あかり「京子ちゃん? 歯がいたいの?」 (54)
ごらく部
京子「あつーい」グダー
結衣「暑いな」パタパタ
ちなつ「あついですねぇ……」パタパタ
京子「結衣―、エアコン入れてー」グダー
結衣「部室にはない」パタパタ
京子「取り付けてー」グダー
結衣「無理」パタパタ
京子「無理ゆーな」グダー
ちなつ「そんな事言ってないで、もう少ししたら……」
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ガラッ
あかり「みんなおまたせぇ~」
京子「おおっ! あかりぃ~、待ってたぞ!!」ガバッ
結衣「あかり、ありがとね」テクテク
ちなつ「おつかれ、あかりちゃん。って、すごい汗」ハイ、タオル
あかり「えへへ~、みんなの分のアイス溶けないように走ってきたら汗かいちゃった~」アリガトー フキフキ
京子「おっ! そんじゃ、私このアイスもーらいっ!」
結衣「おい、あかりが買ってきてくれたんだからあかりからだろ?」
あかり「いいよぉ、みんな好きなのとってねぇ。あかりは何でもいいから」
ちなつ「駄目だよあかりちゃん。あの人はちゃんと躾けないと」
京子「躾けるって、私はペットか!」
あかり「あはは」
京子「こういう暑い日こそラムレーズンで身体を芯から冷やしたいんだけどな~」
ちなつ「確か夏は売ってないんでしたっけ?」
京子「そーなんだよ。残念ながら」
結衣「家にまだ結構買い置きはあるけどね」
あかり「おまたせぇ! みんなの分のスプーンだよ!」ハイッ
京子「サンキュー!」ウケトリ
結衣「ありがと、あかり」ウケトリ
ちなつ「ありがとう、あかりちゃん」ウケトリ
京子「そんじゃ、早速」
あかり「いただきま~っす!」
京子「美味んめぇ~~~~~~~…………っ!?」パクパクパクパ…ピキッ
結衣「冷たくておいしいな」シャリシャリ
ちなつ「はぁ~、生き返る~」シャクシャク
あかり「おいしいね~」
京子「…………」ピタリ
あかり「あれ? どうしたの京子ちゃん?」
京子「い、いや。何でもないよ?」パクッ
京子「っっっ!? いっでぇぇぇぇぇぇぇ!?!?」ズキーーーン
結衣「!?」ビクーン
ちなつ「きゃっ!? もう、なんなんですか?」
あかり「き、京子ちゃん? どうしたの!?」
京子「ん~~~っ!! ん~~~っ!!」ホッペタオサエ
結衣「……お前、もしかして」
京子「い、いだい。歯がいだい……」ズキンズキン
ちなつ「ああ、虫歯ですか。そりゃ、こんな暑い日に冷たいものを噛み締めればそこが虫歯なら地獄の痛みでしょうね」シャクシャク
あかり「京子ちゃん大丈夫!?」オロオロ
京子「ナニこの痛み…… 死ねるんだけど…… 頭割れそうなんだけど……」
ちなつ「それはアイスを一気に食べたから頭痛いんですよ」シャクシャク
結衣「あれ? そういえばお前って虫歯になったことあったっけ?」
京子「……ない」
結衣「だよな」
京子「痛い痛い痛い…… ほんっと痛い…… 結衣、助けて……」
ちなつ「そんな大げさな、ちょっとの痛みくらい我慢しましょうよ」シャクシャク ゴックン ケフッ
あかり「歯痛は患部を冷やせばいいんだっけぇ!? あっ、でも冷やしたらもっと痛みが」オロオロ
ちなつ「あかりちゃんも落ち着こうよ」
結衣「仕方ないな。京子、今から歯医者に行こうか」
京子「……うん」
結衣「ん、それじゃ、ちなつちゃん、あかり、私は京子を連れて行くけど、二人はどうする?」
ちなつ「お二人とも帰るんでしたら、私も帰りますよ。ねっ、あかりちゃん」
あかり「えっ? うん、そうしよっか」キョウコノセナカサスリサスリ
結衣「わかったよ。それじゃあ、今日は解散だね。ほらっ、京子立って!」
京子「……うん」ノソノソ
結衣「それじゃ、二人ともまたね」ノシノシ
京子「……またね」ノシ
あかり「ばいばい、京子ちゃんお大事にね~」ノシノシ
ちなつ「それじゃ、また~」ノシノシ
次の日 ごらく部
ガラガラ
結衣「……やっ」
あかり「あっ、結衣ちゃん…… あれ? 京子ちゃんは?」
結衣「ああ、あいつは少し遅れてくるよ……」
ちなつ「ど、どうしたんですか? やけに疲れているように見えますけど?」
結衣「……昨日大変だったんだよ」
あかり「昨日って…… 京子ちゃんと歯医者にいったんだよねぇ?」
ちなつ「もしかして京子先輩、歯医者が怖くて泣き叫んでもう行かないとかいったんじゃないんですか?」プププ
結衣「……そのまさかだよ」
ちなつ「え゛……?」
あかり「ど、どういうことなの?」
結衣「あの後、歯医者に行ったんだけど…………」
結衣の回想
結衣「大丈夫? って、大丈夫じゃないか……」
京子「痛いよ…… 痛いよ……」ゲッソリ
結衣「もうすぐ呼ばれると思うし、すぐ治療してもらおう。そうすれば痛みもなくなるから」
京子「うん……」ゲッソリ
トシノウサーン ドウゾー
結衣「おっ。ほら、呼ばれたぞ」
京子「うん……」ゲッソリ
結衣「ほら、早く行かないと」
京子「うん…… 行ってくるね……」フラフラ
結衣(ほんとにキツそうだな……)
結衣(まあ、治療してもらえば痛みも無くなるだろ)
結衣(本でも読んで待ってるか)ペラペラッ
チュイーーーン ウギャーーーーーーーーーーーー
アッ、アブナイデスヨ!
ダ、ダズゲデーーーー ユイーーーー!!!!
結衣(!? き、京子の声!?)
チョ、アバレナイデ!
イダイイダイイダイ ダスケデー ユイーーーーー!!!!
ドタバタドタバタ
京子「ゆいぃぃぃぃ!! たすけてぇぇぇぇ!!」
結衣「ちょ!? お、お前、何して!?」
京子「いたいのぉ…… たすけてぇ……」ダキツキ
結衣「うわっ!? お、おい、どうしたんだよ!?」
京子「あ、あの人、私に酷いことしたの…… 私にすごく痛い事したの……」ユビサシ
歯医者「あの、治療中に動き回られると、治療が出来なくなりますし危ないんですが……」
結衣(こ、こいつ、まさか)
結衣「お、おい、京子。お前治療中に逃げてきたのか?」
京子「治療なんかじゃないよぉ…… あんなの拷問だよぉ……」ガクガク
結衣「す、すいません。今すぐ戻らせますから!」
結衣「ほらっ! 京子、立って! 治療室に戻るぞ!」
京子「!? い、いや……」
結衣「嫌じゃないだろ!? ほら、早く!」グイッ
京子「い、いやぁぁぁぁぁ!!」ジタバタ
結衣「!?」
歯医者「あの…… 他の患者さんの迷惑にもなりますし、もう少し静かにしていただけると……」
結衣「す、すいません、すいません!」
京子「いやいやいやいやぁ~~~~!!」ジタバタ
結衣の回想終了
結衣「ってことがあってね……」
ちなつ「なにやってんですかあの人は……」
あかり「た、大変だったんだねぇ」
結衣「その後はあいつが暴れまわり続けるから、仕方なく痛み止めだけを貰って帰ったんだ」
あかり「えっ? それじゃあ、治療は?」
結衣「出来なかったんだ、それで……」
ガラガラッ
京子「おいっすー! みんなお待たせ京子ちゃんだよーん!」キュピーン
結衣「……」
あかり「あっ、京子ちゃん! 大丈夫だったの?」
京子「へ? 何が?」
あかり「歯だよ。結衣ちゃんから聞いたよ? 昨日治療できなかったって」
京子「……」ビクーン
ちなつ「あんまり結衣先輩に迷惑かけないでくださいよ。ほら、さっさと行きますよ。まだ治療も終わってないんですよね?」
あかり「あっ、そうだよねぇ。今から行って治してもらうのがいいよねぇ」
京子「……ない」ボソリ
あかり「?」
京子「行かない」
ちなつ「……またわがまま言って。痛いんでしょ? 行かないと治りませんよ?」
京子「痛くないし」
結衣「こいつ、昨日貰った痛み止めを飲んで今日は痛くないみたいなんだ」
ちなつ「……痛み止めって言っても効果なくなったら、また痛くなるだけですよ? さっさと行って治さないと」
京子「嫌、痛くないし、行かないもん」
結衣「……朝からずっとこんな感じなんだよ。歯医者なんかには絶対に行かないって」
京子「絶対に行かない」
結衣「……はぁ」
あかり「だ、だめだよぉ。行かないと良くならないよぉ?」
京子「良くならなくていい。痛み止め飲んで痛くないからそれでいい」
あかり「ええっ!?」
ちなつ「馬鹿なこと言ってないで行きますよ。ほらっ」グイッ
京子「ふんっ!」チナツノテフリホドキ
ちなつ「いたっ! なにするんですか!?」
京子「行かないったら行かないの! 私は絶対にいかないもん!」
ちなつ「……はぁ、好きにしてください。後で酷い目を見るのは京子先輩なんですから」タメイキ
結衣「……私ももう諦めたよ」
あかり「ち、ちなつちゃん。結衣ちゃん」オロオロ
京子「こんな嫌な話題じゃなくて、もっと楽しい話をしよーぜ!」
あかり「き、京子ちゃ~ん!」オロオロ
夜 赤座家
あかり「そんな事があったんだよぉ」
あかね「あらあら。大変だったのねあかり」
あかり「うん。結衣ちゃんもちなつちゃんも諦めちゃって、京子ちゃんもその後は歯の話をしないようにしちゃって。今日の部活は終わっちゃったんだ」
あかね「歳納さんも仕方ない子ね」フフフ
あかり「あかりも虫歯になったことないからわからないけど、歯痛ってそんなに辛いの?」
あかね「お姉ちゃんもなったこと無いからわからないけど、酷い人は夜も眠れないくらいの痛みらしいわね」
あかり「うへぇ~…… 怖いねぇ…… でも京子ちゃんは痛み止めで痛みが治まってるみたいだからそんなに酷くないのかなぁ?」
あかね「そうねぇ。だけど、痛くないからって放っておくと大変なことになっちゃう可能性もあるわよ」
あかり「大変なこと?」
あかね「ええ、虫歯をそのまま放置しておくとどんどん歯の内部に虫歯が進行して行ってやがて歯が腐っちゃうらしいわ」
あかり「えええっ!?」
あかね「それだけじゃなくて、腐った歯から虫歯の細菌が出て、運が悪いと全身に虫歯菌が感染して死んでしまうなんてことも……」
あかり「!?!?!?」ズガーーーン
あかね「なんて、この前テレビでやってたけど、実際はどうなのかしらね? あら? あかり?」
あかり「……お姉ちゃん、あかり、もう寝るね」フラフラ
あかね「あらあら? わかったわ、おやすみなさいあかり」
あかり(うそ…… このままだと京子ちゃんは死んじゃうの……?)
あかり(やだよぉ…… そんなのやだよぉ……)
あかり(京子ちゃんを、歯医者さんに連れて行って、歯を治してもらわないと……)
次の日 ごらく部
ガラガラ
京子「おいっすー! 今日も絶好調な京子ちゃんだよーん!」
あかり「京子ちゃんっ!!」グワッ
京子「おわっ!? ど、どしたのあかり?」
ちなつ「あかりちゃん、何故か朝から気合はいってますよ? また京子先輩が何かしたんじゃないんですか?」
京子「??」
結衣「どうしたの? あかり?」
あかり「京子ちゃん…… 今から歯医者に行くよ」
京子「!?!?」ビクーン
ちなつ「あかりちゃん…… 無理じゃない? あんなに嫌がってるんだし」
結衣「そうだね。こいつも痛み止めが切れてどうしようもなくなったら動くと思うからそれまでは……」
あかり「駄目だよっ!!」クワッ
結衣「!?」
ちなつ「!?」
あかり「絶対に京子ちゃんは歯医者に連れて行かないといけないの!!」
結衣「お、おい、あかり?」
京子「……いやだ」
ちなつ「京子先輩?」
京子「ぜーーーったいに嫌だっ!! あんな所に二度と行くもんか!!」
あかり「駄目だよっ!! 京子ちゃんは歯医者さんに行って虫歯を治さないと、治さないと……」
京子「治んなくていいんだよ! あんな痛い思いするくらいなら、私は一生痛み止めを飲み続けてやる!!」
あかり「駄目っ!! 京子ちゃんは知らないんだよっ!! 虫歯を放置しちゃうと……」
京子「うっさい! 何を言われようが私はぜーーーったいに行かないからな!」
あかり「……それなら」ユラリ
京子「っ!?」
あかり「京子ちゃんを無理矢理にでもっ!!」グワッ スカッ
あかり「!? か、かわされたの!?」
京子「フン、あかりの動きなんか簡単に避けられるぜ。チョロいんだよ!」
あかり「うぅぅ~~~!!」ブンブン
京子「私を捕まえようなんて無駄無駄! あかりが私を捕まえることなんて一生かかってもできないっ!!」スカスカッ
結衣「なんなんだこれ……」
ちなつ「なんなんでしょうね?」
あかり「あっ」ドテッ
京子「わはは! あかりぃ! そうやって地面に這いつくばっているがいい!」
あかり「き、京子ちゃん、行かないで……」
京子「嫌だね! あかりが私を捕まえようとするなら、私は逃げ続けてやる! さらばだっ!」タタタタ
あかり「まってぇぇぇぇぇ!! 京子ちゃぁぁぁぁん!!」
ちなつ「鬼ごっこも終わったみたいですし、今日はこれで終わりですかね?」
結衣「そうだね。ほら、あかりも帰ろうか」
あかり「うぅぅぅぅぅ…… うぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
ちなつ「!?」ビクッ
結衣「!?」ビクッ
あかり「京子ちゃん…… あかりは絶対に諦めないから……」
あかり「京子ちゃんを絶対に救って見せるんだから!!」クワッ
ちなつ「な、なんなんですかね?」
結衣「さ、さぁ?」
あかり「結衣ちゃん! ちなつちゃん! お願い、あかりに協力してっ!」
ちなつ「?」
結衣「協力って?」
あかり「……」カクカクシカジカ
次の日 学校
京子の教室
京子「んー、放課後かー! 結衣―、部室いこーぜ!」
結衣「……」
京子「結衣? どったの?」
結衣「……」ユビサシ
京子「?」ユイノユビサキニメセン
京子「!? あ、あかり?」
あかり「京子ちゃん! 迎えに来たよっ!」バーン
京子「迎えに来たって。そんなに部活したかったの?」
あかり「違うよっ! 歯医者さんに行くんだよっ!」バーン
京子「っ!?」
綾乃「あら? どうしたの赤座さん?」
千歳「あらあら~? 元気ええなぁ~」
あかり「今日こそは一緒に行くんだから…… 絶対に連れて行くんだから……」
京子「い、嫌だ! 行かないって行ってんだろ!!」
あかり「そう言うと思ってたよ…… 結衣ちゃんっ!!」
結衣「んっ」ガシッ
京子「ゆ、結衣!? なんで私の手を握って!?」
結衣「あかりに頼まれたんだ。逃げようとするお前を捕まえてくれって」
京子「!?」
結衣「なぁ、あかりはお前のことすごい心配してるんだぞ? お前も少しの痛みくらい我慢して歯医者に行ったらどうなんだ?」
京子「す、少しの痛みなんかじゃないやい!! あんな地獄の痛み二度と味わいたくないもん!!」
結衣「……はぁ、こんな事言ってるけど」
あかり「駄目。京子ちゃんは今から絶対に歯医者さんに行ってもらうんだから」
京子「い、いやだっていってんだろ!?」
あかり「嫌でもいってもらうの。そうしないと京子ちゃんは……」
京子「うううっ……」チラッ
綾乃「な、なんなのこれ?」
京子「!! あ、綾乃っ! お願いっ、私を助けてっ!」
綾乃「はぁっ? 助けるって一体……?」
京子「結衣をどうにかして私から引き離してよっ!!」
結衣「……お前なぁ」
綾乃「な、何を言ってるのよ?」
京子「引き離してくれたら、私綾乃の言うこと何でも聞くからっ! どんなことでもするからっ!!」
綾乃「んなっ!?」
結衣「……お前いい加減に……」
ブシャァッ
結衣「え?」ピチャピチャ
綾乃「ち、千歳ーーー!!」
千歳「」ハナジフキダシ
結衣「ちょ!? 千歳っ!?」
京子(!! 拘束が緩んだっ!! 今だっ!!)
京子「うおおおおおおおお!!」ダダダダ
あかり「!? き、京子ちゃんっ!?」
結衣「あっ」
京子「あかりぃっ!! 今日はヒヤッとしたけど、私は絶対に捕まらないからなっ!!」
あかり「京子ちゃん! 待って!!」ジロリ
京子(!? なんだあのあかりの目線…… 教室の出口に……)チラリ
京子(っ! あの髪、少しだけ見えるけど、あれはちなつちゃん! まさか……)
あかり「今だよっ! ちなつちゃんっ!!」
ちなつ「えーーーいっ!!」タタタッ
京子「~~~っ!!」スカッ
ちなつ「!? に、逃げられた」
あかり「そ、そんな!?」ガーン
京子「ふ…… ふははははは! あかりぃ!! お前の策略なんてお見通しなんだよっ!!」
あかり「うっ…… うぅぅっ」ガックリ
京子「その様子じゃもう次の策も無い様だな? ならば私は逃げさせてもらう!」
あかり「ま、まって…… おねがいだから……」ウルウル
京子「泣き落としなどこの京子ちゃんには通じないっ!! さらばだあかり君! ふははははは!!」ダダダダダダ
あかり「京子ちゃああああああん!!」
綾乃「な、なにこれ?」
千歳「」ピクッピクッ
結衣「と、とりあえず教室の掃除をしようか」
ちなつ「そうですね……」
夜 あかりの部屋
あかり(京子ちゃん…… 今日もあかりは京子ちゃんを歯医者さんに連れて行くことが出来なかった……)
あかり(このままだと京子ちゃんは…… 京子ちゃんは……)クスン
あかり(駄目、京子ちゃんが死んじゃうなんて絶対に駄目……)
あかり(でも、京子ちゃんは歯医者さんが嫌だって逃げ続けてる……)
あかり(痛いから嫌だって、それなら麻酔を使って治療をすればいいって結衣ちゃんも言ってくれたみたいだけど)
あかり(もう京子ちゃんは歯医者さんに恐怖して、行くことすら出来ない状態……)
あかり(それならあかりは…… 京子ちゃんを何としてでも歯医者さんに連れて行ってみせる……)
あかり(その後は、京子ちゃんを縛り付けてでも治療してもらって、京子ちゃんの命を救わないと……)
あかり(やってみせるよ…… たとえ京子ちゃんを騙すことになっても……)
あかり(あかりは、京子ちゃんを救ってみせる!!)
夜 京子の部屋
京子(あかりのやつ…… 結衣とちなつちゃんを使ってまで私を捕まえようとしてきやがった)
京子(本気で私を歯医者に連れて行こうとしてるんだな…… あの恐ろしい場所に……)
京子(あんな所、絶対に無理! なんなの!? 人が痛いって言ってるのに止めようともしないで、痛みを与え続ける!)
京子(拷問だよ! 拷問! 中世の拷問官の子孫だよあいつ!!)
京子(そんな場所に…… あかりめぇぇぇぇ!!)
京子(おっと…… 冷静に考えろ、あかりのやつはこれで二日連続で私を死地に追いやろうと画策してきやがった)
京子(それなら、明日も同じように行動してくる可能性が高い……)
京子(さらには、今日は結衣とちなつちゃんを味方につけて私を捕まえようとしやがった……)
京子(今日は私の教室で、綾乃と千歳がいたから難を逃れることは出来たけど、もしかしたら綾乃と千歳も懐柔されているかもしれない……)
京子(まずい…… このままだと5対1、圧倒的に私が不利……)
京子(いや、大丈夫。あの手を使えば……)
京子(あかり、私は絶対にお前から逃げ切って見せるぞ!!)
歯が痛いんで、この辺で。
また来ます、それではー。
これは京あか?
痛がる京子が可愛すぎる。
安価の人だよね、期待
次の日 放課後
京子の教室
京子(放課後、私の予想が正しければ……)ツクエニウデクミ
結衣「京子」ザッ
綾乃「歳納京子」ザッ
千歳「歳納さん」ザッ
京子「ふっ、やはりか」ウデクミ
結衣「な、なんか余裕だな?」
綾乃「聞いたわよ! あなた虫歯になってるんですって?」
千歳「早く治さなあかんよ~?」
京子「3人ともあかりの口車に乗せられて、私を捕まえに来た。そうだね?」ウデクミ
結衣「口車って…… お前、ほんとにいい加減にしろよ」
綾乃「そうよ? 虫歯を放っておいてもいいことなんて何も無いんだからね?」
千歳「せやで? おいしいものも食べられへん、それでもええの?」
京子「フン、そのような甘言、この女・歳納、心を揺さぶられはせんよ」ウデクミ
結衣「……はぁ、もういいよ。綾乃、千歳、無理矢理でもいいからこいつを連れて行こう」
綾乃「ええ、そうね」
千歳「ごめんなぁ、歳納さん~」
3人が京子を捕まえようと動いたその時。
教室の扉が開いた。
千鶴「おい! 歳納!」
京子(来たな)
千歳「あれ? どしたん、千鶴~?」
千鶴「あ、姉さん…… こいつが私の机に手紙を入れてたみたいで……」
千歳「手紙?」
千鶴「そう、姉さんを人質にしたって、返してほしければ放課後に教室に来いって」
京子「……」ニヤリ
京子「ふっ、その通りだっ!」
千鶴「!」
京子「今千歳は私の手にある! そして今日から千歳は私のモノとなるのだ!」チトセノウデツカミ
千歳「へ?」
千鶴「お前……」
京子「千歳を返してほしければ、私にその力を見せるがいい! その手で私の元から千歳を奪い取っていくがいい!!」
千歳「歳納さん? 何言っとるん?」アタフタ
千鶴「このっ! 姉さんの手を離せっ!」ガッ
京子「……」ニヤリ
京子「おっと逃がさんよ! その程度の力、すぐに奪い返して見せる!」
千鶴「……姉さん、帰ろう。こんなヤツの相手なんかしなくていいよ」スタスタ
千歳「あ、あら~、まってぇなぁ~」ズルズル
京子(まず一人)ニヤリ
結衣「お、おい。お前まさか……」
再び教室の扉が開き、一人の女生徒が入ってくる。
りせ「……」
綾乃「会長? どうしたんですか?」
京子(……)ニヤリ
京子「あっ! こっちこっち~、会長さーん!」
りせ「……」トコトコ
京子「さっき聞いた今日の生徒会の仕事だけど、なんと千歳がもう帰っちゃったんですよー」
綾乃「え?」
りせ「……」シュン
京子「そうですよねぇ、今日は少し忙しいって話なのに一人いなかったら大変ですよねぇ? 終わるかもわからないですよねぇ?」
京子「でも大丈夫! 副会長の綾乃ちゃんが、千歳の分までがんばるって言っていますよ!」
りせ「……」ジー
綾乃「ちょ、何言ってるの!?」
京子「え? 今日は生徒会の仕事が忙しいって話を聞いたんだけど、今日に限って千歳が先に帰ったからその分を綾乃ががんばるって話なんだけど?」
綾乃「そんな話聞いていないわよ!」
京子「あれれ~? おっかしいなぁ? あっ、そういえば京子ちゃん綾乃に伝え忘れていたかも!」
綾乃「あなた……」
りせ「……」グイッ
綾乃「ちょっ、会長!?」ズルズル
京子「がんばってねぇ~~」ノシノシ
京子(これで二人)ニヤリ
結衣「……」
京子「あれあれ? どうしたの結衣? 黙っちゃって~??」
結衣「……私には何を仕掛けてくるんだ?」
京子「えっ? 仕掛けるって? 何のことか京子ちゃんわかんな~い」
結衣「……くっ」
京子「私たちは同じごらく部の部員なんだから、今から部室にいくんだよ?」
結衣「……」ジロリ
京子「そんな怖い顔しないで~ん、京子ちゃん怯えちゃうよ?」
そして、三度教室の扉が開いた。
京子(さあ、最後の…… !?)
京子「あ、あかり!?」
あかり「……京子ちゃん」
京子(……落ち着け。またこうやって私の教室に来ただけ。今は2対1だがすぐにでも……)
あかり「京子ちゃん、南野先生は来ないよ?」
京子「なっ!?」
あかり「南野先生の用事はあかりが済ませておいたから、結衣ちゃんに頼む仕事はなくなっちゃったんだよ?」
京子(な、なん、だと?)
結衣「南野先生の用事? 何かあったの?」
あかり「明日の1限の体育に使う用具を運んでほしかったみたいだよ。不思議なことにその用事は結衣ちゃんがすることになっていたみたいだけどね?」
京子「な、なんで、あかりが……」
あかり「さぁて、なんでだろうねぇ?」ジー
京子(くっ!? まさかあかりに我が策略を見抜かれるとは……)
京子(ま、まずい、このままだと2対1…… いや、ここにいないちなつちゃんを合わせると3対1になっている……)
京子(くっ…… だが、まだまだ……)
あかり「さあ、京子ちゃん? 今日こそは……」
結衣「やれやれ、ほら京子。おとなしく……」
「あれー? 歳納ちゃん、その子がもしかして昨日の?」
「きゃー、かわいー、何この子!」
「なになに? どうしたのー?」
あかり「えっ? えっ?」オロオロ
数人の女生徒が京子の席に近づいてきた。
京子(よしっ! 昨日はほとんど人がいなかったけど、今日は昨日放課後にあった事を数人に話しておいた)
京子(下級生が、この教室に来て、大立ち回りを行ったってね)
京子(興味を持ったモブ子ちゃんたちは、こうやって少し残って様子を伺っていた……)
京子(そして、あかりはまんまとこの教室に来たってわけだ)
京子(そして出来たのはこの、モブ子ちゃんの壁!!)
京子(あかりはもちろん、結衣もしばらく身動きが取れない)
京子(その隙に私は……)
京子「わははははは! 逃げるんだよ~~~~ん!!」ダダダダダ
あかり「あっ!!」
結衣「おいっ! 京子!」
京子「さらばだ!! まだまだ青いな!! 精進したまへ~~!!」ダダダダダ
あかり「京子ちゃ~~~~ん!!」
昇降口付近
京子(さて、あかりと結衣を巻いたはいいが、姿の見えないちなつちゃん……)
京子(まあ、どこにいるのかは大体見当がついているけど)
京子(……みぃ~~っけ)ジー
ちなつ「……」キョロキョロ
京子の下駄箱の前であたりを見渡すちなつがいた。
京子(まあ、大体はそこになるよね)
京子(私の外履きを封じて、あわよくば下駄箱前で私を捕まえる)
京子(だが、甘い。それくらい読んでますよ私は!)
京子(……)ゴソゴソ
京子(予備の外履き~~)テレレレー
京子(さて、このまま裏口からおさらばさせてもらおう)
京子(まだまだ甘いな、私と戦いたければ全校生徒を味方につけるんだなぁ~~~!! ふははははは!!)タタタタタ
裏口
京子「あー、楽しかった。さて、今日は……」
櫻子「あーもう! めんどくさいなぁ!!」
京子「あれ? さくっちゃん?」
櫻子「? あー! 歳納先輩!!」
京子「ちょ! しー、しーー! 声でかいって!」クチオサエ
櫻子「?」
京子「ふー、ごめんごめん。ちょっと今かくれんぼしててさ」
櫻子「そうなんですか」
京子「うん。さくっちゃんはゴミ捨て?」
櫻子「そうなんですよ! それも向日葵の日直の代わりで!!」
京子「ひまっちゃんの?」
櫻子「そーです! あいつ今日なんか早く帰るって言って、日直を変わってくれないかなんて言うんですよ? ほんとマジめんどくせー!」
京子「変わってあげたんだね」
櫻子「どうしてもなんていうから仕方なくですよ、しかたなく!」
京子「そっかー。あっ、そろそろ私帰るね。あんまりこの辺でうろうろしてたら見つかるかもしれないから」スタスタ
櫻子「あれ? そっちごらく部じゃないですよ?」
京子「ああ、今日はもうこのまま帰るんだよ。結構早いけどねー」
櫻子「! それなら私も一緒に帰ってもいいですか? それでまたゲーセンに行きませんか!?」
京子「え? 別にいいけど……」
櫻子「やたーーー!!」
櫻子「それじゃ、ちょっとまっててください! すぐ戻ってきますから!」
京子「!! ちょ、ちょっとまった!」
櫻子「? どしたんですか?」
京子(……これってもしかして、さくっちゃんもあかりとグル?)
京子(……ありえる。そのまま戻ってあかり達を連れてきて私を捕まえる算段になっている可能性も)
京子(……ここは安全を取ってこのまま帰ったほうがいいかな)
京子「あー、さくっちゃん? あのね」
櫻子「いやぁ、あかりちゃんもちなつちゃんもすぐ帰っちゃうしどうしようかと思ってたんですよねー」
京子「え?」
櫻子「それでいて、向日葵のやつもすぐ帰っちゃうし、一人でどうしようかと悩んでたんですよ!」
京子「……さくっちゃんは、今日あかりと何か話したりした?」
櫻子「? あー、あかりちゃん今日忙しそうでしたね。今日は朝から全然話せなかったなぁ」
京子「……」
京子(嘘を言っているように見えない。だけど……)
櫻子「ちなつちゃんも忙しそうでしたし今日は暇だったんですよ!」
京子(と、いうか、この子嘘付いてもバレバレの嘘しかつけないんじゃないのか?)
櫻子「歳納先輩?」
京子「あっ、ごめんごめん」
京子(ま、それでも、今日のところは……)
櫻子「それでもよかったなー。私、また歳納先輩とゲーセンで勝負したいって思ってたんですよー!」
京子「!」
櫻子「今度は負けませんからね! マリカーでも何でも!」
京子「……んー、わかった。そんじゃ、ゲーセンいこっか?」
櫻子「はいっ!」タタタタタ
帰り道
櫻子「ふんふんふ~ん♪」
京子(あの後、さくっちゃんは誰も連れてこなかった)
京子(やっぱり、普通に私の思いすぎだったってことだね)
櫻子「ふんふんふんふ~」スマホトリダシ
京子(というか確か今日生徒会の仕事忙しいんだったよね?)
京子(だ、大丈夫なのか? ……千歳を帰らせた私が言うのもあれだけど)
櫻子「あっ! ああーーーーー!!」スマホカクニン
京子「!? ど、どしたのいきなり?」
櫻子「歳納先輩! これみて、これ!」スマホユビサシ
京子「? おっ、美味そうなプリンだね」
櫻子「そうなんですよ! 今日、向日葵に教えてもらったデラックスプリン!」
櫻子「なんか私が忘れやすいからって、スマホの待ち受けにするんですよあいつ!」
京子「? 何か地図書いてあるね?」
櫻子「このプリンを出してる喫茶店…… あー! そうだ!」
櫻子「何か今日から数日間このプリンが半額になってるって話ですよ!」
京子「へぇ~、そうなんだ」
櫻子「行きましょう! 今から行きましょう!!」
京子「ちょっ! ゲーセンは!?」
櫻子「あっ…… そうですよね…… う~~~ん、んあ~~~~」ナヤミチュウ
櫻子「ゲーセンもいいけど。プリンが…… プリンが食べたい……」ブツブツ
櫻子「でも、うううあああ~~~」ブツブツ
京子「……」
京子「ゲーセンはまたにする?」
櫻子「え?」
京子「なんか私もプリン食べたくなってきちゃったし」
櫻子「!!」
櫻子「そうですよね! 食べたいですよね!!」
京子「おうっ!」
櫻子「いやったぁー!! プリンだー!!」
京子「ふふっ」
京子「そんじゃ、その喫茶店に行こうか!」テクテクテク
櫻子「はーい!」テクテクテク
歩きながら雑談
京子「へぇ、この前ゲーセンでとった着ぐるみ妹ちゃん喜んでたんだ」
櫻子「そうなんすよ! もう毎日着て寝るくらい気にいちゃって~!」
京子「おー、そうなんだ」
櫻子「ほんと歳納先輩には感謝してますよ!」
京子「ふふん、感謝したまえー!」
京子「お? この地図だとそろそろのはずだね」
櫻子「おおー! わくわく! わくわく!」
京子(……あれ? なんだろうこの既視感)
京子(……この風景、見たことある?)
京子(…………)
ゴゴゴゴゴゴゴ
櫻子「あれ? ここですよね?」
京子「な、ななな」
櫻子「おっかしーな? ここ歯医者じゃん!」
京子「な、なんで歯医者に来てるんだ!?」ズガーーン
京子が放心状態で歯医者を見ていると後ろから声をかけられた。
あかり「ジャスト17:00分」
京子「あ、あかり?」
あかり「京子ちゃん、チェックメイトってやつだね」
京子(ど、どういうことなんだ!? なんで私は歯医者に!?)
京子(や、やっぱり、さくっちゃんは……)
あかり「櫻子ちゃんは何も知らないよ?」
櫻子「あれ? あかりちゃん?」
京子「っ! な、なら、なんで!?」
あかり「簡単なことだよ。京子ちゃんは全部あかりの手の上で踊っていたんだよ?」
京子(ば、馬鹿な!? どういうことなんだ!?)
あかり「まず、あかりの協力者。京子ちゃんは4人って考えていなかった?」
京子(そうだよ、結衣、ちなつちゃん、綾乃、千歳の……)
あかり「もう2人あかりには協力者がいたんだよ?」
京子「っ!」
あかりの後ろから一人の少女が現れた。
櫻子「あーーー! 向日葵!!」
向日葵「どうも、歳納先輩」
京子「ひ、ひまっちゃん?」
京子(よ、予想は出来たけど、というかこの状況はそうとしか考えられなかったけど……)
あかり「向日葵ちゃんには櫻子ちゃんを動かしてもらう重大な任務を担ってもらったよ」
櫻子「? 私?」
向日葵「どうしてもっていう赤座さんのお願いでしたので……」
京子「さくっちゃんは何もしらなかったって言うのは本当みたいだね……」
あかり「うん。櫻子ちゃんには、『偶然』裏口で『一人っきり』の京子ちゃんに会ってもらって、『一人で暇な』櫻子ちゃんが京子ちゃんを誘って、『大好きなプリン』を食べに行きたいっていう行動を『偶然』やってもらわないといけなかったからね」
京子「……さくっちゃんに何も話さなかったのも私を油断させるためってこと?」
櫻子「???」
あかり「さぁ? 何のことかなぁ?」
京子「くっ……」
京子(まだ、まだ大丈夫……)
京子(いざとなったらこのまま逃げれば…… 敵はあかりとひまっちゃん)
京子(二人なら、逃げきることも……)
京子(まて、さっきあかりは確かに、協力者は2人いるって……)
あかり「そうだよ、もう一人いるんだよ」
京子「!? な、なんで私の考えを……」
あかり「この状況をどうするか考えてたでしょ? あかりたちだけなら逃げ切れるって」
京子「っ!」
あかり「絶対に逃がさないからね。そのための最後の協力者」
あかりが手を上げると、近くに止まっていた車が動き出し、あかりの隣に停車した。
京子「!? に、西垣ちゃん!?」
奈々「よう、歳納」
あかり「先生だけじゃないよ?」
そういうと車の中から、結衣、ちなつ、綾乃、りせ、千歳、千鶴が現れた。
京子「な、なななな……」
あかり「さあ、どうするの? これで10対1、さらにこっちには移動手段として車もあるよ」
あかり「絶対に逃がさない、京子ちゃん包囲網の完成だよ!」
京子はそのまま地面に崩れ落ちた。
京子「ど、どうやってこんな……」
あかり「京子ちゃんが朝から準備をしていたようにあかりも朝から準備をしていたんだよ」
京子「そ、それにしても……」
あかり「まずは向日葵ちゃんにお願いして今回の作戦の片翼を担ってもらったよ。向日葵ちゃんはキーパーソンだったからね」
向日葵「櫻子に気付かれないように大変でしたわ」
あかり「その後は西垣先生に頼み込んだの。京子ちゃんの為にどうか力を貸してくださいって」
奈々「まあ、面白そうだったから手を貸した」
京子「……」
あかり「京子ちゃんが松本先輩や池田先輩を使っていたのは流石に防げなかったけど、あの後にこうやって事情を説明してここに来てもらったよ」
りせ「……」コクン
千鶴「姉さんがどうしてもって言うから」
あかり「さあ、京子ちゃん……」
あかり「時間だよ」
トシノウサーン ドウゾー トシノウサーン
京子「……」
京子(ま、負けた……)
京子(あかりに…… 完全に負けた……)
京子は敗北感と共にあかりに連れられて歯医者の中に入っていった。
歯医者
京子「はぁっ…… はぁっ……」ガクガクガク
あかり「京子ちゃん、あかりがついてるからね」ギュッ
奈々「おいおい、いくらなんでも怖がりすぎだろ?」
京子「こ、怖いなんてもんじゃ……」
ッギュイイイイイイン
京子「ひいいいいいいいい!?!?」ブンブンブン
奈々「一応拘束用の服を着せたけど顔は動いてしまうぞ? どうするんだ赤座?」
あかり「身体を動かせなくなっていることが重要なんです。後は麻酔を打ってもらって痛くないうちに治療してもらいます」
京子「いやああああああ!! たすけてええええええええええ!!」ブンブンブン
奈々「だけどこいつ錯乱状態だぞ? これだと麻酔を打つことも出来ないだろ……」
あかり「大丈夫です」
京子「いやああああ! だれかあああああ!」ブンブンブン
あかりは京子の顔を掴んで優しく京子の頭を撫でた。
京子「あ、あかり……?」
あかり「京子ちゃん、大丈夫。大丈夫だよ」
京子「こわい、こわいの……」
あかり「大丈夫、あかりがぎゅってしてあげるから」ギュッ
京子「あかり…… あかりちゃん……」
あかり「京子ちゃんはあかりだけを見ていて」
京子「うん……」
あかり「あかりを信じて」
京子「うん」
あかり「今回は痛くないから、本当だから」
京子「ん」
あかり「それじゃあ、まずはお口をあけてね……」
京子「ん」アー
あかり「それじゃあお願いします」
歯医者(め、めんどくさい患者だな……)
その後、手厚い看護体勢の元、京子は局部麻酔を使用され痛みも無いうちに治療は終了した。
次の日 ごらく部
京子「色々とお騒がせいたしました……」ドゲザァ
結衣「はぁ…… あかりに感謝しろよ?」
ちなつ「そうですよ、あんなに色々してくれたんですから」
あかり「いいよぉ~、あかりは京子ちゃんを助けたい一心だったんだからぁ」
京子「ううぅ…… 色々複雑な気分だ……」
結衣「それで歯はもう大丈夫なの?」
あかり「うん、浅い虫歯だったみたいだから、少し削って詰め物を入れてそれで大丈夫だったよ」
京子「みたいです」
ちなつ「覚えてないんですか……」
あかり「あの時の京子ちゃんはあかりだけ見てたから、ほかのことは何もわからなかったよね~」
京子「……みたい」
結衣「まあ、治療できたのならよかったよ……」
結衣「お前は、他のみんなにも謝っておけよ?」
京子「……仰せのままに」
結衣「ふぅ、それじゃあ、京子も治ったことだしアイスを食べようか」
京子「!」
あかり「そうしよっか~」
結衣「ほら、お前の分のラムレーズンだ」
京子「えっ!? どこで買ってきたの!?」
結衣「私の家に買い置きしてるやつだよ。お前が治ったら食べようと思って取っておいたんだ。それを持ってきた」
ちなつ「生徒会の冷蔵庫を借りたんですよ? 感謝してくださいね」
京子「うおおおおお!! ありがとーーーー!!」
あかり「それじゃあ、食べよっか~」
ちなつ「それにしても今回のあかりちゃんすごかったね」シャクシャク
結衣「本当だよね。あんなあかり始めてみたよ」シャクシャク
京子「私は完全敗北を喫してしまいましたよ……」モグモグ
あかり「だ、だって、京子ちゃんの命がかかってたんだもん」シャクシャク
京子「へ?」
ちなつ「命?」
結衣「?」
あかり「えっと~……」
カクカクシカジカ
ちなつ「あー、そういうことだったのね」
結衣「なるほどね。確かにその番組は私も見たけど、長い間放置したらの話だよ」
あかり「そ、そうだよねぇ」
あかり「あの時は頭の中が京子ちゃんを助けるっていうのがいっぱいになっていたんだよぉ……」
京子「あかりぃ……」ウルウル
京子「お前は何ていい子なんだよぉぉ!!」ダキツキ
あかり「きゃっ! 京子ちゃん~、暑いよぉ~」
キャッキャッウフフ
帰り道
京子「あのね、あかり……」
あかり「? どうしたの京子ちゃん?」
京子「今回、結構ドタバタとしちゃったけど、なんだかんだで楽しかったよね?」
あかり「……うん。そうかも」
京子「……今回は負けちゃったけど、次は負けないよ?」ニッ
あかり「ま、またこんな事をやるつもりなのぉ!?」
京子「いーや、今度は違う形であかりと直接対決をやってやる!」
あかり「ええー!?」
京子「次こそは私の完全勝利だからな! だから、次も本気でかかって来いよな!」タタタタ
あかり「あっ、まって京子ちゃん~~!」タタタタ
これからしばらく京子はあかりに対して、勝負を仕掛け続けることとなるのはまた別の話。
そして、その勝負では一度もあかりは京子に勝つことは出来なかったという。
あかりが次に覚醒するのはいつになるのだろうか。
それもまた別のお話。
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