少年狼「人間が来たぞ~~!!」 (5)
女狼「ほんとに!?どこ、どこ!?久しぶりの獲物よ!!」
男狼「いや待て、村の奴ら総出で荒らしに来た可能性もあるぞ!」
女狼「関係ないわ!一人残らず食ってやるんだから!」
少年狼「ぷくく・・・・・・」
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少年狼「ざんねん、ウソだよ〜!」
女狼「・・・・・・は」
男狼「・・・・・・えっ」
少年狼「一人残らず食ってやるんだからーだって!総出で荒らし来たーだって!くくくw・・・・・!あいてッ!」
父狼「・・・・・・」(ジロリ)
少年狼「あ・・・・・・父さん・・・・・・そんなイキナリ殴らなくても」
父狼「見え透いた嘘を吐くな。しかもこんな状況で」
少年狼「父さんわかってたの?嘘だって」
父狼「あぁ。もう何年も無いからな。人間がこの森に入って来るのは――我々を怖れてだろうが。それに何より、人間の臭いが全くしなかったからな。お前らもそれくらい気付け」(男狼と女狼に顔を向けて)
少年狼「でも、人間が臭い消してることだって――――」
父狼「講釈垂れる前に、する事があるだろう?」
少年狼「・・・・・・知らな」
父狼「知らないとは言わせん」
少年狼「・・・・・・何だよ!ほんとに知らないんだからな!!」(ダッ)
父狼「おい待っ・・・・・・――あの馬鹿が」
女狼「あの子、馬でも鹿でもないけど」
男狼「お前は黙ってろ」
父狼「・・・・・・息子が悪い事をしたな、済まない」
男狼「アンタに謝られると調子が狂う。やめてくれ・・・・・・じゃない。やめてくださいよ、“族長”」
父狼「そっちこそ敬語はやめてくれ。私は・・・・・・敬われるべき男ではない」
女狼「このままだと、あんな嘘つき野郎が次の長か・・・・・・やだなぁ」
父狼「・・・・・・」
女狼「あっ、いっ、いやぁ、別に族長のことを悪く言ったわけじゃないんですよ!?族長は族長として頑張ってんですから!!」
父狼「・・・・・・それだけじゃあ駄目だ」
女狼「えっ」
父狼「私はまだ族長とは名乗れんよ。・・・・・・」
女狼「どういうこと?」
父狼「子を持てば解るさ」
女狼「子どもかぁ・・・・・・アタシ縁良くない良くないしなぁ」
父狼「何だ、二人は番だと思っていたのだが・・・・・・」
女狼「アタシがぁ!?無理無理無理無理無理無理」
男狼「オレがぁ!?いやいやいやいやいやいや」
父狼「仲は良さそうだな」
男狼「いや良くないですから!ね?知ってます?こいつ肉に飢えまくってて内臓とか見たり獲物追う時は狂人になりますからね!?」
女狼「いやいや、そっちは逆にグロいのを嫌い過ぎ。血流しただけて気絶するの困るんだけど。てかどうやって生きてこれたの?」
男狼「できるだけ見ないようにしながら肉を川で洗って血とかを落として――」
女狼「それ別の動物じゃん!」
男狼「と、に、か、く!オレ絶対こいつとは趣味合いませんから!」
女狼「アタシも、こんな軟弱[ピー]野郎とだけはゴメンです!」
父狼「あぁ・・・・・・そうか。お互いいい相手が見つかると良いな」
男狼「それより族長、息子さん探さなくていいんスか?」
父狼「遠くへは行くまい。この森には熊や虎も居ないし、そのうち戻ってくるだろう」
女狼「帰ってきたら土下座だな。そして許さない」
父狼「私からも言っておこう」
男狼「随分軽いですね」
父狼「言ったろう。敬語はやめてくれ、と。――この辺りはまだ安全だからな。まぁ・・・・・・東の崖の方に向かってなければ、だが」
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