【安価】女神「はあ……」男「えっ」 (45)
女神「もう一度問います。あなたは伝説の勇者の末裔ではないのですね?」
男「あ、はい。まあ、多分。というかここどこです?」
女神「はあ……。まさか失敗するなんて……」
男「すみません。全然状況が把握できないのですが……」
女神「こうなったら仕方ありません。あなたに魔王を倒してもらいます」
男「えっ」
女神「えー、ごほん。あなたはこの私に勇者として選ばれました」
男「えっ」
女神「勇者を呼ぶ術であなたが来たのです。どこの誰かは分かりませんが、勇者の才能があるということなのです」
男「明日は仕事があるんですけど……」
女神「魔王を倒さなければ世界は滅びます。あなたの大事な家族や、恋人……は、居なさそうですね」
男「……」
女神「この湖を見てください。今もなお、こうして世界は崩壊へと向かっているのです」湖ピカー
男「どこだこれ」
女神「あなたの知らない場所ですが、確実に世界は崩壊しています。それは魔王の手によって」
男「そうは言われても、何も出来ないですよ」
女神「だからこそ、私が手を貸すのです!」
男「?」
女神「私の能力、"ギャンブルゲート"を使うのです!」
男「?」
女神「あれ? 知らないのですか? まあ、使ってみればわかります。早速ですが、魔物退治に行きましょう!」
男「ちょ、ちょっと待って、話がぜんぜん飲み込m―-」
女神「さて……倒せますかね……魔王」
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男「うわっ!」ドスン
女神《勇者よ、聞こえますか》
勇者「えっ、なにこれ、どうやって返せばいいんだ?」
女神《聞こえてますよ》
勇者「というかここどこ!?」
女神《そこはメジハ村の近くにある森の中です》
勇者(どこ?)
女神《メジハ村はまだ魔物に襲われていませんが、時間の問題です》
勇者「それで俺は何をすればいいのでしょうか……」
女神《まずはメジハ村に向かってください》
勇者「わかりまs……すみません道案内お願いします」
村長「おお、あなたが勇者様ですか……?」
勇者「みたいですね……」
村長「うーん……。うーーーん」
勇者「あっ、話しづらいですよね」
村長「あ、いえいえ、疑ってるわけではない……わけでもないこともないですけど、その……魔物退治は大変危険ですので」
勇者「一応聞くだけって形で、どうでしょう? 危なくなったら帰ってきますので」
村長「そう、ですか。わかりました。最近村はずれの畑が荒らされる事が多くて、村の若者達が原因を探っていたのですが、それがどうやら魔物の仕業らしいのです」
勇者「ふむふむ」
村長「その魔物を泳がせて、魔物の住処を見つけたのですが、私達じゃどうしようもなく……」
勇者「分かりました。地図とかはありますか?」
村長「ええ、はい……これです」
女神《住処に着く前に"ギャンブルゲート"の説明をしておきますね》
勇者「お願いします」
女神《私の"ギャンブルゲート"は、異世界への門を開き特殊な能力を得ることが出来ます》
勇者「特殊な能力?」
女神《ええ、どんな能力になるかは分かりませんが……》
勇者「なるほど、だからギャンブルなんですね」
女神《……代償ももちろん何になるかは分かりません。それと、これは本来私が私の為に使う能力ですので、あなたに使う場合は制限が付きます》
勇者「代償に制限?」
女神《はい。代償は先程の能力と同じくして何になるかは分かりません。それと制限ですが、一回のみの使いきりになります》
勇者「使いきり、ということは同じ能力は使えないのですか?」
女神《うーん、同じ能力は使えます。ですが、一回の戦闘につき能力は失われる、と言ったら分かりやすいでしょうか?》
勇者「つまり、戦闘の初めに毎度"ギャンブルゲート"を使わなければならない、と」
女神《その通りです!》
勇者「ふむ、丁度住処に着いた時に説明が終わりましたね」
女神《能力を使う時は、声高らかに「ギャンブルゲート!」と叫んでくださいね。そうしたら私が能力を行使します》
勇者「分かりました。それでは、住処に入ります」
女神《いってらっしゃい》
―-魔物の住処
勇者「む、あれが魔物かな?」
???「ピキー! ボク悪い魔物だよ!」
勇者「出たな悪い魔物め! ええい! 名前がわからん! 名乗れ!」
スライム「ボクは悪いスライムだよ! 人襲うよ!」
勇者「なんて悪いやつなんだ。倒すしか無いな。では能力行使! ギャンブルゲート!」
女神《はいはーい。今使いまーす、ちょっとまってね》
勇者(あれ、俺叫ぶ必要ないんじゃ)
女神《では、能力獲得の扉よ開け! >>5 ついでに代償獲得の扉も開いちゃう >>6》
ksk
電撃最強魔法
女神《あなたの能力は"ksk"、代償は"電撃最強魔法"……です♪》
勇者「え? 能力もわからないけど、代償はもっとよく分からない……」
女神《それと伝え忘れてましたけど、能力発動したら私は喋れなくなるのであしからず~》
勇者「!?」
スライム「ピキー!」
勇者「げっ!」
スライム「!?」
勇者「うわっ!なんだこれ!めっちゃ体が軽い!」ゴロゴロ
スライム「人間倒す! 倒してレベル上げる!」タイアタリッ
勇者「ふははは! そんなノロマな攻撃あたらんよ!」
ピカッ
勇者「え?」ズドン
スライム「」クロコゲ
勇者「し、死ぬかと思った……。洞窟を突き抜けて雷が落ちてくるなんて……」ゴロゴロ
ズドン
勇者「うわあああああ! 危ねえ!」ゴロゴロゴロゴロ
ズドン 「ひいっ」 ズドン 「し、しぬっ……」 ズドン 「まさか」 ズドン 「追ってきてる!?」
勇者「結構深くまで来てしまったが、まだ追ってきてる!」 ボヨン
勇者「!? 行き止まりか!?」
巨大スライム「私の一部を倒したのは貴様か」
勇者「ち、違う! 成り行きで死んだんだ! 俺も死にそう!」ズドン 「ひいっ」
巨大スライム「ならば[ピーーー]」
勇者「話の分からない奴め! お前も巻き込まれろおおおお!」
ズドン
勇者「はあっ……はあっ……」
巨大スライム「……貴様……」
勇者「くそっ、体が重い。もう限界か……」
女神《勇者、生きてますか?》
勇者「……多分」
女神《スライム相手に大分苦戦したみたいですね?》
勇者「雷は?」
女神《? よく分かりませんが、戦闘が終われば能力は消えますよ。代償ももちろん》
勇者「そっか……ははは、危なかった」
女神《数が多かったんですか?》
勇者「一つ聞くが、スライムが最弱なのか?」
女神《そうですね。スライムを倒せないようじゃ先が思いやられますね》
勇者「はあ……勇者辞めたい」
女神《ダメですよ♪ 勇者にはちゃんと勇者になってもらわないと、他の場所ではもっと強い魔物に襲われてる人達もいるんですからね》
勇者「そっか、そうだよな」
女神《やれるところまで、頑張りましょうね♪》
勇者「どうせ解放してもらえないなら、魔王を倒すしか無いか」
女神《その意気です! 勇者は心から、ってね》
勇者「なれるかな」
女神《なれますよ》
ズズズ
勇者「な、なんだ? スライムが、動いてる!」
ペリ……ペリペリ……
チビスライム「ピキーーーッ!」
勇者「な、スライムからまた新しいスライムが!」
女神《え!?》
勇者「能力を使うか?」
女神《待ってください、そんな連続で使えません! 能力なしで倒せませんか?》
チビスライム「」プルプル
勇者「いけそう」
チビスライム「ピキー!」
勇者「……!」
チビスライム「ピキー!」プルプル
勇者「……」
チビスライム「ピキー!」プルプル
勇者「……?」
女神《勇者! 勇者! もしかしてやられてしまったのですか!?》
勇者「え、いや。さすがに負けてはないけど」
女神《では苦戦しているのですか?》
勇者「あー、いや……。なんというか」
チビスライム「」プルプル
勇者「敵意がない」
女神《そんな筈はっ!》
勇者「おいで」
チビスライム「♪」ピョン
勇者「可愛いな。飼おう」
女神《な、何を考えているんですか!?》
勇者「えっ? でも、全然敵意ないし、つぶらな瞳だし、可愛いし……」
チビスライム「ピキー」プルプル
勇者「そうだ、お前に名前をつけよう」
女神《な、名前ですか? そう言えば呼んで貰ったこと一度もないような……》
勇者「チビ? スラ太郎? うーん……。そうだ、>>13。お前は>>13だ!」
―-
寝ます
明日の夜くらいに続き書きます
書き溜めないので遅くてすみません
ドラゴン
勇者「チビ? スラ太郎? うーん……。そうだ、"ドラゴン"。お前は"ドラゴン"だ!」
女神《えっ?》
ドラゴン(チビスライム)「ピキーーーーーー!」
勇者「よーしよし、ドラゴン。強くなって俺を助けてくれよ」
ドラゴン「ピキー!」
女神《正気の沙汰じゃないわ……》
村人「村を襲ったと思われるスライムの死骸を確認しました」
村長「全部か?」
村人「いえ……一匹だけ。ですが魔物の気配は無くなっていたので恐らく村が襲われることはないだろうかと」
村長「そうか……。勇者様、魔物を無事退治していただきなんとお礼を申し上げたものか」
勇者「いえいえ、信じろって言う方が難しいですよ」
村人「武器も防具もないしな……」ボソッ
村長「こら!」
ドラゴン「ピキー!」
勇者「あっ、こら、出てくるな!」
村長「ま、魔物!?」
村人「貴様ァ! やっぱり勇者なんかじゃなかったな! 魔物を手引きしてこの村を滅ぼすつもりだったんだなァ!」ジャキ
勇者「俺が勇者だって全然信じてなかったな!?」
ドラゴン「ピキーーー!」
女神《戦ってはダメです! 逃げましょう!》
勇者「元々逃げるつもりだ!」ダッ
村人「待て! 貴様の血で盃を上げてやる!」ダッ
勇者「そんなに血気盛んならお前らが倒せよ!」ダダダッ
村人「ウオオオオオオオ!」ダダダッ
勇者「はあっ……はあっ……」
女神《あなたは考えが甘すぎるんです! 魔物を連れて歩くなんて!》
勇者「はあっ……はあっ……」
女神《大体勇者が魔物と一緒にいるなんてどうかしてます! 魔物と勇者というのは水と油、絶対に相容れないものなんですよ!?》
勇者「はあっ……はあっ……」
女神《勇者になれるかな? なんて言ったから勇者としての自覚が芽生えたかと思いましたが、とんだ思い違いでしたね! そんなんで勇者になりたいなんて言わないでください!》
勇者「ちょ、ちょっと待って。もうちょっと体力回復してから、続きお願い」
ドラゴン「ピィ……」プルプル
勇者「こんなに可愛いのに……」
女神《続けていいですか?》
勇者「勘弁して下さい」
女神《はあ……あなたに勇者らしさはもう期待しません。魔王さえ倒してくれればいいです》
勇者「あっはい」
女神《では次の目的地に向かいましょう》
勇者「次は一体どこへ?」
ドラゴン「ピィ!」
勇者「おーよしよし」
女神《次は少し大きな街で、名前を"メンバニ"と言います。最近奇妙なことが頻発しているらしくて……って聞いてます?》
勇者「え? ああ、うん?」
女神《ああ、うん? じゃないですよ! あなたには勇者としての自覚が足りないです! もっと皆を救う気持ちを持って……》グチグチ
勇者(えぇ……)
女神《はあ……まあ、いいです。メンバニの街で奇妙なことが起きているということ以外は分かっていません。実際に行って聞いてください、じゃ》
勇者「じゃ、じゃないですよ。どうやって行けばいいんです?」
女神《……》
勇者(怒らせちゃったかなあ)
ドラゴン「ピキー!」
勇者「よしよし、次は大人しくしておくんだぞ」
勇者「案の定迷いましたとさ」
女神《……》
勇者「外も暗いし、これは森のなかで野宿かなぁ?」
女神《……》
勇者「すみません、ほんと。街まで案内してください」
女神《私は案内人じゃないんですけど》
勇者「女神様、どうかお願いします」
女神《……ま、野垂れ死にされても困るし、案内してあげる》
勇者「流石だぜ!」
ドラゴン「ピィ!ピィ!」
――メバンニの街
勇者「ドラゴン。この鞄の中から出てきちゃダメだぞ。それと鳴くのも駄目だ。俺がいいって言うまで静かにしてるんだぞ」
ドラゴン「ピィ!」
女神《さっさと倒したほうがいいと思うけどね》
勇者「無駄な殺生はしない主義なんだ。そもそも殺生したくもないんだけど」
女神《甘い考えは捨ててくださいね!》
勇者「はいはい」
門番「おい、止まれ。さっきから一人でブツブツ何を言っている」
勇者「傍から見たら頭おかしいよなあ、やっぱり」
門番「旅人か? にしては軽装だな」
勇者「信じてもらえないかもしれませんが、実は勇者なんです」
門番「はっはっはっ! これはこれは勇者様! お会いできて光栄ですな!」
勇者「はっはっはっ! これはこれは、全然信じてませんね?」
門番「勇者様の名を騙るな! ひっ捕らえろ!」
勇者「どうしてこうなった」
ドラゴン「ピキー!ピキー!」ピョン
門番「こいつ! 魔物を手引するつもりだったのか! 魔物は殺せ! こいつは牢にぶち込め!」ジャキ
勇者「ドラゴーーーン!」
門番(どう見てもスライムだろ、頭おかしいのかこいつ)
ドラゴン「ピキーー!」ピョンピョン
門番B「逃げたぞ! 追え!」
勇者「俺も逃げよう」
門番A「そうはいくか。大人しく捕まっておけ。死にたくはないだろう?」
勇者「あー……」
女神(はあ……)
門番A「おらっ! くれぐれも逃げ出そうとか考えるんじゃないぞ! 窓の鉄格子が少し外れかけているが触るんじゃないぞ!」
勇者「えっ」
門番A「絶対触るんじゃないぞ!」
勇者「あっはい」
門番A「あの魔物の討伐隊で人が暫く居ないが、逃げ出そうなんて考えるなよ!」
勇者(なんなんだこいつ)
門番A「ふん」スタスタ
勇者「えーと……、まあ、鉄格子が気になりますよね」
――
食事風呂済ませてきます
女神《さすがに怪しくないですか?》
勇者「えっ、でも開きましたよ?」ガコッ
女神《少しは躊躇してくださいっ!》
勇者「あっ、外に出れそう」
女神《勇者なのに脱獄するなんて……》
勇者「謂れ無き罪を着せられて黙っていろと言うのですか?」ヨイショ
女神《むむむ……》
勇者「は? え?」
女神《どうしましたか? 外に出たら衛兵に囲まれたんですか? 自業自得ですよ》
勇者「外に出たと思ったら牢屋の中に居た」
女神《んん?》
勇者「確かに外の景色はあって、鉄格子も外れて、外に出たはずなんだけど……居るんだよねえ」
女神《寝ぼけてるんですか?》
勇者「そうかもしれない。もう一度出てみる」ヨイショ
勇者「無限牢屋」
女神《全然分かりませんが》
勇者「これって、もしかして、魔物の仕業だったりします?」
女神《街中に魔物ですか? 襲われたという話は聞こえていませんのでそれはないかと》
勇者「奇妙なことが起こるっていう」
女神《あっ……どうなんでしょう……?》
勇者「でも、そんなことして魔物は何の利益を得ているのだろう?」
女神《うーん……私も魔物に特別詳しいわけではないのでちょっと分からないです》
勇者「……幻覚か?」
女神《何か変なものでも食べたんです?》
勇者「俺に幻覚を見せて何になる……」
勇者「幻覚を見せる……? 何故自分が幻覚を見ているのではなく、見せられていると思うのか」
勇者「それは俺が"正常"だからだ!」
勇者「攻撃ッ! 俺は今襲われているッ! 俺を脱獄させないための!!」
女神《被害妄想もほどほどにしてくださいよ?》
勇者「"ギャンブルゲート"ッ! 俺はこの見えない敵を倒すッ!」
女神《はあ……。無駄に使わないでくださいよ……》
勇者「明らかに殺意を感じる! 見えない何かが迫ってくる! 早くッ! 速くッ! 疾くッ!」
女神《はいはい。異界へのゲートよ、勇者に力を与えるために開き給へ 能力「>>24」 代償「>>25」》
明日の晩御飯がわかる
必中即死魔法
女神《あなたの能力は"明日の晩御飯がわかる" 代償は"必中即死魔法"です♪》
勇者(あ、死んだわ)
女神《では発動は止められないので……さよなら》
勇者「あー……明日の晩御飯なんだろうな……」ピロン
【野草】
勇者(野宿だコレ!)
勇者「……ッ! 死が確実に近づいてくる! これが必中即死魔法か……」
勇者「一度でいいから、魔法を使う側になってみたかったな……」
――ピキーッ!
勇者「ドラゴン!」
勇者「視界が、ひび割れて……」
???「お前、ただのスライムじゃないな……?」
???「何故人の味方をする」
ドラゴン「ピキーッ!」
???「ちっ……分が悪いな……」
???「勇者の体の一部は良いコレクションになると思ったのだがな」
勇者「……鳥……?」
???「さらばだ、勇者。また会おう」
勇者「……目が、霞む」
――者! 勇者!
勇者「ハッ」
女神《勇者! 生きてますか!?》
勇者「生きてる」
女神《なんで生きてるんですか!?》
勇者「そんなこと言われても……素直にへこむんですけど」
女神《あっ、今のは言葉の綾というか……どうやって生き残ったんですか?》
勇者「それは……確証はないけど……恐らく全部幻覚だったんじゃないかな」
女神《全部……?》
勇者「無限に続く牢も、必中即死魔法も、俺を捕らえた門番も……街も」
女神《もしかして、街も幻覚だったんですか!?》
勇者「そう……俺が見た街は"メンバニ"の街じゃなかった」
女神《……》ゴクリ
勇者「"メバンニ"の街だったんだ!」
女神《なぁにそれ!》
勇者「詳しくは>>18を見てくれ!」
女神《何の話をしているんですか!?》
勇者「はあ……」
女神《何唐突にため息ついてるんですか!?》
勇者「まあ、うん。街にはついてなかったってことで……こんどこそちゃんと"メンバニ"の街に行こう」
女神《あっ、はい》
勇者「道案内よろしく」
女神《扱い雑じゃないです? 女神様なんですけど!?》
――メンバニの街
勇者「空腹でも野草は食べたくないものだな……」
女神《勇者、もしかして忘れてないですか?》
ドラゴン「ピ、ピィ……」
勇者「ドラゴンも飢えさせてごめんな。宿の中まで我慢してくれ」
ドラゴン「ピィ!」
女神《本当に分かっているんですかね……》
勇者「ちゃんと言葉が分かるんだぞ! ドラゴンは!」
女神《あなたのことですよ》
勇者「え?」
女神《宿に泊まるのも、ドラゴンに食べ物をあげるのも、勇者の空腹を満たすのも、何が必要ですか?》
勇者「……メンバニの街ならそれを全て解消できるってことか!?」
女神《現実逃避しないでください。お金ですよ! 持ってませんよね!?》
勇者「お金ってなんだっけ?」
女神《はあ……乞食みたいに恵んでもらうか、なんとかしてお金を稼ぐしか無いですよ》
勇者「う、うぅ……貧乏が憎い!」
女神《貧乏どころか無一文ですよね》
勇者「ギャンブルゲートで食べ物出せないですか? それかお金」
女神《何だと思ってるんですか……》
勇者「うう……お腹すいた……」
女神《倒れてしまう前にギルドに行きましょう》
勇者「お金が貰えるのか!?」
女神《働けばね♪》
勇者「FU●K!」
女神(たまによくわからないこと言うのやめて欲しいなあ)
――メンバニギルド
勇者「お金か食事か……それか仕事でもいいんで何かください」
マスター「お、おう。腕に自信があるのか? 武器も持ってないみたいだが。武闘家にしては筋肉もねえし」
勇者「自信もなけりゃ武器もない、筋肉もなけりゃ金もない。だが、悪い魔物を殺すことは出来る。仕事をくれ、飯でも良い」
マスター(なんだこいつ……ハッタリなんかじゃねえ……マジな野郎のする目つきだ)
マスター「……お前を見込んで仕事を旋回してやる。とびっきり危険なやつをな」
勇者「普通のでいいです」
マスター「この街の地下深くに封印されている魔神がいるのは知っているな?」
勇者「知らないです」
マスター「その魔神が復活しそうなんだ。その魔神を抑えつけて再度封印を施したいんだが、誰もやりたがらねえ」
勇者「でしょうね」
マスター「だが、お前みたいな奴がいればなんとかなりそうだ。ハハッ! 頼むぜ! 相棒!」
勇者「!?」
マスター「俺とお前と、あそこにいるちっこい奴の三人で魔神を封印する」
勇者「三人で!?」
マスター「俺はお前のサポートをする、お前が魔神の体力を削れ。そしたらあそこのちっこいのが封印術式を組む」
勇者「俺が!?」
マスター「あいつはああ見えて、魔術のエキスパートなんだ。呪文の研究もやってるんだぜ! まあ、うまくは行ってないみたいだがな」
勇者「不安だ」
魔法使い「さっきから聞いていればちっこいのちっこいのと、人を馬鹿にするにも程がある!」
マスター「もう身長止まっちまったんだろ? 残念だけどこの呼名はもうずっと変わらないな! ハッハッハ!」
魔法使い「うぅ……おい、お前!」
勇者「はい、なんでしょう」
魔法使い「お前は、わた、ボクのことをちっこいのとかチビとか言うなよ!」
勇者「じゃあなんて呼べば……」
魔法使い「じゃあってお前もやっぱりそう呼ぶつもりか! 普通に魔法使いと呼べ!」
マスター「魔法使いって名前は普通じゃないけどな」
勇者「総称だよなぁ……」
魔法使い「う、うるさーーい!」
マスター「こらこら騒ぐな。とりあえず飯を食え、俺の奢りだ」
勇者「うっひょ~! 待ってました!」
マスター「食ったらいくぞ」
勇者「急に喉通らなくなった……」
魔法使い「食べないと体力がつかないぞ」
マスター「食べても胸がつかない子もいるようだがね」
魔法使い「うるさい!」
勇者「……胃が痛い」
――
ちょっと休憩
マスター「この扉の奥だ」
魔法使い「……扉にも封印術式があるというのに……この禍々しい気」
勇者「吐きそう……」ウップ
マスター「恐らく魔神本体に施された術式はもう意味をなしてないはずだ。この扉を開けたらすぐに戦闘になるだろう」
魔法使い「あんたは準備はできてるの? 顔が青いけど、まさか怖気づいた訳?」
勇者「もうどうにでもな~れ、扉を開く前にゲートを開けっ♪ ギャンブルゲート!」
女神《女神、行きますッ! 能力>>34 代償>>36》
能力奪取
下痢が止まらない
ピキー《来たわ!》ーン
女神《強能力の予感ッ!》
勇者「おおっ!?」
女神《あなたの能力は、能力奪取!》
勇者「なんか強そう!」
女神《代償としてあなたは下痢が止まらなくなるわ》
勇者「社会的に死ぬ……ッ!」
女神《じゃあ……頑張ってね……》
勇者「あ、あぁ」ギュルル
魔法使い「お祈りは終わった?」
勇者「今から祈るところだ」ギュルル ビチッ
マスター「じゃあ扉を開けるぜ」ギィ
魔神「無理やり眠りにつかされるというのはなんとも気分が悪いものだな」
マスター「くっ……何もしてないのに……この圧力……!」
魔法使い「気を張ってないとすぐに気を失ってしまう……!」
勇者「あ……あぁぁぁ! 気張っちゃダメなのに気張らないといけないなんて……!」ブリュリュビチッ
魔法使い「……」
マスター「……いくぞ」
魔神「……体調が万全じゃないみたいだな」
勇者「同情するなああああああ!!!!」ブリュリュ
勇者「 能 力 奪 取 ! 」ビチッ
魔神「!?」
勇者「へへ……きたぜ、ぬるりと……」ギュルル
魔法使い「……」
勇者「貴様の不死能力を貰った」ブリュ
魔神「き……さま……ッ!」
勇者「もはや封印も必要ないなぁ? 死ぬんだもんなぁ?」ピチャッ
マスター「魔法使いっ!」
魔法使い「術式書きます!」
マスター「えーっと、お前! 腹下してるお前!」
勇者「はい?」ブリュ?
マスター「魔神の気を引け! 魔法使いが魔法陣を書く時間を稼ぐんだ!」
魔神「馬鹿が! 大声で作戦を伝えるとは相当なまぬけだな!」
勇者「うおおおおお!」ブリュリュ
魔神「くっ……寄るなぁ! いつまで出るんだよ!」
勇者「お前を倒さないとなぁ! 俺は只の恥さらしになるんだよおおおお!」ビチャチャ
魔神「やめっ……! 尻を向けるなあああああ!」
魔法使い「下痢便が邪魔だわっ!」カキカキ
魔神「頼む! 頼むから! 殺すならせめてもっといい感じに殺してくれ!」
勇者「それは無理な相談だな」ブリュ
魔法使い「出来ました! 避けてください!」
勇者「合点承知! っとぉ?」ツルッ ブリッ
勇者(自分の下痢便で滑っただと……!?)
魔法使い「電撃最強魔法・改!!」
勇者・魔神「「ぎゃあああああああ!!!」」
魔法使い「殺ってしまった……」
マスター「仕方のない犠牲だったよ……せめて、この事実は伏せて名前を広めてあげよう」
勇者「勝手に殺すな」
魔法使い「えっ!?」
マスター「なんで生きてるんだ!?」
勇者「不死じゃなかったら死んでいた」
マスター「……ここ、掃除してくれよな」
勇者「ぁ……ハィ」
魔法使い「でも、お手柄だったよ。すごい力持ってるんだね」
勇者「ありがとう! 頑張った甲斐があるよ」
魔法使い「あっごめん、近寄らないで」
勇者「」ショボーン
マスター「とりあえず、風呂貸してやるから。別々に帰ろう。ギルドの二階の部屋を勝手に使っていいから、街中で話しかけないでくれよ」
勇者「ワカリマシタ」
女神《……災難だったわね》
勇者「うん……こ」
女神《そんな冗談が言えるならまだまだ大丈夫》
勇者「心が折れそうだから、こんなふざけたこと言うしか無いんだよ」
女神《さすがに同情するわ》
勇者「やめてくれ」
勇者「……あっ」
女神《どうしたの?》
勇者「……やばいかも……」
女神《要点を伝えなさいよ》
勇者「電撃最強魔法……ドラゴンも……食らった……」
女神《……そう。それは……残念だったわね》
勇者「い、いや。もしかしたら……」ガサガサ
ドラゴン「」
勇者「ドラゴーーーーーン!!」
ドラゴン「ピィ!」
勇者「なんともねえ」
女神(本当にスライムなんですかね……?)
勇者「不死能力の範囲がドラゴンにも及んでたんだろうな」
勇者「それにしても、どっと疲れた……」
勇者「久しぶりにふかふかのベッドで寝れる……。食事は全部出ちゃったけど……食べる気分にはならな……い……」スヤァ
女神《……おやすみなさい》
――
おやすみなさい
すみません
明日の夜から再開します
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