俺氏「事件に巻き込まれてしまった。」 (24)
4月11日~21時13分
警察「待てぇ!動くな!」
俺氏「クソォ!どこまで追ってくるんだ!それに俺は無罪だ!人なんて殺していない!」
俺は勉強や運動が苦手な事を除けばあとはごく普通の高校二年生だ。そんな俺が何故、警察から逃げてるかと言えば…
話は遡る事3日前になる。
4月8日~20時21分
俺氏「それにしても姉ちゃん帰ってくるの遅いなぁ…腹減ったなぁ…今日バイトもないはずだし少し遅すぎるなぁ。」
俺は数年前に両親を事故で亡くし、それ以降は4歳年上の姉と共に暮らしている。姉は大学生で俺とは違い、愛嬌も良く人付き合いも上手いために
友人も多く異性からもモテる。同じ姉弟なのにどうしてここまで差が付いたのだろうか。
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そんな事を思っていると俺の携帯が鳴る。どうせこの時間帯に掛けてくるのはあいつ…友人Aしかないはずだ。友人Aがどんな奴かと聞かれればお調子者でノリが良いクラスのムードメーカーみたいな奴だ。学校でまともに話すのはこいつと友人Bぐらいしかいない。友人Bは成績優秀で普段はクールな奴だがとても仲間思いな奴だ…まぁ生真面目過ぎるのが少々厄介ではあるが…そんな事を思いながら、俺は携帯を見ると発信先はどうやら非通知だった。どうせセールスか架空請求とかその手の業者だろうと思い軽い気持ちで電話に出る。
俺氏「もしもし?」
???「君のお姉さんを預かっているものだ。返して欲しければ言うとおりにしてもらおうか…」
俺氏「はっ?どういう事だ?こういうイタズラは警察にバレたら…」
次の瞬間、俺は自分の耳を疑ったのだ。確かに姉の声が聞こえた。どうやらこの電話はイタズラなんかじゃない様だ。
俺氏「おい!?お前一体誰だ!?姉ちゃんに何をした!?」
???「君が言う通りにすればすぐさま、お姉さんは解放してあげるよ」
俺氏「俺に何をしろって言うんだ!?」
???「×○市の駅前のコインロッカーの504番にアタッシュケースがある。そのアタッシュケースをxxx池に破棄して欲しい。」
俺氏「なんで俺がそんな事を…!?」
???「予め言っておくが、警察に通報したり、アタッシュケースの中身を確認したら君のお姉さんの命はない?いいね?」
俺氏「本当に言う通りにすれば姉さんを返してくれるんだな?」
???「約束しよう…」
俺氏「分かった!今すぐにでもやる!」
冷静に考えれば小学生でも何かに巻き込まれる予感しかしない…けれどお姉ちゃんを助けるには言われた通りにするしかない。
俺は指定されたコインロッカーへと向かった。そして、コインロッカーへたどり着くともう一度非通知で電話が掛かってくる。
???「コインロッカーの鍵は裏のタバコ屋の主人が持っているよ。ココアシガレットの付録をくださいと言えば渡す様に言ってある。」
俺氏「姉さんは無事…だろうな?」
???「もちろん無事だよ。僕は野蛮人と違ってレイプをしたりはしないさ…だから安心してくれ。」
相手は僕と言っているので間違いなく男であるが、声を変えているから犯人の特定までは難しいか…いやっ余計な気を起こすな。
今は言われた通りに行動するだけだ。
俺氏「ココアシガレットの付録をください。」
主人「はいよ…」
その後、俺はコインロッカーへ急いで戻りアタッシュケースを取り出した。中身が物凄く気になるが開けるなと言われている。
だが破棄するって言うぐらいだからきっと、厄介な物に違いない…xxx池まで歩いていくのは流石に遠すぎる。
俺は近くでタクシーを拾い、泣けなしのお小遣いを使いxxx池まで向かった。
俺氏「ここに捨てればいいんだな…?これで無事に…」
警察「動くな!」
俺氏「クソッ!やはり罠だったか!」
警察「中身を確認させて貰うぞ!」
俺氏「これは!その…!」
警察「その中に死体が入っているとの通報があった!本当なのか!?」
俺は怯えて動くことが出来ずにその場で足をついてしまった。そして警察がアタッシュケースの中身を確認すると紛れもなく、少女の死体だった…
刑事「連行しろ!」
この絶体絶命の状況…逃げ切れる訳がない…十数人程度の警官に刑事が一人…まともに張り合っても勝てる訳がない。ならば警察に正直に全てを話すべきか?
だがそんな事をすれば姉さんが間違いなく殺されてしまうに違いない。どうするべきなんだ…?
?「乗れ!」
俺が諦めかけたその時…一人の男がバイクで俺を助けに来た。友人Bだ…
俺氏「お前…どうしてここが!?」
B「話はあとだ!とにかく乗れ!」
俺はすかさずバイクに乗り、その場から逃亡を図った。しかしパトカーは容赦なく追いかけてくるのだ。
俺氏「お前、こんな事したらお前まで警察に追われるぞ?」
B「もう追われてるさ…でも大丈夫だ。俺の身元までは割れていない。」
俺氏「でもすぐにバレるぞ?」
B「その時はその時だ。俺は学年最下位のお前とは違って、頭で考える事が出来るからな。」
車ではとても入れない様な裏路地を経由し、何とか警察を撒くことに成功したのだ。だが犯人が仕組んだのだとすれば間違いなく俺は指名手配されるに違いない。
B「ここまでくれば問題ないだろう…あとその携帯、今すぐ壊せ。」
俺氏「どういう事だ?」
B「いずれGPSで特定されるに違いない。」
俺氏「分かった!お前が言うんだから間違いないな。」
俺は愛用していたスマホを壁にぶつけ、踏みつけて壊した。
俺氏「それで…何でお前は俺があそこにいるって分かったんだ?」
B「俺の元に電話が掛かってきてな。大切な友人を助けたければ、バイクで×××池へ来いってな…最初はイタズラかと思ったが、何となく勘でマズイと錯覚した。」
俺氏「って事は犯人がお前が助けたと告げればお前まで追われる事になるぞ?」
B「問題ない…お前を助けられるならば俺はそれでいい」
俺氏「何、言ってんだお前?」
B「その顔の傷の借りだよ。」
俺氏「まだ気にしてたのかお前?」
B「違う。ただいずれ借りを返そうと思っていただけだ。」
刑事「動くんじゃねぇぞ!二人とも確保しろ!」
B「ここは俺が何とかする!お前は俺のバイクで逃げろ!」
俺氏「何、言ってるんだよ!?んな事出来るわけないだろう!」
B「いいから行け!」
俺氏「…ダメだやっぱりそんな事できない!」
だがBは警察達へ自ら、突っ込んでいき時間を稼いでくれている…ここは行くべきなのだろうか…俺の心には葛藤が生まれた。
しかしBの行動を無駄にするわけにもいかないと思った俺はバイクへ乗り、その場から逃亡する。
俺氏「B…すまねぇ…」
序章~完
ここで軽く登場人物を紹介したいと思います。
俺氏(16)主人公。ごく普通の高校生だけど成績や運動神経は悪い。だが正義感がそれなりに強く曲がった事を嫌う。
友人A(16)俺氏の友達でお調子者でノリの良いムードメーカー。俺氏以上に勉強が苦手であるが、口が上手く世渡り上手。
友人B(16)俺氏の友達。冷静沈着なエリート高校生で成績は学年上位でバスケ部のエース。かなりの美男子で芸能界から何度もスカウトが来る。
幼馴染(16)俺氏の幼馴染。良くも悪くもお節介で母性が強い。俺氏に対して幼馴染以上の感情を持つ。
姉(20)犯人に誘拐された俺氏の姉。ガールズバーでバイトをしている。現在、消息不明。
殺された少女(16)アタッシュケースの中から死体となって発見された少女。義理の父親は街を仕切るヤクザの組長。
若頭(45)組長の命令で娘を殺した俺氏を何度も追い掛け回し、命を狙う。
組長(60)殺された少女の義理の父親で街を仕切るヤクザの組長。俺氏に復讐するためにあらゆる手段を使う。
担任(29)俺氏の担任。根っからの体育会系で教育に対して強いポリシーを持つ。生徒には時には優しく、時には厳しく接する。
刑事(45)俺氏を追う刑事。現場一筋の刑事で何人もの犯罪者を刑務所に送ってきた強者。
理事長(45)俺氏の通う学校の理事長。普段は爽やかでスマートな人格者で保護者から絶大的な支持を得る。
他にも登場しますが最初はとりあえずこの程度で…
第一章「真実への手段」
4月11日~21時13分
警察「動くな!」
あれから3日の間、何とか逃げ切っていたが…体力と空腹がついに限界に達し、今にも倒れそうだが無我夢中に走っている。
この3日で口にしたものと言えばコンビニで廃棄された弁当とスーパーの試食ぐらいだ。ただ水分は比較的、公園などで採れている。
?「俺氏!乗れ!」
またもや誰かが俺を助けに来た。だがこれは敵の罠かも知れないと一瞬、考えたが聞き覚えのある声だったために俺はその声の主の車に乗る。
俺が運転手へ視線を向けると、それは見覚えのある顔…いやっ、馴染みのアリ過ぎる顔。
担任「俺氏、色々と大変な事になってるみたいだな。」
俺氏「先生!?どうしてここが分かったんですか?」
担任「Bの奴から連絡を受けてな…あいつ、いつの間にかお前にGPSを付けていたらしい。」
俺氏「Bの奴はどうなったんですか!?」
担任「証拠不十分で釈放されたよ…まぁっ、知り合いの弁護士に色々頼んだんだがな。」
俺氏「そうですか…でも先生、俺を助けたら先生まで大変な目に…」
担任「お前、何か勘違いしてないか?俺は犯罪者を助けた覚えはないぞ?」
俺氏「どういう事ですか?」
担任「お前は無実だ…少女を[ピーーー]様な奴じゃない。俺が助けたのは俺氏という自分の生徒だ。悪いことをしていない生徒を助けるのは当然だろう?」
俺氏「先生…」
何て良い人なんだろうか…下手に関われば自分の立場だって危ういというのにどうしてこの人はここまで出来るのだろうか…
だがいつまでも迷惑を掛ける訳にはいかないな。
俺氏「先生、俺この辺で大丈夫です。」
担任「迷惑を掛けるととか思ってるな?お前」
俺氏「何でわかったんですか?」
担任「お前とはもう2年の付き合いになる…そのぐらいわかるさ。」
俺氏「でも先生…これ以上、関わると厄介な事になりますよ?それに結婚を控えているんですし…」
担任「そんな事より、テレビ見てみろ。報道されてるぞ?」
書き溜めはないですけどちゃんと完結させます。あと軽いノリで深く考えずに書いているので至らない点が多いことを予めご了承ください。
俺がナビのテレビに目を向けると、やはり事件について報道されていたのだ。待てよ…被害者の少女の父親は暴力団組員だと…?
担任「敵は警察だけじゃない…お前が無闇矢鱈に動けば、ヤクザの餌食になるだけだ。」
俺氏「じゃあ俺はどうすればいいんですか?」
担任「Bから話を聞いたが、その非通知の男が多分、犯人のはずだ。逃亡しながらそいつを追うしかない道はないだろうな。」
逃亡と聞けば、聞こえは悪いがそれが俺が今出来る唯一の真実への手段なのかもしれないな。
担任「腹減ってるだろう?そこら辺で飯でも食うか…」
俺氏「でも俺と一緒にいれば…」
担任「俺はこう見えても教師だぞ?ドライブスルーで何かを頼もう。」
その後はドライブスルーで牛丼の特盛を食べて、疲労のあまりに俺は寝てしまった。そして目を覚ますと、見覚えのない一室にいた。
多少薄汚いライブハウスの跡地の様な場所であるが、アジトとしては十分だ…最低限の設備はありそうなので。
そして近くに置き手紙が置いてあったので読む事にした。
「心配するな。ここは警察もヤクザにも知られていない場所だ。俺は仕事に行くがお前はゆっくりしてろ。」
先生の気持ちは嬉しいがこれ以上関わればきっと迷惑になってしまう…そう思った俺はそこから去ろうとするがご丁寧に外からロックされている。
そして入口の近くにはまたもや置き手紙があったのだ。
「出ようとしても無駄だ。迷惑だなんて考えるな。」
先生は俺の母ちゃんか彼女なのか…?俺の思考パターンを全部読んでいるじゃないか…
一方~ヤクザの事務所にて
組長「俺の大事な娘を殺した、俺氏って奴を捕まえろ!捕まえた奴には欲しいものは何でもくれてやる!但し[ピーーー]んじゃねぇぞ![ピーーー]のはこの俺だからな!」
若頭「オヤジ、俺氏って野郎は必ず俺がオヤジに差し出します…」
組長「お前がもし捕まえたら、組長の座をくれてやる…そろそろ引退を考えてたんでな…」
若頭「俺はオヤジを担ぐためにこの世界に入った身です。引退なんて寂しい事言わんといてください。」
組長「娘には話していたが第二の人生を送ろうと思っていた矢先にこれだ!俺氏を殺したら俺も娘の元へ行く!」
若頭「オヤジ、早まらんといてください。」
学校
理事長「担任先生、俺氏くんについて何かご存知ですか?」
担任「俺も探していますけど、中々見つかりません。」
理事長「そうですか…」
担任「それが何か?」
理事長「私は疑問に思うんです。俺氏くんの性格からして殺人なんてするのかと…それは担任先生が1番わかっていると思いますが」
担任「その通りです。あいつは人を[ピーーー]様な奴じゃありません。」
理事長「ならあなたは最後まで信じてあげてください。私も出来る事は精一杯やるつもりです。」
担任「ご存知なんですか…?」
理事長「さぁ何のことですかね?」
誤解させてしまい申し訳ありませんこちらの書き方が悪かったです。あとsagaについてのご指摘ありがとうございます。大変助かりました。
幼馴染「先生!俺氏は今どこにいるんですか?」
担任「何のことだ?」
幼馴染「ごめんなさい…Bくんから全て聞きました!私も俺氏の力になりたいんです!」
担任「ダメだ…Bにも伝えておけ、これ以上は関わるなと。」
幼馴染「でも…俺氏は絶対に人を殺したりはしません!なので犯罪者を助けるんじゃなくて俺氏を助けるんです!」
担任「その旨は伝えておく。」
幼馴染「でも!」
B「落ち着け…俺たちに出来ることはもうないんだ…」
幼馴染「でもBくんだってさっき!」
B「冷静に考えるとこの前のあれが俺に出来る精一杯のことだと俺は気付いた。」
理事長「…」
4月12日~19時45分
担任「遅くなって悪いな!飯、買ってきたぞ!」
俺氏「すいません…迷惑ばかり掛けてしまって。」
担任「そういえば幼馴染がお前のことを心配していたぞ?」
俺氏「あいつだけは巻き込みたくないんでここにいることは黙ってもらってもいいですか?」
幼馴染「なぁに!それ!かっこつけてるつもり?」
友人A「よっ!俺氏!プリズンブレイクみたいだなぁ!」
B「すまん…バイクで先生のあとをつけてここに来た。こいつらどうしても聞かなくてな。」
担任「お前たち、分かってると思うが警察は俺氏を指名手配している以上、下手に関わればお前らもただじゃ済まないんだぞ?遊びじゃないんだ。」
友人A「分かってますって!」
B「覚悟は出来ています。」
幼馴染「とりあえず色々買ってきたから食べてよ!今日はパーっとパーティしようよ!」
俺氏「幼馴染…俺はマジでやばい状況なんだぞ?」
幼馴染「だからだよ!こういう時こそ楽しまないと!じゃないと胸がいっぱい、いっぱいになっちゃうでしょ?」
それからしばらくは久しぶりにパーティーやなんやらを楽しんで全員眠りについた。
だがこいつらを覚悟を決めた様に俺も覚悟を決めた…こいつらを巻き込んじゃいけないと…
B「これ持って行けよ…」
起き上がった俺に気付いたBは俺に財布と鍵を渡す。
俺氏「お前…気づいていたのか?」
B「お前のことだから、俺らを巻き込みたくないとか考えたんだろう?だからお前がそう思うならそうすればいい。」
俺氏「悪いな色々助けてもらったのに。」
B「だが俺たちがお前の友人としてお前を助けようとするのは俺たちの勝手だ。それだけは忘れんな。いいな?」
俺氏「かっこいいこと言ってんじゃねぇよ!」
担任(バカだなこいつら…)
俺氏「じゃあな!俺は必ず無実を証明して学校へ戻るからな!」
俺は決意の道へと進み、唯一の真実への手段を使う事を選び、ライブハウスから出るとそこには大勢の警察がいた…
刑事「俺氏だな!これ以上、動くんじゃねぇぞ!?」
刑事が近づいて来るだけではなく、先生が後ろから俺を殴りつけてきた…
俺はその場で身動きを取れなくなってしまい、パトカーに乗せられる。
刑事「ご協力感謝しますよ…皆さん…」
俺氏「どういうことだ!?あいつらが裏切ったって事か!?」
第一章~完
少し熱意が出てきたので筋書きを色々考えてみるので続きはまた明日投稿します。もしかしたら今日の夜か夜中に投稿するかもしれませんが基本的には明日です。こんな作品を読んでいただきありがとうございました!それではまた明日!
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