モバP「今日が俺の開幕」 (37)

モバマスSSです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1462702667

以前書いていた野球シリーズというものになります。

今回のお話だけでも分かる話ですので読んでいただければ幸いです。

事務所

ちひろ「プロデューサーさんちょっとよろしいですか?」

P「どうしましたか?」

ちひろ「いえですね…ちょっとこれを見て欲しいんですが…」

P「え?あぁ、俺の勤怠表ですか」

ちひろ「えぇ。休みましょうね」

P「えっと…」

ちひろ「全休はそりゃ厳しいかもしれませんけど、半休は取って下さいね」

P「そうですね。でも……」

ちひろ「私だって最低限のことは出来ますから」

P「流石ですね」

ちひろ「伊達に毎日座ってないですよ」

P「最近はコスプレとかしてましたね」

ちひろ「あれは…しゅ…なんでもないです」

P「しゅ?」

ちひろ「なんでもありませーん」

ちひろ(趣味とは言えませんよね…)

P「そう言えば、その時の写真じゃないんですが…」ガソゴソ

ちひろ「どうかしましたか?」

P「『美人過ぎる事務員!』って見出しでチラッと映ってましたよ」

ちひろ「うひゃあ……恥ずかしいですね」

P「綺麗に映ってますよね」

ちひろ「よく見つけましたね」

P「貰ったんです」

ちひろ「な、なるほど…」

ちひろ(あとで買っておこう…記念に)

ちひろ「は、話が逸れましたが――」

P「休みの件ですよね。分かりました。タイミングを見て半休を取りますよ」

ちひろ「お願いしますね」

P「えぇ。任されました」

ちひろ「そう言えば今日はやけに事務所が静かな気がしますね」

P「野球が休みだから友紀たちがいないんですよ」

ちひろ「レッスン行ってるんですよね?」

P「えぇ。勿論。他に仕事行ってるアイドルもいますが」

ちひろ「それを聞いて安心しました。流石に野球休みの日は仕事も休みとか言い出したらどうしようかと」

P「ハメハメハ大王みたいな生活ですね。しかも野球ある日はあるから野球観てるので仕事してないでしょうし」

ちひろ「ハメハメハ大王も真っ青ですね」

P「週休7日みたいな感じですもんね」

ちひろ「ま。お仕事の息抜きって程度だと嬉しいですね」

P「あくまで本業はアイドルですからね」

ちひろ「そうですね。あ、そう言えばちょっとこの間ニュースで見たんですけど」

P「なんですか?」

ちひろ「今って色々なチームがOO女子みたいな形でキャンペーンみたいのやってるみたいですね」

P「そうですねぇ。各球団ともファンの開拓に力を入れてますし」

ちひろ「そういうの見てると思ったより入り辛くないのかなぁとかニュース見て思いました」

P「確かに野球観戦って男の人が…ってイメージありますよね。実際多いですし」

ちひろ「ですよね。きっと、アイドルの皆とかいたら目立つんじゃないかなとか思ってましたよ」

P「そうですね…目立たないようにしてるとは思いますがビール飲んでつい叫んじゃったりすると目立ちますよね」

ちひろ「友紀ちゃんですね」

P「えぇ。でも、そのおかげでファンが増えてるみたいですよ」

ちひろ「なるほど。なにがあるか分かりませんね」

P「そうですね。他のアイドルの子も言われなくないみたいですが大騒ぎされるほどじゃないみたいです」

ちひろ「ちなみになんですが、いいですか?」

P「なんでしょうか?」

ちひろ「私が一番似合いそうなユニフォームってどこのですかね?」

P「ん?」

ちひろ「いや、ほら、テレビでですね、ナマーズ女子とかキャッツ女子とか言われてる子たち皆ユニフォーム着てたのでつい……」

ちひろ「あ、いや、別に似合わないなぁ。とか思うなら平気なので、その…」

P「そうですね。多分――」

ガチャ

沙紀「お疲れ様ーっす!」

ちひろ「ひゃっ!」ビク

沙紀「あ、ごめんなさいっす」

ちひろ「いえいえ、大丈夫ですよ」

P「お疲れ様」

沙紀「お疲れ様っす」

P「どうだった?」

沙紀「問題ないっすよ!レッスンはバッチリっす」

P「流石だな。本番もよろしく頼むぞ」

沙紀「はいっす!」

ちひろ「頑張って下さいね」

沙紀「今日は皆お仕事なんすね」キョロキョロ

P「そうだな」

沙紀「アタシも頑張らないとなぁ」

P「沙紀も頑張ってるって」

沙紀「いや、もっと頑張らないとっす!」

沙紀「全力全開で駆け抜けたいんす!」

P「熱いな」

沙紀「Pさんが最高の舞台を用意してくれるからっすけどね」

沙紀「それに答えないと女が廃るっす」

P「そうだな!」

沙紀「アタシとPさんだったらどんな目標も達成出来そうすもんね」

P「そうだといいな」

沙紀「願いは言葉にすれば叶うっす。二人なら出来るに決まってるっすよ!」

事務所

沙紀「ふぃー」

P「さっきとは打って変わってリラックスしてるな」

ちひろ「ふにゃふにゃしてますね」

沙紀「切り替えが大事すよ。やっぱり」

沙紀「本気で遊ぶのも大事っす」

沙紀「だから、本気で休む時は休むんす…」グデー

P「飴食べるか?」

沙紀「飴っすか?」

P「糖分補給するかなと思ってさ」

沙紀「んー。大丈夫っす」

沙紀「明日は何をしようかなぁ…」

P「久しぶりの一日オフだもんな」

沙紀「そうっすね。部屋の掃除をしたり散歩でもしようかなと思ってるっす」

P「おー、満喫してるな」

沙紀「満喫しないと損すからね」

沙紀「Pさんは仕事っすか?」

P「いや、ちひろさんに言われたから午後半休を取ろうかと思ってるぞ」

沙紀「おー、おーおーおー」

P「どうかしたか?」

沙紀「いや、Pさんは休みの日何をするのかなぁと思ったんす」

P「そうだなぁ…いきなり貰えた休みだからまだ予定は組んでないな」

沙紀「お、そうなんすね」ソワソワ

ちひろ(傍から見てると面白いですねこのやりとり…)クスクス

ちひろ「なんだか沙紀ちゃんが買い物に付き合って欲しいみたいですよ?」

沙紀「へっ?」

P「そうなのか?」

沙紀「えーと……」チラ

ちひろ「~♪」

沙紀「そ、そうっすね。折角ならどこか行けたらいいかなと思わなくはないっす」

P「なるほどな。まぁ、俺も何もなければ買い物でも行こうかと思っていたから構わないぞ」

沙紀「あざっす!」

翌日

事務所

P「…よし」

ちひろ「お疲れ様でした」

P「お昼にその言葉を聞くと変な気がしますね」

ちひろ「まぁ、たまにはいいじゃないですか」

P「まぁ、そうですね」

ちひろ「結局沙紀ちゃんとお出かけするんですか?」

P「まぁ、買い物ですけどね。ショッピングモールで待ち合わせです。俺も買う物もありましたし」

ちひろ「なるほど。あんまり遅くなっちゃダメですよ」

P「当たり前ですって」

友紀「んー。今日はもう帰るの?」

P「まぁな。たまにはな」

友紀「そっかー。お疲れ様!」

P「ありがとな」

友紀「今度野球観に行こうね」

P「俺は友達かなにかか」

友紀「友達にだったらこんなお願いしないって」

P「そうなのか?」

友紀「うん。だってPさんじゃないと楽しくないじゃん」

P「え……」


ちひろ「野球詳しいですもんね」ヤレヤレ

P「あぁ、なるほど」

友紀「あー、うん。ま、それもあるけどね」

P「そこまで詳しい気はしないが、ありがとな」

バタン

友紀「はー……」

友紀「まぁ、野球詳しいからってだけじゃないんだけどね」ボソ

友紀「んー!今度はちひろさんも一緒に野球いこー」

ちひろ「そうですね。勉強しておこうかなって」

友紀「お、キャッツの勉強をしたいんだね!」キラキラ

ちひろ「お、お手柔らかに…」アハハ

ショッピングモール

P「さて…沙紀は」キョロキョロ

沙紀「あっこっちっす!」

P「お、お疲れ様」

沙紀「そ、そっちこそ、お疲れ様っす」

P「半休だと大分気が楽だよ」

沙紀「確かにそうかもしれないっすね」

P「それじゃ、サクッと買い物するか」

沙紀「う、ういっす!」

P「先にそっちの買い物を済ませるか?」

沙紀「アタシのは別に大したものじゃないっすから大丈夫っすよ」

P「そうか?ならいいけど」

沙紀「大丈夫っす!」

沙紀(ホントは特に買わないといけないものもないですし…)アハハ

本屋

P「本とかたまに読みたくなるよな」

沙紀「どんな本っすか?」

P「適当だけどな。なんでも読む感じだ」

沙紀「お、そうっすか」

P「そうなんだよ。沙紀も見たいものあったらいいぞ」

沙紀「今は大丈夫っすね。Pさんが何に興味あるか知りたい気もするっす」

P「そんなに面白いものでもないと思うが……」

沙紀「案外楽しいものっすよ」

P「ならいいが……」

沙紀「……うぅ」

P「どうかしたか?」

沙紀「いや、そうまじまじと見られても…恥ずかしいんすよ」

P「そうか」

沙紀「なんとも言えない気持ちっす」

P「良く撮れてるじゃないか」

沙紀「いや、それは嬉しいんすけど、やっぱりこうやって本屋で並んでるのを見ると恥ずかしいんすよ」

P「まぁ、そりゃそうかもな」スッ

沙紀「え、か、買うんすか?」

P「いや、まぁ、沙紀出てるし」

沙紀「えっと…ありがとうございます」カァァ

P「そんなに照れることないだろうに…」

沙紀「目の前で買われるのはまた違った感じっすよ」

P「俺は粗方終わったが、沙紀は大丈夫か?」

沙紀「大丈夫っすよ。アタシも平気っす」

P「てっきり、米とか買うのかと思ったけど違ったのか」

沙紀「アタシは実家住みすからね。そういうのはアタシは買わないっすよ」

P「言われてみれば確かにそうか」

沙紀「そうなんす」

P「それじゃ、これからどうするか?」

沙紀「そうっすねぇ」

P「帰るなら家まで送るけども」

沙紀「実はご飯要らないって言っちゃってまして…もし、Pさんがいいなら一緒に夜ご飯どうっすか?」

P「構わないけど」

沙紀「ありがとうっす」

車内

沙紀「なんだか申し訳ないっすね…」

P「いや、俺が車で来ただけだから」

沙紀「まぁ、そうっすけど」

P「ラジオ付けていいか?」

沙紀「ういっす」

P「どこか行きたい所とかあるか?」

沙紀「特になにか食べたいって訳じゃないっすね」

P「そうか」

P(流石に家に連れていくのはマズイな)

P「適当に食べるか」

沙紀「そうっすね」

『本日の野球の試合は~』

P「あぁ、そうか。今日は広島の方でスターズが試合か」

沙紀「みたいっすね。これからみたいすけど」

P「あぁ。そ――」

ピリリリ

P「あ、沙紀。悪い」

沙紀「大丈夫っすよ」

P(友紀?アイツどうしたんだ?)

P「友紀?どうした?」

友紀『あ、Pさんお疲れ―』

P「お疲れ様」

友紀『ちひろさんにさっき聞いたんだけど、沙紀ちゃんと一緒にいるの?』

P「いるな」

友紀『折角だったら寮で野球観ない?スターズの試合観ようよ』

P「珍しいな。キャッツの試合はいいのか?」

友紀『そっちは野球速報のアプリで追うから平気平気』

P「しっかり追うことは追うのな……」

友紀『勿論。ただ、正直育成の選手だから期待半分諦め半分なんだよねー』

P「なるほどな。ちょっと待ってな…沙紀」

沙紀「なんすか?」

P「寮で野球観ないか?って話なんだけど…」

沙紀「いいっすね。折角ですし行くっす」

P「だってさ」

友紀『りょうかーい。何かおつまみとか買ってきてくれるといいなっ!ばいばーい』



P「お疲れ様」

沙紀「お疲れ様っす」

友紀「お、こっちこっち」

P「友紀だけなのか?」

友紀「千奈美ちゃんとありすちゃんは他でテレビを観てるよー。キャッツ戦」

P「なるほどな」

友紀「ま。今はアタシだけって感じかな」

P「そうなのか。ほら、これおつまみ」

友紀「おっ、から揚げ?いいね!」

P「丁度食べたくなってな」

沙紀「たまーに食べたくなるんすよねー」

友紀「たまにならいいよね?たまになら」

P「まぁ、レッスン頑張ってるみたいだし。仕事の方も順調だしな」

友紀「わーい!」

友紀「これで始球式のお仕事があれば言うことはないんだけどねぇ」モグモグ

P「耳が痛いな」

友紀「その時の為に変化球練習しとくね」

P「スライダーか?」

友紀「イーファスかな」

P「なんでまたそんな球を……」

友紀「なんとなく…?」

沙紀「ストライクになったら球場は湧きそうすね」

友紀「練習しないとね」ゴクゴク

P「普通のストレートを投げるのが一番盛り上がると思うぞ…普通のアイドルの始球式なんてナチュラルイーファスみたいな軌道だし」

友紀「それは一理あるけどさー」

友紀「お、先発は今永なんだね」

沙紀「まだ勝ってないのが不思議すよね」

P「援護点がないからな」

沙紀「そりゃ、勝てないっすよね」

友紀「0点に抑えれば負けないけどねー」

P「でも、勝てないよな」

沙紀「んー、難しいっすね」


友紀「無理じゃなくて勝てないよねー」

友紀「先発が0点に抑えても抑えが抑えなきゃ勝てないんだよねぇ…」

P「どうかしたか?」

友紀「ちょっとあることを思い出してねー」

P「そうか」

一旦中座します。
申し訳ありません。

友紀「お、始まったね~」

P「向こうもルーキーだな」

沙紀「みたいっすね。巴ちゃんもいれば良かったんすけど」

P「そうだな」

友紀「サクサクっと抑えてるね~」

P「ホントにサクサクだな……」

沙紀「三振できっちり抑えられたっす…」

ットラーイク!

沙紀「こっちもサクサクっすね」

P「投手戦になるのか?」

友紀「今永欲しいなー。ウチに来てくれたら援護一杯だよ」

沙紀「そうっすかね…?」

ムゲンノパワー

カットバセーブラッドー

沙紀「あー……」

友紀「初回からピンチだねぇ」

ットライーク!

沙紀「よしっ!」

P「おー、空振り三振」

友紀「アウトは全部三振とかカッコいいね」

友紀「ちょっと、ウチの杉内に雰囲気が似てる気がするな~」ゴクゴク

沙紀「お、これは先制のチャンスっす!」

P「今の後逸は痛かったな」

友紀「Pさんはどっちの応援をしてるの?」

P「どっちだろうな」

友紀「それじゃ、キャッツの応援でもしようよ!ちょっと、千奈美ちゃんの所で途中経過見て来るね~」

カキーン

沙紀「打ちました!」

P「おぉ、久しぶりの援護点だ」

沙紀「良かった。良かったっす!」ガシッ

P「お、おう」

ワー

P「ん?」

沙紀「んん?」

P「ボールがグラウンドを転々としてる…」

沙紀「一体なにが…」

P「あ、ハイライト出るぞ」

沙紀「結構ダイナミックな暴投をしたんすね」

P「画面から消えたな」

沙紀「魔球っすね。アタシがキャッチャーなら多分球がどこ行ったか分かってなかったす」

P「全くだよな」

沙紀「お、今永がスクイズを決めたっすね」

P「今までの試合で一番援護点を貰ったな」

沙紀「自分で援護するのも大事っすよね」

P「そうだな」

P(そういや、友紀はどうしたんだ…?結構な大差で負けてたりするのかな?)

沙紀「球数が気になりますけど完封ペースっすね」

P「そうだな。流石に100球超えて来てるからやらせないとは思うけど…」

沙紀「いずれにせよこの回が大事っすね」

カキーン

沙紀「先頭出しちゃいましたね」

P「今の監督だとここでリリーフを出しちゃいそうだが…どうだろうか」

沙紀「それは辛いっすね」

P「お、今回は続投みたいだな」

沙紀「良かったっす」

P「この一三塁を凌げばなんとかなるな」

沙紀「この回抑えて交代っすかね」

P「抑えられればな」

カキーン

沙紀「あっ!」

P「やばっ…くなかった。セーフ」

沙紀「なんとか抑えましたね」

P「あぁ、ライナーと今の当たりは正直怖かった」

沙紀「寿命が縮んだっす」

カキーン

P「おっ?」

沙紀「やったー!」

P「ホームランか。復帰してから打ちまくってるなぁ」

沙紀「スターズの原動力っすよ!」

沙紀「Pさん!」

P「ん?」

沙紀「ハイタッチっす!」

P「おう!」パシィン

ガチャ

友紀「ただい…なにしてるの?」

P「お、スターズがホームラン打ってさ」

友紀「おー…それは良かったね」

P「テンション低いな。負けてたのか?」

友紀「んー。途中まで良い球投げてたんだけどさー。左バッターのインコースにフロント気味で」

P「うん」

友紀「スタミナ切れか分からないけど、打たれちゃったね」

友紀「ヒラータ、ビシエド、ナニータ、エルナンデスって並びはズルいよね。ドミニカンが中軸打ってるなんてさ」

P「少なくとも一番最初の奴は日本人だけどな」

友紀「3-6番まで気が休まらないよ。1.2番も調子良かったしさ」

P「まぁ、しょうがないな」

友紀「そういうことにしとこうかな。バッターが好調なのはいいよね」

P「本当だよな。どこからでも点が取れる訳だし」

友紀「うんうん」

沙紀「お二人ともキャッツの話も良いすけど、スターズの試合ももう終わるっすよ」

友紀「6-0か~大勝だね」

P「援護率が一気に上がったな」

沙紀「一試合で結構上がったんじゃないんすかね」

友紀「こういう大量点の時は次の試合にも取っといて。って思っちゃうよね」

沙紀「本当にそう思うっす」ウンウン

アナウンサー『今の気持ちはどうですか?』

今永『単純に遅すぎたかなとは思うんですけど、こんなに勝つことが大変なんだなと思って、今はホッとしてます』

友紀「そりゃ、ようやく勝てたんだもんねぇ」

アナウンサー『好投が続きながら勝ちがつかなかった』

今永『この4敗は自分の力が及ばなかったということなので、今日は過去の自分に勝ったので、何とかこうやって初勝利をつかめたのかなと思います』

P「ルーキーのセリフかそれは…」

アナウンサー『今日は向こうもルーキーでしたね』

今永『同期入団で絶対に負けてはいけないと思いました』

今永『僕が対戦するのはナマーズの打線なので、変な意識はせずに、絶対に負けないぞという気持ちで臨みました』

沙紀「アタシらも同じ年のライバルたちには負けてられないっすよね!」

アナウンサー『立ち上がりはボール先行、球速も出てないように見えたが』

今永『今日は調子が悪いと割り切って、そこからどうしようかと』

今永『真っ直ぐは意外と走っていたので、バッターの反応を見ながら何とか外しながらいけたかなと思います』

P「調子悪いなら悪いなりにしっかり纏めないとだよな。何事も」

沙紀「調子悪くてあの球ってのは反則っすよ」

友紀「キャッツも指名しておけばよかったのになー」

アナウンサー『この1勝を次につなげていきたい』

今永『何とかやっと自分自身が開幕できたと思うので』

今永『まずは自分自身が借金しているので、何とかそれを自分で取り返して、自分が投げる試合は絶対に勝ちたいと思います』

P「年下とは思えないくらい大人だ……」



沙紀「あ、そろそろ…」

P「お、そうだな。帰らないといけないな」

友紀「泊まっていってもいいよ?」

沙紀「いや、流石に帰らないといけないっす」

友紀「そっかそっか。それじゃまた明日~」

沙紀「お疲れ様っす!」

P「それじゃ、帰るか」

沙紀「え、あ、はい。その申し訳ないっす。送らせて」

P「気にするな」

沙紀「帰るまでが遠足。みたいな感じっすね」

P「俺は引率の教員かなにかか?」

沙紀「いいえ。アタシのプロデューサーっす」

車内

P「いやー、野球面白かったな」

沙紀「やっぱり勝つから面白いっすよね」

P「そうだな」

沙紀「あとは今永の投げっぷりが良かったすね」

P「140キロで空振りが取れるのは見てて気持ちがいいよな」

沙紀「そうっすね。空振りは見てて気持ちいいっす」

沙紀「いや、いいオフを満喫出来たっす」

P「俺もいいリフレッシュになったよ」

沙紀「そうすか?あんまり変わらなかった気もするんすけど…」

P「仕事の話は全くしてないから個人的には結構違うさ」

沙紀「確かに野球の話しかしてなかったすね」

P「だろ?」

沙紀「ういっす」

P「高速使うと神奈川ってすぐだよなぁ」

沙紀「そうっすね」

P「便利だよな。本当に」

沙紀「電車でもそんなに掛からないっすもんね」

沙紀「そう言えばPさん。一つ良いっすか?」

P「どうした?」

沙紀「さっき。と言ってもお昼の話なんですけど」

P「おう」

沙紀「アタシが載ってる本買ってたじゃないすか」

P「買ったな。今も鞄の中に入ってるぞ」

沙紀「それは知ってるすけど……その、どうっすか?」

P「ん?」

沙紀「か、感想聞きたいなぁって」

P「あの和服姿の?」

沙紀「それ以外ないじゃないっすか」

P「似合ってると思うぞ」

沙紀「もっとこう…なんというか…」

P「そうだな…沙紀っぽさが出てた気がしたな。上手く伝えられないが」

沙紀「そ、そっすか。なら良かったっす。えへっ」

P「あとは……」

P(ちょっと上半身の露出が多かったなぁとは思ったが言えないよな)

沙紀「どうかしたんすか?」

P「あ、いや、ちょっと考え事」

沙紀「変なことでも考えてたんすか」ニヤニヤ

P「変なことってなんだ?」

沙紀「なんだ?ってそりゃ、その……うー!」カァァ

P「ど、どうした?」

沙紀「な、なんでもないっす!」

沙紀(考えてみたら今って二人きりなんすよね。ナイトドライブって奴すよね)モヤモヤ

沙紀「Pさん、ちょっといいすか?」

P「改まってどうした?」

沙紀「ん。いや、大したことじゃないんすけど」

沙紀「アタシはライブもそれ以外の撮影もファンの皆との関係性も一つのアートだと思うんす」

P「言ってたな」

沙紀「今年一発目のお仕事はさっきの写真にもあったライブでいい感じでスタートを切れたと思うんすよね」

沙紀「だから、これからも頑張っていきたいなって思ったんす!」

沙紀「アタシも周りのアイドルに負けないようにって思いで頑張るっす」

P「そうだな。頑張ろう」

沙紀「それとアレっすね。アタシとPさんの関係も一種のアートだと思うっすよ」

P「俺との関係もか?」

沙紀「そうっす。当然じゃないっすか。ライブだってなんだって、アタシとPさんが一緒に作り上げたアートっすよ」

P「まぁ、確かに作品と言えば作品なのか」

沙紀「そうっすそうっす」

沙紀「それにもっと言ってしまうと、アイドル吉岡沙紀もアタシとPさんの作品っすよ」

沙紀「Pさんがプロデュースして、アタシがそれを表現して吉岡沙紀を生み出してるんだなぁって写真見た時そう思ったっす」

沙紀「その…今のアタシはPさんがいなきゃいなかったっす」

P「沙紀…」

沙紀「な、なーんか照れくさいっすね」アハハ

P「言われてるこっちも少し恥ずかしいしな」

沙紀「あはは。熱いっすね!高速降りたしちょっと窓開けるっす」

沙紀「よっと」

P「お疲れ様」

沙紀「こちらこそ送って下さってあざっす」

P「また明日からもよろしくな」

沙紀「勿論っす」

沙紀「あ、そうだ。Pさん手貸して貰ってもいいっすか?」

P「手?どうした?」

ギュ

沙紀「これからも一緒に行くっすよ!アタシはPさんと違って口とか上手くないんであんまり言葉じゃ伝えられないんで

行動で示してみ、みましたっす」

P「沙紀らしいな」

沙紀「らしいなって言われると少し恥ずかしいっすね」

沙紀「スプレーガンはキャンバスに。アタシの想いはPさんに」

沙紀「いーつか、アタシ色にPさんってキャンバスを染めてやるっすから!」

沙紀「それじゃ、おやすみっす~!」

P「結構口上手いと思うんだけどなぁ…」ポリポリ

P「…帰るか。明日も仕事あるし」

玄関

沙紀「……」

沙紀(い、言い過ぎたぁ…)カァァ

沙紀(な、なんすかアレ。アタシ色に染めるってすげぇクサいっす。昔のドラマでも言わなそうっすよ)

沙紀(呆れてなかったっすかね?明日からも一緒に仕事してくれるっすよね?)

沙紀「ま、まぁ…嘘入ってないんすけど」

翌日

事務所

千奈美「お疲れ様」

P「お、お疲れ様」

千奈美「まだ、他の皆は来てないのね」

P「千奈美が一番乗りだ」

千奈美「まぁ、朝一からレッスンが入っていたしね」

P「確かにそうだな」

千奈美「そう言えば昨日寮の方に顔出してたみたいだけど」

P「あぁ、友紀たちと野球観てたな」

千奈美「野球…ね」

P「そっちも観てたんだろ?」

千奈美「えぇ…。ニコニコ顔の友紀さんが凹んでいく様は心が痛んだわ」

P「あぁ…お疲れ様」

千奈美「まぁ、私は特に疲れてないから問題ないわ」

P「そう言えば、パイロンズ好調だよな」

千奈美「えぇ、下馬評を覆す勢いね」

P「これでシーズン終わって首位だったらセリーグ面白いよな」

千奈美「そうね。楽しみだわ」

千奈美「まさに伏竜が奇跡を呼んだ。という形かしらね」クスクス

終わりです。

読んで下さった方ありがとうございました。

今回のタイトル並びに最後の伏竜の下りはパワプロのシナリオ名から拝借致しました。

失礼いたしました。

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