ある日の夜……
暁は一人で黙って、夜までお出かけしていたことを提督に怒られてしまいました。
暁「司令官のばかばか!」
暁「暁はもう子供じゃないって、なんども言ってるのに!」
暁「……いいじゃない」グスツ
暁「一人前のレディーなんだから、夜までお出かけしたって」
暁「ケータイだって、お小遣いだってちゃんと持ってるし」
暁「……それに」
暁「いつまでも門限を守らなくちゃいけないなんて……つまんない」ムスッ
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トボトボ…
暁「……」グスッ
グラ「?」
グラ「どうした、やけに沈んでいるなアカツキ?」クスッ
暁「あっ、グラーフさん……」
暁「ごきげんようなのです」ペコッ
グラ「あぁ、ゴキゲンヨウ」ペコ
暁「実はね、さっき……」
……
…………
………………
グラ「そうか、それでアトミラールに……」
暁「うん……」シュン
暁「もう、ほんとうに頭にきたんだからっ」
グラ「ふふっ、その気持ちは私にも分かるぞ」
暁「え!ほんと?」パァァ
グラ「あぁ……だが」
グラ「アトミラールの言う事も、やはり一理ある」
暁「むぅ、あなたも司令官の肩を持つのね」ムスッ
暁「もう許さないんだから!」
グラ「?」
暁「こうなったら、今からグラーフさんの部屋をお邪魔しちゃうわ!」ビシッ
グラ「わ、私の部屋にか?」
暁「そうよ!そして、あなたと一夜を共にして……」
暁「暁が一人前のレディーだってこと、思い知らせてあげるんだから!」
グラ「ふむ……」
グラ「それは構わないが……」
暁「ふふ、そうこなくっちゃ!」
ガチャ
グラ「ここが私の部屋だ、アカツキ」
暁「わぁ……!」
暁「かわいい北欧家具が沢山……!」キラキラ
グラ「恥ずかしながら、祖国にいた時と同じようにしないと落ち着かないものでな」クスッ
グラ「目に煩いかもしれないが、すまない……ご了承願おう」
暁「そ、そんなことないっ!」
暁(ふ、ふん!)フイッ
暁(暁の部屋にだって、チ、チューリップ柄のお茶碗くらい……)
グラ「さて……」ゴソゴソ
暁「あら、グラーフさん何をしているの?」
グラ「ん、ベッドメイキングだが……」
グラ「今日はもう遅いからな……」
グラ「さぁできたぞ、ここに来て早く寝るん」
暁「ち、ちょっと!」
暁「そ、そうじゃないのっ!」オロオロ
グラ「?」
暁「今夜はしっかり夜更かしして、暁がレディーであることを証明するの!」
グラ「そ、そういうことだったのか……参ったな」
グラ「祖国では、子どもは8時には寝かさなくてはならないのだが……」
暁「キィーッ!」プンスカ
暁「◎△$×¥●&%#~っ!」ガミガミ
グラ「うぅっ……」
暁「はーっ、はーっ……!」
グラ「お、落ち着いたか……?」オロオロ
暁「…………」ハァ
暁「こんなことで怒ってばっかじゃ、レディー失格よね……」
暁「仕方ないから、特別に許してあげるわ……」
グラ「そうか……ダンケ」ペコ
暁「その代わり、あなたのおすすめの……」
暁「本場のビールを一杯、頂けないかしら?」フフン
グラ「な……!」
暁「お金ならちゃんと払うわ!」
暁「たいかをしっかりはらうことは、レディーとして当然の務めよ」エッヘン
グラ「い、いや、そういう問題ではなくてっ」
グラ「その……」ジーッ
暁「?」
グラ(成人は……していないだろうな……)
グラ(ど、どうする……っ)グッ…
暁「……」ドキドキ
グラ「ま、待たせたな、アカツキ」
暁「ふふん、ま、待ちわびましてよ!」フルフル
暁「……これは……なんていう銘柄なの?」
グラ「……ビ、ビットブルガーだ……」フイッ
暁「す、すごく雰囲気のある名前ね……」ドキドキ
暁「…………」ドキドキ
暁「に……苦い……?」チラッ
グラ「……あ、あぁ……」
暁「……」ドキドキ
暁「……え、えいっ!」クイッ
暁「…………」ゴクン
暁「……あまいわ」ニコッ
グラ(騙す結果となったことを、許してくれアカツキ)
グラ(貴女を、ハンザイシャにするわけにはいかなかったんだ……)
グラ(グラスに注いだそれは、日本語が読めずに私が間違って買った)
グラ(ノンアルコールの麦酒様飲料だ……)ガクッ
暁「ふぅー、なかなか美味しかったわ」ニコッ
暁「ふふ……苦いと言っても、大したことないじゃないっ」エッヘン
グラ「そ、そうか、それはよかった」
暁「ふあぁ、なんだか……」ホワン
暁「……酔ってきちゃったみたい」チラッ
グラ(えぇ……)
一旦離れますね
ひどいタイミングのスレ立て、涙がで、でますよ
暁(ほろ酔い姿のレディーは魅力的だって、そう本に書いてあったのよね)フフン
暁(だから、それに憧れて酔ってる振りをしてみたけど……)
暁(……正直、自分が酔ってるのかなんて分からないわ……)
グラ(さっきのあれは、確かにノンアルコールだったはずだが……)
グラ「よ、酔っているのか……?」
暁「う、うん……」
グラ「……本当に?」
暁「ほ、本当よ!」
グラ「…………」ジーッ
暁「……っ」ドキドキ
グラ「……!」ピコーン
グラ「そうだな……アカツキはレディーだから、酔っているのだな」ニコッ
暁「う、うんっ!」
グラ「ではレディー、次はこれなどいかがだろう?」スタッ
暁「!」ビクッ
暁「ま、またビールだったら大丈夫……かな……」
グラ「ははは、今度はビールではないが……」トクトク…
グラ「これも本場のものだぞ、赤ワインだ」トンッ
暁「……っ」ゴクリ
暁「なんだかジュースみたいね」ニコッ
グラ(濃縮還元ブドウジュースだからな)フフッ
暁「うふふ、またほろ酔い気分になってきたわ……」
グラ「……そうか」ニコニコ
暁「えへへ、酔ってる酔ってる~」クルクル
グラ(これがアカツキなりの酔ってるという主張なのだろうか)ニコニコ
暁「あぁ~、酔っちゃったわ~……」チラッ
グラ「……」クスッ
暁「え、えっと……酔っちゃった……なー」チラッチラッ
グラ「……」
グラ「すまん、つい……」シュン ←いたたまれなくなって真実を話した
暁「――っ!」ジタバタ ←ベッドに顔をうずめて恥ずかしがっている
暁「もぉ!」
暁「グラーフさんなんて大嫌い!」グスッ
グラ「うぅ、面目ない……」
暁「…………」
グラ「…………」
パカッ
グラ「……シュトロイゼルクーヘン……食べるか?」
暁「……?」チラ
暁「おいしい……」モグモグ
グラ「そうか、よかった」ニコ
グラ「昼に焼いたのだが、ちょうど一人では食べ切れなかったところだ」
暁「……ふん、そうだったの」
グラ(本当はアトミラールと一緒にと思っていたが、声を掛けることができなかった……)シュン
暁「~~♪」モグモグ
グラ「……ふふっ」
グラ「酒はまだ勧められないが……」
グラ「こういうレディーの嗜みなら、いつでも付き合うぞ」ニコッ
暁「…………」モグモ…
暁「うんっ!」ニコッ
グラ「眠くないのか、アカツキ?」
暁「まだまだ平気よっ」
グラ「そうか……」
グラ「私はそろそろ、テレビで映画を見るつもりだが」
グラ「どうだ、一緒に見るか?」
暁「えぇ、私も見るわ!」
暁「映画鑑賞だって、立派なレディーの嗜みですもの!」
グラ「そうか、分かった」フフッ
<アァ、ケサ…マイアミヲタッタトコロダ
グラ「今日はサスペンス映画か……」
暁「サスペンス……」ガッカリ
グラ「……どうした、退屈なら番組を変えるが?」
暁「た、退屈なんかじゃないもん!」ムッ
<…ダンカン…
<オォゥ…トレイシ-…
暁「ななな……!」カァー…
暁「き、急に裸になんないでよっ!」
グラ(こ、この時間帯にこんな内容、大丈夫なのだろうか?)カァー…
<オーゥ、オーウイエース……シーッハ…オーゥ
暁「……!」プイッ
グラ「あはは、終わったら教えるからな……」カァー…
暁「……うん」カァー…
<ヤツハスイスギンコウノコウザヲケイユシテイル
<ヤハリカ…
グラ「……ん?」チラッ
暁「……」ウト…ウト…
グラ「アカツキ?」
暁「!」ビクッ
暁「えっ、も、もう終わっちゃったの!?」キョロキョロ
グラ「いや、映画はまだ終わっていないが……」
暁「そ、そう……」
グラ「……」ジーッ
グラ「ヨダレ……これで拭くと良い」スッ…
暁「!」ゴシゴシッ
<チャラララ-♪
グラ「終わったか」
グラ「なかなか面白い映画だったな、アカツ……」
暁「……」コクッ…コクッ…
グラ「……アカツキ……」クスッ
ポンポン
暁「ふにぅ……!?」
グラ「そろそろ、ベッドに行こう……」
グラ「な?」ニコッ
暁「……うん」シュン
ファサ…
暁「…………」
グラ「どうしたんだ?」
グラ「さっきから、元気がない……眠れないのか?」
暁「……」
暁「……ねぇ」
グラ「ん、なんだ?」
暁「暁ね……分かったの」
暁「グラーフさんはお酒も飲めるし、難しい映画だって見られるし」
暁「お菓子も焼けるし、少しイジワルな時もあるけど、優しいし……」
暁「それに、すごく美人……すごく立派なレディーだわ」
グラ「い、いきなり何を言い出す、アカツ……」オロオロ
暁「それに比べて……暁はこんなだし……」
暁「……今日、司令官が怒ったのも……当たり前のことだったのかも」
暁「本当はまだ……一人前のレディーには、ほど遠かったのね……」シュン
グラ「……」
グラ「何を言っている、貴女はもう……立派なレディーじゃないか」クスッ
暁「……慰めはよしてよっ」プイッ
グラ「慰めなどではない」
グラ「レディーとは本来、騎士道において……」
グラ「騎士が守るべきとする、高貴な女性を表す言葉だ」
暁「……そうなんだ」
グラ「あぁ」
グラ「少々曲解かもしれないが、要はレディーとは……」
グラ「男性にとって、守りたいと思わせるような女性のことでもある」
暁「…………」
グラ「アトミラールがアカツキに怒ったのも……」
グラ「あなたを守りたいという、その一心からだ」
暁「!」
暁「司令官が……暁を?」
グラ「そうだ」ニコッ
グラ「既に一人の男性から、守りたいと思われている貴女のことだ」
グラ「これをレディーだと言わずして、何と言う?」
暁「……グラーフさん……」モゾモゾ
暁「……ありがとう」ニコッ
グラ「私は……なにもしていない」
暁「zzz」スースー
グラ「…………」ナデナデ
グラ(アカツキ……今はそれでいいんだ)
グラ(年相応に、健やかに、肩肘張らず……な)
グラ(……ふふっ、貴女の寝顔を見ていると)
グラ(昔の私を思い出すな……)ニコッ
終わり
なんだか昔、スピーシーズをお茶の間で家族と見た記憶が蘇りました(白目)
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
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