後輩「……」コソコソ 男「?」 (84)


男「ねー」

後輩「!!」

男「君、一年生だよね」

後輩「は、はい!」

男「うちのクラスに用事?」

後輩「あの、えと、そういうわけじゃ……」

男「うん?」

後輩「ご、ごめんなさい! 失礼します!」ササー

男「……?」


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男「驚かせちゃったかなぁ」

男「一年生が二年のクラスに何の用だったんだろ」

男「……まあいっか。帰ったってことは大した用じゃないだろうし」

男「帰ろっと」

男「あれ、机の上になんか置いてあるな」

男「……すきバサミ?」


――――――――――――――――――――――――――――

後輩「……」コソコソ

友「お?」

後輩「……」コソコソ

友「そこの君」

後輩「!!」

友「何か用事?」

後輩「あ、あの、えっと……」

友「ああ、いきなり話しかけてごめんね。何か困ってるなら手伝おうか?」

後輩「い、いえ、その……すいませんでした!」ササー


男「お待たせさん」

友「おっす」

男「時間かかって悪かったな。帰ろうぜ」

友「おうよ。あーそうそう、さっきトイレから戻ったら一年生が教室の前ウロウロしててさ」

男「あ、もしかして昨日の子かな」

友「え? 昨日もいたのか?」

男「ああ。同じ子かどうかはわからないけどな」

友「ふーん」


男「あれ、俺の机の上なんか置いてある」

友「んー? お前のじゃなかったのか」

男「俺知らないぞこんな袋」

友「何入ってんだ?」

男「んーっと……牛丼屋の割り箸?」

友「吉野家?」

男「すき家。誰かゴミ置いていきやがったな、まったく」

友「はは、ドンマイ」


――――――――――――――――――――――――――――


後輩「……」コソコソ

男(ありゃ、今日もいるよ)

後輩「……」コソコソ

男「よう」

後輩「!!」

男「毎日毎日どうしたの?」

後輩「いや、これはその……すみません!」ササー

男「ああ、ちょっと! ……行っちゃったか」


男「うーん、なんなんだろうあの子」

男「あれ、また机になんか置いてあるな」

男「これは……うーん」

友「ふぃー……あれ、戻ってたのか」

男「おう。今終わって戻ってきた」

友「俺がトイレ行ってる隙に戻ってくるとは、なかなかやるな」

男「なんだよそれ」


友「ん、その袋は?」

男「昨日と同じ」

友「中身は?」

男「聞いて驚け。今日は牛丼本体」

友「ぶはっ、マジかよ!」

男「手ぇ付けてなさそうだし、食うか」

友「うげ、大丈夫かよ」

男「まだあったかいし匂いも普通。平気だろ」

友「すげー逞しいなお前……」


――――――――――――――――――――――――――――


後輩「……」コソコソ

男(なんだかなー)

男「よう」

後輩「!!」

男「今日はどうしたの?」

後輩「あ、あの、その……」

男「まあまず落ち着きなって」

後輩「……ごめんなさい!」ササー

男「……」


男「……」

友「げ、今度はジュース買いに行ってる間に」

男「よー」

友「ん、なんか元気ねーな」

男「なあ、俺って怖いか?」

友「どー見ても優男。というか野菜みたいな男」

男「だよなあ……ってどういう意味だコラ」

友「お、元気になったな」


男「でもって今日も置いてあるな」

友「今日はちょっとでけーな」

男「見てみるか」

友「おい、気をつけろよ!」

男「なんでだよ……ん、なんだこれ」

友「なんだった?」

男「……肉、ネギ、しらたき、えのき茸、豆腐……」

友「はぁ?」

男「……! わかったぞ!」

友「何がだよ」

男「すき焼きだ!」

友「何がだよ!」


――――――――――――――――――――――――――――


後輩「……」コソコソ

男(今日も今日とて、か)

男「おーい」

後輩「!!」

男「連日ご苦労さん」

後輩「あ、えと……」

男「ご用事は?」

後輩「……失礼します!」ササー

男「……」


男「なんなんだ一体」

友「うわ、またいるよ」

男「よう」

友「お前、いつも俺がトイレ行ったタイミングで帰ってくるよな」

男「知らねーよ」

友「どうかと思うぞそういうの」

男「知らねーよ!」


友「そんで、あれは?」

男「なんだろな」

友「でけーな」

男「ああ、でけーな」

友「開けちゃう?」

男「開けちゃう」

友「マジ?」

男「マジ」


男「結構重いぞこれ」

友「やめちゃう?」

男「やめちゃわない……っと、なんだこれ」

友「……靴か?」

男「一昔前の巨大ロボットみてえな靴だな」

友「あ、あれだ。スキーの時履くやつ」

男「俺、スキーやったことないんだよね」

友「10秒に一回転けてそう」

男「てめーな」


――――――――――――――――――――――――――――


後輩「……」コソコソ

男(いるなー)

男「よう」

後輩「!!」

男「ここ最近、毎日君の顔見てるね」

後輩「っ、あ、その、あの……」

男「まあまあ、落ち着きなって」

後輩「……ごめんなさい!」ササー

男「……」


男「……」

友「ふースッキリ……ぬわっ、お前また!」

男「よっす」

友「くそぉ……また負けた……」

男「なんの勝負だよ」

友「わからん……」

男「へーへー」


友「よし、帰ろうぜ」

男「待て待て」

友「どした?」

男「明らかに無視して帰ろうとするなよな」

友「いやだって、あれはちょっと」

男「まあな」

友「お前、スキーで学校来たん?」

男「んなわけねーだろ」

友「じゃあなんでスキー板置いてあんだよ」

男「さっきまでなかっただろうが」


――――――――――――――――――――――――――――


後輩「……」コソコソ

男「よう」

後輩「!!」

男「今日も元気そうで何よりだ」

後輩「あ、っと……」

男「うん、いつも通りで何より」

後輩「っ、すみません!」ササー


男「……」

友「~♪ げ、またか」

男「失礼だなおい」

友「お前、エスパー伊東かよ」

男「伊東は要らねーだろバカ」

友「じゃあ魔美か」

男「ただのエスパーだ」

友「お前エスパーだったのか!」

男「ちげーよ!!」


友「今日もあるな」

男「ああ」

友「今日は俺が見てみる」

男「……気をつけろ。油断するなよ」

友「……なんか怖くなってきた」

男「冗談だから早くしろ」

友「えー」

男「もういいからどけ」


友「わかったよ、真面目にやるから」

男「真面目にやるってのもよくわからんけどな」

友「んー……?」

男「なんだった?」

友「紐? ……帯?」

男「タスキじゃないか?」

友「……どう違うんだ?」

男「帯に短し襷に長し、って言うだろ?」

友「ヒモみてーな顔しやがって」

男「どういうことなんだよおい」


――――――――――――――――――――――――――――


後輩「……」コソコソ

男(見慣れたもんだなぁ)

男「お嬢さん」

後輩「!!」

男「何かお探しで?」

後輩「あ、あ……」

後輩「し、失礼します!」ササー

男「……」

男「今日は逃げられるの早かったな……」


男「……」

友「うわっ」

男「うわってことないだろ」

友「いやー、今日も自販機行ってる間に戻ってきてるからさあ」

男「知らねーよ」

友「どうかと思うぞ」

男「なんなんだよおめーは」


友「今日の袋は小さいな」

男「さも当然のように鎮座してるぞ」

友「よし、今日も俺が行くぞ」

男「そんで当たり前のように確認する」

友「どれどれ……」

男「なんだった?」

友「……アイスキャンディだな。ドロドロに溶けた」

男「うへぇ」

とりあえずここまで
残りは夜に投下できたらいいなーって

再開します


――――――――――――――――――――――――――――


後輩「……」コソコソ

男(すっかり日常になっちゃったな)

男「よっ」

後輩「!!」

男「最近どうよ」

後輩「あの、その……」

男「お変わりなさそうで」

後輩「……ごめんなさい!」ササー

男「……」


男「……」

友「よう」

男「なんか毎日フられてる気分だ」

友「はぁ?」

男「こっちの話だよ」

友「なんでもいーけどよ。今日は何かな」

男「なんでワクワクしてんだよ」

友「ちょっと楽しみになってきた」


男「……なんか、もっしゃーってなってるな」

友「ああ」

男「あれ、なんだ?」

友「ススキだな」

男「なんで俺の机にススキが置いてあるんだ?」

友「なんかあったら相談乗るし、助太刀もしてやるからな」

男「虐められてねーよ」

友「じゃああれは?」

男「知らねーよ!」


――――――――――――――――――――――――――――


後輩「……」コソコソ

男「よーよーそこのねーちゃんよー」

後輩「!!」

男「なかなかカワイーじゃねーのー」

後輩「!! あ、ああのあののののの」

男「ごめんなさい。俺が悪かったから落ち着いて」

後輩「っ、すみません!」ササー

男「……悪ノリしてしまった」


男「……」

男「……来る」

友「うわー! 出たー!」

男「人をお化けかなんかみたいに言うな」

友「お化けみたいにいるんだもん」

男「俺はお前の方がフワフワしててお化けみたいだと思うけどな」

友「誰がQ太郎だよ」

男「どっちかというとフワフワしてないタイプのお化けだろそれ」


男「今日の袋」

友「レギュラーコーナー化したな」

男「不本意ながらな」

友「中身はよ!」

男「落ち着け……ジーンズ?」

友「スキニージーンズか? お前が欲しがってたやつじゃん」

男「お前ほんと適当なことしか言わねえな」

友「あ、でもレディースだこれ」

男「しかも古着だこれ」

友「レディース、しかも古着……だと?」

男「落ち着け」


――――――――――――――――――――――――――――


後輩「……」コソコソ

男「よー」

後輩「!!」

男「たぶん下手な同級生より顔合わせてるぞ君」

後輩「あ、えと、あのぉ……」

男「今日は?」

後輩「す、すみませんでした!」ササー

男「うん?」


男「……あれ」

クラスメイト「おう、今帰りか?」

男「ああ、お前は?」

クラスメイト「居残りだよチクショー」

男「そっか。頑張れよ」

クラスメイト「おう」

男(あれ、今日はなんもないな……)

男「……ただでさえ頭悪いんだから課題くらい真面目にやっとけよな」

クラスメイト「な、なんだよいきなり」

男「じゃあな」

クラスメイト「……?」


――――――――――――――――――――――――――――


後輩「……」コソコソ

男「やー」

後輩「!!」

男「昨日は残念だったね」

後輩「あ、あの、実は……」

男「! 話してくれる気になった?」

後輩「っ、ごめんなさい!」ササー

男「……ちょっとずつ、な」


男「……」

友「お前、実は掃除用具入れに隠れてて、俺が外行った隙に出てきてスタンバってたりしない?」

男「どんだけ暇人だよ俺は」

友「そうとでも言わなきゃ説明つかないってこれ」

男「知らねーよ。お前がずっとトイレにこもってるだけじゃねーのか?」

友「かもしれないな……!」

男「病院行ってこい」

友「冗談だよ」


男「さーて、今日は何かなーっと」

友「ご機嫌だなあ」

男「……これはヤバイぞ」

友「なんだなんだ?」

男「これ」

友「! 怪しい白い粉……!」

男「いよいよきな臭くなってきたぞ」

友「ついにここまでたどり着いちまったな」


男「で、なんだこれ」

友「魔法の白い粉だろ」

男「じゃあやべーじゃん」

友「やべーよ」

男「どうする?」

友「あ、俺あれやりたい。ペロッてしてこれは……ってやつ」

男「緊張感ねーな」

友「要らねーだろ」

男「だな」


友「ぺろっ」

男「口で言うな気持ち悪い」

友「……ん?」

男「どうした?」

友「んー……お前もやってみ」

男「……ぺろっ」

友「お前も言ってるじゃねーか」

男「……スキムミルク?」

友「俺乳製品苦手なんだよなー、うへぇ」


――――――――――――――――――――――――――――


後輩「……」コソコソ

男「ご機嫌麗しゅう」

後輩「!!」

男「なかなか仲良くなれないね」

後輩「あ、その、私……」

男「ゆっくりでいいよ」

後輩「あの、えと……」

男「うん」

後輩「っ、ご、ごめんなさい!」ササー

男「……」


男「……」

友「……」

男「……」

友「……」

男「なんか喋れよ」

友「俺から喋ったら負けかなって」

男「なんの勝負だよ」

友「今、俺たちの意地と意地がぶつかり合ってたんだ」

男「なんてみみっちい意地だ」



友「なあなあ、これっていつも誰が置いてってるんだ?」

男「さーてな」

友「……知ってんのか」

男「おう」

友「そっか」

男「聞かないのか?」

友「聞いて答えるならもう言ってるだろ」

男「……お前って時々人並み程度の頭になるよな」

友「どういう意味だよ」

男「そのまんまだよ」


友「で、今日は?」

男「んー……あっ」

友「なんだ?」

男「ウイスキー」

友「学校で出すのはまずいな」

男「まずいな」

友「ウイスキーって不味いのか?」

男「知らねーよ」


――――――――――――――――――――――――――――


後輩「……」コソコソ

男「やあ」

後輩「!!」

男「すっかりお馴染みだね」

後輩「あ、あの、先輩……」

男「おう」

後輩「えと、その、私……」

男「うん」

後輩「私……ごめんなさい!」ササー

男「……うん」


男「……」

友「rrrrrrrrrrrrルゥァッホォォウ!!!」

男「……」

友「あれ、今日はそういうテンションじゃない?」

男「そんなテンションだった時ねーぞ」

友「マジ?」

男「マジ」

友「テンション上げちゃう?」

男「上げちゃううううう!!!」

友「フォォォォォ!!!」


男「喉いてー」

友「騒ぎすぎて先生来て怒られたしな」

男「覚えとけよお前」

友「え、俺だけ悪いの?」

男「さてさて。今日は、と」

友「ねえねえ、俺だけ?」

男「んー……なんだこれ」

友「ねえねえ」


男「……本」

友「なんだこれ」

男「アイスキュロス?」

友「ウィンタースポーツみたいな名前してるな」

男「必殺技っぽくもあるぞ」

友「くらえ、アイスキュロス!」

男「やっべ、勝てる気がしない」

友「クハハ……とんでもない力を手にしてしまったぜ……」

男「おーい、戻ってこーい」


――――――――――――――――――――――――――――


後輩「……」コソコソ

男「よう」

後輩「!!」

男「今日はどうだ?」

後輩「あ、私、その……」

男「うん」

後輩「先輩が……先輩の、こと……えと、その……」

男「大丈夫、聞いてるよ」

後輩「あの、……ご、ごめんなさい!」ササー

男「……待ってるよ」


男「……」

友「……」

男「……」

友「……」

男「このパターンもうやったぞ」

友「なあ」

男「ん?」

友「……なんつーか、俺も応援してるんだわ」

男「……そっか」


男「さーて、今日は何かな何かなーっと」

友「ご機嫌だな」

男「おかげさまでな」

友「で、なんだった?」

男「CDだな」

友「聴いてみるか」

男「なんでCDプレイヤーなんか持ってんだよ」

友「こんなこともあろうかと」

男「すげーなお前」

友「実は俺、エスパー伊東だからな」

男「……すげーなお前」


男「んー……」

友「これは……」

男「懐かしいというか、世代が違うというか」

友「なんだっけこれ」

男「スキャットマン」

友「よくこんなもん見つけてくるな」

男「行動力はあるんだよなあ」

友「……」

男「どうした?」

友「ん、ちょっと考え事」


――――――――――――――――――――――――――――


後輩「……」コソコソ

男「よう」

後輩「!!」

男「今日も来たよ」

後輩「! あ、私、す、その……」

男「大丈夫。落ち着いて」

後輩「あの、私、先輩のこと……」

男「うん」

後輩「っ、ご、ごめんなさい!」

友「おっと待った」

後輩「!!」

男「!」


友「もうちょっと、頑張ってみな」

後輩「あ……」

男「深呼吸しよう。吸ってー吐いてー」

友「……いける?」

後輩「っ、はい!」

友「んじゃ、もう俺はお邪魔虫かな」

男「ありがとな」

友「うーい、お疲れさん」


男「……それじゃあ、聞かせてくれる?」

後輩「……はい!」

後輩「私、先輩のことが──












――――――――――――――――――――――――――――

男「ってのがパパとママの馴れ初めなのでした」

娘「ママ可愛い!」

息子「可愛い!」

後輩「恥ずかしい……」

男「ママ可愛い!!」

後輩「もう!」

男「じゃあ、もう遅いから寝なさいね」

娘、息子「はーい!」


男「うーん、あの時のママ可愛かったなー」

後輩「もう! まだ言ってるの?」

男「いやー、本当に可愛かったからさ」

後輩「……今の私は可愛くないの?」

男「……三人目いく勢いだぞこれは」

後輩「ちょ、ちょっと、駄目ですよ! これで、ね?」

男「……スキン、ね」



おしまい

特に捻りはないです
お疲れ様でした
良い夜をお過ごしください

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