【艦これ】提督「古鷹のお口周りについてるものを拭き取ってあげたいよぉ」 (51)

最初にお詫びをさせていただきます。

先日書きかけた瑞穂のSSは、あれから先が全く思いつかなくなったため依頼を出させていただきました。
お付き合いいただいていた方には、大変申し訳なく思っております。

エタは今回に始まった事ではないのですが、
今後はこれがないように、書きための終わったものだけを投下していくことにしました。

何卒、よろしくお願い致します……。


本編は次からです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1461808037





古鷹「…………」サクサク



提督「……」クネクネ

提督(自室に一人籠り、乾パンを手にし)

提督(栄養摂取に勤しむ古鷹も中々ぁ……)

提督(愛いのぉ……ウイヤツ……)チュパチュパ


提督「おおぉぉぉ…………」スゥーッ


提督「うふぅ……」フシュー








古鷹「……ん、こふっこふっ……!」ゴホゴホ



提督(おぉ……えづいたぞ……)ポポポ

提督(ガハハ、これだからNOZOKIはやめられんわい)


提督(それにしても……口周りに黒いお零れなど付けおって)

提督(はしたない女子じゃのう……)ジュルリ

提督(……ンまったく、仕方のないッ)

提督(麻呂の超絶手技により……もれなく拭き取ってくれよう)

提督(そして、許されるのなら……それを麻呂の口に運びたい……)ハァハァ








古鷹「……うぅ……」ポロ…ポロ…



提督(んぬぅ?何やら涙を流し始めたではないか……)

提督(かわいそうに……かわいそうにのう……)クネクネ

提督(理由は分からぬが……しかし好都合なのじゃあ~↑)

提督(入る→宥める→心許す→口を拭く)

提督(これでゆくぞ)コクッ








ガチャンッ!


古鷹「ひゃっ!?」グスッ

提督「やぁ、古鷹」ニコッ


提督「おかしいかな、君の部屋の前をたまたま通ったら……」

提督「なにやら、あどけない乙女の歔欷が耳に入ってね」キリッ

提督「はははっ、遠慮はいらないよ」

提督「私で良ければ胸を貸s」
古鷹「こ、来ないでくださいっ!」ゴシゴシ



提督「おうふ」








意を決して古鷹の部屋を訪れた私は、予期せぬ事態を迎えることとなった。
それまで拒むことを知らなかった、穏健で優しい彼女に……私は拒絶されたのだ。

刹那、私の身を動悸が襲い、内の臓がきゅうと収縮してゆくような息苦しい痛みを覚える。
今思えば、それすら生きていることの証拠だったのだろう。

私に失態などなかった。拒まれる道理もなかった。
何故なのか、私が何をしたというのか。

こころはもはや“生きる希望”を失う、その寸前の境地にまで達していたのだ。



やがて私は自棄となった。


獣と化した。








年齢相応のあどけなさを残した眼前の彼女は、今まさに目を見開き、震えている。
私の姿がその目にどう映っていたか、今では知りようもない。

本能は獣の眼光を以ち、その全身を舐めるように見回すことのみ促した。
恐れと確固たる意志を隠さぬ顔、震える肩、中破により素肌を覗かせし腹部、抵抗に備え構えを崩さない細い足、腹部、腹部。

だが、私の眼差しはやがて彼女の手元に行きつく。
古鷹は咄嗟に、大切そうに持っていたそれを背後に隠したが、見逃すはずもない。

こいつが……こいつが古鷹を……!


古鷹が叫ぶ。

「や、やめてください!」

だが、私は奪うことにした。

彼女の大切なものを。








華奢な乙女の抵抗など、限りなく虚しく、脆い。

私は古鷹の腹部を見つめながら、愉悦のうちにそれを無理やり奪い取った。
片手に収まらぬ大きさの瓶の中に、黒い何かが入っていた。
このようなもの、初見となる。だが、関係など無い。

おもむろに蓋をこじ開け、私はペースト状となった中身を指で掬い、彼女の目の前でベロリと舐めて見せた。
たちまち顔面の筋肉が痙攣をはじめる。


辛い。
燃えるように塩辛い。


次第に意識が黒く塗りつぶされてゆく……。
私は、負けたのだ。




提督「おえっ!ヴぉえッ……!」ゲホゲホッ

古鷹「あぁっ、だからお止めしたのに……」オロオロ








提督「ごほっ、ごふっ!」ハァハァ

古鷹「提督、お水です……」スッ…

提督「アリガゴクゴクゴクッ」

提督「プハァーっ!」



提督「あれ何!?」

提督「すんごい不味かったんですけどっ!」

古鷹「うぅ……やっぱりお口にあいませんでしたか……」


古鷹「実は……」


……
…………
………………







古鷹『ふんふ~ん♪』テクテク

古鷹『……ん?』



金剛『……』トボトボ…








古鷹『金剛さん、どうしたの?』

金剛『……あ……』

金剛『は、Hi古鷹!』アハハ…

金剛『実は英国に一時帰国したから、皆にお土産を買ってきたノー!』

古鷹『本当!?嬉しいっ』ニコッ

金剛『フフーン!』エッヘン


金剛『……デモ』シュン

古鷹『でも?』

金剛『どうやらJapaneseの皆さんの舌には、Muchしないみたいネー……』スッ








古鷹(瓶詰の黒いペースト?)

古鷹『これは……チョコレートなの?』

金剛『ふふっ、違いマース』

金剛『これは“マーマイト”という、Beer酵母を使った英国の食品デース』

古鷹『へぇー……』ジーッ


金剛『……試しに、少し食べてみてヨー』

古鷹『え、いいの?』

金剛『Yes!このトーストにバターと一緒に塗っていただいてネ!』スッ

古鷹『うん!』

ヌリヌリ

古鷹『いただきまーすっ』








古鷹『…………』サクサク

金剛『……』ドキドキ


古鷹(うっ、こ……これは……)モグモ…

古鷹(塩辛い……元のパンの味が感じられないよ……)グ…

古鷹(うぅん……正直、美味しくは……)モ…グ…


金剛『……ウゥ、やっぱり皆同じ反応デース……』シュン

金剛『……ごめんなサイ……』

古鷹『!』








金剛(皆の喜ぶ顔が見たかったけど、それは敵わないみたいデース……)

金剛『食事は美味しく頂けないと意味がないネ……』

金剛『だからこれはセキニンとって、私一人で……』グスッ


古鷹『こ、これ、すごく美味しいっ!』オロオロ

金剛『!!』

古鷹『私す、好きかもっ、あはは……!』ニコッ

金剛『古鷹……!』パァァ


……
…………
………………







提督「なるほどなぁ」

提督「それで残った分のほとんどを引き取って……」

提督「誰かを巻き込むわけにもいかず、密かに一人で食べきろうとしていたと」

古鷹「はい……」

提督「だからって、泣くほどキツイなら無理しなくても……」ガクッ

古鷹「で、でもっ」

古鷹「あんなに悲しそうな金剛さんの顔を見たの、初めてで……」








古鷹「それに、“好きな人は好きな味”って言っていたので」

古鷹「きっと……いつか良さもわかるんじゃないかって思って……」

提督「あはは、古鷹らしい理由だなぁ」


提督「しかし、それにしたって皆に食べてもらった方が楽だし、金剛のためにもなるだろ」

提督「だったら、誰でも食べられるようになる方法を考えようや」

提督「乗りがかった船だし、私も付き合うよ」フフン

古鷹「え!?そ、そんなっ、悪いです!」オロオロ








提督「ははは、いけないなぁ」

提督「そうやって一人で抱え込もうとするのは、君の良い所だけど短所でもある」

提督「艦隊運用も人間関係も、チームワークがすべてだゾ☆」

古鷹「てい……とく……」

提督「よし決まりだ、さっそく始めよう」

古鷹「……はいっ」ニコッ



提督(そしてあわよくば古鷹の口周りを拭きにかかる)

提督(うむ)ニヤ


……
…………
………………







提督「さっき口にしたこの……マ、ま……?」

古鷹「“マーマイト”だそうです」

提督「それだ、このマーマイトだが……」

提督「とにかく塩辛いっ」

提督「そして、後を引く焦げ臭さにより、コメントすら難しい次元に昇華している」

古鷹「うぅ、あながち否定はできません……」

提督「それを踏まえ、私なりに一応策は講じた」

古鷹「」ワクワク







○その1


古鷹「これは……お砂糖ですか?」

提督「うむ、そうだ」コク

提督「それに加え、わが軍の金鵄ミルク(練乳)と市販のビスケットも用意した」

古鷹「なるほど……甘いもので塩辛さを誤魔化すということですね!」

提督「さすが古鷹、その通り!」

提督「賢い!」

提督「天才!」

提督「才女!」

古鷹「えへへっ」ニコッ








古鷹「ビスケットにマーマイトを塗りましたっ」

提督「よし、次に砂糖をまぶし……」パラパラ

提督「更にミルクを塗って……」ヌリヌリ

提督「最後にもう一枚のビスケットを……」

提督「じゃんくくらーっしゅ!」ペチャ

古鷹「わぁ……!」ワクワク

提督「できた!マーマイトクッキーサンド!」








古鷹「いただきますっ」サクサク

提督「いただきまーす」サクサク



古鷹「……」サク…サ…

提督「……」サクサ…ク…



古鷹「……コフっ、ごほっ!」

提督「…………ママァ…………」ポロ…ポロ…








提督「なんだこれは、更にひどくなってしまったぞ!」

古鷹「なんというか……塩辛さが消えるどころか、甘みと辛さが際立って……」

古鷹「もう食べたくありません……」ゲッソリ

提督(古鷹の口元を涎が伝っている……)

提督(舐めてぇなぁ)


提督「しかし、めげている場合じゃない」ブンブンッ

提督「次、行こうかっ」

古鷹「はいっ!」







○その2


提督「なんかこれ、すっげーのり佃煮みたいじゃん」

提督「ご飯に合いそうじゃん」

古鷹「そ、それは……ちょっと……」

提督「……」


提督「いいんだいいんだっ」

提督「私一人でマーマイト入りの握り飯をにぎっていれば……」ツーン

古鷹「ご、ごめんなさい、お付き合いしますからいじけないで……っ」オロオロ








提督「……」ニギニギ

古鷹「……」ニギニギ


提督「ねぇ」

古鷹「はい、なんでしょう?」

提督「……なんで入渠してないの?」

古鷹「そ、それは……ふふっ」

古鷹「提督が……この姿が好きだと言ってくれたので……」カァー…

提督「古鷹ぁ……」ジーン…








古鷹「いただきます……っ」

提督「いただきますぅ……」



古鷹「……」モグモグ

提督「……」モグモグ



古鷹「塩は……つけない方がよかったですね……」

提督「そうだな……オエッ……」








提督「でも、さっきよりはまだ食える……かな?」

古鷹「案外……悪くは……?」

提督「……でも美味しくもないな」

古鷹「はい……」シュン


提督「それに、なんか味覚がおかしくなってきた……」

古鷹「私も……そろそろ限界が来そう……」







○その3


提督「最後はお茶に溶かして飲む方法だゾ」

古鷹(なんだか一番不安な方法です……)

提督「これまた市販の緑茶に混ぜれば、昆布茶みたいな感じに……」

提督「……なりそうじゃん」

古鷹「……ノーコメントです……」

提督「ふえぇ」








提督「うっ、なかなか溶けないぞこれ!」クルクル

古鷹「すごく粘度が高くて……匙にくっついてしまいます……」クルクル

提督「うおおおおっ」クルクル


提督「なんとかものになったけど……」

提督「なんだろう……舌が麻痺して、飲んでも味がしなくなってしまった」

古鷹「うぅ、私もです……」








提督「このままじゃ、判断すら難しいな……」

提督「仕方がない、他の子にも飲んでもらおう」

古鷹「えぇっ!?でも、そんなことしたら……っ」

提督「いずれは為さなくちゃいけないことだ」

提督「それに、案外飲めるかもしれないだろ?」

古鷹「……分かりました」

提督「よし、では……二手に分かれよう」

提督「健闘を祈る」


……
…………
………………







鹿島「えっ、お茶を頂けるのですか?」

提督「うむ、遠慮せず飲んでほしい」

提督「横須賀軍需部が仕入れた新商品だよ(大嘘)」

鹿島「ありがとうございますっ」ニコッ


鹿島「いただきま~す!」

鹿島「……」ズズズ…

提督「……」ドキドキ








鹿島「……うっ」バタン

提督「!」


鹿島「」ピクッピクッ

提督「気を失ったか……」

提督「すまない、鹿島……!」グッ…

スタスタ…



ピラッ

提督「白か」


……
…………
………………







提督「だめだった」

古鷹「他の皆も、やっぱり美味しくないって言っていました……」

提督「ぐむむむっ」

提督「一体、マーマイトはどうすれば美味しくなるんだ……!」

古鷹「……」



古鷹「提督……ありがとうございます」ニコ

提督「……え?」








古鷹「私達のために、ここまでして頂いて……」

古鷹「それに、一人で困っていた私に声を掛けて頂けて……古鷹、とても嬉しかったんです」

提督「!」

古鷹「でも、これ以上提督が苦しい思いをする必要なんてありません」

古鷹「マーマイトも、私が少しずつ食べて行きますから……」

古鷹「あとは、私一人に任せてくださいっ!」ニコッ

提督「古鷹ぁ~」ジーン…



「みなさん、お夕食の準備ができましたよ~」


古鷹「あ、鳳翔さんの声ですねっ」

古鷹「提督、行きましょう?」

提督「……あぁっ」








提督「ウメーウメー」モグモグ

提督「そうか、今日はカレーの日だったなぁ」

古鷹「えへへ、なんだかいつも以上に美味しく感じますね」

鳳翔「ふふふ、ありがとうございます」ニコニコ


鳳翔「いつも同じレシピでは飽きが来てしまうので……」

鳳翔「実は今日、いつもと違う隠し味を使ったんです」

提督「隠し味?」








鳳翔「金剛さんが持ってきてくださった、マーマイトです」ニコッ

提督「!?」

古鷹「ほ、本当!?」

鳳翔「えぇ、少し入れるだけでも良いコクが出るので……私もびっくりしました」

鳳翔「皆さんのお口に合うかどうか心配でしたが、喜んでいただけてうれしいです」

提督「すげぇ……私達があれだけ苦戦したベジマイトが、こうも簡単に生まれ変わるとは……」

古鷹「はい、私もびっくりですっ」

提督「さっすが鳳翔さん!」

鳳翔「??」








霧島「金剛お姉さまのお土産が入ってるんですって、このカレー!」

榛名「うふふ、とても美味しいですっ」ニコッ

比叡(私も今度入れてみようかなぁ……)モグモグ

金剛「えへへ……」グスッ

比叡「……」ジーッ

金剛「……フ、フッフーン、それは当然デース!」

比叡「お姉さま、どうして涙目になってるんですか?」

金剛「ムグッ、そ、それは……っ」オロオロ

アハハハ…!


古鷹「ふふっ、金剛さんも嬉しそうですっ」

提督「あぁ、そうだなぁ」








提督(結局、私は最後まで古鷹の口を拭くことはできなかった……)

提督(何より、力にもなれなかった……)

提督(情けない男だな、私は)フッ

古鷹「……あっ」



古鷹「提督!」

提督「ん?」








古鷹「お口周りに、お米がついてますよ?」


ヒョイ

古鷹「あむっ」パクッ

提督「!?」








古鷹「えへへ……美味しいっ」ニコッ

提督「古鷹……」



提督「ふるたかーっ!」ガバッ

古鷹「きゃーっ♪」バタン

鳳翔「あらあら」ウフフ



この後滅茶苦茶マーマイト舐め取った。



――――――――――fin―――――――――――



キン肉マンの更新が待ち遠しくてむせび泣きながら書きました。

ここまで読んでいただいた方、楽しく書かせていただきありがとうございました。

Gの奴未完なのかー

>>41
どういじっても、過去に書いたSSのオチと被ることに気が付いたんです……

明らかに自分のネタ切れが原因です、本当に申し訳ありません


うゆりひとかも未完?

>>46
未完です……申し訳ありません

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