インデックス「ベランダにウニがひっかかってるんだよ!」 (462)

 読む前に注意事項

1 この物語は『上条当麻』と『インデックス』の立ち位置が入れ替わっていたら、という話です。

2 基本的に上禁です。

3 作者は遅筆です。

4 上条さんはこのお話ではヒーローではありません。

 以上のことを踏まえてお読み下さい。


   プロローグ

 ロンドンの街なかを一人のシスターが歩いていた。

インデックス「うん。今日もいい天気なんだよ」

 かわいらしい見た目をしたこの純白のシスターは、イギリス清教の『必要悪の教会』に所属している魔術師で、その名をインデックスという。

???「見つけたぞ、インデックス!」

 ロンドンの街なかを彼女がのんびり歩いていると、急に後ろから声が聞こえた。

インデックス「げっ、メラメラなんだよ!」

 声がした方に立っていたのは、身長2メートルはあろうかという大男。

 彼は名前をステイル・マグヌスという。

ステイル「ふん。僕の名前はステイルだ」

 ステイるは胸を張って自らの名を言う。

インデックス「メラメラでいいかも」

ステイル「メラメラとはなんだ!」

 そうさけぶと同時に、ステイルの眼前から炎が出てくる。

インデックス「やれやれなんだよ」

インデックス「MHTY」

 彼女が使ったのは強制詠唱という術。

 直後、ステイルの目の前の炎は消え去った。

ステイル「くそっ、一体どんな理屈なんだ?」

 ステイルが悔しがっているのを見てインデックスはくすりと笑い、そのまま逃げ去る。

ステイル「あ、逃げた!」

インデックス「じゃあねー、なんだよ」

 そう言いながらインデックスはすばやい動きで逃げるのであった。


 ところ変わって――聖ジョージ大聖堂。

ローラ「おお、禁書目録。よくきたりけるよ」

 荘厳な大聖堂の中心にインデックスはいた。

インデックス「お呼びでしょうか、最大教主」

ローラ「うむ、久々にそなたの顔を見たくて呼びにけり」

インデックス「そうですか、最大教主」

 インデックスの目の前にいるこの女性は、最大教主という役職の女性である。

 イギリス清教を束ねる責任者。

 日本語がおかしいのにはもはや誰もツッコミを入れない。

神裂「まったく、最大教主はそんなことでインデックスを読んだのですか?」

ローラ「そうなりけるよ。幾らヨハネのペンという防御機能を持っていても、心配になりけるよ」

神裂「全く、最大教主は過保護なんですから」

ローラ「というわけなるよ。もう今日は帰っていいなるよ」

インデックス「は、最大教主」

 インデックスは礼をして退出していく。


神裂「インデックス~」

インデックス「あ、かおりなんだよ」

 神裂火織――彼女はインデックスの親友にして、最大教主の付き人である。

インデックス「どうしたのかな?」

神裂「いえ、久方ぶりにあなたをみたので、最大教主から一緒に食事に行っていいという許可が出まして」

インデックス「え、かおりと一緒にごはんたべれるの?」

神裂「ええ、そうですね」

インデックス「わーいわーい」

 そう言いながらインデックスはくるくるとまわる。

神裂「そうですね、この間ベーカー通りにおいしいバイキング料理店ができたからそこに行ってみますか?」

インデックス「うん!」

 そう言って、インデックスと神裂はベイカー通りの方に行く。

 その姿は、まるで中の良い姉妹のようであった。


神裂「相変わらずすごい食べっぷりなんですよね……」

インデックス「美味しかったんだよ!」

 神裂とインデックスはベイカー通りにできたバイキング店で一通り食事を楽しみ出て行ったのだが――後ろからの視線が痛い、と神裂は思っていた。

 何せ、食事の半分以上をインデックスが食べ尽くしたのである。

神裂「それじゃあ、私は最大教主のところに戻りますが、インデックス、あなたはどうしますか?」

インデックス「うん、私は女子寮にもどるんだよ」

神裂「そうですか、それではまた今度」

インデックス「じゃあね~、かおり!」

 そういって神裂とインデックスは別々の道を歩いていく。

 インデックスが住んでいるのはテムズ川が見える市に立地している、必要悪の教会特別女子寮である。

 神裂やシェリーなどが住んでいる寮ではなく、最新必要悪の教会の本部にほど近い場所に立地しているのだ。

 これは10万3千冊の魔道書を持っている彼女のための配慮だった。

 何かあればすぐに必要悪の教会の人員が派遣できる場所である。

 で、インデックスは久しぶりに神裂にあったので、ルンルン気分で帰宅したのであった。

インデックス「ただいま~、なんだよ」

 インデックスは靴を脱ぎ、奥のリビングに向かったのだったが――

???「……」

インデックス「」

???「……ふ、不幸だ……」

インデックス「ベランダにウニがひっかかってるんだよ!」

 なんかインデックスの部屋のベランダに一人の少年が引っかかっていた。

 魔術と科学が交差するとき――物語は始まる!

  行間

神裂「最大教主――電話です」

ローラ「誰からなりけるか?」

神裂「学園都市の関係者からです」

ローラ「わかりけるよ」

 インデックスと別れた後、ローラの秘書の役割に戻った神裂は、急に来た電話を取った。

 奇妙な電話は『学園都市の関係者だ。最大今日手に至急取次を』と行ったので、神裂はその通りとりついだのである。

ローラ「はいはい、こちらイギリス清教最大教主なるよ」

???「やあ、ローラ。久しぶりだな」

ローラ「」

 その声を聞いた瞬間――ローラの表情が変わる。

ローラ「ふん、久方ぶりなりけりしか」

???「そうだな」

ローラ「なんのようなるか?」

 ローラは鋭い声で電話の向こうの者に聞く。

 すると、電話の向こうの者は、悠々と答える。

???「なに、我らが学園都市の最重要人物『幻想抹殺』がそちらに逃げてしまったのでな、協力を要請したい」

ローラ「幻想抹殺? ああ、あの一時期噂になりけりしものか」

???「いかにも」

ローラ「ふん、まあ、見つけたら連絡くらいはしたりけるよ」

???「案ずるな、こっちはもうすでに幻想抹殺を捉えるための部隊をそちらに送り込んだ」

???「イギリス清教は手出しをしなければよい」

ローラ「ふん、一応考えておきけるよ」

???「感謝する」

 そういって電話は切れる。

神裂「一体――誰ですか?」

ローラ「気にすることなけれなるよ、あれには関わりたくなしに」

 ローラはそう言って神裂を抑えるのだった。

 短いですが、今日は投下は此処までです。

 遅いですがよろしくお願いします。

 1 幻想殺し

インデックス「えっと……これ食べるかな?」

 インデックスはとりあえずベランダに引っかかっていたうに頭に、自分がおやつに食べるはずだったスコーンを渡した。

???「おっ、ありがとうな」

 ベランダに引っかかっていたうに頭は、満面の笑みでインデックスを見た。

インデックス「あと……ベランダにひっかかったママじゃなくて、降りて部屋に入ってきてくれると嬉しいかな」

???「えっ、女の子の部屋にはいっていいのでせうか?」

インデックス「さすがにベランダにひっかかったままだと困っちゃうんだよ……主に対応に」

 インデックスが困ったような顔を見せると、ベランダに引っかかっていたうに頭ははにかみながらインデックスの部屋に入っていくのだった。

上条「えっと、俺の名前は上条当麻っていうんだ」

インデックス「私の名前は禁書目録、なんだよ」

 部屋に入ってくるや否や、上条と名乗った少年は頭を下げる。

 礼儀正しいなぁ、なんてことをインデックスは考えていたりする。

上条「と、所で」

インデックス「ど、どうしたのかな?」

 不意打ちで声をかけられ、インデックスは少し戸惑った。

上条「このスコーン食べていいでせうか?」

インデックス「うん、食べ終わるまで待って置いてあげるんだよ」

 

上条「サンキュー、これめちゃくちゃ美味しいな」

インデックス「喜んでくれると嬉しいかも」

 上条当麻はインデックスに笑顔を向けた。

 だが、彼の笑顔を見たとき――なぜかインデックスは違和感を覚えたのであった。

インデックス(なんなんだろう、この違和感は――)

 インデックスが何かを幹事、ぼーっとしていると、上条がいきなり立ち上がる。

インデックス「えっと……とうま?」

上条「どうした?」

インデックス「どこにいくのかな?」

 インデックスが不安げに効くと、上条当麻は答えるのだった。



上条「ああ、早めにここを出ないとお前にも迷惑だろう?」



インデックス「」

 インデックスは一瞬呆然とし――すぐに口を開く。

インデックス「ダメなんだよ。いきなりベランダに引っかかって、空腹で弱っている子羊を見捨てられるほど私は落ちぶれてないかも」

 インデックスは必死に引き止める。

 上条当麻は振り向く。

上条「インデックス」

インデックス「な、なにかな?」

 インデックスが不安気な顔をすると、上条当麻は笑顔で言うのだった。






上条「幾ら何でも初対面の親切なシスターさんを地獄のような不幸には巻き込めないんだ」





 その笑顔の裏には――どこか悲しみがあった。

インデックス「」

 インデックスは一瞬何も言えなかった。

上条「それじゃあな。願わくは――」

 上条当麻が去り際に何かを言おうとした、その時だった。

インデックス「わかったんだよ」

上条「は?」

 インデックスが口を開いた。

 その緑色の目には強い意思を込め、インデックスは上条をじっと見る。

上条「わかったって……何が?」

インデックス「だから、あなたの言う地獄のような不幸が何かは私にはわからないんだよ。だったら――その不幸って言うのを私に行ってくれると嬉しいかも」

 上条当麻は鳩が豆鉄砲をくらったような顔をして、その後ケラケラと笑いはじめた。

上条「あはははは、インデックス、あんた面白いな」

上条「あんたはこんな糞ったれた俺なんかの話を聞こうとしてくれてるのか」

 その目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

インデックス「迷える子羊を救うのがシスターの仕事かも。

上条「そうか――じゃあ、聞いてくれるか? 俺が地獄のような不幸のなかにいる訳を」

 そういって、上条当麻は腰を据える。

 

上条「なあ、インデックス」

インデックス「なにかな?」

 座ると同時に、上条当麻はインデックスに質問してきた。

上条当麻「お前は、学園都市ってものを知ってるか?」

インデックス「うん。知ってるんだよ」

 学園都市。

 日本国東京都西部を開拓した世界最大の科学的機関。

 インデックスが所属する魔術勢力とは対極の勢力である。

上条「じゃあ、インデックス。学園都市ってのが何をやっているか――それは知っているか?」

インデックス「ううん、私が知っている限りでは、学園都市っていうのは、世界をより進歩させるため、幼少期から科学的な英才たちを育成し、世界の技術を革新させるために、『アレイスター・クロウリー』というイギリス出身の科学者が作り上げた街ってことしか分からないんだよ」

上条「そうか、即ちお前は『学園都市の表側』しか知らないわけか」

インデックス「うん」

 インデックスはそう答えながら、学園都市についての記憶を洗いざらいに思い出す。

 学園都市というのはたしかに表向きは科学者にとって理想の街である。

 だが――実際きな臭いと思うのも事実だ。

 例えば、学園都市のマスコット的なキャラクターになっている『御坂美琴』。

 彼女はテレビに出るとき、いつも手から電気を出しているが、彼女本人はそれを学園都市の技術の賜物だと言っていた。

 しかしながら、神裂とインデックスがその番組を見ていたとき、インデックスは一瞬それを『魔術』にちかいものだと思い込んだのだ。

 それは彼女が科学に対して無知だから――ではなく、本質的に似ていると思ったのだ。

 それは一緒に番組を見ていた神裂も同じ意見だった。

 そう、学園都市にはなにかあるのだ。

 それは上条のこの様子からもインデックスは読み取れた。

上条「じゃあ、まずは学園都市の『本当の姿』から語らなきゃいけないな」

インデックス「うん。お願いなんだよ」

 そうインデックスが言うと、上条当麻はハッキリというのだった。



上条「学園都市の真の姿は――『超能力開発機関』だ」



インデックス「超能力?」

 インデックスは、やはり、と思った。

 あの時テレビに出ていた『御坂美琴』にあkんじ大和館は、そういうことだったのだ。

上条「子どもたちに『超能力』っていうのを開発させ、科学技術を何十年も先取りする」

上条「それが学園都市の真実」

上条「なかには、研究によって命を落とす子供も出てくる」

上条「しかし、それはなかなか外には漏れない」

上条「何故なら、そういった研究の犠牲になるのは『置き去り』と呼ばれる子供だから」

インデックス「置き去り?」

上条「そうだn、置き去りっていうのは、コインロッカーベビーにちかいものだ」

上条「子供を育てられない親が、学園都市の近くに子供を捨てるんだ」

上条「そうすると学園都市はその子どもを引き取る」

上条「糞ったれた実験の犠牲にするためにな」

 そこまで語ると、上条はふう、と息をつく。

上条「これは外部には漏れていない話だから、たぶんお前も巻き込まれるぞ」

 上条は後悔したような顔をして、インデックスを見る。

 だが、彼は知らなかった。

 彼が出会ったこの少女がなんなのかを。



インデックス「大丈夫だよ、とうま。だって私は魔術師だもん」



上条「」

 今度は上条当麻が呆然とする番だった。

上条「えっと……インデックスさん?」

インデックス「なにかな、とうま?」

上条「えっと……魔術師とはなんでせうか?」

インデックス「そっか、やっぱりとうまとかの化学サイドの人間は魔術を知らないんだね」

上条「あ、ああ」

 上条当麻は戸惑う。

 自分が鼻で笑われても仕方がないような話をした直後に、目の前の純白のシスターはもっとありえない話をし始めたのだから。

インデックス「じゃあ、軽く魔術の事について話してあげるんだよ」

上条「ああ、よろしくたのむ」

 そういうと、インデックスは軽く呼吸をし、語り始める。

インデックス「魔術って言うのは宗教、神話などを下敷きとした超能力って考えてくれた方がわかりやすいかも」

上条「宗教、神話?」

インデックス「うん。例えば――」

 そういうと、インデックスは近くにあったトネリコの枝を手に取る。

インデックス「こんな感じかも」

 トネリコの枝の先から炎が出る。

上条「」

インデックス「もう一丁、なんだよ」

 今度はトネリコの枝の先から電気が出た。

上条「」

上条「魔術って何でもできるのな……」

インデックス「どういうことかな?」

 かみじょうのことばに引っかかりを覚え、インデックスが聞く。

上条「いや、超能力ってのは一人一系統なんだ」

上条「例えば、発電能力者なら発電のみ」

上条「そんな感じで一人につき能力は一つ。多重能力者ができたら学園都市ではたぶん英雄扱いされる」

インデックス「へえ、魔術は綿密な下準備とかしたらいろんな能力が使えるんだよ」

 インデックスと上条は、互いの勢力の違いにかなり驚いた。

上条「ってことは、時間さえあれば魔術の方が便利ってわけだ」

インデックス「うーん、とうまの話を聞いていると一概にそうとは言えないかも」

上条「ん? どういうことだ?」

インデックス「うん。私たち魔術師は、魔術に失敗したとき死ぬ危険性があるんだよ」

上条「なんで?」

インデックス「うん。私たち魔術師は生命力を使って魔術を使うんだよ」

インデックス「それに失敗するってことは、生命力の暴走を意味し、そのまま死ぬことがあるかも」

上条「そ、そうなのか」

インデックス「うん、そうなんだよ」

 なんてことを二人が話していたら――焦げ臭い匂いが二人の鼻腔をくすぐる。

上条「え、なにこの臭い?」

インデックス「ま、まさか……」

 上条とインデックスが振り返ると、後のトネリコの枝から出た火が部屋を焦がしていた。

上条「」

インデックス「」

インデックス「ってほうけてる場合じゃないかも!」

上条「ああ」

 インデックスは大慌てで廊下にある消化器を取りにいこうとした――まさにその時だった。




       パリーン




 
 甲高い音が周囲に響き、火が消えていた。

インデックス「えっと……何をしたのかな?」

上条「とりあえずこの火は幻想でできているんだろう?」

上条「なら――『幻想殺し』に殺せない幻想はない」

 インデックスはへなへなと倒れる。

 いま――彼女は得体の知れないこの少年に恐怖を覚えていた。

  行間

 ステイルは思い出す。

 あの奇妙な白いシスターと出会った時のことを。

――

ステイル「ふん、他愛無い」

 ある日、ステイルはいつもどおりロンドンの不良たちをのしていた。

 別段ロンドンの治安が悪いから、とかそんな理由ではなく、ただ単に粋っているロンドンのストリートチルドレンがむかついただけである。

ストチル「くそっ」

 ぼこぼこにして、グゥの音が出ないほど叩きのめしたストリートチルドレンは悪態を突きながら去っていった。

ステイル「けっ」

 ステイルは加えていたタバコを路上に捨て、必要悪の教会の男子寮に帰ろうとした――まさにその時だった。



???「弱いものいじめはいけないかも」



 純白のシスターだった。

ステイル「なんだい、君は」

インデックス「わたし? とりあえず私はインデックスって言うんだよ」

 それが出会い。

 その後、彼は彼女を見つける度に絡みに行き、彼女はそれをいつもいなしていた。

――

ステイル「まったく、なんなんだろうな――この気持ちは」

 そう言いながらステイル14歳は煙草を吸うのだった。

 行間

 イギリス清教最大主教のローラ・スチュワートはぼんやりしていた。

ローラ「まったく、インデックスに魔術抑制装置をつけなくて良かったりけるよ」

 なんて彼女は嘯く。

 本来、禁書目録の名を架す者には『ヨハネのペン』と呼ばれる自動防御装置を使いこなすために、他の魔術が使えないような細工をしなくてはいけない。

 しかし、インデックスは歴代の禁書目録の中でも珍しく、イギリス清教に忠実だった。

 故に、ローラはインデックスに魔術を使えないようにする仕掛けをつけるのを止めたのだ。

ローラ「まったく、我もあまきしけるかな」

 なんて彼女は嘯くのだった。

 2 世界

 インデックスは、目の前にいるうに頭をとりあえず詰問するために縛った。

上条「えーっと、インデックスさん?」

インデックス「なんなのかな。いま私はとうまを縛るので忙しいかも」

上条「上条さんには女の子に縛られて興奮するという変態的な属性は何のですが……」

インデックス「うるさーい、問答無用なんだよ」

 そういってインデックスが上条の両手を縛ろうとした時――


    パリーン


 ハラリ

 インデックスの服がバラバラになった。

インデックス「」

上条「」

 すごーく気まずい沈黙が続いた後――





インデックス「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」





 ロンドンの街に、インデックスの叫び声が聞こえるのだった。

インデックス「」

 そのおよそ十分後。インデックスは毛布を頭から被り、緑色の両目でじっと目の前にいるうに頭――改め羊頭を見ていた。

上条「えっと、インデックスさん?」

インデックス「なにかな、変態羊頭。早くオージーに帰るといいんだよ」

 因みに、上条当麻自慢のうに頭が羊のような頭になってしまったのは、恥ずかしさのあまりインデックスが炎の魔術を使ってぐるぐる巻きにされている上条当麻に向かって炎の魔術を使ったからである。

上条「えっと……ごめんな?」

インデックス「うう……最高級品の『歩く教会』が……。最大主教に知られたら1億ユーロ請求されるんだよ」

上条「えっと……あの白い服ってそんなに高級品なのでせうか?」

インデックス「うん。最高級の魔術礼装だからね……とうまのばかぁ!」

 綺麗な緑色の目にうっすらと涙を浮かべ、インデックスは上条当麻を恨みがましい目で見る。

上条「うう、そんな目で見られてもあれは事故だろう……」

インデックス「うう……借金でもうお嫁に行けないんだよ……」

上条「シスターって結婚できるのか?」

インデックス「気にしたら負けなんだよ」

 そんなわけのわからない会話をしている間に、上条当麻はせっせとバラバラになった歩く教会の残骸を集めていた。

インデックス「えっと……何をしているのかな?」

 インデックスは毛布から亀のように出している首をかしげる。

上条「みてわからないか? この残骸をとりあえず元通りぬおうかと」

インデックス「なんか、お母さん見たい……」

上条「気にするな」

 なんていいながら、上条は懐から出した糸とハリで丁寧に歩く教会の残骸を縫っていくのだった。

インデックス「で、とうま」

上条「なんだ?」

 インデックスは丁寧に歩く教会を縫っている上条に問いかける。




インデックス「幻想殺しってなんなのかな?」





 インデックスはさりげなく聞いてみる。

 上条当麻の手が止まり、一言言った。

上条「これをきいたら――お前はもう引き返せない。俺と一緒に地獄のような不幸を味わいたいって言うなら――聞いたらいいぜ」

上条「唯――おれは聞かない事を勧めておく」

上条「さあ――どうする?」

 それは少年の精一杯の脅し。

 彼はこの少女を巻き込まないように――脅すのだった。

 しかし、禁書目録は迷える子羊を放っておくことはしないのだった。

インデックス「いいんだよ」

上条「」

インデックス「私は迷える子羊を救う者」




インデックス「なら、当麻が迷っているなら私を好きなだけ巻き込めばいいんだよ」




 上条の目から涙が溢れる。

上条「ありがとう――インデックス」

 そこで上条の手が止まる。

上条「でもやっぱり――」

 彼は縫いかけの歩く教会を放り投げて言う。


上条「お前は巻き込めない」


 上条当麻は笑顔でそういって、一気に駆け出した。

インデックス「とうまっ!?」

 インデックスは立ち上がろうとしたが――包まっていた毛布に絡まった。

 そのまま、上条当麻はドアから出ていくのであった。

インデックス「……とうま……」

 インデックスはただ呆然としていた。

 同時刻――ロンドンのとある安宿。

????「『彼』はこの街にいるの?」

??「そうらしいで? アイテムが言っていたんやからまず間違いあらへんやろう」

????「そう、それなら――『彼』を連れ戻さなきゃいけないのよね」

??「せやな――そうせえへんと死んでしまうからなぁ」

????「そうね、一刻も早く動きたいところね」

??「やな。ただ、闇雲にうごいてもはじまらへん」

??「今現在下っ端が情報集めてくれとるみたいやで」

????「そう――なら待ちましょう」

 そういって二人の影は静かに準備をする。

 とある一人の男を追って――。


 その後、インデックスは自分で頑張って上条当麻が縫いかけていた服を縫って、上条を追いかけたのであるが、上条当麻はどこにもいなかった。

インデックス「一体何なのかな――」

 帰り道、インデックスは考えながら歩いていた。

 あの炎をどうやって消したのだろうか、ということだ。

 あの時、インデックスは調子に乗って『ラグナロクの時に出た炎のレプリカ』を作り上げたのだ。

 あの炎はたしかに攻撃などには向いていないが――消えにくい炎のはずである。

 インデックスが消火器を取りに行ったのも、簡単な水の魔術程度では消えないと思っていたからだ。

 だが――上条当麻はその炎を消した。

 さらに、彼女の『歩く教会』も破壊した。

インデックス「うーん、おかしいんだよ」

 あの歩く教会は、最大教主がインデックスを護る為にインデックスにわたしたものだ。

 インデックスは『イギリス清教』に絶対忠誠を誓った『禁書目録』故に、彼女に架せられた制約は歴代の禁書目録に比べると微々たるものだった。

 例えば、本来魔翌力を100%その維持に使わなくてはいけない『ヨハネのペン』も、彼女は85%まで下げられている。

 即ち、彼女は通常時でも自分の最大魔翌力量の15%は使用可能なのである。

 それだけの自由意志を持ち、自分で迎撃も可能な準備をしてさらにそこに法皇級の魔術礼装『歩く教会』が与えられていたのだ。

 そんな彼女を以てしても、上条当麻の力はわからない。

インデックス「あれは――世界を揺るがす力かもしれないんだよ――」

 インデックスは薄々上条当麻の恐ろしさに気がつくのであった。

 行間

ローラ「うーむ、神裂」

神裂「どうしました? 最大主教?」

ローラ「我が口調がおかしなりけりしと評判なりよ」

神裂「そうですか」(いや、もっと早く気がつけよ)

ローラ「そうなり!」

神裂「どうしました?」

ローラ「土御門に日本語口調をもう一度ならえばよけりかな」

神裂「は、はぁ……」

 神裂はそのときはその言葉を無視していた。

 しかし――その四ヶ月後。

 仕事が暇になってからかう対象がいなくなった土御門元春によって、ローラは正しい日本語(原作での口調)に調教されなおすのであった。

 というわけで今日はここで終わりです。また明日~。

 3 聖人と天才と幻想殺し

神裂「ふう、やはりイギリスの紅茶は素晴らしいですね、ステイル」

ステイル「ふん、日本人が紅茶が好きだとは――やはり君はよくわからないキャラだな」

神裂「ふふ、日本人はおいしいものが大好きなので」

 なんていいながら、最大主教の側近である神裂火織と、必要悪の教会が誇るルーンの天才、ステイル=マグヌスはのんびりとお茶を飲んでいた。

 この二人、実は仲が良かったりする。

 天才と聖人、互いに切磋琢磨する強敵(とも)である。

ステイル「それにしても、神裂」

神裂「どうしました、ステイル?」

 神裂はすているからの呼びかけに応じ、手に持っていたダージリン入りのティーカップをことりと置く。

ステイル「最近なかなか勝てない奴がいるんだが……」

神裂「ほう、あなたが勝てないとは――なかなかの猛者ですね」

ステイル「そうなんだ。僕のイノケンティウスも消されるし、様々なるーんさえも無効化される」

 なんていいながら、ステイルはタバコを吸う。

 こんな成りと貫禄のくせに――彼は14歳だったりするのだが、神裂は細かいことを言わないようにしている。

神裂「ふぅん、どんな子ですか?」

ステイル「インデックスっていう白いシスターだ」

 その言葉を聴くと、神裂の動きがピタリと泊まり――彼女は笑いだす。

神裂「あはははははははははっ!」

ステイル「なんだい、神裂。僕は君に笑われるようなことを何一つとして言っていないはずだが?」

神裂「インデックスに勝つのは私でも無理でしょうね」

 そういうと、ステイルはきょとんとする。

ステイル「君でさえもか」

神裂「ええ、10万3千冊もの魔道書を覚えている魔神候補。それが彼女――インデックスですからね」

ステイル「なるほどね――それは厄介だな」

神裂「まあ、あなたがさらに精進したら、いつか勝てる日が来るでしょうね」

ステイル「そうかねぇ」

 そんな他愛ないことを話していた時だった。



  バタン


 なにかが倒れる音がして、神裂とステイルはその方向を見た。

上条「」

ステイル「う……うに頭?」

神裂「うにみたいな少年?」

 いろいろと散々な言われようだった。


神裂「」

ステイル「」

 イギリス清教が誇る実戦部隊、必要悪の教会所属のふたりは唖然としていた。

 その目の向こうには――

上条「」ガッフォガッフォ

 一心不乱にフィッシュアンドチップスを頬張るうに頭がいたからだ。

ステイル「……スゴイ勢いで食べてるな……」

神裂「ええ……インデックスといい勝負です……」

ステイル「あのこ、そんなに食べるのか?」

神裂「ええ、バイキングに入ってきた瞬間、店員から土下座されるレベルで食べます」

ステイル「」

 なんていう衝撃の事実もなんのその、わき目を振らずに上条当麻――フィッシュアンドチップス、10人前をぺろりと平らげた。

上条「ぷはぁ。上条さんは本日天使に出会ったのですよ」

 なんていいながら、目の前の上条と自ら名乗るうに頭は、満面の笑みをステイルと神裂に向ける。

神裂「いえ……困っている人を助けるのは教会に所属する者としては当然です」

ステイル「まあ、そういうことだ。別段恩に感じてくれなくてもいい」

 神裂とステイルがそういうと、上条は少し戸惑う。

上条「そういわれてもなあ……殺気は音を返す前に逃げっちゃったからなあ」

 なんていいながら、上条当麻はポケットから二枚のメダルを出す。

上条「まあ、価値もない日本のゲームセンターのメダルだけど――せめてこれを受け取ってくれるか?」

 なんていいながら、上条透馬はカエルのキャラクターが刻印されているメダルを神裂とステイルに渡した。

神裂「これは?」

 神裂が聞くと、上条は首をかしげながら言う。

上条「いや、それは俺にもわからないんだ。まあ、価値は無さそうだけど、もらっておいてくれ」

神裂「ええ、有難う御座います」

ステイル「まあ、ありがたくもらっておこうかな」

 そういって、神裂とステイルはポケットのなかにコインを仕舞う。

上条「さて、そんじゃあそろそろ俺は帰るよ」

 上条は神裂とステイルに向かって笑顔で言った。

神裂「そうですか。上条当麻――縁があったらまたあいましょう」

ステイル「まあ、君に神の加護があらんことを」

 ステイルと神裂はそれぞれ別れの言葉を言う。

上条「じゃあな」

 神裂とステイルに向かって上条は手を振って帰っていった。




 彼女たちは知らない――少年に帰る場所がないことなど。

 そのころ――ロンドンのとある路地裏。

黒服の男「見つけました」

 その男の報告を聞くのは二人の人間。

??「ふぅん。あいつは見つかったんかいな?」

黒服の男「ええ――見つけました」

????「そう、ならあなたは帰っていいわ」

黒服の男「了解です。場所の報告はそこのレポート用紙に記載してあります」

????「気がきくじゃない」

黒服の男「いえいえ、私は学園都市統括理事長の意思に従ったまで」

??「ご苦労さんやな。ま、あとはうちらにまかせとくとええんやで」

黒服の男「ふふふ、たしかに『幻想抹殺』はあなたたちが暗部に落ちる原因となった人物ですからね」

黒服の男「かつての友を捕らえる気持ち――私お是非とも知りたいですよ」

????「ふん、その話をするな」

????「私は今気が立ってる」

????「丸焦げにされたくなかったらはやく帰ったほうがいいわよ」

 そういうと、黒服の男はぺこりと頭を下げる。

黒服の男「いえいえ、出過ぎた真似をしてすいません」

黒服の男「それでは――どうかご自愛を」

 そういって、黒服の男は去っていった。

??「ほな、行こうか」

????「そうね――『幻想抹殺』を捕らえないと」

 そういって――闇は動き出す。

 行間

ローラ「ふん、所で――あなたが派遣した『暗部』とはなにけるか?」

 イギリス清教最大教主は電話越しに話している相手に対して、敵意を抱いているような話し方で話していた。

???「暗部――それを話すと我々の手の内がすべて貴様にばれるだろう――雌狐が」

ローラ「ふん、我がイギリス清教に干渉する者くらい教えるべけれよ」

 彼女にしては珍しく感情をあらわにして言うと、電話越しの男は冷淡な声で言う。

???「そうだな、組織名だけ教えておこう」




???「『レギオン』だ」




 聖ジョージ大聖堂の中に緊迫した空気が走る。

ローラ「忘れるなかれよ――イギリスに害成すことを行いしけるときは、わらわを的に回すと思いたもえ」

???「ふん、私の可愛い手駒に手を出すなら――この私が直々に出てきてやろう」

 それは互いの宣戦布告。

 イギリスと学園都市の電話会談は、人知れず始まり、人知れず終わるのだった。

 4 凡人VS聖人/天才VS天才

神裂「それではステイル――また今度」

ステイル「そうだな、今度はもっとゆっくりと茶でも飲もうじゃないか」

神裂「そうですね」

 そういって神裂とステイルは別れる。

 神裂は最大主教の所へ――ステイるは必要悪の教会男子寮へと。

――

神裂「出てきなさい」

 神裂はステイルと別れた後、すぐさま戦闘態勢に入ることとなった。

 何故なら、神裂とステイルが別れた後あたりから、彼女の後ろをつけている存在が感じられたからである。

 神裂が気配がする物陰に注意を払っていると――



??「うっひゃー、こんあエロカワイイお姉さんに注意されるってこんなに萌えるシチュエーションなんやなぁ」



神裂「」

 なんか青色の髪した軽薄そうなのが現れた。

――

ステイル「出てくると良い」

 同じ頃、ステイルもまた臨戦態勢に入ることとなった。

 彼もまた同じく、神裂と別れたあたりから尾行者の存在を感じ取ったからだ。

 ステイルは周囲にルーンを張り、迎撃準備を整えた時だった。




????「ふうん。腕には自信があるのね」



ステイル「ふん、中々強敵そうだな」

 茶色の髪をした少女が現れた。

神裂「あなたは何者ですか?」

 神裂は彼女の腰に差してあった刀を構える。

 目の前の飄々とした男は、刀を構えた神裂に向かって言うのだった。

??「ボクの名前は青ピって言うねん」

 青ピと名乗った少年は、直後それまでの軽薄な印象からガラリと変わり、ドスのきいた声で言うのだった。



青ピ「上条当麻と接触しとった事はしっとんねん」

神裂「上条……当麻……」

 神裂はついさっきであったあのうに頭の少年のことを思い出す。

青ピ「知ってること――洗いざらい喋ってもらうで」

 その声には、怒気と凄味があった。

 しかし、聖人は揺るがない。

神裂「いやだ、と言ったらどうしますか?」

 そう言った瞬間――神裂は感じたこと無い殺意を向けられた。





青ピ「殺してやんで」






 直後――神裂は後ろに吹き飛ばされた。

ステイル「まったく、こんな可愛らしいおじょうちゃんにつけ狙われる覚えはないのだが?」

 そう言いながらステイルは煙草を吸う。

 ルーンはすでに貼り終えた。

 ここはすでに彼の領域だ。

????「ふうん。余裕なのね」

 目の前の少女はそう言いながら手をひらひらと振っていた。

ステイル「君は何者だ?

 ステイルがそういうと、少女は答える。

????「あら、あなたに名乗る義務でもあるの?」

 その言葉に対して、ステイルは反論する。

ステイル「ふん、なにか用があるなら自分から名乗るんだ。それが礼儀というものだろう?」

 当たり前の一般論を、当たり前じゃない不良神父は言う。

 すると、少女はけらけら笑いながら言うのだった。

????「そうね、名乗ってあげる」

????「私の名前は――」

 その瞬間、ステイルはかつてない恐怖を感じた。





御坂美琴「学園都市第三位――御坂美琴!」




 直後――ステイるの眼前の道路が破壊された。

神裂「がはっ!」

 神裂の口のなかに鉄臭い味が広がる。

 謎の一撃を食らい、彼女の口の中は血まみれになる。

神裂「な……なんなんですか?」

 そう言いながら彼女はワイヤーを仕込んである刀を構える。

神裂「?」

 しかし、彼女は直後首をかしげる。

 何せ、さっきまで目の前に板蒼い髪をした少年はいなくなったのだから。

神裂「何があったのですか?」

 彼女がそう漏らした瞬間だった。

   パパパパパン

 銃声が響く。

神裂「ぐっ!」

 神列は持ち前の直感で回避行動を取ったのであるが――それでも一撃腹にくらった。

青ピ「へえ、なかなかやるやん」

 神裂が傷ついた腹を抑え、止血しようとしたとき、青ピは悠々と現れる。

神裂「あなた――何者ですか?」

 神裂は問わずにはいられなかった。

 聖人たる彼女に肉体的においつくことができる存在はなかなかいない。

 故に、彼女は目の前にいるこの男が魔術師だと思っていた。

 しかし――彼の口から語られる言葉は衝撃的な一言だった。



青ピ「ボクはただの無能力者。安心しい、ボクはどこにでも溢れてて、何処までもありふれているただの人間や」



神裂「なっ」

 神裂は息を飲む。

 こんなでたらめな存在が魔術師ではない、ということの衝撃。

 むろん、この男が嘘を行っている可能性がある。

 だが、少なくとも今この時点で神列は動揺していた。

青ピ「隙だらけやで、お姉さん」

 直後、神裂は生まれて初めて殴られて宙を飛ぶという体験をする。

神裂「おおおおおおおおおおおっ!」

 だが、神裂は中を浮くと同時に、七閃を放つ。

 七本のワイヤーが青ピを切り裂こうと迫ったのであるが――

青ピ「きかへんよ、こんな曲芸」

 青ピは七閃をはじき飛ばす。

神裂「な、なにっ!」

 神裂の顔が真っ青になる。

 彼女は魔法名を名乗ろうとしたその時だった。



青ピ「チェックメイトや」



 瞬間、神裂の顔に強烈なパンチが突き刺さった。

ステイル「Fortis931」

 ステイルはすぐに叫ぶ。

 続いて、彼は再び声を張り上げる。

ステイル「世M界をT構築WするO五T大元F素のF一TつO、偉I大IなるG始OまIりのI炎OよF

そIれは生I命を育むB恵みの光Oにして、L邪A悪LをI罰するI裁きのA光OなりE

そIれは穏やIかな幸福を満Mたすと同時、H冷Aたき闇をI滅Iする凍Bえる不O幸なりD

そIのI名はN炎、FそIのI役はM剣S

顕I現Cせよ、R我が身Nを喰らBいて力とG為せP!」

 それは彼が全ての不幸を打ち砕くために生み出した術式。

ステイル「イノケンティウスううううううううううううううううっ!」

 巨大な炎の巨人が現れる。

御坂美琴「ふうん。イギリスにも能力者がいるんだ」

 なんて嘯きながら、御坂美琴はコインを投げる。


御坂美琴「超電磁砲!」


 瞬間、コインが凄まじい速度で射出される。

 コインは炎を切り裂き、一直線にステイルの方に向かっていく。

ステイル「くっ!」

 間一髪でステイルはよけた。

御坂美琴「あははっ! 炎系統の能力者ね! 面白い面白い面白い!」

 そう言いながらみさか御言葉連続で超電磁砲を打ち込む。

ステイル「このっ!」

 向かってきたコインをステイルは、ある時は炎の剣で切り落とし、ある時は炎の盾で防ぎきった。

御坂美琴「ふうん。やるじゃない。なんか、炎使いってのを私は舐めていたみたいね」

 そう言いながら御坂美琴は今度は砂鉄を飛ばしてくる。

ステイル「くそっ!」

 再びステイルは一撃一撃を防ぐ。

ステイル「この女――強い!」

 ステイルは、恐怖心を上回るほどに高翌揚していた。

ステイル「スゴイじゃないか、その強さ――感服する!」

 そう言いながらステイルは反撃を開始する。

ステイル「はああああああああああああああああああっ!」

 ステイルの雄叫びの直後、御坂美琴の周辺が一気に燃える。

 ステイルはこの瞬間、勝利を確信した――はずだった。



   シャン


 甲高い音が響き、炎が切り裂かれる。

御坂美琴「ふうん。炎を燃やして酸素をなくす。まあ、合格点だけど、私にはむだよ」

御坂美琴「まあ、レベルの違いを見せてあげる」

 不敵に笑う御坂美琴に恐怖を覚えたステイルは、彼の僕を呼ぶ。

ステイル「くっ! イノケンティウス!」

 ステイルの前を炎の巨人が守った瞬間だった。




御坂美琴「超電磁砲『改』!」




 ステイルの意識は刈り取られた。

 行間

???「ふん、何か不満があるのか?」

 学園都市のとあるビルの中。

 学園都市統括理事長であるアレイスター=クロウリーは不満げな顔をしている土御門元春という少年に話しかける。

土御門「ふん。お前は上条当麻をどうするつもりなんだ?」

 アロハシャツにサングラスという、非常に物騒な格好をしている彼は、殺気立った声でアレイスターに問う。

アレイスター「決まっている――」




アレイスター「私の邪魔をしない程度に平和になってもらいたいね」




 それを聞いて、土御門は顔を濁らす。

土御門「ふん、どうせ詭弁だろう?」

 その言葉を聞いて、アレイスターはニヤリと笑うのみだった。

 これで本日の投下終了です。

超電磁砲『改』…
散弾超電磁砲(レールショットガン)とどっちが強いんだろうか

 5 探す者――探される者

インデックス「見つからないんだよ」

 なんて言いながら、インデックスはうろちょろとロンドンの街を歩く。

インデックス「ふぅ、とうま……どこに行ったんだろう……」

 そういうインデックスの顔はどこか悲し気だった。


インデックス「なんでわたし、とうまのことが気になるんだろう?」

――――

上条「くそっ」

 ロンドンの路地裏。

 そこで上条当麻は壁を叩いていた。

 彼の目から涙が溢れ、傍から見ていると非常に異様な光景がである。

上条「なんで――涙なんかでるんだ!」

 上条当麻はなぜ涙を流しているか分からなかった。

 

インデックス「あ、肉屋のおばちゃん!」

肉屋のおばちゃん「インデックスや、どうしたのかい?」

 インデックスは知り合いである肉屋のおばちゃんに聞く。

インデックス「ここら辺りにうに頭がいなかったかな?」

肉屋のおばちゃん「うに頭? 知らないわねぇ」

八百屋のおっちゃん「うにみたいな頭をした奴を探してるのかい?」

インデックス「うん、そうかも」

八百屋のおっちゃん「おうおう、それなら向こうの方に走っていった奴かもしれないぜー」

インデックス「ありがとうかも!」

 そういってインデックスは走り去っていく。

――

上条「ははっ、なんでこんなことになったんだろうな」

 上条当麻は涙を流す。

上条「」

 言葉なく、汚らしい路地裏で彼は涙を流し、拳を握る。

 そして、彼はぼそっとつぶやく。


上条「おれは――なんなんだよ……」

インデックス「はぁ、はぁ、はぁ」

 インデックスは走る。

 上条当麻を探すために走り、走り、走る。

 白いシスター服が風にたなびく。

インデックス「とうまぁ! どこ?」

 声を張り上げインデックスは上条当麻を探す。

インデックス「とうま? とうま!」

 声を張り上げ、探しているうちに、インデックスは嫌な思い出を思い出すのだった。

――――

   魔神

 それは魔術を極めた存在。

 存在そのものが恐怖と言われる者。

 インデックスは嘗てその候補だった。

 今でもその名残で魔神候補なんて言われるが――有り体に言うと、彼女は恐れられていた。

 魔術を極めきり、誰よりも強くなり、全てを圧倒する存在になることを望まれていた。

 完全記憶能力という特異な能力により、10万3千冊もの魔道書を頭の中に詰め込まれたが故に、自らを守るヨハネのペンという術式を組み込まれてもなお彼女は周辺の心無い者達から化け物と蔑まれた。

 最大主教がいくら周囲に注意しようが、人間が持つ根本的な恐怖は脱ぐいようがない。

 多くのものが彼女を恐れ、敬い、蔑み、崇拝し、憐れみ、羨望し、見下し、尊敬した。

 要するに最大教主以外の上層部は彼女を一人の人間としては見ていなかった。

 苦しかった――死にたかった。泣きたかった――壊したかった。

 インデックスは周囲からの目に傷つき、ボロボロになっていた。

 ――彼女と出会うまでは。

???「はじめまして、インデックス」

 その女性は彼女のことを最大主教と同じく、一人の人間として見てくれた。

神裂「私の名前は神裂火織。最大主教の護衛です」

 聖人――神裂火織。

 彼女の最初の友人だった。

インデックス「ああ――わかったんだよ」

 昔の事を思い出し、彼女は理解する。


インデックス「とうまは――昔の私に似ているんだ」


 周囲を憎みたいのに憎めない。

 周囲と馴染みたいのに馴染めない。

 上条当麻は――昔のインデックスだったのだ。

インデックス「とうまを――探さなきゃ」

 インデックスの決意は堅くなり、足取りは力強くなる。

上条「ああ、空が青い」

 そんなことを上条当麻は呟く。

上条「なんで――こうなったんだろうな?」

 彼は自問自答する。

上条「まぁ、わからないか」

 そうつぶやいて、上条当麻は路地裏を徘徊する。

――

青ピ「みつけたで」

 そうして、聖人をも破った最強の無能力者は、見つけたいものを見つけだした。

 行間

ローラ「神裂とステイルが何者かにやられた?」

シェリー「そうみたいよ、最大主教」

ローラ「わかりけるなるかな」

ローラ「シェリー、下がってよかれなるよ」

シェリー「了解」

 そういって、シェリー・クロムウェルは退出する。

ローラ「くっ」

ローラ「わらわを舐めしこと――後悔させたりけるかな」

 イギリス清教最大主教は拳を握る。

 というわけで今日の投下は此処までです。

 これから一月中盤まで試験があるのでかくことができません。

 というわけで、できたら保守よろしくお願いします。

 それではこれからもよろしくお願いします。

 6 幻想抹殺

青ピ「か~みや~ん。見つけたで」

上条「」

 ロンドンの路地裏で、上条当麻と青ピは邂逅する。

上条「おまえは……誰だ……」

 上条当麻は拳を握りながら、目の前のおちゃらけた男を睨む。

青ピ「いやー、僕はそこらあたりをうろついている凡人やで」

上条「ふうん。そうか」

 そう答えながら、上条当麻は後ずさりする。

上条「じゃあ、その溢れんばかりの殺気はなんなんだ?」

 そう言った直後、上条当麻はしゃがみ、路上に落ちていた瓶を投げる。

青ピ「殺気やないで」

 そう言った直後、上条当麻が投げた瓶が真っ二つに切られる。

上条「なっ!」

 そう言いながら上条当麻は本能的に逃げ出そうとした。

 そんな上条当麻に向かって、青ピは言い放つ。




青ピ「まつんや――『幻想抹殺』」





 上条当麻の足が止まる。

上条「なんだ……それ……」

 そういって上条は青ピの方を向く。

青ピ「はぁ、やっぱりその様子じゃ覚えてないんやな」

 そういって青ピは肩を竦める。

青ピ「かみやんはなあ」

 青ピは唇を動かす。

 上条はその時――聞いてはいけないと思っていたのに聞いてしまうのだった。




青ピ「学園都市第六位の能力者――幻想抹殺やねんで?」




上条「う…あ……ああ……」

 その言葉を聞いた直後、上条当麻の体は震える。

 そして――上条当麻の中で何かが壊れた。

上条「うわああああああああああああああああああああああああああああ!」

 


インデックス「とうま?」

 インデックは上条当麻の悲鳴を聞き、その方向へと向かう。

――――

青ピ「うわぁ、アレイスターもかみやんにえげつないことするんやで。『幻想抹殺』のことを思い出させようとすると気絶する、か」

青ピ「かみやん、ごめんな」

 そう言いながら、青ピは泣きそうな顔で言う。

青ピ「これもかみやんの為なんや」

 そういって青ピが上条当麻に手を伸ばした――瞬間だった。




インデックス「とうまになにしてるのかな?」




青ピ「なんや、君?」

 青ピの後ろから声をかけてきたのは、純白のシスターだった。

インデックス「私はインデックスって言うんだよ。それより、あなたはとうまに何をしているのかな?」

青ピ「ちょっとな、色々とあるんや」

 そう言いながら、青ピはたじろぐ。

 目の前にいる少女の目は――恐ろしいまでの殺気を放っていた。

インデックス「とうまから離れるんだよ」

 小さなシスターは、さながら最終警告のように言う。

青ピ「しゃーない」

 青ピは一瞬感じた恐怖感を消し去り、直後――



青ピ「死んでもらうで」



 懐からソード・オブ・ショットガン(先端を切り詰めた広範囲に弾をばらまくことができるショットガン)を取り出して、放つ。


インデックス「甘いんだよ!」

 しかし、その弾はインデックスに届くことなく地に落ちる。

青ピ「なんや、ソレ?」

 青ピは冗談めいた口調で聴きながら、懐からナイフを取り出す。

インデックス「これは『イージス』を摸した魔術なんだよ!」

 そう言った直後、インデックスがぶつぶつと何かを呟く。

青ピ「させへん!」

 その動作を見た青ピは、それを妨害しようと迫る。

 だが、その直後――

青ピ「」

 青ピは足を掬われた。

インデックス「堪忍するといいかも!」

 そう言いながらインデックスは急いで術式を組み立てる。




インデックス「行くんだよ! 『ルーの光・レプリカ』!」




 そう言った直後、インデックスに後光が射す。

青ピ「ぐわっ!」

 青ピの視力が奪われる。

 その光はケルト神話の神、ルーが放つ光のレプリカ。

 強烈な光は後光となり、術者に仇なす者の目を封じる。

インデックス「『サラマンダー』!」

 そして、インデックスは軽く術式を唱え、小さなトカゲを召喚する。

 それはパラケルススが定義した四大元素の一柱――炎を司る冷たいトカゲ。

サラマンダー「きゅいっ!」

 彼女によくつっかかってくるステイル・マグヌスほどではないが、人一人気絶させるにはちょうど良い炎の加減だったりする。

青ピ「がはっ!」

 あおぴは悶絶する。

インデックス「とうまっ!」

 青ピが倒れかけた瞬間、インデックスは青ピを無視して上条のもとへ走っていく。

青ピ「強いシスターさんやね」

 青ピはインデックスに不意打ちしても無駄であり、さらに自分ひとりでは勝ことは難しいと判断し、その隙にこっそり撤退したのである。

インデックス「とうまを――そうだ!」

 インデックスは慌てながらも、魔術を使って上条を刺激しないようにゆっくりと運んで行ったのであった。

 行間

御坂美琴「上条……当麻……」

 ロンドンの喫茶店で青ピを待っていた御坂美琴は、ブローチの中に入れてあった上条当麻の写真を見て涙を流す。



御坂美琴「あんたは絶対私たちが助ける」



 御坂美琴の目には、堅い決意があったのだった。

 というわけで本日はここで終了です♪

 7 超電磁砲

御坂「ふぅ」

 御坂美琴は自分の部下である青ピの報告を聞いて頷く。

青ピ「その白いシスター、たぶん学園都市外の能力者や。見たとこたぶん炎使いやな」

御坂「厄介な相手ね」

青ピ「たぶんあのシスターはかみやんを保護しとるで。アレが学園都市と対立している組織だったら――いろいろと厄介やで」

御坂「その前に潰した方が良かったんだけどなぁ」

青ピ「あれは無能力者の僕にはむりやな。なんかけったいな格好したお姉さんぐらいなら倒せたんやけど」

御坂「私の方に至ってはバーコードタールには勝てたんだけどなぁ……あんたが負けるっとことは相当な猛者よね」

青ピ「やな」

御坂「まあいいわ。あなたは休んで置いて」

 そういって御坂は立ち上がる。

青ピ「なんや――君が行くん?」

御坂「ええ、そのシスターを説得するわ」

 御坂美琴は背伸びをして、一言言う。



御坂「幻想抹殺――あれの危険性を説明しないと、たぶんそのシスターも危ない」



 そういって御坂美琴は白いシスターを探しに行く。

 インデックスは、倒れている上条当麻をイギリス清教が運営している病院に運び、最大主教に今回起こった出来事を正直に話した。

インデックス「というわけなんだよ、最大主教」

ローラ「わかったなりけるよ」

 そう言いながら、ローラは内心頭を抱える。

ローラ(うわぁ、これって学園都市が追っている『幻想抹殺』なるよ……)

ローラ(学園都市最強とイギリス清教最強……無茶苦茶なりけるな)

ローラ(いや――これは必然なるか?)

ローラ(わからないなりな……)

 今ローラはこの状況を冷静に分析していた。

 そして、彼女は一つの結論を出す。

ローラ「インデックス!」

インデックス「はい」

 ローラは、10万3千冊の魔道書を極めた少女に命令を出す。



ローラ「この少年を保護するなるよ」



 その言葉の後、インデックスの顔が輝く。

インデックス「ありがとうなんだよ、最大主教!」

 インデックスはローラに飛びついた。

ローラ「む、インデックス……重いなりけるかな」

 そう言いながら、ローラの顔は綻んでいた。

ローラ「最悪『ヨハネのペン』解除も辞さないなるよ」

インデックス「わかったんだよ」

ローラ「いざとなったらシェリーにも応援を頼めるようにするなる故によろしくなりよ」

 土御門のせいで混乱の極みになっている日本語を言いながら、ローラは命令して立ち去った。

 あれ――ここはどこだ?

 たち込めている血の匂い。

 周囲にはうめき声しかない。

 これは――なんだ?

????「よう、■■■■――」

????「ねえ、アンタ――」

??「■■■■……」

 俺の名前?

 誰だ?

????「これは、お前がやったのか?」

????「なんで、こんな事を……」

??「戻ってくるんや! ■■■■!」

 そこに立っていたのは俺の知らない人。

 ホストみたいな美男子に、茶髪の女の子、青い髪した少年がいた。

 君たちは誰? 俺は誰?

????「くそっ! お前は、本当に第六位だったのかよ!」

????「なんでお前ばっかりが苦しまなきゃいけないんだ!」

 ホストみたいな美男子は涙を流す。

????「なんで、なんであんたなの?」

??「お願いや、もどるんや、■■■■!」

 なんでこの三人は俺のためになくんだろう?


 

解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らない解らないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイ





 ああ――もういいや。

????「■■■■――っ!?」

 俺は直後、ホストみたいな美男子を―― 

上条「うわあああああああああああああっ!」

インデックス「あわわわわっ! びっくりするかも!」

 上条当麻が目を覚ますと同時に、インデックスはひっくり返って床に頭をぶつけるのだった。

インデックス「うう、とうまのばかぁ」

上条「う……なんかごめん……」

 直後――

上条「というか、なんでお前がここにいるんだ!?」

 上条は違和感の正体に気がついた。

インデックス「うん? 倒れていたとうまを私が拾ったんだよ」

 インデックスは上条に真相を知らせないように少しだけ嘘をつく。

上条「そ、そうか……」

 上条はそういって、拳を握る。

インデックス「とりあえず、当麻はこのまま安静にしておいたほうがいいかも」

上条「ああ、わかった」

 そういうと、インデックスはにこりと笑いながら病室から出て行った。

上条「俺は――なんなんだ?」

 一人上条当麻は苦悩する。

インデックス「ふう」

 インデックスがため息を着いたまさにその時だった。


??「あなたが上条当麻を保護している白いシスター?」


 インデックスにとって聞き覚えがある声が聞こえた。

インデックス「え……」

 インデックスが振り返ると、そこには学園都市の看板娘、御坂美琴がいた。

 御坂美琴――学園都市のマスコットキャラクター的な扱いを受けている彼女も、先ほどの上条の話によると能力者らしい。

インデックス「あなたはとうまを追ってきたのかな?」

 インデックスは密かに魔術を使う準備を整える。

 すると、御坂美琴は人懐っこそうな笑顔で言うのだった。

御坂美琴「まあ、とりあえず――あなたとお話ししたいんだけど、いいかしら?」

インデックス「へ?」

 インデックスは拍子抜けするのだった。

 というわけで今回投下分は終了です。

 もうすぐまた試験なので遅くなります♪

 8 白と茶

御坂「私はコーヒーで」

インデックス「私は紅茶が良いかも」

 学園都市の看板娘とイギリス清教の隠し玉は、ロンドンのとある喫茶店で話をすることとした。

御坂「さて――あなたは一体どこまで話を聴いているの?」

 注文したものを待っている間に、御坂美琴が話を切り出す。

インデックス「私が聞いたのは学園都市の裏の顔って言うものと、『幻想殺し』って者がとうまの能力ってことしか知らないんだよ」

御坂「うーん、ってことはあなたは『幻想抹殺』に付いては何も知らないってことか」

インデックス「寡聞にしてそんなものは聞いたことがないんだよ」

御坂「でも、少なくともあなたを納得させるためには、あの忌まわしい事件についても話さなくちゃいけないんだよなあ」

インデックス「ねえ、短髪」

御坂「なんでいきなりあんたは私にあだ名をつけてるのよ」

インデックス「そういう単発もついさっきと口調が変わっているかも」

御坂「あんんたのせいよ」

 そう言いながらミサカハ背伸びし、にこりと微笑んで言うのだった。

御坂「まあ、あんたにならあいつの過去を離して、納得してもらったほうがいいわね」

 そう言いながら、御坂は呼吸を整える。

御坂「それじゃああなたに教えてあげる」

 そういう御坂の目は、うっすらと涙を浮かべていた。





御坂「一年前に起こった――学園都市最悪の事件を」

 時は遡り、一年前の学園都市。

 そこのオープンカフェに仲の良い五人組が座っていた。

御坂「ちょっと、女の子を待たせるなんてどういうこと?」

 御坂美琴、超電磁砲と呼ばれている学園都市第三位。

青ピ「すまんな、御坂ちゃん。ちょっと補修やったんや」

 青ピ、ほんの少しチャラい関西弁の人気者。

土御門「いやー、本当にすまないんだぜい」

 土御門元春、青ピの親友。

垣根「悪いな、御坂。俺はこいつらを待っていたら遅れた」

 垣根帝督、学園都市第二位にして、御坂たちの親友。


 そして――


上条「わりいな、俺の成績が悪いばっかりに」


 上条当麻、この仲良しグループの中心的な人物であり、『幻想殺し』という異能を打ち消す力を持っている少年。

 彼らは上条を中心とし、ぬるーい日常を送っていた。

上条「じゃあ、今日はみんなでゲーセンに行こうぜ」

土御門「おお、かみやん! それはいいアイデアなんだぜい」

垣根「俺の格ゲーに常識は通用しねぇ」

青ピ「ていやんこの間御坂ちゃんに五連敗しとったやん」

垣根「うるさいなぁ……」

土御門「垣根……半泣きかっこ悪いんだにゃー」

御坂「まあ、私はおかあさんとやり込んでるしね」

上条「ああ、たしかに御坂の格ゲーの腕は神がかっている」

 なんて他愛の無い会話をいつもどおりしていた――その時だった。





  キン






 一瞬だけ、変に甲高い音が聞こえた。

御坂「なに……今の音?」

青ピ「さあ?」

垣根「なんだ?」

土御門「?」

 御坂、青ピ、垣根、土御門の三人が首をかしげた時だった。



????「これより上条当麻――神浄討魔となり、『幻想抹殺』を起動します」


 いつも聞き慣れているはずの声が、機械的な声になっていた。

御坂「え……」

 最初に振り返った御坂が見たものは、異常なものだった。

青ピ「かみ……やん?」

土御門「これは……なんだ?」

垣根「上条?」

 彼らが見たのは――天使のような輪っかを頭の上に存在させ、背中からは小さな翼を生やしている上条当麻だった。

 直後――


????「動かないでね」


 彼らの視界は反転した。

御坂「いたっ!」

青ピ「いてっ!」

垣根「うをっ!」

土御門「な、なんだにゃー!」

 四人は同時に尻餅を突き、堅い床にねころぶような格好になった。

結標「ごめんなさいね、あなたたちに学園都市統括理事長が様があるみたいだから――運んできたの」

 そう言いながら、彼らをここまで運んできた晒姿の女はどこかへと消えた。

御坂「な、なんなの?」

 状況が全く飲み込めないまま、彼らが周囲をきょろきょろ見渡すと――

アレイスター「やあ、こんにちは。諸君」

 フラスコにぷかぷかと海月のように浮かんでいる変な男がいた。

垣根「貴様……統括理事長?」

アレイスター「ご名答だ、第二位」

 そう言いながらフラスコの中の男はパチパチと手を叩く。

垣根「なんなんだ、このマネは?」

 そういうと、垣根の背中から六枚の翼が生える。

アレイスター「落ち着け、第二位。急く前にこれをみろ」

 そういってアレイスターが映し出した画面には、驚くべきものが映っていたのだ。

 そこまで言うと、御坂美琴は泣き崩れる。

御坂「~~~~~~~っ!」

 声にならない叫びを彼女はあげていた。

インデックス「短髪……」

 そんな御坂を見て、インデックスは心を痛めた。

 インデックスには分からない。

 彼女のために何をするべきなのか、そして――ここから先の話を自分が聞いていいのかも。

 インデックスは御坂が泣きやむまで待つことにした。

 というわけで、今日はここまでの投下です。

 関係ない余談ですが、垣根帝督はかっこいいと思うのです。

 それではまた今度~。

御坂「じゃあ、続きを話しましょうか」

インデックス「うん」

 御坂美琴は涙を吹き――続きを話す。

――

 俺は地獄というにはあまりにも生ぬるすぎるものだった。

 建物が一部崩落し、多くの人の頭から血が出ていた。

 聞こえる音はうめき声しかない。

モブ女「痛いよう、痛いよう……」

 頭から血を流し、片足を傷つけて、歩けなくなっている少女がそこにいた。

モブ男「モブ女! こっちへ来い!」

 必死に呼びかけている男。だがその直後――



上条「能力者――発見」



 上条当麻がゆらゆらと歩きながら現れる。

 そして――


上条「抹殺」


 少女の頭に触れた瞬間――


モブ女「はにゃ?」


 少女の頭は飛散する。

モブ男「――――――!」

 少女を呼んでいた少年は怒りを幹事、無鉄砲にも目の前の男に特攻していく。

 そして彼は異変に気がついた。

モブ男「え――能力が使えない?」

 直後、

上条「幻想――抹殺」

 少年の胸は飛散した。

青ピ「これは――なんやねん!」

 青ピは叫ぶ。

アレイスター「これは、学園都市第六位『幻想抹殺』だ」

垣根&御坂『だ、第六位?』

土御門「かみやんが?」

青ピ「うそやろ?」

 一同皆皆して愕然とする。

アレイスター「頼みがある」

 アレイスターはフラスコの中から頭を下げる。

アレイスター「『幻想抹殺』を止めてくれないか?」

 その言葉に迷うことなく全員が答える。

垣根「当たり前だ」

御坂「当たり前よ」

青ピ「当たり前やで」

土御門「当たり前だ」

 こうして、『幻想抹殺』を止めるためのチームが、即席でできあがったのだ。

――

アレイスター「『幻想抹殺』は、半径10メートルの能力使用を制限し、さらに超能力者が触れられると、さっきの映像のように崩壊する」

垣根「能力制限っていうのは、どれくらいの制限だ?」

アレイスター「半径10メートル~8メートルならレベルが1下がり、8メートル~6メートルならレベルが2下がり、6メートル~4メートルはレベルが3下がり、4メートル~2メートルはレベルが4下がり、2メートル以内は理論上能力が使えない」

御坂「えげつないわね……」

アレイスター「ああ、能力者戦に特化した能力だからな」

青ピ「僕なんて能力ないんやけど?」

アレイスター「これを支給する」

 そういって、アレイスターは青ピにパワードスーツを手渡した。

青ピ「おお、これを使うんやな」

アレイスター「さて、スパイ君」

土御門「もうばれてるか」

アレイスター「当たり前だ」

土御門「アレは魔術も対象になるのか・」

アレイスター「なるな」

土御門「ということは、俺の役割は――ひとつか」

アレイスター「そういうことだ」

 そうして、四人は幻想抹殺を止めに郁準備を整えるのであった。

これで今日の灯火は終了です。

上条「これより幻想をすべて抹殺する」

 瓦礫が積み上げられ、能力者達が逃げ惑う。

初春「ひっ!」

 初春飾利は、そんな幻想抹殺から逃げようとして、こけてしまった人物だ。

初春「お願いします……殺さないで……」

 目に涙を浮かべる。だが、目の前の少年は無機質に言う。

上条「幻想は罪――だから抹殺する」

上条「能力者には死を」

上条「幻想なんて許さない」

 それは彼を普段知っている者からすると、あまりにも違いすぎる声。

 機械のほうがまだ人間味があるのではないか、と思わせるほどの無機質。

初春「ひっ!」

 初春は恐怖のあまり失禁する。

 当たり前だ。

 彼女の目の前でも能力者たちが何人か『消しとば』されているのだから。

上条「それでは――さらばだ」

 そういって、上条当麻の右手が初春に触れようとしたときだった。




佐天「くっ!」



初春「さ、佐天佐ん!」

 その右腕を、佐天涙子が掴む。

佐天「初春! 早く逃げて!」

 初春は親友のその言葉に従い、すぐに逃げた。

上条「無能力者――か」

佐天「ええ、あなたを見ていたら無能力者は殺せていない。だから私はこうした!」

 そういって佐天は上条を掴んでいない右手に握っていたナイフを振りかざす。

佐天「やああああああっ!」

 佐天が振り下ろしたナイフが上条当麻に届こうとしたときだった。

佐天「」

 彼女の視界は上下逆になり、そのままありえない方向に体が飛んでいった。

佐天「がっ!?」

 佐天の口からは血が流れ出る。

 上条当麻は左手で思いっきり佐天を殴ったのだ。

上条「幻想を守る――故に罪」

上条「幻想、之即ち人の大罪」

上条「故に抹殺する」

 上条当麻はそう言いながら佐天涙子を蹴る。

 彼女の口から、腹から、血が流れ出る。

佐天(やば……私死ぬんだ)

 彼女がうっすらとそう思ったときだった。




????「なァにやってんだ、てめェ」

??「なにしてんだ?」


上条「何者だ?」

 上条は佐天を蹴るのを止め、声をかけた人物の方を見た。



一方通行「あァ? 学園都市第一位、一方通行だァ」

木原「科学者、木原数多だ!」


 ヒーローは現れ、物語は佳境を迎える。

 同時刻――窓のないビルの中。

アレイスター「くっ、やめろ、一方通行!」

 学園都市統括理事長は叫ぶ。

アレイスター「くそっ、くそっ、くそっ! このままではプランが狂いに狂い、収集が付かない状況になってしまう!」

アレイスター「幻想抹殺の暴走さえも異常だと言うのに、なぜ一方通行が!」

 そうして、アレイスターは信じられないことを虚空に叫ぶ。












アレイスター「一方通行では幻想抹殺に勝てない!」









 その叫びはフラスコのなかに響いた。

 一方、上条当麻を止める為に組まれたチームは、瓦礫の山の中を走る。

御坂「はぁ、はぁ、はぁ」

 御坂美琴の呼吸が荒い。

 それは決して疲れているからではない。

 彼女は、今起こっている現実が信じられないだけなのだ。

青ピ「御坂ちゃん、落ち着くんや」

 青ピが気を使って声をかける。

御坂「ごめん、でも、でも……」

 そういう彼女の声は、かぼそかった。

垣根「御坂、俺だって信じられないぜ」

 そんな中、垣根が走りながら御坂に声をかける。

垣根「だけど――俺たちが助けに行かなかったら誰があいつを助けるんだ?」

 垣根は力強く言う。

垣根「ああ、たしかに普通の奴だったらここであいつを見捨ててるだろう」

 それは御坂や、青ピ、土御門の心に希望の光を与える言葉。

垣根「だけど、俺たちの友情がこんな程度で壊れるか?」

 垣根は半ば泣きそうだった。

 そうだ、彼自身だって、こんなことは信じられないのだから。

 それでも、彼は前を剥き、友を助けようとする。





垣根「ああ、そうさ。――俺たちの絆に常識は通用しねぇ!」




 力強く垣根帝督は言い放つ。

 その言葉に、御坂、青ピ、土御門の顔に希望が宿った。

御坂「ありがとう――垣根」

青ピ「ていやん――ありがとうな」

土御門「垣根、ありがとう」

垣根「はっ、ちゃっちゃと終わらせて、みんなでポケモンでもやろうぜ! 心理定規も呼んでやるからさ!」

 そういって、四人は笑う。

 彼らは疑わなかった。

 上条当麻がまた日常に戻れる、という事を。

 そうして彼らは、幻想抹殺が戦闘をしているところの一歩手前のエリアに入った、その時だった。


佐天「」ヒック、ヒック

 一人の少女――佐天涙子が泣いていた。

垣根「木原数多に……第一位?」

 垣根はその少女の足元に転がっている者を見て、愕然とした。

 そこに転がっていたのは、息も絶え絶えな最強、一方通行だったのだから。

佐天「そこの人たち……ヒック……この二人を……病院へ……ヒック」

 一方通行は頭から血を流し、木原数多は左腕がなかった。

 二人とも、かろうじて生きている、といった状態だった。

垣根「何が……あったんだ?」

 垣根は得体の知れない何かを感じた。

 というわけで今日はここまでです。

 中途半端ですいません(´;ω;`)

 また明日書きま~す。

垣根「土御門、お前が一方通行と木原数多を病院まで運んでくれ」

土御門「垣根……」

垣根「俺には未元物質がある。御坂には超電磁砲がある。青ピにはパワードスーツがある。だが、お前には何もない」

土御門「いや、違うんだ!」

 土御門がそういうと、垣根は土御門の口を塞いだ。

垣根「いいから、行け」

垣根「ここは俺と御坂と青ピに任せろ」

 土御門は垣根の威圧に負け、一方通行と木原数多を病院まで運ぶことにした。

土御門「すぐ戻ってくる」

御坂「待ってるわよ」

青ピ「はよ行き。その二人死なせたらあかんで」

垣根「安心しろ、後は終わらせる」

 そうして、土御門は冥土返しの病院の方向へと、二人を担いで走っていく。

御坂「垣根、やっぱり舞夏ちゃんに配慮したの?」

 去っていく土御門の背を見て、御坂は言う。

垣根「当たり前だ。さすがに舞夏ちゃんを悲しませる訳にはいかないからな」

 そう垣根が言った時だった。









上条「幻想を抹殺する」









 最強にして最狂が現れた。

 同時刻、窓のないビル。

エイワス「荒rkれてgrいるttな、アqwfbレイスター」

 フラスコの中の住人、アレイスターの前に『天使』が現れる。

エイワス「君らしpklくもvrない。感情sxというrwp感情をあmvmらわvvにし、一方通dr行の心配trwまでする。冷徹にllプラplンをgr満たそうとfrwxzする君の意vbz志はどこhthtに行った?」

アレイスター「エイワス、今の君は私の状態がそう見えるか」

 アレイスターはフラスコの中で呟く。

 その声はさっきまで同様していた人間のソレではない。それと同時に、天使の声のノイズも消える。

エイワス「全く、私が現れる、ということは周囲に盗聴している人間は誰もいない。故に私が現れるまで演技をしていたというのか……。全く、食えない男だね、君は」

アレイスター「これにて、第一位は一旦動きを封じれた。あの第六位を相手取れば、第二位と第三位も無事ではいないだろう。しばらく彼らは邪魔なのでな」

エイワス「まさか、君……」

アレイスター「ふふふ、エイワス。それ以上は言うな。聡明なる君なら気がついているだろう」

エイワス「やはり君は最強の魔術師だよ、アレイスター」

アレイスター「いや、最強は私ではないよ。私は唯最高の魔術師であるだけだ」

エイワス「そうか、最強は――彼女か」

アレイスター「ああ、そうだ」

アレイスター「最強はイギリスにいる」

エイワス「じゃあ、私はまた眠ろう」

アレイスター「お休み、エイワス」

エイワス「また君は演技をするのかい?」

アレイスター「当たり前だろう? こんなのは、プランの誤差にもならない」

エイワス「やれやれ、真の強者は弱者を装う、か」

 そう言って天使は消え、また統括理事長は弱者のフリをする。

上条「幻想――発見。抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺」

 壊れた機械のように上条当麻は抹殺、と言う。

垣根「上条! 俺たちがわかるか?」

 上条当麻は答えない。

上条「幻想抹殺――開始」

 上条当麻はゆっくりと、王のように歩く、


御坂「ねえ、アンタ――」

青ピ「かみやん……」

 御坂と青ピの声も届かない。

 上条透馬はしづかなる蹂躙を始めようとしていた。

垣根「元に戻れ、上条!」

御坂「お願い、戻って!」

青ピ「戻ってくるんや! かみやん!」

 彼の友人たちの声は届かない。

 彼を前にして、三人は闘うことを忘れていた。

 未元物質も、超電磁砲も、パワードスーツも、三人とも使えなかった。

 当たり前だ。

 この世界のどこに、大切な友人に刃を向けることができる愚か者がいようか。


垣根「くそっ! お前は、本当に第六位だったのかよ!」

垣根「なんでお前ばっかりが苦しまなきゃいけないんだ!」

 垣根は涙を流す。勘定に流され、自分たちが本来やるべき事を完全に忘れていた。

御坂「なんで、なんであんたなの?」

青ピ「お願いや、もどるんや、かみやん!」

 御坂も、青ピも、何を自分たちがすればいいのか、全くわからなかった。

 感情に流され、混乱し、混迷し、中身がグチャグチャになっていた。

上条「」

 上条は悠々大全と瓦礫の街を歩く。

 三人とも――動けない。

 そして――

垣根「上条当麻――っ!?」

上条「幻想――抹殺」

 垣根提督は吹き飛ばされた。

垣根「」

 御坂と青ピはその場でへたれる。

 垣根にはかろうじて息があるが、上条はその毒牙を青ピと御坂み向けようとした――その時だった。





上条「げんgjfbhvryふvjべtdfbghvじぇrdfmぬbvgうtghぶrんぐbんrんりthrjちぐんtぎjせおpjりbつbうヴbjzみえおfjぺおfjpうぃいあいるghるヴいrvvんrbんつhbぐyrひゃういあういるいgんりvbりゅgひひrhkzvjfぎへるいひあjrghりじょrっぽkljlbkcgn8bwうvfbjsんdjbんdkkzvんrbkrもえいrぐえあいあいzzzzzzzzzzzzfrぎtbtんrじんちgtspとtぽj」



 壊れたかのように上条は叫び、その場に倒れた。

御坂「え?」

青ピ「は?」

 こうして、学園都市最大の事件は、幕を閉じたのであった。

御坂「それが学園都市で起こった事件」

御坂「死者666人、垣根帝督、一方通行は意識不明の重体いで今も病院に、学園都市の10パーセントが壊滅し、今も復興事業は続いている」

御坂「個人で起こしたなかではたぶん最大クラスの災害」

御坂「自体を重く見た学園都市統括理事会は、上条当麻の記憶を削除して、『幻想抹殺』の使用法を98%削除し、上条当麻の能力を『幻想殺し』に劣化させて学園都市から追放」

御坂「半年に一度、『調整』のために私たち『レギオン』が上条当麻を捕縛し、学園都市に連れ帰って記憶を消す」

御坂「だから上条当麻はあなたのところにたどり着いてしまった」

 その話しを聞き、インデックスは絶句する。

御坂「だから――おとなしくあいつをひきわた」

 そこまで行ったときだった。



インデックス「短髪、それはおかしんだよ」



御坂「は?」

 インデックスは凛とした目で言うのだった。

 というわけで、今日の投下はここまで。また次回~

 9 魔神の推測

御坂「えっと……おかしいって何が?」

インデックス「いや、あのね……非常に良い悪い事なんだけど言ってもいいかな?」

御坂「え、ええ」

 インデックスは御坂に対して、非常に当たり前の事を言う。




インデックス「魔術や超能力って、記憶するものじゃなくて体で覚えるものなんだよ?」





御坂「魔術?」

インデックス「あ、短髪って……魔術知らない?」

御坂「うん」

インデックス「」

 インデックスは自分が墓穴を掘ったことに気がついた。

インデックス「えっとね……」

 こうしてインデックスはこの後十分ほど、魔術についての説明をするのだった。

御坂「はぁ」

インデックス「というわけなんだよ」

御坂「なるほどね、もしかしたら超能力って魔術を元に作られてるかもね」

インデックス「あ、それ私も思ったんだよ」

御坂「ってことは……私たちのやろうとしていることは、無駄だったってこと?」

 そう御坂が言うと、インデックスは首を横に降る。

インデックス「多分だけど、とうまには何らかの『鎖』はつけられていると思うんだよ」

御坂「鎖?」

インデックス「うん。私は10万3千冊の魔道書を保有する『魔神候補』だけど、私は一応魔力の15%しか使えないっていう限定的な鎖があるんだよ。だから、とうまほどの『天災』あったら、何らかの鎖がつけられているはずなんだよ」

御坂「は、はあ」

インデックス「私の予想だと、フェンリルを縛った北欧の鎖とか、そう言ったものに匹敵する鎖がたぶんとうまにはつけられていると思うんだよ」

御坂「ようするに……」

インデックス「うん、短髪たちは利用されていたんだと思う」

御坂「あのフラスコ爺! ぶっ殺す!」

インデックス「短髪、口調が変わるほど怒ってるんだよ……」

 そう言いながらインデックスは考える。

 なにかが、なにかが足りない気がする、と。

 同時刻――窓のないビルの内部。

アレイスター「来てくれたか、わが同志」

????「ははっ、俺様を呼ぶか、アレイスター」

アレイスター「何を行っている、君と私は同じ目的を持った同志だろう?」

????「といってもな、俺様はたちばてきに ここに来るのはいろいろとまずいんだが?」

アレイスター「心配するな、ここは窓のないビル。案内人の結標は今眠ってもらっている」

????「睡眠薬か?」

アレイスター「まあ、そんなところだ」

????「で、幻想抹殺の様子はどうなんだ?」

アレイスター「順調だ、このままいけば――『楽園』をつくることができる」

????「ふん、俺様とお前の悲願が叶うわけか」

アレイスター「ああ、そうだ。そのためには『幻想抹殺』と『魔神』の接触が必要だった」

????「だろうな。それにしても、いいのか、アレイスター」

アレイスター「なんだ、■■■■■」

????「あれはお前の■なんだろう?」

アレイスター「関係無い。『楽園』にいたるのなら、私は全てを犠牲にする」

????「はは、それでこそこの偉大な俺様の同志だ」

アレイスター「ああ、我らの悲願は手の届く所まで」

????「万人を幸せに――」

アレイスター「それでは、健闘を祈る」

????「こっちも祈っておいてやろう」

 そういって、影は去っていく。

アレイスター「大丈夫だ、プランは狂っていない」

 そういって彼は目を閉じる。

 舞台は再びロンドンへ

御坂「で、今からあいつを調べるの?」

インデックス「ううん、それは性急すぎるんだよ」

御坂「じゃあどうするの?」

インデックス「今から三日間かけてとうまの様子を見てみるんだよ。そうして、とうまにかかっている『鎖』を解析して、万全の準備を整えるんだよ」

御坂「そうね、あいつを確実に救えるなら、その方法が良いわね」

インデックス「短髪、あの青い髪も連れてきてくれると嬉しいかも」

御坂「いつ?」

インデックス「明日のお昼。とりあえずとうまは私が預かっておくんだよ」

御坂「そう、わかったわ」

 そういって、御坂はインデックスと別れようとしたとき――

インデックス「短髪、待って!」

 インデックスが御坂を呼び止めた。

御坂「え、どうしたの?」

 御坂が首をかしげていると、インデックスは右手を出した。

御坂「これは?」

インデックス「握手なんだよ」

御坂「どう……して?」

 御坂が首をかしげると、インデックスはさらっと言うのだった。



インデックス「だって私たち、友達かも」



 御坂は呆気に取られ、ついついその手を握り返してしまった。

インデックス「ど、どうしたのかな、短髪!」

 インデックスは御坂の顔を見て、驚く。

 彼女の目から、滝のように涙が流れていたのだ。

御坂「本当に、ありがとう……ありがとう……」

 か細い声でそう言って、御坂美琴はインデックスの胸の中でわんわんと泣いた。

 彼女は上条当麻を救う為に暗部に入った。

 暗部にはいってから、彼女は人の温もりを感じなかった。

 上条当麻と垣根帝督という二人の友人を失い、彼女の心から暖かさが消えていた。

 だけど、このインデックスという少女はその心の乾きを癒して行った。

 ゆえに、御坂美琴は涙を流す。

インデックス「短髪……」

 その様子を見て、インデックスは彼女の心の苦しさを理解した。

 だからこそ、インデックスは優しく御坂美琴を抱きしめたのだ。

インデックス「だいじょうぶ、とうまも、短髪も、どっちも助ける」

 その目に宿るのは固い決意だった。

 というわけで今日の投下はここで終了です。

 一応原作三巻まではプロット完成させてるんで頑張ります。

 四巻以降もこのメンツで再構成したいな、と思いつつ、また次回!

 行間

心理定規「垣根……」

 冥土返し、と呼ばれる名医が経営している病院に、毎日欠かさず来ている女性がいた。

 彼女は『心理定規』と呼ばれている女性であり、垣根帝督の恋人である。

心理定規「あなたが目覚めるまで――私は待つわ」

 そういって、彼女は彼の端正な顔に良く似合う真っ赤な薔薇を置くのだった。

 10 『鍵』

インデックス「最大教主」

 聖ジョージ大聖堂の謁見室、そこにインデックスは入り込んだ。

ローラ「なになるかな、インデックス」

 ローラがそういうと、インデックスは一言言う。





インデックス「『鍵』の使用許可を求めるんだよ」




 その一言を聴き、ローラは目を見開く。

ローラ「正気なるか、インデックス」

 ローラはあふれる激情を抑え、淡々と言う。

ローラ「あれを使うということは、即ち一国と戦争をするということにひとしけるよ」

ローラ「いったい、何の事情なるか?」

 ローラが詰問するように問う。

 インデックスは、怯える事なく一言言い放つ。





インデックス「dedicatus545」




 それは彼女の魔法名。

 彼女はその温厚な性格上、あまり魔法名を名乗らない。

 だが、そんな彼女が魔法名を名乗った。

 ローラは事の重大性を悟った。

ローラ「詳しい事情は聞かせてもらいけるよ」

 そういって、ローラはインデックスの前に立つ。

 十分後。

ローラ「わかりけるかな」

 インデックスから地事情を聞いたローラはそういって立ち上がる。

ローラ(まずいなるかな……インデックスと『幻想抹殺』が接触したるか……。これではあの男の思い通りたる。しかし、あの『化物』に対抗できるのがイギリス清教ではインデックスだけなのも事実なるかな。これはハイリスクハイリターンな賭けなるよ)

 一通りそんなことを考えて、ローラは禁書目録に言う。

ローラ「良かれるよ。インデックス、『鍵』は解除しておけるかな」

 それを聞いて、インデックスはいう。

インデックス「最大主教、鍵は三日後の解放を頼んだんだよ」

ローラ「わかりけるよ」

 そんな対話をした後、インデックスは聖ジョージ大聖堂から出て行った。









ローラ「あの子があんな目をするなんて、意外なるかな」








 ローラは人知れず涙を流す。

 インデックスは上条当麻がいる病院まで向かう。

 インデックスが『三日後』に日時を指定したのにはわけがある。

 一つは最大主教の『説得』。

 これは今さっき思い通りに行った。

 次に御坂美琴と青ピとの『連携強化』。

 正直、御坂美琴の話を聞いてみると、たぶん三人で連携しないと彼女の考えは実行できないと思ったからだ。

 そして最後に上条当麻の『理解』。

 インデックスの推理が正しければ、『鎖』は『魔術』であるはずだったのだ。

 彼女は上条当麻に初めて出逢ったとき、ほんの少し違和感を感じていたのを思い出す。

 あのとき、気が付いていればよかった。

 それが彼女の後悔。

インデックス「絶対に――助けるんだよ」

 インデックス、彼女は救える者を救う聖母のような人間だった。

 故に彼女はためらわない。

 インデックスはヒーローではない。ただ彼女は聖母なのだ。

上条「よう、インデックス」

 インデックスが上条当麻の入院している病院に入ったとき、上条当麻は目を覚ましていた。

上条「また助けてくれてありがとうな」

 上条当麻は悲しそうな顔をする。

インデックス「とうま」

上条「ん? どうしたんだ?」

インデックス「三日後にとうまを助ける。だから、待っててね」

上条「?」

 上条当麻は首をかしげる。

 インデックスは逃げるように部屋を出て行った。






上条「変な奴?」





 彼は知らない。

 彼がうちに秘めた化物を。

 今日の投下は此処までです。

 次回はクライマックス序章に入ると思われます。

 なお、二巻と三巻の再構成は絶対やるのでこれからもよろしくお願いします!

 11 白茶青

 そして、次の日の昼頃。ロンドンではそこそこ有名なとあるレストランにて、インデックス、御坂、青ピの三人は集ったのであった。

御坂「『鎖』とやらの解析は終わったの?」

 御坂は少しせかすように言うと――

インデックス「おおまかわかったんだよ」

御坂「」

青ピ「」

 御坂と青ピはインデックスの仕事の速さに絶句した。

インデックス「たしかに、外から見たら分かりにくかったけど、昨日とうまにあった時に注意深く見ると『プロメテウスの鎖』があったんだよ」

 そう、インデックスは上条当麻に会いに行ったあの瞬間で鎖の解析を済ませていたのだった。

 それがインデックスが『魔神候補』といわれる所以。

 彼女の強さは『力』ではなく『智』なのだ。

御坂「えっと……『プロメテウスの鎖』って何?」

 御坂は首をかしげる。

インデックス「『プロメテウスの鎖』って言うのは、ゼウスに逆らって人に火の使い方を教えたプロメテウスを縛った鎖のことなんだよ」

インデックス「岩山と禿鷹をイメージしたルーんがとうまにうっすらと刻まれていたんだよ」

青ピ「岩山と禿鷹?」

 青ピが首をかしげる。

インデックス「うん。一節によると、プロメテウスが縛られていたのは『岩山』で、彼の臓物をえぐっていたのが『禿鷹』って言われているんだよ」

青ピ「わ、わからん」

御坂「なんか、すごいことしか分からない……」

インデックス「これは常識なんだよ?」

御坂「じゃああんたは超能力のことわかるの?」

インデックス「ごめんなんだよ」

 インデックスはしなしなとしおれる。

青ピ「で、それは解除できそうなん?」

インデックス「うん。できるんだよ」

 そこまで言った時、御坂がぼそっと言う。



御坂「まって、なんであいつに魔術がかけられてるの?」



 本来もっと早く不自然に思わなくてはいけないところに御坂はようやく気がついた。

 すると、インデックスがさらりという。

インデックス「たぶん外部の魔術師を学園都市は雇ったんだよ」

インデックス「あの魔術はギリシア東方騎士団の得意魔術だからそこらあたりから安価で雇ったと思うんだよ」

御坂「へ、へえ」

 今現在進行形で御坂の中でなにかが崩れていることにインデックスは気がつかない。

インデックス「それにしても、相手が悪かったんだよ」

 そういって、インデックスはニヤリと笑う。

御坂「なんで?」

インデックス「私は術式介助はお手の物なんだよ!」

 そういって、インデックスは(ペッタンコな)胸を張る。

青ピ「ほんまに、ありがとうな、インデックスちゃん」

 そう言いながら青ピは涙を流す。

青ピ「これで、かみやんを助けられる……」

 そういうと、涙をすぐにぬぐってインデックスの方を向いた。

青ピ「で、インデックスちゃんは何か聞きたいことないん?」

 青ピがそう聞くと、インデックスはさらっという。







インデックス「『幻想抹殺』についてのくわしい説明を聞きたいんだよ」





 それがインデックスが最も知るべきことだった。

御坂「そうか、あれについての説明か」

青ピ「ほとんど分かってへんのやけど、それでもええ?」

 インデックスは頷く。

青ピ「それじゃあ、『幻想抹殺』について説明するで」

青ピ「『幻想抹殺』の射程距離はおおよそ十メートル。近づけば近づくだけ超能力が使えなくなるんや。たぶんこれは魔術も有効になってしまうと思うで」

青ピ「そして、『幻想抹殺』が触れた『能力者』は四散するんや」

青ピ「これは 魔術師がどうかは知らへん」

青ピ「ただ、一番厄介なんが――」

 そして、青ピは最も重要なことを言う。




青ピ「『幻想抹殺』は非常に成長するのが早いというのがわかっとるんや」




インデックス「成長が早い?」

御坂「ええ、そうよ」

 すると、横にいた御坂が口を開く。

御坂「例えば私は、幼稚園ぐらいの歳から頑張ってレベル1からレベル5に上げたわ」

御坂「だけど、これでもかなり速いの」

インデックス「うん、大体わかるんだよ」

 インデックスは運ばれてきたマフィンを食べながら言う。

 そして――御坂がおとろくべきことを言う。


御坂「『幻想抹殺』は、発見されたときわずか三年でレベル5に『無自覚で』なったの」



インデックス「む、無自覚?」

御坂「ええ、学園都市の能力検査に『幻想殺し』は引っかからない」

御坂「だけどある日とある研究者が気がついたらしいの」

御坂「上条当麻は『レベル5』じゃないか、と」

御坂「そして、調べた結果――上条当麻は理論上わずか三年でレベル5になり、さらに自分はその能力が右手にしか作用されないと『思い込んで』いたのよ」

御坂「だから、上条当麻の人権も考慮し、本人にsの事実を伝えることなく今日にいたってるの」

インデックス「む、無茶苦茶なんだよ……」

御坂「ええ、無茶苦茶よ」

御坂はそう言いながら席を立つ。

インデックス「じゃあ、今日は解散ということにするんだよ」

 御坂が立ち上がったのをきっかけに、三人ともそれぞれの家にかえることにした。(御坂、青ピはホテル)



 帰り道


インデックス(勝てるの……かな?)

 インデックスは自分が救おうとする者の恐ろしさを知り、すこし恐怖に震えるのだった。

 というわけで今日は此処までです! 

 また次回よろしくです!

12 それぞれの思い

 インデックス、御坂美琴、青ピ、この三人が会合した次の日――。



 必要悪の教会、特別寮の仲でインデックスは枕を抱きしめていた。


インデックス「とうま……」

 彼女の頭のなかには、明後日救う少年のことでいっぱいだった。

インデックス「かなしそうだったんだよ……」

 彼女はぼそっとつぶやく。

 ベランダに引っかかっていた少年、彼は悲しそうな目をしていた。

 まるで『はじめからすくわれない運命を無理矢理にでも受け入れている』人間のような目だった。

 事実、彼は受け入れているのだろう。

 インデックスと出会ったとき、かれは自分が記憶を失っているなどお首にも出さなかった。

 それは彼女を巻き込まないための配慮。

 誰よりも不幸で救われないのに、彼は救いを求めることをしないのだ。

 あのときもしインデックスに助けを求めていたら、彼女は10万3千冊の知識という力を持ってして助けていただろう。

 あのとき、上条当麻の持つ『闇』に気がつかなかった自分を責める。

インデックス「やっぱり――かおりのようには行かないよね」

 彼女の友人で、いま入院している神裂火織。

 彼女は成人であり、全てを救うことを自らの義務としている人間だ。

 故に彼女は強い。

 誰よりもヒーローであり、誰よりも正義の味方だ。

インデックス「わたしは――ヒーローにはなれないんだよ」

 インデックスは思ったままに言ってみる。

 それは当たり前だ。

 彼女が本気を出せば全てを破壊し、守るべきものさえも消し飛ばす。

 だから彼女に与えられた役割は『英雄』ではなく『生贄』。

 イギリスの危機のときには最前線で戦い、しかし誰からも感謝されず寧ろ恐れられる。

インデックス「はぁ」

 インデックスはため息をはき、布団をかぶって眠った。


 ロンドンの高級ホテル。

 その一室で御坂美琴は膝を抱えていた。

御坂「やっと……あいつが救われる」

 彼女は涙を流していた。

 自分の大事な友人が、やっと苦しみから解放されるのだ。

御坂「ありがとう――インデックス」

 御坂美琴は彼女の『新しい友人』に礼をこっそりと、本人がいないところで言うのだった。

 そう、彼女と青ピでは絶対に上条当麻は救えなかった。

 彼女たちはただ上の言いなりになって、上条透馬をまもるために上条当麻を傷付けなくてはいけなかった。

 それは彼女と青ピにとっては拷問を上回る苦痛だった。

御坂「ほんとうに……ありがとう……」

 御坂の涙は止まらなかった。

 彼女たちの悲願は、果たされようとしているのだから――。


   リリリリリ


 感傷に浸っていたとき、御坂の携帯電話が鳴る。

御坂「もしもし?」

 御坂が出ると――




??「やぁ、第三位。元気してる?」




 大人びた声が受話器の向こうから聞こえる。

御坂「ああ、麦野ね」

麦野「ヤッホー、第三位。いま気が滅入りそうな任務だろうから元気出すために電話してきたよ」

御坂「はは、ありがとう」

 電話の向こうの女の名前は麦野沈利。

 御坂たちとは別の暗部グループ、『アイテム』のリーダーだ。

 『レギオン』と『アイテム』は比較的上層部に近しい暗部故に、この二つの組織はよく共同戦線を張っていた。

 なので、『レギオン』の長である御坂と『アイテム』の長である麦野は自然と仲がよくなる。

麦野「とりあえず、元気だしなよ」

御坂「ええ」

 御坂はまた涙を流す。

 友人の声を聞いて、彼女は安心したのだった。

麦野「まったく、あんたのルームメイトの白黒パンダも心配してるし、はやく任務を終わらせて帰ってきなよ。絹旗と滝壺と白黒パンダで服でも買いに行きましょう」

御坂「ええ、そうね」

 御坂はクスリと笑う。

麦野「じゃあね」

御坂「じゃ、また」

 そういって、ふたりの会話は終わるのだった。


 同じホテルの別の部屋。

青ピ「あ、もしもし~」

 青ピは歳の離れた恋人に電話していた。

小萌「まったく、青ピちゃんはいっつもフラフラと!」

 そう言いながら青ピの恋人――月詠小萌は騒ぎ立てる。

青ピ「ほんますまんです~」

 青ピはにやけながらそういった。

 ちなみに、青ピと小萌がなんで付き合うことになったかというと――ノリで告白したら年齢不詳だけど確実に年をとっている小萌先生が結婚を焦りに焦り、なんか付き合った、というもうギャグマンガのような過程があるのだが、此処では触れないでおく。

青ピ「ちかいうちかえれるからツッチーにもよろしくいっとってな~」

小萌「はいはいですよ~」

 そういって小萌は電話を切る。

青ピ「ふう」

 青ピはため息をついた後、鞄の中からアルバムを取り出す。

 そのアルバムの中から一枚の写真を取り出し、彼はため息をつく。

青ピ「かっきー……」

 写真に映っているのは、彼の友人である垣根帝督である。

 『幻想抹殺』の事件のとき、意識を失った人物だ。

青ピ「かみやんは――救えそうやで」

 青ピは目をつぶり、そう言った。

 その目には一筋の涙があった。



そして――病院の中。

上条「俺は――なんなんだ?」

 そのみに神をも殺す力を宿す少年は、一人呟いていた。

上条「俺は――なんで記憶を失っているんだろうか?」

 彼にはわからない。

 なんであの青い髪の少年は自分を追っていたのか、全くわからない。

 そして、インデックスの家のばらんだにひっかかる前、自分を追いかけてきた電気を出す人間。

 顔はよく見えなかったが、なんで自分はあんな奇妙な人間に追われているのだろうか?

 知識はある。

 学園都市がどんなのか、学園都市にはどんなものがあるか、林檎とは何か、みかんとは何か、うさぎとは何か、鷹とは何か、といった基本的な知識から、自分の父親は誰で、自分の母親は誰か、そういった戸籍的な記憶まではある。

 だけど、自分が今までどんな人にあったか。

 林檎はどんな味がして、どんな質感か。

 自分の母親はどんな人で、自分の父親はどんな人か。

 上条当麻とはどんな人間だったのか。

 それを彼は全く知らない。

上条「はは……気持ち悪い……」

 上条当麻は自分で自分を気持ち悪いと感じた。

 当たり前だ。

 知識だけあって経験しかないものなんて――コンピューターか辞書と同じなのだから。

上条当麻「一体何なんだろうな――俺って」

 そう彼は独り呟いた。

 そんなことに巻き込まれるから、彼は自分のことを『不幸』と行ったのだ。

 変な連中に追いかけられ、追い詰められる。

 これは地獄のような不幸だと彼はおもった――故に彼はインデックスを『突き放した』のだ。

上条「はぁ」

 上条当麻は苦悶する。


 こうして四人の想いは交差するのだった。



 13 『魔神候補』の解放

そして、上条当麻を救う日が来たのだった。

御坂「準備はいい?」

青ピ「ああええで。この病院内にはワイら以外人っ子一人おらへん」

インデックス「ありがとうなんだよ――二人とも」

 そして、インデックスは言った。

インデックス「二人とも、事前の作戦は覚えてるかな?」

 ふたりは頷く。

インデックス「じゃあ――行くんだよ」

 そういってインデックスは上条当麻の病室に入ったのだった。

上条「ん? インデックス――っ!」

 上条当麻はとっさに近くにあった果物ナイフを手に取る。

上条「何しに来た――不審者!」

 上条当麻の目線は、青ピに向いていた。

インデックス(しまった!)

 インデックスはここで自分が大きな誤算をしていることに気がついた。

 たしかに、青ピと御坂は『上条当麻を救うため』に行動していた。

 しかし、それは『上条当麻の目には』どう映っていたのだろうか?

 青ピに至っては、上条当麻を『気絶させた』原因でもある。

 無論――上条当麻が心を許すはずがない。

上条「インデックス! そいつらから離れろ!」

 上条当麻はそう言った。

 インデックスの心がズキっと傷んだ。

インデックス「とうま! 話を聞いて!」

 インデックスがそういうと、上条はきょとんとする。

 そこにインデックスは言葉をたたみかける。

インデックス「この二人は――とうまが記憶を失う前の友人なんだよ!」

上条「は?」

 上条当麻はついつい果物ナイフを落とす。


インデックスは言葉を続ける。

インデックス「とうまは『実験中の事故』で記憶を失ってるんだよ! で、そんなとうまを保護するためにこのふたりは来ているんだよ!」

上条「そ、そうだったのか……」

 インデックスはとっさに出まかせを言う。

 そして、上条当麻は単純だ。

 故に、インデックスのとっさの嘘も簡単に信じ込んでしまう。

インデックス「いまからこの二人がとうまの治療をするから、麻酔をかけるんだよ!」

上条「そうだったのか……俺のために追いかけていたのか」

 上条当麻は涙さえ流していた。

御坂(さすが……空前絶後のお人好しね)

青ピ(普通うそやと気づくやろ……)

 そんなインデックスと上条当麻のやりとりを見て、御坂と青ピは呆れるのだった。

インデックス「それじゃあ、麻酔をかけるんだよ」

 そういってインデックスは吸引型麻酔を上条当麻にかけるのだった。

上条「ああ、そこの二人――本当にありがとう」

 上条は麻酔が完全に効く前に、御坂と青ピに向かってそういった。

インデックス「成功したんだよ!」

御坂「あいつもバカだけど……あなたも嘘つくの下手ね」

青ピ「同意やで」

 御坂と青ピは上条のアホさ加減に少し呆れた。


インデックス「さあ、つべこべ言う暇ないんだよ! これから『プロメテウスの鎖』を解除するから、そうしたら『幻想抹殺』が出てくる――からそれを『ロンギヌスの呪縛』で押さえつける。ここまで確認しておくんだよ!」

 インデックスは白い修道服の袖をまくりながらそういった。

御坂「がってん承知!」

青ピ「ほな――始めんで!」

 こうして、上条当麻を救う物語は最終局面を迎える。

 眠っている上条当麻の頭に手をかざし、言葉を唱える。

インデックス「偉大なる火の神を縛りし鎖よ。私は汝の存在を許さない。」

 彼女が唱えるのは、プロメテウスの鎖を破った男の物語。

インデックス「私が克服した試練は十二」

インデックス「私は遥かなる困難を乗り越えた英雄にして堕落した神」

インデックス「願わくは我にさらなる試練を、さらなる苦難を!」

インデックス「はげたかよ散れ散れ散れ! 岩山よ砕けよ砕けよ砕けよ!」

インデックス「鎖よ朽ちて錆となれ!」

 その英雄の名は――



インデックス「ヘラクロスの前に塵と散り、霞となれ!」



 その瞬間、なにかが砕け散る音がした。


 直後――



上条「これより『幻想抹殺』神浄討魔――作動します」



機械よりも無機質な声が響く。

青ピ「インデックスちゃん!」

 青ピは打ち合わせ通り、インデックスを抱えて窓ガラスから飛び降りる。

 青ピに続いて御坂も飛び降り、上条当麻がいる病院と10メートル以上の距離を取った。

 幸、上条当麻が入院した病院は庭が広かったのだ。

インデックス「短髪に青ピ! 頑張って三分間とうまを止めて!」

 インデックスはそう叫ぶ。

御坂「わかったわ!」

青ピ「了解やで!」

 そういった――直後。


上条「幻想――抹殺」


 病院の窓から上条当麻が飛び降りる。

御坂「今よ!」

 その瞬間、御坂美琴は懐から『銃弾』を取り出す。


御坂「超電磁砲『改』!」


 それはふつうの超電磁砲ではありえない速さて空気を切り裂き、超電磁砲ではありえない射程距離だった。

 当たり前だ。

 御坂美琴が弾に使ったのは『劣化ウラン弾』。 

 硬く、溶けにくい弾は飛距離と威力を飛躍的に上げる。


 バン、と音が響く、上条当麻の着陸する予定地は粉粉になる。

上条「む」

 着地と同時に、上条当麻はよろけた。

青ピ「いまやあああああああああああっ!」

 そして、青ピが切りかかる。

 彼は無能力者だ。

 体一つで敵と戦い、死線をくぐり抜ける。

 故に――『幻想抹殺』相手には最適。



 『幻想抹殺』の広範囲能力の影響を受けることなく、まともにダメージを与える。

御坂「えええええええいっ!」

 御坂は遠くから超電磁砲『改』で援護射撃をする。

上条「幻想は罪――抹殺」

 そう言いながら上条当麻は超電磁を除け、青ピに殴り掛かる。

青ピ「ぐっ!」

 青ピの腹に重たい一撃が入る。

上条「喰らえ」

 すかさず上条当麻は肘打ちを食らわせる。

青ピ「ぐっ!」

 青ピは膝をついて倒れこむ。

上条「幻想は罪――抹殺すべき」

 上条当麻はそのまま御坂の方向へ走る。

御坂「しまった!」

 上条の動きがあまりにも早すぎて、御坂は『幻想抹殺』の範囲に入ってしまったのだ。

上条「幻想は罪――故に死すべき」

 上条当麻は瞬く間に距離を詰め、御坂に触れようとした――その時だった。




  「埋め込まれしはメドゥーサの首。『イージス』」



 凛とした声が響き、御坂と上条の間に見えない壁が出来上がる。

 その壁が一瞬上条の動きを止め、御坂はなんとか逃げ出す。

御坂「――っ!」

 そして――御坂は見たのだった。


















インデックス「とうま、私が相手するんだよ」


















 両目に魔法陣を浮かべた、白いシスターを。


 そして最悪は無機質に宣言する。















上条「幻想は罪――故に抹殺」












 イギリス最強の『魔神候補』と、学園都市最悪の『幻想抹殺』。ここに激突する。

 というわけで今日の投下は此処までです! 

 なんか上条さんがアホの子ですいません。

 というわけで、もうすぐ『第一巻』の分はクライマックスです! 

 ちなみに、気づいているでしょうが、インデックスの魔術は全部神話を元ネタにしています。

 こうしないとオリジナルの魔術が作れない(´;ω;`)

 

というわけで、友人の家から投稿します。

 14 神よ――なぜ見捨てたのですか?

上条「幻想は抹[ピーーー]べき――抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺抹殺」

 壊れたテープレコーダーのように上条当麻は呟き、インデックスと向かい合う。

インデックス「とうま――今助けるんだよ」

 インデックスは体内で膨大な量の魔翌力を練る。

インデックス「不死を目指した哀れな王! 友を失い進むは万里! 最果てで見つけた薬草を喰らいしは不死の蛇!」

 そして、彼女は不死の蛇を呼び出す。

 かつてウルの王出会った男を絶望させた蛇を――

上条「幻想――抹殺」

 しかし、『不死』に特化した消えない蛇さえも『幻想抹殺』の前では紙屑も同然だった。

インデックス「本格的にまずいかも」

 そう言いながらも、インデックスは次の手を打つ。

インデックス「わが――」

 そう言った瞬間、上条当麻が駆け出し、インデックスに向かって一直線に走っていく。

 インデックスは一瞬死を覚悟した時だった。




















青ピ「インデックスちゃん! そのまま続けるんや!」





 上条とインデックスの間に青ピが滑り込み、上条の一撃を喰らう。

青ピ「ぐっ」

 青ピの口から真っ赤な血が流れ出る。

 インデックスはその間に術式を組立てる。

距離は12メートル。『幻想抹殺』の広範囲効果は届かない。











インデックス「巨人を穿つは天地の雷。父を倒し、恋人を倒し、私は孤高の上にたつ! 『雷霆』!」









 上条当麻の上に黒雲が渦巻く。

 インデックスが放つ魔術の名は『雷霆』。

 ギリシア神話の主神、ゼウスが使っていた雷のレプリカ。

 その時――

御坂「いけえええええええええええっ!」

 御坂が咄嗟の機転を聞かせ、その雷に自分の電気を足していた。

インデックス「短髪、ナイスなんだよ!」

 黒雲は龍の唸り声のような音を響かせる。

青ピ「かみやん、目さますんや!」

 青ピが必死で上条当麻を止める。

上条当麻「幻想は罪――故に抹殺する」

 上条当麻は無機質な声でそう言い放つ。

御坂「青ピ――離れて!」
インデックス「青ピ! 離れるんだよ!」

 直後、御坂とインデックスの声が聞こえたので、青ピは上条から距離を取る。

 そして――

御坂「いっけえええええええええええええええっ!」
インデックス「行くんだよ!」

 黒雲から放たれるのは二人の合わせ技――

 その技の名をインデックスはとっさに叫んだのだった。

インデックス「『電磁雷霆』!」

 放たれる雷は常識ではありえない威力の雷。

 神をも殺す威力の雷をさらに強化した超絶なる代物。



 しかし――










上条「幻想は大罪也」












 神をも殺す一撃は、幻想を殺す男に消されたのだった。

インデックス「無茶苦茶すぎるんだよ!」

 インデックスはすぐに次の一手を考え――思い出す。



インデックス(そういえば――、ステイルのイノケンティウスは魔術の核と発動する場所とは別のところにあるんだよ)

インデックス(だったら――もしかしたらそれならとうまを助けられるかも)

 思いついた瞬間――インデックスは自らの頭の中にある10万3千冊の本を思い出し、整理し、適切な魔術を探す。

上条「幻想――抹殺!」


 上条当麻が迫る。


青ピ「進ませへんで」


 血だらけの青ピが食い下がる。

青ピ「かみやん、帰ろうや――」

 青ピは警棒で上条の攻撃を防ぎながら言う。

青ピ「御坂ちゃんも、吹寄も、小萌先生も、かっきーも、つっちーも、インデックスちゃんも――みんなかみやんの帰りを待ってるんや!」

 その声に上条当麻は反応しない。

上条「幻想――排除」

 再び上条は青ピに殴り掛かる。

 殴られても、青ピは言葉を止めない。

青ピ「みんなかみやんのことが好きやから、だからみんなこうやってかみやんのことをまっとるんや!」

 それでも上条当麻は止まらない。徐々に、確実にインデックスの方に迫る。

 だがそれを青ピはおし止める。

 殴られても殴られても殴られても、青ピは食い下がることをやめない。

 血が青ピの口から垂れる。内臓は上条に殴られボロボロだ。

 『幻想殺し』から『幻想抹殺』へとなった上条当麻の身体能力は聖人さえも凌駕する。

 そんな攻撃を、青ピは上条を止めるために魔術を練っているインデックスを守る目的で何度も喰らう。

 彼は硬く決めていた。












 何があっても、上条当麻を救うことを諦めない、と。
















上条「幻想を抹殺する上での障害物を排除することをこれより優先する」

 上条当麻は今まで、青ピを殺すつもりで攻撃していなかった。

 しかし――あまりにも青ピの食い下がりが激しいので、上条当麻は最優先排除目的をインデックスから青ピに変える。

御坂「青ピ! 逃げて!」

 御坂がとっさにそう叫び、劣化ウラン弾を構える。

 しかし、青ピは逃げない。

 ボロボロになりながら、真っ向から『幻想抹殺』に向かおうとしている。

青ピ「御坂ちゃん」

 上条と向かい合う青ピは、ボロボロになりながら言う。






青ピ「ボクはもうかみやんを助けることをあきらめへん」





 青ピは死んでもこれ以上上条をインデックスに近づけない、そんな覚悟を以て青ピは最悪と戦う。

 たとえ身が塵と散っても諦めない。

 鉄より固い覚悟を以て、青ピは上条当麻と戦う。





上条「抹殺――」



 上条当麻が青ピを手にかけようとした――瞬間だった。



「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!」


 青ピと上条当麻の間に、蛸の怪物が現れた。

青ピ「は?」

 そして、歌が響く。


インデックス「gんるえふぃhgぶいvfんヴrgybふふぃjづいあんふぃじぇfれvbgほsrついどjrんcfみおあわvんsrhちゅえrhgvらえんfひあうぇf日梅srカフェんhrty35786つあwm目rcぬvyげhxkcjzrっふISEMNBvrhニュゲイアンxじゅわycmtvぬいおうえいLhsんdhfんkdgb背にrldヴィm」


 澄んだ鈴のような音で、『人間』には理解できない『言葉らしきもの』をインデックスは歌っていた。

 その目は緑色から青色に変わり、インデックスの周りは湿っていた。

上条「幻想は罪――抹殺」

 上条当麻は目の前に現れた『化物』を殴る。

 普通はそれで『化物』は消えるはずだった。

 しかし、化物は消えない。


インデックス「無駄かも」


 ぞっとするような声で、青い目になっているインデックスはいう。

インデックス「その怪物の名はクトゥルフ」

 彼女は圧倒的な狂気を目に宿し、歌うように宣言する。






















インデックス「さすがの『幻想抹殺』でも、『深海5千メートルに沈んでいる邪神の残骸を核にした魔術を抹殺すること』は不可能なんだよ」
















 そう宣言すると同時に、インデックスの口の端からたらりと血が流れ出る。

インデックス(さすがに、持って五分かも)

 インデックスは心の中で苦笑する。

 彼女が呼び出したのは『邪神』クトゥルフ。

 ルルイエの神殿に沈んでいる『ソレ』をインデックスは『ヨハネのペン』を維持していた魔術を全て使って呼び出した。

 インデックスの得意な魔術は万物を受け入れ、全てを優しく包みこむ『水』である。

 彼女は数多の『魔術の核が地上から遠く離れた』魔術の中から、自らの本質である『水』を象徴する神を呼び出した。

 インデックスは上条当麻がクトゥルフに苦戦しているのを確認し、シスター服のポケットから『あるもの』を取り出す。




インデックス「これで、すべて終わらせるんだよ」




 インデックスが取り出したものは『ボロボロで今でも朽ち果てそうな槍の穂先』である。

 彼女がこれから行おうとする魔術は『唯一幻想抹殺の効果を受けない』であろう、『魔力を使わない』封印術である。

 『ロンギヌスの槍』

 一説によると、キリストが処刑されたときにキリストを殺し、その聖なる力を分け与えられた『聖なる槍』である。

 しかし、インデックスはこの神話を『逆手』にとって、新しい術式を組み立てたのだ。

 即ち、『キリスト』は『ロンギヌスの槍』に貫かれたから『死んだ』という事実を利用し、『キリスト』は『本来死ななかったはずだったのに』『ロンギヌスの槍』に貫かれたから『神の子』としての力を『封印』さて、その結果『死んだ』、という、敬虔なキリスト教とが聞いたら卒倒しそうな『理解』をして、本来万物を癒す『聖なる槍のレプリカ』を神をも封じ込める『魔槍のレプリカ』と変化させたのだ。

 これこそが インデックスが用意した切り札。

 10万3千冊の魔道書が導き出した最悪の禁じ手にして最高の王道。

インデックス「行くんだよ!」


 そうして、インデックスは駆け出す。

 彼女が呼び出した邪神は、彼女の指示通りに上条当麻の両手両足を縛っている。

 そして彼女はその『槍の穂先』を構えながら、上条当麻のところに走る。




インデックス「神よ」







 彼女は走りながら呟く。









インデックス「あなたが救われぬ子羊を見捨てるって言うんなら」









 その目に宿るのは『目の前の少年』を救うという決意。

 そして、彼女は高らかに叫ぶ。















インデックス「私が代わりに救うんだよ!」











 そうして、インデックスは『ロンギヌスの槍』のレプリカを突き出す。

 それと同時に――










上条「幻想――抹殺」









 クトゥルフの触手が解かれてしまい、上条当麻の右腕が自由になった。



今日はここまでです。皆さん長らくお待たせして吸いませんでした。インターネットが壊れ、その間別のSSを携帯から書いていました。
待たせてしまったこと、心から謝罪します。

それでは、続きはまた近日!

続きです



 15 その笑顔のために

 ここはどこ?

 私は誰?

 そんなことをその少女は思った。

 ガチャ

 そんな音がして、蛙みたいな顔をした医者が現れる。




カエル顔の医者「やあ、気がついたようだね、インデックスくん」


 そして、少女は言葉を発する。

インデックス「誰?」

 そう――インデックスは記憶を失っていたのだった。

カエル顔の医者「ふぅん、やっぱり彼女は『エピソード記憶』を破壊されたようだね」

 カエル顔の医者がそういうと、ドアの陰から五人の人物が出てきた。

 ローラ、ステイル、神裂、御坂、青ピの五人であった。

インデックス「だれ……かな?」

 インデックスは怯える。



御坂「インデックス……」

 御坂が呆然とする。

神裂「インデックス……私のことも覚えていないのですか?」

 神裂の問いに、インデックスは答える。

インデックス「覚えていないんだよ」

神裂「そんな……」

ローラ「私のことは覚えてけるか?」

インデックス「覚えていないんだよ」

ローラ「そうなりか」

ステイル「僕は?」

インデックス「誰?」

ステイル「」Σ(゚Д゚|||)

 ステイルは落ち込んだ。

 そして、青ピは壁を殴る。

青ピ「くそっ! なんでかみやんが救われたのに――インデックスちゃんは救われへんかったんや」

 そして、インデックスは青ピの『かみやん』という発言に反応した。



















インデックス「とうま?」










青ピ「インデックスちゃん?」

御坂「インデックス?」

 青ピとみさかがその言葉に反応する。

 そして、インデックスは凛とした口調で聞いた。





インデックス「私は何者か、そして何があったのか、私に教えて欲しいんだよ」




 こうして、ローラ、ステイル、神裂、御坂、青ピはインデックスに彼女が『禁書目録』であり、そして、とある少年を救ったときに記憶を失った、ということを教えた。(『幻想抹殺』の存在は、ステイルと神裂とローラを御坂と青ピが部屋から追い出して説明した)

 そして、全ての説明が終わったとき、インデックスは五人に言ったのだった。




インデックス「とうまには、私の記憶喪失のこと隠しておいて欲しいんだよ」




 その言葉を聞いて、ローラは言う。

ローラ「インデックス、それは辛き道なるよ?」

 インデクスは、迷うことなく言った。

インデックス「わかってるんだよ。でも――覚悟は決めたんだよ」

 それを聞いて、五人はインデックスの申し出を受け入れた。

御坂「体に気をつけて」

青ピ「ほんじゃ、また」

神裂「それでは、また」

ステイル「また今度だな」

ローラ「安静にするなるよ」

 そう言いながら五人は退出していった。

インデックス「記憶――喪失」

 静かな部屋で、インデックスは自分の身に起こったことを理解した。

 完全記憶能力の自分でも思い出せないのだから、たぶん今までの自分は二度と再び思い出せないのだろう。

 10万3千冊の魔術書が頭のなかにあるのに、今までのじぶんは 思い出せなかった。

 不思議な感情だった。

 インデックスはそれでも、後悔はなぜかできなかった。

 そして、上条当麻という人物にこのことを隠さなきゃ、そう咄嗟に思ったのであった。







  「よっ」




 いきなり、ノックもなしに一人の少年が入ってきた。

 特長的なうに頭だから、たぶん彼が上条当麻なのだろう。

インデックス「とうま」

 インデックスは消え入りそうな声でそう言った。

上条「インデックス――ありがとう」

 上条当麻は照れくさそうにそういった。

上条「お前のおかげで助かった。本当に感謝している」

インデックス「ううん。わたしは ほんの少ししかしていないんだよ」

 インデックスはそういうのだった。

 だって――彼を最後まで助けようと努力していたのは私ではなく、御坂と青ピなのだから。

 そう彼女は思っていた。

上条「違う」

 しかし、少女のそんな言葉を上条は否定した。

インデックス「とうま?」

 インデックスが上条の方に首をかしげながら聞いた。

 そして上条は言うのだった。










上条「お前や、青ピ、御坂があきらめなかったから俺は救われた。だからおれはありがとうって言ったんだ」





 インデックスはその言葉を聞いて、涙が出そうになった。

インデックス「ありがとかも、とうま」

 インデックスが そういった時、上条はインデックスの髪に何かをつけた。

上条「ほら、これ。に遭うと思って買ってきた」

 インデックスは上条がつけたモノを取り外す。

 それは――







インデックス「青い髪飾り?」







真っ青なヘアピンだった。

上条「ああ、インデックスに似合うと思って買ってきた」

 上条はにっこりとそういった。

インデックス「とうま、ありがとう」

 インデックスは笑顔でそういった。

上条「お、気に入ってくれたか。それじゃ、俺はそろそろ帰るよ」

インデックス「うん、じゃあね」

 インデックスはそういって、上条当麻の後ろ姿を見送った。

 たぶん――もう二度と見ることないであろう背中だ。




カエル顔の医者「まったく、君はおひとよしだね」




 上条当麻が去った後、カエル顔の医者が来た。

インデックス「うん。わかってるんだよ」

 首をすくめるカエル顔の医者に向かって、インデックスは言うのだった。




インデックス「それでも私は、とうまを傷つけたくないんだよ」




カエル顔の医者「ま、応援だけはしておくよ」

 そういってカエル顔の医者は出ていくのだった。



 こうして――幻想抹殺に関する一連の騒動は終わったのであった




次でラストです。

また近日貼り付けます。



 16 相互交換留学生

カエル顔の医者「それじゃあ、元気でね」

 カエル顔の医者が退院する患者を送る。

インデックス「お世話になったんだよ」

 そして、入院していた患者は己の居るべき場所に帰って行く。

カエル顔の医者「じゃあね」

 そういってカエル顔の医者は病院へ戻っていく。




インデックスは、ロンドン中央の病院から自らが住んでいる特別寮にとぼとぼと戻っていく。

インデックス「もう――とうまとは会えないよね」

 御坂達から聞いた『上条当麻』という人間。

 彼女が救えた人間――

 インデックスは彼から貰った青い髪飾りを触る。

インデックス「はぁ」

 とぼとぼ歩くインデックスの背中は、どこなくさびしそうだった。

 テムズ川のほとりにある『特別女子寮』。

 そこの一室には彼女のみが住んでいる、ということも彼女は知識として知っていた。

 だから、これからもずっと一人で暮らしていくのだろう。そんなことを思いながらインデックスは自分の部屋の中に入る。





















上条「おっ! やっと退院したのか、インデックス」
















インデックス「」

 なんかエプロンを着た上条当麻がいた。

インデックス「えっと……とうま?」

上条「どうした?」

インデックス「なんでここにいるのかな?」

 インデックスはなんだかよくわからない感情に支配され、顔を真っ赤にする。

上条「どうした、インデックス? 熱でもあるのか?」

 そして、上条当麻は自分のおでこをインデックスのおでこに合わせて来た。

インデックス「~~~~~~~~~っ!」

 そして――インデックスの中でなにかが壊れた。









    ガブッ







上条「ぎ……ぎゃあああああああああああああああああああああああっ!」

 こうして、テムズ川周辺に、上条当麻の哀れな叫び声が聞こえるのだった。



上条「で、何で噛みついたかはこの際聞かない」

 上条当麻は若干噛み付かれた跡がハゲている頭を摩り摩り、インデックスに一枚の紙を見せた。

上条「どうやら、おれたちはこんなのに任命されたらしいぞ」

インデックス「ちょっと見させてもらうんだよ」

 その紙にはこう書いてあった。

『  相互交換留学生のご案内

 これより、イギリス清教と学園都市は、お互いの理解をより深めるために『相互交換留学生』制度を発足させました。

 今回、その栄えある第一回相互交換留学生に『上条当麻』と『インデックス』を任命しました。

 『上条当麻』と『インデックス』は、スケジュールに則って、『イギリス』と『学園都市』を往復し、『学園都市』と『イギリス清教』の良い点を互いに学ぶように。

 なお、『上条当麻』はイギリス在住時は『イギリス清教特別学校』に。

 『インデックス』は『第七学区とある高校』の『月詠小萌』クラスに在籍すること』



インデックス「えっと……」

 インデックスはその書面を読んでぽかんとする。

 そんなインデックスに上条当麻は言うのだった。




上条「ま、これからよろしくな」



インデックス「えっと……、よろしくなんだよ、とうま」




 こうして、魔術と科学は交差したのだった。






 エピローグ 電話会談

ローラ「ふん、思い通りなりけるか」

 ローラは電話の向こう側に向かってそういう。

 すると、電話の向こう側の人物は言う。

??「まあ、計画通りだ」

 その一言を聞いて、ローラは呟いた。

ローラ「気にいらなきけるかな」

 こうして、また次の物語は始まるのである。

               続く



 後書き

 というわけで、『インデックス「ベランダにウニが引っかかってるんだよ!」』を読んでくださって有難う御座います。

 一応、なんとか三巻までの内容はプロットが出来上がっているので、ゆったりのんびりと続きを書いていきたいと思います。

 というわけで次回『インデックス「ハンバーガー屋に巫女さんコスプレがいるんだよ!」』は二巻再構成です。これからもよろしくお願いします!

 次スレたてるまでHTML化依頼はしないので、意見など書き込んでくださったら非常に嬉しいです。


インデックス「239の要望により、ここに続きを貼るんだよ!」

インデックス「これからも宜しくかも」

 それでは――インデックス「ハンバーガー屋に巫女のコスプレが居るんだよ!」――開始します。

 プロローグ

 魔法使いになりたかった。

 誰もを救うことができる魔法使いになりたかった。

 此の世のありとあらゆる不幸を打ち砕き、此の世のありとあらゆる悲しみを消し去るほどの魔法使いになりたかった。

 自分の周りの人を幸せにし、皆が笑えるような結末を導き出せる魔法使いになりたかった。

 なのに、なのに……





























































「あはははははははははははははははは、なんと甘美たる香りか――これが『■■■■』!」











































 目の前には最悪。私の大事な人達を、己が欲望のために蹂躙した最低。

 殺したい殺したい――いや、忘れていた。

 これは『死ぬ』ためにここに来たんだった。

「さあて、ここは地獄の釜を開ききったかのような地獄、我輩が死ぬには――最高のシチュエーションだ」

 目の前の最悪は両手を上げて歌う。

「死体の山に血の海に、舞散る灰に甘美な酒。殺して殺されやっと我輩も殺し合いの螺旋から降りられる」

「いいねいいね、この酒は」

「美酒にして毒杯で」

「至高の贄にて我が断頭台」







「いただきます」






 そして『最悪』は死んだ。










































 そして、私は死ねない――




 登場人物紹介


 インデックス
 本編の主人公。
 イギリス清教最強の魔術師にして『魔神候補』。
 神話をベースとしたオリジナル魔術を使用し、ありとあらゆる魔術を解析する『魔術師の理想』でもある。
 上条当麻を助ける一連の事件で、思い出のほとんどが消え去っている。
 スコーンが特に大好き。
 上条透馬と共に『相互留学生』というものに選出されている。
 現在青い髪飾り(上条当麻)からプレゼントされた物。


 上条当麻
 本編のヒロイン(?)
 学園都市最弱のレベル0。


 ――というのは、表向き。


 実際は学園都市のレベル5の一人、『幻想抹殺』。
 しかしながら、本人はその事実を知らない。
 学園都市最強の能力者であるが、本院の自我がないので、上条の記憶を消し去り、『幻想殺し』にグレードダウンしていた、というのもまた事実ではなかった。

 事実は、上条当麻の力を特別な魔術で封印していたもので、上条をつなぎとめるために記憶を消していただけだった。


 御坂美琴
 上条当麻の友人にして、インデックスの親友。
 上条当麻のために『レギオン』という暗部組織のリーダーとなり、上条と(表向き)敵対する。
 学園都市レベル5第三位の実力通りの、多彩な技を使いこなす。
 上条当麻を救ったインデックスに感謝していると共に、インデックスの記憶喪失を知る一人。

 青ピ
 上条当麻の友人にして、御坂美琴の友人。
 上条のために、『レギオン』に加入。
 聖人さえも圧倒する身体能力と、根性によって戦う不屈の戦士。
 インデックスに感謝していて、なおかつインデックスの記憶喪失を知っている。

 ステイル
 インデックスを一方的にライバルとみなすルーンの天才。
 神裂と仲がいい。

 神裂
 インデックスの友人。
 青ピに敗北した。
 ステイルと神裂と後述のローラもインデックスの記憶喪失を知っている。

 ローラ
 土御門のせいで原作よりもひどい口調になった人。
 とりあえず痛い。

 学園都市の頂点
 ローラと電話で話した人。
 黒い。



 用語解説

 魔神候補
 インデックスに与えられた称号にして敬称にして蔑称。

 幻想抹殺
 上条当麻の能力。異能に対しては圧倒的な制圧力を保有する。学園都市最強の能力。

 レギオン
 御坂、青ピが所属する暗部。



それでは、明日から本編を開始します。



1 夏休め

インデックス「……」グデーン

上条「」ダラーン

 学園都市のとある一室。上条当麻とインデックスは、ヒートアイランド現象を心の底から憎んでいた。

 なぜこんなことになったのか――それは前日まで遡る。







インデックス「というわけでとうま、短髪とあおぴは敵じゃないんだよ」

上条「そ、それは申し訳ないなぁ……」

 幻想抹殺の記憶を巡る一連の騒動で、御坂と青ピと上条を仲直りさせたいな、とおもったインデックスが上条当麻に事情を説明した。

上条「じゃあ、仲直りしたいし、ここで焼肉パーティーでもするか」

インデックス「名案なんだよ!」

 そして――




御坂「――」ドンガラガッシャーン



 上条の部屋に入った瞬間に、御坂がてれて漏電。そして上条家の家電は全滅した。




インデックス「短髪あとでしめるんだよ」グデーン

上条「異論はないな……あちー」ダラーン


 上条当麻とインデックスの中で、なにか色々燃えてはいけないものが燃えていた。

ちなみに、上条たちがだれている部屋のベッドには――

御坂「~~~」

青ピ「」キュー

 電気を発し過ぎて疲れはてた御坂と、とばっちりで大ダメージを受けた青ピがまぐろのようにベッドの上にいた。

 丸一日伸びている時点でいろいろとヤバイのだが、上条当麻とインデックスは暑さのせいでそんなこと頭に入らなかった。

インデックス「クトゥルフでも召喚して、粘液のひんやり具合でも楽しみたいんだよ」

上条(なぜだろう、その単語を聴くと怖気が……)

 上条当麻は知らない。自分がそのクトゥルフにからみ疲れ、触手プレイされたことを――。

インデックス「とうまとうまとうまとうまーっ」ガブッ

 インデックスはやどんの頭に噛みつくシェルダーの如く、上条当麻の頭に噛みついた。



上条「いてぇ……」

インデックス「ふっがふがふがふがふっが!」

上条「ちゃんと話せ……」

 インデックスは上条の頭から離れる。

インデックス「どっかいきたいんだよ……」

上条「家電買い替えで金ねぇ……」

インデックス「イギリス清教からたかるんだよ」

上条「こら、やめなさい」

インデックス「うう~、かき氷が食べたいんだよ」

上条「冷凍庫全滅」

インデックス「スイカ割り~」

上条「ビリビリがスイカを炭にしたなぁ」

インデックス「短髪~」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 インデックスの体から瘴気が湧き出る。

 楽しみにしていた鳥取産のスイカを隅にされたことで、インデックスの怒りは頂点に達した。














インデックス「」ガブッ
















御坂「いったあああああああああああああああああああああああいっ!」


 インデックスは何の躊躇もなく、御坂の腕に噛みついた。

 御坂は驚いて飛び起き、そのままこけて頭を打った。

 そして、青ピは御坂にとばっちりですふまれ、また気絶し直した。

インデックス「うう~今なら世界を滅ぼせそうなんだよ……」

 インデックスはさらりと物騒なことを言う。

 それこそ、彼女の持つ魔翌力を100%開放したら、世界は滅びるだろう。

 だからこれは地味に洒落にならないのである。

 だが、上条はそこまで深く知らないので、インデックスをなだめるために頭を撫でながら言う。

上条「じゃあ、今から一休みしてからハンバーガー屋行くか?」

インデックス「うん、行くんだよ!」

 インデックスはニコニコ顔で上条に抱きついた。

上条(ちょっ……)

 上条はめちゃくちゃ慌てていた。

 こうして、夏休みの一こまは過ぎていく。


というわけで、今回は此処までです。また来週あたりに

インデックス「とうま、ハンバーガー屋からいいにおいがするんだよ!」

上条と馬とインデックスは学園としにあるハンバーガー屋に行く。

上条「インデックス、とりあえず節制もってハンバーガー食べろよ」

インデックス「大丈夫だよ、とうま。とりあえず10個以内におさえるんだよ!」

上条「」

上条と馬の呆然とした顔を尻目に、インデックスはハンバーガーを買いに行く。





インデックス「とうまとうま、先に席取ったほうがいいかな?」




上条「だな、インデックスさきに買っておきなよ」

インデックス「とうまと一緒が良いかも」

上条「お、おう」

少しばかり上条は顔を赤くしてインデックスと一緒にハンバーガー屋の二回に行く。

インデックス「」

上条「」

二階で上条とインデックスは『変なもの』を見る。




巫女さん「」ハンバーガーノヤマ


ハンバーガーの山を前にうなだれている巫女さんが居た。





インデックス「ふ、不審者かな?」

上条「わ、わからん……」


上条とインデックスは戸惑う。

巫女さん「へるぷ。みー」


上条&インデックス「・・・・・・」


なんか巫女さんは助けを求めていた。


上条「えっと……お前は誰に対して助けを求めてるんだ?」




巫女さん「えっと。君たち」

上条「で、何で助けを求めてる?」


上条の問いに巫女さんは答える
















巫女さん「安売りハンバーガー。頼みすぎた」








上条「頼みすぎだおばかさん」



上条は巫女さんの頭をコテンと叩く




瞬間





インデックス「ねえねえ、このハンバーガーたべていいのかな?」


インデックスの問いに巫女さんは静かに頷く。



インデックス「」パァァァァァ



インデックスの顔は、上条と馬がいまだかつて見たことがないレベルで輝いていた。


二分後


上条「」


巫女さん「」



上条当麻と巫女さんは恐ろしいものをみた






インデックス「」がっふぉがっふぉも具もgがばがぼモグモグ




ハンバーガー五個照り焼きバーガー四個チーズバーガー二個モス野菜バーガー五個ベーコンバーガー二個をインデックスはバキュームカーのようにくらい尽くす。

それは乾いた砂漠が水を吸収するかのごとく、もしくは、若い芽がすくすくと伸びるかのごとく、インデックスはハンバーガーをむさぼり食らう。


周囲の客の目は、上条たちのテーブルに釘図家になっていた。

ハンバーガー延べ十八個のほかに、ポテトを上条に交わせてLサイズを十個、さらにぜんざいも三つくらい尽くすそのさまは、まさにベヘモスのごとく。




上条(インデックスの食欲を……舐めていた……)

上条は堅く誓う。











インデックスは絶対バイキング以外には連れて行かない、と

インデックス「ふぅ、とりあえず腹八分目が最適だから此処でやめておくんだよ」


上条「インデックス、お前まだ足りないのか?」

インデックス「あとハンバーガー二個はほしかったかも。あとポテトも」


巫女さん「健啖。すごい……」

上条(やっぱりインデックスはバイキング以外には連れて行かないでおこう。うん)


上条が堅く再び決意したときだった、インデックスは問いかける。












インデックス「ところで巫女さん。あなたは何者かな?」






巫女さん「へ。どういうこと」


上条「インデックス。お前は何を言っているんだ?」

インデックス「能力者、じゃないかも。うーん、むしろ……とうまにちかい? ねぇ、巫女さん……あなたは何者かな?」




インデックスの瞳は鋭く、じろりと巫女を射抜く。


巫女さん「それは。わ「ここにいたか、姫神」


巫女さんが口を開いた瞬間、黒い服を着た男がカツカツと歩いてきた。



巫女さん「あ。保護者。ばいばい」


結局、インデックスの問いに答えぬまま巫女さんは去っていった。


上条当麻は、インデックスの横で呆けていたのだった。








かくて科学と魔術は二度目の交差を迎える。




2  レギオンの電撃姫





学園都市窓のないビル。


そこで怪しげな男はにやりと笑う。




??「さて、敵は一人の錬金術師。動かすこまは……二つにしよう。魔人と電撃姫……面白そうだ」


??「ふん、おもしろそうだな。まぁいい、俺様の『右手』がさびないうちに――動けよ?」


??「ああ」



闇の中で蠢く嗤う、そしてたくらむ。

上条家……家主である上条当麻とインデックスは今以内。御坂と青ピの二人が横たわっている。


御坂「暑い、暑いわ」

青ピ「同感や出、御坂ちゃん」


二人がゆったりと横たわっていると、とんとんと足音が響く。



黒服「統括理事長から呼ばれて居ます、御坂殿」


御坂「なに、それは『レギオン』としての仕事なの?」


黒服「御衣、今回は青ピ殿抜きで三坂殿のみの単独行動です」

御坂「あ、そう。青ピ、私が抜けた理由の言い訳、アイツらにいうの考えといてね」

青ピ「了解やでー」


ミサカの目つきが変わる。青ピの体も緊張感に満ちる。



窓のないビル


御坂「ふぅ、あの案内人……黒子の上位互換じゃないの」

御坂は愚痴を言いながら統括理事長の前に進み出る。




統括理事長「やぁ、御坂美琴――第三位よ」




統括理事長――その人物は『罪人』にも、『聖人』にも、『老人』にも、『子供』にも、『狂人』にも、『賢人』にも見える。

命をすべて『科学技術』に預けていた。

弱アルカリを示す色をした培養液にたゆたう男――

御坂は『恐怖』する。





命を科学技術に預ける狂気に――ではない。











『底』がないことに、である



















かの『幻想抹殺』と同等の『底』の無さ







暗い暗い闇の底


狂ってる――ではない。


はじめから人の領域から外れているかのごとく、おぞましい。




統括理事長「さて、君にこれからひとつの『依頼』を行う」


御坂「それは、何?」


御坂は身構える。そして、統括理事長は信じられないことを口走った。



















統括理事長「錬金術を使う男を『倒し』て、吸血鬼を呼び寄せる餌を『保護』せよ」












それは幻想のような依頼。


ふわふわと事実と虚実を揺らめく蜃気楼――



御坂は戸惑い――呆ける



統括理事長「呆けるか、暗部の電撃姫――君は、『インデックス』を知っているだろう?」


統括理事長の言葉で御坂は正気に戻る。

インデックス、彼女の大事な人を救った少女。


そうだ――思い出した


彼女の力とは何かを――
















 
         魔術














錬金術も、魔術と同じくくりの力なのか?


御坂尊はレベル5の頭脳で考え抜く。

統括理事長「そうだ」


御坂の心を読んだかのごとく、言葉を紡ぎ出す。

統括理事長「学園としに忍び込んだ錬金術師の名前はアウレオルス=イザード。チューリッヒ学派の錬金術師だ」

御坂「ふぅん、で、何でその『錬金術師』の討伐以来を私にするわけ? アイテムやその他暗部組織に頼れば良いんじゃないの?」

御坂美琴は統括理事長に問いかける。修羅場を潜り抜けている彼女は非常に横柄なずうずうしさを得ている。

統括理事長相手に一歩たりとも退かない。





統括理事長「ふむ、確かに私は君にこの討伐者が君たる由縁を話さなくてはいけないな」




培養液に浮かぶ統括理事長は語る。

彼女でなくてはいけない――由縁を



















学園都市理事長「錬金術師の目的が――上条当麻の保護だからだ」







>>2でスペルインターセプト使ってるけど、MHTYっていうのは適当に作ったのかな?
確かアレの法則は英語の頭文字を並べることだから、俺も英語力乏しいからGoogle先生に翻訳してもらったんだけど、「炎は消え去る」だとThe flames fade awayでTFFAだと思うんだ。禁書に限らず魔術は難しいし、適当に作ったならそれでいいけど、ちょっと気になった。
長文スマソ

>>294

しまった……スッカラカンにわすれてましたorz

統括理事長「アウレオルス=イザード、君は彼と面識がある」

御坂「へ……もしかして……」


統括理事長の続けざまな言葉、御坂はそれで思い当たる。







統括理事長「彼は一年前、君や青ピ、そしてインデックスと同じように上条当麻の『友』として上条当麻を救おうとし、君や青ピのように失敗して、君たち二人の手によって上条当麻と引き離された--『君たちの成れの果て』の可能性だった錬金術師だ」





御坂「あの青年が……一年越しに……」



御坂は目を閉じる。



思い出す……一年前の地獄を

ローマ





アウレオルス「憮然! 貴様等に何の権限があって私と上条当麻を引き離すか!」


怒りに眼を剥き、万力の力で抗う青年。



御坂「超電磁結界」



御坂の電撃が青年を包む。


アウレオルス「貴様等……許さん! 俄然許さんぞ!」



悲しく哀れな末路の叫び。


青ピ「哀れやね」



青ピは哀しげに言う。



それは彼の投影だったのだろう……




御坂「過去の亡霊が降りかかった……か」


統括理事長「如何にも、イギリスからインデックスを使う『権利』を借りた、故に、アウレオルス=イザード討伐は君とインデックスに任せよう」



御坂「はい……」


御坂の気が重くなる。




彼女が払った過去の残骸と向き合う苦痛。



御坂は泣きかけていた。


ロンドン



ローラ「……アウレオルス=イザードなりけるか」



ローラは頭を抱える。


学園都市統括理事長からアウレオルス=イザード捕獲に際して出された命令は二つ


一 インデックスを関与させる

二 イギリス清教徒の応援を出さない


その二つは、インデックスの命を盾に飲まされた。


ローラは頭を抱える。


学園都市統括理事長はイギリスと、イギリス清教の弱み、即ち……を握っていた。


ローラは忌々しいイギリス清教の恥部を忘れながら、空を見る。


呪われた我が身を憎む。


アウレオルス=イザードという『最悪』にインデックスをぶつける。

ローラにはそれが耐えられなかった。





学園都市の一角



御坂美琴は上を見ながら拳を握る。





アウレオルス=イザード







上条当麻を救おうとした男にして、御坂美琴自身の手によって上条当麻から引き離された男。


きっとアウレオルス=イザードは御坂美琴を憎んでいる。


もし歴史が別の方向に動いたなら、おそらくアウレオルス=イザードと御坂美琴は分かり合えた。


何故……争わなくてはいけない!


御坂美琴は心中で叫ぶ。


分かり合えた筈の人間、御坂美琴の裏のような人間、否、御坂美琴とアウレオルス=イザードは同類だ。


御坂美琴とアウレオルス=イザードは共に等しくインデックスの裏だ。





だからこそ歯痒い。




御坂美琴と青ピとアウレオルス=イザードはニアリーイコールだ。




ああ……何て悲しい喜劇だ。





御坂美琴は涙を流す。



3 スフィンクス


上条当麻とインデックスは巫女さんと別れたのち、ぶらぶらと歩いていた。


上条当麻「インデックス、お前よく食べるのな」

インデックス「うん、食べることは良いことなんだよ」

インデックスは上機嫌だった。

インデックスと上条当麻が歩いているのは学園都市の大道路。

当然交通量も多い。





だから『それ』はあった。






気がついたのは上条当麻。









上条当麻「あ、猫の死体か」








何気なく道路の隅を見た上条当麻が見つけたのは三毛猫の死体。


恐らく車にひき殺されたのだろう。


上条当麻は手を合わせ、目を瞑った。


死んだ猫に対する祈り……




だが、上条当麻の隣にいたインデックスはとんでもない事を口走った。















インデックス「まだいきがあるんだよ」











上条「はい?」



かつかつとインデックスは猫の死体、否、まだ確かに僅かな息が残ったが故に弱りきった猫、に歩み寄る。



上条当麻「インデックス?」


上条当麻が戸惑っているのを気にせず、インデックスは血まみれの猫を抱く。


純白の服は血に濡れる。


インデックスは慈しむように抱いて包み込んだまま、歌う。













インデックス「汝に祝福を」


インデックス「汝に魔術の生を」


インデックス「聖人は蘇る」


インデックス「汝が四肢には釘の傷」


インデックス「願わくば『』を護りたまえ」





インデックスの言葉と共に猫の体は輝く。



インデックス「鍋島を祟りし又尾の猫」


インデックス「あなたにはかの神格を与えましょう」


インデックス「蘇ることを以て……」





そしてインデックスは眩い光に包まれる。








猫「ニャア」


上条当麻「蘇った!?」

インデックス「ちょっと魔術で蘇ったんだよ」



上条当麻「」



命を左右する領域に学園都市は達していない。

上条当麻は『その領域』に至った魔術に驚く。




インデックスは治った猫を抱き抱えていた。

インデックス「とうま、この猫を飼うんだよ」


上条当麻「猫かー、まぁいいか」


上条は今月学園都市とイギリス清教から振り込まれたお金を勘定する。


上条当麻とインデックスは相互交換留学生故にそれなりの金は振り込まれる。


猫一匹くらいなら余裕で飼える。


上条当麻「いいぜ、だけど世話はちゃんとするんだぞ」


インデックス「わかったんだよ」




インデックスは花のような笑顔を見せた。




こうして上条家に新しい面子が増えたのであった。



行間








俄然、納得できない。



憮然、許さない。


必然、私から『彼』を奪った『世界』を私は許さない。




憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い




彼を救おうとする私が報われず、私から彼を奪う狂気がまかり通った。




断然、それは許されない






憎い


憎い



憎い










上条当麻






君を私から奪った世界が憎い




















だから私は








君を取り戻す









4 魔神候補と電撃姫





上条当麻は風呂場で寝ている。



インデックスにはそれが不満だった。



家族なんだから遠慮しなくて良いのに……


それが彼女の思い。


眠れないからインデックスはベランダに出る。



スフィンクス「ニャア」


飼い猫のスフィンクスがニャアと鳴く。


インデックス「スフィンクス……胸が痛いんだよ」


インデックスはスフィンクスをギュッと抱きしめる。








彼女は知らない



その胸の痛みを






「まったく、夜中になに猫を抱きしめてるの?」




いきなり響く声。



インデックス「!!?」


インデックスがあたりを見回すと……彼女は『居た』。



インデックス「流石に壁に貼り付くのはマナー違反なんだよ……短髪」


御坂「あはは、仕方がないじゃん。まさか電撃で鍵を壊して入るわけにもいかないからさ」


インデックス「というか、どうやって壁に貼り付いているのかな?」

御坂美琴「そりゃあ、簡単よ。このマンション鉄骨でしょう? 手から電気だして自分を磁石にした」


インデックス「ヤモリみたいなんだよ……」

御坂美琴「あはは、黒子からもそう言われた」


インデックス「で、なんの用かな?」


御坂美琴「結構大事な話。ちょっと今から夕御飯でも行かない?私が奢るからさ」


インデックス「いいんだよ」




御坂美琴は知らない。



これが彼女を絶望に落とすとは。




ファミレスゲズト




御坂美琴「」ゲンナリ

御坂美琴は信じられない物をみる目つきで目の前の少女、インデックスを見る。









インデックス「店員さん、ハンバーグとオムライスとすき焼きを追加頼みたいんだよ」





インデックス現在20品完食!

御坂美琴「いったいどれだけ食べれば気が済むの?」


御坂美琴は呆れながら問う。

インデックス「とりあえず満足するまでなんだよ」

御坂美琴「青ピより食べるなんて……」


御坂美琴は呆れながらもインデックスが食べ終わるのを待つ。

御坂美琴「やっとたべ終わった……」


結局インデックスは12863円分を食い尽くし、やっと本題に入れるようになった。


インデックス「で、短髪。本題って何かな?」


インデックスの問いに御坂美琴は答える。









御坂美琴「アウレオルス=イザードって知ってる?」






しばらくの沈黙。






インデックス「どうして短髪がアウレオルス=イザードを知っているのかな?」





インデックスの顔付きが変わる。


御坂美琴はたじろぐ。


インデックス「どうして短髪が錬金術チューリッヒ学派の鬼才にして理想であるアウレオルス=イザードを知っているのか疑問かも」


インデックスの真剣な問いに御坂は凛と答える。












御坂美琴「アウレオルス=イザードはかつて上条当麻を救おうとして、救えなかった」








インデックス「え」



御坂美琴「あなたと出会う前、上条当麻は半年ごとに記憶を消されていた。それは知っているわよね?」


インデックス「知っているんだよ」


御坂美琴「なら……『上条当麻を救おうとした』人物が他に居てもおかしく無いでしょう?」


インデックス「それが……」


御坂美琴「アウレオルス=イザードよ」



インデックス「あのチューリッヒ学派の鬼才がとうまを救おうとした……複雑な気持ちなんだよ……」


インデックスの顔を見て、御坂美琴は首を傾げる。


御坂美琴「そんなにアウレオルス=イザードって有名なんだ」


インデックス「うん。『思い出』を失った私が『記録』として『記憶』するくらいには優秀なんだよ」




御坂美琴は唾を飲んだ。


インデックスは語る


インデックス「アウレオルス=イザードはパラケルスス、即ち世界で最も有名な錬金術師の末裔なんだよ。わたしが使っている魔術、『サラマンダー』『シルフ』『ウンディーネ』『ノーム』もまたパラケルススの錬金術を礎にして作られてるかも。パラケルススは医者にして錬金術師、稀代の天才にして魔術の歴史の転換点なんだよ。錬金術を効率的に、ヘルメスの時代からの悲願であるホムンクルスの作成、その二つを達成し、更に一説には賢者の石さえも作りあげたんだよ」




御坂美琴「賢者の石? ホムンクルス? えっと、わからない」


インデックスは溜め息混じりに言う。


インデックス「短髪も少しは魔術を学と良いかも」


そう言いながらインデックスは紙ナプキンにサラサラと図を書く。









インデックス「賢者の石はその名の通り、『賢者』が作りあげた石なんだよ。ある人曰わく『卑金属を貴金属に還る石』、またある人曰わく『命を与える石』、そして別の人曰わく『この世を支配すること能う石』と言われているかも」



御坂美琴「超能力とスケールが違う……」


インデックス「超能力は1パラメータに極振りしたようなやつだから仕方がないかも。わたしだって頑張れば短髪の超電磁砲は再現出来るけど短髪のように連射速射は出来ないんだよ」


御坂美琴はがっくり肩を落とす。



御坂美琴「再現出来るの……超電磁砲……」



自分の努力が否定された気がして御坂美琴は落ち込んだ。


インデックス「まぁ、短髪がアウレオルス=イザードと戦うなら、そんな錬金術を使うことを留意しなきゃいけないんだよ」


御坂美琴は漸くここで本題を切り出す。









御坂美琴「学園都市及びイギリス清教の許可を得たから、私……いや、『レギオン』とアウレオルス=イザードの捕縛をしてもらいたいのよ」







インデックスは暫く黙っていた。

しかしインデックスは答える。




インデックス「わかったんだよ」



御坂美琴「ありがとう、インデックス」


御坂美琴は断られた場合も考えていたが、胸をなで下ろした。




インデックス「短髪はとうまを助けたんだよ。短髪、青ピ、ステイル、神裂、最大主教の話を統合したら、とうまを助けるのはわたし一人じゃ出来なかった……だから短髪、短髪が困っているならわたしは短髪を助けるんだよ」


御坂は涙ぐむ。


インデックスが示してくれた『友情』

それはかつて、上条当麻が『幻想抹殺』に成る前にあった友情。








取り戻せたかもしれない







インデックス「短髪?」



気がついたら、御坂美琴は無意識にインデックスを抱き締めていた。


涙が頬を伝い、インデックスの修道服を濡らす。





ああ……懐かしい温もり。


御坂美琴はインデックスを重ねる。



彼女の大事な人達に……


懐かしい温もりが彼女の心を癒やす。



母親、黒子、佐天、初春、寮監、クラスメート、多くの大事な人達をまた思い出す。






インデックス「短髪……つらかったらわたしを頼ってもいいんだよ?」




インデックスは優しく御坂美琴を抱き返す。


慈愛を以て、今此処にインデックスと御坂美琴は真の友情を育んだのであった。










行間 蠢動





学園都市のどこか。


『彼』は歩む。








アウレオルス=イザード「必然、今私の大願は成就する」


アウレオルス=イザードは月を見る。


美しい月。




彼はペンダントの中にしまってあった写真を見る。


映っていたのはアウレオルス=イザードと……上条当麻。


アウレオルス=イザード「上条当麻……」



アウレオルス=イザードは決意を固めて、静かに一人宣告する。



それは彼が世界に対して行う宣戦布告

















アウレオルス=イザード「必然、『君』が『私』を救ったように、『私』は『君』を救おう」











それは悲壮な決意。







5 上条当麻の在り方




次の日


インデックス「とうま、ちょっと短髪と遊んで来るんだよ」


上条当麻「ああ、わかった。夕飯までに帰って来いよ」




上条当麻はインデックスを見送る。



インデックスの足音が遠くなる。









上条当麻「……はぁ」



上条当麻はため息をついた。




上条当麻「どうしようか……」



上条当麻は頭を抱えた。

彼は自らの悩みを口に出す。








上条当麻「何にも学べてねぇ」








上条当麻は本格的に頭を抱える。




上条当麻「インデックスは学園都市からかなり学んでいるのに俺何も学んでねぇ」




そう、上条当麻は馬鹿なのだ。







確かに、上条当麻は学園都市第六位、幻想抹殺である。


しかし、それを本人が知らない&上条当麻は第七位と同じく『頭で原理を考えて高める』力ではない。


上条当麻の幻想抹殺は『本能』なのである。








故に上条当麻は馬鹿なのだ。

上条当麻「うーん、流石にこのままではいろいろ申し訳ないなぁ」


上条当麻は高校生らしく悩む。

彼はぼそりとつぶやいた。









上条当麻「いつかあいつを守れるようにならなきゃな」






皮肉にもその言葉を紡いだのは『学園都市最悪』


だが彼は自らを知らない。


彼は願う。



優しい願いを。











彼は自らが騒ぎの中心に居るとは知らない……








行間


スフィンクスは陽の中で微睡む。


スフィンクス「ニャア」


猫は忠義を持たない、それは嘘である。


彼は自らの命を救ったインデックスに感謝している。









命を懸けても良いと言えるほどに。

携帯からだからかもしれんがもう少し行間狭めてもいいと思う

>>332

了解です



6 三沢塾



ファミレスゲズト


御坂美琴「とりあえずデフォルトで十品食べるのはどうかと……」


インデックス「短髪、腹が減ったら戦はできないんだよ」


御坂美琴「うん、とりあえずハンバーグ、カルボナーラ、ビーフシチュー、ビーフカレー、ピラフ、鮒寿司、ドリアン、グラタン、にぎり寿司、お好み焼きで腹八分目なあんたの食欲について小一時間問いたいわ」

インデックス「短髪も食べないと成長しないんだよ?」

御坂美琴「あんたに言われたくないわ」


インデックス「短髪? 短髪は記憶喪失前の私から聞いていないのかな?」

インデックスの言葉に御坂は『いや』と答えた。

インデックス「なるほど、合点がいったかも。私は103000冊の魔術書を入れているから、代償として燃費がすごーく悪いんだよ」

御坂美琴「なるほどね、だから大食いなわけね」


御坂美琴も納得する。


インデックス「で、アウレオルス=イザードが何をしでかしたか、どうやって潜伏しているか教えて欲しいかも」


御坂美琴「了解。まず、アウレオルス=イザードの目的は上条当麻の捕獲、及び『吸血殺し』を利用した何かね」

インデックス「吸血殺しって何か知りたいかも」


御坂美琴は資料を見ながら言う。

御坂美琴「それがね、統括理事長曰わく『吸血鬼を捕獲出来る唯一の能力』らしいのよ」

御坂美琴の言葉にインデックスは顔色を変えた。

インデックス「短髪……それはすごーくマズいんだよ」

御坂美琴「え、なんで?」

御坂美琴の問いにインデックスは答える。


インデックス「吸血鬼はいわば『生命力の塊』なんだよ」

御坂美琴「う、うん」

インデックス「そしてアウレオルス=イザードは錬金術師……即ち、生命をペテンにかける錬金術師に無限の生命力が入る、これは『神の上』に匹敵するかも」


御坂美琴「えっと……よくわからないからなんかで例えて」


インデックスはきっぱり言った。







インデックス「キチガイに核爆弾」



御坂美琴「OK、そりゃまずいわ」


インデックス「ぶっちゃけ吸血鬼は生命力の塊だから運用次第では恐ろしい事になるかも。だからキチガイに核爆弾って比喩を使ったんだよ」

御坂美琴「うん、とりあえずまずさのみは伝わった」

インデックス「で、その『吸血殺し』とアウレオルス=イザードの潜伏場所を教えて欲しいかも」


インデックスの言葉に対して、御坂美琴は書類を取り出した。

そして御坂美琴は語った。





御坂美琴「三沢塾っていう塾にアウレオルス=イザードと吸血殺しはいる」



インデックス「わかったんだよ」


インデックスは直後右手を上げる。





インデックス「鏡よ鏡よ産み出しなさい。影よ影よ産み出しなさい。私のドッペルゲンガーを。風よ風よ運びなさい。私のドッペルゲンガーを」


直後、影のようなインデックスが現れる。


御坂美琴「はぁ!?」


御坂美琴の戸惑いを無視してインデックスは語る。


インデックス「行くんだよ、わたし」

インデックス・ドッペルゲンガー「わかったんだよ」


そして影は消えた。



御坂美琴「えっと……どちらさま?」

御坂美琴は素っ頓狂な突っ込みをした。

インデックス「短髪……ドッペルゲンガーも知らないのかな?」

御坂美琴「うん」

インデックス「ドッペルゲンガーは二重に歩くもの、っていう意味の幽体離脱みたいなものなんだよ」

御坂美琴「」ボン


御坂美琴はオーバーヒートした。



インデックス「とりあえず、三沢塾にわたしの分身を送ったからまずは様子見なんだよ」

御坂美琴「了解。だったら待ってる間どうするの?」

インデックスは暫く考えて言う。






インデックス「短髪と一緒に居てみたいかも」


御坂美琴「」


御坂美琴は少し照れくさかった。





行間



時は三日前に遡る。


騎士達が学園都市の内部に入り込む。

彼らの所属はローマ正教騎士団。



騎士団『それでは、これよりアウレオルス=イザードの討伐を行う』




全団一斉に叫ぶ。


騎士団頭首「ゆくぞ、諸君!」


騎士団『応!』


騎士団は進み始めた。









「不自然、私を君たち程度で止められるとでも?」






騎士団達は立ち止まった。


そして……息をのんだ。

彼らの眼前に居たのは……








アウレオルス=イザード「当然、不可能だ」

アウレオルス=イザード「憮然、納得できない」

アウレオルス=イザード「悠然、死ぬべき」

アウレオルス=イザード「唖然、呆れるのみ」

アウレオルス=イザード「毅然、誇りは誉めよう」

アウレオルス=イザード「漠然、しかし君たちは此処で死ぬ」

アウレオルス=イザード「当然、我らアウレオルス=イザード『達』によって」





10人近くのアウレオルス=イザードだった

騎士団頭首「み、皆! 掛かれぇぇぇぇぇぇっ!」


騎士団『おおおおおおっ!』


ローマ正教の精鋭達が一斉に掛かった。


たが


相手が





悪すぎた




十分後





アウレオルス=イザード「当然、これにてローマ正教騎士団殲滅完了」

アウレオルス=イザード「憮然、これより再び上条当麻の『保護』に移る」

アウレオルス=イザード「毅然、私の大願にまた近づいた」


10人近くのアウレオルス=イザードは死体の山の頂に君臨していた。



月夜……アウレオルス=イザードは呟く。


アウレオルス=イザード「当然、死体は黄金錬成によって土に還れ」



ローマ正教騎士団の死体は瞬く間に砂金となり、散った。



三日前の月夜のお話……



7 インデックス・ドッペルゲンガーの冒険!


三沢塾

内部に風が吹き、『彼女』は現れた。

インデックス・ドッペルゲンガー。

インデックスの魔術により作られた彼女のドッペルゲンガーだ。

インデックス・ドッペルゲンガー「とりあえず吸血殺しを探すんだよ!」


インデックス・ドッペルゲンガーは服装を変える。

修道服から御坂美琴の制服へと。

ちなみにインデックス・ドッペルゲンガーが常盤台の制服に変えたのは、インデックスが無意識的に常盤台の制服を着たかったから、だったりする。

インデックス・ドッペルゲンガー「さて、吸血殺しは……」


そこでインデックス・ドッペルゲンガーは気がつく。









インデックス・ドッペルゲンガー「わたし吸血殺しを知らないんだよ!」




インデックス・ドッペルゲンガーの知識は、無論インデックスを下地にしている。

故に、御坂美琴から吸血殺しの情報を提示されていないので、インデックス・ドッペルゲンガーは吸血殺しの外見を知らない。


致命的すぎた。


そう、それは余りにも致命的すぎた。



インデックス「……短髪……恨むんだよ」


インデックスはボソッと呟いた。



同時刻


御坂美琴「」ブルッ

インデックス「短髪、どうしたのかな?」

御坂美琴「いや、なんか寒気が……」





御坂美琴はインデックス・ドッペルゲンガーの恨みにより寒気を感じていた。



場所は再び三沢塾へ



インデックス・ドッペルゲンガー「うう……オリジナルと短髪のばかぁ……」


常盤台の制服のおかげで怪しまれないのだが、吸血殺しに出会えず三沢塾の中をうろちょろしているだけなのはインデックス・ドッペルゲンガーにはこたえるのだった。

インデックス・ドッペルゲンガー「クトゥルフでも呼んでこの塾破壊したいんだよ」


さらりとインデックス・ドッペルゲンガーは物騒な事を言った。




  同時刻 三沢塾の一角





アウレオルス=イザード「漠然、なぜイギリス清教の『魔神候補』が此処に?」

 アウレオルス=イザードは戸惑う。

 イギリス清教の切り札という不確定分子が自らの邪魔をしようとしている。それだけで彼の心には恐怖が芽生えるのであった。


アウレオルス=イザード「悠然、私のたくらみ――上条当麻を救うことを邪魔するか!」


  アウレオルス=イザードは恐怖を怒りに買えたのであった。

アウレオルス=イザード「憮然、殺す殺す殺す殺す!」



 こうして、魔神候補の影と錬金術師がぶつかり合う!



その頃……


インデックス・ドッペルゲンガーは三沢塾の中をうろちょろしていた。

インデックス・ドッペルゲンガー「うー、道がわからないんだよ」


そんな彼女に救世主が現れた。








「道。迷ったの?」







インデックス・ドッペルゲンガー「あ、やけ食い巫女さんなんだよ!」


姫神「ちがう。私は姫神秋沙」


インデックス・ドッペルゲンガー「あいさ、でいいのかな?」

姫神「うん。それでいい」

インデックス・ドッペルゲンガーの言葉に姫神は何故か微笑む。

姫神「あなたは。なんて名前?」

インデックス・ドッペルゲンガー「私はインデックスって言うんだよ」

姫神「インデックス。うん。覚えた」



インデックス・ドッペルゲンガー「えっと……とりあえずあいさはなんでここに居るのかな?」


インデックス・ドッペルゲンガーは姫神に問う。

彼女は姫神がここの学生だろうと高をくくっていた。


しかし……










姫神「私。魔法使い」








インデックス・ドッペルゲンガー「」ポカーン




電波な発言にインデックス・ドッペルゲンガーは固まった。




インデックス・ドッペルゲンガー「えっと……あいさって卜部流の巫女さんなのかな?」





姫神「卜部? 私は。魔法使い」


インデックス・ドッペルゲンガー「」


インデックス・ドッペルゲンガーは頭を抱えた。

インデックス・ドッペルゲンガー「えっと……あいさ? だからあいさはカバラとかエノクとかヘルメス学とか、そういう『学派』『魔法名』『結社名』を教えて欲しいんだよ」


そして


姫神秋沙は




答えた





姫神「学派は。わからない。結社名は。三沢塾。魔法名は」


姫神秋沙は、そして衝撃的な発言をする。









姫神秋沙「吸血殺し」








インデックス・ドッペルゲンガーは急いで姫神秋沙を『見る』


魔力の流れは……0


魔術師ではない?


御坂美琴と比較する。

超能力的要素……0




インデックス・ドッペルゲンガーの元本であるインデックスが見た中で彼女に一番近いのは……














「自然、彼女、姫神秋沙の『吸血殺し』は、上条当麻の『幻想抹殺』と同じく『原石だ」







声と共にインデックス・ドッペルゲンガーの心臓は貫かれていた。


体が黄金に変わる。


インデックス・ドッペルゲンガーは薄れ逝く意識の中で、姫神秋沙の顔を見た。


姫神秋沙は口を動かした。









































こうしてインデックス・ドッペルゲンガーの意識は消えた。


彼女が掴んだ情報は、インデックスに届く。



三巻の再構成は『ロンドン編』と学園都市編』の二つの物語が並列する予定ですが、ロンドン→学園都市、もしくは、学園都市→ロンドン、もしくは時系列順に両方同時に進めて行く、どれが良いですかね?

次回投稿はしばらく時間が開きます

ご意見ご感想あれば宜しくお願いします。


 8 インデックスの在り方




  ゾクゥ


御坂「どうしたの? インデックス」

 ゲームセンターで遊んでいた御坂は、インデックスがいきなり震え始めたことに気がついた。

インデックス「ドッペルゲンガーがやられたんだよ」

御坂「!?」

 インデックスの顔は怜悧な刃のように、鋭かった。

インデックス「短髪――どうやら私たちは、多少本気を出さなきゃいけないかも」


 御坂はその時、確かに『見た』。

 インデックスの体からあふれ出したのは――膨大な何か。

 御坂に唯一理解できたことは、インデックスが怒っているということのみであった。














インデックス「あの腐れ外道の錬金術師――魔神候補を敵に回した愚かしさ――魂にまで刻み込んでやる」







それは普段のインデックスを知っているものにとっては、違和感を覚える言葉遣い。インデックスは普段、決してこのような言葉遣いをしないはぅなのに――今の彼女は別人のようだった。

インデックス「いこう――短髪。これから少しお灸をすえるんだよ」

御坂「う、うん」


暗部で歴戦の勇士であった御坂。その彼女さえも、『魔神』には恐怖する。


同時刻 三沢塾内部にて


アウレオルス「――っ!」

アウレオルスは悪寒を覚える。

何に? 


得体の知れない何かに――

アウレオルス「憮然、守りを固めるべし」

戦闘に向いていない『彼』は、すぐさま本能でうこきだす。それは、弱者としての生存本能――



インデックスが怒った同時刻、上条当麻は……


上条当麻「ほーらスフィンクスいいこだな~」フリフリ

スフィンクス「ニャァ」ゴロゴロ


猫と笑顔で戯れていた。


暗い夜で『ソレ』は笑う


【ざわめくざわめく力はざわつく


怒った怒った『彼女』は怒った


お馬鹿で短絡的で哀れな錬金術師

かあいそうかあいそう


『彼女』を怒らせるのは『私』を怒らせるのとおんなじなのに



ウフフ




はじめまして








私の愛しい人】





佐天「」ゾクッ

初春「」ゾクッ

モツ「」ゾクッ

災誤「」ゾクッ

黄泉川「」ゾクッ

月詠「」ゾクッ

天井「」ゾクッ

吹寄「」ゾクッ

アレイスター「」ゾクッ



その日

学園都市全体が『恐怖』に包まれた。

ある者は『世界の終わり』の気配を

ある者は『暗黒の土曜日』、即ち上条当麻の暴走の日と同じ気配を

またある者は『天使』の気配を


感じた……ではなく、刻み込まれた


無論、実際にそれらの事象が起こった訳では無い



その恐怖の正体は……






インデックス「ふぅん、あれが錬金術師の『要塞』かも」






御坂美琴「ええ、そうね。あれが三沢塾、よ」


御坂美琴の横にいる人物、即ちインデックスから発せられた気配である。




インデックスはかつかつと靴音をたてながら三沢塾の門に向かう。

御坂美琴「……本当にここが……錬金術師の要塞なのかしら?」

御坂美琴は余りにも平凡なビルを見て、思わず口に出した。


そのビルは、確かに要塞と言うには余りにも平凡すぎた。

御坂美琴は、母親が昔読んでくれた魔法使いの要塞みたいなビルを期待していた。

だが、不気味なほどにビルは平凡だった。


インデックス「いや、これで正しいんだよ」

インデックスはきっぱりと言い捨てる。


御坂美琴「正しい?」

御坂美琴は疑問を呈する。


インデックス「うん、平凡過ぎるまでに平凡。寧ろ不自然なまでに平凡なこのビルは、天草式の魔術。更に、外部から探ってようやくわかるほどの残滓はチューリッヒ学派の迎撃型錬金術。そして、わたしも知らない未知の魔術が一つ……姫路城や月山富田城、江戸城に勝るとも劣らぬ、魔術の大要塞なんだよ」


インデックスは楽しそうに語る。


童のように。


怒りを隠しながら。





御坂美琴「じゃあ、どうやって入るの?」

御坂美琴は問いかける。


それにインデックスは答える。


インデックス「……うん、わたしに任せて」


インデックスは三沢塾の門に密着する。

そして、謳う。






インデックス「聖ジョージに殺された竜の怒りよ、我が怒りに応じて怒り狂え!

竜王の殺息!」



瞬間! 閃光が走る!

バリバリ


チュドーン



雷鳴を掻き消すような爆裂音。

インデックスが放ったのは竜王の殺息。


それはアウレオルス=イザードが魔力を練りに練って作り上げた聖人級の魔術、即ち666枚の表面防御壁である『サタンの獣』をも一枚残らず破壊し、更に内部に張られた、歩く教会に匹敵する教皇級の魔術結界、『神の子が流した血の霧』さえも霧散させた。

正に、『神を殺す最強をも喰らい尽くす』と謳われる超神級魔術であった。




インデックス「……流石アウレオルス=イザード……並みの魔術師ならこの一撃で終わりなんだけど……よく耐えるんだよ」

インデックスは怒りながらも、敬意を払う。




インデックス「高々錬金術師が、よくこの領域まで達したんだよ」



御坂美琴「」ゾクッ


御坂美琴は恐怖する。

魔術の強さ、ではない。

上条当麻が絡んだ時のインデックスの恐ろしさに御坂美琴は恐怖する。



今のインデックスは、神さえも殺せそうだ……

それがインデックスに対する御坂美琴の密かな讃辞……



インデックスは振り向き、御坂美琴に言い放つ








インデックス「いこう、短髪……とうまを守ろう……」



御坂美琴「うん」


御坂美琴とインデックスは歩む。



これがインデックスの在り方……



彼女がその慈愛を一度個人に向けると、彼女はその個人にとって、最強の守護神となりうる。

インデックスは、今正に上条当麻にその慈愛を向けていた



今の彼女の在り方は、守護神だ



やっと狂った錬金術師編が半分終わりました……

とりあえず狂った錬金術師編の次は最強達の饗宴編になります


だから今の所予定としては

幻想抹殺編【上条当麻編】→狂った錬金術師編【アウレオルス=イザード編】→最強達の饗宴編【御坂美琴&ステイル編】→天使光臨編【神裂】


まではプロット出来てます



御意見、御要望あれば書き込んでくれたら嬉しいです


それではまた次回!




相変わらず先が読めなくて面白い

誤字が多いから切りがいい所でもう一回最初からやるのもありかも

>>377

誤字直して再投稿ですか


考えておきます


9 錬金術師が戦う理由


アウレオルス=イザード「自然、流石魔神候補……」

アウレオルス=イザードは、自らが全力で作り上げた魔術が瞬殺されたので、戸惑っていた。

そうそう破られる事はない、そう高をくくっていたのが間違いだったのだ。


そう、錬金術師は忘れていた


彼が相手どったのは、あらゆる権力を、あらゆる信念を、あらゆる希望を打ち砕く魔神候補なのだ



アウレオルス=イザード「毅然、落ち着け。まだこの領域には『時天使の気まぐれ』、と『人身御供』が残っている」


彼は深呼吸をして、深く座り込む。


それは彼を奮い立たせる行為







即ち、彼と上条当麻の記憶を思い出す事





半年前

ローマ




アウレオルス=イザード「憮然……行き倒れか」

降りしきる雨。

アウレオルス=イザードは倒れている男を見下す。


頭はツンツンとした髪型。

身長は高くはない。


服はボロボロ



何て事を思いながら、この路傍で死に倒れている哀れな乞食にアウレオルス=イザードは祈りを捧げ、立ち去ろうとした。








ガシッ








アウレオルス=イザード「!?」


アウレオルス=イザードは驚き立ち止まる。

彼の足は掴まれていた。







上条当麻「腹……減った……」





アウレオルス=イザード「漠然……生きていたか」



厄介な事になった……

アウレオルス=イザードはそう思ったのだ

同時刻



御坂美琴「ふぅ、まさかあいつ……ローマまで逃げるなんて……」

青ピ「流石かみやんやね。急がへんと」


暗部、レギオンもまた、ローマに入る。



錬金術師と幻想抹殺と科学が交差する追憶は、こうして始まった。




ガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツ


アウレオルス=イザード「愕然……人は餓えると斯くの如く喰らうのか……」

アウレオルス=イザードは呆れる。

何故なら、彼が拾った少年はえげつない量のピザを食べていたからだ。




上条当麻「いやー、助かった助かった。イタリアでまさか日本語喋れる方に会うとは……」


上条当麻はアウレオルス=イザードに感謝する。

上条当麻はそのままピザをワインで飲み干した。


アウレオルス=イザード「漠然……よく喰らう」


アウレオルス=イザードは、今月金をアックアから借りるべきか悩んだ。




アウレオルス=イザード「当然、少年よ、話して貰うぞ……何故倒れていたかを」

上条当麻「ああ、良いぜ」


こうして、上条当麻はアウレオルス=イザードに自らの事情を話した。

謎の二人組に追われていること、幻想殺しの事を……



アウレオルス=イザード「憮然……少年よ、ようするに君は追われて、命が危ない、と?」

上条当麻「ああ、まぁ、そんな感じだ」


アウレオルス=イザード「毅然、そうだな……ならば私の家に来るか?」

上条当麻「まじか!? ありがたい!」


上条当麻は晴れやかに笑った。



こうして、アウレオルス=イザードの運命は狂いだした



かつかつ、と歩きながらアウレオルス=イザードは問う


アウレオルス=イザード「自然、少年の名は、なんと言う?」

上条当麻「ああ、俺は」








上条当麻「上条当麻」





アウレオルス=イザード「上条当麻、か。泰然、良い名だ」




アウレオルス=イザードは嘯いた。


出会いはそんな、ありふれたものだった


同時刻


御坂美琴「流石美食の国……パスタが、ピザが、美味しい!」

青ピ「御坂ちゃん、食べ過ぎやで~」


御坂美琴と青ピは英気を養っていた



同時刻


ローマのとある場所


?「ふむ。俺様の書いた絵とは違う、か」


影は謳う


?「しかし、好都合か」

?「やはり俺様の大願を果たすには、一つしかないか」


影はぼそりと言う。







?「科学と組むか」






影は消える



アウレオルス=イザード「漠然……これも定めか」


アウレオルス=イザードは、横で寝ている上条当麻の寝顔を見ながら、次に作り出す魔導書の内容を考えていた。

アウレオルス=イザード、彼の仕事は魔導書を紡ぐ事。

他人と関わる事が少ない彼にとって、上条当麻は予想外にして、嬉しい来訪者だった。




カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ

アウレオルス=イザードは羊皮紙に魔術書を書き綴る。

カリカリカリカリカリカリ、と羽ペンを走らせる。

インクは文字を記し、新たなる最悪を生み出す。

つらつらと深遠を知らせるつてを作る。



アウレオルス=イザード「……悠然、全く、いくら【禁書目録】とやらのせいでローマがイギリスに、魔術書の数に劣るとはいえ、書記官である私の仕事が増やすとは……」


アウレオルス=イザードは愚痴る。




上条当麻がローマに入り、アウレオルス=イザードと出会って3日が経った。

アウレオルス=イザード「毅然、上条当麻よ、あれがサン・ピエトロ寺院だ」

上条当麻「へえ、なかなか立派だなー」


上条当麻は素直な感想を述べた。

アウレオルス=イザード「漠然……雄大とかもう少し感想の語彙を変えよ」

上条当麻「仕方がねーじゃん、語彙少ないんだから」

けらけらと上条当麻は笑う。

アウレオルス=イザードの心は解けていった



アウレオルス=イザードは願う。

彼と共に居る時が暫く続くように、と。








青ピ「あっちゃー、またかみやんフラグたててるわ」

御坂美琴「不味いわね……、どうしましょう」

上条当麻に迫る二つの影

彼ら二人はピザを食いながら尾行する。





ギィ


魔導書を書いていたアウレオルス=イザードは、体中に違和感を覚えた。


上条当麻「どうしたんだ? 疲れか?」


心配したのか、上条当麻が声をかけてきた。

アウレオルス=イザード「泰然、大丈夫だ」

アウレオルス=イザードは、上条当麻に心配をかけないように語る。

体中を虫が這い寄るような違和感……


辛い


なんだ。



パタン





薄れ行く意識の中、アウレオルス=イザードは聞いた。



「おい、大丈夫か? 今すぐ救急車呼ぶからな!」



そんな声を、聞いた


ローマ市内


青ピ「御坂ちゃん! 何で走るんや? かみやんはもう部下に見張らせてるやろ?」

御坂美琴は砂鉄のローラースケートで翔る。


御坂美琴「つべこべ言わずについてきて! 何か、嫌な予感がする!」



その時






ドン






御坂美琴「!?」

青ピ「!?」



彼らは感じる

幻想抹殺の怒りを




御坂美琴も、青ピも知らない

一体上条当麻の幻想抹殺を叩き出したのは何か、を



アウレオルス=イザードが書き綴っていたのは『召喚魔術書』

神の右席から依頼された、断罪の魔物を呼び出すための魔術書だ。


それが暴走した


上条当麻はそれに反応したのだ。


即ち


上条当麻が戦っているのは?



走る走る御坂美琴達は走る。

怒る怒る幻想抹殺は怒る。



幕は開く


錬金術師の核心の幕が



御坂美琴「」

青ピ「」

御坂美琴と青ピは呆然とした。

結論から言うと、幻想抹殺は解放されていた。

それは本来、大事である。

否、大事でなくてはならないのだ。



しかし、

御坂美琴「何なのよ……あれ……」

青ピ「あの状態のかみやんでも互角やって……?」

御坂美琴と青ピはへたれこむ。


彼等の眼前にあった光景は……既知を凌駕した、既知外な光景だった。





上条当麻「幻想は罪、抹殺すべき」


フルフル「フルヒーン!」




アウレオルス=イザードが作っていた魔術書、もしそれが完成していたらこう呼ばれていたであろう。







『断罪魔術書、フルフル召喚記』









それは正しく神話の再現だった




上条当麻「幻想-抹殺!」

上条当麻の幻想抹殺が世界をえぐる。


フルフル「ぎゃぁぁぁっ!」


異業種が嘶く

叫びは世界を震わす


御坂美琴「……幻想抹殺で消えない? あれは生物?」

御坂美琴は呟く


しかし、それは否、である


フルフルは濃密な魔術の塊。

故に消すこと能わず





鎬を削る争い

悪魔、フルフルは猛威を振るい、幻想抹殺は暴威を見せつける。



フルフル「ヒルヒーメ!」

フルフルの嘶きが再び世界を揺らす。


上条当麻「幻想は罪!」

上条当麻の一撃一撃がフルフルを削り落とす。


フルフルは再び体を作る。


御坂美琴も青ピも、何をしたらいいのか解らなかった


瞬間






ゴリィ





巨大な右手の幻覚が現れ、フルフルは霧散した

上条当麻の幻想抹殺は消え去り、辺りは静寂に回帰する。


御坂美琴「……何なの……これ?」

青ピ「わからへん……」


レギオンの精鋭化二人は呆然としていた。



フルフルが霧散した後、上条当麻はパタリと倒れる。

御坂美琴「よし、今のうちに回収するわよ」

青ピ「せやな」


そして御坂美琴と青ピは労せずして上条当麻を回収できた筈だった。



『彼』が起きなければ








アウレオルス=イザード「漠然、上条当麻をどこに連れて行く?」


それは泡沫の奇跡。


魔術書のフィードバックで起き上がれない筈のアウレオルス=イザードは立ち上がる。


アウレオルス=イザード「泰然、私から友人を奪うか」


アウレオルス=イザードの目に光は憎しみの炎。



御坂美琴「っ!」

青ピ「なんやて?」


御坂美琴と青ピは驚愕し、戦慄した。

ふらり、と立ち上がったアウレオルス=イザードはおぞましい顔だった。

まるで世界を恨んでいるような、まるで人を憎んでいるような。

アウレオルス=イザード「自然、上条当麻を話せ」

血を流しながら、アウレオルス=イザードは右手を上げる。

御坂美琴と青ピはその異質に対して、臨戦態勢を取った。


アウレオルス=イザードは術を唱える




アウレオルス=イザード『






が、何も聞こえない。

『ソレ』は発動するはずが無かった。


『ソレ』は世界を壊す狂気の禁術。


名は遙か昔に付けられていた


発明した、名の無き錬金術師が名付けた名は……






『黄金錬成』





発動能わぬその術は、アウレオルス=イザードを自滅させた。






御坂「なんか……倒れた?」

青ピ「やね……」


御坂美琴と青ピは呆気にとられた。



青ピ「って、今のうちにかみやん回収や」


青ピは御坂を急かす。


御坂「だね」



御坂美琴と青ピは、アウレオルス=イザードが起きる前に去った。





錬金術師の意識は沈む

暗く暗く

深く深く

怒りに任せ

悲しみに委ね

ゆらゆら

たゆたう


頭に浮かぶは唯一人


幻想を消す少年


10 魔神無双、或いは錬金術師の鬼手

御坂美琴「インデックス、危ない!」

その空間に入った瞬間、御坂美琴は叫んだ。

インデックス「え?」

御坂美琴は呆けるインデックスを片手で引きずり倒し、砂鉄の盾を展開した。


ギィン


と鈍い金属音が響く。

それは砂鉄と銃弾がせめぎ合った音。

生徒達『侵入者、視認。直ちに銃撃開始』

虚ろな眼をした生徒達は一斉に銃を構えた。


御坂美琴「やばっ、みんな操られてる?」

御坂美琴の顔が蒼くなる。


インデックス「短髪、これは精神干渉の魔術なんだよ」

御坂美琴「っぽいね」

インデックス「暗殺者の杯よ。ハサンの玉座よ。大麻の縄よ。願わくば縛られた仔羊を解き放て!」



するりするりと縄の幻影が生徒達に近づく。



パリーン



音と共に生徒達は倒れた。


御坂美琴「……何をしたの?」


水筒の中に砂鉄を戻しながら、御坂美琴は問う。


インデックス「簡単な催眠解除なんだよ」


そう言いながらインデックスは生徒を踏み越え、進む。




進んだ先にある階段は変哲もない、ハズだった。


御坂美琴「ねぇ、この塾いきなり歩きづらくなってない?」


足がガンガンと痛む。

御坂美琴は苦痛に顔を歪める。


インデックス「うん、どうやら錬金術師はこの空間を分離したらしいんだよ」

御坂美琴「空間を分離?」


インデックス「うん、空間を分離して、私たちが錬金術師の下に着かないように細工したんだよ」

御坂美琴「魔術師って万能ね」

インデックス「うーん、そうとも限らないかも。短髪やとうまを見て思ったんだけど、超能力者は一つの結果に特化したと魔術師と考えれば、タイムラグ的にアドがとれるんだよ。私たち魔術師は呪文を唱え、万能にならなくちゃいけないからだけど」


インデックスは冷静に戦力を分析する。




インデックス「だから、理想のパターンとしては、私が呪文を唱えている間に短髪が敵の攻撃を去なしながらダメージを与える、ってのが一般的な作戦かも」

御坂美琴「成る程、ようするに、あなた達魔術師はGoogleとかそういった検索ソフトで、私達超能力者はショートカットキーってわけね」

インデックス「あらかた間違ってはいないんだよ。只、それもおおざっぱな理解かも」

互いの立ち位置を確認しながら二人は進む。






同じ頃、三沢塾の一室。


アウレオルス=イザード「それでは、諸君! 我等の『悲願』を成せ!」


錬金術師は何者かに語る。


何者かはそれに頷き、去り行く。





錬金術師は鬼手を使う。





御坂美琴「もう私は何も突っ込まない……」


御坂美琴は目の前で繰り広げられる『虐殺』に呆れ果てる。



インデックス「火蜥蜴の火炎弾! 水精霊の水波動! 土鍛冶の土城壁! 風歌姫の突風刃!」


モブ生徒達『ぎゃぁぁぁぁぁぁ!』


インデックスは『殺さない』程度に蹂躙する。


魔神の本気は、弱者を歯牙にも懸けないのだ。


三沢塾の八割は、インデックスの怒りにより制圧された。


御坂美琴「これ……私必要あるのかな?」


御坂美琴は若干アイデンティティが砕けそうになった。


インデックス「ヒャッハー! 出て来るんだよ、錬金術師ぃぃぃぃぃぃ!」


インデックスはハイテンションになっていた。




インデックス「竜王の殺息!」チュドーン


更に三十分後、アウレオルス=イザードを見つけられないインデックスは、焦土作戦に切り替える。


数多の術式を詰め込んだ竜王の殺息を四方八方に撒き散らす。


御坂美琴「インデックス! 三沢塾が壊れるんじゃ?」

インデックス「大丈夫なんだよ! 悔しいけど、この錬金術師は頭がいいかも。こんくらいの焦土作戦をぶちかまさないと、出てこないんだよ!」

別の世界で上条当麻の記憶を奪った最悪の一撃は、この世界においてはインデックス最強の武器となる。




アウレオルス=イザード「唖然……無茶苦茶だ……なぁ、姫神よ」


アウレオルス=イザードは呆れながら、傍らで『死んだように』眠っている少女に声をかける。


だが、少女は答えない。


息をしていないように、眠っている。


その様はまるで眠り姫。




インデックス「ヒャッハー!」チュドーン

御坂美琴「インデックスインデックスインデックース!」

インデックス「どうしたのかな?」

御坂美琴「一旦止めた方が良いわよ……どうやら、出てきたみたいだし……」


もうもうと沸き立つ土煙、その奥から『彼』は現れる。











アウレオルス=イザード「俄然、我が家を荒らすのは止めて欲しいな」






たった一人の少年のために世界中を敵に回そうとした、世界最悪の錬金術師が、悠々と現れる。






インデックス「あっはっはっは!あーっはっはっはっ!」


インデックスは笑う。

高らかに、歪に。


インデックスは錬金術師に宣告する。









インデックス「とうまには指一本触れさせないんだよ」



それは最悪の魔神の宣言。


インデックスと御坂美琴はすぐに臨戦態勢に入った……瞬間!










アウレオルス=イザード「閉じろ、闇檻」










ギィィィィ、と云う音と共に、三沢塾の空間が閉じる。


御坂美琴「なにっ!」

御坂美琴が驚く。


インデックス「あわてないんだよ、短髪。これは闇檻……一定時間空間を閉じるための術なんだよ」


インデックスは一呼吸置いて言う。








インデックス「わたし達も出れない、でも錬金術師も出れない、だからとうまは安全なんだよ」




インデックスは安心してアウレオルス=イザードを攻撃できる、と確信していた。



だがしかし

錬金術師は


歪に



笑う








アウレオルス=イザード「泰然、我勝てり」










インデックス「!?」


御坂美琴「!?」


アウレオルス=イザードの言葉に、インデックスと御坂美琴は戸惑う。

何故、今勝利宣言をするのか、二人には理解できなかったからだ。


アウレオルス=イザードの真意がわからない。

わけがわからない

勝ち誇った錬金術師は、戸惑い、呆ける二人に言う。


アウレオルス=イザード「毅然、私は上条当麻のところに、己がコピーを派遣した。当然、貴様等が此処に居るのなら、私の錬金術の内、私を殺す事はできず、コピーが上条当麻を手に入れたら、私は退けば良いだけだ」


御坂美琴「しまった……」

御坂美琴は背筋を震わせた。


上条当麻は今ノーガードだ。

確かに……詰んだ。

青ピに連絡する事は出来ないだろう……。

己の失態を御坂美琴が恥じた時だった。






インデックス「残念なんだよ、錬金術師」






白い修道服をひらひらとさせながら、インデックスは言い放つ。

アウレオルス=イザード「は?」

アウレオルス=イザードはインデックスの言葉を理解できず、戸惑う。

アウレオルス=イザードに対し、イギリス清教最悪の魔神は宣告する。








インデックス「もうすでに、とうまには護衛をつけているんだよ」






御坂美琴「えっ!?」


アウレオルス=イザード「なにっ!?」


敵も、味方も戸惑う一言だった。


 ∽∽ サンサンとある砂浜の禁書目録 ∽∽
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| 真ん中に海草を並べて…          |   |
|  焼きそばパンの出来上がりなんだよ。 |   |
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| お姉さま、 何か飲み物を買ってきますわね。 |
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|   無防備に寝てたら悪戯されるよ  |      |
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|            |/  / ってミサカはミサカは|
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∽∽ バとルロイある砂浜の禁書目録 ∽∽

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