綾乃「……」ペラペラカキカキ
綾乃「……」ペラペラカキカキ
綾乃「あら? いつの間にか宿題の範囲終わっていたわね」
綾乃「ん~~っ! 勉強はこれくらいにして……」
綾乃「何しようかしら?」
何する? >>2
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自害
綾乃「すこし散歩でもしようかしら……」
綾乃「も、もしかしたら、この前みたいに歳納京子と偶然会って……」
綾乃「また二人で遊べるかも……」
綾乃「……」カァァァ
綾乃「急に歳納京子から貰った服を着たくなったわ!」
ガサゴソ キガエチュウ
綾乃「ふふふ、着替えも終わったし、行くわ……」ツルッ
綾乃「きゃぁっ!?」
綾乃は足を滑らせ転んでしまった。
だが、転ぶ瞬間に床に先ほどまで使っていたペンがあるのに気がついた。
このまま倒れたら京子から貰った服に傷をつけてしまう。
そう思ってしまった綾乃は体制を崩し、不自然な体勢で床に身体を打ち付けることとなった。
ドシーン グサッ
綾乃「あいたたた……」
綾乃「ふ、服は!?」
綾乃「よ、よかった、傷ついてない」
綾乃「って、歳納京子から貰った服なんて別に大事にしているわけなんてないんだからっ!」
ポタッポタッ
綾乃「?」
綾乃「あれ? 頭が、なんだか、痛い?」
綾乃は自分の頭部に痛みと猛烈な違和感を感じ、姿鏡で違和感のある部分を見た。
そこには、棒状の何かが刺さり、ソレから血が滴るように垂れていた。
綾乃「なっ!?」
綾乃「何、これ?」
鏡に映ったソレは、先ほど落ちていたペン。
不自然な体勢で転んだ綾乃の後頭部には、不幸にも深々とペンが刺さっていた。
綾乃「あ……」
綾乃「あ、血が……」
綾乃「!? 服に!?」
不幸な事故、適切な処置をすれば助かったかもしれない。
だが、綾乃は血が服に付く瞬間を見て、傷口を押さえようとペンに触れた。
刺さったペンは綾乃の手により、さらに押し込まれ、脳に達し、綾乃の脳は致命的なダメージを受けた。
綾乃「あっ? あれぇっ? あえぇぇぇ?」
そのまま綾乃は倒れ、数時間後、救急車で病院に運ばれたが、
綾乃は帰らぬ人となってしまった。
私は杉浦綾乃。
今は幽霊をやっている。
幽霊をやっているといっても、幽霊になったのもつい最近だ。
私が目を覚ました? 幽霊なのに目を覚ましたと言うのは変な話だけど、気がついたのは私自身のお葬式のときだ。
最初は箱の中で真っ暗だったけど、手を伸ばしたら箱をすり抜けて外に出られた。
それで最初に見たのはお花に囲まれた私の写真。
一体何があったのかもわからなかったけど、振り向いたときにお父さんやお母さんが泣いている姿が目に飛び込んできた。
呆然としながらさらに周りを見渡すと、千歳と歳納京子と船見さんが同じように涙を流していた。
その近くに、大室さんや古谷さん、赤座さんと吉川さんもいた。
一体どういう状況なのか全く分からなかった。
とりあえず、みんなに声をかけようと動いたのだけど、私の声は誰にも届かないみたいで、誰も私に気付いてくれなかった。
わけもわからず呆然と、事の成り行きを見守っていると、これは私のお葬式なんだと言うことに気付いてしまった。
私が私自身のお葬式を見続けて、いつの間にか私の身体は火葬場まで運ばれていたみたいだ。
そうやって見ていると、千歳や歳納京子が半狂乱になって取り乱している。
どうしたのかと思い近づいてみると、私の身体が燃やされるのを止めてほしいと懇願しているようだった。
しばらくの間、二人は泣き叫んでいたが、やがて引き離されて私の身体は燃やされてしまった。
その後、数時間が経ち私の身体が骨となってしまった。
その光景を私はずっと見続けていた。
ただ呆然と。
全ての処理が終わり、骨を骨壷に入れて再び家に戻り、そのまま私はいつものように自分の部屋のベットで横になり目を瞑った。
だが、目を瞑っているのに眠気すら感じず、天井を見続けていた。
どれくらいの時間が経ったのかはわからないけど、私は再び自分の部屋から出て、骨壷のある部屋まで行ったときに、お父さんとお母さんが泣いている姿を見てようやく理解することが出来た。
私は本当に死んでしまったんだと。
それから、私は普段どおりの生活をしている。
眠れないけど、夜になったら眠って。
朝、登校時間に学校に行って。
夕方になったら帰る。
物には触れなかったが、普段どおりの生活をしていた。
そうやって数日間、私は幽霊としての生活を行っているのだ。
今日もそう、朝、これから……
何をする? >>12
生徒会組の様子を見る
綾乃「……生徒会室に行こうかしら」
綾乃「……学校には来たけど、正直教室にはいたくない」
綾乃「……ここ数日、千歳も歳納京子も休んでる。船見さんは来てるけど、誰とも話そうともしない」
綾乃「……私の席に置かれた花、いじめなんかじゃなくて死んだら本当に置かれてしまうのね」
綾乃「……あんまり考えたくない、生徒会室に行きましょ……」
スゥゥゥゥッ
生徒会室
スゥゥゥゥッ
綾乃「このすり抜けも慣れて来たわね」
綾乃「壁をすり抜けるなんて変な感じ…… って!?」
綾乃「千歳!?」
綾乃が壁をすり抜けて生徒会室に入ると、そこには椅子に腰掛け何かを呟き続ける千歳の姿があった。
綾乃「千歳! 休んでたんじゃないの!?」
千歳「……嘘や、信じへん、綾乃ちゃんが死んだなんて、そんなの嘘や……」
綾乃「あ……」
千歳「……綾乃ちゃんが死ぬわけない、うちの大事な大事な親友、うちを悲しませるようなこと綾乃ちゃんはせえへん……」
綾乃「千歳……」
千歳「……だから嘘や、綾乃ちゃんは死んでへん、うちが待ってればここに来てくれる……」
綾乃「千歳…… ごめん……」
千歳「……今日こそ来てくれるんかな? 昨日も来てくれへんかったけど、今日こそは……」
ガラララ
綾乃「……西垣先生? 会長も……」
奈々「……池田」
りせ「…………」
千歳「……どうしたんですか?」
奈々「どうしたもないだろ…… 池田、お前が悲しむ気持ちも分かるが、そうやっているのは駄目だ」
りせ「…………」
千歳「……」
奈々「杉浦が死んでしま……」
奈々が綾乃が死んだという言葉を口に出した瞬間、千歳は普段のおっとりとした顔を鬼気迫る顔に変化させ奈々に掴みかかった。
千歳「そんなこと言わんでください!! 綾乃ちゃんは死んでなんかない!!」
綾乃「……っ」
奈々「い、池田……」
りせ「!?」
千歳「綾乃ちゃんは死んでへん…… 生きてる、うちを置いてどこかに行くなんてありえへん……」
奈々「……池田」
綾乃「うっ…… うぅぅっ……」
千歳「……そうや、先生も会長もうちと一緒に綾乃ちゃんが帰ってくるのをここで待ちませんか? 綾乃ちゃんが来た時に誰もいなかったら綾乃ちゃん寂しがると思うし」
りせ「……」
奈々「……っ」
綾乃「千歳ぇっ! 私はここにいるわよぉっ!!」
千歳「……うち、綾乃ちゃんが好きなプリンを毎日持ってきてるんですよ? 綾乃ちゃん、喜んでくれるだろうなぁ」
奈々「……わかった、私たちも一緒に待つから。松本もいいな?」
りせ「……」コクン
綾乃「どうしてっ! 私はここにいるのになんで触れれないの!?」
千歳「あは、うれしいなぁ。早く綾乃ちゃん来てくれへんかなぁ」
奈々「……」
りせ「……」
綾乃「なんで…… なんで言葉が、届かないの……」
綾乃は千歳に触れることも出来ず、声をかけることも出来ずに悲観した。
こんなにも近くにいるのに千歳には何も伝えられない。
ただ、それが悲しかった。そして、千歳をここまで悲しませた自分が憎らしかった。
綾乃が何も出来ず、悲しみに暮れながらも千歳に寄りかかるようにして、
数時間が経ち、放課後になると櫻子と向日葵も生徒会室にやってきた。
それと変わるように奈々とりせは生徒会室を後にする。
二人は千歳の状態を話し合いながら出て行ったようだった。
そして生徒会室に残った向日葵と櫻子は千歳の状態を知っていたのか、千歳の話に合わせるように話し始める。
向日葵「あの…… 今日も生徒会の仕事を始めましょうか」
千歳「……せやな。綾乃ちゃんは今日もお休みになるかもしれんから、綾乃ちゃんの仕事はうちがやるわ」
櫻子「……」
向日葵「はい……」
暗い雰囲気の中、その後千歳だけが話し続け、向日葵がそれに答える。
櫻子はずっと押し黙ったまま仕事を続け、下校時間となった。
向日葵「池田先輩、今日も一緒に帰りませんか?」
櫻子「……」
千歳「ええの? ここ数日いつも家まできてもらってるけど」
向日葵「ええ、大丈夫ですわ……」
櫻子「……はい、大丈夫です」
そのまま3人は帰路に着く。
綾乃も3人の後ろについていくが、誰一人会話もせずに千歳の家まで到着した。
千歳「ありがとな~、二人とも。それじゃあ、また明日な~」
向日葵「はい……」
櫻子「……」
綾乃は家に入る千歳を見送った後に、突然崩れ落ちる櫻子を見て、目を見開く。
櫻子「……もう、やだよ」
向日葵「櫻子……」
櫻子「……なんでなんだよ、なんでこんなことに」
向日葵「……」
櫻子「池田先輩、毎日おかしくなってる…… 今日なんか杉浦先輩が生きてるなんて言って……」
櫻子「向日葵ぃ…… わたし、どうすればいいの……? 池田先輩にどうしてあげればいいの……?」
向日葵「私にもわかりませんわ…… ただ、今は池田先輩と一緒にいてあげることしか、杉浦先輩の分まで一緒にいてあげることしか思いつきませんわ……」
櫻子「……ぅぅぅ」
櫻子「なんで、なんで死んじゃったの…… 杉浦せんぱいぃぃ……」ポロポロ
向日葵「……」ポロポロ
綾乃「……大室さん、古谷さん」
綾乃は二人のやり取りを見ながら立ち尽くしていた。
千歳が自分の死によって、精神的におかしくなってしまっていることにショックを受ける。
それと共に後輩二人にも、これだけ悲しませてしまっている、みんなの姿を見ているだけで綾乃は胸を締め付けられ泣き叫びたい気持ちでいっぱいになっていた。
その後二人が帰り、綾乃も自分の家に戻りベットに横になった。
目を閉じ朝まで待つ。
眠れない綾乃は今日一日のことを考えていた。
みんながいつものように笑っていなかった。
そしてその笑顔を奪ったのは自分だと気付いて、綾乃は声を押し殺して泣いた。
次の行動 >>19
あかりに憑依してみよう
朝、綾乃は外を歩いていた。
学校に行く気も起きなかった。
だが、部屋でじっとしていても嫌なことを考えてしまう。
それが嫌で外を歩いていた。
綾乃「……」
綾乃「……こうやって外を歩いていても私の事を見える人なんて誰一人いない」
綾乃「……それもそうよね、だって私幽霊なんだもん」
綾乃「……」
漂うように前に進む綾乃。
目的地も無かったが、ただただ進んでいた。
しばらくそうしていると、少し先にいる七森中の制服を着た女の子が転ぶのを見つけた。
綾乃「……? あれは、赤座さん?」
あかり「いたい…… 転んじゃった……」
綾乃「大丈夫? って、私の声は聞こえるわけ無いわよね……」
あかり「あ、はい。大丈夫です」
綾乃「……え?」
あかり「え?」
綾乃はあかりと目があう。
あかりはしっかりと自分を見ていた。
あかり「す、す、すすす、杉浦先輩!?」
綾乃「え? えぇっ?」
あかり「う、嘘? す、杉浦先輩は、だって……」
綾乃「赤座さん? わ、私の事見えるの? 声が聞こえるの?」
あかり「は、はい」
呆然と見つめあう二人。
あかり「ほ、本当に杉浦先輩なんですか?」
綾乃「え、ええ」
あかり「で、でも、杉浦先輩は、その…… 死んじゃい…… ましたよね……?」
綾乃「そ、そうね。私は死んで、今は、幽霊になっちゃったみたい」
あかり「え、ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
朝の通学路にあかりの叫び声が響き渡る。
近くの公園
カクカクシカジカ
あかり「そんな事があったんですねぇ……」
綾乃「ええ。って、赤座さん、あっさり受け入れてくれたわね……」
あかり「え? だって、すり抜けるところも見せてもらいましたし、こうやって話したら、本当に杉浦先輩だって分かりましたから」
綾乃「……あの。赤座さんは私が怖くないの? 幽霊なのよ? オバケなのよ、私」
あかり「う~ん…… 大丈夫みたいです」
あかり「オバケさんってもっと怖いのをイメージしてたんですけど、杉浦先輩みたいなオバケさんだったら、全然怖くないですよぉ」
綾乃「そっか……」
あかり「そうですよぉ」
それから綾乃はあかりと話し続けた。
死んでしまって悲しかった、悔しかった。
自分が死んで悲しませてしまった人がいることを。
あかりは綾乃の話を黙って聞き続け、気が付けば当たりは昼に差し掛かる時刻となっていた。
綾乃「ご、ごめんなさい。引き止めてしまって、こんな時間まで…… 赤座さんに学校をサボらせてしまうなんて……」
あかり「大丈夫ですよぉ、学校より杉浦先輩のお話を聞くほうが大事ですから!」
綾乃「……で、でも、生徒会副会長の私が生徒を……」
あかり「……やっぱり。本当に杉浦先輩なんですね」
綾乃「え?」
あかり「こうやって話して分かりました。今あかりの目の前にいるのは本当の杉浦先輩なんだって」
あかり「あかりの妄想でもなんでもない、本当の杉浦先輩なんだって」
綾乃「……」
あかり「杉浦先輩、あかりと一緒に学校に行きましょう!」
綾乃「……学校に?」
あかり「はい! それで教えてあげるんです。池田先輩に杉浦先輩はここにいますよって!」
綾乃「そ、それは……」
あかり「そうすれば池田先輩も元気出してくれるかもしれないです!」
綾乃「……無理よ、だって私、誰にも……」
あかり「あかりがみんなに説明します! 杉浦先輩はここにいるって、杉浦先輩はこう言ってるって!」
綾乃「そんな事を言って、あなたが頭のおかしい子だって思われちゃうわよ……」
あかり「あかりの事はいいんです! 池田先輩に今必要なのは杉浦先輩の言葉なんですから!」
綾乃「……なんで、なんでそこまでしてくれるの?」
あかり「え?」
綾乃「だって、私はあなたとそこまで仲が良かったわけじゃないじゃない…… それなのになんで……」
あかり「? だって、杉浦先輩は池田先輩ともみんなともお話したいですよね?」
綾乃「そ、それはそうよ、したいわよ!」
あかり「それじゃあ、決まりですね!」
綾乃(この子…… ただ善意で、私の事を、千歳の事を思って行動してくれてる……)
綾乃(そういえば、歳納京子も赤座さんはいい子だって言ってたっけ……)
綾乃(……甘えよう、赤座さんに。そして、千歳に伝えたい……)
手を伸ばすあかりに、綾乃は自分の手を重ねる。
その時、綾乃とあかりの間に何かが起きた。
光が煌くような一瞬、あかりの手に触れた綾乃の姿は掻き消えて公園にはあかり一人だけが残されたように見えた。
あかり?「……?」
あかり?「赤座さん? どこに行ったの?」
あかりが自分の苗字を呼びながらあたりを見渡す。
すると頭の中から何かの声が聞こえてきた。
『あ、あれ? なにこれ?』
あかり?「だ、誰?」
『ふぇっ!? あ、あかりはあかりだよぉ……』
あかり?「赤座さん……?」
『?』
あかり?「私よ、杉浦綾乃よ。赤座さんはどこにいるの? 声だけしか聞こえないのだけど」
『杉浦先輩? あれ……? で、でもあかりはここにいるし……?』
あかりは自分の声に違和感を持った。
そして、気が付く。幽霊の時には感じなかった、日の光や風を肌で感じることに。
そして、すぐ傍にあった池に自分の姿が映っていることに気が付き目を向ける。
そこにあった自分の姿。
それはあかりの姿であった。
次の行動 >>29
あかりと交代したり色々試す
あかり?「な、ななな、何これ?」ホッペタツネリ
あかり?「私が動いてるのに、赤座さんが動いてる??」
『杉浦先輩! どうしたんですか?』
あかり?「ああああ、赤座さん! な、なな何か分からないけど大変! わ、私赤座さんになってるのよっ!?」
『ど、どういうことですか?』
あかり?「わ、わからないのよっ! お願い、赤座さん! 出てきて!」
そう言った瞬間、押し出される感覚が襲う。
すぐさま何かに押し出されるように、あかりの身体から綾乃が飛び出してきた。
あかり「わっ!?」
綾乃「きゃぁっ!?」
あかり「び、びっくりしたよぉ……」
綾乃「赤座さん? も、元に戻ってる?」
あかり「?」
綾乃「さ、さっきまで私、赤座さんだったのよ!?」
あかり「ど、どういうことですか?」
綾乃「分からないわよっ! でも、私の姿が赤座さんになってて!」
あかり「さっき…… さっき、あかりは確かに……」
綾乃「一体なんなのよもうっ!」
あかり「あの…… もう一度あかりの手に触れてもらってもいいですか?」
綾乃「え?」
あかり「もしかしたら……」
綾乃は先ほど起きた不可思議な現象に戸惑っていたが、
あかりのもう一度手に触れてくれという頼みに首をかしげながら手を差し出す。
そして、二人の手が合わさった瞬間、再び綾乃の姿は掻き消え、あかりが驚き始めた。
あかり?「ま、また!? 赤座さん!!」
『やっぱり……』
あかり?「どこなの!?」
『……杉浦先輩は、今あかりの身体に入っているみたいです』
あかり?「え?」
『あと、あかりの身体を自由に動かせるみたいですよ』
あかり?「な、何を?」
『あかりにはわかるんです。変な感じなんですけど、夢の中で勝手に身体が動いているような感覚があるんです。そして、あかりの身体を動かしているのが杉浦先輩だって言うことも分かるんです』
あかり?「わ、私が、赤座さんの身体に…… と、取り憑いちゃったの!?」
『あっ、違うみたいですよ。杉浦先輩があかりに身体を返したいって思えば杉浦先輩は外に出れるみたいです。さっきもそうだったみたいに』
あかり?「そ、そうなの?」
『……たぶん』
あかり?「た、たぶんって!?」
『さ、さっきもそうだったじゃないですか? だから…… あっ! そうだ、色々試してみませんか?』
あかり?「試すって…… 今の状況を?」
『はい! そうすれば分かると思うんですよ、どうやって外に出るかとかも』
あかり?「……わかったわ」
その後、しばらくこの不可思議な現象を綾乃とあかりは試し続けた。
分かったことは、
綾乃はあかりの身体に憑依したこと。
その身体を綾乃は自由に動かせること。
あかりは憑依されている間、夢を見ているような感覚で自分の身体がなにをしているのか分かるということ。
綾乃があかりに身体を返すとはっきりと考えることによって、憑依状態は解除されあかりの身体から出て行くことが出来ること。
綾乃「赤座さん…… あなた、霊能力者だったの?」
あかり「ち、違いますよぉ。今までそんな体験一度もした事も無かったですし」
綾乃「そうなの…… それにしてもこんな事が現実に起こりえるのね……」
あかり「あかりもびっくりですよぉ」
あかり「あっ! それよりも、杉浦先輩!」
綾乃「?」
あかり「あかりの身体を使ってください!」
綾乃「ちょ、何を言ってるの!?」
あかり「だって、あかりの身体を使えば、杉浦先輩は誰かと話したりすることも出来るんですよ?」
綾乃「っ!! ……でも」
あかり「あかりは大丈夫です! 杉浦先輩が好きなように使ってもらって!」
綾乃「…………」
綾乃はあかりの言葉を聞き考え始めた。
次の行動 >>34
↑
綾乃「……それなら、私学校にいきたいわ」
あかり「わかりましたっ!」
あかりが差し出した手に触れ、綾乃はあかりに憑依した。
綾乃『赤座さん、ありがとう』
あかり『気にしないでください』
綾乃『……本当に感謝しているわ。死んでしまった私がこうやってまた誰かと話すことが出来るなんて』
あかり『……あかりがこうやって杉浦先輩の姿が見えたのも何かの運命なのかもしれないです』
綾乃『運命、ね。本当にそうかもしれないわね……』
あかり『はいっ! あ、もう学校に着いちゃいましたね』
綾乃『ええ……』
誰に会いに行く? >>36
西垣
あかり『それじゃあ、生徒会室にいきましょう! この時間なら授業も終わっていると思いますし、生徒会のみんなも生徒会室にいると思いますよ!』
綾乃『ええ、そうね!』
テクテクテク ガラガラ
生徒会室
綾乃『あら? 誰もいない……』
あかり『あれ?』
綾乃『もう放課後よね。今日は生徒会の活動も行わなかったのかしら……?』
あかり『ええっ!? そんなぁ……』
綾乃『……それなら、西垣先生に会いに行きましょうか』
あかり『西垣先生にですか?』
綾乃『ええ、生徒会の活動が無いときは、大体会長と西垣先生は一緒にいるの。先生に会いに行けば、会長にも会えると思うし、……後それに私たちのこの状況を先生に診てもらいましょう』
あかり『そういうことですね。わかりましたぁ』
理科室
ガラガラ
綾乃「失礼します」
あかり『失礼します~』
奈々「……ん? 赤座か。どうした一人で?」
綾乃「……えっと」キョロキョロ
奈々「? どうしたんだ?」
綾乃「あの…… 会長は?」
奈々「……ああ、松本なら今日は帰ったぞ」
綾乃「え?」
奈々「それでどうした? 松本に用があったのか?」
綾乃『会長も帰ってるってことはやっぱり今日の活動は無かったみたいね』
あかり『……残念です。折角杉浦先輩が会いに来たのに……』
綾乃『仕方ないわよ。みんなとも話したかったけど、まずは西垣先生に聞いてもらいましょうか』
あかり『はい』
奈々「おい、どうした? ボーっとして」
綾乃「……あの、西垣先生。少し聞いていただきたいことがあるんです。少しお時間大丈夫ですか?」
奈々「……? ああ、どうしたんだ?」
綾乃「えっと…… こんな事を言っても信じていただけないと思いますけど。私、杉浦です。生徒会副会長で2年の杉浦綾乃なんです」
奈々「……おい」
綾乃「信じられないと思いますが本当なんです! 今はこうやって赤座さんの身体を借りて話していますけど、私は杉浦なんです!」
奈々「……やめてくれ」
綾乃「先生?」
奈々「しっかりしてくれ、杉浦は…… もう……」
綾乃「き、聞いてください! 私は……」
奈々「お前達のような思春期の、子供たちには辛い現実だが、杉浦はもういないんだ。お前達が悲しむ気持ちもわかる、だけど自分を見失わないでくれ……」
綾乃「違うんです! 本当に私は!」
奈々「お前も今日は帰るんだ。私が家まで送っていってやるから」
綾乃「き、聞いてください」
奈々「さぁ、行くぞ……」
綾乃『だ、駄目。全然聞いてもらえない……』
あかり『そ、そんなぁ……』
綾乃『どうすれば……』
次の行動 >>41
綾乃しか知らないことをはなして証明する
あかり『あのっ、杉浦先輩しか知らないことを話せば先生も信じてくれるんじゃ?』
綾乃『そ、それもそうね。でも私しか知らなくて、先生も知っていることなんて…… あっ』
綾乃は何かを思いつくように話し始めた。
綾乃「先生、待ってください!」
奈々「?」
綾乃「先生は昨日朝からずっと生徒会室にいました!」
奈々「……ああ、そうだがなんでそれを知ってるんだ? ……古谷か大室に聞いたのか?」
綾乃「先生は会長と一緒に千歳の様子を見に来て、その時に千歳に私が、杉浦綾乃が死んでしまったことを告げて詰め寄られました」
奈々「……まて、なんでそこまで知っているんだ?」
綾乃「それから放課後まで千歳の様子を見ながら昨日は朝から生徒会室にいたんです! そして生徒会室から出て行くときに、千歳の様子を話ながら出て行きました。『私は力不足だって』言いながら」
奈々「赤座…… お前、昨日生徒会室にいたのか? いや……」
綾乃「私はいたんです! あの場所に、あの時は幽霊で、誰にも気付いてもらえなくて……」
奈々「幽霊? いや、まさか……」
あかり『杉浦先輩! 先生、少しずつ信じてきてくれているかもしれないです』
綾乃『ええ、そうね! 後は……』
綾乃「先生、私の期末テストと中間テストの点数は98点と96点でしたよね」
奈々「……」ピクッ
綾乃「先生の授業が終わった後に、実験を手伝うために機材を運んだことがあります。確か2ヶ月くらい前だったはずです」
奈々「……」ピクッ
綾乃「その後、実験でいつもの通り爆発して、丁度通りかかった私と一緒に片づけをしました。その時は会長もいなかったです」
奈々「…………」ピクッピクッ
綾乃「後は、私が花粉症で、その時にガスマスクを……」
奈々「まて、少し待ってくれ」
綾乃「し、信じてもらえましたか!?」
奈々「……そのガスマスクを返してくれた時にお前は私に何ていってくれたかな?」
綾乃「? えっと、『ありがとうございました。もうこれも必要ないないナイアガラです』だったと思いますけど」
奈々「……わかった、そんなくだらんダジャレを言うのは確かに杉浦だな」
綾乃「ダジャレ?」
あかり『む、無意識なんですか?』
奈々「まだ半信半疑だが、お前は杉浦なんだな?」
綾乃「はい、そうです!」
奈々「……一体どういうことなんだ?」
綾乃「えっと……」
カクカクシカジカ
奈々「信じられん……」
綾乃「私も信じられないです、だから先生にこの状況を診てもらいたいというのもあって先生に会いに来たんです。先生なら何か分かるかと思って」
奈々「……流石にオカルトは専門分野外だ」
綾乃「ですよね……」
奈々「小難しい公式や、法則を知っていても、今のお前達がどうなっているかなんて全くわからん」
綾乃「……」
奈々「だが、お前が杉浦なら、頼みがある……」
綾乃「頼み、ですか?」
奈々「ああ…… 池田のことだ」
奈々「あいつは今、お前が死んでしまったことを信じられずに苦しんでいる。もう誰の言葉も聞こえないくらいに心を痛めているんだ」
綾乃「……千歳」
奈々「私にはどうすることも出来ない…… だが、お前なら……」
奈々「頼む、あいつを助けてやってくれ……」
綾乃「先生、大丈夫です」
綾乃「言われなくても、私は千歳に会いに行くつもりでした。あんなに悲しんでいる千歳は見たくないですから……」
奈々「……そうか」
綾乃「はい」
次の行動 >>45
事情を紙に書き封筒に入れて千歳に手渡す
綾乃「先生、千歳はもう帰っちゃったんですか?」
奈々「ああ、お前も昨日見ていたならわかるだろ? 今日はもっと酷くなっていてな…… 早退をさせたよ」
綾乃「……そんな」
奈々「今日のあいつは幻覚すら見ているようだった。見えてもいない場所に話しかけてな……」
綾乃「っ……」
綾乃「先生。ありがとうございました、私は今から千歳の家に行きます」
奈々「……頼む」
綾乃「はいっ!」
タタタタタ
奈々「幽霊か…… 幽霊でも何でもいい、あいつを救ってやってくれ……」
奈々「本当に、こんなときには何も出来ないんだな、私は……」
池田家
綾乃『はぁっ…… はぁっ……』
あかり『ここが池田先輩のお家ですか』
綾乃『ええ、早く千歳に会って話さないと……』
ピンポーン ガラガラ
千鶴「……はい」
綾乃「あっ、千鶴さん……」
千鶴「……確か、歳納の友達の…… 赤座さん?」
綾乃「あのっ! 千歳に会わせてくれないかしら!?」
千鶴「……はぁ?」
あかり『す、杉浦先輩! 説明! 説明を!』
綾乃『あっ、そ、そうだったわね』
綾乃「ご、ごめんなさい、千鶴さん。私は……」
千鶴「お前、なんなんだよ?」
綾乃「え……」
千鶴「姉さんは杉浦先輩が死んでしまって、あんなに悲しんでいるのに、いきなりやってきて会わせろだって?」
綾乃「ち、違うの千鶴さん、私が……」
千鶴「馴れ馴れしくするな! お前に千鶴さんだなんて呼ばれる筋合いはない! 帰れ!」
綾乃「ま、待って!」
千鶴「二度と来るな」ピシャッ
あかり『そ、そんなぁ……』
綾乃『くっ……』
あかり『ど、どうしましょう?』
綾乃『諦めないわ…… どうにかして話を聞いてもらうわ』
綾乃は何度も池田家のチャイムをならし、千鶴が出てくるまで待ったがあれ以降誰も出てきてくれなかった。
綾乃『それなら……』
あかり『ど、どこに?』
綾乃『ここ、中を見てみて』
あかり『あっ、池田先輩! ここって』
綾乃『そうよ、千歳の部屋。窓越しに話せば……』
ガラガラ
千鶴「……」
綾乃「!?」
千鶴「いい加減にしろ。これ以上何かしてみろ。警察を呼ぶぞ?」
綾乃「ち、ちと……」ピシャッ シャーーーッ
綾乃『カーテンも閉められて……』
あかり『うぅぅ……』
綾乃『……』
あかり『す、杉浦先輩、これじゃあ……』
綾乃『まだ…… まだよ……』
綾乃はあかりの鞄から紙を取り出し書き込み始めた。
あかり『……何をやってるんですか?』
綾乃『話せないなら手紙を書いて千歳に渡すの。この手紙を見てくれれば千歳も私の事を……』
あかり『そういうことですね……』
綾乃『今の私の状況も含めて全部…… 書けたわ』
綾乃『後は…… 赤座さん、この封筒使っても大丈夫かしら?』
あかり『はい、大丈夫です』
綾乃『ありがとう。それじゃ、少し時間を置いて……』
数十分後
綾乃『そろそろ……』
コンコンコン
コンコン
コン ガラララッ
千歳「? あら~? 赤座さんやん? どうしたの?」
綾乃「っ! ち、ちと……」
千鶴「!! お前、性懲りもなく!!」
綾乃「くっ! 千歳! これ、読んでっ!」
千歳「?」
千鶴「姉さん、こっちに来て!」グィッ
千歳「あら~、千鶴~、そんなに強く引っ張らんで~」
千歳「そんなに引っ張られたら、綾乃ちゃんを置いていってしまうやん。待ってな~」
千歳「綾乃ちゃん、千鶴が来てほしいって言ってるで、一緒に行こうなぁ」
綾乃「っ! 私がわかるの!? ちと……せ……」
千歳が自分に話しかけてくれたと思い、身を乗り出して部屋を覗き込んだ綾乃だったが、
千歳は手に持った人形にずっと綾乃ちゃん、綾乃ちゃんと語りかけていた。
千歳「綾乃ちゃん、今日はお泊りで楽しみやなぁ。今日はいっぱい話そうな~」
綾乃「うそ……」
千歳「あ、赤座さん。うちは今日綾乃ちゃんとお泊りなんや~、だから……」
千鶴「姉さん! 早くこっちに!」
そのまま千歳は千鶴に連れて行かれ、綾乃は呆然と立ち尽くしていた。
しばらくその状態でいた綾乃だったが、やがてふらふらと歩き出して千歳の家の近くにある公園にあるベンチに腰掛けた。
あかり『杉浦先輩……』
綾乃『……』
あかり『池田先輩、あんな事になっているなんて……』
綾乃『私が、死んじゃったから、よね……』
あかり『そ、そんなこと……』
綾乃『……』
あかり『……』
綾乃とあかりの間に静寂がおとずれる。
あかりは綾乃にかける言葉を見つけれなかったし、綾乃は千鶴のあまりにもな状態を見てショックを受けていた。
綾乃『……赤座さん、少しだけここで待っていてもいいかしら?』
あかり『待つって? もしかして……』
綾乃『さっきの手紙に、ここで待ってるって書いたの』
綾乃『だから、少しだけ、千歳が来るのを待たせて……』
あかり『……』コクン
既に夕日が沈みかけていた。
千歳は来る? 来ない? >>54
今日はここまでで。
それでは、またー。
来ない
綾乃は待った。
しかし、千歳は公園にくることはなく日も沈み夜となってしまった。
綾乃『……』
あかり『……』
綾乃『……もう、帰りましょう』
あかり『!? も、もう少し待っていれば、きっともう少しで!』
綾乃『ううん、もうこんな時間だし、赤座さんの家族も心配してしまうわ』
あかり『……っ』
綾乃『今日はこれでお終い…… 帰りましょう』
あかり『……明日、明日は絶対に池田先輩に会いましょう! 明日もあかりは杉浦先輩に協力しますから!』
綾乃『ありがとう、赤座さん』
綾乃はあかりに身体を返し、あかりの家まで送っていった。
そして綾乃は再び夜の町に一人で漂うのであった。
綾乃「赤座さんの力を借りないと何も出来ない……」
綾乃「千歳の家に行って、千歳のそばにいても何も伝えられない……」
綾乃「これから、どうすれば……」
次の行動 >>59
ポルターガイストとかが起こせないか試す
綾乃の部屋
綾乃「結局戻ってきてしまった」
綾乃「千歳の家にいっても、あんな千歳を見ているだけなんて…… そんなのは嫌……」
綾乃「言い訳ばかりね……」
綾乃はベットに寝転がり今日の出来事を思い出していた。
綾乃「よく考えたら今日はとんでもない一日だったわね」
綾乃「赤座さんに取り憑いて、赤座さんの身体を使って動いていた…… 死んでしまった私が……」
綾乃「……まるで悪霊みたいよね」
綾乃「……悪霊?」ハッ
綾乃「そうだわ! 今までは無理だって思い込んでいたけど、この状態でも物を触ったり出来ないのかしら」
綾乃「そう、確か…… ポルターガイスト現象だったかしら?」
綾乃「試してみましょう」
ポルターガイスト成功か否か >>61
ジャップ
しばらく物を触ったり、念じて動かせるか試していた綾乃だったが、
結局成果は得られず諦めることとなる。
綾乃「……駄目。触ろうとしてもすり抜けちゃう」
綾乃「……やっぱり赤座さんに頼らないと駄目なの?」
綾乃「本当に恨めしいわ……」
綾乃「……そんな事言っていられないわね、明日こそは……」
綾乃「そう、明日こそは……」
綾乃は目を開けたまま、天井を見ながら夜が明けるのを待った。
チュンチュン
綾乃「朝ね」
次の行動 >>65
[田島「チ○コ破裂するっ!」]すると綾乃とあかりがセックスしたことになるのか試す
ゆらりと立ち上がった綾乃は顔を伏せたまま呟く。
綾乃「……朝。……赤座さんに会わないと」
顔を上げた綾乃は何かがおかしかった。
何か黒いものがあふれ出している様子で壁をすり抜け、目的の場所へと向かった。
綾乃「赤座さんに会って…… それで……」
あかりの部屋
あかりは既に準備を済ませ、外出する用意を完了していた。
あかり「今日こそは池田先輩と話さないと……」
あかり「?」
あかりが何か気配を感じ振り向くと、そこには綾乃が立っていた。
あかり「あっ、杉浦先輩! 来てくれたんですか?」
綾乃「……」
あかり「? 杉浦先輩? どうしましたか?」
綾乃「……え、ええ」
何かに耐えるような綾乃にあかりは心配して声をかけた。
あかり「どうしたんですか……? どこか調子悪いんですか?」
綾乃「大丈夫よ、大丈夫…… そう、大丈夫なのよ……」
あかり「……?」
あかりは顔を伏せている綾乃の顔を覗き込んだ。
綾乃はあかりの顔が視界に入った瞬間、何かが、ドス黒い何かが溢れ出すのを止められなかった。
ドクン
綾乃(……赤座さん)
ドクン
綾乃(……昨日感じた、あの感覚)
ドクン
綾乃(……生きている感覚)
ドクン
綾乃(……ほしい)
ドクン
綾乃(赤座さんの身体が、ほしい)
綾乃の瞳が真っ赤な血の色に染まり、あかりを見据えあかりの身体に触れた。
あかり『あっ』
綾乃『……』
あかり『あかりの身体を使うってことは、これから池田先輩の家に行くんですね?』
綾乃『……』
あかり『? 杉浦先輩?』
綾乃『……赤座さん、お願いがあるの』
あかり『なんですか?』
綾乃『赤座さんのこの身体、私に頂戴』
あかり『……え?』
綾乃『ずっと考えてたの。昨日赤座さんの身体を使わせてもらってからずっと』
あかり『な、何を言ってるんですか?』
綾乃『赤座さんの身体から感じる心臓の鼓動。五感を刺激される感覚。誰かに気付いてもらえる喜び』
あかり『す、杉浦先輩?』
綾乃『私、赤座さんの身体がほしい。生きているこの感覚を手放したくない』
あかり『あ、あかりはいつでも杉浦先輩に身体を貸しますよ……』
綾乃『借りるんじゃなくて、私はほしいの。この身体が……』
綾乃『だから…… もう、返さない……』
綾乃は身体の奥にいるあかりが小さな悲鳴を上げた声を確かに聞いた。
あかり『じょ、冗談ですよね?』
綾乃『冗談じゃないわ』
あかり『あ、あかりはどうなっちゃうんですか?』
綾乃『……大丈夫、赤座さんは私のこの身体の中にずっといてくれていいから』
あかり『そ、その身体はあかりのですよ』
綾乃『もう私のものよ』
あかり『や、やめてください…… そんな、怖いこと言うの……』
綾乃『赤座さんは、私を蘇らせてくれた…… そのお礼にずっと私の中で飼って上げるわ』
あかり『い、いや……』
綾乃『うふふ、怖がらなくてもいいのよ? あなたが死ぬわけでもない、それにあなたが知らないことも経験させてあげるわ』
あかり『か、返してください。あかりのからだ、返してください!』
綾乃『赤座さんはオナニーって知っているかしら?』
あかり『そんなの知らないです! お願いですからあかりのからだを!』
綾乃『やっぱりね…… それじゃあ、私が教えてあげるわ、保健体育の時間ね』
あかり『や、やめ…… いやぁぁぁぁ!!』
あかりの部屋で、あかりの身体を奪った綾乃は厭らしく笑いながら、スカートとパンツを脱ぎ捨て下半身を露出させた。
綾乃『赤座さんはこういうことしないのよね?』
あかり『やめて! やめてくださいっ!』
綾乃『赤座さんのここをね、ゆっくりと擦るように触るの』スッ
あかり『だ、駄目です! そんなところ汚い!』
綾乃『汚くなんかないわよ? ここをこうやってゆっくりと擦っていると』スッ スッ クチュ
綾乃『湿ってきたわね』
あかり『あ、あぁ……』
綾乃『んんっ!』ビクン
綾乃『気持ち、いい…… やっぱり、生きている感覚がする……』クチュクチュ
あかり『やめて…… やめて……』
綾乃『赤座さんは気持ちよくないの?』クチュッ
あかり『何も感じません! 止めてください、そんなの、こわいです!』
綾乃『ああ…… そういえば感覚は感じないのよね? 夢の中にいる感覚だったかしら?』クチュックチュゥクチュゥ
あかり『止めてください…… 今なら怒りませんから……』
綾乃『かわいそう…… こんなに気持ちいいのに、この素晴らしい気持ちを味わえないなんて……』クチュッ
綾乃『でも、安心して』
あかり『……?』
綾乃『赤座さんの分まで、私が気持ちよくなってあげるから』
綾乃『んっ、んあぁぁ!』ツププププッ
あかり『いやぁぁぁ! やだぁぁぁぁ!』
綾乃はその後、あかりの身体を使いオナニーをし続けた。
何度も何度もイき続け、イク度に生きている実感を味わいながら、綾乃は快楽を貪り続けた。
あかりは聞こえてくる綾乃の喘ぎ声を掻き消すように叫び続けたが、どんなに懇願しても綾乃は行為を止めることがなく、いつしかあかりは綾乃に静止をかけることもなく自分の身体の奥底に閉じこもり、精神に鍵をかけてしまった。
綾乃『はぁっ…… はぁっ……』
綾乃『……赤座さん、見てくれた? これがオナニーよ』
綾乃『……でもこの場合は赤座さんの身体を使って私がオナニーをしたからセックスになるのかしら?』
綾乃『ねぇ、どう思う? 赤座さん?』
あかり『……』
綾乃『ふふふっ、なるわけないわよね。なにをいってるのかしら私』
綾乃『でも、これで、この身体は私の物』
綾乃『私は生き返ったのよ……』
綾乃『うふふふふふ…… あはははははは!!』
次の行動 >>74
賢者タイム
綾乃『あはははははは! あははは…………』
綾乃『あは…… あ……』
綾乃『あれ……?』
あかりの身体から出ていた黒い何かは、綾乃の精神の高ぶりが落ち着くにつれ少しずつ収まっていった。
綾乃『わ、私…… 一体何を……』
綾乃『赤座さんの、顔を見て…… 赤座さんの身体をほしいって思ってしまって……』
綾乃『それで…… それで……』
綾乃『い、いやぁぁぁぁぁ!? 赤座さん! 赤座さん!!』
綾乃『お願い! 返事をしてっ!!』
あかり『……』
綾乃『そんな…… なんで……』
綾乃『わ、私…… こんなの、本当の悪霊じゃない……』
綾乃『うっ…… うぅぅ……』
次の行動 >>76
公園へ行く
綾乃『私…… 赤座さんの善意を踏みにじって……』
綾乃『もう、赤座さんに身体を返そう…… そうしないと私……』
綾乃があかりの身体から出て行こうと考えた矢先、再び綾乃の中で黒い何かが蠢きだした。
綾乃(……返さない)
綾乃『うぅぅ…… また、何かが……』
綾乃(……私のモノ)
綾乃『やめて…… これ以上…… 赤座さんの思いを踏みにじるわけには……』
綾乃(……知ったことじゃない)
綾乃(……私が生きる為に)
綾乃(……赤座さんには消えても…ら…う…)
綾乃「う、うあああああああああ!!」
綾乃は心の内から湧き上がってくる声に抗うように叫び頭を抱える。
だが、声は鳴り止むこともなく、綾乃を苦しめ続ける。
綾乃は立ち上がり走り始めた、動かずに心の声に晒され続けたら再び何かに囚われてしまうと思い走り始めた。
綾乃「はぁっ…… はぁっ……」
綾乃「こ、こは…… 公園?」
「あれ?」
綾乃は自分に向けてかけられた声に振り向いた。
振り向いた先には、
誰がいた? >>78
千歳
千歳「あ、赤座さ…… ううん、綾乃ちゃん!?」
綾乃「ち、千歳?」
綾乃は自分がいる公園が昨日千歳を待っていた公園だということに気が付く。
千歳「や、やっぱり、綾乃ちゃんなんやね!?」
綾乃「ま、まって…… 私は今……」
千歳は綾乃を抱きしめるように手を回した。
千歳「あの手紙、綾乃ちゃんの字やった! うちが見間違えるわけもない綾乃ちゃんの字!」
千歳「昨日は千鶴に取り上げられてしまったけど、朝妙な胸騒ぎを感じて取り上げられた手紙を探して読んだんや!」
千歳「ごめん、ごめんなぁ! すぐに来てあげられなくて……」ドンッ
綾乃「はぁっ! はぁっ!」
千歳「あ、綾乃ちゃん? どうしたん? なんでうちを突き飛ばすん?」
千歳は綾乃を見る。
その顔はあかりの顔だったが千歳の目には綾乃の顔が重なる。
綾乃「だ、だめ…… 今はだめ……」
千歳「どうしたん!? 苦しいの!?」
綾乃「ち、近づかないで…… 私の、中で、何かが……」
千歳「綾乃ちゃん!?」
綾乃は突き飛ばした千歳が再び手を伸ばしてくる姿を見る。
それと同時に、自分の中から溢れ出す声に抗えなくなっていることに気が付く。
――だめ、千歳。来ないで。
自分の親友が近づいてくる。
――今、あなたに、触れられたら。
千歳は涙を流しながら近づいてくる。
――わたしは、もう、あなたを
泣き笑いの顔で近づいて、綾乃に、
――……………………
触れた。
選択肢
1. 千歳のおかげで完全に我を取り戻す。
2. 千歳に触れられて完全に悪霊化。
>>81
2
千歳が綾乃に抱きついた瞬間、朝の公園に風が吹いた。
その風は不吉な感覚を受ける風で、二人を包み込むように吹いたかと思うとあっという間に消え、公園に静寂が戻った。
千歳「綾乃ちゃん…… 綾乃ちゃん…… うち、悲しかったんや…… 辛かったんや……」グスン
綾乃「……」
千歳「綾乃ちゃんがいなくなって、全部が色あせて見えた…… うちにとって綾乃ちゃんは何よりも大事な、大事な人やったんや……」
綾乃「……」
千歳「綾乃ちゃん…… うちな、綾乃ちゃんが好きだった…… ううん、好きなんや…… もうどこにもいかんといて、うちを置いてどこにもいかんって約束して……」
綾乃「千歳」
千歳「……?」
千歳に違和感が襲う。
あかりの声色だったが、それは紛れもなく綾乃の声。
間違えるわけがない、だけど、何かがおかしい。
綾乃「私も、千歳の事が好きよ」
千歳「~~~っ!!」
だが、その違和感は綾乃の言葉によって雲散した。
思っていた相手が自分を好きだといってくれた。
綾乃「ううん、愛しているわ」
千歳「……ほんま?」
綾乃「ええ」
千歳「う、うれしい…… うち、うれしいわ……」ポロポロ
綾乃が自分を愛してくれていた。
千歳の心が温かい気持ちで満たされていく。
綾乃が死んでからの悲しみを癒すように染み渡っていく。
綾乃「私も、千歳を二度と離さないわ」
千歳「あ、あやのちゃん……」ポロポロ
綾乃の手が千歳の手に触れる。
そのまま、綾乃は千歳に近づき、その唇にそっと口づけをした。
千歳「!?」
綾乃「いやだった?」
千歳「そ、そんなことない! び、びっくりさただけで」
綾乃「よかった」
顔を真っ赤にした千歳は綾乃の顔を見れずに俯いてしまう。
だが、千歳の顔は喜びに満ち溢れた顔で恋する乙女の顔でもあった。
綾乃「……」
その千歳を見つめる綾乃の顔は、
無表情だった。
綾乃「ねぇ、千歳」
千歳「ど、どうしたん?」
綾乃「お願いがあるの」
千歳「! なんでも言ってな! 綾乃ちゃんのお願いなら、うち、なんでも聞くから!」
綾乃「そう? それならね……」
綾乃「これから、西垣先生を、殺しに行きましょう」
千歳「……え?」
綾乃が放った言葉に、ただ呆然とする千歳。
綾乃「あの人に話しちゃったのよ。私の事を」
千歳「な、何を言ってるんや? こ、殺すって…… 先生を?」
綾乃「そうよ」
千歳「な、なんでそんな事を……」
綾乃「だって、あの人が私の事を誰かに喋って、もしも私をこの肉体から引きずり出す人が現れたら厄介じゃない。それにあの人だったら訳のわからない発明で私をこの肉体から追い出させるかもしれないもの」
千歳「ひ、引きずりだす?」
綾乃「今はこの肉体がないと、私は誰とも触れ合うこともできないの。もしも別の肉体が見つかればそれをスペアとすることもできるけど、それまではこの肉体を手放すことはできないのよ」
千歳「綾乃ちゃん…… 何を、何を言っとるんや……?」
綾乃「リスクは最小限にしないといけないわ。だから、あの人を殺して、私の事を知っている人間は、あなたと私だけにしないといけないの」
千歳「綾乃ちゃん…… うち、綾乃ちゃんがなにを言ってるのかわからんのや…… そんな事、言わんといて……」
綾乃「嫌なの? 千歳は私のお願いを聞いてくれないの?」
千歳「だ、だって、先生を殺すなんて……」
綾乃「それじゃあ、お別れね」
千歳「え……?」
綾乃は徐に立ち上がると、千歳に背を向けて歩き始めた。
千歳「ま、待って! どこに行くん!?」
綾乃「私のお願いを聞いてくれない千歳はもう好きじゃないわ」
千歳「!?」
綾乃「私はあなたの前に二度と現れない、それだけよ」
千歳「ま、待って!」
綾乃「サヨナラ」
綾乃が遠のいていく姿を千歳は見続ける。
千歳(待って……)
千歳(また、綾乃ちゃんがいなくなってしまう……)
千歳(そんなん、嫌や……)
千歳(絶対に、嫌や)
千歳は立ち上がり、綾乃を追いかけ後ろから抱きしめた。
綾乃「……離してくれないかしら?」
千歳「……嫌や」
綾乃「私はあなたにもう用はないのだけど」
千歳「…………る」
綾乃「何か言った?」
千歳「……うち、やるから。綾乃ちゃんのお願い聞くから…… うちの前からいなくならんといて……」
綾乃「西垣先生を殺してくれるの?」
千歳「……」コクン
千歳が頷いた瞬間、
綾乃は振り向き、千歳の頬に手を当て、再び口づけをした。
今度は深く舌を絡ませたディープキスを。
千歳「んっ! んんっ!?」クチュッ
綾乃「……んっ」ツーーーッ
千歳「あ、あやのちゃ……」
綾乃「千歳。あなたならそう言ってくれるって信じてた」
口を離して、千歳は綾乃の顔を見る。
そこには、花が咲くように笑う、満面の笑みの綾乃がいた。
その笑顔を見たとき、千歳は全ての不安や雑念が押し流されるように消えていった。
綾乃「愛しているわ、千歳」
綾乃の言葉が千歳の心に染み込む。
黒い、ドス黒い何かが千歳の心に染み渡る。
千歳「うちも…… 愛してる……」
綾乃は千歳を見ながら邪悪に笑った。
その顔は既に人の顔とは思えないような恐ろしい顔であった。
エピローグ
数年後
蝋燭の火だけが光源となった古びた洋館。
その一室に、二人の少女の姿があった。
一人は赤みがかった髪をポニーテールにした少女。
もう一人は、金髪を肩口で切りそろえた少女が一糸纏わぬ姿でベットに横になっていた。
「千歳、その肉体にも慣れてきた?」
「うん。もうこの肉体もうちのものや、中で歳納さんが暴れてるで」
「あら、歳納京子らしいわね」
赤髪の少女、あかりの肉体を奪った綾乃。
そして、金髪の少女は京子、だが、その中身は千歳だった。
千歳「これで、うちも本当に綾乃ちゃんと一緒になれたんやな」
綾乃「そうね、うれしかったわよ。私があなたに死んでって言ったときにあなたは笑いながら死んでくれたんだもの」
千歳「うちは綾乃ちゃんのお願いはなんでも聞くんやで? 知ってるやろ?」
綾乃「そうだったわね。でも、あなたも死んでから霊体になれる確証なんて何もなかったのに」
千歳「うちらの愛があればなんだってできる。いままでもそうだった、今回もそうだったってだけやで」
綾乃「ふふふ、そうね」
二人は手を握り、お互いを見つめあっていた。
綾乃「この数年で、私は別の人間に乗り移ることも出来るようになった。私が数年かかったことを数ヶ月でやられたのにはちょっと悔しかったりするけどね」
千歳「綾乃ちゃんが親身に教えてくれたからやで、そのおかげでうちも歳納さんの肉体を奪うことが出来たんや」
綾乃「そういうことにしておきましょうか」
千歳「せやで」
そのまま二人は抱きしめあい、お互いの身体を求め始める。
綾乃「これで、私たちは、永遠に一緒よ千歳」
千歳「せやな、これからも」
綾乃「ええ、これからも、肉体が老いるたびに、新しい肉体に乗り移る」
千歳「素敵や…… うちらは永遠に、未来永劫、ずっと一緒なんやな」
綾乃「死が二人を別つまでなんていうけれど、私たちにはもう意味の無い言葉ね」
千歳「すごいわ、無限にうちらは愛し続けることができるんや、とっても素敵や……」
綾乃「そうね、ふふふふふ」
洋館に月明かりが入り、二人が絡み合うベットの周囲が照らされる。
そこには無残な姿の少女達が、全て恐怖の表情で死んでいた。
綾乃は心にもないことを口に出す。
綾乃「千歳、愛しているわ」
千歳もそれに返すように返事をする。
千歳「うちもや、綾乃ちゃん」
二人のアイというものは既に人間の範疇で理解できるものではなかった。
だが、二人、いや二体のおぞましいナニカは永劫にアイを囁きながらこの世界に存在し続ける。
未来永劫、永遠に。
悪霊 END
ど、どうしてこうなった。
最近はうつゆりになってしまっていけませんね。
純愛モノを見て心を癒してきます。
次は純愛モノをかけますように。
それではー。
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