P(柔らかかった)
悠貴「…………」
P「…………」
悠貴「…………」
P「いや、あの」
P(やばいと思ったが抑えきれなかった)
悠貴「…………」
悠貴「…………」
悠貴「……ぐすっ」
P(そして人生終了のお知らせ)
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悠貴「……っ……」
P「ゆ、悠貴。その」
悠貴「……はじめて……だったのに……っ」ポロポロ
P「」
悠貴「うぅ……っ、……っと、もっと……っ……!」
P「っああああああすまない悠貴!! 俺はとんでもないことを――!!」
悠貴「もっと……ろまんちっくなところでしたかったのにぃ……っ!」グスグス
P「……あれ?」
悠貴「もっと大人になって、プロデューサーさんに相応しくなってからっ……」
P「待って、悠貴ちょっと待って」
悠貴「生野菜だって食べられるようになって」
悠貴「いっぱい褒めてもらって、デートだっていっぱいしてっ」
悠貴「手を繋いで、腕を組んで、夜景が綺麗なレストランでお食事してっ」
悠貴「それから婚約指輪をもらって、そのお返しに……き、きすっ。したかったのにっ!」
悠貴「それなのに……っ」グスン
悠貴「プロデューサーさんのバカぁっ! うええええんっ!」ポカポカポカッ
P「そっちなの!?」
悠貴「うぅぅ、ぐすっ……」
P「いや、なんかほんとごめん悠貴……。夢を壊しちゃったみたいで」
P「というかいきなりキスするのはまずかったよな、うん……本当にすまなかった」
悠貴「すんっ……いいんです、いつかが今になっただけですからっ」
悠貴「それに……」
悠貴「ぷ、プロデューサーさんのくちびる……やーらかかったですっ。えへへっ……♪」
P「かわいいかよ」
悠貴「あれがキスなんですねっ……えへ、私も大人の仲間入り……えへへへっ」ポワポワ
P(と、とりあえず事なきを得た。……はずだ)
P(好感度が低かったら、今頃手首に冷たい輪っかが嵌められていたことだろう……危なかった)
P(しかし悠貴の瞳は綺麗だ……あんなキラキラした黒目に見つめられて我慢できる男がいるだろうか。いやいない)
P(……だからなんの問題もない。そうだ、そうだとも、そうだろう! ああそうだ!)
悠貴「……あっ!」
P「どうした悠貴。もう一回するか? あはは、なーんて」
悠貴「き、キスしたら……に、妊娠しちゃうんじゃっ!? ど、どうしましょうプロデューサーさんっ!」
P「やばい」
悠貴「私アイドルなのにっ。あ、赤ちゃんを育てる時間がありませんっ!」
P「悠貴~」
悠貴「どうしよう、どうしようっ! 学校にも言わなきゃいけないのかな……あぁっ、陸上競技もできなくなっちゃうっ」
P「悠貴ちゃ~ん」
悠貴「で、でも……プロデューサーさんとの赤ちゃんだったらきっとかわいいんだろうなぁ……えへへ、へへ……えへへへっ」ニヘラニヘラ
P「そうだな、きっと悠貴似のかわいらしい赤ちゃんが……」
P「そうじゃなくてな悠貴」
悠貴「あっはい」
P「キスしただけじゃ赤ちゃんはできないぞ」
悠貴「えっ! そうなんですかっ。両親はそうやって私が生まれたんだって言ってましたけどっ」
P「うん、優しいご両親だな。悠貴が素直で健やかに育ってくれて、誇らしく思ってくれてることだろう」
悠貴「えへへっ、自慢の両親ですっ。今度挨拶に来てくださいねっ」
P「……ん? なんでだ?」
悠貴「だってキスしたんですから結婚しないとですよねっ。結婚式には事務所の皆さん全員を呼ばなきゃっ♪」ニパー
P「あちゃーそこからかー」
P「えーっとな。赤ちゃんの話はちょっと置いておこう」
悠貴「そんなっ! 私たちの大切な子どもですよっ?」プンスカ
P「ちゃうねん聞いてくれ。まず、キスしたからといって結婚はできないんだ」
悠貴「えっ。……でき、ない……っ?」
悠貴「…………」
悠貴「…………」
悠貴「ぐす、ひどいですぷろでゅーさーさんっ……!」ポロポロ…
P「しよう、今すぐ結婚しよう」
P「いや待てそうじゃない、そうじゃないんだ悠貴」
悠貴「すんっ」
P「結婚はする。でもまだ悠貴は13歳だからな、まったくこの国は融通が効かなくて困る」
悠貴「してくれるんですかっ……?」
P「ああ、もちろんだ。こんなにかわいらしいお嫁さんができるなんて俺は幸せ者だよ」ナデナデ
悠貴「えへぇ……♪」
悠貴「やっぱりキスは結婚の約束なんですねっ」
P「うん、そうだ。悠貴が正しい。かわいいは正義」
P(よし、なんとか説得でき……できた。うん、できた)
悠貴「ということは、キスしたら赤ちゃんができるっていうのもほんとなんですねっ♪ 良かったっ」
P「あぁそっちの問題が残ってた……。悠貴、さすがに……キスじゃ赤ちゃんはできないんだ」
悠貴「えぇっ!? お母さんもお父さんも私にウソついたのかなっ……?」
P「あー……そうだな、ご両親は少し悠貴にウソをついた」
悠貴「ど、どうしてっ……」
P「でもそれは、悠貴を思ってついた優しいウソなんだよ」
悠貴「優しいウソ……?」
P「そう。悠貴はまだ、生野菜が苦手だろう?」
悠貴「は、はい……苦いのはどうしてもっ。それが関係してるんですかっ?」
P「ああ。悠貴に本当のことを教えてあげよう。ご両親には内緒だぞ?」
悠貴「ほ、本当のことっ。分かりましたっ、内緒ですっ」
P「赤ちゃんはな……」
悠貴「ごくり……!」
P「新鮮なキャベツ畑から生まれるんだ。何重ものみずみずしいキャベツの葉に優しく包まれて、この世に生まれ落ちるんだよ」
悠貴「そ、そうだったんですかーっ!?」ガーンッ
P(大丈夫かなぁこの子……)
悠貴「だ、だから両親は私にウソを……私が生野菜嫌いだからっ……?」
P「かもしれないな。でもいいんだ、悠貴」
P「誰にだって苦手なものはある。俺にだってあるんだ、落ち込むことはない」
悠貴「プロデューサーさんにもっ?」
P「ああ。たとえば蛍光緑のエビフライ」
悠貴「?」
P「いやなんでもない。とにかく、ご両親は悠貴が本当のことを知って、ショックを受けてほしくなかったんだよ」
悠貴「そう、だったんですね……。私が子どもで、生野菜が苦手だからっ……。優しい両親でよかったですっ」
P「うん、優しくて立派なご両親だ。大切にするんだぞ」
悠貴「はいっ♪ プロデューサーさんにも早く会わせたいですっ」
P「え゛。い、いや、それはまだ……」
悠貴「いずれ結婚するんですし、早くても問題ないですよっ。仲良くなってもらいたいですしねっ♪」
P「は、はは……そうだなぁ、悠貴がもっと大人になってからでもいいかなぁ……ははは」
悠貴「でもっ……。……ううん、そうですねっ。もっと大人になってからっ! 大人になります、私っ」
P「お、おお?」
悠貴「プロデューサーさんに似合う女の子になって、生野菜だって食べられるようになりますっ」
悠貴「それで、みんなに結婚を認めてもらえるくらいのトップアイドルにもなりますからっ!」
悠貴「背丈ばっかり大人じゃない、魅力的な私になりますっ! 待っててくださいねっ!」
P「あ、……ああ! 分かった、待ってるぞ悠貴!」
悠貴「はいっ!」
悠貴「やりますよ私っ。どんなに高いハードルでも超えてみせますっ!」メラメラ
P(……これで良かったのだろうか)
P(純粋な悠貴を弄んだことにならないだろうか……。俺は酷い男なんじゃなかろうか)
P(いつか悠貴を傷つけるくらいなら、いっそこの子の前から消えた方が――)
悠貴「あ、そうだプロデューサーさんっ!」
悠貴「えっと、そのっ……結婚の約束、したじゃないですかっ。だ、だから……あのぅ」モジモジ
悠貴「こ、これから毎日、き……キスっ、しましょうっ?」
P「おk」
P(世間体? 知るかんなもん!)
悠貴「プロデューサー、さんっ……」ジーッ
P「悠、貴……」
P(ああやばい)
P(やっぱりダメだ、悠貴のくりくりした大きな瞳には敵わない)
P(本当に吸い込まれそうだ。潤んだその目に映る俺の姿は実に滑稽だ)
悠貴「……んっ……」
P(ああやめろ悠貴、そんな艶っぽい息を吐くんじゃない。どうにかなりそうだ)
P(目を閉じた悠貴はそれでも俺に顔を近づけ……首に腕を絡め……そのふっくらとした無垢な唇を)
がちゃり
ちひろ「ただ今戻りました~♪」
P「そおおおおおおおおいっっっ!!」
悠貴「ひゃわああああああああっ!?!?」
ちひろ「あら? なにしてるんですかプロデューサーさん。悠貴ちゃんを振り回して」
P「いやーなんでもないですちひろさん! ええなんでもないんです、ちょっとばかりスキンシップをね! なぁ悠貴!!」グルングルングルン
悠貴「きゃああああああっ!? ななななっ、なんですかぷろでゅーさーさああああああっ!?」
ちひろ「ふふふっ、あんまり困らせちゃダメですよー?」
P「はっはっは、これくらいいつものことですよはっはっは!」
悠貴「目がっ、目が回りますプロデューサーさんっ! 急にどうしたんですかああああっ」
ちひろ「さ、いつまでも遊んでいないでお仕事ですよ、お仕事!」
P「は、はい! そうですね、仕事ですよね! ほら悠貴、もう仕事の時間だぞ!」
悠貴「あ、あうぅ……世界が回ってますぅ……っ」フラフラ…
P(すまない悠貴、俺はまだ死ぬわけには……!)
悠貴「――Pさんっ」ボソッ
P「え」
悠貴「続きはまた今度……ですっ。えへへっ♪」
おわり
というお話だったのさ
デレステは瞳にこだわりがあっていいね
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http://i.imgur.com/d44grth.jpg
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