォォォォォ!!!


オオオオオオオオオオオオォォォォ………



ヨハネ『やった……やったんだわ………くっ…』




ルビィ『うぅっ……』



ダイヤ『ルビィ!!!』





ザッパァァァァァァァァァァァァン!!!!




花丸『目標撃破!!!』



花丸『あ…魔宮殿と島を支えていたルビィちゃんの糸が消えた!!!!!』



曜『大変だ!…倒れた衝撃で津波が来てる!!』





《みんな!逃げるよ!!行くで!》



花丸&曜&果南&鞠莉『!?!?!?!?』スゥッ



鞠莉『アンビリーバボー!空を飛んでるわ!』フワフワ



ヨハネ『ぐっ!?……ガハッ………』




ルビィ『うっ…………ゴボッ………』




ダイヤ『ルビィ!!しっかり捕まりなさい!!』




《逃げるにゃー!!》



《ことり!運びますよ!!》



《うん!!》





ズドドドドドドドドド!!



梨子『きゃっ!!校舎に水が!!!!?』




千歌『梨子ちゃぁぁん!!!』



梨子『ち、千歌ちゃん!!!』



《逃げるよ!!》



ズズズズズズズズズズ…


ズズズズズズズズズズ………





曜「学校が……島が………内浦の町が……」



梨子「そんな…………」





《花陽にお任せください!!》




《花陽!?》






《【豊穣・リライス・プリーズ】》




スゥゥゥゥゥゥゥ…




果南「波が引いて……ま、町が元どおりになってる!!」






花丸『…うっ……』フラッ



鞠莉「マル!?」




ヨハネ「うっ………」


ルビィ「くぅ………」




ダイヤ「ルビィ!!」


梨子「よっちゃん!!」



《海水を飲んだんだわ……あなたたち、背中をさすってあげて!》



ダイヤ「………」サスサス



梨子「………」サスサス



ルビィ『ゲホッゲホッ…!』カランカラン



ヨハネ『ゴホッゴホッ…!』カランカラン




《これは…!?…勾玉ですか!なるほど。これで異常な力を手にしていたのですね…ふんっ!!》バキメキッ…



《で、でも?なんで口の中からでてくるんだにゃ?》



《絵里ちがおもちゃのチョコレート食べようとした時みたいやな…》ニシシ



《ことりちゃんがマカロンの入浴剤食べようとした時みたいだね…》ウヒヒ




《《言わないで!!!》》



《く…食いしん坊の花陽でもさすがに勾玉は食べないです……》



善子「あなたたち!μ'sだからって好き勝手言っていいってもんじゃないわよ!!しょうがないでしょ!?勝手に口の中に飛び込んできたのよ!!」



ルビィ「善子ちゃん……」ガバッ





善子「ル……ルビィ!!」ダキッ



ルビィ&善子「!?!?」



ルビィ「マルちゃん!!」



善子「マル!!あんたしっかりしなさい!!」



《あかん…マリン・ブレインシステムが壊れてそっちで処理していた情報が花丸ちゃん本体の脳に流れてきてるんや!早く勾玉を吐かせないと頭破裂するで!!》


ルビィ「マルちゃん!吐き出して!!」バンバン



ヨハネ「マル!!!!」バンバン




花丸「ぐっ……ゲホッゲホッ…!」カランカラン



《出ましたね…ふんっ!》バキ…





花丸「ず……ずら?ここは……」





ルビィ「うわああああああああああああああああん!!!!!」モギュ



善子「マルううううううううううううううううううう!!!!」モギュ



花丸「る…ルビィちゃん!?それに……善子ちゃん!?……無事だったんだね…………う……うわああああああああん!!!!」モギュ



ダイヤ「ルビィィィィ!!!花丸さぁぁぁん!!!善子さぁぁぁぁぁん!!!!」モギュ




梨子「ふふっ…ダイヤさんまで…」グスッ



鞠莉「ワ〜オ!!これがジャパニーズおしくらまんじゅうね!!マリーも負けないわよ!!それっ!!!」モギュ



曜「ヨ〜ソロ〜!!!!」モギュッ



千歌「千歌もいれてー!!」モギュッ



果南「梨子ちゃん」ガシッ



梨子「へ?」



果南「私たちも行くよ!ハグしよっ!!」ダッ




梨子「か、果南さん!?ちょ…きゃぁぁぁ!!!」


モギュモギュッ!!



ワーワーギャーギャー!!





《ハラショー…よかったわね》グスッ


《ええ。これから彼女たちも夢に向かって駆け抜けていくことでしょう》


《なんだか昔を思い出すなぁ…絵里ちがチョコレートを……》


《希。》


《おっかないよ絵里ち…》


《ことりちゃんがマカロンの入浴剤を…》


《ホノカチャン?》ニコニコ


《ひいっ》


《あはははは…》



ワーワーギャーギャー!
ツブレルズラァァァァァァ!!!




《…………》



《Aqoursのみんな!!》



九人「!!」




《夢に向かって、ファイトだよ!!》



千歌「穂乃果さん!ありがとうございます!千歌たち頑張ります!夢に向かって…穂乃果さんたちが伝説を作ったように!!全く同じような伝説にはならないけど……私たちは私たちなりの物語を作って、叶えてみせます!だから…ずっと応援していてください!!」



《うん!ずっと見守ってるからね!!》



《ま、どうしても助けが必要ってならにこたちを呼びなさい。またさっきにみたいに華麗に救ってあげるわよ》



《にこちゃん…ほとんど何もしてなかったじゃない》



《はぁぁぁぁぁぁ!?!?その気になればにこだって【ラブリ〜にこにこパンチ】であんな敵イチコロに決まってるでしょ!?》



善子「ダっさ!!名前ダッさ!!!」



《ちょっと寒くないかにゃ〜?》



《ぬわんでよっ!!!!》



あはははははははははは………




それから、島がなくなってルビィちゃんたちも力が無くなっちゃったので新しい浦の星女学院の学校生活は終わりを迎えました。


幸い、花丸ちゃんやヨハネちゃんの洗脳…って言うのかな?が解けたことで一般の人のその島や一連の記憶はなかったことになったので大きな騒ぎにはなりませんでした。


まあ、元々浦の星女学院があった場所がすっかり何も無くなっちゃってるから一応騒ぎにはなったんだけど……あんなすごい体験したらこんな騒ぎちっぽけだよね?


結局、仮校舎が立てられるまでは短い間だけど学校が休み!……仮校舎ってことは、そう。廃校は本当に決定しちゃったの。


でも、千歌は悲しくないよ!またみんなと一緒にスクールアイドルAqoursとして活動できるから!!悔いのないようにいっぱい思い出残すんだ!!!


そうだな…あれから変わったことと言えば……



ダイヤ「ルビィ!一緒に手を繋いで帰りますわよ〜♪」



ルビィ「お、お姉ちゃんまた!?は、恥ずかしいって……」



ダイヤ「ルビィ。恥ずかしがることはありません。私はルビィのこと大好きです。ルビィもお姉ちゃんのこと大好きと言ったでしょう?それにどうせ同じ家なんですから!」





曜「またやってるよあの二人……」



果南「あはは…ダイヤ、あの後私たちに謝ってから急にキャラ変わったよね?」



梨子「う…うん……なんか、みんなを愛してるなーってのは分かるんだけど……」



善子「特にルビィに対する寵愛が純情じゃないわ。悪魔の契約でもしたのかしら」



鞠莉「ベリ〜グッド!姉妹のスキンシップなんて素敵じゃな〜い♪」



花丸「今日は練習の帰りにルビィちゃんとお出掛けするつもりだったのに……」



千歌「姉妹でギクシャクするのはおしまい!!あ、今のはね、姉妹とおしまいをかけたんだよ?」



梨子「千歌ちゃん……説明しなくていいから……」





ダイヤ「おっほっほっほ♪ルビィ!今夜は一緒のふとんで寝ますわよ〜♪」


ルビィ「ぴ…ピギィィィィィィィィィィ!」




おわり


長編で読みにくかったと思いますが最後までお付き合いいただきありがとうございました!!

29

訂正

ダイヤ「……間違いですわ」

ダイヤ「……間違いありませんわ」

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