……この時を以て、南方攻勢に於いて多大な実績を残した偉大な男は、その穢れを知らぬ美しくも脆い硝子の如き心を散らした。
竣工間もない艦娘の放った一言が、提督“だった”男の精神で今なお反芻し、それにより彼はただ嗚咽と嘔吐と虚言を自室で繰り返すだけの、哀しき人形であり続けることを余儀なくされている。
かつて栄華を誇った鎮守府にはもはや活気など無く、またその頭脳を失った艦隊に、未来は無かった。
深海棲艦に対し絶対優位を誇った彼我の勢力は衰えに衰え、南半球における勢力版図は完全に真逆のものと化したのだ。
廃人と化した提督の救済策は幾つも考案されたが、そのいずれも実を結ぶまでには至っておらず、艦隊の最期は徐々に、しかし確実に近づいていった……。
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長門「提督は今日も、何も口にしていないらしい……」
大淀「あぁ、どうしてこんなことに……!」
不知火「事情はまだ、何も話して頂けていません」
龍驤「ホンマ、どないしたらええんや……」
曙(いや、なんでこうなるのよ……)ガクッ
曙(あれはただ……舐められたくない、その一心で放った言葉だったの……)
曙(そのせいで、艦隊全体がおかしくなってしまうなんて思ってもみなかった……)
曙(……で、でもっ)
曙(第一、あのクソ提督のメンタルがあんなに弱いこと自体がおかしいのよっ)
曙(よくそんなんで、提督が務まって……)
曙(…………)
曙(……謝んなきゃ……)
曙(でも……あたしみたいなのが、どうやって謝れば……)
曙(……そうだ!まず、あの子達に相談して……!)
……
…………
………………
朧「なるほど……そういうことだったの」
曙「黙っててゴメン」
曙「提督と会うのも、先にここにいたアンタたちに相談してからにしていれば、こんなことには……」
潮「ううん、正直に言ってくれて嬉しいよ」ニコ
漣「でも、ご主人様にそのまま会った所で……また同じ繰り返しになるだけだよねぇ?」
曙「う……確かに……」ガクッ
朧「じゃあ、まずは言葉使いから直そうよっ」
曙「こ、言葉使い……?」
漣「そうだよ(便乗)ボーロ、ナイスアイディア!」ニコッ
潮「曙ちゃん、がんばってねっ」
曙「え、ちょっ……」
曙「ご、ご主人……さま……」カァー
曙「……こ、この間の……こと……」
曙「ゆ……許して……ください……にゃん……」プルプル
漣「神!神!」キラキラ
潮「曙ちゃん……かわいい……」
朧「ん、ちょっと元気が足りないかな?」
朧「じゃ、もっかい!」パンッ
曙「くっ……!」グググ…
曙(なんという屈辱……!)
曙(……でも、仕方がないことよね)ハァ
曙(今はまず、罪滅ぼしをしなくちゃ……)
……
…………
………………
今日は寝ます
すみません
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