~森~
エルフーン「ペンドラー、もっと首伸ばして~」
ペンドラー「ぅぐ…こ、こうか…?」ググッ
エルフーン「とぉ!えいっ!」ピョン ピョンッ
ペンドラー「おい!頭の上でジャンプすんな!」
エルフーン「ならもうちょっと伸ばせる?あと少しで届きそうなんだ」
ペンドラー「うー…」グググ
プチ
ペンドラー「ッッ!」
エルフーン「よし、木の実ゲット!もう楽にしていいよ」
ペンドラー「ー…」
エルフーン「ん?どうかしたの?」
ペンドラー「今首が攣ってる…」
エルフーン「あ!すぐ近くにもう一個発見!」ピョン ピョンッ
ペンドラー「ぅあっ!?やめ!降りろっ!」
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エルフーン「ふぅ、結構集めたね!」
ペンドラー「あぁ、うまいな」モグモグ
エルフーン「ちょっとー!先に食べないでよ!」
ペンドラー「あー首が痛むなー」ゴクン
エルフーン「うっ…それは謝るよ…」
ペンドラー「もっと木の実をくれたら許してやる」
エルフーン「食いしん坊だなぁ、だから太るんだよ?」
ペンドラー「なんとでも言え、木の実は貰う」パクッパクッ
エルフーン「あぁ2個も…」
エルフーン「もうひょっと味わってたべひゃら?」モグモグ
ペンドラー「くひにものをふくんえひゃべるな」モグモグ
エルフーン「うっ…ゴクン。まともな返しをされた…」
エルフーン「ってそっちも喋ってたじゃん!」
ペンドラー「ごめん」ゴクン
エルフーン「素直だなぁ」
ペンドラー「木の実はあと2個か…ジャンケンだな」
エルフーン「…2個とも食べていいよ?」
ペンドラー「それは悪い気がする」
エルフーン「そこは察せるんだね」
エルフーン「あっ、良いこと思いついた!」
ペンドラー「なんだ?」
エルフーン「僕に任せてくれればもっと美味しくしてあげるよ!」
ペンドラー「本当か!?頼む!」
エルフーン「ではさっそく!まずは汚れないように大きめの葉っぱを敷いて、その上に実を置きます!」
エルフーン「そして石で実を潰します!」グリグリ
ペンドラー「おー、なんかそれっぽい」
エルフーン「しっかりすり潰して、その後に…」ゴリゴリ
ペンドラー「ふむふむ、粉々だ」
エルフーン「…」ゴリゴリ
ペンドラー「その後に?」ワクワク
エルフーン「…はい、どうぞ」サッ
ペンドラー「…え?もう完成したのか?」
エルフーン「ううん、できなかった」
ペンドラー「木の実が無駄に…」
ペンドラー「…」モグモグ
エルフーン「お味のほうは?」
ペンドラー「木の実が粉々のべちょべちょになった味がする。あとほんのり苦い」
エルフーン「むぅ、やっぱ難しいなぁ」
ペンドラー「何がしたかったんだ?」
エルフーン「ポロックを作ろうとおもってさ」
ペンドラー「ポロック…?なんだそれ」
エルフーン「木の実で作る食べ物さ。ずっと前に人間が作ってるのを見たことあって、できるかなーって思ったんだ」
ペンドラー「ふーん…うまいのか?」
エルフーン「美味しいよ!甘いのとか辛いのとか色々な味があるんだ!」
ペンドラー「へぇ、お前が作ったのは苦かったけど」
エルフーン「敷いてた葉っぱも一緒に食べたからでしょ!」
ペンドラー「そのポロ…っく?ってのはどこで知ったんだ?」
エルフーン「うーん…まだモンメンの時だったし、あの頃は風に乗っていろんなとこを旅したからなぁ~…覚えてないや」
ペンドラー「忘れたのか…」シュン
エルフーン「でもポロック以外にも美味しい食べ物はたくさんあったよ」
ペンドラー「くわしく!」グイッ
エルフーン(うわっ、露骨に食いついてきた…)
エルフーン「んーとね…例えばケーキっていうのがあるんだけど、甘くて中はふわふわしてとっても美味しいんだ!」
ペンドラー「けーき…は、どんな木なんだ?」
エルフーン「木じゃないよ、それも人間の作る食べ物さ」
ペンドラー「そうなのか…美味しいってことは食べた事あるのか?」
エルフーン「勿論!種類もたくさんあって、そのどれもが美味しかったなぁ♪」ドヤァ
ペンドラー「あぁ、だから風に乗れなくなったのか」
エルフーン「太ってませんー!進化したからですー!成長ですー!!」
ペンドラー「でもいいなあ、俺も食いてぇ」
エルフーン「なら食べに行くかい?」
ペンドラー「……え、食えるのか?」
エルフーン「厳密には運がよければ食べれるかも、っていう話だけどね」
ペンドラー「というと?」
エルフーン「この森を抜けてしばらく進んだところに人間の住む町があるんだ。そこに行って食べ物を恵んでもらおうって事さ!」
ペンドラー「えぇー…なんだよそれ…」
エルフーン「実は前々から行ってみたかったんだよねー、この機会にさ一緒に行こうよ!」
ペンドラー「うーん…」
エルフーン「歩けばいい運動になるし痩せれるよ!」
ペンドラー「うるせえ、大体ニンゲンなんて会ったことないから不安なんだよ…」
エルフーン「そっか…でもケーキより美味しい物にも出会えるかも」ボソッ
ペンドラー「すぐ行こう」
~ハハコモリの住処~
エルフーン「というわけで人間の町に行くんだ!」
ハハコモリ「あら、それは楽しそうね」チャカチャカ
エルフーン「君もいくかい?」
ハハコモリ「私は行けないなぁ、クルミルの面度も見ないといけないし」シュルルッ
ペンドラー<おい、まだかー?
エルフーン「もうちょっとだよーっ」
ペンドラー<はやくしろー!
ハハコモリ「まったく…あなたの相棒はせっかちね」スルルッ
エルフーン「あはは、ごめんね」
ハハコモリ「これで…よし、完成っ♪」
エルフーン「おー!ありがとう!さすがハハコモリ!良い仕事するぅ!」
ペンドラー<終わったー?
エルフーン「終わったよ!ペンドラーも見にきなよ!」
ペンドラー<いや、入り口狭くて入れねーってば
~ハハコモリの住処、入り口~
エルフーン「はい、ペンドラー。首からかけてあげるね!」スッ
ペンドラー「ん?なんだよこれ」
ハハコモリ「長い葉で編んだカゴよ、大きいから作るの大変だったんだから。ちなみに紐は糸で出来てるからそう簡単には切れないわ」
エルフーン「そして見てみて!僕は葉っぱのポーチを作ってもらったんだ!」ジャーン
ペンドラー「頭の上にいられちゃ見えねーよ。ってかカゴとか要るのか?」
エルフーン「人間からたくさん食べ物貰うかもしれないからカゴは必須だよ」
ペンドラー「なるほど、まぁありがとうなハハコモリ」
ハハコモリ「いぇいぇ、どういたしまして」
エルフーン「お礼にお土産もってくるからね!」
ハハコモリ「お土産…あっ!なら一つ頼んでも良いかしら?」
エルフーン「なになに?なんでもするよ!ペンドラーが!」
ペンドラー「さらっと押し付けんな」
ハハコモリ「えっと、じゃあもし手に入ったらでいいんだけどミアレガレットっていうのを食べてみたいわ」
ペンドラー「みぁ…れ、がっと?」
エルフーン「旅してた頃に聞いたことあるかも、食べ物だよね!」
ハハコモリ「そう。でも食べ物って事以外分からないの」
エルフーン「了解!ミアレガレットだね!任せて、きっと貰ってくるさ!」
ペンドラー「…そういやエルフーン、そもそもどうやってニンゲンから食べ物を貰うんだ?」
エルフーン「あ、忘れてた!一回降ろして!」ジタバタ
ペンドラー「暴れんな、ってか自分から登ったくせに」スッ
エルフーン「ありがと!」スチャ
エルフーン「ハハコモリ、使ってもいい板とかある?あと濃い汁がでる木の実!」
ハハコモリ「ええっと…待ってて」ガサゴソ
ペンドラー「何に使うんだ?」
エルフーン「木の実を潰して文字を書くのさ」
ハハコモリ「あったわ、これでいい?」スッ
エルフーン「ありがと!あとはこの板に…」サッサッ
板【ゴハンください】
ペンドラー「…なんて書いてあんだ?」
エルフーン「人間が使う文字で"ご飯ください"って書いてあるんだ。旅してた時必死に覚えた言葉の一つさ」
ハハコモリ「なんか物乞いみたいね」
ペンドラー「まんま物乞いだろ」
エルフーン「物乞いでいいの!んじゃこの板はペンドラーのカゴに入れといてと…」ゴソッ
エルフーン「さて、これで全ての準備は整った!頭にのせて!」
ペンドラー「はいはい」スッ
エルフーン「うんしょっと……いってくるねハハコモリ!」
ハハコモリ「うん、いってらっしゃい」
エルフーン「出発だ!ペンドラーロボ、発進!!」ガチャガチャ
ペンドラー「角をガチャガチャすんな」ズンズン
・・・・・・
・・・・
・・
エルフーン「ペンドラー!町が見えてきたよっ」
ペンドラー「あれか……おい、このまま進んで大丈夫なのか?」ズンズン
エルフーン「大丈夫!人間の町だけど普通にポケモンと暮らしているし」
ペンドラー「んじゃこのままいくけど…」ズンズン
・・・・・・
・・・・
・・
「…わぁっ!?」
「はぁっ!?」
ペンドラー「ここがニンゲンの町かぁ…森とは大違いだ…」キョロキョロ
エルフーン「みんな君を見て驚いてるね」
「うおっ!?」
ペンドラー「…ニンゲンって意外と小さいんだな」
エルフーン「いやいや、君が大きいんだよ?」
「…っ!?」ジロジロ
ペンドラー「…そろそろ視線が痛いな…」
エルフーン「ぅーん…どこかいい場所……」キョロキョロ
エルフーン「…あっ!」
ペンドラー「どうした?」
エルフーン「あっちに噴水が見える!きっと公園だ、行ってみようっ!」
ペンドラー「わかった…ところでふんすいってなんだ?」ノシノシ
エルフーン「水が噴出す機械だよ」
ペンドラー「ふーん、んじゃこうえんってなんだ?」
エルフーン「公の園だよ」
ペンドラー「へー、なるほど」
エルフーン(適当に返したんだけど今ので分かったのかな…)
~公園~
ペンドラー「お、他と違って緑がある」
ワー ワー
キャー キャー
ペンドラー「なんかさっき見たのより小さいニンゲンが水のとこで騒いでるな」
エルフーン「あれは人間の子供だね。水遊びしてるのかな?なんにせよあまり刺激しないようにしなきゃ」
エルフーン「とりあえず僕らはあそこにある木の下にそっと移動しよう」
ペンドラー「分かった。でも喉渇いたからちょっと水飲んでくる」ズンズン
エルフーン「え…ちょっ…」
子供達「「「ッッ!!?」」」
ワーッ! ナンカキタ!
デッケェ! ニゲローッ!
ペンドラー「…?」ゴクゴク
ペンドラー「ふぅ…なんかめっちゃ騒がしくならなかった?」
エルフーン「…たまにさ、ペンドラーがホントに話聞いてるのかなって思う時があるんだ…」
ペンドラー「?」
~公園、木の下~
ペンドラー「やっと座れる…影涼しい~」ボスン
エルフーン「もうここでいいかな、頭下げて」
ペンドラー「ん…」スッ
エルフーン「よっと…着地成功」スチャッ
エルフーン「カゴは…ここに置いて…板は、こっち…」バッバッ
エルフーン「よし!配置完了!これより作戦を実行する!」
ペンドラー「作戦ってなんだよ」
エルフーン「よくぞ聞いてくれた!作戦はいたってシンプル!①ここに座って待機!②人間がこの板の文字を読む!③カゴに食べ物を入れてくれる!④それを僕達が食べる!以上、質問はあるかい?」
ペンドラー「えーと……そもそも近くにニンゲンが見あたらないんだが」キョロキョロ
エルフーン「誰かさんが驚かしちゃったからねー」
ペンドラー「悪かったよ…」
エルフーン「まぁ気長に待とうよ、そのうちきてくれるさ」
ペンドラー「おう」
・・・・・
・・・・
・・・
「……」ジーッ
「……」ジロジロ
ペンドラー「ニンゲン通るけど、見るだけで去っていくな」
エルフーン「割とこんなもんだよ、辛抱が大事なんだ」
ペンドラー「ふあぁ、眠くなる……ってかその板の文字が間違ってるからこないんじゃないか?」
エルフーン「失礼なー!めっちゃ勉強したんだもん、間違ってなんか…」チラッ
エルフーン「……」クルッ
エルフーン「ほら!」ドンッ
ペンドラー「逆さまだったのか…」
ジロ…ジロ…
ジー… チラッ
ペンドラー「……暇だ…視線だけが痛い」
エルフーン「この状況…当時を思い出すな~」
ペンドラー「当時?」
エルフーン「モンメンの頃の話さ。旅の途中で食べ物がなくてどうしてもって時はこうやって凌いでたんだ」
ペンドラー「へー、今みたいに板に文字書いてひたすら待ってたのか?」
エルフーン「それがさー、あの時は手もないから文字かくのも難しくて…」
ペンドラー「うわ…大変だったんだな…」
エルフーン「でも楽しかったなぁ」
ペンドラー「楽しい?それはなん…」
「わぁ!おっきいポケモンっ!!」
ペンドラー「!?」
エルフーン「!?」
子供「ママー!ポケモンおっきい!ちっちゃいのもいるー!」
母親「こら!そんなに近づいたら危ないでしょっ」ダッ
ペンドラー「すげー…あんなでっかい声だせるんだな」
エルフーン「僕もびっくりしたよ」
子供「みてみて!ごはんくださいってかいてある!おなかすいてるんだよ!」
母親「あら…本当ね」ジロジロ
エルフーン(…ッ!アピールチャンスッ!!)キッ!
エルフーン「エルッ!エルフーッ!」バッバッ
子供「ママーごはんあげたい!あげたい!」
母親「ええ…一回だけよ?なにかあったかな…」ガサゴソ
母親「そういえば…リンゴが安くて買いすぎちゃってたわ、これ食べるかしら?」スッ
子供「たべるよきっと!」パシッ
子供「はい!このリンゴあげるっ!」スッ
ペンドラー「あ?俺?」
エルフーン(あれ…僕には…?)
ペンドラー「……」クンクン
子供(においかいでるっ!)ワクワク
ペンドラー「ほんのり甘いにおい…くっていいのか?」
エルフーン「まぁここまで歩いてくれたんだし、一番最初は君が食べなよ。あっ…子供の手まで食べないでよ?」
ペンドラー「しねーよ…あむっ」パクッ
子供「たべた!」
ペンドラー「……」シャリシャリ
ペンドラー「ゴクンッ……あぁ…うめぇ…」パァァ
エルフーン「よし!貰ったらお礼だよペンドラー!」
ペンドラー「お礼?」
エルフーン「そうだよ!こうやって、感謝の気持ちを込めて頭を下げるのさ」ペコッ
ペンドラー「…こうか?」ペコッ
子供「わああっ!おじぎした!おじぎしたよママー!見たっ!?」キャッ キャッ
ペンドラー「あ、楽しいなこれ」
エルフーン「でしょ?」
母親「あら…野生のポケモンなのにすごい礼儀ただしい…」
子供「もういっこ!ママもういっこ!」
母親「しょうがないわね…じゃあこれは小さいポケモンさんに渡しなさい」
子供「うん!はいどーぞ!」スッ
エルフーン「エルッフゥゥッ!」パシッ
エルフーン「エルフーゥ!エルフーゥ!」ペコペコッ
子供「よろこんでるっ!」パァァ
母親「フフッ、良かったね…あ、ほら!お父さん待ってるからもう帰るわよ」
子供「うん!またねーバイバイッ!」スタスタ
ペンドラー「ンラァ」角ピコピコ
エルフーン「エルエルーッ」モグモグ
ペンドラー「……なぁ、それ一つ分けてくれ」
エルフーン「嫌だよ…ってか一つしか貰ってないし」
エルフーン「ふう…リンゴで割とお腹いっぱい…」
ペンドラー「もうか?俺はまだまだいけるぞ」
エルフーン「体の大きさが違うでしょ」
ペンドラー「あ、待て、誰かきた」
男「へぇー、野生ポケモンなのに賢いなぁ…ほらよ、これやる」スッ
エルフーン「エルッフーンッ!」ペコ
ペンドラー「ンラ」ペコ
男「ははは、たくさん食べろよ!じゃーな」スタスタ
ペンドラー「なんかカゴに入れて行っちまったな、んでこれなに?」
エルフーン「なんだろ…袋?書いてある文字は分かんないや、ひとまずあけてみよう」ビリリ
エルフーン「小さな小枝みたいのがたくさん入ってる…はいペンドラー、一本どうぞ」スッ
ペンドラー「お、悪いな」パクッ
ペンドラー「うお!?うめぇ!食べたことない味!もっとくれ!」
エルフーン「良かった、不味くはないみたいだね」
ペンドラー「待て、どういう意味だ…」
エルフーン「……」サクサク
エルフーン「んんぁあ美味しいッッ!なんてゆーのかな…森じゃ絶対に出会えない味ッ!」
ペンドラー「くれ~」
エルフーン「はい、でもたくさんとらないでね」スッ
ペンドラー「おう」ズンッ
エルフーン「あー!?ちょっ!袋に顔つっこまないでよ!」
ペンドラー「うん」ムシャムシャ゙
エルフーン「って言いながら食べてるし!そろそろ顔抜いて!」バシバシ
ペンドラー「やめられないとまらない」ムシャムシャ
エルフーン「ちょっ!?ほんとに!僕も食べたいから!!食べるのやめろこら!」バンバンッ
エルフーン「ぅぅ…ほんの少ししか残ってない…大切に食べよう…」サクサク
ペンドラー「…ごめん、悪かった」
エルフーン「別にいいよ…でも次きたら僕の取り分を多めにしてね」
ペンドラー「…う……ぐぅ、ぅぅ……う、ん…」コクンッ
エルフーン「すごい葛藤だなぁ…」
ペンドラー「にしても…ニンゲンはすげぇな、こんなものつくれるのか。正直木の実より美味いものはないと思ってた」
エルフーン「まぁずっと森で暮らしてたしね。そもそも美味しいの意味合いが全然違うんだよ」
ペンドラー「意味合い?」
エルフーン「木の実はたまたま偶然おいしかっただけ。それと比べてニンゲンは元々美味しくないものを美味しく、美味しいものは更に美味しくする事ができるのさ」
ペンドラー「やるなぁニンゲン、食べ物もくれるし優しい奴等ばっかだな」
エルフーン「うーん…そうとも限らないんだよねー」
ペンドラー「そうなのか…、お…?また誰かきた」
青年「……」スタスタ
青年「……」ジロジロ
ペンドラー「……」
青年「……」
ペンドラー「……」
青年「……」
ペンドラー(な、なんだ……ずっと見てくる……)
青年「……」スッ
ポイッ
ペンドラー(あっ、なんか入れた)ペコッ
青年「フッ…」スタスタ
ペンドラー「…行っちまった…なんだったんだ今の」
エルフーン「なんか小さいのを入れてったね、カゴを見てみよう」ガサゴソ
エルフーン「あった、これだ」スッ
ペンドラー「紙?」
エルフーン「グシャグシャな紙だね、人間が描いてある…ゴミかな…?」ジーッ
ペンドラー「とりあえず食べてみてくれ」
エルフーン「いやいや食べないよ!紙って分かるんだから!これは食べ物と間違えないようにポーチに入れておこう」モゾモゾ
エルフーン「これでよし。たまにいるんだ、ゴミとか紙くずを入れちゃう人間が」
ペンドラー「そんな奴等もいるのか、なんでそんなことするんだ?」
エルフーン「うーん、分からないなぁ…まぁいろんな人間がいるってことさ。でも君なら紙を食べてもなんら違和感ないって思ったんじゃない?」
ペンドラー「まぁうまけりゃ」
エルフーン「否定しないんだ」
「あっ!いました!カメラさん準備を!」ビシッ
「あーいっ!」
エルフーン「ん?あの人間こっち指さしてるね」
ペンドラー「ってかこっちきてるな」
アナウンサー「こんにちは!私は今公園にきております。実はここに、とてもとても賢い野生ポケモンがいるとの目撃情報が入っております!」
アナウンサー「なんでも、板に文字を書いて食べをねだり、律儀におじぎをするとのことです!」
ペンドラー「なんか独りでブツブツいってるな」
エルフーン「あ、あれ分かる!てれびの奴だ!」
ペンドラー「てれびってなんだ?」
エルフーン「なんか分からないけど偉い人間なんだよ!」
ペンドラー「分かってねーじゃねーか…」
アナウンサー「ほら!テレビの前の皆さん見えますか?あちらの木の下に"ゴハンください"と書かれた板と、2匹のポケモンがいます!」
アナウンサー「一匹は小さくて可愛らしいポケモンさんですね」
エルフーン(えーそうかなぁ…ふふん♪)
アナウンサー「対照的にもう一匹はとても大きくて威圧感がありますが…なんだか眠そうな目をしております」
ペンドラー(実際少し眠いしな)
アナウンサー「それではさっそく突撃レポートしてきたいとおもいます!」タッタッ
アナウンサー「こんにちはー!調子はいかがですか?マイクに向かって一言どうぞ!」スッ
エルフーン(ふふふ…ここで洒落た事言って驚かせてやる!)
エルフーン「エルルッエルッフーエルンッ…エルフーンエルッ!」ドヤ
ペンドラー(なに言ってんだコイツ…)
アナウンサー「とても元気ですね!きっと絶好調なんでしょう!」
エルフーン(あうー…伝わらないかー…)
アナウンサー「こちらの大きなポケモンさんの方は調子いかがですか?」スッ
ペンドラー(調子って言われてもなぁ……ってかこれなに?食い物?)ガブッ
アナウンサー「あっ!だめです!マイクは食べ物じゃないですよっ!」アタフタ
スタッフs「「「ハハハッハハハッwww」」」
エルフーン「……美味しいなぁ…」
ペンドラー「いや、まずかったぞあの黒いの」
エルフーン「そういう意味じゃないよ」
アナウンサー「現場からは以上ですー!それではー!」
~その後~
「あー!いた!ちょーうける!!」
「ほんとだー!パンあげるねー!」
ペコッ
「見ろよ!テレビにでてたポケモンじゃね!?」
「お菓子もたべるかな?はいどうぞ!」
ペコッ
「これもあげるーっ!」 「これで美味しいもの食べてね!」チャリンッ
「カワイイーッ」
「デッケェー!」 「お菓子やるよっ」
ペコッ
・・・・
・・・
・・
「ばいばいー!」
ペンドラー「今ので最後か…やっと落ち着いた…」
エルフーン「テレビの効果って凄いなぁ…食べ物でカゴいっぱいだよ…」
エルフーン「あっ、そういやミアレガレットはあるかな」ガサゴソ
エルフーン「…おっ!」
ペンドラー「あったのか?」
エルフーン「みてみて!お金が入ってた!」キランッ
ペンドラー「んぁ?なんだそれ、食えるのか?」
エルフーン「食べれないよ!これは人間が色々な物を交換するために使う物なんだ、食べ物もね!」
ペンドラー「いちいち交換するのか、なんかめんどくさいな」
エルフーン「持ってて損はないよ、とりあえずポーチにいれとこう」モゾモゾ
ペンドラー「んで、みれあがっとは?」
エルフーン「ないかも…」ガサゴソ
ペンドラー「ええ…ハハコモリの頼みどうすんだよ?」
エルフーン「食べ物以外分からないって言ってたから、それっぽいのをあげて誤魔化そう…ほらこのピンクの食べ物とかそれっぽくない?」スッ
ペンドラー「適当だな…」
エルフーン「さて、日も暮れてきたし撤収だ!カゴの紐を掛けるから頭下げて!」
ペンドラー「ほい」スッ
エルフーン「板も押し込んで…よっと!」スルルッ
ペンドラー「おし、んじゃ行くか」グイッ
ペンドラー「うお、カゴが重くなってる」グッ
エルフーン「あー!まだ頭あげないで!僕が乗ってないよ!」
ペンドラー「ったく」スッ
エルフーン「よいしょ…ありがと!」
ペンドラー「たまには自分の足で歩けよな」ズンズン
エルフーン「君の頭上は風が気持ちいいんだ、涼しい~」
ペンドラー「太ってる奴は暑がりだからな」
エルフーン「言ったな!この!この!」バシバシ
ペンドラー「うぉっ!やめろこら!」
~町中~
ペンドラー「どっから来たっけ」キョロキョロ
エルフーン「方向音痴だな~、そこ右だよっ」
ペンドラー「りょーかい」クイッ
エルフーン「…ねぇペンドラー、せっかく来たんだから帰る前にちょっとどこかに寄って行こうよ」
ペンドラー「俺は早く帰ってご飯食べたいんだけどな」ズンズン
エルフーン「そんな事言わずにさぁ、ほら!こことか入ってみようよ!入り口も大きいしペンドラーも入れるよ」
ペンドラー「ギリギリだな…というか俺達が入って大丈夫なのか?」ノソノソ
自動ドア「ウィーン」
ペンドラー「ッ!?」ビクッ
エルフーン「開いた!歓迎されてるよ!」
ペンドラー「……」スッ
自動ドア「ウィーン」
ペンドラー「……♪」スッ
自動ドア「ウィーン」
エルフーン「遊んでないで入ろうよ」
~本屋~
店員「いらっしゃいま…っ!?」ビクッ
エルフーン「エルッフーンッ」
ペンドラー「ンドラァ」キョロキョロ
店員「ええっと…その…ごゆっくりどーぞ」ニコッ
エルフーン「エルッ!」コクンッ
ペンドラー「……」ズンズン
店員「……びっくりしたぁ…」
エルフーン「良かった、入っても大丈夫みたいだね」
ペンドラー「あぁ割と普通だったな…んでここはなんなんだ?」
エルフーン「たくさん本が置いてあるから本屋さんだね」
ペンドラー「ほんやさんってだれ?」
エルフーン「分かんない」
ペンドラー「分かれよ」
エルフーン「あっ!おもしろそうな本みつけた!近づいて!」
ペンドラー「ほらよ」ノソノソ
エルフーン「ありがと!」パシッ
エルフーン「……」パラパラ
ペンドラー「読めんのか?」
エルフーン「ううん、絵を見てるだけ、でも字が読めたらもっと楽めるんだろうけど」パラパラ
エルフーン「わぁ!これ知ってる!見てみて!」
ペンドラー「うん?なんだこれ…ピンクの岩?」
エルフーン「これは時計なんだよ!実物は大きくて綺麗で…みとれちゃったな…」パラッ
エルフーン「あ、この観覧車も知ってる…他にも…あぁ……」パラパラ
ペンドラー「どうした?」
エルフーン「これ見てたらまた旅がしたいなって思ってさ」パラ
エルフーン「よし決めた!これ買おう!」
ペンドラー「買う?」
エルフーン「うん!貰ったお金を使ってみるんだ!あそこの人間が立ってる台のとこまで行こう!」
ペンドラー「なんか知らんが分かった」ズンズン
店員「あ、さっきのポケモン…」
エルフーン「エルゥ!」
店員「えっと…そちらの本をお求めですか?」
エルフーン「エルフッ!」コクッ
店員「お金はお持ちですか?」
エルフーン「……」ガサゴソ
エルフーン「エルーンッ♪」キラーンッ
店員「……ちょっと…足りないかなぁ…」
エルフーン「エルッフ!?」
ペンドラー「ンドラ?」
エルフーン「エル…エルゥ…」
ペンドラー「ペェン…ンド、ンラァ」
エルフーン「エルゥ…」シュン
店員(ああっ、めっちゃがっかりしてる!?)
店員「ご、ごめんね…でもお金ないとこちら側としても…ん?そのポーチの中、まだ何か入ってる?」
エルフーン「エル?フーン?」スッ
店員「そのくしゃくしゃの紙、見てもいいかな?」
エルフーン「エルッ」コクン
店員「…あ!やっぱり!これお札じゃないですか!」ピシッ
エルフーン「エルッ!?」
店員「これで本が買えますよ、お買い上げありがうございます♪」ニコッ
エルフーン「エルッ!エルッフーンッ!!」キャッキャ
ペンドラー「ンラッ、ンドラァ!」ジタバタ
店員「さ、騒ぐのはダメですよ!」アタフタ
~帰り道~
ペンドラー「すっかり陽が暮れた…この道をずっとまっすぐで森につくんだったか?」
エルフーン「あぁ…凄い…世界にはまだこんなのがあるんだ…」パラパラ
ペンドラー「聞いてんのか?」
エルフーン「へぇ、これはなん…ああ!月が隠れて暗くなっちゃった!」
ペンドラー「おいこら!」
エルフーン「え、あ!ごめんごめん!なんの話だっけ?」
ペンドラー「…なんでもねーよ」
エルフーン「もーごめんってば拗ねないでよー…あ、ちなみにまっすぐね!」
ペンドラー「了解」ズンズン
エルフーン「はやく雲から月がでてくれないかなぁ…」ウズウズ
ペンドラー「……なぁ」
エルフーン「ん?なんだい?」
ペンドラー「旅って楽しいのか?」
エルフーン「うん!楽しいよ!」
ペンドラー「なにが楽しいんだ?」
エルフーン「綺麗なものが見れたりとか、不思議なことに出会えたりとか、なにより自分の知らない世界に足を踏み入れるのってワクワクしないかい!?」
ペンドラー「うーん…しないなぁ…」
エルフーン「しないかー…でも今日だって小さな旅みたいなものだったと思うんだけど、どう?ペンドラーは楽しめた?」
ペンドラー「……」
わああっ!おじぎした!おじぎしたよママー!
フッ… あっ!だめです!マイクは食べ物じゃないですよっ!
ウィーン
ペンドラー「…まぁそれなりには楽しかったかな。食い物もたくさん貰えたし」
エルフーン「でしょー!僕も楽しかった!新しい発見もあったし!」
ペンドラー「発見?」
エルフーン「あの紙だよ!まさかお金だったとは…本も買えたし、あれをくれた人間には感謝してもしきれないよ…」
ペンドラー「あぁ、でもお前ゴミゴミ言ってたもんな」
エルフーン「だ、だって!あんなくしゃくしゃなのお金と思わないもん!」
ペンドラー「まぁ、運が良かったな"アンラッキーボーイ"なのに」
エルフーン「ちょっ!ちゃんと聞いてたの!?忘れてよ恥ずかしい!」
ペンドラー「確かに、あれは聞いてたこっちも恥ずかしかった」
エルフーン「うるさいうるさいっ……あ、月がでてきた!本の続きを」パラパラ
ペンドラー「そんなに面白いなら俺もあとで見てみようかな」
エルフーン「あとでといわず今見てよ!ほらこの絵とか凄くない?」
ペンドラー「だから頭の上にいられちゃ見えねーよ」
エルフーン「あ、そっか。んじゃ帰ったら見せてあげるね!」
ペンドラー「帰ったら寝る、そして食う」
エルフーン「えー、せっかく見せてあげようと思ったのに…」パラパラ
エルフーン「ぅ…なんか気分悪くなってきた…酔ったかな…」
ペンドラー「はぁ!?今すぐ見るのやめろ!」
エルフーン「そだね…わぁ…この絵もなかなか…ぉぇ…」
ペンドラー「やめろっつてんだろ!」
・・・・
・・・
・・
~後日、森、ハハコモリの住処~
エルフーン「って訳でとても楽しかったよ!」
ハハコモリ「へー、いいなぁ。今度は私も行こうかな…でもクルミル連れてまではいけないなぁ」
エルフーン「ペンドラーに乗せればいいじゃん!」
ハハコモリ「いいわねぇ、それでいきましょう」
エルフーン「あ、それとこれ!おみやげのミアレガレット!」スッ
ハハコモリ「わぁ!ありがとう!」パシッ
ハハコモリ「へぇ、このピンクのが…イメージと違うわね…」ジロジロ
エルフーン「…そ、そうかな…一番それっぽいのを選んだんだけど…」ギクッ
ハハコモリ「うん?」
エルフーン「なんでもないよ!」
ハハコモリ「ふーん…読めないけどこの"Caplico"って文字がミアレガレットって意味なのかしら?」
エルフーン「き、きっとそうだよ…」
ハハコモリ「では…」ビリリ
ハハコモリ「いただきます」サクッ
モグモグ…
エルフーン「お味はどうだい?」
ハハコモリ「甘くて…とても美味しい!」サクサク
エルフーン「ほっ…。お口にあって良かった!」
ハハコモリ「でも喉が渇くわね、木の実ジュース淹れるけど飲む?」
エルフーン「飲む飲む!」
ペンドラー<おい!俺にも飲ませろ!
ハハコモリ「あら、ならそんなとこにいないで入ってきなさいよ」
ペンドラー<入り口が小せぇんだよ
エルフーン「あはは、なら少し痩せなよ」
ペンドラー<吐けモンは黙ってろ
エルフーン「ちょっ!?」
ハハコモリ「吐けモン?なにそれ?」
エルフーン「いや、なんでも…」
ペンドラー<あ?聞いてないのか、こいつ帰り道で・・・
エルフーン「わー!わーー!!」アタフタ
・・・・・
・・・・
・・・
・・
エルフーンとペンドラーの日帰り旅行 ~完~
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