【モバマス】小梅「幸子ちゃん、最近見ないね……」輝子「これはおかしい……」 (50)

とある日――
女子寮・食堂――



美玲「幸子?」モグモグ

乃々「幸子さんがどうしましたか?」モグモグ

小梅「幸子ちゃんが、どこにもいないの」

美玲「仕事だろ?」

輝子「そんな話は、何も聞いてないんだ……」

小梅「それに、本当に仕事で忙しくても……」

小梅「幸子ちゃんなら……必ずメール、してくれるよ」

乃々「そうなんですか」

美玲「確かに、アイツかなりマメだもんな」

乃々「私も、幸子さんからのメールが欲しいんですけど……」

美玲「オマエからメールすれば?」

乃々「そうします」

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美玲「でもさ、誰にもメールできないくらい疲れてた……とかじゃないのか?」

小梅「それが……」

小梅「そもそも幸子ちゃんの姿を見た子が、いないの」

美玲「……え?」

小梅「寮の誰も見てないなんて……信じられない」

美玲「そりゃそうだ、信じられるかよ」

美玲「……いやいや、誰か連絡の1つはもらってるだろ?」

小梅「ううん……誰も連絡をもらってないって」

輝子「こんなの、絶対おかしいよな……」

乃々「美玲さん……これはちょっとおかしいですよ」

美玲「……」

美玲「……分かった」

美玲「とりあえず部屋を見にいこう」

書き忘れてたけど、一応設定変更注意



幸子の部屋の前――



輝子「……」ガチャガチャ

美玲「おい、早く開けろよ」

輝子「わ、分かってる……」ガチャガチャ

小梅「ここの鍵穴、調子が悪いの」

乃々「これだけ音が鳴るなら、帰ってきた時に気付きますよね」

小梅「でも、誰も知らないって言ってる……」

美玲「おい早く開けろって」

美玲「ウチらで合鍵作って共有してるの、寮長にはナイショなんだからな」

輝子「……よし、開いた」ガチャリ

美玲「早く入れ、早く入れ」

幸子の部屋――



小梅「幸子ちゃんの部屋だね……」

輝子「相変わらず、カワイイ部屋だな」

輝子「う、羨ましい……」

美玲「いや、オマエの部屋もカワイイだろ」

小梅「あれ……」

小梅「幸子ちゃん、コミックなんて持ってたっけ……?」ヒョイ

乃々「それ、私が貸した漫画です」

小梅「そうなんだ」

輝子「おもしろいのか?」

乃々「これは面白いですよ」

乃々「今度貸しましょうか?」

輝子「あー……また今度な……」

小梅「私も……」

乃々「うぅ……幸子さんのオススメなら、皆さんすぐに受け取るのに……」

美玲「オマエにセールス能力が無いだけだろ」

美玲「それより! 早く幸子の行き先が分かりそうなものを見つけるんだ!」

乃々「あ……」

乃々「カップがありますね」

輝子「飲みかけの紅茶だ」

小梅「そういえば……最後に見た幸子ちゃん、すごく慌ててた」

美玲「……」キョロキョロ

美玲「お……」

美玲「あれを見ろ」

小梅「置時計?」

輝子「電池が切れてるな」

美玲「すぐそばの椅子に座って、ゆっくり紅茶を飲んで……そこでふと、時計を見たんだろ」

乃々「時計が進んでいないことに気付いて、慌てて出発したんですね」

美玲「それが、小梅の見た幸子の姿だろうな」

小梅「でも、そのお仕事には、ちゃんと出演していたよ……?」

輝子「その日の帰りに、失踪した……?」

輝子「特に、何もないな……」

小梅「荒らされてもいない……」

小梅「でも、普通に暮らしてたくらいには、片付いてない」

小梅「まるで、ちょっとコンビニに行ったみたいな……」

美玲「……」

美玲「……おかしい」

乃々「おかしいですね」

美玲「幸子はな……いくら疲れてても、こういう細かいカワイイところは絶対に見逃さないヤツなんだよ」

輝子「あぁ、そうだな」

美玲「そんなアイツが何日も、飲みかけのカップを放置するワケがない」

小梅「でも、お仕事には出掛けた……」

美玲「つまりこの3日間、幸子は部屋に戻っていないってことだ!」

乃々「……これはまずいですよ」

輝子「やっぱり……!」

美玲「Pさんに連絡だ! 急ぐぞッ!」

数時間後――
CGプロ・事務室――



4人「「事件にしない!?!?」」



P「そうだ」

美玲「そ、そんなのおかしいだろッ!」

美玲「だって……だって、明らかに異常事態なんだぞッ?!」

乃々「そうですよ! 幸子さんは、寮に帰ってきていないんですよ!?」

P「でもな、あいつがワガママを言うのは、今までの経験からしてよくあったことなんだよ」

小梅「あ……」ハッ

輝子「それは……」ハッ

P「今でこそ仕事に全力で取り組んでくれているが……」

P「ここに来た当時は、そりゃもうはねっ返りの強いヤツでさ」

P「最近はなくなっていたが、失踪するケースは何度もあったんだ」

P「今回みたいに、誰にも何も言わずに――な」

輝子「で、でも……家族が心配してる、はず……」

P「あぁ、それは俺も思って、連絡はしておいた」

P「だが……ご家族の方も、捜索願は出さない方向でいるそうだ」

美玲「ハァッ!? なんでだよ!?」

P「何度も言っているが、幸子はかなりのお転婆でな」

P「実家にいたころは、プチ家出は日常茶飯事だったそうだ」

小梅「そうだったんだ……」

P「だから、今回もそれに違いない……そう仰っていた」

乃々「そんな……!」

P「それにな、事実がまだわからない以上、話を公にはできない」

P「話を面白おかしく垂れ流すマスコミに嗅ぎ付けられたら――」

P「後は言わなくても分かるな?」

P「これはお前たちを守るためにも大事なことなんだ」

P「……何か連絡が来るまで、絶対に漏らすんじゃないぞ」

P「分かったな?!」

4人「「っ……」」

夜――
輝子の部屋――



美玲「幸子は失踪じゃない」

小梅「事件に、巻き込まれた……」

輝子「皆……し、失踪だって、言う……けど」

乃々「今日の出来事を振り返ってみても、やっぱり事件としか思えませんよね」

美玲「そう……確かにみんなは、そう思うかもしれない」

美玲「昔から幸子を見続けてきたんだからさ」

美玲「幸子のお転婆っぷりも、ウチや乃々は知らなかったからな……」

美玲「だけど! 最近の幸子を! 今の幸子を一番知ってるのは、ウチらなんだ!!」

美玲「そのウチらの誰もが納得していないんだから、これはただの失踪のハズがないッ!!」

乃々「立ち上がりましょう」

乃々「幸子さんを、私たちのもとへ連れ戻すために!」

小梅「うんっ……!」

輝子「頑張ろう……!」

美玲「今こそ、ウチらの絆を発揮する時だ!!」

4人「「おー!!」」




この日、幸子ちゃん捜索のための組織『幸子誘拐疑惑事件捜査本部』が設立されました





私たち4人で構成された、独自の捜査本部(※何ら法的権限を持たない)です





『幸子ちゃん』か『幸子さん』かで揉めに揉めたけど、多数決という民主主義によって、今の形におさまりました





民主主義ってすごい――私はあらためてそう思いました


深夜――
某所――



幸子「くっ……ぐっ……!!」ガチャガチャッ

幸子「っ……ハァッ……ハァッ……」ガチャ...

幸子(だ、ダメです……手足を完全に、鎖で固定されています……!)

幸子(椅子にくくりつけられているお陰で、体力はまだ十分ですが……)

幸子(これ以上は、ボクの精神が持ちません……!)









??「逃げてもムダだ」

幸子「っ!?」ドキッ!!

??「悪いな、ずっと椅子に拘束しちゃって……」ヌゥ...

??「逃走されると困るからって、トイレにも連れていけないのは、すまないと思ってる……」

??「だからいい加減、そのペットボトルにすれば良いのに……」

幸子「嫌ですよ!! ボクのおトイレを見るつもりなんでしょう?!」

??「その結果が、そのザマだろ?」

幸子「……っ///」グッショリ...

幸子「そ……そんな辱しめを受けるくらいなら、漏らした方がマシです!!」

??「……まぁ、そっちが良いって言うなら、俺はそれに従うまでだ」

??「だがなぁ?!」グイッ

幸子「痛っ――!」

??「今、ハサミを丁寧に研いでいるところだ」

??「それが終わった時は、俺の好きにさせてもらうからな?」

??「くくく……俺の芸術になれることを、誇りに思えよォ……」アタマナデナデ...

幸子「ひっ……!!」ゾク...









幸子(だ、誰か……)

幸子(誰か助けて下さい――!!)

翌日――



美玲「小梅と輝子が?」

乃々「『居場所を探し出す』と言って、捜査本部に泊まり込みをしたそうです」

美玲「アイツら、何か手掛かりでもあるのか?」

乃々「とりあえず本部に急ぎましょう」

美玲「そうだなッ!」

捜査本部――



小梅「」プラーン

美玲「……何だソレ?」

輝子「キノコダウジング」

乃々「kwsk」

輝子「小梅の持つヒモの先にくくりつけたキノコ……あれは、幸子の部屋で育ったキノコだ」

美玲「はい?」

輝子「つまり、幸子の匂いのついたキノコ……フヒ」

美玲「……どういうことだ?」

輝子「小梅は今……あ、あの子の力を借りて、ダウジングしてるんだ」

輝子「それには、幸子の匂いのついたものが必要だった……」

輝子「あのキノコは、幸子のベッドの下で育てたからな……」

輝子「幸子の匂い……たっぷり」

乃々「何でまた、そんなことを?」

輝子「幸子の……か、カワイイ成分を、たっぷり吸収させたかったんだ」

輝子「そうすれば、カワイイキノコになると思って……」

乃々「一理ある」

美玲「おいおい、ちゃんと許可はもらったんだろうな?」

輝子「……」

小梅「……あっ反応した」

輝子「ど、どこだ……?!」

美玲「答えろよッ!!!!」

小梅「ほら、キノコが揺れてる……」グールグール

美玲「コレ……どこだ?」

小梅「揺れてるキノコの中央だよ」

乃々「円の真ん中ですか」

輝子「真ん中……どこだ?」

美玲「大体このあたr――ちょ、キノコ邪魔ッ!」

乃々「あの、これ動き止めても良いですか?」

小梅「ダメ」

輝子「ダメかー」

美玲「よしっキノコの軌道で計算するか」

乃々「そうですね」

美玲「えっと……」

美玲「今、郵便局を通過したぞ」

輝子「郵便局の反対は?」

美玲「反対反対……」

乃々「反対側は八百屋です」

美玲「八百屋と郵便局の間だから、つまり……」

乃々「どこですかね?」

輝子「地図に、線引こう」

乃々「定規ならここに」ハイ

輝子「仕事が早い」

美玲「えっと、2点をつなぐようn――だからキノコォッ!!」

乃々「あの、もう分かったので、キノコをどけてくれますか?」

小梅「ダメ」

輝子「ダメかー」

美玲「仕方ないなぁ……キノコと地図のスキマに定規を差し込むぞ」ヨイショ

輝子「八百屋は、もっと下……」

乃々「左手を少し回して……」

乃々「あ、ストップストップ!」

美玲「八百屋と郵便局の間だから……」エット...





4人「「取り壊し予定の廃ビル!!」」

美玲「幸子の居場所は判明したな」

乃々「あくまで候補なんですけど……」

美玲「それで……今からでも乗り込もうと思っているヤツは、手をあげろ」









輝子「」ノ

小梅「」ノ

乃々「」ノ

美玲「全員か……」ノ

美玲「やめるなら、今のうちだぞ?」

美玲「知ってると思うけど、これは危険なことだからな」

美玲「ここで逃げても、ウチは責めないぞ?」





輝子「いや……心から、行きたいんだ」

輝子「そこに、幸子がいるかも、知れない……」

輝子「私は……それだけで、勇気を出せる……!」





小梅「私も、同じ気持ちだよ……」

小梅「今すぐにでも、幸子ちゃんに逢いたいから……」

小梅「お疲れって……ギュッてしてあげたいから……!」





乃々「……いえ、私はすごく怖いですよ?」フルフル...

乃々「でも……ここで怖じ気付いてたら……幸子さんに会わせる顔がありませんし……」

乃々「何より、そんな自分だけは、絶対に許せないんです……!」

美玲「……分かった」

美玲「それじゃ、今すぐに出発するぞッ!!」

3人「「はい!!」」









美玲「……あ、小梅はタクシーを呼んでくれるか?」

小梅「うん、分かった」タッタッタ...

美玲「いつものとこだぞ? あそこ、オマエのファン多いから!」

某所――



??「……」シャーッ...シャーッ...

??「クク……出来た」

??「ハサミもカミソリも、バッチリだ……」キラーン

??「待ってろよ幸子ォ……俺が芸術に仕上げてやるからなァ……?」

??「フフフフ……ハハハハ……」





??「アーッハッハッハッハ……!!」

タクシー車内――



運転手「ハイ、ここね」キィーッ!

美玲「おじさん、さすが! あっという間に着いちゃったぞ!」

小梅「ゴメンなさい……法定速度ブッチさせちゃって……」シュン

運転手「なぁに! 小梅ちゃんのためならいくらでも!!」ワッハッハ!!

輝子(大丈夫なのか、このタクシー会社……)

美玲「……あ、領収証お願いします、CGプロあてで」

運転手「はいはい」カキカキ

乃々「領収証もらうんですか?」

美玲「あぁ……幸子を連れ戻したら、叩き付けてやるんだ」

美玲「『幸子はこんな安い女じゃ無い!!』……ってな」

某所――



??「さあさあ幸子……時間だぞ?」ガラガラ...

幸子「ひっ……!」ビクッ

??「見えるか? お前を取り巻く、数々の機械が……?」

??「これを使って、今日……お前を生まれ変わらせる……」

??「俺の芸術になぁ……!!」

幸子「……ぃ……いや……!」ガクガク...!

??「まずは先端から切り落とすところからだ……」





??「この綺麗に研いだハサミでよぉ!!!!」シャキン!

幸子「ゃだ……いやだ……!」ポロポロ...

幸子「やめてぇ!! やめてくださいぃ!!!!」ガチャガチャガチャガチャ!!

幸子「誰かぁ……誰かああぁ……!!!!」ガチャガチャガチャガチャ!!

某所前――



『やだあ゛ぁあ゛ぁ゛ぁ――!!!!』



4人「「!!!!」」





美玲「今の、幸子の声だよな?!」

小梅「うん……!」

輝子「間違いない……!」

乃々「ちょっと自信ありません……!」

美玲「確か……この扉からだッ!」

美玲「行くぞッ! 全員で体当たりだッ!!」

乃々「皆さん、声を合わせてください!」





4人「「せーのッ!!!!」」ダンッ!!

某所――



扉「ぐべらっ」ビターン!!



乃々「幸子さん!?」

美玲「幸子ォ!!」

幸子「み、皆さん!! 来てくれたんですね?!」グスッ...

小梅「いたっ!」

輝子「待て! 近くに誰かいる……!」









??「ここを見つけるとは……やるじゃないか」

美玲「オマエが幸子を拐った犯人だなッ!?」

犯人「いかにも、俺こそが犯人だ」

乃々「幸子さんは返してもらいますよ!」

犯人「『返せ』と言われて『ハイ分かりました』と答える誘拐犯が、いると思うか?」スチャ

小梅「何か持ってる……!」

美玲「オマエら気を付けろよ!? ヤツは武器を持ってるぞッ!?」

犯人「その綺麗な顔を傷付けられたくなけりゃ、黙って帰ることだな」ジリ...

輝子「うっ……!」ジリ...

機材「ガチャン!」

小梅「痛っ……え?」

小梅「これ……美容院にある機械だ……」

輝子「周り全てが、び、美容院の設備だな……」

乃々「美容院……機材……まさか!?」ハッ!

犯人「そうだ……俺は今から! 地上に舞い降りた天使こと輿水幸子に対し!!」

犯人「その外ハネに矯正をかけ、ストレートにするつもりだ!!」

美玲「な、何だってぇ!?」

犯人「それだけで終わりじゃ無いぞ!!」

犯人「さらに! 高級シャンプーと高級トリートメントでダメージを修復し、くしでといても引っ掛からない、サラッサラの髪にするのさ!!」

乃々「な……なぜそんなことを!?」

犯人「紅白で、電飾つきの巨大な舞台装置衣装が似合うアイドルにするためだ」ニタァ...

犯人「その頃にはロングヘアーになり、そよ風1つでサラッサラの髪が宙を舞うだろう……」

犯人「その瞬間!! 天使は女神へ昇華する!!」

美玲「それじゃ輿水じゃなくて小林じゃないかッ!!」

輝子「なんてむごいことを……!(外ハネキャラ崩壊的な意味で)」

小梅「ひどい……!(外ハネキャラ崩壊的な意味で)」

犯人「ひどい……か」フッ...

犯人「あいにく俺は癖っ毛ゼロのサラッサラロングヘアーしか愛せないんだ……」

美玲「じゃあなんで幸子を拐ったんだよ……」

犯人「髪以外は俺の好みドストライクだからだ!!!!」

乃々「なるほど……!」クッ

犯人「まあ、お前らには、俺の気持ちが分からないだろうな……」

犯人「目隠れなんていう、可愛い顔を隠してしまう髪型をしている貴様なんぞには特になァ!?」ドーン!!

小梅「くっ……!」ギリッ

美玲「う、ウチは?」

犯人「そんなウェーブにひょろっ毛なんざ、論外だァ!!」ドーン!!

美玲「うっ……!」タジッ

輝子「わ、私は……?」

犯人「お前は物凄く惜しいんだ、そのアホ毛さえ無ければよォ!!」ドーン!!

輝子「むっ……!」ジリッ

乃々「当然私はダメですよね?」

犯人「あ、ドリルは別腹なんで」( ・`д・´)b

乃々「なんでだよッ!?(今年一番の大声)」

犯人「大人しく出ていかないのなら、仕方がない」スチャ...

犯人「手段を選ばず……解決するか」ジリ...ジリ...





美玲「来るぞッ! オマエら覚悟は良いか?!」

小梅「大丈夫……!」ダッ!

輝子「バッチリ……!」ダッ!

乃々「珍しく私も乗り気ですよ……!」ダッ!

美玲「よぉし……いくぞッ!!」ダッ!





犯人「正面突破か……かかってこいィ!!」ダッ!






              →乃々
            →美玲
 ←犯人            ((幸子))
               →輝子
          →小梅





犯人「アルェ!?!?」









美玲「やーい! ひっかかったなー!」ベーッ

小梅「私たち、幸子ちゃんが戻れば、どうでもいいから……」

輝子「は、早く幸子を!」

乃々「急ぎますよ!」

美玲「よし! 逃げるぞ幸子!」

幸子「でも鎖が――!」ガチャガチャ

輝子「美玲!」

美玲「任せろッ!」

美玲「動くなよ……?」スゥ...

美玲「はぁ!」ズバッ!!

鎖「ガチャガチャン!」

幸子「鎖が真っ二つに?!」

乃々「今のはまさか、美玲さんのひっかく?!」





美玲「いいや……きりさくだ!」ドン!!

犯人「くっ……待て!」ダッ

美玲「おい、これ以上近付いてみろ!きりさくぞ!」キラッ

犯人「き、きりだくだとぉ!?」

美玲「今日は調子が良いから、全部急所に当たるだろうなッ!!」

犯人「ぐっ……急所はまずい……!」ジリ...









乃々「美玲さんが時間を稼いでくれています」

輝子「今のうちに、なんとかしないと」

小梅「でも、出口は反対側だよ……?!」

乃々「……ここは私の出番のようですね」

乃々「良い場所は……あった!」

乃々「皆さん、この机の下に隠れてください!」

幸子「つ、机の下ですか!?」

幸子「そんな行き止まりに逃げても、何の意味も無いですよ!?」

美玲「今は乃々の言う通りにするんだッ!」

小梅「早く、隠れる……!」ギューギュー

幸子「せ……狭い……!」ギューギュー

輝子「美玲も早く……!」ギューギュー

美玲「オッケー!」ダッ

美玲「入ったぞッ!」ギューギュー

幸子「ぐえ……狭すぎ……!」ギューギュー

乃々「そして私から離れないでください!!」ギュッ





犯人「フンッ! どこに逃げようが、俺から逃れられると思っt――!!」

犯人「……」

犯人「あれ!? あいつらどこに消えたんだ!?」キョロキョロ

犯人「こんな狭い部屋に、5人も隠れるスペースは無いのに……!?」キョロキョロ









美玲「机の下にいる乃々は、どこか存在感薄いなぁ、とは思ってたけど……」

輝子「まさか、ここまでだったとは……」

乃々「みなさんやPさんの感覚が鋭いから、感覚がマヒしてますけど……」

乃々「机の下にいる私は、本来なら、まず見つかることはないんですよ?」

小梅「幽霊に、なった気分……!」ワクワク

幸子「乃々さんに、そんな力があったなんて……!」ギューギュー





犯人「くそー!! どこに行ったー?!」キョロキョロ

美玲「輝子、隙を見て一発カマしてやれ!」

輝子「任せろ。ライブでいつもやってるからな」

幸子「アイドルが何故ライブで隙をつく必要があるんですか?!」

犯人「ど、どこだ……!?」キョロキョロ

輝子「今……!!」キラーン









輝子「ヒャッハー!!!! 触っただけでは何も起こらないけれど犯罪を犯した男の口にねじ込むと数時間は気絶して目を覚まさない程度の毒素を一瞬にして体内に充満させる、都合のいいキノコをくらえェ!!!!!!!!」ズボォッ!!

犯人「フゴゴ~!?!?!?!?」ビクンビクン

犯人「」バタッ

幸子「本当に都合が良い!!」

輝子「わ、私が育てた……!」フヒッ

美玲「ウチ、絶対オマエの恨みを買わないで生きていくから」

乃々「……もう大丈夫ですよ」モゾモゾ

美玲「よし、警察に連絡だ!」モゾモゾ

小梅「待って、私だけ何もしてない……」モゾモゾ

幸子「したいんですか?」モゾモゾ...プハァ!

輝子「この場所を……探り当ててくれた……」モゾモゾ

小梅「あれは、あの子のおかげだから」

美玲「分かった、それじゃ適当に色々しといて」

小梅「うん、任せて」

美玲「ウチは警察に連絡しとくからな」119









<モシモシ, ユウカイハンヲツカマエタゾッ

小梅「……」

小梅「……!」ピコーン

小梅「美容院変態理髪居士」サラサラ

幸子「戒名!?」

小梅「位牌は、サービス……」コトリ

幸子「位牌を常に持ち歩いている理由は?!」

輝子「さりげなく、キノコをアピール……フヒ」コトリ

幸子「お供え物!?」

数日後――
幸子誘拐疑惑事件捜査本部[解決]――



美玲「いやぁ~……」

美玲「怒られたな」

小梅「こってり、怒られたね」

乃々「子供が危険なことに首を突っ込むな、と言われてしまいましたね」

美玲「実際、自分がプロデューサーなら絶対言うよな?」

乃々「絶対言いますとも」

小梅「仕方ないよね」

輝子「うんうん」

幸子「皆さん……」スッ

幸子「ゴメンなさい……」

幸子「……」ペコリ

輝子「幸子……?」

幸子「元はと言えば、ボクがどんくさかったばかりに、皆さんを危険な目に会わせてしまって……」

幸子「その上、犯人と戦うことになってしまいました……」

幸子「ボクが、あんなことをしたから……」





幸子「『もっとカワイイアイドルになれるお菓子をあげるよ』って言葉を信じて、うっかり犯人のハイ□ースに乗り込んだから……!」フルフル...

美玲「純粋かッ!」

幸子「本当に……ゴメンなさい……」グスッ...

幸子「ゴメ゛ンな゛ざぃぃ……」グスグス...

輝子「幸子……」

小梅「幸子ちゃん……」

乃々「幸子さん……」

美玲「幸子……」









美玲「オマエ考えすぎ」チョップ!

幸子「がふっ?!?!」ガヅンッ!!

幸子「痛い!? かなり痛い!?」ゴロゴロ

乃々「幸子さんは勘違いしているみたいですね……」

乃々「この捜査本部に、後悔している方なんて1人もいませんよ」

輝子「そうだ……私は、私の意志で、飛び出したんだ……!」

輝子「それに幸子がいないと……ライブで、ち、沈黙、してしまう……」タハハ

小梅「私も、まだ教えてほしい科目があるから……」タハハ

小梅「こんなタイミングでお別れなんて、絶対にイヤだよ……?」

乃々「私も同じ気持ちです」

乃々「あと、今読んでる漫画、幸子さんがいないと布教できないんですけど……」タハハ

美玲「オマエがいなきゃ、ウチ1人でコイツらのツッコミしなきゃいけなくなるんだぞ?」

美玲「それは絶対お断りだからなッ!」ウガーッ

輝子「結局私たちは、幸子さんがいないとダメなんです」

美玲「逃げてもムダだぞ? またオマエを探し当てて、連れ帰ってやるんだッ!」

輝子「だから幸子は、自信満々に笑っていてくれ」

小梅「それでこそ……私たちの幸子ちゃんだから……」





幸子「皆さん……!」グスッ

幸子「~~っ!」グシグシ

幸子「フフーン!皆さんやっぱりボクの魅力に虜なんですね!?」ドヤァ!!

美玲「……フフッ」ニコリ









美玲「言ったなコイツー!!」ワシャワシャ

幸子「ぎゃー!乱暴に撫でないでください!」

幸子「髪がボサボサになるじゃないですか!」

美玲「ボサボ幸子になってろ! それー!」ワシャワシャ

輝子「私も、それー」ワシャワシャ

小梅「それー」ワシャワシャ

乃々「そーれぇー……」ワシャワシャ





幸子「も、もおぉ~……!!」



終わり

以上です、ありがとうございました

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