武内P「あの笑顔に、恋をしてしまいました」 (154)
しまむーの総選挙1位を祝って島村さんのSSです。
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【渋谷家の花屋】
凛「ありがとうございました」
凛「……ふう、なんだか最近花がよく売れるな」
凛(それも、私がアイドルとして売れ始めたから、かな……)
凛「ふふっ……」
武P「……こんにちわ」
凛「へっ? あ、プロデューサー……」
武P「近くに立ち寄ったものですから、ちょっと覗いてみたのですが……」
武P「……何を、笑っていたんですか?」
凛「な、なんでもないから」
武P「そう、ですか」
凛「……で、覗いて見たっていってたけど、私が店番じゃなかったらどうしてたの?」
武P「なにか、事務所に飾る花でもあればいいかと」
凛「へぇ、なんだか意外。プロデューサーもそういう事考えるんだね」
武P「……千川さんが」
凛「やっぱり。……で」
武P「はい?」
凛「ふーん……。プロデューサーは私が店番してたら買わないんだ」
武P「そういう訳では……。ともかく、事務所の花瓶にあうよう見繕って貰えますか」
凛「まあ、いいよ。予算は?」
武P「では5000円で」
凛「ん、ちょっと待っててね」
武P「ふむ、それにしても様々な花が……」
凛「なんか気に入った花がある? ふふっ、サービスしとくよ」
武P「なら、こっちの白い花を」
凛「そこの蒼い花とかどうかな?」
武P「いえ、こっちの白……」
凛「蒼い花とかどうかな?」
武P「……では、それで」
凛「うん、まかせて」
女性「あのー……、すみません?」
武P「ん? あ、ああ、すいません。お店の道を塞いでいましたね。今どきま……。はっ……!?」
女性「いえいえー♪」
武P「…………ッ!」
女性「……? えへへ……」
武P「…………!」
女性「あ、あのー、そんなに見つめられると穴が空いちゃいます……?」
武P「あ、そ、その…! すいません……!」
凛「もう、プロデューサー? 他のお客さんの迷惑に……、って、卯月のお母さん」
卯月母「あら凛ちゃん♪ 今日は凛ちゃんがお店番?」
凛「うん、お父さんが買い物に行ってる間だけね」
卯月母「ふふっ、この時間に来て良かった! いつものお願いできる?」
凛「うん。プロデューサーのももうちょっとで出来るからね」
卯月母「プロデューサー……。あっ、もしかして、あなたが卯月のプロデューサー、さん?」
武P「は、はい! その、挨拶が遅れました……。どうぞ、名刺です」
卯月母「あら、こんな主婦に名刺なんて……。ご丁寧にどうも♪」
武P「あぁ……」
凛「……これでよし、と。プロデューサー、出来たよ」
武P「…………」
凛「……プロデューサー!」
武P「は、はい!」
凛「どうしたの? 今日はなんだかぼーっとしてない?」
武P「その、すみません……」
卯月母「風邪かしら? ちょっとおでこを失礼して……」スッ
武P「えっ……?」
卯月母「うーん、平熱かしら……?」
凛「プロデューサー、最近休日あるの? ちょっとしっかり休みなよ」
武P「大丈夫、です……」
卯月母「それにしても、プロデューサーさんは背が高いわねぇ。私が手を伸ばしてもやっとおでこに届くかどうか……」
武P「少し、大きいかなとは思っていますが……」
凛「体格もいいけど、もっと表情を柔らかくしなよ」
武P「……検討します」
卯月母「ああ、うちの子が言ってたわ? 『プロデューサーさんが警察に捕まりそうになっちゃったー!』って!」
凛「そりゃあこんな男の人が女子高生に詰め寄ってたら、ね」
卯月母「うふふ! でも、プロデューサーさんは今のままでもいいと思うわ?」
武P「そう、ですか?」
卯月母「ええ! だって……」
卯月母「なんだか、可愛いもの♪」ニコッ
武P「……ッ!」///
凛「プロデューサーが、かわいい? ふふっ、まあ分からないわけじゃないけど」
凛「はい、できたよ。いつものアレンジメント」
卯月母「あら、ありがとう! やっぱり凛ちゃんはセンスがいいわね?」
凛「ふふっ、ありがとう」
武P「……渋谷さん、私の分は」
凛「結構前に完成させたよ? まったく、卯月のお母さんと喋るのに夢中なんだから」
卯月母「あら、あらあら?」
武P「す、すいません。ん……、もう時間が」
凛「仕事に戻る? じゃあ、また明日ね。プロデューサー」
武P「ええ、また明日」
卯月母「プロデューサーさーん! うちの娘をお願いしますねー!」
武P「は、はい!」
凛「……なんだかプロデューサー、変なの」
卯月母「そう? ふふっ……」
ーーーーーーーーー………
【346プロダクションの一室】
武P「…………」
武P「はあ……」
『風邪かしら? ちょっとおでこを失礼して……』
武P(彼女の手のひらは、とても柔らかくて、温かかった……)
武P「…………」スッ
ちひろ「……どうしたんです? プロデューサーさん?」
武P「ああ、千川さん……」
ちひろ「うーん、いつもは首の後ろに手を当てていますけど、今日はおでこに……。熱でもあります?」
武P「いえ、そういう訳では」
ちひろ「ふふっ、なんだかいつもと違うように見えますね」
武P「ああ、それと……。あの棚の上に」
ちひろ「棚の上……? あら、可愛いらしいお花♪ もしかして、私が言ったから、ですか?」
武P「はい。それに、若い少女も多いですから、こう言った物があったほうがやはりいいかと」
ちひろ「その若い少女に、私は入ってます?」
武P「え? あ、その、もちろん……」
ちひろ「ふふっ、なんて、意地悪な言い方しちゃいましたかね。でもいいんです」
ちひろ「女性は何時だって少女に戻れるんですから♪ ふふっ!」
武P「その笑い方……」
『なんだか、可愛いもの♪』
武P「ッ……!」///
ちひろ「どうしました? ……なんだか顔が赤いですよ、やっぱり風邪でも……」
武P「い、いえ、なんでもありません」
武P「なんでも……」
武P「……はぁ」
ちひろ「……? じゃあ、私は書類整理してきますので、お願いしますね」
武P「はい。では……」
ちひろ「あ、そうそう」
ちひろ「今週から梅雨に入るかも、らしいですよ?」
武P「そう、ですか……」
ーーーーーー………
武P「…………」
武P(気がつくと、島村さんの家の前に……)
武P(いけない、これではただのストーカーだ……)
武P「もう夜の10時…。帰って寝……」
< ガラッ
武P「ッ!」サッ
卯月母「はぁー…。んんー……」
武P「…………! 島村さんのお母さん……」
卯月母「今日のお月様は、なんだか明るいわね……♪」
武P(空を見上げて……?)
卯月母「よし! 明日も頑張ろう! 卯月ー、そろそろ寝る時間よー?」
武P(そう、か……)
武P「……おやすみなさい」
武P(……なんて、こんな所で隠れてやっていては不審者か。また渋谷さんに笑われるような事になる前に帰ろう……)
武P「……島村さんのお母さん」
武P「……次は、いつ会えるだろう」
ーー 翌日 ーー
凛「…………」
武P「…………」
凛「……どうしたの?」
武P「いえ、特に、なにも」
凛「今日のレッスンは午後からだから、お昼は家に居てもいいって聞いてたんだけど」
武P「はい。確かにそう伝えてあります」
凛「……花、買うの?」
武P「……いえ、少し悩ませてください」
凛「そう……?」
武P「…………」
武P「…………」ソワソワ
武P「…………」チラッ
武P「…………」ソワソワ
凛「……歩道と時計ばっかり見てるけど」
武P「いえ、その……」
武P「……3000円で、見繕ってください」
凛「うん。ちょっと待っててね」
武P「あと、お願いが……」
凛「うん? 蒼い花気に入った?」
武P「昨日の私の後の…、その、島村さんのお母さんの言っていた『いつもの』をお願いします……」
凛「ああ、あれ? あれなら2500円でできるから」
武P「……ありがとうございます」
ーーーーー………
凛「……はい、できたよ」
武P「確かに、昨日見たものと……」
凛「いつもよく作ってるからね。気に入ったでしょ」
武P「はい、とても……」
凛「私もそれが一番作り慣れてるからさ、結構自信あるんだ」
武P「そう、ですか……。では、これは家に飾らせてもらいます」
凛「家に? ふふっ、私が作ったものがプロデューサーの家に……」
武P「……では、午後のレッスンも頑張ってください」
凛「うん、じゃあね」
武P「では」
武P「…………」
武P「来なかった、か……」
ーーまた翌日ーー
凛「…………」
武P「…………」
凛「閉店準備、しようかなって思ってた所なんだけど」
武P「……すみません。いつもの、お願いできますか」
凛「うん。ご注文なら作るよ」
武P「すいません、こんな時間に……」
凛「いいよ。別に、こんな時間に飛び込みで来るお客さんなんて珍しくないから」
武P「そう、ですか」
凛「ねえ、いつものなんだけど、ちょっといつもとは違う感じの飾り付けを試してみてもいいかな」
武P「はい、大丈夫です」
凛「この花は普段は端っこの方に…、脇役として使われるんだけど……」
凛「たまには、この子に主役を張らせてもいいかなって」
武P「そう、ですか」
凛「たとえこの子が少し地味で、目立ちにくい花だとしても……」
武P「…………」
凛「こうやって、周りの派手な花があえて引き立て役に回ることで、この花も大役を果たせるんじゃないかなって……」
楓「花を持たせる訳ですね。ふふっ……」
凛「……花だけに? って、今誰かいなかった?」
武P「さあ……?」
凛「なんだったんだろう……」
凛「はい、できたよ。このアレンジメントは飾るのもプレゼントにもぴったりだから」
武P「ありがとうございます」
凛「それにしても、ここ三日連続だね。もしかして、明日も来る?」
武P「……かもしれません」
凛「ふふっ。いつもの、作れるように在庫は押さえとくね」
武P「助かります。……その、渋谷さん」
凛「なに?」
武P「今日は、島村さんのお母さんは……」
凛「多分来てないはずだよ? もし来てたならうちのお母さんと長い間おしゃべりしてるはずだから」
武P「……ありがとうございます」
凛「じゃあ、ばいばい。プロデューサー」
武P「はい、お疲れ様です。渋谷さん」
武P「……つい作ってもらったが、どうしようか」
武P「……あっ」
ーーーーーーーー………
美城「ふぅむ……」
美城「……今後のプロジェクト、どうしたものか」
コンコン
美城「ん、なんだ」
武P「失礼します」
美城「……君か。なにか用か」
武P「大した用ではないのですが……。こちらを受け取ってもらいたく」
美城「ん? それは……」
武P「私のお気に入りの、花です。是非、あなたに」
美城「えっ……」トュンク…
武P「では、失礼しました」
美城「あ、ちょ、ちょっと」
バタン
美城「……な、なんだったんだ」
美城「……しかし」
美城「美しい、花だな……」
『是非、あなたに』
美城「…………」///
ーーまたまた翌日ーー
凛「…………」
武P「いつもの、お願いします」
凛「うん、でも、その……」
凛「そんなに、花がいる?」
武P「……はい」
武P「私も、ここ最近で随分と花が好きになりました」
凛「そっか、それはいい事だけど……」
武P「それに……」
武P「渋谷さんが(店番していれば『いつもの』と言うだけで伝わるから)いいんです」
凛「う…!? そ、そう、なの……?」///
武P「はい」
凛「……気合い入れて作るね」
武P「気合い、とは? ……では、お願いします」
凛「はぁ…、はぁ……! で、出来たよ……!」
武P「お、おおぉ……! これは、花のラインナップはいつもの物と何ら変わりないですが、なにか熱い情熱のような物を感じます」
凛「私が持てる全力を尽くしたからさ…、プロデューサーの家に飾っていて欲しいな……」
武P「はい。是非飾らせていただきます」
凛「気に入ってもらえてよかったよ」
武P「はい。……では、仕事に戻ります」
凛「うん、頑張ってね。ふぅ……」
『渋谷さんがいいんです』
凛「……もう」///
武P「さて…、テレビ局に挨拶をして、書類を渡さないと……」
卯月母「あらー? あっ! あらあらあらー♪」
武P「ん? ああ…! 島む……、んん。卯月さんのお母さん」
卯月母「こんにちわ♪ お仕事の途中……、よね?」
武P「ええ。ですが、少し買い物を」
卯月母「あら、凛ちゃんのアレンジメント。プロデューサーさんもお花がお好き?」
武P「ええ。花を見ていると、なんだか落ち着くというか、なにか想いがこみ上げてくる物というか……」
卯月母「ふふっ! 私もお花は大好きよ? 娘との決まりも作ったの!」
武P「決まり、とは?」
卯月母「なにかちょっとした事でも、嬉しいことやお祝いごとがあったらお花を買おうって!」
武P「それは、素敵な約束ですね」
卯月母「ふふっ♪ ありがとう。……よいしょっ」ガサッ
武P「お買い物の途中でしたか。荷物が……」
卯月母「娘に今日はスパゲッティが食べたいってリクエストされちゃったの。うふふっ、あの子はなにか食べたい物がある? って聞いたらこればかりで……♪」
武P「よければ、荷物をお持ちしましょう。貸してください」
卯月母「えっ? そんな、大丈夫ですよ? プロデューサーさんもお仕事中ですし……」
武P「まだ時間に余裕がありますので。失礼します」ガサッ
卯月母「まあ……♪ ありがとう、プロデューサーさん」
武P「いえ、このくらいなんともありません」
卯月母「あと、まだ買いたいものがあるんだけど……。ちらっ♪」
武P「ふふっ、構いません。行きましょう」
ーーーーーー………
卯月母「ありがとう、プロデューサーさん。これで一旦お家に帰って、また買いに出かける手間が省けたわ♪」
武P「それは…、よかったです……」ズッシリ
武P(ガーデニング用の土、洗剤の買い溜め、2リットルジュース、その他色々…。これを1人で持って帰るつもりだったとは……)
卯月母「ふふふっ! 武内さんも男の子ねえ、こんなにたくさん持てるんだもの!」
武P「ええ…、これくらいは任せてください……」
卯月母「娘とのお買い物も楽しいけれど、こういうのもいいわねぇ……♪」
卯月母「息子がいればこんな感じだったのかしら? ふふっ!」
武P「そうかもしれませんね……」
卯月母「ああ、ウチが見えて来ましたよ。よかったらお茶でもしていきません?」
武P「今の時間は……、むぅ。すいません、そろそろ次の仕事に向かわないといけませんので」
卯月母「あら、そう……。残念。ま! また今度お茶かお食事でもしましょう、ね?」
武P「はい、是非」
武P「あと…、その……」
卯月母「はぁいー?」
武P「連絡先を、伺ってもよろしいでしょうか」
武P「あっ、その…。また何か卯月さんの事で報告しなければならない事があるかも知れませんので……」
卯月母「はいっ! いいですよ! 携帯電話の番号でいいかしら?」
武P「……ありがとうございます!」
武P「ああ、そうだ。私の電話番号を……」
卯月母「あら、それは大丈夫よ?」
武P「……な、何故ですか?」
卯月母「うふふっ! 名刺、書いてありましたよー? 電話番号!」
武P「あ、ああ。そうでしたね……」
卯月母「じゃあまた何かあったら、いつでも連絡くださいね!」
武P「ええ、そうさせてもらいます」
卯月母「じゃあ、お仕事頑張ってくださいね♪」
武P「……はいっ!」
ーー 事務所 ーー
武P「…………」
凛「ふぅ、プロデューサー。レッスン終わったよ」
武P「…………」
凛「だいぶ振り付けも覚えられたし、未央も卯月もいい感じ。次のライブもきっと、って、プロデューサー?」
武P「…………」
凛「……はぁ。プロデューサー!」
武P「は、はいっ!」
凛「どうしたの? さっきからずーっと携帯を見つめて」
武P「その、なんでもありま……」
凛「……なんにもないんなら携帯を見つめたりはしないと思う」
武P「……そう、ですね」
凛「そのさ、なんだか最近ぼーっとしてる事が増えたと思うんだ。プロデューサー」
武P「はい…。自覚はあります……」
凛「……なにか、困ってる事がある? これからの私達の事とか」
武P「それは問題ありません。渋谷さん達も随分と実力をつけてきました。だから、心配には及びません」
凛「……でも、なにか引っかかってる物はあるでしょ?」
凛「……私でよければさ。聞くけど」
武P「…………」
凛「まあ、嫌じゃないなら、言ってよ。言えないなら今の事はとりあえず忘れて、晩御飯食べに行かない? ね?」
武P「……なら」
武P「渋谷さん。私は…、恋をしてしまったのかも知れません……」
凛「ふーん……。ん?」
凛「え、恋? ……え!? 恋!? プロデューサーが!?」
武P「そ、そんな大声で言われると……」
凛「ごめん……」
凛「……その、ちなみに相手って聞いていい、のかな?」
武P「…………」
凛「み、苗字。苗字のイニシャルだけでもいいからさ」
武P「う、その…。『S』です……」
凛「ッ! ふーん……! あと、その人のどこが魅力的だな、とかさ」
武P「……笑顔、です」
凛「ふーん! ちなみに、その人が好きな物ってなにかな? 例えば、蒼色とか、犬とか、お花とか……」
武P「その人は…、花が好きですね……」
凛「ふっふーん!」
武P「あの、渋谷さん?」
凛「プロデューサー、私も恋愛とかは経験ないんだけど、少しくらいならアドバイス出来るはずだから」
武P「ありがとう、ございます…。では、その……」
武P「私と、その女性は歳の差があるんです…。10歳以上の……」
凛「ふんふーん! それでそれで?」
武P「その、やはり歳の差という物は、気になるでしょうか……?」
凛「大丈夫だよ、プロデューサー」
武P「渋谷さん……?」
凛「恋愛に歳なんて関係ない、って、よく言うでしょ?」
武P「は、はい……」
凛「でもね? そんなもの、本当に好き合ってる間ならまったく気になんてならないんだよ」
凛「10歳も歳上だとしても、私は気にしない。気にしないよ」
武P「渋谷さん……!」
凛「……さぁ、プロデューサー。勇気を出して」
武P「は、はい!」
凛「私は大丈夫。心の準備は出来てるよ」
凛「だから、打ち明けてみて……? ね?」
武P「……その、私は」
凛「うん……」
凛「渋谷凛が好きで……」
武P「島村さんのお母さんの事が好きです!」
凛「……えっ?」
武P「う…、ぃ……」
武P「言って、しまいました……」カアァァ…
凛「え…、プロデューサー……?」
武P「は、はい……」
凛「プロデューサーが好きな人って……」
武P「はい……」
凛「卯月のお母さん、の事……?」
武P「……はい」カアァァ…!
ここで一旦ストップとします。
モバP「芳乃ちゃん」
モバP「芳乃ちゃん」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1461065009/)
↑再開までこれを読みー、己が鼓膜を形成するとよいでしょうー。
凛「……まあ、確かに、卯月のお母さん美人だもんね」
武P「私から見ても、確かに女性としての魅力を感じます。それに私は……」
武P「あの笑顔に、恋をしてしまいました」
凛「うん…。卯月の笑顔は母親譲りだし……」
武P「……しかし、彼女に恋をしてもいいのでしょうか」
武P「彼女には…、その……」
凛「……まあ、うん」
凛「いいんじゃないかな、別に……」
武P「渋谷さん……」
凛「恋をするのは、相手を好きになるのは仕方ないよ」
凛「実際に付き合ったりだとか、結婚だとかは出来るかはともかく、誰かを好きになる事を縛られる理由なんて無い……。私はそう思うな」
武P「……でも、片想いに留めるしか、ないと」
凛「……相手の事を思うなら、そうかも」
凛「でもさ! その……、仲良くするのはいいんじゃないかな! ご飯を一緒に食べたりだとか、ちょっと買い物に付き合ったりとか、そのくらいは」
武P「食事……!」
凛「そう! ご飯食べながら世間話をして…、そういう関係に留めるのは……」
凛「……ごめん、子供の癖に熱くなっちゃった」
武P「……いえ、大変貴重なアドバイスでした」
武P「私一人では、絶対に悩み続けるばかりで前には進まなかった筈です」
凛「そう…、よかった……」
武P「……実は、今日電話番号を教えてもらいました」
凛「早いね。というか、意外と積極的」
武P「……またお茶か食事でもどうかと誘われているのですが。こういう物は、男性の方から誘うべきでしょうか……?」
凛「まあ、そうかな」
武P「その為の電話は、番号を交換してから何日後にするのが適切でしょうか?」
凛「えっ? さあ……? 2人で食べたくてお腹が空いた時……」
武P「食事はどんなレストランでするべきでしょうか?」
凛「いや、その、別にちょっとしたファミレスでいいんじゃない?」
武P「……やはり、お昼に誘うべきでしょうか?」
凛(な、なんなんだろう…、私のこの役回り……)
凛「……プロデューサー」
武P「はい」
凛「もう、明日電話しなよ」
武P「あ、明日、ですか……」
凛「今からはもう家事もしなくちゃならないだろうし。だから、明日」
武P「明日……」
凛「お昼頃、レッスンとか他のみんなの面倒は私が見るからさ」
武P「……ありがとうございます。あと、渋谷さん」
凛「なに?」
武P「私は口弁ではないのですが、どういった話の運びで誘うべきでしょうか?」
凛「……自分で考えてみよう、ね?」
武P「はい……」
ーー そして翌日 ーー
武P「…………!」
凛「…………」
武P「…………!」
凛「……電話、しなよ」
武P「……手が、震えて」
凛「はぁ……。携帯貸して?」
武P「どうぞ……」
凛「えーと……」ポパピプペ
凛「ほら、後は通話ボタンを押すだけ」
武P「ありがとう、ございます……」
武P「すぅ…、はぁ……。よし……」
武P「…………!」
凛「えいっ」ピッ
武P「あっ」
prprprprprpr……
武P「し、渋谷さん!」
凛「ほら、卯月のお母さんが出るよ。構えないと」
武P「う…、よし……!」
『はぁいー? もしもーし?』
武P「あ、その、こんにちは…。プロデューサー、です……」
『うふふっ、何か御用です?』
武P「いえ、あの。……卯月さんの今後のプロデュース方針などの相談……」
凛「んんっ! 今から僕とお食事してください」(重低音)
武P「渋谷さっ!?」
『あらー♪ いいですよー? どこで食べましょうか?』
武P「あ、では……。いつもの花屋の近くの、レストランなどいかがでしょうか?」
『わかりました! お化粧しないといけないわ♪』
武P「はい。では、お昼に……」
『また後でお会いしましょうね!』
凛「……やったね。案外簡単に約束出来たじゃん」
武P「寿命が縮まる思いです……」
凛「さ、早く準備して。スーツもクリーニングに出しておいたのがあるんでしょ?」
武P「は、はい」
凛「さ、ビシッと決めないと、だらしない人に見えちゃうから」
武P「その、渋谷さん」
凛「なに? あ、もしかして、お節介が過ぎたかな……」
武P「……いえ」
武P「背を押してくれて、ありがとうございます。また今度、何かお礼をさせてください」
凛「ふ、ふーん……。じゃあ、私も今度ご飯に誘ってね。今みたいに電話で」
武P「はい、必ず」
凛「……えへへ」
ーーーーーーーー………
武P「…………」
卯月母「あら? あらー! プロデューサーさーん」
武P「奥さん……! こんにちは」
卯月母「こんにちはー。ちょっと早く来すぎたかと思ったけれど、プロデューサーさんの方が早いなんて、流石は業界人ね!」
武P「いえ、そんな大したことでは」
卯月母「そう? じゃ、お店の前で立ち話もなんですし、入りましょう?」
武P「ええ、そうですね」
卯月母「ちょうどお昼ご飯どうしようかな、って悩んでた所だったから助かったの♪ ふふっ」
武P「それは良かったです」
卯月母「うーん、何にしようかしらー? スパゲッティは昨晩食べたし……。あら、ランチセット? よし、これにしましょう!」
武P「私は…、ふうむ……」
卯月母「やっぱり、プロデューサーさんはまだ若いからいっぱい食べるのかしら?」
武P「いいえ、そんな事はありません。人並みです」
卯月母「そう? このハンバーグセットとかどうかしら?」
武P「では、私はそれに」
卯月母「よし、じゃあ注文しちゃいましょうか!」
卯月母「ふぅ。まだかなまだかなー、なんて♪」
武P「ふふっ…。今注文したばかりですから」
卯月母「えへへ…。それで、電話で仰ってましたが娘の今後とは……」
武P「あ、ええ。卯月さんは今や人気アイドルの一員です」
武P「ゆえに、様々な仕事が舞い込んでくるのですが……」
卯月母「あ、もしかして…。水着、だとか……?」
武P「はい。こちらとしても卯月さんのイメージを壊さないようあまり過激な物は避けますが、そもそもそういったお仕事を受けてもいいかどうかという了承を……」
卯月母「うーん…。うちの可愛い一人娘ですから……」
卯月母「でも、プロデューサーさんがいいと思うのなら、私は賛成です」
武P「奥さん……?」
卯月母「娘も最近はよくプロデューサーさんの事を家でお話ししてくれるんですよ?」
武P「は、はあ。彼女は私の事をなんと……」
卯月母「ちょっと怖い顔してるけど、なんだか可愛い人だって!」
武P「うぅむ……」
卯月母「それに、困ってる時はすぐに助けてくれて、口下手だけど優しい良い人だって……」
卯月母「……卯月があんな笑顔であなたの事を色々と話してくれるんですよ?」
卯月母「娘が信頼している人なら、私もあなたの事を信頼します、よ?」
武P「奥さん…! ありがとうございます……!」
卯月母「でも! やっぱり水着は私にも見せてくださいね! 若い娘の肌を晒すんですから、一応確認だけはしないと……!」
武P「ええ、必ず…。ふふっ……」
卯月母「あ! なんて話してるうちにお料理が来ましたよ!」
武P「ええ、良い香りで、とても美味しそうです」
卯月母「よし、じゃあ……」
卯月母「いただきます♪」
武P「いただきます」
卯月母「あむっ。はふっ、はふっ……!」
武P「だ、大丈夫ですか!? お水をを!」
卯月母「あひゅひゅ…。ふぅ、えへへ……。つい頬張っちゃって♪」
武P「ふふっ、よく冷まさないと火傷してしまいます。あむっ」
卯月母「ええ、今ので学びました……。あら?」
武P「どうかしましたか?」
卯月母「ふふっ♪ プロデューサーさん、ほっぺにご飯粒ついてるわ?」
武P「えっ。すいません、みっともない……」
卯月母「うふふ、ほら、じっとして……?」
武P「は、はい……」
卯月母「よいしょっと。はい、取れました♪」
武P「ありがとう、ございま……」
卯月母「あむっ……」
武P「はっ……!」
卯月母「……あ。あーっ!」
卯月母「ご、ごめんなさい! いつもの癖で、娘とご飯を食べてる時の感じで、ほっぺのご飯粒食べちゃって……」
武P「い、いえ、気にしませんので」
卯月母「ああ、もう…、卯月がもっとしゃんとしていれば……」
武P「ふふっ、卯月さんと仲が良いようでなによりです」
武P「……それになんだか、昔を思い出しました」
卯月母「……昔?」
武P「私も小さい頃、こうやって母と2人でレストランで食事をしました」
武P「ですが、今は仕事の毎日で、長らくあっていません……」
卯月母「プロデューサーさん……」
武P「ふぅ。少し、湿っぽい話をしてしまいましたか」
卯月母「ううん。そんな事ないわ」
武P「さあ、せっかくの料理が冷える前に、食べてしまいましょう」
卯月母「ええ! ……じゃあ、はい、プロデューサーさん?」
武P「はい?」
卯月母「ほら、あーん?」
武P「な、あ……!?」
卯月母「えへへっ! たまにはお母さんに甘えて、ね?」
武P「う、あ……」
武P「あーん……」
卯月母「どう? 美味しい?」
武P「はい、とても……」///
卯月母「ふふっ、それは良かった!」
武P「は、ぃ……」
卯月母「ふう、食べないとー」
武P「…………」
卯月母「あー、あら? プロデューサーさん?」
武P「え? あ、はい?」
卯月母「うふふっ、またぼぅっとしてましたよ?」
武P「すいません…、その……」
卯月母「その?」
武P「もう一度、食べさせてもらえますか……?」
卯月母「あらあら……」
武P「なんだか、とても懐かしくて。変に甘えた事を言っているのは、わかっています……」
卯月母「うふふっ! 構いませんよ? じゃあ、もう一回! ほら、あーん?」
武P「あ、あー……、ん」
卯月母「どうどう? 美味しいでしょう?」
武P「……はい!」
卯月母「息子はなんだか甘やかしたくなるー、なんてよく聞くけど、その気持ちがわかるような気がするわ。ふふっ♪」
武P「私も、久しぶりに、こういう事が出来ました……」
ーーーーーー………
凛「…………」
凛(レッスン抜け出してきたけど、いい感じだね。よかった)
凛(それに、あーんをしてもらうなんて、甘えん坊が過ぎるなぁ)
凛(あ、デザートとコーヒーが運ばれてきた……。うん、会話も弾んでるようだしなによりかな)
凛「よし、もう見守る必要はないかな。レッスンに戻らないと」
ポツ… ポツ…
凛「ん、雨……?」
凛「急がないと……! もう、傘持って来るんだった!」
ーーーーーーー………
卯月母「……ふぅ、ケーキも美味しかった!」
武P「ここのコーヒーも、なかなかでした」
卯月母「それにしても、色々お話し出来て楽しかったわ! 普段娘がそちらでどうしてるかは知らなくて」
武P「卯月さんの笑顔が皆を笑顔にしてくれます。……今の彼女は、うちに欠かせない1人です」
卯月母「ふふっ、あの子の笑顔は誰に似たのかしら……♪」
武P「母親譲り、ですよ」
卯月母「あら? あらあら♪」
武P「……では、そろそろ出ましょうか。会計は任せてください」
卯月母「まあ、ごちそう様でしたお」
ミス
ーーーーーーー………
卯月母「……ふぅ、ケーキも美味しかった!」
武P「ここのコーヒーも、なかなかでした」
卯月母「それにしても、色々お話し出来て楽しかったわ! 普段娘がそちらでどうしてるかは知らなくて」
武P「卯月さんの笑顔が皆を笑顔にしてくれます。……今の彼女は、うちに欠かせない1人です」
卯月母「ふふっ、あの子の笑顔は誰に似たのかしら……♪」
武P「母親譲り、ですよ」
卯月母「あら? あらあら♪」
武P「……では、そろそろ出ましょうか。会計は任せてください」
卯月母「まあ、ごちそう様でした♪」
卯月母「あら……」
カラン コロン…
武P「お待たせしまし……、おや」
卯月母「雨、ですねぇ……」
武P「折り畳み傘などは?」
卯月母「ううん、忘れちゃったのよ」
武P「では、私の折り畳み傘を、どうぞ」
卯月母「でも、プロデューサーさんもまだお仕事が……」
武P「向こうに着替えもありますし、まだ時間もあるので……」
卯月母「お時間がある…。あ、じゃあ……」
卯月母「相合傘、しましょう?」
卯月母「まあ、折り畳み傘なのに大きい」
武P「私の体格に合うものです。……探すのに苦労しました」
卯月母「でしょう? あ、傘は私が持ちますよ」
武P「いえ、でも……」
卯月母「これくらいはさせてくださいな♪ よっと……」
武P「…………」
卯月母「ほっ! ……あら? プロデューサーさんの頭まで届かな、い……!」
武P「ふふふっ!」
卯月母「やだ、もう! 最近は娘に背を越されて……」
武P「やっぱり、私が持ちましょう」
卯月母「お願いするわ?」
武P「よし。……さ、中へ」
卯月母「お邪魔しまーす。まぁ、傘があんな高いところに」
武P「もう少し下げましょうか。このくらい……」
卯月母「大丈夫、プロデューサーさんが楽なように、ね?」
武P「あまり高すぎても、奥さんに雨がかかってしまいますから」
卯月母「ふふっ。じゃあ、行きましょうか」
卯月母「またお食事に誘ってくださいね? 娘の事や、凛ちゃんや未央ちゃんとどんな事をしているのか、気になるわ?」
武P「なら、今度はその3人を誘いましょうか」
卯月母「なら、食べ放題がいいわね! 未央ちゃんがよく食べるのよー」
武P「食べ放題。……悪くありませんね」
卯月母「なら、今度のライブが終わったら、暇を見つけて私たちで」
武P「ええ、行きましょう」
卯月母「はいっ♪ ……あ、プロデューサーさん?」
武P「はい?」
卯月母「傘、私の方に傾け過ぎですよ? プロデューサーさんの肩が……」
武P「……気づきませんでした」
卯月母「気づかない訳ないわ? 雨水が染み込んでいるでしょう……」
武P「……はい。ですが」
卯月母「もーう! えいっ!」
武P「奥さん?」
卯月母「プロデューサーさんばかり冷たい思いをしちゃいけませんから。ほら、傘はまっすぐ! ね?」
武P「……すみません」
卯月母「私は大丈夫ですから。さあ、行きましょう?」
武P「ふっ……。ええ」
武P「…………」
卯月母「…………」
武P「…………」
卯月母(ん…、肩が少し……)
武P「…………」スッ…
卯月母(あら?)
武P「…………」ススッ…
卯月母「……プロデューサーさん?」
武P「は、はい?」
卯月母「……いいえ、なんでもないです♪」
卯月母(また傘を傾けて……)
卯月母「も、もう! プロデューサーさん! これじゃあまたふりだしに……」
武P「ッ! 奥さん、危ない!」ギュッ
卯月母「へ?」
チリンチリン
武P「……危ない自転車だ」ギュッ
卯月母「ほぁ……」
武P「……あ、す、すみません! その、抱きしめてしまって……」
卯月母「い、いえいえ! えと、どうも、危ない所を……」
卯月母「……ふふっ」
武P「あの、なにか……?」
卯月母「いいえ? さ、行きましょう?」
卯月母「あっ、お家が見えてきましたよ」
武P「ええ。よければタオルなど借りられますか?」
卯月母「もちろん! それに少し冷えたでしょう? 暖かいお茶を一杯だけでも……」
武P「では、お言葉に甘えて……」
卯月母「はいっ! ちょうどいいお茶があるの♪」
武P「では、それも一杯」
卯月母「ええ! お茶を淹れるのは得意よ?」
武P「では、お邪魔します」
卯月母「はい、どうぞ? リビングで待っててくださいね? すぐに持ってきますから。はい、ハンガーも」
武P「ありがとうございます。……ふう」
武P「……ん? 卯月さんのCDがいち、にぃ、さん、し……」
武P「な、なんと……」
卯月母「はい、お待たせしました。あら、シャツまで濡れて……」
武P「このくらいなら、すぐに乾くはずです」
卯月母「ドライヤーで乾かそうかしら? ……熱いかな?」
武P「え、ええ……」
卯月母「よし、はい。お茶をどうぞ?」
武P「ああ、いただきます」
卯月母「…………」ジー…
武P「はぁ…、温かくて、とても美味しいです」
卯月母「…………」ジー…
武P「……奥さん?」
卯月母「へっ? あ、ごめんなさいね?」
武P「私の次は、奥さんがぼうっとしていますね」
卯月母「ふふっ! そう、ねぇ」
武P「なにか、ありましたか?」
卯月母「うーん? えーと……」
卯月母「その、さっきプロデューサーさんに抱き寄せられたでしょう?」
武P「す、すみません。嫌、でしたか……?」
卯月母「ううん…。その……」
卯月母「ドキドキ、しちゃったの」///
武P「っ!」
卯月母「えへへ…。なんて、年甲斐もないかしら……?」
武P「……そんな事はありません」
卯月母「プロデューサーさん?」
武P「……その! 奥さん!」
卯月母「はい?」
ピンポーン♪
卯月母「あ、あら? 宅配かしら? ちょっと待っててくださいね」
武P「あ、はい……」
武P「……はぁ」
武P(今、思いを打ち明けようとしたが、本当に良かったのだろうか……)
武P(…………)
武P「……言ってしまう、か」
< あら、パパ! おかえりなさい、随分早いわねぇ
武P「ッ!」
< 今ね、プロデューサーさんが来てるのよ? 卯月の事とか色々……、ね?
< パパも上がって、お話ししましょう?
武P(そうだ…、旦那が……、いるんだったな)
武P(……それに、家庭もある)
< え? 荷物を置きに来ただけなの? そう……
武P(……奥さん)
< じゃあ、よろしく伝えておくから、いってらっしゃい♪
卯月母「すみませんー。お待たせしました」
武P「……いえ」
卯月母「うちの旦那が飲み会に行くからって、荷物だけ置きに来たんですって。旦那も卯月の事をよろしくと言ってましたよ♪」
武P「そう、ですか」
卯月母「……そういえば、私が立つ前になにかいいかけていませんでしたか?」
武P「……あ、いえ」
卯月母「もう、いまさら秘密は無しですよ? 言っちゃって! ね?」
武P「その……」
武P「……卯月さん達の、次のCDの目処がそろそろたちそうです」
卯月母「あら! あらあら! そうなの? じゃあまたいっぱい買わなくちゃ!」
武P「ふふっ、卯月さんも喜ぶはずです」
武P「……では、そろそろお暇させていただきますね」
卯月母「あら? もうお仕事の時間?」
武P「はい。そろそろ皆のレッスンが終わる頃ですし。渋谷さんにお願いして抜けさせてもらっているので」
卯月母「さすが凛ちゃん! 卯月より歳下なのにしっかりしてるわ……」
武P「ええ、では」
卯月母「ああ、玄関まで見送りますから!」
武P「ありがとうございます」
卯月母「うふふっ! 今度はバイキングに行って、その次はうちで手料理でもどうです? 娘とよく作っているので、お食事会でも!」
武P「ええ、是非誘ってください」
武P「……靴が少し湿っていて履き辛いが、よし」
卯月母「はい、鞄どうぞ♪」
武P「ありがとうございます。それでは、お邪魔しまし、た……」
武P「…………」
卯月母「……あら? なにか忘れ物がありました?」
武P「……いえ、その」
武P「……奥さん、最後にひとつ、言わせてください」
卯月母「はぁいー? なにかしら?」
武P「……あなたには、格好いい旦那さんがいる事も、素敵な娘さんがいる事も、幸せな家庭がある事も分かっています」
卯月母「プロデューサー、さん……?」
武内「すぅ…、はぁ……。よし……。……奥さん」
武P「私は、あなたが好きです」
卯月母「へっ、え…? ええぇー……!?」
武P「花屋であったあの日から、一目惚れでした」
武P「……答えは分かっています。けど、もう一度わがままを言わせてください」
武P「私の、この気持ちに区切りをつける為に。どうか、お返事を」
武P「……お願いします」
卯月母「そ、そう言われると…、えと、あの……」
武P「…………」
卯月母「……その、プロデューサーさんの求めてる答えじゃあないのは分かってるの」
卯月母「でも、なんだかうまくまとめられなくて…。ごめんなさい……。その……」
武P「いえ…。その返事で十分です……。では……」
卯月母「ま、待って! プロデューサーさん!」
武P「はい……?」
卯月母「その、こんな台詞、まったく答えになってないと思うの…。けど、こう言わせて……?」
卯月母「これからも、娘の事をよろしくお願いします!」
武P「…………!」
卯月母「あの子は、卯月は! 小さい頃からアイドルになりたいって、それで養成所にも通い続けて、ようやくあなたのもとでアイドルに、夢を叶えられたの!」
卯月母「……だから、こんなお願いは図々しいかもしれないけれど」
卯月母「あの子の夢を、あの子自身をもっと磨き上げて、もっと輝かせてあげて!」
卯月母「お願い…、します……!」
武P「……奥さん。頭をあげてください」
卯月母「ふぇ……?」
武P「彼女の事は、心配しないでください」
武P「卯月さんはとても魅力的な少女です。これから彼女がこなしていくライブが、ステージが、それらが彼女を自然とトップアイドルに相応しい心に磨き上げてくれます」
武P「そして、まだ見ぬ輝きへのサポートを私が…。プロデューサーが尽力します……!」
武P「だからなにも心配せず、卯月さんの事は私に任せてください……!」
卯月母「プロデューサーさん……!」
卯月母「ふふっ、ふぁ……。いやねぇ、最近なんだか涙もろくて……」
武P「……どうぞ」
卯月母「ありがとう…。その……、これからも……」
卯月母「娘共々、よろしくお願いしますね……?」///
武P「……はい!」
ーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーー
ーー…………
ーー 翌日 ーー
武P「渋谷さん」
凛「ふぁ……、へくちっ! ……うん」
武P「いつもの、お願いします」
凛「はい、いいよ」
凛「……なんだかんだ、失恋した後もウチに来てくれるんだね」
武P「その言い方は……。でも、私も彼女のおかげで花の魅力に気付く事が出来たと思います」
武P「……奥さん」
凛「ねぇ。作ってるのは私なんだから私の事も呟いてよ」
武P「す、すいません……」
凛「もう。ふふっ……」
凛「はい、出来たよ。もうこればかり作りすぎて随分早くなったと思うな」
武P「ありがとうございます。では、私はこれで」
凛「お仕事頑張ってね、プロデューサー」
凛「ふう……」
ヒュオォォ…
凛「ん、風が……」
凛「……プロデューサーの背中、なんだか寂しそうに見えるけど」
凛(少し、たくましくなったかな……)
ーー 結局、プロデューサーの卯月のお母さんへの片思いは失恋に終わった。
正直に言うと、私もこの恋は成就するものでは無かったと思う。卯月のお母さんは浮気をするような人じゃないし、プロデューサー自身も叶う筈のない恋だというのはわかっていたようだし。
でも、私としても少しヤキモチを妬いた気がするけれど、これでプロデューサーも乙女心への理解を深めるきっかけとなったのなら……。
まあ、悪くないかな……。
……ちなみに、今度卯月のお母さんとプロデューサーの2人で遊園地に行く約束をしてるらしいけど、卯月のお父さんは……。どうなんだろう? ーー
凛「さて、お店番しないと……。って」
美城「…………」
凛「じ、常務、さん……?」
美城「ッ! 渋谷!? ここは、君の店なのか!?」
凛「私の、と言うか両親の、ですけど……」
美城「ふぅ、まあいい。……ところで、アレンジメントを頼めるか」
凛「はい、出来ますよ。予算の方は……」
美城「いや、その…。写真があるんだが、これに近い物を作ってもらいたいのだが……」
凛(『いつもの』だ……)
美城「どうだ? でき、そうか……?」
凛「ふふっ。うん、任せてください」
美城「ありがとう。……あと、君達のプロデューサーが、武内プロデューサーもよくこの店に訪れると聞いたのだが」
美城「その……。今日は、来たのか?」
凛「ふふふっ……♪ どうだったっけ?」
美城「むぅ……。あまり大人をからかうな」
凛「いいえ、そんなつもりじゃないです」
凛「でも、そうですね……。また来てくれたら、ここでばったり出会うかも知れないですよ?」
美城「うぅむ……」
凛「これでよし、っと。……はい、できましたよ」
美城「おお…! これは彼に貰った物とまったく同じ……!」
美城「……あ、あと最後にもうひとつ」
凛「はい?」
美城「この花を、長持ちさせる方法を教えてもらえないか」
凛「…………」
ーー それから、ウチの花屋にもう1人、なんだか珍しい常連さんが増えたのはまた別の話…… ーー
凛「くふふ…! 常務もまだまだ、乙女なんですね……♪」
美城「う……」
美城「うるさ、い……」///
完
泥々展開期待してた人はごめんね。
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira109090.jpg
このコラ画像と出会ったせいで僕の心はなんだかモヤモヤしたままです。
うづママ尊い……。
常務も尊い……。
……ん? 専務か? はて……。
ま、ネタが浮かべば、またいつか。
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