【オリジナル】安価とコンマで人と異能と陰謀と (756)


器用さと知能で文明を発展させてきた人間は新たな段階を踏み出した

奇々怪々な現象を起こす『異能』

圧倒的な身体能力を持つ『超人』

そう、人類は進化した


その一方で社会は退廃していった

国という枠組みに力は無く

人類という基準が曖昧となり、世に人権や道徳と言った言葉が軽視されていく

                      
変わり果てた世界にも、弱者を救う『光』がある
                   
変わりゆく世界でも、敗者が生きる『闇』がある

                
しかし、我々は何れ決着をつけなければならないだろう


進化のその先―――――人類の到達点を



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1460209116



安価とコンマでオリジナルの世界観を楽しむ奴です


安価とコンマで異能者となって生き抜く
【オリジナル】安価とコンマで異能者となって生き抜く - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1435924827/)
このスレの世界観のリメイクです

読んでいなくても全く問題ありません



<プロローグ>

2000年ころに『超人』と呼ばれる、異常な力を持った人間の登場により現代とは異なる文化的発展を遂げた世界

超人の前では警察や軍などの現存した国の防衛力では全く歯が立たず、世界の治安は悪化の一路を辿っていた

その世界の暗雲を払ったのが『カワサキ警備保障』に属する正義の心を持った超人、通称『ヒーロー』と呼ばれる者達

ヒーローの活躍によって『超人犯罪』は激減し、2005-55年まで現代と変わらぬほどの平和な世界を実現した

しかし2055年、世界に新たなる不穏の種が生まれた

『異能者』の存在である

2050年ころ、既に異能者の存在は明るみに出ていたが超人という存在の件もあり、あまり異端視されてはいなかった

異能者が危険視され始めたのは2055年

超人の身体能力をもってしても証明することができない『不可能犯罪』が数件確認され始め、それが異能者によるものではないかと発表がされたのが発端であった

超人犯罪抑制のために働いていたヒーロー達は年齢を理由に続々と引退者が増えており、それもまた世界の不安を煽っていた

だが、そうなることをまるで予期していたかのようにカワサキ警備保証は『カワサキヒーロー協会』と名前を変え、新たなるヒーローとして異能者を集めていたのだ

その予防策が功を成し、2000-05年にまで続いた超人犯罪による悪夢のような5年間は繰り返されることは無かった

そして2080年、世界は慌ただしいながらも平和を享受していた

刻一刻と、不穏の種が育っているとも知らずに…………



【人間と超人と異能者について】

世界総人口10億人

そのうち5割が人間であり、超人と異能者が合わせて5割ほど確認されている

人間が成長の過程で超人になった例は一つも無いが、人間が異能に目覚めた例はいくつも確認されている

超人の異能者は未だに希少でありほんの数件しか確認されていない

超人は人間同士の交配から突然生まれることもあり、上記の異能の発症とあわせて、超人と異能者は『人間である』と考えられている

人間の進化の形、人間の進化の枝分かれという説も存在するが両者ともに徐々に数を増やし続けているのは間違いない

超人も異能も『個性の一つ』として認めようとした運動も受け入れられ始めているが、過去に世界の秩序を破壊した超人は未だに軽蔑の視線を向けられることも多い




【超人について】

人間を超えた人間

主な特徴としては異常に発達した感覚器官、人間とは比較にならないほど重く柔軟な筋肉、それを保護する厚い皮膚、そしてそれら全てを支える太く丈夫な骨を持つ

男女による個体差はあまりなく、100m走の男女平均共に5秒台、平均握力400kgなど。どれも体格による差も少ない

特筆すべきはその回復能力であり、病原菌や毒に対する耐性、肉体の修復能力、驚異的な持久力。それらが最も生物として優れていると言える

普通の人間より遥かに体重が重い事以外は外見に人間との差は無い

その生活も殆どが人間と差は無いが、食事もしくは睡眠を多くとりたがる傾向にあるようだ

2000-05年の間続いた超人犯罪によって生まれた超人=犯罪者といった偏見はいまだに根強く、国や地域によっては居住すら許可されず人権の保障すらされない場合もある


【異能者について】

不思議な能力を持つ人間の総称

人間同士の交配で生まれ、生まれつき異能者であるケースと、成長していく過程で異能者となるケースが存在する

生まれながらの異能者はあまり存在せず、5歳を超えたあたりから異能が覚醒し始める例が多い

『天雲財閥』の異能研究により、今では天雲系列の病院で簡単に『異能適性検査』というモノが行える

異能者は5段階で判定され、数字が高いほど上手く異能を扱える人間とされている

レベル5の最上級異能者は未だに10名ほどしか発見の報告を受けておらず、そのうち7名がカワサキに所属するヒーローである

異能者の研究が本格的になってまだ20年ほどであり、異能者については謎が多い

異能は精神に強く左右されると言われているが、具体的にどういった影響があるのかはハッキリしていない



【異能適性について】

天雲財閥の異能研究機関によって独自に定められた異能者としての指標の事

1-5の段階で判定され、数字が高いほど異能を上手く扱うことができる人物だと言われている

だがこの指標には問題もいくつかあり、精神に作用する異能を持つ異能者はレベル1と判定されることが多く、指標として機能していないのでは?という指摘も多い

しかし、異能者か否かを見極める機能は本物の為、異能者かどうか定かではない人間の異能者素質の早期発覚には非常に役立てられている



【文明レベルについて】

2080年という未来ではあるが、2000-05年にかけての超人犯罪により人口が激減

その影響からか電子機器の発展が遅れ、現代と同じかそれより低い水準の文明レベルである

その代わりに建築技術や冶金技術が大いに発展し、現代のそれとは比べ物にならない丈夫で複雑な建物が建ち並ぶ



【異能者の補足】

異能の名前は基本的に本人が付ける
なので、立場やその人物の好みによって異能の名付けられ方は大きく変わる

例えばトップヒーロー鶯丸響の異能の場合

彼がヒーローになる以前は『紅い雷を操る異能』という名前だったが
             
ヒーローに抜擢されてからは『紅獅子の咆哮(レオ・ハウリング)』という名前に変わった

これは、ヒーローの異能名は宣伝素材として重要な意味を持つため、広報担当が勝手に名前を付けるためである

それ故にヒーロー側の人間(それに憧れる人を含める)は、やや個性的な異能名を持つ


大まかな世界観の設定はこんなところです
話が進むことによってもう少し説明が入ることもあります


人が3人ほど居らっしゃれば早速、主人公を作っていきたいと思います


ではでは、始めて参ります


本来は『ヒーロー(秩序)』『アンチヒーロー(混沌)』『中立(中庸)』の三つの立場に分かれるのですが
最初という事で、世界観の説明も兼ねて立場は『ヒーロー(秩序)』固定で行かせていただきます



それでは、最初の質問です

貴方の性別を教えてください


1、男性
2、女性

安価↓3までで最も2桁コンマが高いモノを採用

1


>>18採用:男性




貴方は男性なのですね

では次に、貴方の体の事を教えてください



↓1肉体判定
1ほど貧弱、9ほど強靭。0のみ超人


↓2異能適性

1    レベル1
2、3  レベル2
4-6 レベル3

7-9 レベル4
0    レベル5



肉体判定:4 一般成人の平均

異能適性:3 レベル2




ふむ、貴方は特に目立った特徴をお持ちなわけではないようですね


では次に、貴方の中身を見せてください



↓1精神判定
1ほど不安定、9ほど鋼。0で……


↓2運命力
2桁コンマで判定。その数値が運命力となる

お帰り待ってた
過去スレのキャラたちはリセットされたん?


精神判定:3 やや不安定

運命力:95 類い稀なる豪運



ほうほう…貴方は気弱でいたって普通な異能者ではありますが、かなりの強運の持ち主なのですね

運はあって損などありません
いつだって大事な事は意図せずして舞い込んでくるのですから



では次に、貴方は異能者であると判定されました
貴方の持つ異能について教えて頂けますか?



異能名とどんなことができるのかをざっくり書いてください。レベルに合わせて此方でいい感じに調整します
(例:『炎を操る異能』炎を自由に操ることができるが、自然発生させることはできない。等)

安価↓4までで最もコンマの数値が高いものを採用

ロリータボイス

あらゆる生物が発する音声を幼女にする

あれ?前回は距離とかコンマしていなかったけ?


>>34:採用


【変声】
あらゆる生物の声を自由に操作することが可能
効果範囲は自分と、自分に声をかけられた生物。自分に声をかけられた生物は5分間任意に声を変えられる
同時に一人まで効果を発揮する
声色ではなく『音声』を操作する


異能補足
この異能が適応されていた生物は異能解除後、その生物に2分間この異能が効果を発揮できない(別の対象には異能を発揮できる)


>>30
キャラ引き継ぎは重要な一部のキャラのみの予定です

>>37
今回は距離判定は無しです





貴方の人間としての能力は把握しました
それでは最後に、自己紹介をお願いします

↓1で年齢
10代~30代までが望ましい

↓3で名前

来歴の決定
性格や容姿、過去に身に起きた事や家族関係。好きな事や嫌いな事。何でもどうぞ
↓5~7をMIX



名前:音田 奏(オンダ カナデ)
年齢:14歳

立場:ヒーロー(秩序)

身体能力:4 年相応
運命力:95 驚異の豪運


貧困な家庭に生まれ、家計難に陥った両親に奴隷として売られる
大富豪の性処理として買われ幼少期を過ごす
しかし、主人の失脚を境に幸運に恵まれ現在では幸せな生活をしている



異能:レベル2【変声】
あらゆる生物の声を自由に操作することが可能
効果範囲は自分と、自分に声をかけられた生物。自分に声をかけられた生物は5分間任意に声を変えられる
この異能が適応されていた生物は異能解除後、その生物に2分間この異能が効果を発揮できない(別の対象には異能を発揮できる)
同時に一人まで効果を発揮する
声色ではなく『音声』を操作する



一先ずざっくりとしたプロフィールはこんなところでしょうか




では、これからは今の貴方の立場についてお聞きしましょう

貴方はヒーロー、秩序側の人間だそうですね

そのヒーローの中で尊敬している人は居ますか?



1、居る
2、居ない

安価↓1


>>55採用:2、居ない



そうなのですか、その若さでヒーローの側に立っていながら『憧れではない』。と

そうすると、貴方は既にヒーローとして仕事をしているようですね

どの派閥に属しているのでしょう?


1、NO.1ヒーローが中心となった『実力至上主義』
2、NO.3ヒーローが中心となった『カワサキ至上主義』
3、信念などない
4、秩序の考えを持っているが、カワサキに所属しているわけではない

安価↓3までで最もコンマの数値が高いものを採用


>>59採用:3、信念などない



なるほどなるほど、理解しました
貴方はヒーローの立場ではありますが、誇りなき仕事…いわば使いっぱしりを任されているのですね


質問は以上です

何か言い忘れたことはございませんか?

………ではどうぞ、行ってらっしゃいませ


前回と今回で特に大きな変更点はないの?



ボク、音田奏は14歳だ

つまりはまだ子供だ

だけど、この短い人生の中でたった一つだけ確信したことがある


子供は不自由だ


生まれも選べない

立場も選べない

例え選択肢が提示されたとしても、選べる選択肢は『大人が用意したモノだけ』

子供は大人のご機嫌取りをやらされて生きている

いや、そうしなければ生きていくことすらできないんだ


結局、自由の身になった今のこのボクも

偉い大人のご機嫌取りをしなければ生きていけないのだ


それだけは今<ヒーロー>も昔<奴隷>も変わらない


朝、目を覚ます

自分のベッドで目を覚ます

それはなんと幸福な事だろうか


起きて一番にすることは、シャワーを浴びること

好きなだけシャワーを浴びることができる

それはなんと幸福な事だろうか


好きなシャンプーを使って好きなトリートメントを使い、好きな石鹸で体を洗う

体を清めるこの時間はボクにとって至福の時間だった


シャワーを堪能し、浴室を出ると……



1、使用人が服を用意していた
2、好きな服を着る

安価↓3までで最もコンマの数値が高いものを採用

1


>>68採用:1


使用人の設定



↓1性別安価

↓3年齢安価

おにゃのこ

18


>>72採用:女性

>>74採用:18歳



↓1名前安価


↓2素質判定
1-5 人間
6-8 異能者
9,0 超人

天海日和 あまみひより


>>76採用:天海 日和(アマミ ヒヨリ)

コンマ判定:7、異能者




直下コンマ:異能適性

1    レベル1
2、3  レベル2
4-6 レベル3

7-9 レベル4
0    レベル5


異能安価
↓3までで最もコンマの数値が高いものを採用


異能:レベル3『影を操る異能』
質量を持った自分の影を操る異能
自分の影が濃いほどに強い力を発揮する
自分の影がほかの影と重なるほどに力が弱まる



ざっくりと天海さんの容姿とか性格とか来歴
安価↓3までをMIX

穏やかながらもしっかりしている


>>84-86をMIX
※やばい人だこれ……



日和「おはようございます奏様。お召し物をご用意しました」

この、ボクの目の前で恭しく礼をするメイドは見た目通り使用人
ボクの住むこの家の掃除とか洗濯とか家事全般を全て任せている

大きなお屋敷というわけではなく小さな一軒家なので、実質この家に住んでいるのはボクとこの女だけ

大人の男は嫌いだ
だから若い女を使用人に選んだのだけれど……


日和「体をお拭きしますね」

奏「いつも言ってるけど、自分で出来るから」

日和「いえいえいえいえいえいえ!このわたくしにお任せください!さぁ!さあ!!」

と、ボクの許可なく勝手に体を拭く


日和「はぁっ…!ハァッ…!!あはぁっ……!!!」

血走った眼でボクの体の隅々を丁寧に拭う
鼻息も荒く、何だか怖い

雇ったボクが言うのもあれだけど、かなり変な女だった


こうして好き勝手に体を綺麗にされて、綺麗な服に着替える

こんな事がしょっちゅうあるのだが、いつも大目に見てやっている
………浴室を出るときに、脱ぎ捨てた服の中から下着を懐にしまった瞬間を目撃したが、それも大目に見ることにした

一応、仕事はきちんとこなす女だからだ


用意されていた朝食を食べながらテレビを見る

目に留まったのは生中継の報道番組
強盗と向き合うヒーローの姿が画面の中に映し出される

『クッソォ!なんて運がねぇんだ!!よりにもよってなんでお前なんだよ!!!』

強盗の男が人質と重しき子供を盾に声を荒げる

報道関係の人間、ただの通りすがり、数多くの野次馬達が一心に見守る中
怯むことなく強盗の男に一歩づつ距離を詰める男が居た

誰もその行動をとがめることは無い
その一挙一動に全ての人間の視線が釘付けになる

誰もこの状況を不安視しては居ない

その場にいる全ての人間が事の安全を、勝利を確信していたのだ


それもそのはずだ

この姿を、このヒーローを知らない人間など居るはずもない


『ハッハッハッハ!!安心しなさい!私はここに居るぞ!!』


強盗犯に向かってそう語り掛ける男こそ

NO.1トップヒーロー【空色北斗(ソライロ ホクト)】その人である

その一声にギャラリーが歓声をあげる
人質になっている子どもさえも、涙を流しながら顔をほころばせた

任務達成率100%
ありとあらゆる困難を乗り越えた無敵のヒーロー
その圧倒的な異能で史上最強の名を欲しいままにしている


『近寄るな!このガキをぶっ殺すぞ!!』

強盗は北斗を前に明らかな動揺を見せながらも、苦し紛れに子供の頭に銃口を突きつける
人質の子供は笑顔が消え、小さく悲鳴をあげる

そんな強盗の動きにも、北斗は一切の動揺を見せない

『おいおい、何をそんなに震えているんだ。安心しなさい、キミの前に居るのはこの私だ』

『チックショウ!異能者だからって舐めやがって!!』

『勘違いするんじゃない。この言葉は、キミに贈った言葉だ!強盗クン!』

『な、なんだと…!?』


そう、この言葉…この姿勢こそ空色北斗がNO.1であり続けている理由だとボクは思う

絶対正義、空色北斗は……


『落ち着き給え、私が居るさ。この私の愛が、キミを悪の道から救って見せる!!』


徹底的な性善説主義者
どんな悪であろうと見捨てないのだ


空色北斗は、犯人を含めたすべての人間を傷つけることなく救いだす


『あ、愛だとぉ…?』

『そう、キミのその行動は愛なき故だ!!だから、私が君を愛そう!!』

『意味分かんねーこと言ってんじゃねーぞ!!愛があったらこのガキを救えるってのかよ!!』

強盗は言い切る前に引き金を引いた
鋭い空気を叩く音が喧騒を鎮める


『勿論だ。私の愛に限界は無い』


一瞬の間があったのかすら不明なほどの一瞬
編集で切り貼りされていたとしか思えぬほどの刹那

強盗と10m以上は離れた場所に居た空色北斗は、いつの間にか強盗の目の前に移動し銃口を自らの胸に押し当てていた


『ん、んなバカな……』

腰を抜かした強盗をしっかりと北斗は抱き留める
人質は既に銃口を掴む別の腕に抱きかかえられていた


『まだ分からなくとも、これから愛を理解していけばいい。愛があれば、きっと君は美しい自分を取り戻せるさ』

『それまでずっと、私が君を支えよう』

そう強盗に語り、小さな事件は終わりを告げた


ボクはその光景にため息を吐きながらテレビの電源を切った

見慣れた光景だった
あの程度の事件、空色北斗にとっては大した実績にはならないのだろう
本人すらも、『当然の事だ』というだろう

もしボクがあの場に居たとして、同じ結果は出ないだろう
銃を持った人間なんて、下手な異能者よりも恐ろしいはずだ

だが、そんな相手を一切の被害無しに治められるからこそ彼はNO.1ヒーロー足り得るのだろう

ヒーローには大きな格差がある

彼とボクは違う仕事をしている

彼のように人々から褒め称えられ、華々しい成果をあげ、尊敬を集めるヒーローも居れば

ボクのように地を這い、泥にまみれた、決して褒められないヒーローも居る


奏「……ま、それでもボクはまだ幸福な方だ」

日和「私も奏様に仕える事が出来て幸せでございます」

奏「……そ、そっか」


日和に差し出された牛乳がたっぷり入ったコーヒーを飲み干し、立ち上がった

さて……



1、午前中は暇だな、日和と暇をつぶそうか
2、少し外を歩こうか
3、仕事に行かなくては

安価↓1

2


>>97採用:2



今日はここまでとなります
明日の夕方ごろに再開予定です

ここまでの進行で直してほしいところ、要望、質問なんかがあれば何でも言ってください
感想とか雑談も大歓迎でございます


ではでは、お付き合いいただきありがとうございました

レベル5は別格でその他のレベルは割りとトントンなのかな


>>64
大きな変更点は、行動を自由安価で決めていたのを3択にしました
ルート分岐も大きく変わりましたね
今回は一週目なので2080年3月10日、エピソードC【仮初の平穏】というシナリオです

エピソード、立場、行動、様々な要因でルートが変化していく予定です


>>101
そうですね、戦闘能力に限って言えばレベル5だけは別格で、1-4以下に大きな差は無いです
利便性や自由度ではレベル1とレベル4では大きな差があります
簡単に言えばレベルが低いほど異能に制限があるという事です



名前:音田 奏(オンダ カナデ)
性別:男性
年齢:14歳

身体能力:4 年相応
精神力:3  年相応に不安定
運命力:95 類い稀なる豪運



艶のある黒髪、大きな黒目の中性的な容姿の愛らしい少年
身長は155cm
貧困な家庭に生まれ、家計難に陥った両親に奴隷として売られる
大富豪の性処理として買われ幼少期を過ごす
しかし、主人の失脚を境に幸運に恵まれ現在では幸せな生活をしている
幸運の一例をあげると、失脚した主人が家を捨てて逃走した際に置き去りにされていた多額の金を手にし屋敷を脱出
その金を元に闇市のギャンブルで一財産儲ける
その一連の流れの中で一度も誰かに目をつけられることが無かった事実。などなど
偶々行った病院で異能者であることが判明し、そのまま医師にヒーローの仕事を紹介してもらって現在に至る
経験上、大人の男がこの世の何より嫌い




異能:レベル2【変声】
あらゆる生物の声を自由に操作することが可能
効果範囲は自分と、自分に声をかけられた生物。自分に声をかけられた生物は5分間任意に声を変えられる
この異能が適応されていた生物は異能解除後、その生物に2分間この異能が効果を発揮できない(別の対象には異能を発揮できる)
同時に一人まで効果を発揮する
声色ではなく『音声』を操作する




【特殊技能】


『豪運』
ここぞという時に絶対に外さない運を持つ
ピンチをチャンスに変える


『男性恐怖症』
大人の男が苦手
大人の男を前にすると萎縮してしまう


名前:天海 日和(アマミ ヒヨリ)
性別:女性
年齢:18歳



美しい金髪を綺麗に一つにまとめている、赤色の瞳の美女
身長は167cm。その長身からでも際立つほどの非常に豊かな胸を持つ
掃除好きの潔癖症であり、人間嫌い
しかし音田奏の事だけはこの世の何より愛している
過剰な妄想癖があり、奏と結婚着床妊娠出産までのワンセットの妄想をよくする
その所為か最近は母乳が滲むようになってしまい、その事を愛の証と喜んでいる少々頭のおかしい人
奏の事を除けば、穏やかでしっかりとした女性である
何故か、奏の過去を知っているらしい




異能:レベル3『影操作』
質量のある自分の影を操る異能
影が濃いほど非常に強い力を発揮する
自分の影と重なっている影も操れるが、重なるほどに力が弱まっていく



特殊技能

『メイド(家事全般)』
家庭のことはなんでもお任せ
完全で完璧なメイド


『ヤンデレ』
音田奏に対して病的な執着を見せる


『護身術』
ありとあらゆる場面に対応できる柔軟な護身術
何処で学んだのかは不明


名前:空色北斗(ソライロ ホクト)
性別:男性
年齢:41歳

職業:トップヒーロー
立場:ヒーロー




短く切りそろえられた金髪に、緑色の瞳、武骨な顔立ちが特徴的な男性
正義感溢れる男らしい性格で、愛と勇気だけが友達の生粋のヒーロー
犯罪者から人々を守るヒーローであり、その中でも7名のレベル5トップヒーローの中でNO.1の人気と実力を併せ持つ
100%の圧倒的な救出任務達成率を誇り、誰であろうと愛をもって説得を試みる
不殺を信条にしており、その誓いを一度たりとも破ることなく任務を完遂し続けている
その大らかな心と、熱く清らかな正義感と、無敵の強さに憧れてヒーローを志す者も多い
『限界は無い!』が口癖であり、彼自身も日々強さを磨き続けている
好きな色は青、イメージカラーも青
趣味は仕事




異能:レベル5『突き抜ける青空(Sky is the limit)』
終わりなく進化し続ける肉体の異能
常に異能が発動し続けており、その肉体こそが異能である
肉体を構成する全てがあらゆる環境に対応し、それを超越する
たとえ火の中水の中宇宙空間、はたまた異次元の闇の彼方であろうとも、全てに順応し突破する
決して死なず、決して屈さず、決して止まることなく、無限に壁を乗り越えていく
口癖と同じ『限界が無い』異能である





【特殊技能】


『NO.1』
異能者の頂点に立つ者としての格
自分を知らない人はおらず、自分の事を知り尽くされた上で、常に最高の結果を求められる
その重圧の中で結果を出し続けた者の証


『不殺の誓い』
決して人を殺さないという誓い
その誓いに、病的なまでに固執している



5時頃再開予定っす


それではそろそろ再開します


奏「少し外に出てくる」

日和「あら?まだお仕事には早いのではありませんか?」

奏「ただの気晴らしだよ。ボク一人でいいから」

日和「そうですか。いってらっしゃいませ、奏様」


日和に見送られ、外に出た



幸運判定
00-95でイベント発生

直下コンマ


コンマ判定:47 イベント発生


イベント選択

1、突然仕事の依頼が舞い込む
2、職場の同僚を見つける
3、嫌な噂を聞く
4、都市伝説を聞く
5、自由イベント

安価↓3までで最もコンマが高いものを採用

4


>>112採用:4



道行く女学生の噂話がふと耳に入る

『この前アキが見たってさ』
                  『何を?』

『人攫いの蝙蝠さん』 
               『ああ、あれね。どうせ異能犯罪者でしょ』

『でもさでもさ、昔っからいるらしいのに捕まってないっしょ?』 
                                      『まあ、そうだけど。所詮噂でしょ?』

『アタシ思うんだよねぇ、それって吸血鬼なんじゃないかって』
                                      『ぷっ!夢見過ぎ』

『あ~あ、イケメンの吸血鬼にさらわれたいわぁ』
                               『結局それが本音でしょ』


姦しい女性の会話

全国的に知られる都市伝説『蝙蝠さん』

その姿を見たという噂のお話だった



知識判定
9ほど知識がある
豪運 +2

直下コンマ


コンマ判定:7+2 都市伝説に詳しい



ボクはこの手の噂の事をよく知っている

奴隷時代に仕えていた主人が、そう言ったオカルト記事を集めるのが趣味だった

少し前の世代で言えば『口裂け女』や『こっくりさん』とかだろうか

ここ最近でメジャーな都市伝説が2070年11月頃から世間に知られるようになった『蝙蝠さん』だろう

この都市伝説が有名な理由としては、一度ヒーロー達による大捜索があったにも拘らず解決しなかった未解決事件でもあるからだ

それ故に都市伝説でありながら、『蝙蝠さん』の存在を信じる人も多い


それ以外にも都市伝説の事は色々と詳しい

東北地方に根付く『赤い雪伝説』

ここ、兵庫県では『鏡の国』という都市伝説がある


結局は所詮、うわさに過ぎないが

ヒーローとしては無視できない話でもあるかもしれない


【日本情勢】

超人犯罪による人口低下、それに伴い日本では地方を切り捨て主要都市に人を集めるという政策をとった

選ばれた都市は、『東京』『名古屋』『兵庫』『山口』の四都市

東北地方、北海道、四国、九州は切り捨てられた形となった

しかし、この政策は強制ではなく一部住民がいまだに地方には存在している

最近では人口増加傾向にあり、地方開発も視野に入れられている




【地方について】

主要都市4都市、その周辺の地域を除いた地域をさす

その中でも四国地方にはかつて巨大な超人収容所があったとされている

四国では今でも悪鬼のような超人がはびこっていると噂されている

『蝙蝠さん』も四国に住んでいるという噂があるが………


都市伝説か……そう言えば最近怪しげな宗教団体の噂があった気がする

ヒーロー協会のお偉さん方が対策がどうたらと会議をしていた

まあボクは、任された仕事をするだけだけれど


そんな事を考えながら町を歩く

奏の住むこの町は兵庫県神戸市、ヒーロー協会本部のある大きな町だ

かなり治安は良い方だ

だからこそ、こうして子供が一人で歩いていても危険は少ない

良い時代になったものだ



1、都市伝説についてもっと調べてみようか?
2、暇だし仕事場に行こうか?
3、もう少しぶらぶらしようかな
4、自由安価

安価↓1

2


>>120採用:2


………特にすることも無いし、仕事場に行こう

そうしてボクはヒーロー協会本部に足を踏み入れた


ヒーロー協会はいくつかの部署に分かれている

ヒーローとして現場に向かい事件を解決する、世間一般に認知される『ヒーロー課』

カワサキに所属する異能者の殆どがここに配属される

ボクも例に漏れずこのヒーロー課なのだが、表立った仕事は無い


エレベーターで地下に向かう

協会本部の最下層

『落とされた影』に所属するヒーロー達の部屋だ



幸運判定
00-95で誰かが居る

直下コンマ


コンマ判定:46 全員集合



部屋の扉を開く

部屋の中には仕事仲間が全員集まっていた


「ん?ああ、カナちんおっはー」

一番上等なソファを独占して寝ている少女がやる気なさげに手をあげる

奏「おはようカナエ、こんな朝によく起きていられたね」

カナエ「いやいやぁ、カナちんに起こされたんだよ~。夜までまだ寝てるね~」

そう言ってカナエは薄い毛布を被り直した


彼女の名前は【仙代カナエ(センダイ カナエ)】
レベル1の異能者であり、暗殺専門のヒーロー
三度の飯より夜が好きと、公言する

彼女とはバディをよく組むこともあってか、それなりに仲がいい







「あらぁ!奏ちゃん!どうしたの?お仕事はまだのはずだけど」

ボクに気が付き身を乗り出して迫りくる巨漢の乙女…いや漢女

奏「べ、別に用があったわけじゃありません。その、ただ…なんとなくで」

「あらそお?ま、お茶でも飲んでいきなさいな」

そう言って給湯室に引っ込んでいく
彼女…いや彼?の名前は『マリーナ』。本名『里山邦夫(サトヤマ クニオ)』
レベル3の異能者であり、元々は実戦部隊所属であったが諸事情により地下送りとなった
悪い人ではないのだが、色々と問題がありそうだとは思う
あまり一緒に仕事をしたことが無いので、ここで顔を合わせる以外での付き合いは無い



その他にもこの『落とされた影』には数多くの個性的な人が居る

例えば……



1、短い黒髪と鋭い目つきの青年
2、ぼさぼさの茶髪で室内でも帽子をかぶっている少女
3、安価決定

安価↓1

2


>>125採用:2、


「おはよーっス先輩!」

奏「うわっと…と」

ボクの背中を勢いよく叩いた少女は『紙森美柚莉(カミモリ ミユリ)』
つい最近ここに配属された新人
レベル1の異能者で、ボクよりももっと使い道が限られそうな異能だった


奏「同じ年なんだから先輩って言うのやめようよ」

美柚莉「イイじゃないっすかー、先輩の方が2年先輩なんスから」

マリーナ「お茶淹れてきたわよ~」

美柚莉「マリーナさんウチにも頂戴っす!!」

マリーナ「もう、仕方ない子ねぇ…ちょっと待ってなさい」

美柚莉「ひゃっほー!マリーナさん大好きっす!!」

カナエ「ぐえっ…」


美結理はカナエの上に容赦なく座り、潰れたカエルのような声が鳴る

相変わらず楽しそうな人たちだ





彼女の他にも…

1、短い黒髪と鋭い目つきの青年
2、優雅な仕草の少年?
3、安価決定(どんなキャラかを安価で決めます)

安価↓1
※残り二人

3
毛深いサングラスのおっさん
汚らしいジャンバーかけてる


>>128採用:3
※まだ早いっすよ!




キャラ設定安価

↓1性別

↓3年齢

↓5名前

ksk


名前:影原永遠(カゲハラ トワ)
性別:女性
年齢:27歳




コンマ判定
1-7で異能者、890で超人

直下コンマ

そういや設定的に超人の能力者ってありえるん


コンマ判定:9、超人


異能適性判定
0-5  適正なし
6     レベル1
7     レベル2
8     レベル3
9     レベル4
0ゾロ目 レベル5

直下コンマ


>>140
ごく少数ですが超人の異能者は存在します


コンマ判定:0 適正なし



超人判定
ゾロ目のみ……

直下コンマ


コンマ判定:普通の超人


では影原さんの来歴設定をどうぞ

↓1-6までで、2桁コンマの高いものを3つ採用

かつては陽のあたる世界で活躍していた


>>150,152,153をMIX


ちょっとご飯休憩挟みます


再開っすよ!


「もう、一人でソファを独占しちゃ駄目って言ってるでしょ」

カナエ「うなぁ~……」

カナエを軽々と持ち上げて別のソファに座らせた女性
彼女の名前は『影原永遠(カゲハラ トワ)』
一見普通の人間に見えるが、彼女は超人だ

かつて存在した再び超人をヒーローに取りたてようとしたプロジェクトがあった
その中の一人である
現在もう、そのプロジェクトは自然消滅してしまっている


永遠「隣、どうぞ」

奏「あ、はい」

そうしてボクはマリーナさんが淹れてくれた紅茶を皆と一緒に飲む

影原さんはとても優しくしっかりした女性だ
この部署のもう一人のお母さんのような存在だ


そして最後の一人が……


1、短い黒髪と鋭い目つきの青年
2、危険な風貌の少年
3、安価決定(どんなキャラかを安価で決めます※男限定)

安価↓1

1


>>159採用:1



「くぁーっ……あぁ…ただいま戻りましたよっと」

大きく伸びをしながら部屋に入って来たのは男性
彼の名前は『九条新(クジョウ アラタ)』
レベル3の異能者で、非常に便利な異能を持っている
恐らくここに居る中で一番忙しい人だ


新「おいおい皆集まってどうしたよ。今日はなんかあったけか?」

永遠「偶然…ですよ。なんでか皆ここに集まっちゃてるんです」

カナエ「私はここで寝泊まりしてるけどね~」

マリーナ「んふふ!良い事じゃない、皆ここが好きなのよ!」

新「ふ~ん、そんなもんか…」

と、新さんは適当に相槌を打つ
あまり一緒に仕事をしたことは無いが、非常に気の良い人だ
大人の男の人だけれど、怖く無い


新「ま、悪いこっちゃねえわな。ただいま戻ったぜボス」


新さんはコート脱ぎ捨て、部屋の一番奥に鎮座するボスに声をかけた

この『落とされた影』のボスは……




1、はきはきとした女性
2、気だるげな男性
3、安価決定

安価↓1

2
選択肢の選ばれなかったキャラはもうでないの?


>>162採用:2、気だるげな男性
※選ばれなかったキャラは後々気分で出すかどうか決めます


部屋の一番奥に鎮座する大きな仕事机
その机の前でパソコンと向き合っている男こそ、この部署のボス
ヒーロー至上最悪の問題児と言われる『齋藤永嗣(サイトウ エイジ)』その人だ


永嗣「ああ、お帰り新君。ところで…」

新「死体なんて持って帰ってないですよ」

永嗣「おいおいおいおい、今日はアンチを殺してきたんだろ?持って帰りなさいといつも言っているだろう」

新「そんなに欲しけりゃ自分で持って帰って下さいよ、死体を持ち帰るって相当な労力なんですからね」

永嗣「やれやれ、金ならいくらでもあるんだがね…儘ならないものだね」


興味を無くしたように、ボスは再びパソコンに向き合う

見ての通り、非常に性格に難がある
レベル1の異能者であり、その異能自体が危険極まりないもので、このカワサキ本部の地下に軟禁されているような形で職務につかされている


さて、こうしてここに来たもののすることが無い事には変わりない

こうやってお茶を飲んでていてもいいが……



1、誰かと話そうか
2、ボスに仕事の事を聞いてみようか
3、都市伝説の話をしてみようか?
4、自由安価

安価↓1

1


>>165採用:1


話しかける人物を指定

安価↓1


>>167採用:新



新「マリー、俺にも紅茶くれ」

マリーナ「はいはい、ちょっと待ってなさいね」

新「どっこいしょっと……」

疲れたように息を吐きながら新さんはボクの隣に座った

奏「お疲れさまです。今日はどんな仕事だったんですか?」

新「いつものようにヒーロー様の援助だな」

新「ったく…新人デビューの手伝いなんてな。俺が殺したようなもんなのによ」

奏「最近売り込み始めた…えっとフジナミさんでしたっけ?」

新「ああ、それよそれ。良い異能持ってんだけどな、経験なさ過ぎて危うく取り逃がすところだったっての」

新「ま、俺が居たから何とかなったけどな。マリーサンキュー、愛してるぜ」

マリーナさんから紅茶を受け取り、キザっぽくウインクした
マリーナさんは『もう、調子いいんだから』とプリプリとしていたが、どことなく嬉しそうだった


九条新
レベル3の異能者で、異能名は『位置交換』
その名の通り物と物の位置を交換する異能だ

非常に便利な異能で、今回のようにヒーローの経歴に花を添える仕事をいつもやらされている

目立たず、かつ確実に強い影響を与える異能
しかし発動にはやや時間を必要とするため、活動支援を専門に仕事をしている

今回のように前衛向きの相棒が居なければ上手く使うことが難しい事も、この影の仕事を任されている大きな要因だ


新「最近妙にアンチの活動が活発になって来たな」

この場合のアンチとは『アンチヒーロー』の事をさす
その殆どが、天雲財閥という組織の一部だ

永遠「私も聞いたよ。シャブ貰いに来たバカのふりして情報集めてたんだけど」

奏「しゃ、シャブ?」

永遠「あ…えと、お薬…ね?中毒性の強い違法なお薬。お、おほほほ…ちょっと口が汚かったわね」

奏「な、なるほど…」

永遠さんは超人であることを利用され、肉体的に非常に危険な事をよくやらされている
超人の代謝のおかげで中毒症状が絶対に起きないからと言って、危険な薬を飲むというのは想像をするだけで恐ろしい


新さんと永遠さんの話によると、山口の支部でアンチとちょっとした抗争があったらしい
死人も怪我人も出ていない、報道もされていない小さな事件だそうだ
その日を境に各地でヒーローが襲われるという案件が頻発し始めたようだ


新「結局アンチの奴らは何が目的なんだ…ヒーロー打倒して何がしたいってんだよ」

永遠「倒すこと自体が目的なんじゃないかな?」

新「わっかんねぇなぁ…ヒーロー打倒したらいろいろ大変だろうによ」

美柚莉「逆にヒーローがあっちにちょっかい出してて怒られたって言うのはどうっすかね!」

新「……ああ…強ち無しじゃあないかもな。天雲財閥っていやぁ異能研究の第一線を行く組織だからな」

マリーナ「もう!皆真面目ね、もっと楽しいお話しましょうよ。ねえ奏ちゃん!」

奏「えっ!ボクですか?えっと…それじゃあ……」


1、趣味の事でも聞いてみる
2、恋愛事情を聴いてみる
3、アンチについて自分なりの見解を離す
4、自由安価

安価↓1

2


>>171採用:2


奏「えっと…じゃあ、皆さん恋人っていますか?」

新「ぶふっ!!」

突然新さんが紅茶を噴出した

マリーナ「いい!いいわね奏ちゃん!それよそれ!ホラホラ、そこの咽てるお兄さん。何かあるんじゃないかしら?」

新「お、俺か?ああ…そう……さなぁ……、気になってる人位ならいるけどよ」

奏「へぇ、なんだか意外な感じですねぇ。因みにその人は…」

新「お前…割とこういう話好きなのな」

んん゛っと、新さんは一つ咳払いをした


新「俺の気になってる人は………須能紗弥さんです!!」


「「「あ~………」」」

顔を赤くする新さんにボクたちは揃って哀れみの視線を送った


『須能紗弥(スノウ サヤ)』
NO.3に数えられるトップヒーロー
世界初のヒーローと同じ、須能という名を持つ女性である

その実績のみならず、美しい容姿から男女問わずファンは多い


美柚莉「絶対無理っすよ。新先輩」

僕たちの心を代弁した鋭い言葉を新さんに突き立てる美柚莉さん

新「いいじゃねーか夢見たってよ!!紗弥さん可愛いだろ!!」

美柚莉「アイドルと結婚したいって言っていいのは中学生までっスよ」

新「お前だって『トウヤ様最高っす!』とか言ってたじゃねーか!!」

美柚莉「ウチは中学生だからセーフっす!!」


トウヤ様とは『須能冬弥(スノウ トウヤ)』の事だ
NO.6に数えられるトップヒーロー
須能紗弥の弟にあたる
姉同様、美しい容姿から女性ファンが非常に多い


マリーナ「二人とも、もっと現実に恋しなさいよ…」

二人を見ながら、マリーナさんはやれやれと首を振った


幸運判定
00-95でイベント不発

直下コンマ


コンマ判定:イベント不発
※仕事が夜に決まりました


永嗣「キミたち、談笑もいいがね。仕事だよ」

新「あ~っと……そろそろだっけか?」

永嗣「キミは夜だよ。マリーナ君と美柚莉君と永遠君にだ」

マリーナ「あらぁ?もうそんな時間だったかしら…」

美柚莉「ボスー!因みにボスに恋人は!!」

永嗣「仕事だよ美柚莉君。死体でもいいがね」

美柚莉「うげぇ……信じられないっす」

永遠「ふふっ、ボスらしい。それじゃあ行きましょうか美柚莉ちゃん」

マリーナ「行って来るわね、皆」


そうして、3人は部屋を出て仕事に向かった


新「俺、夜に備えて一旦寝るわ…」

そうして新さんは仮眠室に消えていった


こうして部屋にはボクと、寝ているカナエさんと、仕事をしているボスだけになってしまった

今日の仕事は夜からだ

今は夕方、ここで時間を潰してもいいが一度家に帰っても準備の手間はそんなに変わらないだろう


……さて



1、ボスに手伝えることは無いか聞く
2、カナエさんと話しをする
3、一度帰る

安価↓1

3


>>178採用:3



ボクは一度帰ることにした

昼食も取っていない
夕食くらいは日和の美味しい料理で栄養をつけておこう


帰る道中……



イベント判定
00-95で発生

直下コンマ


コンマ判定:20 イベント発生



1、見覚えのある姿
2、消える人影
3、一枚のカード
4、迫りくる影

安価↓1

1


>>182採用:1


ふと路地裏に目を向ける

そこには何処となく見覚えのある男が走っていった

見覚えのある男の姿、それよりももっと気になることがあった
漢のは知っていった方向は『未開発区画』であったからだ

未開発区画とは、昔超人との抗争で大きな被害にあった場所だ
再開発を諦められるほどの荒廃した場所で、行き場を無くした浮浪者のたまり場となっている場所だ

当然危険も多いだろう



…………


1、追いかけてみよう
2、危ないからやめておこう
3、覚えておいて、後で誰かに話してみよう

安価↓1

1


>>184採用:1



追いかけてみよう

仕事の事もあるからあまり深追いはできないけれど、あんな場所にあんな綺麗な身なりの男が向かうのは何かあるに違いない

こうしてボクは男を追う事にした




追跡判定

0-3 見失う
4ー9 追跡成功

??? -3
豪運  +2

直下コンマ


コンマ判定:6-1 追跡成功


更に判定

0-3 見失う
4ー9 追跡成功

???  -3
豪運    +2
身体能力 -1

直下コンマ


コンマ判定:5-2 失敗



奏「ハァ…ハァ……み、見失った」

途中までは男の備考に成功していたのだが、男は休みことなく走り続けていたため普通の体力のボクでは追いきれなかった

しかし、その後ろ姿や横顔であの男が何者かを把握した


奏「間違いない、あれは鶯丸響だ」


『鶯丸響(ウグイスマル ヒビキ)』
NO.4に数えられるトップヒーロー。通称レオ様
女性に対する紳士的でキザな態度と、それに相反するような荒々しい戦いを得意とするヒーロー
非常に女性関係がだらしない事で知られるが、ファンも多い


奏「何故、あんな潔癖の塊みたいな男がこんな汚い場所に?」

疑問は沸々と湧いてきたが、これ以上は仕事に影響を与えると判断し帰ることにした


奏「…っし、と。じゃあ仕事に行って来るよ」

日和「いってらっしゃいませ、奏様。どうかご無事で」

奏「うん。ありがと」


日和に見送られて仕事に向かう

今日の仕事は………



1、いつもの仕事(一人)
2、ガサ入れ(新とバディ)
3、暗殺(カナエとバディ)

安価↓3までで最もコンマが高いものを採用

3


>>193採用:3、いつもの仕事



本部に赴き、ある部屋に案内されて台本を渡される

台本を一通り読み終えた後、マイクをつける


奏『聞こえますか』

『あ、ああ。本当にうまくいくんだろうね?』

奏『いいですか。大事な事は自信をもって振る舞うことです。適当に声を出すだけでも構いません、此方で調整します』

『わ、分かった』

奏『そろそろ本番です。台本はこちらにあります、失敗はありません』

『すぅ……はぁ………よし!』


通信相手は一つ深呼吸をした
そしてボクの目の前のモニターに小太りの中年の姿が映し出される

ボクの仕事はこの中年の演説だ


男の口からは張りのある強い声で、身振りを踏まえてプレゼンを進めていく

この男はカワサキの重役だ


人というモノは視界の情報が一番に優先される
目の前の出来事を強く記憶する

しかし、それに負けないほど音というモノは出来事を強く印象付ける

そして、声には一定の周期がある
不快な音、心地よい音、響く音

その、音と光景の二つが合わさって人は一つの事柄を記憶する

言葉を詰まらせたり、言葉を噛んだりすると人はその人を軽く見てしまう
しかし、ボクの異能を使えば絶対にそんな心配はない


こうした演説代行が、ボクの主な仕事の一つだ

他にはアイドルや歌手のレコーディングを代行したり、テレビ番組の番宣の声を作らされたりする
ヒーローというにはあまりにも情けの無い、ゴーストライターならぬ『ゴーストスピーカー』だ


奏『お疲れさまでした。完璧でしたよ』

『おお!そうだね!いやはや、流石は影の仕事人だ。これからもまた頼むよ』

奏『はい、今後ともご贔屓に』


奏「はぁ……」

心にもない言葉をそえて、乱暴にマイクとモニターの電源を切る

今日の仕事も特に波乱も無く終えた


声優や歌手になれば一財産作ることも簡単そうだな
なんて思ったが、特にお金に困っていないことに思い至り直ぐにその考えを振り払った


思ったよりも早く終わったな……


1、一度ボスに報告に行こうか
2、直ぐ帰ることにしよう
3、本部をブラブラしてみようか?

安価↓1

3


>>197採用:3



今日の更新はここまでです

お付き合いいただきありがとうございました


【落とされた影について】
齋藤永嗣が取り仕切る、ヒーローの中でも裏の仕事を担当する部署
全ての人間がヒーローとして問題ありと認定された、非公式のヒーロー
一番の古株は齋藤永嗣、ここ20年間ボスを勤め続けている




【天雲財閥】
会長『天雲雲雀(アマグモ ヒバリ)』が組織を統率している
建築や不動産事業、医療機器開発など多様に手掛ける巨大財閥

現在では異能者の研究に力を入れており、『異能適性検査器』など、異能者の為の道具を独自の技術で昇華させている

その実態は、アンチヒーローを掲げたカワサキによる支配統率からの脱却を目論む組織
アンチヒーローがこの組織の根底にあるため、ヒーロー以外の人間に手出しをすることはない
それ故に一部の人々からはヒーロー以上に頼りにされている

カワサキ側もまたその事実に能動的に手を出しにくく、対処に手を焼いている


仙代カナエ(センダイ カナエ)
性別:女性
年齢:17歳



身長は157cm
適当に切られた肩口までの黒髪と、大きめの瞳が特徴的な少女
明朗闊達で五月蠅いくらいに賑やかな性格
暗殺が好きで夜が大好き
その為、暗殺任務を与えられると一人で出過ぎることも多い
夜以外の時間はテンションが低い
音田奏と非常に仲が良く、『カナカナコンビ』として暗殺業界ではそれなりに有名
元々暗殺志望であり、望んで地下に降りた変人
趣味は月光浴



異能:レベル:1【無音】
物から発せられる音を奪う異能
触れた物に作用し、体から離れて5分までなら異能の効果が残留する
本人の能力も相まって、前衛も後衛も務められる




【特殊技能】

『夜型』
夜が大大大好き
夜になると能力が格段に上昇する


『暗殺者』
人を殺すことに一切の迷いがない仕事人


マリーナ
性別:男性
年齢:37歳


身長は190cm
長い栗色の髪の毛と筋骨隆々な巨体が印象的なオカマ
本名は里山邦夫(サトヤマ クニオ)
主人公の事を『あなた』と呼ぶ仕事仲間
巨体に似合わない女口調だが、その性格は義理堅く情に篤い男気を併せ持つ
性的対象が男性
上司とそりが合わず反発して居たことが原因で地下に落ちることになる
趣味は自分磨き



異能:レベル3『超回復』
生物であればどんな傷でもたちまちに再生させられる
効果対象は自分他人を問わない
手に触れると瞬時に異能が発動する、触れ続けていると効果が持続し続ける
死者の蘇生は出来ず、外傷以外は治せない
異能と巨体を生かした前衛が得意だが、やや決定打に欠ける




【特殊技能】


『男女の心』
男であり女、乙女であり漢女
どちらの気持ちもよく分かる


『武術家(柔術)』
柔術の心得を持つ


紙森美柚莉(カミモリ ミユリ)
性別:女性
年齢:14歳



身長は149cm
ぼさぼさの茶髪を一つにまとめた髪と大きなブラウンの瞳の女性
帽子が好きで外に出るときは常にかぶっている
人懐っこく、感情をよく顔に出す分かりやすい性格
面倒なことが嫌いで頭もよくないという自負がある
音田奏と同じ年だが、先輩と呼び慕う
ヒーロー志望であったが、力及ばず地下に落とされる
趣味はお金を使う事



異能:レベル2【色彩操作】
人が見る視界の色を操作し、指先で色を塗る異能
モノを色分けしてみることができ、自分が決めた色を他人にその色で見せることができる
(例:男は赤、女は青で色分けして世界を見ることができ、その視界を他人と共有できる)
特別な色を作ることもでき、『特定の人物しか見えない色』なんかも作れる




【特殊技能】


『演技派』
演技が得意で堂々としている
その実………


名前:影原 永遠(カゲハラ トワ)
性別:女性
年齢:27歳



艶のある重めの長い黒髪、深い紫色の瞳を持つ女性
優しげな雰囲気を持つ、ハッキリとした性格
世話焼きな面も強く、『落とされた影』の母親的存在
元々は超人ヒーロープロジェクトに選ばれたヒーローであったが、一部の超人反対派の声に負け自然消滅となった
彼女はその死んだプロジェクトの残り火である
陽の当たる世界から一転、彼女は望まぬ地下に落とされることとなった
若いころは相当にやんちゃをしていたようで、言葉遣いからその事が窺える
趣味は入浴




【特殊技能】


『超人』
人を超えた人間
様々な身体的恩恵を受けられるが、社会的風当たりが強い


九条新(クジョウ アラタ)
性別:男性
年齢:19歳


身長は179cm
短めの黒髪と鋭い目つきが特徴的な青年
プライベートでもそこそこの付き合い
性格は理知的で公平、柔軟な判断力と素早い決断力を持つ
年相応に頼りがいがあるが、アイドル好きで童貞
異能の利便性を認められ、金を条件に地下送りとなった
趣味は変な服を着ること


異能:レベル3【位置交換】
物質同士の位置を交換する異能
位置を交換する物質は、右手で10秒間以上触れ続けたものを投げ(手放し)たモノと視界にあるナニカでなければ交換できない
実際に目に見えていなくとも、箱などの覆われている物の中身が何かを知っていればその中のモノとも交換できる
箱などの覆われたもの以上の大きさのものと、その中身を交換した場合はそれを貫通あるいは同化して位置が交換される
支援に向いており、前衛も出来なくはないが不向き



【特殊技能】


『九条の血族』
かつて秩序を司っていた九条の一族の血を持つ
あまり親族と仲は良くない


名前:齋藤永嗣(サイトウ エイジ)
性別:男性
年齢:48歳



身長は180cm
白髪交じりの黒髪と、くすんだ黒い瞳を持つ死んだ目の男
ワーカーホリックであり永遠とパソコンと向かい合っている
目が悪く常に眼鏡が欠かせない
かつては解剖・生理学を学ぶ学徒であったが、その研究の最中に異能に目覚める
その異能の危険性をいち早く察した彼の従兄であった齋藤教授は、カワサキ本部に彼の身柄を保護してもらうことにした
非公式ではあるがヒーローである。にも拘らず、死体を使った非人道的な研究を行うなど
カワサキのイメージを著しく損なう危険性があると考え、監視目的も兼ねて地下に専属の部署を作る
それが『落とされた影』の始まりである
好きなものは人間と生物の死体
趣味は仕事



異能:レベル1【最悪の贈り物(MAD for you)】
生物の死体を泥人形に変える異能
泥人形は元となった生物の特徴をそのままに、意思の無い怪物に成り果てる
泥人形には理性も分別も無い、半不死の怪物である
齋藤永嗣にも怪物を完全に操ることはできず、目につく全てを破壊する
怪物は本能的に家族、血縁のモノを探す特性がある。それがこの異能名の由来である
別の生物同士を混ぜ合わせると、それぞれの特性を引き継ぎ大きくなる
しかし、混ぜれば混ざるほど理性のタカが外れて狂暴性が増していく




【特殊技能】

『精神異常』
常人ではありえない狂った精神を持つ
人の生と死をこよなく愛する


『不完全』
完全まで、まだ一歩足りない


奏君の異能を使えば今は亡き塩沢さんや内海さんの声を再現できるかと思うと……欲しい



物語の進行に伴い奏君の異能の制限をかなり緩和しました

異能:レベル2【変声】
あらゆる生物の声を自由に操作することが可能
自分と自分が声をかけた人物、1秒以上目を合わせた生物の声を操ることができる
同時に一人まで効果を発揮する
声色ではなく『音声』を操作する




そろそろ再開です


特に理由も無いけれど、少しブラブラしようか

ここに来るときはさっきの通信室か地下にしか用事がない

何か面白い発見があるかもしれない




イベント判定
00-95で発生

直下コンマ


コンマ判定:48 イベント発生




『…………を…すのか?』
                 『本当に……るのか?』


階段を使って適当に周って、かなり上階にまでやってきていた

この改装では何やら重要な会議をしているらしく、大人たちの声が廊下に漏れ出していた

何となく耳を澄まして会話を拾う

途切れ途切れだが、ある一人の声が耳にこびり付く



『空色北斗を失脚させる』



たった一言、それだけが綺麗に聞き取れた

聞き取れてしまったのだ

怖くなった僕は階段を駆け下りて地下に向かった


『落とされた影』の部屋の扉を勢いよく開く

その音に驚いたようにボスが顔をあげる


永嗣「どうかしたのかね奏君。青い顔をしているぞ」

永嗣「まるで、見ちゃいけないモノを見たって顔だ」

ボスの言葉に心臓が早鐘を打ち始める

奏「い、いえ!なんでも…無いです。………あ、仕事終わりました」

永嗣「そうかい。報告ご苦労様だ」

なるべく平静を装って返事をすると、ボスは興味が失せた様にパソコンに顔を向けた


ソファに座り、一先ず心を落ち着かせた

それでも頭を巡るのはあの言葉


『空色北斗を失脚させる』


と、確かにそう聞こえた


町で歩いているときに聞いていたならばこんなにも心がざわつかないはずだ
もし聞いても、アンチの戯言だと考えるだろう

しかし、ここはカワサキの本部であの場所は会議室だ

嫌な生々しさが胸にしこりを作る


しかし、冷静に考えてみると空色北斗の失脚にどんなメリットがあるというのだろうか?

このカワサキはあの空色北斗に支えられていると言っても過言ではない
彼を目指してヒーローになった人間はいくらでもいる
もし仮に失脚に成功したとして、彼が新たにヒーロー事務所を作れば忽ち人はそこに流れ込むだろう

商業的メリットが全く感じられない

そもそも、失脚させること自体難しいだろう
世間もそれを絶対に望んでいない

それこそアンチ以外は

ここはカワサキ本部だ、そしてあの場は重役会議室
となればアンチであるはずがない

ついカッとなっていってしまったとかそういう奴なんだろうか?
うん、そうに違いない


脳内で早口で議論を展開し、無理やり自分を納得させる
そうしなければ、この心臓の鼓動を止められそうになかったからだ


暫くすると、仕事に行っていたカナエさんと新さんが帰って来た

無事に仕事を終わらせてきたようだ


カナエ「いやぁ…夜はいいね!夜はいいよねぇ!テンション上がってキタァ!!」

新「もう仕事ねえんだから落ち着けっての。ふぁあ…」

気分がハイになっているカナエさんと違って、新さんは眠たそうだった


新「ん、カナでももう仕事上がりか?」

奏「あ、はい。一応」

カナエ「カナちんもお疲れー!暇なら外いかない!?かくれんぼとかして遊ぼうよー!!」

奏「え、えっと…その……」

新「俺はパス。先に上がるわ」


そう言って新さんは帰っていった


ボクはどうしようか……


1、気晴らしにカナエさんに付き合う
2、ボスと話をしてみる
3、そんな気分じゃない。早く帰って寝よう

安価↓1


>>218採用:3


奏「う~ん……ボクもちょっと疲れたから、先に帰るよ」

カナエ「そう?キャッチボールとかしていかない?」

奏「あはは…また今度です」

カナエ「そっかぁ…残念。じゃ、ちょっと一人で走って来るね!!」

そうしてカナエさんは、帰ると言ったボクよりも早く先に外に出た


奏「お疲れさまでした」


そう言い残し、自分の家に帰った




家に帰り布団に入ると、少しは心が落ち着いていた


奏「……最近どうにもキナ臭い話が多い気がする」

日和「可愛そうな奏様。大変お疲れのようで」

奏「……………」

いつの間にかボクの布団の中に侵入してきていた日和がボクの頬を撫でる
ついでに尻を掴まれる

流石に大目に見れない

奏「何で居るの」

日和「奏様が大変お疲れのようでしたので、お慰め差し上げようと」

奏「……みての通り疲れているからさ、一人で寝かせて」


日和を布団の中から追い出し、布団に包まって目を瞑った

………結局何を恐れようと、ボク<子供>が出来ることは大人のご機嫌取りだけだ

そう思えば、自然と心が軽くなった


一日目終了


二日目



いつものように目を覚まし

いつもと違って隣で日和が寝ていたことに驚いたりもしたけれど

いつものようにシャワーを浴びて

いつものように朝食を食べながらテレビを見る



今日の予定は……


1、朝から仕事(一人)
2、昼から仕事(新さんと)
3、夕方から仕事(一人)
4、夜に仕事(カナエさんと)
5、特に仕事は無い

安価↓1

2


>>223採用:2、昼から



今日は昼から新さんと空き巣をするんだったな

それまではまだ時間がある、どうしようか?



1、日和と暇をつぶす
2、適当に外を歩く
3、地下にって暇をつぶす
4、自由安価

安価↓1

3


>>226採用:3



地下に行くと、いつものボスと寝ているカナエさん

それ以外にもマリーナさんと永遠さんが居た

意外と皆暇なのかもしれない

……いや、ここ以外居場所がないんだよね



さて、どうしようか?


1、ボスを手伝う
2、マリーナさんと話す
3、永遠さんに近づいてみる
4、カナエさんを起こす
5、自由安価

安価↓1


>>228採用:1



奏「ボス、何か手伝うことありますか?」

永嗣「ん?そうだね…適当にアンチを殺して持ってきてくれないか?異能者を頼むよ」

奏「そ、それ以外を…」

永嗣「残念だ……では、そこの書類の束を上に持って行ってくれたまえ。全部に付箋をしてあるだろう?」

奏「……が、頑張ります」

常にパソコンと向かい合っているボスだが、こうした紙媒体の書類の提出を異常に面倒くさがる

山積みにされている書類の束
それぞれに付箋がしてあり誰に渡すか書いてある。その点では困ることは無さそうだった

几帳面なのか、物ぐさなのかよく分からない人だな


永嗣「しかし、望んでタダ働きとは熱心な事だね」


……どうやらこれに給料は支払われないらしい


奏「ふぅ……全部終わりました」

本部内を奔走し、それほど時間をかけずに提出し終えた


永嗣「やあやあお疲れさまだ。うんうん、随分机が広くなった」

永嗣「マリーナ君、コーヒーを二杯頼むよ」

そうして二杯のコーヒーを受け取ったボスは、一杯をボクに差し出した


永嗣「三日ぶりの休憩だ。君のおかげだよ」

奏「あ、あの…ありがとうございます」

ブラックのコーヒーが飲めずに困っていたところ、マリーナさんが気を利かせて砂糖を持ってきてくれた

疲れた体にコーヒーの温かさが染みわたる


こうしてボスが休憩している時間というのはとても珍しい
いい機会だ、何か話そう


自由安価
↓1

趣味について


>>231採用:趣味について


奏「ボスは趣味とかありませんか?」

永嗣「強いて言うなら仕事だね」

奏「えっと…じゃあ、この仕事につく前に趣味はありましたか?」

永嗣「ふぅむ…そうだねぇ……勉強が好きだったよ」

奏「どんな勉強をしていたんですか?」

永嗣「人間の心理を主に勉強していたよ。行動科学、犯罪心理なんかが好きだったよ」

奏「へぇ…ふふっ、なんだか『らしい』ですね」

永嗣「クックックッ…よく言われるよ。いやぁ…学生時代は楽しかったな、いくら勉強しても物足りなかった」

永嗣「今でも勉強は止められないがね、最近はもっぱら研究詰めさ」

奏「研究…ですか?」

永嗣「ああ、ずっと続けている研究なんだ。もう少しで完成しそうなんだけれどね」


そう語るボスの眼には生気に満ちていた


1、研究について深く聞いてみる
2、他の事を聞いてみる(内容明記)

安価↓1

1


>>234採用:1



奏「その研究って、何を研究しているんですか?」

永嗣「い~い質問だね。好奇心は猫をも殺すと言うが、知らないよりはずっといい。知ろうとしないよりはずっと賢い選択だ。我々は人間なのだからね」

ボスはコーヒーを一息に煽ると、ボクの眼を見据えて語り掛ける


永嗣「進化の研究さ」

奏「進化……ですか」

永嗣「そう、人間の進化の研究。私の異能の事は知っているね?」

奏「ええ、確か…死体を泥人形にするって言う」

永嗣「ちょっと前までは意思の疎通すら難しかったが、最近ではコミュニケーションが取れるようになってきたんだよ」

奏「それって…とてもすごい事なのでは?」

永嗣「ああ、死んだ人間の記憶と特徴を引き継いだ泥の体の人形。ほぼ死者を蘇生していると言ってもいい」

永嗣「だけど、まだ足りないものがある」

永嗣「そこで質問だ。君は生命を生命たらしめるものは何だと思う?」

奏「え?えっと………」



1、自由意志…でしょうか?
2、感動する心…だと思います
3、成長する精神…ですか?
4、自由安価

安価↓1

4人を愛するという事


>>236採用:4


奏「他者を愛する事…だと思います」

永嗣「ほう…!」

ボクの言葉にボスは目を輝かせてメモ帳を開いた


永嗣「何故そう思うのかね?続けたまえ」

奏「えっと…深い思想があるわけではないんですけど。愛する、愛されるという行為が経験上…一番生を実感する瞬間だったからです」

奏「褒められると嬉しいです、優しくされれば優しくしてあげたいと思います、親切をされるとありがとうと声に出ます」

奏「他者との繋がりは愛で出来ていると思うんです」

奏「他者を愛する、それはどんな生物にも共通してみられる行為だと思います」

永嗣「なるほどなるほど、生物の行動には愛を伴ってこそだと。そういうんだね」

奏「はい。えっと…生物は一人では生きていけませんから。色々な意味で」

永嗣「面白い。非常に面白い。ありがとう、とてもいいことを聞かせてもらった」

奏「あ、いえ…そんな」


ボスはぶつぶつとメモに大量に走り書きを残している
ボクの言葉に何か思う事があったんだろう


永嗣「……っと、もうこんな時間か。奏君、そろそろキミも仕事だろう?」

奏「え?うわっ…本当ですね」


僕は慌てて準備をし、部屋を出て仕事に向かった


そういえば…自分は質問に答えたけれど、あの質問に答えはあったのだろうか?

……時間が合えば、次の機会に聞いてみよう


ボクはいつものように通信室でマイクの電源を入れる


奏『二人とも、聞こえますか?』

永遠『聞こえているよ』

新『こっちも大丈夫だ』

奏『では、所定の位置についてください』

『『了解』』

二人の返事を確認し、モニターの電源を映し出す

モニターには永遠さんが持っている小型カメラの映像が映し出されていた

今回の仕事はアンチの情報を盗み出す、つまりは空き巣のような物だ
現場の永遠さんをボクと新さんでサポートする形になる


奏『永遠さん準備はいいですか?』

永遠『うん、大丈夫だよ』

奏『では、どうぞ』


永遠さんは堂々と建物のインターホンを押して口を開いた


永遠『私だ』

おおよそ永遠さんの喉から出ているとは思えない、掠れた低い男の声を響かせる

『声紋承認。扉が開きます』

機械的な音声と共にガチャリという音が響く

これでボクの仕事はほとんど終わったようなものだ
あとは2人に任せる形となる


このまま何事も無く終わればいいのだけれど……



イベント判定
1-3  想定外
4-6  罠
7-9  無事平穏
??? -3
豪運  +2

直下コンマ


コンマ判定:4-1 想定外


永遠『うっ…!?』

永遠さんの呻き声と共にモニターの映像が大きく傾く

奏『永遠さん!どうしましたか?新さん、そこから目視できますか?』

新『位置は目的の場所に居るんだが、何が起こってるかは分からん。おい永遠!返事しろ!!』

永遠『…っつぅ…最悪だ。鉢合わせた』

新『鉢合わせたって…誰にだ!?家の奴は出払ってたはずだぞ!』

永遠『見えないけど刺された。自宅警備員かコソ泥かのどっちかだと思う』

新『見えないって…異能者か……おいおいおいおい、聞いてないぞ』

永遠『どうする奏君』

奏『………』


1、安全第一、即座に脱出
2、見敵必殺、逆に迎撃
3、任務第一、目当てのモノだけでも見つける

安価↓1


>>244採用:1


どんな敵かもわからない、姿が見えないというのも尚更厄介だ
異能者がそこに居るのではなく、この作戦が露呈したうえで誘い出したトラップハウスの可能性もある

もし、同じものを盗み出そうとしていたコソ泥なら既に奪われた可能性もある

仲間でも呼ばれて永遠さんを危険にさらすのは得策ではない


奏『即時脱出してください。新さん、そこから一番よく見える窓の位置は?』

新『西側の両開きの大窓』

奏『永遠さん、ボクが一瞬隙を作ります。そしたらその位置から4時の方向の窓のカーテンを開け放ってください』

永遠『分かった』

すぅ…と小さく息を吸う
そして、二人と繋がっている無線と違うマイクの電源をつける
このマイクは予め永遠さんに持たせていた、もしもの時の為の小型スピーカーに繋がっている物だ



『そこに居るのは分かってるぞ!!』


もしそこに姿を消している異能者が居るのなら、さぞ驚いたことだろう
天雲財閥代表、天雲雲雀の声がしたのだから

相手を怯ませる、更には永遠さんをアンチ側だと印象付けられる。一石二鳥だ

永遠さんはボクの指示通り、西側の窓のカーテンを開け放った


新『よっ…!……よし、無事に永遠の身柄を確保した』

奏『ふぅ……災難でしたが、一先ず無事でよかったです』


今頃あの部屋には永遠さんの体の代わりに10円玉が転がっているだろう


新『取り敢えず一旦そっちに帰るわ』

奏『はい、分かりました』


こうしてボク達の任務はあえなく失敗に終わった


程なくして二人が地下に帰って来た


奏「お帰りなさい!永遠さん、体は平気ですか?」

永遠「うん、ちょっと胸を刺されただけさ。すぐに治ったよ」

ホラ、と手渡されたナイフにはべっとりと血が付着していた
これほど深く刺されてもちょっとと言えるのは流石は超人という所だろう


新「う~ん…このナイフから相手が何か予測できないもんかな」

永遠「私にはちょっと分からないな。奏君はどうかな?」

奏「ボクにも判断できません。取り敢えず、この事をボスに報告しましょうか」


ボスにもナイフを見せてみたが、イマイチ芳しい反応は帰ってこなかった

しかし、永遠さんが襲われたことは事実
それほど奪われたくない重要な何かがあったのだろうか?


……………さて、



1、先ほどの任務内容について調べてみる
2、ナイフの事を他の人にも聞いてみる
3、永遠さんから現場の話を聞く

安価↓1

3


>>248採用:3


ちょっと中途半端ですが、今日の更新はここまでです

お付き合いいただきありがとうございました

乙選択次第ではあっさり永遠さん死んでたりしたんかね


>>252
流石にそう簡単には永遠さんが即死とはいきませんでしたよ。超人ですしね
しかし、悪手を踏み続ければ嫌な方に進んでいたかもしれません


そろそろ再開です


奏「永遠さん。此方の映像からでは状況がよく分からなかったのでもう一度説明してくれませんか?」

永遠「ナイフに刺されたときのかな?そうだねぇ…」

永遠さんは腕を組み渋い顔をする

永遠「そっちでも見えていないなら、こっちには尚更わからなかったよ」

永遠「気付いたときにはもうナイフが胸に刺さっていてね。音も気配も感じられなかったよ」

奏「…そうですか。そうなると認識や近くに影響を及ぼす異能のようですね」

永遠「音や気配も無かったからただの透明人間とも違う」

奏「そうなると幾らか犯人が絞れてきそうですね…」


超人の永遠さんの感覚器官すら騙す強力な異能
音も気配も無く、永遠さんの胸に深々とナイフを突き立てた腕前

誰か知ってそうな人はいないだろうか?


1、ヒーローとしての活動経験もあるマリーナさんに聞いてみる
2、情報通っぽい美柚莉さんに聞いてみよう
3、経験豊富な新さんに聞いてみよう
4、駄目元でカナエさんに聞いてみようかな

安価↓1


>>256採用:4


カナエ「何々?何の話してるの?」

お昼時だというのに珍しくカナエさんが起きだしてきた
聞かないよりはいいだろうと思い、カナエさんに事情を説明する

奏「……という感じなんですけど」

カナエ「ふむふむ………」

永遠「心当たりはありそうかな?」

カナエ「ナイフ見して」

奏「どうぞ」

カナエさんは永遠さんの血液が付着したナイフをマジマジと観察している


カナエ「………」


知識判定
1ほど知らない、9ほど知ってる
4以上で+3

直下コンマ


コンマ判定:6+3
※補正は同業者補正でした



カナエ「コイツはアレだね、藍原のナイフだね」

奏「藍原…ですか?」

カナエ「うん、運び屋でね。私達より先に来てたんだと思う」

カナエ「でもおかしいのは、異能は透明化なんだよ。音は消せても気配は消せなかったと思うんだよね~っかしぃなぁ…」

永遠「そうなると、別の異能者の協力があった…という事か?」

奏「その可能性が高そうですね」


ダメもとで聞いてみたが、思わぬ収穫が出来てしまった
意外にもカナエさんはそう言った同業者の事をよく知っているらしい


奏「取り敢えずボスに報告してきます」

カナエ「いってら~、あ!ナイフ貰っていい?」

奏「多分大丈夫だと思います」

やや雑に返事をしてボスに報告を急いだ


奏「……との事でした」

永嗣「ふむ……そうかい」

奏「あの…奪還の必要はないのでしょうか?」

永嗣「まだ相手がその藍原と決まったわけでもないだろう?まずは上に報告する。後日連絡が行くだろう」

奏「そう…ですか」

永嗣「一先ずお疲れさまだ。下がりなさい」

奏「はい…」



煮え切らない形になってしまったが今日の任務は一先ず終わりを告げた




夕方



これからの事は特に何も決まっていない

カナエさんは夜に向けてウォーミングアップを始めている

新さんは仮眠室で休眠、永遠さんは先に帰ってしまった

美柚莉さんはマリーナさんにお茶の入れ方を教わっている

ボスは相変わらず忙しそうだ


さて、どうしようか?






1、地下に居る誰かと過ごす
2、あても無く外を散歩する
3、家に帰ろう

安価↓1


>>262採用:1


誰と一緒に過ごそうか?


1、永遠さんを追いかけて外に出る
2、美柚莉さんとマリーナさんと一緒にお茶を飲んで雑談をする
3、カナエに付き合う
4、ボスの仕事を手伝う

安価↓1

1


>>264採用:1


奏「永遠さん!」

永遠「奏君!?どうしたのかな?忘れ物でもしてた?」

奏「あ、いえ…なんとなくです。帰るのでしたらお送りしますよ」

永遠「まあまあ!ふふっ…まだ子供なのに紳士だね」

奏「そう…なんでしょうか?よく分からないです」

永遠「今日はちょっとカフェでも寄って帰ろうかと思っていたんだ、友人が経営していてね。キミも来るかい?」

奏「じゃあ、お供させてもらいます」


そうして、永遠さんとその友人が経営しているというカフェに向かった


永遠「着いた。ここだよ」

奏「『カフェ&バーあまぎ』?」

永遠「そうそう、朝から夕方まではカフェで夜からはバーをやっているんだよ」

奏「そんな店もあるんですね……」

レンガ造り風のシックな雰囲気のお洒落な小さいお店だった
外食というモノに興味を持ったことのなかったボクとしては、その佇まいはとても新鮮に感じられた


永遠「じゃ、入ろうか」

永遠さんが扉を開けると、カランカランとベルの音が鳴り

「いらっしゃいませ~」

と優し気な女性の声が聞こえてきた


店主と思しき声の主である女性は明るい茶髪で、優しげなタレ目の女性だった
年齢は永遠さんとそう変わらないように見える


店主「あら永遠。息子さんずいぶん大きくなったわね」

永遠「冗談よしてよ、彼は14だ。私が13で産んだことになるでしょう?」

店主「ゲッ…じゃあ彼氏?」

永遠「気が早すぎだ。仕事仲間さ、帰りまで送っていくって言ってくれる紳士だよ」

店主「ふ~ん………」

奏「あ、あの…」


頭の先から足もとまでねっとりとした目つきで観察される
恥ずかしいと言うより、昔を思い出すから少し怖い


店主「合格」

奏「はい?」

店主「お姉さんは甘木神子(アマギ ミコ)よろしくね。可愛いボクくん」

奏「ひゃ、ひゃい!」

耳元に甘ったるい息を吹きかけられる
やはり昔を思い出し、胸がキュウと冷たくなった


神子「堪らなくいいわね、この怯えた目」

永遠「私の奏くんに変な事をするんじゃないよ。スケベおばさん」

神子「お、おばっ!」

永遠「奏くん、コイツは33だからおばさんなんだ。覚えておくといい」

奏「は、はぁ…」

神子「コラッ!なんてこと言うのよ!私はまだまだ若いわよね?ねえボクくん?」

奏「え、えっと……」


「いらっしゃ…うげっ…」


二人に挟まれて困っているところに、奥から別の店員と思しき男性がやって来た
脱色して痛んだ髪、細い眉の怖い顔のお兄さんだった

しかし永遠さんの顔を見て非常に渋い顔をしていた


カウンターの席に座り、4人で会話を楽しむ
他のお客さんが来ないなと思っていると、この時間は夕方と夜の変わり目だから準備中なんだよと永遠さんが教えてくれた

つまるところ、身内同士だからこそできる時間だという事らしい


厳つい顔のお兄さんは『弧狸琢磨(コタヌキ タクマ)』
このお店でアルバイトをしているらしい
永遠さんと同じで超人だという

どうやら3人は昔馴染みのようで、琢磨さんは2人に頭が上がらないらしく少し窮屈そうだった


永遠「タヌキが元気にやっているようで安心したよ」

琢磨「心配されるようなことなんてなんもねーですよ…」

永遠「あ゛ん゛?」

琢磨「姉さんの期待に応えられるように精進します!押忍!!」

永遠「面白いだろ~コイツ?」

奏「あ、アハハハ……」

取り敢えず愛想笑いを返す
流石にちょっとだけ琢磨さんがかわいそうだった


しかし、こうしたプライベートの永遠さんというモノを始めてみた気がする

超人

この問題は非常に繊細な問題だ

こんな事を言うと失礼だと思うが
彼女はその境遇に翻弄された分かりやすい一例だ

こうして会話に花を咲かせ、冗談を言い合い、楽しげに笑う彼女を見ると他の人間と何も変わらないように見える

いや、何も変わらない筈なんだ
ボク達異能者と同じような存在の筈なんだ

しかし、理屈ではわかっていても上手く廻らないのが現実だ


全員がボクのような考え方で割り切れるなら、彼女はボクと一緒に仕事をすることは無かっただろうから


神子「なんだか静かねボクくん」

永遠「あ、ゴメンね誘っておきながら。こんな身内な輪には入りづらかったかな?」

奏「いえ、そんな。皆さんのお話を聞いているだけでも楽しいです」

琢磨「そういやこの子誰なんすか?姐さんの彼氏…とか?」

永遠「二人揃って……私はそんなに男に飢えているように見えてるのかな…」

神子「ショタコンっぽいとは思うわね」

永遠「ち、違う!違うからね!奏くんはただの仕事仲間なんだ!!」

琢磨「ってことは、異能者なんすね」

永遠「そういう事だ。色々とお世話になることも多いんだよ」

神子「へぇ…ちなみに私も異能者なのよ」

奏「そうなんですか」


基本的に3人で話を回していたが、ボクに気を回してくれているようだ
何か聞いてみようか?


1、昔の永遠さんの事を聞いてみる
2、神子さんの事を聞いてみる
3、琢磨さんの事を聞いてみる
4、自由安価

安価↓1

4自分と男女の中になることについて


>>272採用:4



奏「じゃあ、恋愛の話を聞きたいです」

永遠「ハハハ…キミは案外俗な話が好きだよね」

神子「いいわねぇ、私はその手の話題に事欠かないわよ」

永遠「お前は青い果実のつまみ食いが趣味だしな」

神子「もう!あり得そうな嘘つかないでよ!」

永遠「ふふふっ…それで、誰の話を聞きたいんだ?私はあまりそういう話はできないけれど」

奏「そうですね………じゃあ、ボクと男女の仲になれますか?」

永遠「んなっ!?」

神子「まぁっ!」

琢磨「おぉ…大胆だな」

三者三様の反応みせる
慌てて僕は言葉を足した

奏「もしもの話ですよ!!えっと、守備範囲とか好みの男性とかそういう話に発展させるつもりで」

と付け加えた


神子「あら、琢磨がからかうからヘタレちゃったじゃない」

琢磨「俺すか!?それよか姐さん顔真っ赤すよ?」

永遠「い、いや…なんでもない。そうか…キミを恋人に…か……」



コンマ判定
1ほど……、9ほど……。0で……

直下コンマ



コンマ判定:5  悩ましい



永遠「う、うむむむ……キミはとても魅力的だと思うよ。うん」

永遠「よく気が利くし、仕事でも頼りになる。とても素敵な男性だ……将来的には、だけどね」

永遠「流石に年が離れすぎている。キミと倍の年の差だからね、お互いの事を思うと恋人にはなれないかな」

どうやらかなり真剣に考えて答えを出してもらったようだ

神子「0点」

永遠「何がだ!」

神子「つまんないつまんないつまんなーい!あんなに葛藤したんならもっと面白い答えだしなさいよ!普通すぎるわ!」

永遠「常識を考えろ!私は27だぞ!彼は14だ!」

神子「食べごろじゃない!!」

永遠「ついに本性を露わしたなショタコンババァ!!」

神子「ババァっつたかぁ!!!」


二人の口論が激化し、聞いたことも無いような汚い言葉が飛び交う


琢磨「おお…醜い……」

奏「あ、あわわ…すみません。ボクのせいで」

琢磨「いいっていいって」

琢磨「姐さんも甘木さんもあんなんだけど、これからも仲良くしてやってくれ」

奏「あはは……はい、勿論です」



こうしてボクは永遠さんの新たな一面を垣間見た


あれからお酒を飲み始めた二人

超人の代謝には勝てず、先に神子さんがダウンしてしまった
その事により今日は店じまいにしたようだ

神子さんを介抱する琢磨さんを尻目に、ボクは上機嫌な永遠さんを家まで送り届けた


そして帰宅したのだが……


日和「お帰りなさいませご主人様」


えらく日和がご機嫌斜めな様子だった


奏「日和、どうかした?」

日和「どうかしたかは私の言葉です奏様」

日和「こんなにも私以外の女の匂いをつけて!!浮気ですか!!」

奏「いや、別に誰とも浮気をしていないけれど」

日和「じゃあこの口紅の後は何なんですか!!」

奏「キミはボクのなんなんだ……」

日和「日和の主人です!!」

奏「なんかその主人の意味は違う意味合いな気がするよ!!」


そのまま流されるままに、日和にお風呂に連れ込まれた
仕方なく、大目に見てやる事にした


日和「んふふふふ…ご主人様…日和のご主人様…」

奏「………」

日和にされるがままに髪を梳かされている
別に嫌というわけではないけれど…

日和「奏様のお体から汚い女の匂いは消えましたよ。そのうえで、今日はいっぱいい~っぱい日和特性のアロマオイルをつけましょうね?うふふふふ…」

やっぱりなんだか怖かった

いつも通りなんだけどね



さて………



1、そのまま日和の好きにさせる
2、日和と話でもする
3、いい加減鬱陶しいので引き剥がして自室にこもる
4、自由安価

安価↓1

4耳をかぷかぷする


>>280採用:4



日和「はむっ」

奏「うひゃぁ!」

突然の事に情けの無い声が漏れ出る
ボクのその反応に日和は顔を赤くし蕩けた表情を見せた

怖い


奏「やめっ…やめてよね!さすがに怒る…んふぅ!?」

再び耳を噛まれる
ボクの小さな体は日和の腕に掻き抱かれ、ちょっとやそっとじゃ抜け出せなくなった

というか凄い腕力だ!

日和「はぁっ…!はぁっ…!!奏様……綺麗…!」

ヤバい

ボクは背後のの気が狂った人間の眼を見てしまい、本能が警告を打ち鳴らす


しかし、時すでに遅し

一回り以上大きい体の日和、それに加えこの腕力

なんとか首を動かせる程度だ


日和「もっと…もっと可愛らしい声を上げてください!!」

更にヒートアップした日和の心は最早止める手立てなど……いや、やるしかない

耳を舐られこそばゆい思いをしながら、震える体で声を絞り出す

奏「日和…顔…みせて……」

精一杯甘えた声を出す
こんな時に幼少期の経験が生きるとは思いもしなかった

日和「はい、奏様!日和は…はぅっ!!??」

日和が可愛らしい声をあげる

耳を舐るのをやめ此方を覗き込もうとしたその瞬間、ボクは首を伸ばし日和の耳に食いついたのだ

この悪戯、ボクの方が一日の長がある
今回ばかりは大目に見てやるものか!!


悶え殺してくれる!!

そう意気込んだのも束の間


日和「は、はがっ…!ぐぼっ……!!」

濁った呻き声が聞こえたかと思えば、日和は気絶していた

奏「あ、あれ…もう終わり?」

呆気なく勝負はついてしまった
恐る恐る日和の額に手を触れると、異常な熱を持っていた

どうやら幸せのキャパシティをオーバーしてしまったようだ

奏「やれやれ……世話が焼けるな…」

何とか日和を引きずって日和の部屋で寝かせておいた
……日和の部屋にはボクの写真が壁を埋め尽くしていたが、大目に見ておくことにした


日和はカウンターに弱い

新たな教訓を得て、ボクも眠ることにした


※二日目終了



今日の更新はここまでです

お付き合いいただきありがとうございました


名前:甘木神子(アマギ ミコ)
性別:女性
年齢:33歳

立場:中立
職業:カフェ&バーあまぎ店長


身長は162㎝
肩にかからないくらいの長さの明るい茶髪、優しげなタレ目が印象的な女性
大人の色気を無造作に振り撒き妖しい色香を放つ
口元の黒子も艶やかさを出すことに一役買っている
一見優しそうな雰囲気を持っているが、仕事の為である
面倒見がいい性格だが、嗜虐的な趣味を持つ
非常に広い交友範囲を持つ謎多き女性
趣味は長話、長電話





異能:レベル2【座標変更】
物の座標を交換する異能
100㎏以下の物でなければ移動させられない
射程範囲は自らの半径15mで、触れている物と自分の体しか座標を変更できない
細かな調整が苦手で、自分の座標を弄る際には集中力が必要
高度な空間把握能力を必要とされる



【特殊技能】


『情報通』
困ったことがあれば、カフェ&バーあまぎにおいで下さいね♪


弧狸琢磨(コタヌキ タクマ)
性別:男性
年齢:22歳

立場:中立
職業:カフェ&バーあまぎ店員



身長は177cm
脱色して痛んだ髪と、細い眉といかつい目つきが特徴的な男性
情に篤く義理堅く、熱血な性格
何事にも本気で取り組み、冷めていたり斜に構えた人が嫌い
『責任』という言葉を何より重んじている
感情の起伏が激しく涙もろい
趣味は映画鑑賞(ラブロマンス、人情系、時代劇などを好む)
世にも珍しい超人の異能者



異能:レベル1【記憶投影】
物事を一目で完璧に記憶し、再現できる異能
記憶の中の光景を絵に再現したり、動作をコピーすることができる
『とてつもない技術』程度の異能の為、周囲からも自分すらも本当に異能かどうか怪しんでいる



【特殊技能】


『超人』
人を超えた人間
様々な身体的恩恵を受けられるが、社会的風当たりが強い

『奇跡』
普通ならばあり得ない奇跡をその身に宿す


今日の更新はお休みです


お待たせしました

三日目再開です


いつものように朝の日常を過ごしている

これまたいつものように日和が色々と準備をしてくれていた

『ついに私たちは夫婦の契りを!』と意味の分からない怖い事を言っていたが、大目に見てあげることにした


特に代わり映えしない、いつもの朝だ





さて……




1、今日の予定はまだない
2、夜に仕事(カナエと暗殺任務)
3、仕事ではないがすることがある

安価↓1

2


>>296採用:2、夜に仕事



今日は夜から仕事だ

それまでの時間はどうしようか?



1、日和と遊ぶ
2、適当に外を歩く
3、地下で時間を潰す
4、自由安価

安価↓1

4いちゃつく


>>298採用:4



日和「奏様♪」

奏「うぐっ……もう、暑苦しいったらぁ」

何故だか今日の日和は妙に機嫌がいい
いつも以上にベタベタとボクを掴んで離さない

奏「仕事しなくってイイの?」

日和「もう済ませました!奏様とのお時間を作るためにですよ」

奏「むぅ………」

流石にこう返されてしまってはボクとしては返す言葉も無い
諦めて日和に付き合うことにした


日和「はい奏様、お口あ~ん…」

奏「あ~ん……んむ…」

日和「美味しいですか?」

奏「うん」

ボクのその返事に日和はきゃあきゃあと姦しく喜ぶ


ボクは日和の膝の上に座らされ抱きかかえられている
その体勢のまま日和にお菓子だったりお茶だったりを口に放り込まれている

さながらおままごとに付き合わされているお人形さんの気分だった


奏「ねえ日和、ボクが君を雇って何年になるっけ?」

日和「丁度2年になりますね」

奏「この生活が始まってまだ2年なのか、もうずっと昔のような気がしてたなぁ…」


改めて考えてみると僕は日和の事をあまり知らない気がする
いい機会だ、色々と聞いてみよう



会話安価
↓1


連続でしたので302採用



奏「日和には将来の夢とかってあるの?」

日和「奏様のお嫁さんになる事です♪まあ、9割型叶っているんですけれど」

奏「……ううん、あまりにも予想通りすぎる」

日和のこの返しにイマイチ面白みが感じられなくなったのは、日和の奇行が習慣化したからかだろうか?
もしかするとボクも日和の事を徐々に受け入れているのかもしれない


奏「じゃあ仮に、ボクがこの世に居なかったら日和は今頃何をしてたのかな?」

日和「奏様の居ない生活など考えられません。…ですが、もしそうでしたら私は…目的も無く生きていたと思います」

そう言って日和は少し顔を曇らせた
ボクは日和のそんな顔を初めて見た

そんな表情もできるんだ…とぼんやりと考える


日和の過去、何かあるのだろうか?



1、日和の過去の事を聞いてみる
2、昔は昔だ。別の事を聞いてみようか

安価↓1

1


>>304採用:1



奏「日和はボクと出会う前、何処で何をしていたの?」

日和「…今と変わらずメイドをしておりました。仕えていた主人は長壽古布蔵(チョウジュ コブゾウ)。勿論奏様はご存知ですよね?」

奏「……うん、忘れたくても忘れられないよ」


長壽古布蔵
かつてボクを…奴隷だったボクを可愛がっていたご主人様だ


奏「…そうだったんだ。その頃からボクと君は同じ場所に居たんだね。……さっぱり思い出せないけど」

日和「そうであっても仕方ありません。あの時の奏様はあの男以外の対人関係が存在していませんでしたもの」

日和「でも私はずっと奏様を知っていましたよ」

奏「……という事はあいつが失脚した時に日和もボクと同じようにあの屋敷を抜け出していたって事なのかな?」

日和「そう…ではあるのですが。少々ややこしい事情もありまして」

目を伏せて考え込むような仕草を見せ、やがて決意を固めたようで顔をあげた


日和「そもそも私は長壽に仕える以前に、『天雲』の人間なのです」

奏「えっ!?って事は日和はアンチなの?」

日和「だった。と過去形が正しいです」

奏「それでも、元アンチの人間がヒーロー側のボクと一緒に生活してるだなんて…」

日和のその告白は、一つ目の告白よりも衝撃的だった
ボクがヒーロー側に人間だからこそ、その告白を躊躇っていたのだろう


奏「よくよく考えてみればそうか……日和の苗字は『天海』だもんね」

日和「はい。天雲傘下の人間は『天(アマ)』の姓を与えられます」

日和「私が所属していた『天海』は所謂スパイ、監視と言った潜入を主な任務としておりました」

日和「私は長壽古布蔵の天雲に対するスタンスを密告すると言った命を受けておりました。その事が、間接的にですが奏様を救った事になりました」

奏「そうだったんだ……」


つまり日和はボクを不幸のどん底から抜け出すきっかけとなった光そのものだったという事らしい
ボクはボクの思っていた以上に日和に助けられていたようだ


日和「かつては天雲に忠誠を誓っておりましたが、奏様の事を知ってからは日和の身も心も奏様のモノでした」

日和「奏様が無事にあの館を脱出したことを確認して直ぐに任務を投げ出しましたから」

日和「あ、勿論天雲とはすでに縁切りも済ませていますよ」

と、日和は当然と言ったような自信満々な笑みを浮かべる

奏「……とてもすごい事をしてるんだけど…こう、あんまりにもサラリと語られ過ぎてる気がするよ」

しかし、改めて日和の行動力のすさまじさに感心してしまうボクだった


奏「…ん?そうなるとさ、ボクが君を家政婦として雇ったのは偶然じゃなくって…」

日和「運命です♪」

どうやらそうなるように仕組んでいたらしい


こうしてボクは日和の意外過ぎる過去と、ボクの過去の真相を知った

今とは全く違う考え方、使命を帯びていた日和

そんな彼女に知らず知らずのうちに救われていたボク


……これからも色々と奇行を繰り返すと思うけど、大目に見てあげよう

いや、大目に見てしかるべきだろう。と僕は思った


非常に短いですが今日の更新はここまでです
なんだか調子が悪くて…すみません


次回もどうぞお付き合いください


そろそろ再開っす



【『天(アマ)』と名の付く人物について】
組織において『天(アマ)』と名の付く人物は、全て天雲傘下の幹部クラスの人間です
『天犬』と『天傘』だけが特例で、所属する人間全てにその所属している部署の名前を与えられます
多くの人間は『天ノ川』が統括する実行部隊に配備されています
例として、『天下』は『天ノ川警備部門』の総括に配属されています



【天雲傘下諜報活動部隊『天海』】
天雲の一族に仕える諜報活動員の総称
潜入が主な任務となるため、護身術のみならず様々な技術の会得を必要とする
代表的なモノとして変装術、演技術、読唇術などがある
天海に血筋は関係なく、訓練を積み認められた人間に『天海』の姓を授けられる
現在のは天海統括は『天海 鶫(アマミ ツグミ)』


奏「げっぷ……ご馳走様」

日和「はい、お粗末さまでございました♪」

日和は鼻歌を歌いながら昼食の食器を片付ける


ボクはお気に入りのソファにどっこらせと寝ころんだ

うとうとと昼寝をしたくなってしまうほど、麗らかな日が差し込む


仕事までまだまだ時間がある、優雅に昼寝としゃれこんでもいいかもしれない



1、昼寝する
2、眠気覚ましに外を歩く
3、日和とグダグダ過ごす
4、自由安価

安価↓1


>>314採用:1



偶にはこんな日があってもいいだろう

ボクは本能の赴くままに睡眠欲に身を任せた……



幸運判定
00-95で夢を見る

直下コンマ


コンマ判定:99 現実


『~、~~~、~~♪』

歌が聞こえる

どこか遠くで歌が聞こえる

『~、~~~、~~♪』

ボクはそれを真似て歌う

ボクにはそれくらいしかなかったから

たくさんの衣服も、栄養のある食事も、ボクに与えられたものだけど決して『ボクの為のモノ』ではない

ボクはボクに捧げられたものではない歌を聞いて、ボクの為にボクは歌った


そうして夜になればまたスイッチを切ってお人形になる


スイッチを切ってから言う言葉は、決してボクの言葉じゃない
ボクの体を使ってお人形が喋ってくれているんだ


『今日もいっぱいいっぱい…ボクの事を可愛がってください』


お人形がそう言ってくれないと、ボクもあの子達みたいに痩せこけて死んでしまうから


気持ちの悪い男の唾を音を鳴らして飲み込んだ

『甘くておいしいです』と心にもない言葉で男を喜ばせた

もっともっとと卑しく男の唇を求めた

そうしてこなかった子は皆死んでしまったから


ボクは人形だ

あの時のボクは人形だ

決してボクがされたことではない


丹念に舐った男の汗と垢

終わった後は涙を流して何度も吐き返した

それでも匂いはボクを侵して離さない


荒い鼻息

ぶつけられる様々な欲望

『嬉しいだろう』と問いかけられる

音という音がボクの全てを侵していく


人形はただ、持ち主に喜ばれるために遊ばれ尽す



『~~、~~~、~♪』

今日もまた、歌が聞こえてくる

『~~、~~~、~』

ボクはそれを真似てまた声を出していた


ガタガタッ!ゴトン!!


と鈍い音が歌をとめた


コーン、コーンと硬い何かを打ち付ける音が鳴り響いた

ボクはただ、自分の為に歌を歌った


そうしてまた、今日もボクは人形になる

いつ今の音がボクになるともわからない

だからボクは今日もこうして生きるのだ



次の日から、新しい歌が聞こえてきた

あの男に捧げられる使い捨ての音声プレーヤー

いつまでこの歌を聞いていられるだろうか?

ボクはただ、聞こえてくる歌を真似て歌い、自分を慰めた


奏「はぁっ!はぁっ!!」

飛び跳ねるように起き上がる

ボクは大声で日和を探した
まるで母親を求める赤子のように狂ったように声をあげた

慌ててやって来た日和の体を見つけると、ボクはその身体に必死でしがみ付いた

服がぐちゃぐちゃになるくらい強い力で握りしめる


そんなボクを、日和は何も言わずに背中を優しく撫でてくれた


30分くらいそうしていた

そっと日和の体を引き剥がすと

日和「落ち着きましたか?」

と、日和が聞いてくる

奏「……うん」

と、ボクはもう一度日和の温かさを感じてその場を離れた


外を見ると、既に日は沈みかけ空が赤らんでいる

もう夕方だ

予定より長く眠ってしまっていたようだ



………嫌な事を思い出してしまった

クッションを無茶苦茶に抱き締めて大きく息を吸う

清潔で優しい洗剤の香りがした



もう少しで仕事の時間になるな…


1、地下に行く
2、気分転換に外を歩く
3、日和に絡む
4、自由安価

安価↓1

4夕飯の買い出し


>>322採用:4


日和が夕飯の買い出しに行くと言っていたので、それについて行くことにした


日和「今晩、何か食べたいものはありますか?」

奏「う~ん……じゃあお好み焼き」

日和「分かりました。腕によりをかけて作らせていただきますね」

奏「うん」


ふらふらと視線を周囲に動かす

考えてみると、こうして日和と一緒に買い物に来るなんて一度も無かったかもしれない

メイド服の女を連れて歩く子供


………思ったよりおかしい絵面ではないかもしれない


日和「こうして並んで歩いていると、夫婦みたいですね」

奏「いや、どう見ても金持ちのお坊ちゃまとそのメイドだと思うよ」

日和と思考がシンクロしていた
出した結論は全く違っていたけれど


奏「夕飯食べるの仕事終わってからになると思うけどいい?」

日和「はい、いつまでもお待ちしていますね」


そんな会話をしながらスーパーを歩いていると…



イベント判定
00-95で発生

直下コンマ


コンマ判定:09




イベント選択

1、異常な人だかり
2、響く爆音
3、不穏な会話
4、自由安価

安価↓1

3


>>327採用:3


ざわざわ、ガヤガヤと人の声がする

何かを言っているんだけど何を言っているのかはハッキリと聞き取れない

ボクは目を瞑り、その人々の声に耳を研ぎ澄ませた


『今日は何にしようかしら……』
                     『おもっ…買い過ぎちゃったなぁ…』

『え~っと…メモ何処やったっけ…』
                       『ダ~メ、元の場所に返してきなさい』

何の変哲もない普通の一般人の声が届く
その中で、一際異彩を放つ会話が耳を惹く


『………が死んだって』
               『知ってる。噂のヒーロー殺しっしょ?こわっ』
『アンチとかマジ絶滅してほしいよね。』 
                         『あ~あ、早く北斗さん帰ってこないかなぁ』



『ヒーロー殺し』
確かにそう聞こえた

その言葉で忘れかけていた本部で聞いてしまった言葉を思い出した

そんなまさかと思っていても可能性の炎は消えてはくれない


まだ小さい、しかし確実に不穏の火種に火がくべられた


ボクはその事を考えないようにし、無意識に日和の指を握った


仕事に行く途中、ヒーロー殺しについて少しだけ調べてみた

するとすぐにそれに行き当たった

今日の昼頃、本部所属のヒーローが殺されたらしい
名前もよく知らない無名なヒーローだった

朝のニュースを見ただけでは知らなくて当然のニュースだった


原因は確かにアンチの仕業であると判明しているらしい

ボクの住む町の事だ、出来ればすぐに解決してほしい


ボクは携帯端末の電源を落とし、いつものようにマイクをつけた



カナエ『うっし!準備万端!!いやぁ…夜はいいねぇ……カナちんも準備OK?』

はち切れんばかりの活力にあふれた声が帰ってくる
こんな人が暗殺専門だというのだから、人は見た目によらないな

奏『うん、大丈夫だよ』

カナエ『そんじゃあズバッと殺っちゃおうかねぇ!!』

カナエはスキップするような軽い足取りで歩きだした


モニターの映像をつけると、既にカナエさんは作戦を決行していた

映像が上へと流れていく
そう、カナエさんはあるビルの屋上から飛び降りていたのだ

華麗に受け身を取って降りた場所は、とある会社の屋外ラウンジ

全面ガラス張りの扉にカナエさんは悠々と近づいていく

合鍵や鍵開けと言った技術もカナエさんは持ち合わせていない
しかし、相手がガラスなら何も問題ない

カナエさんは鍵穴のすぐ隣当たりのガラスを撫で、はぁーっと息を吹きかけた

ボクはその吐息を大音量の超音波に変化させる
本来なら耳が壊れてもおかしくないような金切り声だが、カナエさんの異能により音量はキャンセルされている

さながら魔法のようにガラスに亀裂が入り、カナエさんがその部分を叩く
異能によって音を殺されたガラスは、はらはらと落ちる雪のように無音で地面に砕け散る

鼻歌を歌い始めるカナエさんを音量を小さくすることでフォローし、難無く屋内に侵入する


最大の難所は超えた
ここからはカナエさんの独壇場だった


今回の暗殺のターゲットは一人だが、それにかかわる人間の安否は問わないと聞いている
そうとなれば、それ相応のやり方も存在する

彼女は声を張って歌い出す

異常を察知した人々がそれに連れられてやってくる

ボクは彼女の歌を脳を揺らす超音波に変化させる
周囲の音すらもかき消す大音量が、カナエさんの異能によってその音声すらもかき消える

無音の歌を聞いた人々は、訳も分からず膝を屈する

助けを求め悲鳴をあげようとする彼らを、カナエさんは異能とナイフで黙らせていく

まるでその動きは踊るように軽やかで美しかった


声無き歌を歌う血の舞姫は、ただ上階まで歩きゆく
その後ろには夥しいほどの頭を垂れた人間が転がっている



そこでは、世界一静かな大量虐殺が繰り広げられていた


最後の一人の音を殺し、カナエさんは歌うことを止めた


カナエ『お~しまいっと。いやぁ歌った歌った~!ぃやっぱ私達って最強だよね~!』

奏『お疲れさま。でも油断は駄目だよ』

マイク越しからでもカナエさんの楽しそうな様子が伝わってくる


カナエ『やっぱ好き勝手暗殺していいって最高だよー!いえい!!』

奏『もう、駄目だよ。帰るまでが任務なんだから』

カナエ『は~いはいっと。全く…カナちんてば真面目なんだから』

ぶーぶーと文句を言いながらも、彼女は帰る一歩を踏み出した…




イベント判定
1-3 歪む視界
4-6 起き上がる人
7-9 立ち上る冷気
0   ???

異能連携+2
豪運   +2
???  -3

直下コンマ


コンマ判定:9+1  立ち上る冷気


カナエ『ふ~んふふ~…ッ!』

呑気に鼻歌を歌っていたカナエさんが、突然大きく後ろに跳んだ
何があったのか聞くまでも無く、モニターにその何かが映し出された

『巨大な氷塊』が先ほどまでカナエさんが居た場所を飲み込んでいる


『情報漏らしたバカを掃除出来て、ちょこまか動いているゴミも始末出来て一石二鳥ってな』

通路を完全に塞いでいる氷塊を真っ直ぐ通り抜けて男がやって来た
顔の左半分から首の中まで大きな刺青を入れているその男、間違いなく異能者だ


カナエ『…雅郷清流(ガゴウ セイリュウ)』

清流『お?俺を知ってんのか、まあ別に隠すつもりも無いしな』

男はニヒルに口の端をあげて笑う


奏『知ってるのカナエさん』

カナエ『名前と顔だけ。有名なアンチ』

余裕のないカナエさんの声から、状況は一刻を争うと理解した

カナエさんの口の動きに反応し、男は右手を突き出した
更にカナエさんは一歩横に移動する

しかし、何も起こらない

だが、何も起こせない相手というわけではないことは目の前の光景を見れば理解できる



カナエさんを何とかしてその場から安全に離脱させなくては……


1、じっくりと時間をかけて救援を待つ
2、先手必勝、超音波からの殺人の黄金コンボ
3、カナエさんに判断を任せる
4、自由安価

安価↓1

4特攻


>>337採用:4


どうするべきだろう?
相手の情報があの氷塊しかない以上、迂闊に動くのは危険に思える

しかしあの不気味に上げた手にも、何かあるのかもしれない

どうするべきなんだ…

カナエ『考えても仕方ないっしょ!!』

奏『えっ!?ちょっと奏さん!?』

ボクが何かを支持するまでも無く彼女は相手に特攻を仕掛けたのだった
しかも異能を使わない身体能力のみでの特攻

清流『おいおいお前バカかよッ!』

当然男はそれに対応しようとする……



コンマ判定:5以上で成功
暗殺術 +1
奇襲   +1
??? -2

直下コンマ


コンマ判定:3 失敗



カナエさんがナイフを振り下ろす
雅郷清流は振り上げていた素手の右手で、それを掴みあげた

しっかりと刃を握り込んでいるにも拘らず、男の手からは血の一滴すらも見受けられない


カナエ『やばっ…!』

清流『残念だがゲームオーバーだ。逝っちまいな!!!』


男は左腕を振りかぶる……



コンマ判定
5以上で成功
豪運  +3
??? -3
悪手  -1

直下コンマ


コンマ判定:0 特殊



さらに判定
1-3  最悪の結末
4-6  逆転の一手
7-9  通りすがりの……

直下コンマ


コンマ判定:2  最悪の結末



奏『間に合え!!』

想いを声にしそれを大音量の超音波として予備のスピーカーから打ち鳴らす

清流『甘ぇっての!』

雅郷清流はそれを読んでいたかのようにナイフを握っていた手を離してカナエさんの腹を蹴り飛ばす
逆転の一手として放った音波は何故か雅郷清流に届かずに書き消えた



清流『ついでにゴミの仲間も掃除出来て一石3鳥ってな』

    クリティカルブロウ
清流『報復の一撃――――ッ!』


男が拳を振り抜くと、巨大な氷刃が吹き荒れる
そしてその氷刃は、遥か遠くの僕の胸すらも貫いた



DeadEND



初の死亡となってしまいました
しかし、この物語は基本的に無限コンティニューなので心配ご無用です
アグレッシブに行きましょう


少し攻略のヒントを出すと、相手はレベル5です
カナカナコンビは強いですが、所詮暗殺専門です。正面切っての一騎打ちは不得手です



では、再開場所を選んでください


1、>>336
2、>>338
3、>>342

安価↓1


3


>>347採用:3


さらに判定
1-3  最悪の結末
4-6  逆転の一手
7-9  通りすがりの……

直下コンマ


コンマ判定:3  DeadEND



再開場所を選んでください


1、>>336
2、>>338
3、>>342

安価↓1


>>351採用:2



コンマ判定:5以上で成功
暗殺術 +1
奇襲   +1
??? -2

直下コンマ


コンマ判定:6 成功


カナエさんは雅郷清流の腕に向けてナイフを振るった
待っていたとばかりに突き出していた手でナイフを掴みに来る

カナエさんはその瞬間にナイフを手放し、雅郷清流の後ろの道を通り抜けた

清流『チッ…まあそりゃ逃げるよな』

カナエさんは脇目もふらずに駆け抜ける


カナエ『出口どっち!?』

奏『すぐ左の階段を下りてください!』

ボクもカナエさんの移動速度に遅れないように必死でナビゲートする

                 クリティカルブロウ
清流『ちと足りねぇが………報復の一撃―ッ!』


男の声が廊下に響く


カナエ『ヤバいヤバい何か来てるって!!!どっち行く?どっち行けばいい!?』

奏『そこを……』



1、真っ直ぐ突き抜けて!
2、左に曲がって!
3、一先ず伏せて!!

安価↓1


>>355採用:3



奏『一先ず伏せて!!』

先ほどのように氷塊が来るに違いない
そう考えた僕は進むよりも先にカナエさんに回避を優先させた


カナエ『グッ…ぐああああああ!!』

悲痛な叫びと共にモニター越しに血が飛び散る

上から下に突き立てられた氷塊は予想外に大きく、カナエさんの下半身を飲み込んだ

奏『そんな!?カナエさん!カナエさん!!動けますか!?返事をして下さい!!』


カナエさんの叫びがこだまする
やがて、その声も徐々に弱弱しいものに変わっていった…

ボクの指示が…カナエさんを殺してしまったのだ………



BadEND


何度もコンティニューするのも弱小主人公の醍醐味ッス
諦めずに何度もトライしましょう!!


再開場所を選んでください
※次からコンマにコンティニュー補正が入ります


1、>>336
2、>>342
3、>>354

安価↓1

3


>>358採用:3


1、真っ直ぐ突き抜けて!
2、左に曲がって!
3、一先ず伏せて!!(BadEND)

安価↓1

2


>>360採用:2


奏『左に曲がって下さい!!』

カナエさんがその場を飛びのくと同時に、その場に巨大な氷塊が突き刺さる

カナエ『うっひゃ~!ヤバいってヤバいって~!!』

奏『楽しんでないでボクの言う通りに行動してください!!』


左に曲がって貰ったのには理由がある
そこにはカナエさんが殺してきた大量の死体が転がっていた

奏『いいですか?音を立ててガラスを破壊して死体を外に放り投げてください!』

カナエさんはボクの指示通り死体を外に突き落とす
その時にスピーカーから『いやっほー!!』と楽し気なカナエさんの音声を流すのも忘れない


奏『体の上に死体を重ねて隠れて、異能をつかって音を消すことも忘れないで下さい』

カナエ『くぅ…スリル満点だね……』

こんな状況の中でもカナエさんは楽しそうな様子だった
何処までもマイペースな人だ


やがて、カツカツと男の靴音が聞こえてくる……



コンマ判定:5以上で成功
異能  +2
豪運  +3
??? -2

直下コンマ


コンマ判定:2+3 成功


清流『チッ…飛び降りやがったか』

男は下に落ちていくダミーの死体に向けて氷刃を放つ
死体は空中でいくつものは変に分離して地面に落ちた


清流『……用心には用心を重ねとかねぇとな』

男は駄目押しとばかりに夥しい死体で埋まった廊下を巨大な氷塊で押しつぶした

清流『これでいいか。終わり終わり』


男はそこで満足し、どこかに去って行った



奏『……生きていますか?』

カナエ『生きてる生きてる♪いやぁ…九死に一生って奴?』

奏『はぁ…よかった』


男が廊下に向けて放った氷塊はいくつもの死体をずたずたに引き裂いたが、死体の下に埋まっていたカナエさんは運よく無傷であった


カナエ『そのまま出口から出て大丈夫かな?』

奏『いえ、新さんに迎えに行ってもらいます。その場で待機していてください』

カナエ『りょうか~い!』


予想外のアクシデントもあったが、なんとか無事に切り抜けることができたようだ


長くなってしまいましたが今日の更新はここまでです

お付き合いいただきありがとうございました

これもし死んだのがカナエ一人ならそのまま続行だったのかな


今日の更新はお休みっす


>>368
カナエだけ死んでもコンティニューの予定でした


そろそろ再開っすよ!


雅郷清流に襲われたのち、その後は鉢合わせたりすることも無く
無事に地下に帰ってくることができた

カナエ「マジ怖かったねーかなちん」

奏「ですね、ボクもずっと冷や冷やでした」

なんて事を話しながら、ボスに報告をした

永嗣「ほう、それは災難でしたね。ですが暗殺自体は達成できているので良しとしましょう。お疲れさま」

と、ボスはそっけない返答をする
しかし、その事にボクたちは特に反応を示すことは無い

実際、こういった暗殺任務ではこういうことが良くあるのだ


今回の依頼内容は、ヒーロー側の情報提供者であるアンチの暗殺だ
この暗殺にヒーロー側にメリットは一見感じられないが、アンチと繋がっているという事実自体が世間体的によろしくない。というのが上の考えだ

ヒーロー側から提案し、少しでも友好的な態度を取れば漬け込んで圧力をかける
搾れるだけ搾ったらゴミのように捨てる
今回殺した相手はそう言った可哀想な人々だ

アンチ側としても裏切り者であるそいつらを許すわけも無い

なので、今回のように粛清に巻き込まれることはよくある話なのだ


つまり、真に恐ろしいのはヒーロー側の幹部というお話なのだ
いや、川崎会長がと言った方が正しいのかもしれない


『川崎佐武朗(カワサキ サブロウ)』
現カワサキ代表
天才的な政治的手腕、商才に恵まれ、カワサキヒーロー協会の地位を確固たるものにした張本人
しかし、その強引なやり口には内外で批判も多い
報道関係各所とのつながりが強く、情報操作、印象操作に余念がないため。その行いが大々的に日本に広まることは無いだろう


決して悪と断じられるほど悪人ではない
しかし、少々やり過ぎと思える面も多々存在する

言うなれば、敵を絶対に許さない潔癖症な人間なのだ

給料を払わない系のブラックではないので、ボクとしては特に文句はないんだけどね



カナエ「ねえカナちん、カナちんはこれからどうするの?」

奏「家に帰って夜ご飯です」

カナエ「ほ~ん…」

奏「カナエさんはこれからどうするんですか?」

カナエ「特に予定はないけど、夜だし適当に外徘徊しよっかな~って」

奏「…………」



どうやらカナエさんは暇らしい
ボクも、カナエさんとは差は無いけれど……



1、夕飯に誘う
2、一緒に外を徘徊する
3、自由安価

安価↓1


>>376採用:1


今日はお好み焼きだったよね
それなら一人増えても困らないだろう


奏「ボクの家で夕飯食べる?」

カナエ「えー!?マジ!?食べる食べる!」

奏「即答だね…お好み焼きだけど平気?」

カナエ「ふ~ん、お好み焼きかぁ…食べた事ないなぁ。食べたい!!」

カナエ「ほらほら~、早く行こうって!乗って乗って!」

そうしてカナエさんは腰を屈めて背中を見せる
ボクは恐る恐るその背中にしがみ付いた

カナエ「そいじゃあ出発!!」

奏「うわ~!ちょ、そっち違う!!」

仕事終わりだと思えないエネルギッシュなカナエさんに振り回されながら帰宅した


カナエ「こ~こがカナちんの家かぁ…でっかいね!」

奏「確かに子供が持っている一軒家にしてはおっきいと思うけど、そんなに大きくはないよ」

カナエ「インターホン押していい?」

奏「お、お好きにどうぞ」

別に押さなくてもボク鍵持ってるんだけどな
と、思いはしたがカナエさんがうずうずしていたので言わないであげた


日和『はい、奏様の家内ですが』

インターホン越しに大法螺が聞えてきたが、大目に見てあげる事にした

奏「今帰ったよ」

日和『あ、お帰りなさい奏様。直ぐにお迎えり上がりますね』

そう言って通信が途切れ、トタトタと足音が近づいてくる

そして、扉が開かれた


日和「おかえりなさ―――」

カナエ「やぁやぁ!」

カナエさんのフランクすぎる挨拶に、日和が完全にフリーズする


奏「ただいま日和」

日和「か、奏様?この下品な女はどこの馬の骨でございましょうか?」

声から動揺が見られたが、言葉には敵意が混ざっていた

カナエ「カナちんのパートナーのカナエで~す!よろよろ!」

日和「か、カナちん!?パートナー!!?」

カナエ「ま、そゆことだから」

日和「どういう事ですか奏様!?私という妻が居ながら!!」

カナエ「へ~、カナちんって結婚してたんだ~」

奏「ああぁ……もう、話が拗れて……」


ボクは自体の面倒くささに眩暈がした
カナエさんはマイペースに日和の手を取って勝手に握手をしていた
日和は目の前の謎の女性にガルルルと獣のように牙をむいていた


カナエ「ほえ~…綺麗な家だねぇ~」

カナエさんが目を輝かせてボクの家を隅々まで見て回っている

日和「この私が!掃除をしておりますので当然です」

日和はお好み焼きのタネをがっしゅがっしゅとかき回しながら、それでもカナエさんに敵意を向けていた


ボクは説明にどっと疲れた体を休めるためにソファに寝っ転がっていた

一応、二人に正しい人間関係を把握してもらった
日和は頑なに自分はボクの妻だと言って憚らなかったが、カナエさんはどうでも良さそうに聞き流していた


日和「奏様。そろそろ焼き始めますよ」

奏「は~い」

日和「うぇーい!待ってましたよっと!!」

ボク達は席につき、日和が焼き上げるのを見守った
カナエさんは本当に初めてお好み焼きを見るようで、子供のように目を輝かせて日和の手つきを見ていた




カナエ「凄ーい!凄い凄い!そのひっくり返すの私にもやらせて!!」

日和「嫌です。これは奏様のお口に入るものなのですよ?素人に何て任せられません」

カナエ「ぶーぶー!いいじゃんねぇーカナちん?」

奏「あはは…うん、一度くらいならいいんじゃないかな?」

カナエ「いやっほーい!カナちん大好き!好き好きー!!」

カナエさんがグリグリとボクの顔に頬ずりをする
日和はその光景を見て、手に青筋を立てていた

日和「…では次の一枚だけですよ」

カナエ「ありがとありがとー!」

日和「チッ…ご主人様の前でなければ……。んんっ、ではいただきましょうか」

日和は綺麗にコテで切り分けて、それぞれのお皿に三等分されたお好み焼きを乗せる


奏「それじゃあ…」


「「「いただきます」」」


そうして楽しい夕食の時間が始まった


カナエさんが待ってましたとばかりに齧り付く
箸で切り分けずに豪快に口に運んだので、口の周りはソースでべとべとだ

日和「なんて下品な…」

奏「ふふっ、いいじゃない。お外じゃないんだしちょっと位下品でもさ」

奏「美味しい?」

カナエ「んま~い!!すっごい美味しいよ!!こんなに美味しいご飯初めて!!」

やや大げさな表現ではあったが、カナエさんのその言葉から嘘は感じられなかった

奏「ふふふ、だってさ日和」

日和「…当然でございます」

日和も少しだけ、機嫌を直したようだった


奏「でもカナエさん、口の周りが汚いよ?ちゃんと切り分けて食べないと」

カナエ「は~い!カナちん拭いて」

奏「もう…仕方ないなぁ……あっ」

つい、いつものノリでカナエさんの我儘を聞いてあげてしまった
予想通り、日和はプルプルと肩を震わせていた

どうやら騒がしい夕食になりそうだ


カナエ「あ゛~……食べた食べた。しあわせ~…」

奏「う~ん…ボクも久しぶりに食べ過ぎちゃった」

終始騒がしかった夕食も終わり、今は食後のコーヒー待ちだ
因みにお好み焼きをひっくり返す工程をカナエさんは難なくこなし、日和はちょっぴり悔しそうにしていた


カナエ「こんなに美味しいもの作ってもらえるなら毎日通おうかなぁ…」

奏「ふふふ、毎日来るならお金取っちゃうからね」

カナエ「払ってでも食べたい!」

そう言って貰えるほどに満足してもらえたらしい
ここまで喜んでもらうと、誘ったかいがあったなとこっちも幸せな気分になる

人と幸せを共有し合える。それほどに幸福な事はない


日和「コーヒー、お持ちいたしました」

奏「ありがと」

カナエ「いやぁ至れり尽くせりって奴?」

ボクはコーヒーに二つ砂糖を入れ、二人はブラックでコーヒーを飲み一息ついた


漸く落ち着いた時間が出来た
何か話そうか?


1、カナエさんの食生活について
2、日和から関係を聞かれる
3、自由安価

安価↓1


奏「カナエさん、お好み焼き見るのも初めてだったんだね」

カナエ「そだね、名前も今日初めて知った」

日和「…信じられませんわね。アナタは一体どんな食生活を送っていたのですか?」

カナエ「どんなって…これ」

カナエさんが徐に懐から取り出したのは、『バランス栄養食品』と書かれたレーションだった


カナエ「ここ十年はこれと水だね。あと塩舐めてた」

奏「ええっ!?そ、それだけ!?」

カナエ「うんうん♪あ、マリーのコーヒーも飲むよ」

奏「いやいや、それでも足りてないよ!」

日和「何故そんな偏った食生活をしているのですか?食事は栄養が足りていればいいというモノでもないでしょうに」

珍しく日和にしては真っ当な意見だった
カナエさんは顔を傾げ少し考えたような素振りを見せる


カナエ「だってどうでもよかったんだもん」

それが、彼女が考えた末に出た答えだった

カナエ「動くだけのエネルギーが湧けばそれだけでよかった」

カナエ「どうせ私には暗殺しかないし、それさえできれば幸せだったしね~」

奏「カナエさん…キミは一体どんな人生を生きてきたの?」

カナエ「どんなって言われてもねぇ…。普通に幸せな事を探して生きてきたよ」

カナエ「人殺すのがお仕事で、帰る場所があって、好きな人たちが生きてる。めっちゃ幸せだよ!」

カナエ「そんで今日!お好み焼きって言う幸せも見つけた!!サイッコウに充実してるよ!!」

その発言から創造される出自とは裏腹に、彼女の声に陰りは無かった
何処までも楽しげで無邪気な声だ

カナエ「ねえねえカナちん!明日も食べたい!お金払うからさ!」

奏「……ダーメ」

カナエ「えー!どうしてさー!」

ガタガタとボクの肩を揺らす


彼女は新たな幸せを知ったと言った
それはとても素朴な幸せ

彼女はただ、知らないだけなのだ
なら、友達のボクに出来ることは狭い世界を広げてあげることだ


奏「明日は違うものを食べよう」

カナエ「違うものって?」

奏「違うもの。もっとたくさんの色々な美味しい食べ物だよ!」

カナエ「おお!美味しい食べ物ってそんなにたくさんあるの!?」

奏「勿論だよ!日和は料理上手なんだから、色々な料理を食べさせてくれるよ。ね、日和?」

日和「嫌です」

ピシャリと丸く収まりかけた空気が破壊された



日和「この家の食材と私の料理の腕は奏様の為のモノなんですー!!」

奏「どうしてそこで知んな我儘言うのかな!?もう!!」

カナエ「あはは!ひよはカナちんの事大好きだね。カナちんは私のモノだけど」

日和「もう一度仰ってくださいますかねぇ!!」

カナエ「にゃはは!怒った怒った!」

奏「もう!火に油注がないでよ!!!」


夕飯時よりも激化する日和の一方的な口論と、油を注ぎ続けるカナエさん
ボクは身を削る想いで二人を何とか諌めたのだった


何とかお互いが丁度よく納まる形で決着がついた
毎日は絶対に嫌だという日和の妥協案と、仕事が一番大事というカナエさんの要望を受け入れる形で一応の収拾がついた

要約すると『気が向いたら食べにくるよ!』という事だ


奏「ふぅ…もうこんな時間か。カナエさんどうする?」

カナエ「泊まってっていいの?」

日和「なっ!?」

奏「…という具合に日和は嫌がってるけど、好きに決めていいよ」

カナエ「じゃあ泊まる」

その言葉に日和はがくりと膝をつく


日和「私と奏様の蜜月の時が侵されていく……」

カナエ「取り敢えず私は夜だし興奮収まんないから外行って来る」

奏「そっか、あんまり遅くならないうちに帰ってきてね」


そうしてボクはカナエさんを見送った
流石に少し日和がかわいそうに思えてきたので、今日は一緒に寝てあげることにした

ボクのベッドはカナエさんに使わせてあげた

寝ているとき、日和が体を以上に絡めてきて気持ち悪かったけれど、大目に見てあげた

※四日目終了


明日は早いので今日の更新はここまでです

今回の味方側では奏との絡み的に、日和とカナエがぶっちぎりで動かしやすいっす
いつかの主人公でアンチ側についたときには、雅郷の兄貴もみっちり描写してあげたいっすね


ではでは、お付き合いいただきありがとうございました


今日は更新お休みっす
朝早いのは辛いっすね………


そろそろ再開っすよ


※訂正、前回は三日目終了。四日目開始



奇妙な感覚に目を覚ます

日和「んふっ……んふふふふ…奏様…」

服の中に生暖かい触手のような物が這いずり回っている
途端に昨日の事を思い出し、不快な思いをしながらも大目に見てあげることにした

余程興奮していたのか、日和はボクより起きるのが遅かった

日和の絡みつく四肢を何とか引き剥がし、いつものように朝の日課をこなした



日和「申し訳ありません奏様。使用人の身でありながら主人よりも遅く目を覚ますなどと…」

奏「うん、まあ偶にはいいよ。休みの日なんてないから大変だろうし」

日和「ところであのカナエは?」

奏「カナエさんは朝は起きないからそっとして置いてあげて」

日和「奏様のベッドを独占するなんて……!」


日和は手に持った布巾にギリリと力を込めていた
……とにかく今日も今日が始まった


今日は仕事がは無かったはずだ

緊急の任務が回ってこない限りは穏やかな日を過ごせるだろう

そんな事を考えながらもそもそと朝食を頬張っていると


カナエ「……………はょぅ」

奏「カナエさんおはよう」

他人の家という引け目もあったのかカナエさんが起きてきた
しかし、深夜4時頃に帰ってきて寝始めたこともあってか、非常に眠たそうにしていた

日和「……昨日までと同一人物とは思えませんね。てっきりずっと喧しい女なのだとばかり」

奏「カナエさんは夜が大好きだからね。朝は充電中だよ」

日和「そんな人間もいるのですね……」

と、日和は昨日までのカナエさんとのギャップに困惑していた



イベント判定
00-95で発生

直下コンマ


コンマ判定:27 イベント発生


カナエ「……………」

寝ぼけ眼で食べ物を口に運ぶカナエさん
案の定口からポロポロと食べカスが落ちていく

奏「ああもう、ちゃんと食べないと」

日和「奏様はまたその女の世話を焼いて!!」

奏「あ、つい。なんだろうなぁ…カナエさんを見ているとこう、ボクがしっかりしてなきゃって思っちゃうんだよね」

日和「それなら私も……」

奏「先に釘さしておくけど、日和はこの家の使用人だからね?」

日和「……………………くぅっ!」


日和は目尻に涙を浮かべ、その感情を家事にぶつけ始めた


そんな時…



1、ボスから電話
2、新さんから電話
3、マリーナさんから電話

安価↓1


>>402採用:2


電話が鳴る
端末に表示された通知を確認すると新さんからだった

奏「もしもし、こんな朝早くにどうかしました?」

新『ゲホッゲホッ……はぁ……なに、ちょっとした警告だ』

電話越しに聞こえる新さんの声に力は無く、疲弊した様子だった
仕事の後だったかもしれない

新『あん?いいって…ちょっと先に電話させてくれよマリー』

よくよく耳をすませば、電話の奥でマリーさんの声が聞こえてきた
どうやら命に別状は無さそうだ


新『【甲斐アギト(カイ―)】お前も名前ぐらいは聞いたことあるだろ?』

奏「確か…異能者殺し。でしたっけ?」


『甲斐アギト』
天雲財閥に所属していない中で最も有名なアンチヒーロー
彼の場合はアンチ異能者と言った方が正しいかもしれない
全世界に指名手配されている殺人鬼だ


奏「その甲斐アギトがどうしたんですか?」

新『そいつがまた活動を始めた。俺が補佐しているヒーローが殺されたよ』

奏「ッ!?…ば、場所は?」

新『それが分かんねぇからこうやって警告してんだ。少なからずこの主都の近くに潜伏しているはずだ』

奏「そうですか……」

新『取り敢えずあんま一人で居ないようにな。あと、未開発区画とか危険な場所に近づかないようにな』

奏「分かりました。新さんも、体に気を付けて」

新『おうよ!ゴホッ……ちょ、待て!大丈夫だっつってんだろマリー!マリー!?やめ!!?』


何やら電話越しで何やらあったらしく、ぶつりと電話が切られた
……恐らくマリーナさんが世話を焼いているのだろう


甲斐アギトがこの町の近くに居る
……ボクなんかが鉢合わせてしまえば間違いなく死んでしまうだろう

新さんから電話を切ってすぐ、別の連絡が入る

ボスからだった


奏「ボス、どうかしましたか?」

永嗣『いや、なに。仕事の依頼さ』

奏「分かりました、何処に向かえばいいですか?」

永嗣『ああいや、今すぐではないよ。二日後の夜、日付の変わり目にね。大事な仕事だ』

奏「了解しました」

永嗣『キミにしか出来ない大事な仕事だ。絶対に忘れないようにね』

奏「は、はい」

永嗣『それだけだよ』

そう言ってボスが電話を切る

明後日の夜に仕事らしい
ボスにしては珍しく、強く念押しをしてきた

余程大事な仕事なのだろう


※六日目の夜の行動が固定されました


今日はたっぷりと時間がある

さて、これからどうしようか?




1、優雅に二度寝
2、カナエさんを地下に送り届ける
3、3人でダラダラ過ごす
4、自由安価

安価↓1


カナエさんは食べることにも疲れたのかぐったりと椅子に凭れ掛かっていた

このままでは夜に元気になってこの家に帰ってきてというサイクルが出来上がり、この家に居付くことになってしまうかもしれない

流石にそれはあまりよろしくないだろう


そろそろカナエさんを地下に返してあげることにしよう

奏「カナエさん、寝るなら地下に帰ろうよ。立てる?」

カナエ「……………うん」

目を擦りながらのそのそと起き上がる
帰る意思はあるようだ


奏「じゃあ一度カナエさんを地下に送って来るから」

日和「はい、いってらっしゃいませ」

ボクはカナエさんに肩を貸しながら、地下を目指した



イベント判定
5以下で………

直下コンマ


コンマ判定:0 特殊イベント



1、最悪の出会い
2、喧騒
3、意外な出会い
4、奇跡的な出会い

安価↓1


この世の中、奇跡というモノはあるらしい

例えばそう――――


アギト「くはははははは!!殺してやるぞ!!邪悪の根源!!!」


警戒をしろと指摘された直後にその危険に遭遇してしまったり――

北斗「いいだろう、武を以て私の愛を知れ!!」

アギト「ぐおあああああああああああ!!!!」

その危険が、目の前で片付いてしまったりと
奇跡というのはモノは突然やって来るらしい


北斗「悲しき罪人よ。これから、愛を知っていくといい」

そう言いながら僕達の目の前で世界的凶悪殺人鬼が捕縛されていた


突然目の前で起こったことに腰を抜かしたボク達は茫然とその様子を見ていた

北斗「ん?ややっ!?君たち、平気かい?私の戦闘に巻き込んでしまったかな?」

あのNO.1ヒーローがボク達を気遣って話しかけてくれている
唐突過ぎる現実に、ボクは上手く何も言えなかった

奏「あ、えっと……腰が抜けて……」

北斗「それは大変だ!ちょっと待ってなさい。……あ、もしもし紗弥君。甲斐アギトを捕縛したから取りに来て。え?私かい?腰を抜かしてしまった人の救助で忙しいんだ。頼んだよ」

北斗「これでよし!と」

いいんですか!?などとツッコんでいられる精神状態ではなかった
って言うか電話した相手もあのNO.4ヒーロー須能紗弥ではないだろうか?
色々と規格外すぎる

北斗「では行こう!キミの行き先を教えてくれたまえ!この空色北斗が送り届けよう!!」

奏「えっと…じゃあ……」


空色北斗に担ぎ上げられたボク(とカナエさん)はカワサキ本部の地下に向かってもらったのだった


そうして現在に至る


新「うおおおおおおおお!!本物だ!!」

美柚莉「見てみてマリー!うちサインしてもらったっす!!」

マリーナ「アタシなんてハグしてもらっちゃったわ~ん!!」

いつになく地下が騒がしい
いつも通りなのはボスとカナエさんくらいだ

こんな日に偶々仕事で居なかった永遠さんに同情してしまう


奏「あはは…えと、こんな地下にわざわざすみません」

北斗「いやいや、ヒーローとして当然の事をしたまでだよ」

北斗「しかし……キミたちが、『落とされた影』のメンバーなのだね」

北斗「………多大な苦労を強いられているだろう。私にもっと力があればよかったのだが」

奏「いえいえそんな!しっかりお給料も出ていますから」

こうして初めて目の前で会話をして理解できた。圧倒的なオーラ
言葉では言い表せないような、『強さ』が至る所から感じられた


奏「それより北斗さん、こんなところでコーヒーを飲んでいていいんですか?」

北斗「ああ、構わないよ。多分ね」

奏「ええぇ……忙しくはないんですか?」

北斗「ついさっき本部から甲斐アギトを捕縛しろと招集がかかってね、それは終わった。だから次の指示待ちさ」

北斗「私もこうしてこんな美味しいコーヒーを飲んで落ち着いていられる時間はそうない。ゆっくりしていってもいいかな?」

奏「勿論ですよ!ねえボス!」

永嗣「仕事の邪魔はしないでくれたまえよ」

北斗「ハハハ!ああ、大人しく縮こまっているさ」

ボスらしい冷めた返答だった
流石はボスだ、北斗さんを前にしても物怖じ一つしないだなんて


永嗣「あ。あとで髪の毛を一束貰ってもいいかい?理想は死体になって欲しいんだが」

北斗「髪の毛なら喜んで差し上げよう」

永嗣「それは楽しみだ……ククク……」


訂正、ボスも相当テンションが上がっているようだ


こうして目の前で空色北斗がゆっくりしている場面に出くわすなんて、もう二度とないだろう

聞けるだけ色々と話をしてみたい



何を聞いてみようか?


1、甲斐アギトについて
2、女性関係について
3、カワサキについて
4、自由安価

安価↓1

2


>>418採用:2


奏「あの、聞きたいことがあるんですけどイイですか?」

北斗「ん、なんだい?私に答えられることなら何でも答えよう」

奏「じゃあ、北斗さんに彼女は今いらっしゃいますか?結婚のご予定とかは?」

北斗「ハハハ…ちょっと苦手な質問だね」

奏「いつも躱していらっしゃいますから、やっぱり然るべき時に婚約会見を?」

北斗「待て待て待て!待ちたまえ、私は独り身さ」

奏「えっ!?そうなんですか?じゃあ、あのよく一緒に見る黒髪の女性は誰なんですか!?」

北斗「彼女は……そうだね、熱烈なファンと言ったところかな。ちょっと変わった異能の持ち主でね」

奏「そうなんですね…ゴシップ誌なんかではよく婚約者だとなんだと言っていたので気になっていたんですよ」

北斗「………彼女はね、死ねない体を持って生まれた異能者だ」

北斗「私なら殺せるだろうと、『殺してくれ』といつも頼まれるんだ」

奏「……そういう関係だったんですね」

北斗「確かに彼女とはプライベートでも長い付き合いだからね、そう思われても仕方ないかもしれないな」


そう言って北斗さんはその顔に少し影を見せた
どうやら北斗さんに浮いた話は無いらしい
その女性にも、恋愛的な関係ではなく、カウンセリングのように根気よく説得をしているのだろう


もう少し話が出来るかもしれない

何か聞いてみよう


1、甲斐アギトについて
2、アンチについて
3、カワサキについて
4、自由安価

安価↓1

3


>>421採用:3


奏「北斗さんは、今のカワサキの事をどう思っていますか?」

北斗「う~ん……少し難しい質問だね」

北斗「ノビノビと好きなように仕事をさせてもらっているから、文句はないさ」

北斗「何故君がこんな質問をしてきたかもわかるよ」

北斗さんはボクの眼を見てシンと冷たい声で言う


北斗「川崎佐武朗は強かな男だ。清濁併せ呑んだ上で、自分だけは真っ白であろうとする。それが濁った白であるとも知らずに」

北斗「だけどね、彼のように確かな正義を示してくれるものが居なければ、正義は力を自由に振るう事すらできない」

北斗「この世の中の半分以上が異能者と超人。しかし、逆に言えば半分が力無き人々だ」

北斗「無秩序の下に力が振るわれれば、それは恐怖しか生まないだろう」

北斗「私は彼の……カワサキという確かな正義の威光にあやかって、力を振るっているに過ぎない」

北斗「だから、何も文句はないさ」

それが、北斗さんの出した結論のようだ


北斗「なあに、足りない愛は私の愛が補うさ!!この日本はカワサキとヒーローの愛のおかげで平和そのものだ」

北斗「この日本は、世界で一番平和な地だと胸を張って私は言うだろうさ」

そう言って北斗さんはハッハッハと大きく笑った


時間判定
4以下で……
豪運 +2

直下コンマ


コンマ判定:8 まだ時間がある


あと一回くらい、質問できる時間があるだろう

何を聞こうか?


1、甲斐アギトについて
2、アンチについて
3、日本以外の国について
4、自由安価

安価↓1


>>426採用:1


奏「あの、甲斐アギトという男はどんな人間でしたか?」

北斗「……私もよく知っているわけではないんだけどね、あの眼は怒りに呑まれていた」

北斗「誰も傷つけない事を信条とする私だが、やむを得ず力をもって取り押さえることもある」

北斗「偶にいるんだ、己の力を示さなければ自分の居場所が分からなくなってしまう人がね」

北斗「戦いの中でしか己を語れない、寂しい心になってしまった人が居るんだよ」

北斗「彼はまさにそれだった。愛を知らぬがゆえに…悪にその手を染めてしまっていたよ」

奏「……異能者殺し、でしたっけ?」

北斗「ああ、そうだ。彼は超人だったよ」

奏「超人だったんですね……」

その超人に殴り合いで圧倒する北斗さんは、超超人という事になってしまう


北斗「生存競争を生き抜くべき強者は自分だと言って憚らなかった」

北斗「だけど、少し不可解な事もある。それに関しては、これからの対話で分かりあう事にするよ」

北斗「彼もまた…弱き心を持つ虐げられた人だ。なるべくそっとしてあげて欲しい」


北斗さんにとっては、あの殺人鬼すらも庇護対象という事らしい
……そうでなければ、これほど高潔なヒーローにはなれないのだろう


ふと、北斗さんの携帯が鳴る
どうやら時間が来てしまったようだ


北斗「そろそろ行かなければならない。コーヒー美味しかったよ」

奏「もう行っちゃうんですね。あの…たくさんお話聞かせていただいてありがとうございました!!」

北斗「いや、私も楽しかったよ。これからもキミたちには世話をかけるだろうね」


北斗「さらばだ!!」


そうして空色北斗との奇跡的な時間は終わってしまった

豪快に笑い愛を語る無敵のヒーローは、熱い情熱と冷静な判断力を持つ男だった
そしてそれ以上に、慈悲深く聖人のような男でもあった

そんなヒーローが居るこの日本という国は、平和であって当然だろう

彼が居る限り、この平和は永遠に続くのだろう
………そもそも彼は死ぬことがあるのだろうか?

彼の口癖のように『限界が無い』のかもしれない


ちょいと後半駆け足気味でしたが、今日の更新はここまでです

アギトさんの圧倒的な出落ち力には参りますね

北斗さんは自分の中の理想のヒーロー像が詰まりまくりな、THE・ヒーローなキャラです
無敵の強さと無償の愛
それが個人的なヒーローにとって必要不可欠なあり方です



ではでは、お付き合いいただきありがとうございました


落とされた影の事を知っているのはヒーロー協会の幹部と、トップヒーローのみです
なので北斗さんは知っていました

最強のヒーローは北斗さんですよ!!アギトさんは出落ち要因ですよ!!


そろそろ再開っす

前スレではアギトさんヒーローだった気がするけどそこらへんもちょこちょこ変わっとるの


自分でも気づかぬうちに話し込んでしまっていたようで、既に昼も過ぎて夕方になろうかとしている

当初の目的であったカナエさんも無事に送り届けた


さて、これからどうしようか?



1、皆と北斗さんについて話す
2、上が騒がしい……
3、ボスと目が合う
4、自由安価

安価↓1

3


>>435
アギトさんは名前だけ一緒で前回とまるっきり違うキャラっすね
近いうちにプロフィール晒します


>>437採用:3


不意にボスと目が合う

ジッと見つめられ、その視線から目を逸らせない
ボスの眼が獲物を捕らえた蛇のようにボクの事を捕えて離さなかった

奏「あ、あの…ボクに御用ですか?」

永嗣「おやおやおや、気が利くねぇ。私の仕事を手伝ってくれるんだね」

どうやらボスの中でボクは仕事の手伝いをすることが決まっているようだ

永嗣「少し私は急用ができてしまったんだ、ここにある書類を全部片付けてくれたまえ」

奏「いや…その……ボクやったこと…」

永嗣「じゃあ頼んだよ」

そう言ってボスは部屋を出て行った
その手にはしっかりと北斗さんの髪の毛が握られていた


どうしようかと途方に暮れていると、マリーナさんが一緒に手伝ってくれた

ボクはマリーナさんの指示に従って書類を運んだり、資料室から資料を運んだりした

本部の中を駆けずり回っていると……



イベント判定
00-95で発生

直下コンマ


コンマ判定:73 成功


1、奇跡は続く
2、ありえない出来事
3、偶然は重なって

安価↓1

3


>>444採用:3



偶然とは重なるものだ

ボクは滅多にこの本部の地下以外の場所には居ない
今日は偶々第4資料室に来ていた

第4資料室は殆ど整理のされていない古い資料のたまり場であり、目的のモノが全く見当たらなかった

整理されていない山積みの資料を漁り、なんとか目的のモノを発見したと思ったとき

ボクは崩れる資料の山に飲み込まれてしまった
……そう、思ったときにはボクはその場に立ち尽くしていた

体の上に資料が降ってくることも無く、ボクの手には目的の資料が握られていた

その代わり、ボクの背後には緋色の髪を持つ女性がボクの背中に手を当ててほほ笑んでいた

「平気?可愛いお嬢さん」

ボクはその人物が誰であるかを一目で見抜いた
いや、その姿を見間違えるはずもない

奏「あの……ボク、男です……」

偶然とは予想だにしない現実を作り出す
ボクがその瞬間、何とか絞り出した言葉はそれだった


「えっ!?そうなのか……ふむ、確かにウチの弟もこの位可愛かった気がするな」

なら男でも問題ないなと、微妙にずれて納得をしている目の前の女性

『須能紗弥(スノウ サヤ)』
NO.4に数えられるトップヒーローの一人であり、異能の到達点へと辿り着いた【覚醒者】と呼ばれる者の一人だ
世界最初のヒーロー『神通』の血を引くという須能家の長女
筋金入りのヒーロー家系であり、幼いころからヒーローとして活動している

何より特筆すべきはその容姿だ
肩口辺りまでの短めの緋い髪の毛、キリッとした目尻に大きな緑色の瞳
そして、女性的な美しい身体つき

アイドル的な人気が出るのも仕方がないだろう
更には実の弟すらも美しい容姿を持つ美人姉弟となれば人気が出ない方がおかしい

ヒーローとしての実力も折り紙付きだ


と、心の中で早口で情報を羅列する
そうでもしなければ心の平穏を保てそうになかったからだ

今日は何だろうか?
こういった奇跡に出くわす日なのだろうか?


紗弥「お~い、平気か少年?怪我はしていない筈だが…」

紗弥さんの顔が近づき、思わず顔がカッと熱くなる

奏「へ、平気です!ちょっと驚いてしまってて…」

紗弥「ならいいんだがな。しかし…キミも災難だったな、ここは誰も掃除をしなければ、整理整頓すら怠っている」

紗弥「まぁ……もう片付いたがな」

その言葉でふと辺りを見回して気が付いた
この埃臭く、乱雑に資料が積まれた資料室が綺麗に整理整頓されていたのだ


紗弥「ふふふ、どうだ?驚いただろう?これくらいは屁でもないと言ったところさ。褒めてくれてもいいんだぞ?」

奏「す、凄いです!さすがはトップヒーロー須能紗弥様です!!」

紗弥「ふふふ、そうだろうそうだろう?私はいい女だからな。細やかな気遣いを忘れないのだ」

紗弥さんは胸を高々と張ってうむうむと満足そうに頷いている
その様子は今まで見て知っていたクールなイメージと違い、犬っぽいなと感じた


しかし、やったことは本当にとてつもない事だ
一秒も立たない一瞬でボクを資料の下敷きになる瞬間から救い出し、更には全て綺麗に整頓し直したのだ
確か『束縛から脱する異能』らしいが、どうやったのだろうか?


奏「あの、紗弥さんはどうしてここに?」

紗弥「私もたまたまここに資料を取りに来ただけさ。全く、北斗さんにアギトを捕まえたから取りに来てとか色々とパシリをさせられてな」

紗弥「これもそのパシリの一環さ。さて…」

そういうと紗弥さんはウロウロと資料を漁りはじめる

奏「あの…もしよかったら手伝いましょうか?」

紗弥「本当かい?助かるよ。それじゃあ……」


そうして紗弥さんに指示された資料を探すのを手伝う事になった

こうして紗弥さんと二人きりなんて今後の人生で二度とあり得ないだろう

何か聞いてみようか?



1、弟さんについて
2、紗弥さんの異能について
3、恋愛事情について
4、自由安価

安価↓1

3


>>449採用:3


奏「あの、聞きたいことがあるんですけどいいですか?」

紗弥「言葉の最初と最後に『紗弥様は最高に素敵な女性です』とつけるなら構わないぞ」

奏「紗弥様は素敵な女性です。紗弥さんは恋人とかって居ますか?紗弥様は素敵な女性です」

紗弥「ぶっ!な、ななな!なんてことを聞くんだキミは!!!」

奏「紗弥様は素敵な女性です。その反応だと居るんですね!紗弥様は素敵な女性です」

紗弥「冗談だからそろそろそれは言わなくていいぞ」

奏「あ、はい」

紗弥「んん゛っ!えっとだな…そういうのは黙秘権を行使するぞ。私のプライベートは内緒だ」

奏「過去に付き合った男性は?」

紗弥「そういうのもNGだ!」

奏「じゃあ理想の男性は?」

紗弥「む、むぅ………まぁ……そうだな。誠実でカッコよくて頼りがいがあって私を立ててくれる…そんな弟が良いな」

奏「お答えいただきありがとうございました」

紗弥「う、うむ……くぅ恥ずかしいな……」


紗弥さんは頬を朱に染め顔を隠す

しかし、あの返答は隠していると言えるのだろうか?
理想の男性が完全に名指しだった

雑誌なんかで紹介される姉弟仲以上に現実は仲がいい様だ



時間判定
00-95で時間延長

直下コンマ


コンマ判定:33 もう一つ質問



紗弥「……よし、と。ここでの資料はこれくらいだな」

奏「お役に立てたようで何よりです」

紗弥「まだ時間があるなら…」

奏「はい!お手伝いします素敵な紗弥様!」

紗弥「良い返事だ。―――――っと、到着だ」

一瞬耳鳴りがしたかと思えば、ボク達は第3資料室に居た
やはり何やっているのかよく分からない異能だ
空間や時間に干渉する異能なんだろうか?


紗弥「先ほどと同じように頼むぞ」

奏「はい、分かりました素敵な紗弥様」

紗弥「うぅむ、いいな、実にいい。ノリがいいのは好きだぞ私は」

上機嫌な紗弥さんと共に資料を探す


折角の機会だ、何か聞いてみよう


1、弟さんについて
2、紗弥さんの異能について
3、須能家について
4、自由安価

安価↓1

3


>>456採用:3



奏「あの、もう一つ質問いいですか?」

紗弥「『紗弥様は世界一素敵な女性です』と言ってからならな」

奏「紗弥様は世界一素敵な女性です!!」

紗弥「で、なんだ?言っておくが恋愛話はしてやれないぞ」

奏「須能家ってヒーローの家系だとお聞きしたんですけど」

紗弥「そうだな、我が須能は世界最初のヒーロー『神通』こと『須能道弥(スノウ ミチヤ)』と同じ血を引く家系だ」

奏「え!?」

紗弥「ん?」

奏「あの『神通』の本名は須能道弥というんですか!!??」

紗弥「………あ゛」

やってしまったと紗弥さんが顔を歪める
ボクはとてつもない爆弾発言を引き出してしまった


『神通(ジンツウ)』
超人犯罪に立ち向かった世界最初の【ヒーロー】と呼ばれたヒーロー
パワードスーツを身に纏い、悪鬼羅刹の超人たちと戦った。正義の心を持った超人だと言われている
その出生や正体も不明で、顔写真すら出回っていない伝説の存在
神通という呼び名も通称であり、ヒーローとしての活動名らしい
カワサキヒーロー協会の前身となったカワサキ警備保障に務めるSSG(Special Security Guard)であった

そんな伝説の存在の本名と、紗弥さんはそんな伝説の存在の血を引く事をボクは知ってしまった


紗弥「………内緒にしていてはくれないか?」

奏「嫌だと言ったら…」

紗弥「キミはこの世からその痕跡を消すだろう」

奏「内緒にします!」

紗弥「よろしい」

奏「それにしても、どうして昔のヒーローは本名ではなくヒーローネームを名乗っていたのですか?」

紗弥「超人が支配する世の中だったからだ。超人だと言うだけで悪の世界だった」

紗弥「そんな中、善良な正義の心を持った超人たちが立ち上がり世界を平和に導いた」

紗弥「そんな彼らを守るためさ。古き時代のヒーロー達は自らを人間と偽って生活をしていたらしいからな」

奏「なるほど……それは言ってもよかったんですか?」

紗弥「これくらいは資料を漁れば分かる事だ」


古き時代のヒーロー
そんな存在の事、全く考えたことも無かった

今から80年ほど前
流石にもうその時代に活躍したヒーローは亡くなっているだろう


紗弥「さて…と、これで終わりだ。手伝ってもらって助かったぞ、物探しはどうにも苦手でな」

奏「いえ、此方こそ紗弥さんとお話が出来て良かったです」

紗弥「ではな」

そうして紗弥さんは大量の資料を抱えてどこかに行ってしまった

そういえば自分の名前を名乗っていないことを思い出す
顔くらいは覚えて貰えただろうか?

……いや、もう二度とこんな機会ないだろう

あまり気にしても仕方がない


ボクは気を取り直して地下に戻った


マリーナ「はぁい、お疲れさま。もうボスったら酷いわね、奏ちゃんにこんなに仕事押し付けて」

マリーナ「今日は休みだったんでしょう?」

奏「いえ、平気です。どうせ暇でしたから」

マリーナさんに手伝ってもらったことにより、なんとか日が落ちる前に頼まれていたことを片付けられた


マリーナ「奏ちゃんたら本当に良くできた子ねぇ」

奏「いえ…そんな……」

大人のご機嫌取りは慣れていますから
なんて、口が裂けても言えない


マリーナ「休憩しましょうか?コーヒーと紅茶どっちがいいかしら?」

奏「えっと……」


1、マリーナさんとゆっくりお茶を飲む
2、ボスが何処に居るか聞く
3、早めに家に帰ろう

安価↓1

2


>>461採用:2


奏「あ、あの…ボスは何処に居ますか?」

マリーナ「研究室だと思うけど…それがどうしたの?」

奏「いえ、一度報告しておこうと思いまして」

マリーナ「あらぁ……本当奏ちゃんてば仕事人間だわ」

奏「えへへ…ちょっと行ってきますね」


ボクは適当に愛想笑いをし、ボスの研究室に向かった

この地下はこの仕事場の他にもう一つ巨大な部屋がある
それがボスの研究室だ

基本的に立ち入り禁止で、ボス以外の人間は入ったことが無いという
ボクはその部屋にちょっと興味があったのだ

責めて中を覗き見ること亜出来ないだろうかという淡い期待を抱き
ボクは研究室の扉をノックした


コンマ判定
5以上で………
豪運  +3
??? -2

直下コンマ


コンマ判定:8+1 


………返事がない

もう一度ノックしようとした瞬間
その拳は空を切り、振り下ろされた

扉が中から開かれたのだ

その扉を開けた主と目があってしまう

ボスではない
ボスはボクより遥かに身長が高く、見上げなければ目が合わない

目の前のそれは人の形をしていた
だが、一目で人間でないと分かる

日焼けしたでは決してすまない墨に浸かったかのような真っ黒な肌
光の無い虚ろな目

そしてその頬には赤いインクで『7』という数字が書かれていた


直感的に人間ではないと認識したボクは、その場にへたり込み腰を抜かしてしまった


人間?「…………こ…ころ…」

目の前の何かが、何か言葉を発する
『こころ』といった様に聞こえたが……

その人間のようなナニカの後ろからぬっと大きな影が姿を現す
その大きな影はその人間のようなナニカの腕?を掴み部屋の中に引きずり込んで扉を閉めた

そしてすぐに扉が開かれ、ボスが姿を現した

永嗣「やあ奏くん。すまないね、ノックが聞えなかったよ」

奏「あ…あの……」

永嗣「どうした?何かあったかい?何も無かっただろう?君は何も見ていない。私が突然扉を開けて腰を抜かした。それだけだろう?」

ボスが腰を抜かしているボクに手を差し伸べる
眼鏡の奥の瞳が雄弁に語っている

『何も見なかったことにしろ』と

ボクは震える手でボスの手を掴んだ

思いのほか優しく握り返された手は、強い力で引き上げられた



永嗣「それで、何の用かね?私は忙しいんだ」

奏「あの…その……えと、頼まれた書類整理が終わったので報告を」

永嗣「そうか。ありがとう。次の給料にボーナスをつけておこう」

ニッコリとボスが笑う
始めてみたボスの顔を歪めた笑みは、今まで見たどの人間の顔より恐ろしかった


奏「あ、ありがとぅ…ございます……」

永嗣「もういいかな?私は忙しいからね」

そう言ってボスは研究室に戻った
ガチャリと中から鍵を閉めた音が響く


………ボクは何も見なかった
大人の機嫌を損ねることは悪い事だ

だから、ボクは何も見なかった

ボクはただ、虚ろな足取りで家に帰った


今日は本当に色々な事があり過ぎた

今日以上に頭が混乱する日は無いだろう


朝に新さんから電話がかかり、甲斐アギトに注意しろと言われたかと思えば

外に出た途端それに出くわし、更にはそれが目の前で問題が片付き

しかもあの空色北斗とたくさん話もできた

資料室に行けば事故に会い、あの須能紗弥に助けられる

伝説のヒーロー『神通』の本名も知ってしまった

そしてボスの研究室の扉を叩けば謎の黒い人間が目の前に現れた

『こころ』と確かにそう言っていたように聞えた



……ボクはボンヤリと日和が作った食事を口に運ぶ

いつも美味しい料理から、今日は何も味がしなかった


内容も入ってこないテレビを消した

ボーっと宙を眺める


奏「…………」

日和「…………」

ボクは椅子代わりになっていた日和に全体重を預ける
ずっとボーっとしているボクを日和はちょっと困った顔をしながら抱きしめている


奏「………」


1、『こころ』ってなんだろう?
2、頭を切り替えて北斗さんの事を自慢する
3、日和に話を振られる

安価↓1

1


>>469採用:1


奏「『こころ』ってなんだろう?」

日和「はい?」

ふと、頭の中を巡っていた疑問が口をついた


奏「ああ、えっと…うん。なんだろうなぁって」

全く誤魔化せていないが、適当に誤魔化す

日和「今日の奏様は哲学的ですね」

日和「しかし…こころですか……難しい問いですね」

奏「どうしてあの人は『こころ』と呟いたんだろう……」

日和「…………」


閃き判定
6以上で成功

直下コンマ


コンマ判定:9 圧倒的閃き


日和「……人の名前…なんてどうでしょう?」

日和「こころという言葉を実際に口にする機会なんてそれくらいだと思います。いかがでしょう?」

奏「………その発想は無かった」

確かに『こころ』ときいて思い浮かぶのは感情や心臓と言ったモノだ
しかし、実際に心を探していて心と呟くだろうか?と問われればそうではない気がする

ならば、心と呟いたのではなく『こころ』という人の名前を呟いたのならば不思議ではないかもしれない

と、なればあの人間?はその心という人を探していたのだろうか?

いや、探していたとも決まっていない
そもそも意味の無い言葉の羅列だったのかもしれない

考えていても仕方のない事なのかもしれない


しかし、『こころ』という人の名前という発想は自分では出てこなかっただろう

奏「なんだかんだ日和は頼りになるね」

日和「奏様のメイドとして当然の事です」

日和がニッコリと優しい笑みを浮かべる

日和の答えのおかげで心に引っかかっていたつっかえが外れ、すっきりした気分になった
ボクはその気分のまま、眠ることにした


※四日目終了


今日の更新はここまでです


紗弥様は世界一素敵な女性です!
前作から設定上は居たんですが出せなかったキャラの一人ですね
弟様もとっても素敵な方なので早めに紹介してあげたいっすね

説明していなかったと思うので『トップヒーロー』について簡単に解説を
トップヒーローとはカワサキヒーロー協会に所属する7名のレベル5のヒーローの事です
それぞれがあげた成果ごとにNO.が振り当てられています

NO.1 無敵のヒーロー『空色北斗』
NO.2 沈黙の白騎士『輿水道臣』
NO.3 紅の獅子。レオ様こと『鶯丸響』
NO.4 世界一素敵なヒーロー『須能紗弥』
NO.6 微笑みの支配者『須能冬弥』

と5名はきっちり設定決めています
NO.5とNO.7は安価で決めることになると思います

どいつもこいつも自分好みに仕上げている奴らなので、いつかはこの人たちの誰かに仕える形でみっちり描写してあげたいっすね


ではでは、お付き合いいただきありがとうございました

そういや、主人公が誰かとくっつくもしくはハーレムとか作ったりとかできるの?


>>476
お話の流れとして不自然ではないのなら、誰かと恋人になったり親友になったり結婚したりできます
ハーレムに関しては個人的な趣味であまりやりたくないのですが、よっぽど気が向けばやるかもしれないです
三角関係とかすれ違いとか片思いとか一方通行とか、恋愛なお話は大好きなので書きたいですね。ていうか書きます!



今日の更新はお休みです


そろそろ再開っす


五日目開始


いつものように目が覚める

今日は昨日のように変わったことは何も起こっていない

さすがに昨日と同等の頭がおかしくなるような日はやってこないだろう


さて、今日は………




1、昼から仕事(一人)
2、仕事は無い

安価↓1


>>481採用:2、仕事休み




今日も仕事は特に入っていない

昨日も仕事が無かったはずだけど、仕事がある日の数段忙しかった気がする


明日は大事な仕事もあるし、今日はゆっくりと英気を養おう


さて、これからどうしようか?



1、日和とゆっくり過ごす
2、地下の皆に会いに行く
3、適当に外を歩く
4、自由安価

安価↓1

3


>>483採用:3



行く当ても無く外を歩く

昨日一人で出歩くと危険だと新さんに警告されたばかりだけれど、その危険は既に排除されているから安心だ

ここ最近大きな事件の動きも無いし、平和そのものだ

行きかう人々は様々な表情を見せる
思い思いに町を歩き、思いも居の場所に向かって歩いている

ボクは何処にたどり着くのだろう



イベント判定
00-95で発生

直下コンマ


コンマ判定:58



イベント選択

1、誰かと遭遇(人物自由安価)
2、超人事情
3、人だかりに揉まれる人影
4、心臓が凍る瞬間

安価↓1


>>487採用:4



トントンと肩を叩かれる

ボクは反射的に後ろを振り向いた
そこに居た人物は自分の常識を遥かに超えた人物だった

白髪交じりの髪の毛の、お年を召した紳士
身に着けている服や装飾品から、目の前の男性は人に見られることに気をつかっていることがわかる

ボクはその紳士を知っていた

いや、この日本に住む以上知らない人間などいないのではないだろうか?

「ちょっと道を聞きたいんだけどいいかね?」

そう紳士はニッコリと優しげに微笑んでいたが、その目の奥には言い得ぬ狂気が滲みだしている
心臓が凍り付きそうなほどの恐怖が押し寄せた

目の前の紳士の名前は『天雲雲雀』。アンチ――天雲財閥の代表だ


恐らくこれは奇跡なのだろう

偶々、ボクに声をかけたのだ

ボクをヒーローと知るものはヒーロー協会でもごく一部だ
自然に、自然に振る舞えばいい

しかし…どうする?

何か反応を返すべきか?
それとも気づいていないフリでもするか?

どちらの方が怪しくないだろうか?


1、気づかないふりをする
2、大袈裟に反応する

安価↓1

1


>>490採用:1


奏「あ、あの…えと…勘違いだったらそれでいいんですけど………天雲雲雀さんですか?」

挙動不審気味に気が弱い少年を演じる
半分くらいは演技じゃない素の驚きだけれど

雲雀「そうだ。、サインでも欲しいのかい?」

奏「あ、いえ、そうじゃないです!ただ、貴方みたいな有名人がこうして一人で居るなんて不自然な気がしたんです」

雲雀「私だって一人で歩くこともあるさ」

奏「そ、そうですよね」

天雲雲雀のあまりの堂々たる振る舞いに此方が動揺してしまう
もしかして今日みたいに、いつも普通に外を歩いているのだろうか?

雲雀「それよりも、道案内頼めるかな?」

奏「あ、はい!何処に行きたいんですか?」

雲雀「ヒーロー協会本部まで頼むよ」

奏「はい……え!?」

聞き間違いだろうか?
今聞いたことは幻聴で、隣に居る天雲雲雀も幻覚だったりしないだろうか?

雲雀「ヒーロー協会本部まで頼むよ」

奏「は、はい……」

聞き間違いではなかったようだ
最早これが夢であって欲しいと切に願う


アンチがヒーロー協会に何の用ですか?

なんて口が裂けても言えない
ボクはビクビクしながら天雲雲雀の少し前を歩く

というかあんな大きな建物、ボクの案内なんて必要なく適当に歩けば見つけられそうなものだが

怪しさ満点だ

そしてその隣を歩くボクは恐怖で眩暈がする


当の本人はボクの恐怖もどこ吹く風と、妙に上機嫌のように見える


非常に気まずい

相手は敵の御大将
少し異能を使えば殺せるのではないだろうか?

しかし、ボクにそんな勇気も無い

何か話した方がいいのだろうか?
何をするのが正解なのだろう……


1、適当に話を振る
2、黙っている
3、殺害を試みる

安価↓1

1


>>493採用:1


何か話を振った方がいいだろう


奏「えと、い、良い天気ですね!」

雲雀「そうか?私は日差しが強いのは苦手だね」

奏「そうなんですか?」

雲雀「ああ」

奏「…………」

雲雀「…………」


マズイ、その場凌ぎでは駄目だ
何かもう少し時間を稼げそうな話題を…


1、女性関係とか
2、甲斐アギトの事とか
3、趣味の話とか
4、自由安価

安価↓1

1


>>495採用:1
※恋愛事情を聴くのは挨拶


奏「あ、えっと…恋人は居ますか?」

雲雀「ふむ、それは私に妻が居ると知っての発言かな?」

奏「あ、はい」

雲雀「となると、キミはゴシップ記者なのかな?」

雲雀「私の浮気現場のように見えるコラージュ画像を用意してあるから、私からそれとなく言質を取り記事にしようと。そういう事かね?」

奏「ち、違います違います違います!!そんな邪な考えはありません!!」

奏「えと、恋人じゃなくて奥さんですよね!言い間違えてしまいました!奥さんとは上手くいっていますか?」

雲雀「言い間違えたのかい?私としてはどちらでも良かったのだけれどね」

奏「え!?」

思わずボクは振り向くと、天雲雲雀はニタリといやらしく笑った
何処までが本気なのか分からない


雲雀「そうだね、3度目の結婚だし要領は得ている」

雲雀「30歳差だが、問題なく愛し合っているよ」

奏「そうなんですか……」

雲雀「物足りなさそうだね?」

雲雀はボクを試すように言う
ボクは敢えて挑発に乗ってやる事にした

奏「…では、それ以外の女性関係は?」

雲雀「ククク、キミは存外好奇心が強いね」

雲雀「なぁに、至って良好さ」

雲雀「浮気なんてしていないよ?ただ、私は紳士だからね。女性に恥をかかせるようなことはしないさ」

奏「……ありがとうございます」


本気でそう言ったのかは分からない
しかし、真っ直ぐ受け止めるならば、浮気はしていないけど別の関係を作ってはいるようだ


まだヒーロー協会に着くまでに時間がある

何とか間を持たせよう



1、仕事の話とか
2、甲斐アギトの事とか
3、趣味の話とか
4、自由安価

安価↓1


>>499採用:3



奏「え~っと…それじゃあ、趣味は何ですか?」

雲雀「趣味か……スポーツ観戦だね。超人誕生以前の古いスポーツの録画ビデオテープを見るのが好きだ」

雲雀「知ってるかい?相撲とか、野球とかだ」

奏「ああ…知識としてだけです。すみません…」


スポーツは超人が世間に知られるようになった2000年以降、一気に人気が衰えた
特に陸上や水泳と言った競技スポーツは世界規模の大会が開かれなくなるほど衰退した
理由は当然超人の所為だ

超人は個体による差が殆どなく、殆ど団子の成績でありながら人間のそれを遥かに凌駕するからだ
どれだけ人間が肉体の限界を突き詰めようが、超人を超えることはできない
その事がスポーツ人口を減らした大きな要因だ

相撲などの肉体格闘技も大きく衰退した
しかし、サッカーや野球と言った技術スポーツはそれなりにまだ人気がある
当然超人は出場禁止だ

しかしそれでも、2000年以前のスポーツへの関心が現代にはない


雲雀「昔のスポーツの観客の歓声を見ると思うのだよ、勿体ないなと」

雲雀「人が必死でもがく姿に、人は心を震わせる。感動を覚える」

雲雀「そうは思わないかい?」

奏「あまりスポーツに関心がないもので…」

雲雀「だよねぇ、現代の子供は皆そういう。そこで私は考えたのだが『超人スポーツ』を作ってみてはどうだろうとね?」

奏「超人スポーツ?」

雲雀「ああ、超人は何もトレーニングを必要とせずあの肉体を保っていられる」

雲雀「故に体を鍛えることを全くしないんだ」

雲雀「しかし、それほど凄まじい肉体を更に鍛え上げればどうなるか見てみたいと思わないか?」

雲雀「超人同士が鎬を削り、たどり着いた肉体の極致を知りたくないか?」

雲雀「超人スポーツが発展すれば、超人の肉体のメカニズムの解析が進むだろう」

雲雀「そうなると医療機関が更なる発展を遂げ、日本の医療機器開発に携わる我が財閥は大儲けというわけさ」

雲雀「ついでに人々にスポーツの関心が戻り、体を動かし健康志向の時代がやってくる!と、常々夢想しているよ」

奏「は、はぁ……」

早口で捲し立てる雲雀の姿に面食らってしまう
超人スポーツの事を語る雲雀の眼には少年のようなキラキラとした情熱が灯っていた……様な気がする

何処までが本気は分からないけれど、超人の限界というのは少し気になる
本気で体を鍛え続けた超人は、どれほどの力を発揮できるのだろう?


奏「あ、見えてきましたよ」

カワサキ本部の姿が見え、心の底からホッとする
漸くこの人の隣から解放されるのだ

昨日の北斗さんや紗弥さんとは比べ物にならない位、信じられない問答だった


雲雀「ところで、キミは仕事はしているかい?」

奏「あ、えっと…」

一瞬返答に迷い

奏「していないです」

取り敢えず誤魔化すことにした
ヒーローだと知らせて得などないと思ったからだ

天雲雲雀はおかしそうにニヤリと笑った


雲雀「ほう、『していない』か」

奏「な、何かおかしい事を?」

雲雀「ああ、そうさ。今の質問で大体キミの事は分かった」

奏「はぁ?」

よく分からないと言った風に首を傾げる
内心、心臓はキュッと締め上げられる感覚に陥る


雲雀「まず第一に君の風貌。成長期間近の子供の体形。声変わりしていない高い声。十中八九子供だ」

雲雀「次に服装。現在は平日の朝だ。そんな日に学生服を着て外を闊歩する不良生徒というわけでもない」

雲雀「キミの格好はその年にしては小奇麗すぎる。少なくとも、学校に行けないような貧乏な子供が着れる服ではない」

雲雀「そこで予測されるのはお金を持っている子ども、しかしそれなら学校教育を受けていないのは不自然だ」

雲雀「そこで着目するのは言葉遣いだ。学校教育を受けていないにもかかわらず、相手を不快にさせない話し方、態度を意識し過ぎている」

雲雀「つまりキミは社会で働く人間だ」

雲雀「最後はキミの質問の答え。『していない』と答えた時、少し間があったね?」

雲雀「それは、後ろめたいことがあったからだ」

雲雀「私に後ろめたいことがあり、朝から街を歩き、やたらと私の後ろを気にする社会人」



雲雀「キミはヒーローだね?」

天雲雲雀は確信をもってそう答えた

奏「…………いえ、どうでしょうか」

ボクはそう答えるので精いっぱいだった


雲雀「なに、そう堅くなることなんてないよ。私はちょっぴり見る目があるのさ」

雲雀「キミがヒーローだからどうこうということは無い、寧ろ君から私にすることは無いのかな?」

雲雀「キミからしてみれば私は諸悪の根源だ。仲間を呼ぶなり、捕えるなり、殺すなりするべきではなかったかい?」

奏「………いえ、そんな」

雲雀「ほら、私を捕えてみろ?殺してみろ?さぁ、やれよ」

奏「…………」

ボクは何も考えないように押し黙った
雲雀は挑発的に笑い

雲雀「冗談さ」

と、そう言った


奏「着きましたので、ここでボクは失礼します」

雲雀「おや、中に入っていかないのかい?」

奏「ボクはここに用事はないので」

雲雀「ククク、あくまで演技を続けるかい。いい度胸だ、実に良い」

ボクはただ目の前の男の機嫌をいつ損ねるかとビクビクしているだけだ
怖くて何も言い出せないだけだ

ボクは何も言わずに背を向ける

雲雀「最後に良いかい?」

雲雀がボクを呼び止める
ボクはその場に立ち尽くす

雲雀「私はキミが知る以上にキミたちの事を知っている。何せ私はキミたちの敵だからね」

雲雀「キミの活躍を大いに期待しているよ、『音田奏』君」


振り向かなくても、後ろで雲雀が嫌な笑顔を浮かべていることが想像に易い
ボクはその場に立ち尽くす

一つ言えることがあるとすれば、ボクにはあの男のご機嫌取りはできないだろうという事だ


本部の外で立っていても、本部内の異常なざわつきは聞こえてくる

恐ろしい男だった

人生でも一二を争うほど、生きた心地のしない時間だった


あの男には中には用がないと言ったけれど、地下に行ってもいいかもしれない

なんにせよ何も予定はない

何をしようか?


1、地下に行く
2、また街を歩き回る
3、家に帰る
4、自由安価

安価↓1

2


>>507採用:2



また、行く当ても無く歩き回る

今度こそどこかに行きつくだろうか?



イベント判定
00-95で発生

直下コンマ


コンマ判定:80 成功



イベント選択

1、行列の中で一際目を引く人物
2、服の袖を引っ張られる
3、事案
4、揉みくちゃにされる人影

安価↓1


>>511採用:3


何となく歩いていると見覚えのある建物に気が付く

この前永遠さんに連れて行ってもらった『カフェ&バーあまぎ』という店だ

その店の前で動く人影に気が付いた
近づいていく毎に、衝撃的な光景を目の当たりにした


身長180㎝超の金髪の怖い顔をしたお兄さんと
推定身長110㎝ほどの長く美しい銀髪を三つ編みにした少女

そんなミスマッチの二人が追いかけっこをしていた

少女は春前というのに薄手の水色のワンピース一枚だった

事案だった


二人の姿を目撃したボクに琢磨さんが気付いた
ボクが後ずさると、この世の終わりかのような顔をして必死に首を横に振る

必死にジェスチャーで無実を訴えかける

「たぬきのお友達?」

状況を理解していない無垢な少女は、琢磨さんの服を掴んで小首を傾げた


奏「なるほど、他所のお子さんを預かっていたんですね」

琢磨「ああ、今日は偶々なんだ。一人で留守番させるのは怖いって言ってな、甘木さん家で預かってんだよ」

面倒見てるの俺だけどな
と、琢磨さんが心底疲れたように息を吐いた

ボクはお店の中に入れてもらい、琢磨さんのおごりでミルクティーを飲んでいる
琢磨さんの隣に座る少女――『サナギ』ちゃんは渋い顔をしながらブラックコーヒーをちびちびと飲んでいる

どうやら捨て子だったらしく、ちゃんとした名前は無いようだ

サナギちゃんを拾ったという人も学生らしく、だからこそこうして甘木さんに預けたらしい


琢磨「ったく、坊主も性格悪いぜ。怯えた顔で後ずさりやがって」

奏「いえ、本当に怖かったんですよ。薄手のワンピースの少女を追いかけ回す明らかに不良なお兄さんという絵面なんですから」

琢磨「んぐぅ……まあ、人相はどうしようもないよなぁ…」

サナギ「たぬきは優しいよ?わたし、たぬきの事大好き!」

奏「もしもしヒーロー協会ですか?」

琢磨「待てよ!俺とサナギちゃんは健全な関係だ!!親戚のお兄ちゃん的な大好きだ!!」

琢磨さんが全力で慌てふためく姿にクスリと笑う
永遠さんの言っていた面白い奴というのが少し分かった気がした


奏「ふふ、冗談ですよ」

琢磨「ったく、心臓に悪いっての…」

サナギ「たぬきをいじめちゃダメ!」

奏「あはは…えと、ごめんなさい」

どうやら随分琢磨さんは懐かれているようだ
しかし、琢磨さんのこの顔でたぬきという愛称で呼ばれているという事実にクスリと来てしまう
弧狸だからだろうけれど、似合わないにもほどがある

サナギちゃんのような子供にそう言われているのもまた、ギャップがある


サナギ「たぬき!また髪編んで!」

琢磨「ん?いいぞ?どんな風にする?」

サナギ「ええとねぇ…」

琢磨さんはサナギちゃんを膝に乗せ、髪の毛を解いてあげている
サナギちゃんに手渡されたタブレット端末には、色々な髪形のカタログが映し出されていた

琢磨さんは見かけによらず、こういった事を器用にこなせるらしい

色々とギャップが多い人だ


微笑ましい光景を眺めながら紅茶を飲む

こうして琢磨さんと面と向かって話すのは初めてだ
サナギちゃんの事も少し気になるし、何か聞いてみよう


1、お二人の関係
2、琢磨さんの手先の器用さについて
3、サナギちゃんの好きなものについて
4、自由安価

安価↓1

1


>>517採用:1
※いつもの


奏「それで、お二人の関係は?」

琢磨「もういいってのそういうのは!」

サナギ「ともだちだよ!」

奏「6歳の少女と友達!?」

琢磨「いいじゃねえか別に!おかしくねぇだろ!!」

奏「じゃあ自分と同じ年の知り合いで6歳の子供と友達の人は居ますか?」

琢磨「いや…まぁ、居ない気がするが」

奏「それは普通ではないのでは?やはり事案…」

琢磨「だぁ!もう!じゃあ友達じゃないよ!!」




サナギ「たぬき…わたしのこときらい?」

サナギちゃんは不安そうに琢磨さんの顔を見上げ、涙声で問いかける

琢磨「いや………」

琢磨さんはチラリとボクの顔を見る
しかし、覚悟したように目を大きく開いた

琢磨「好きだ」

奏「きゃああああああ!!!案件だ!!」

サナギ「わたしもたぬきのことだいすき!!ちゅっ」

琢磨「きゃああああああ!!!」

奏「きゃあああああああ!!!」

サナギ「ふたりとも、うるさい」

ボクと琢磨さんは乙女のような悲鳴をあげる
悪魔で天使なサナギちゃんは怒ったように眉を八の字にした

此処までボク達を翻弄するだなんて、サナギちゃんは末恐ろしい小悪魔だ


サナギ「ふふーん!可愛い?似合う?」

琢磨「おう、可愛いよ。絶世の美少女だ」

サナギちゃんは琢磨さんに結ってもらった髪を振り乱し、喜んでいる
そのあまりに素直な感情表現に心が和む

サナギ「たぬきにもやってあげる」

琢磨「いや、俺はできないって…」

サナギ「むぅ……」

琢磨さんの髪の毛を掴んだり引っ張ったりするが、結んだりできるほどの長さはない

サナギ「たぬきはおとこのこだから、かみないね」

琢磨「せめて短いと言ってくれ…」

サナギ「かなでは…おんなのこ?」

ボクに興味が写ったのか、ボクの髪の毛を弄りだす
恐らくこの場合の『女の子』は髪の毛の長さの事をさしているのだろう

奏「ううん、男だよ」

サナギ「おとこのこなのに、おんなのこなんだ。はじめみたいだね」

奏「はじめ?」

琢磨「サナギちゃんを拾った男だよ」

奏「なるほど」

そのはじめという人物も、ボクと同じように髪の毛が長いようだ


ボクの髪の毛が気に入ったのか、櫛を持ってきて梳かし始めた


琢磨「そうだ、お前もヒーローだったよな?」

奏「はい一応は」

琢磨「『P.A.I.N(ペイン)』って知ってるか?」

奏「いえ……聞いたことないですね」

琢磨「そうか。ヒーロー側にもあまり情報が回ってないか」

奏「その『P.A.I.N』っていうのがどうかしたんですか?」

サナギちゃんに好きに髪を弄らせながら、真面目な会話を続ける
今度はゴムを持ってきて括り始めた

琢磨「…いや、俺もちゃんと知ってるわけじゃないんだがな。知り合いに勧誘をされたんだ」

琢磨「どうやらその『P.A.I.N』ってのは超人を集めてるらしいんだ」

琢磨「妙に嫌な予感がしたんでな、お前なら知ってるかと思ってよ」

奏「すみません、お力になれなくて」

琢磨「いや、いいって。それよりお前も気をつけろよ、相当ヤバい匂いがする」

奏「分かりました」


『P.A.I.N』という組織
時間があれば調べておこう


外に目をやると、日が沈みかけていた
どうやら思ったより長話をしていたようだ

奏「じゃあ、そろそろ帰りますね」

そう言って立ち上がった僕の髪は、サナギちゃんに好き放題されて大爆発していた

琢磨「おう、またな」

サナギ「またな、かなで!」

サナギちゃんも琢磨さんの真似をして見送ってくれた


お店を出た時、丁度人とすれ違う
軽く会釈をして通り過ぎた

甘木さんではなかったなと、なんとなく後ろを振り向いた

準備中、と立札がたてられている

だからお客さんが来なかったんだなと納得もしたが、それならば先ほどすれ違った人は誰だったのだろう?

もしかするとあれがサナギちゃんの言っていた『はじめ』なのかもしれないな

楽しげな声が聞こえる店を背に、ボクはその場を立ち去った



今日の更新はここまでです

大量に伏線がばら撒かれていますが、今代ですべて回収することは絶対に出来ないと思います
なので回収されない伏線も多いかと思います。悪しからず


ではでは、お付き合いいただきありがとうございました


そろそろ再開っす


もうすぐ日が落ちて夜になる

これからどうしようか?



1、家に帰る
2、地下に行ってみる
3、声をかけられる
4、自由安価

安価↓1


>>529採用:3


トントンと肩を叩かれる

今朝の事を思い出し、警戒して振り向いた

むにっ

と何かがボクの頬を突き刺した


カナエ「へへへっ、カナちんやっほ!」

奏「カナエさんでしたか」

安心で胸を撫で下ろす
先ほど起きたばかりなのだろう、活動時間が来てカナエさんは活力に溢れている

カナエ「何やってんの?」

奏「散歩です」

カナエ「散歩かぁ、いいね!散歩はいいよねぇ…」

カナエ「じゃあ暇なんだね!私と遊ぼうよー!」

しみじみとうなづいていたかと思えば、ボクの肩を元気良く揺さぶる
……どうしようか?


1、カナエさんと遊ぶ
2、夕飯に誘う
3、散歩に誘う
4、自由安価

安価↓1

2


>>531採用:2


奏「丁度うちに帰ろうと思ってたんだ。夕飯食べていく?」

カナエ「そうなんだ、じゃあそっちにお邪魔したおっかな!」

カナエ「ほらほら~、乗りなって!」

カナエさんは屈んで背中をさし出してくるが、さすがに外でやるのは恥ずかしいと断った

奏「た、たまにはゆっくり歩かない?」

カナエ「え~夜なのに?」

奏「ゆっくり歩かないと見えないものもあるんですよ!」

カナエ「ふ~ん…じゃあ歩こうかな」


カナエさんと並んで歩いて帰る
カナエさんは落ち着かないようで、ずっと辺りをキョロキョロしていた







日和「…で、今日も連れてきたんですね」

カナエ「来ちゃった!いぇい!!」

日和「全く…奏様のご友人でさえなければ…」

日和はカナエさんの姿を見て露骨に嫌味を振り撒いたが、それでも3人分の食事を用意してくれた
今日は湯豆腐と、鯛の煮つけとあさりの味噌汁だった

カナエ「あ!これ知ってる!鍋って奴でしょ!!」

カナエ「でも豆腐だけ?あとから何か入れるの?」

日和「いえ、豆腐だけです」

カナエ「えっ?貧乏なの?」

日和「奏様、この方のお口を永遠に塞いでも?」

奏「よろしくないよ」

奏「カナエさん、これはね鍋の一種だけど湯豆腐だから豆腐だけなんだよ」

カナエ「豆腐温めただけで料理なの?」

奏「お出汁とかいろいろ入ってるから美味しいよ」

カナエ「ふ~ん………アチチ!」

奏「ふふふ、ちゃんと冷まさないと駄目だよ」

ボクはつい一口分を掬って冷ましてあげようとして、日和の視線に気が付いて自粛した




カナエ「ふ~ふ~……はふ……ふ~ん…こんな感じなんだ」

奏「薬味も色々あるから好きなののせて食べるといいよ」

カナエ「これ乗せていいんだ。お好み焼きの鰹節とかのアレだね!」

奏「う、うん。まあだいたい合ってるよ」

カナエさんは薬味をあるだけ盛って大口を開けて食べる
『ふ~ん……うん、美味しいと思う』と、カナエさんは言った
お好み焼きほどの感動は湯豆腐では感じなかったようだ

カナエさんは次に鯛の煮つけに手を出そうとするが、箸が止まる
ボクの鯛の煮つけをジッと見つめていた

奏「な、なに?」

カナエ「…私のもそれやって!」

そう言ってお皿を差し出してくる
一瞬意味が分からなかったが、ボクがやったように骨を外して身を解して欲しいという事らしい

あまり得意じゃないんだけどなと思いながら箸をつけようとした煮つけの皿を、日和に奪われる
手早く解体したそれをカナエさんに返す

カナエ「おお!ひよも出来るんだ!いやぁ、悪いねぇ」

日和「これくらい当然です。私のご主人様を召使のように使わないで下さい」

カナエ「あ~ん…うん!これ美味しい!!美味しいよ!!」

カナエさんは目を輝かせて喜ぶ
どうやら濃いめの味付けの食べ物が好きらしい


カナエ「はぁ~…今日も美味しかった。ご馳走様!!」

日和「はいはい」

カナエ「う~んでもさぁ、魚も貝の味噌汁もさ食べにくいよねぇ。骨も殻も無くなっちゃえばいいのに」

奏「あはは…流石にそれは贅沢すぎるよ。慣れれば苦じゃないし」

カナエ「そうかなぁ?食べモノなんだし食べやすいのがいいと思うなぁ、お好み焼きみたいに」

日和「これだから和食の詫び寂が分からない人間は…」

カナエさんの文句に日和はぶつぶつと嫌味を返す
ボクはそんな姿も、微笑ましく思えた

好きじゃないことを知るのも大事な事だ
カナエさんはまた、新たな好きについて知ることができた

…って、なんだかボクが保護者みたいだな
カナエさんの方が年上なのに


カナエ「う~ん…じゃあ腹ごなしに動いてこようかな。カナちんも来る?」

奏「えっと……」


1、カナエさんに付き合う
2、遠慮して家でゆっくり過ごす
3、3人で何かしないかと提案する
4、自由安価

安価↓1

4模擬戦闘


>>537採用:4


奏「運動って何するの?」

カナエ「一人なら適当な場所上ったり走ったりしてるけど」

カナエ「2人以上ならマリーと模擬戦とかしてるよ!カナちんもする?」

奏「ええ!?ボクは戦闘とか全然できないよ?」

カナエ「いっつも座ってばっかじゃいざって時に動けないよ?」

奏「う~ん…確かに……」


しかし、カナエさんとまともな模擬戦が出来るとも思えない
ここは……


1、頑張ってみる
2、日和にやらせる

安価↓1

1


>>539採用:1


奏「じゃあ、偶には頑張ってみようかな」

カナエ「いいねいいねぇ!そういうやる気を出すのが大事なんだよ!!」

奏「でも、ボクの異能一対一の戦闘に極端に向いていないよ?誰かとタッグを組んでの乱戦ならまだしもボク一人って…」

カナエ「じゃあどうする?ハンデでもつける?ルールとか決める?」

奏「う~ん…そうだね。じゃないとまともに模擬戦にならないだろうから」


そこでこの模擬戦にルールを作ることにした
1、相手の拘束、または降参で一本とする
2、3本取られる内に一度でも奏が一本取れれば奏の勝ち。出来なければカナエの勝ち
3、カナエの武器はナイフ(木の棒)2本のみ


と、圧倒的にボクが有利な対決……のように見える
カナエさんは幾多の異能者や超人を暗殺してきた異能者だ
まともに人と殴り合ったことも無いボクに勝ち目などあるのだろうか?

そんな事を考えていても結局始まりはやってくる


日和「では、はじめ!」


日和が立会いのもと、模擬戦が始まった


掛け声と同時にカナエさんが真っ直ぐ駆けてくる

ボクはそれを迎撃するために声を出す

ボク「あ!!!」

口から吐き出された声は爆音の衝撃波となって奏さんを迎え撃つ

カナエ「ふっ!」

本来なら鼓膜をぶち破るほどの轟音がカナエさんのナイフの一振りで掻き消える
音を殺すカナエさんの異能だ

ボクとのコンビで使った音だけを殺すモノではなく、音の根源である振動すらも消滅している
故に衝撃はカナエさんに届くことも無い

カナエさんはボクの弱みを殺す異能でありながら、ボクの強みを消し去る天敵でもあるのだ


それくらいは読めていた
そういう事が出来ることは知っていた


大事なのは次の一手だ―――


1、ナイフを切り上げた腕を掴む
2、二発目の衝撃波を真っ直ぐ吐きだす
3、背を向けて走る

安価↓1

1


>>542採用:1


ボクはナイフを切り上げたカナエさんに向かって体をつっこむ

スピードを乗せて此方に駆けていたカナエさんは避けきれずボクに腕を掴まれる
ボクはその勢いのまま肩ををカナエさんの胸辺りにぶつける

しかし、ボクの拙い体捌きでは綺麗に体当たりを決める前に脇腹にカナエさんの膝が突き刺さる

奏「ぐぇっ…」

カナエ「はい残念!」

カナエさんは体勢が崩れたボクをうつ伏せに押し倒した
背中に馬乗りになり、ナイフを僕の背中に押し当てる

カナエ「一本かな?」

奏「やっぱり見よう見まねじゃあ上手く決まらないね…」

カナエ「カナエさんってば修羅場くぐってるからねぇ~。ほんじゃあ二本目だ」

※模擬戦をやっている場所は奏宅のすぐ北にある山です



再び距離をとって相対する

カナエ「それじゃあ次はこんなのはどうかな?」

カナエさんは真後ろに向かって走り出す
カナエさんの体は暗闇に溶け込み、姿を消す

木々が風に揺れカサカサと音を鳴らしている

カナエさん得意の暗殺というわけだ


警戒すべきは背中だろう
ボクはグルグルと周囲を見回す

しかし、このままでは埒が明かない


どうにかして不意を打つ方法は……


1、仰向けになる
2、木を背にする
3、地面に向かって衝撃音を放つ

安価↓1

3


>>545採用:3


大体の距離を測る

ボクは地面に向かって衝撃音を放つ
しかし、音は掻き消えず地面が震えたままだ

攻撃の為ではないと分かって無視したのか?――――いや違う!

ボクは即座に真上に衝撃音を放つ

カナエ「バレたか!」

カナエさんは嬉しそうに笑顔でボクの音を殺す

奇襲の前に何とか気付けたボクは地面を転がり距離をとる


地面に衝撃を放ったのはただ距離を測るためだけじゃない!

ボクの狙いは―――


幸運判定
00-95で発生

直下コンマ


コンマ判定:19 成功



森が大きく騒めき始める

野犬の遠吠えが響き、小鳥の悲鳴が合唱する

森の異変に動物たちが騒ぎ始めたのだ


この響き渡る声のどれかを変声させて、超音波として放っている
正直自分でもどれに異能が発揮されているのか分からない

三半規管をわずかに揺らし、バランスを崩す超音波だ
カナエさんも度の音を消すべきか分かっていない
付け入る隙があるとすればこれだけだ

完全な運頼みだが、そうでもしなければボクに勝ち目なんてない!!


ボクは大きく息を吸って声を張り上げた―――


コンマ判定
5以上でカナエさんが膝をつく
豪運   +2
実力差 -3

直下コンマ


コンマ判定:4 失敗


奏「あ゛ッ――――――!?」

ダメ押しで異能を使おうとした瞬間、喉に何かが当たったのだ
カナエさんは膝をつきながら、ナイフを投擲していたのだ

見事に喉を潰されたボクはその場に尻餅をついてしまう

カナエさんは体勢を崩していることには変わりない
声を出して足掻こうとするが、声が出ない
喉を潰されたことによってではなく、カナエさんの異能だった

カナエさんの異能『無音』は手放した物でも数秒効果を発揮し続ける
異能の効果がかかったナイフが僕に触れ、ボクから音が発すことができなくなってしまったのだ

カナエ「投げナイフで一殺、そんでこれで二殺目。だから二本だね」

カナエさんはボクに馬乗りになって、喉元にもう一本のナイフを突き立てた

奏「……!…!……かはっ!はぁ……それ、ズルくない?」

カナエ「戦いとは理不尽なものなのだよ、カナちん♪」


何だか上手い具合と丸め込まれ、模擬戦は終了となった
結果はボクの惨敗だった


奏「いてて、そんなにする必要ある?」

日和「当然です!」

模擬戦で作った小さい切り傷や擦り傷を、日和に手厚く看護される
カナエさんはまだまだ余裕そうで、片手で逆立ちをしてピョンピョンと跳ねている

カナエ「やっぱカナちん弱いねぇ」

奏「うぐぅ…分かってはいたんだけどね。相性も悪い中で工夫したつもりなんだけど」

奏「それにしてもバランス感覚無い中でよくボクにナイフを当てられたよね。しかも喉に」

カナエ「こればっかりは私の経験だね」

奏「やっぱりカナエさんは凄いなぁ」

カナエ「へへーん!まぁね~ん!」


戦いには不向きだと分かっていた
しかし、それでもこうして完全に凹まされるとやっぱり悔しく思う


ボクは……

1、やっぱり前線には向かないな
2、強く…なりたいな

安価↓1

1


>>552採用:1



奏「やっぱり前線には向かないな」

カナエ「そう言わずにさ、チャレンジしようよー!」

奏「でもボクはボクにしか出来ない戦いがあると思うからさ」

カナエ「そう?」

奏「うん、役割分担ってことだよ。ボクには支援の方が向いてるかな」

カナエ「そっか、カナちんがそう思うならそっちの方がいいよね!私たちのコンビは最強だし!」

奏「ふふ、うん」

ボクは改めて全線で戦う人の苦労を思い知った
ならばこそ、ボクだって死力を尽くしてサポートをしなくては

ボクは強く決意を固めた


※1選択により、???判定で追加効果


五日目終了

で、今日の更新はここまでです

VSカナエちゃんとは相性最悪過ぎて書くの結構苦労しました
奏くんの強みが全部死んでやがる……


ではでは、お付き合いいただきありがとうございました


そろそろ再開っすよ!


六日目



あれからカナエさんはボクの家に泊まらず帰っていった
カナエさんはもしかしたら仕事でもあったのかもしれない

とにかくボクは、普段と変わらない朝を過ごしていた

今日の夜は大事な仕事があるとボスに言われている

何をするかまだ聞かされていないけどいいのだろうか?


ボクはそんな事を考えながら朝食を食べる



1、新聞を読む
2、日和と話す
3、地下に行って仕事の事を聞きに行く
4、自由安価

安価↓1

4ちょっと足抜けについて考える


>>560採用:4


……もし、もしボクがヒーローをやめるとしたらどうなるだろう?
表で活躍しているヒーローならば然るべき手続きを取れば、問題なく辞められるだろう

だが、ボクは『落とされた影』に所属している

ボクは下手な幹部よりカワサキの事を知っている

そんな人間が我儘勝手に組織を抜けることを許されるだろうか?


…そう言えば『落とされた影』に務めて2年ほどだけど、止めた人は誰も知らない
マリーさんや新さんの話からするに、殉職はよくあると聞く

その殉職は、不幸な事故なのだろうか?
それとも体の良い処分理由ではないだろうか?

まだ内容を知らされていない今日の仕事。まさか――


……なんて、考え過ぎだろう

給料もしっかりもらえているし、今の仕事に特に文句も何もない
やめたくなる事なんてそうないだろう

ボクは適当にテレビをつけた


ボーっとテレビを眺め続けていた

昨日の夜からずっと、昨日の『天雲雲雀のカワサキ訪問』についてのニュースばかりが流れている
それだけの大ニュースというわけだ

この訪問に、あることないこと様々な噂が飛び交っている

実際、あの訪問にはどんな意味があったのだろうか?
報道規制がかかっているのか、訪問していた時のカワサキ本部内の映像は全く流れてこない

カワサキ本部から出てきた映像だけが延々と流れている

インタビューも受けていたが、綺麗にはぐらかしていた

非常に気にはなるが、下っ端のボクにはあまり関係の無い事なのだろう


さて、何をしようか


1、日和と適当に時間を潰す
2、今までの自分の事を考える
3、地下に行く
4、自由安価

安価↓1

3


>>563採用:3



家でじっとしている気分でも無くなったので、ボクは地下に向かった

地下には皆が勢揃いしていた

ボクに気付いた永遠さんが声をかけてきた


永遠「やあ奏くん。聞いたよ、ここに空色北斗が来ていたんだって?」

奏「そうですよ。二日前ですけど」

永遠「はぁ…惜しいなぁ……私が東京なんて田舎に行っていなければ」

奏「東京に行ってたんですね。様子はどうでした?」

永遠「観光ではないからどうとは言えないけど、汚い地域と綺麗な地域で真っ二つさ。沿岸沿いの地域の荒廃具合はすさまじかったね」

永遠「あそこが昔、この国の主都だったなんて信じられなかったな」

奏「あはは…今でも一応首都なんですけどね」

形だけの首都だけれど
この国を実質的に支配しているのはカワサキだ


今現在、この国の中心は間違いなくこの神戸だろう

そんな世間話をしながら、マリーナさんから頂いたお茶を飲む



さて……


1、永遠さんの遠征の話を聞く
2、永遠さんたちに『P.A.I.N』について聞いてみる
3、新さんに紗弥さんの事を自慢する
4、カナエさんの世話をする
5、ボスに仕事の事を聞く
6、自由安価

安価↓1

2


>>566採用:2


奏「そうだ、聞きたいことがあったんですよ」

奏「『P.A.I.N』っていう組織をご存知ですか?」


一緒にお茶を飲んでいた4人は頭を捻った


知識判定
7以上で成功

↓1永遠
超人 +1

↓2マリーナ


↓3美柚莉
ミーハー +1


↓4新


コンマ判定:全員成功



美柚莉「最近チョイチョイ噂になってる組織っすね」

新「確か、『アンチ異能者』の集団だっけか?」

マリーナ「甲斐アギトが捕まっちゃったんだものね、不安にもなるわよね」

奏「甲斐アギトが関係しているんですか?」

マリーナ「あら、知らなかったの?甲斐アギトは『P.A.I.N』のリーダーだったって話よ」

美柚莉「ウチが聞いた話では幹部の一人って聞いたんすけど」

新「どっちの言ってることが正しいんだよ…」

永遠「どちらも正確とは言えないね」

永遠「彼ら『P.A.I.N』は甲斐アギトをはじめとした『4名』の幹部を中心とした組織だ。甲斐アギトは『P.A.I.N』の創立者であり幹部であり、リーダーの一人だ」

美柚莉「詳しいっすねぇ」

永遠「超人の事情は超人だからこそ知れることが多いからね」


新「って事は最近活動が活発になり始めたっつー話は嘘でもないわけか」

美柚莉「甲斐アギトを奪還しに来るって話っすよね!そこら辺はどうなんすか永遠先輩?」

永遠「それについてはまだ調査中だよ」

永遠「東京遠征で得た知識だけど、彼らの本拠地は東京だ」

永遠「超人が徒党を成して神戸に向かって動いているなんて話はまだ聞いていないから、当分先じゃないかな?」

マリーナ「もう移動し終えているかもしれないわよ?だってあの甲斐アギトがこの町に来ていたんだもの」

新「あ~…確かに」

美柚莉「そもそもあの時の甲斐アギトの行動にはどんな意味があったんすかねぇ?」

新「さあなぁ、北斗さんが一瞬で片付けたんで、そこら辺の事情聴取は今やってる最中じゃないんかね」

マリーナ「そういえば未開発区画に人が増えたって聞いたけど、その『P.A.I.N』って連中かもしれないわねぇ」

永遠「そうなのかい?う~ん…そうだったとしたら、本部の連中は気が気じゃないでしょうね」

美柚莉「まあでも、今この本部には北斗さんもレオ様も居るっすから。超人がどんだけ群れを成しても相手じゃないっすよ!」

マリーナ「それもそうよねぇ!はぁん!レオ様の勇士を早く見たいわぁ!」

新「気が早いってのマリー…何も起きないのが一番だぜ」


ボクの想像以上に皆『P.A.I.N』について知っていた
甲斐アギトは『P.A.I.N』の中心人物だったようだ
連中は気が立っている事だろう

近いうち、この神戸が戦場となるかもしれないな
ボクの住んでる地域が巻き込まれなければいいけど…


それから皆とたくさんの話をした
この神戸からほとんど出たことが無いボクからしてみれば、永遠さんの東京の話はとても新鮮に感じた

東京は2000年の超人犯罪の被害を最も大きく受けた都市の一つだ
国会議事堂、東京タワーなどの、東京の象徴とも言える施設がいくつも破壊された
権力の象徴たるその都市は、反権力を掲げた超人犯罪者たちの格好の的となったのだ

高速道路や線路などにも壊滅的な被害を受け、かつては陸の孤島のような状況にあったそうだ

現在では復興もそれなりに進んでいるが、渋谷や新宿など
かつて大きく栄えていた区画の開発はまだまだ厳しい状況にあるらしい

そんな超人犯罪の被害が大きい東京では、いまだに反超人の思想が根強い
未開発の区画に超人は追いやられているという事だ
だからこそ、『P.A.I.N』などという組織の発足に繋がったのかもしれない



そろそろ日が落ちる
仕事の時間が近づいてきた……


1、気負いせず、皆とゆっくり過ごす
2、一度家に帰って気分を落ち着かせる
3、自由安価

安価↓1

1


>>576採用:1


あまり考えても仕方がない
気負いせず、気軽にしていよう


1、起きだしたカナエさんに付き合う
2、永遠さんと琢磨さんの話をする
3、マリーナさんと恋愛話をする
4、美柚莉ちゃんと仕事の話をする
5、新さんと紗弥さんの話をする

安価↓1

2


>>579採用:2


奏「そういえば昨日、琢磨さんと一緒にお話をしました」

永遠「タヌキとかい?面白いだろうアイツ、顔も含めて」

奏「ふふ、はい。ギャップの多い方ですね」

永遠「アイツはあんな面だが涙脆いしね」

奏「中身が子供っていうか…その、素直で気持ちのいい人ですよね。子供に好かれるのも分かります」

永遠「子供?」

奏「はい、えっと…お客さんのお願いで子守を頼まれてたんですよ。すっごく懐かれてて」

永遠「へぇ~…またアイツを弄るネタが出来たね」

奏「あはは…程々にしてあげてくださいね」

奏「そうだ、琢磨さんってとっても手先が器用ですよね。一目見ただけで何でも器用にこなしてて」

永遠「ああ、それは異能だね」

奏「え?でも琢磨さんは超人ですよね?」

永遠「アイツは超人で異能者なんだよ。驚いただろう?」

奏「えええっ!?超人の異能者なんて実在したんですか!?」

永遠「アイツの異能は『投影』。見たモノを何でも綺麗に再現できる異能さ」

奏「へぇ…便利そうですね」


それから、永遠さんから琢磨さんとの昔の話を聞いた
どうやら二人とも、相当無茶な事を色々やって来たらしい


そろそろ仕事の時間だ
ボクはいつものように通信室に向かおうとした

だが、ボスに呼び止められある場所に向かえと指令が出され、仕事の資料が手渡された

向かった先は未開発区画のある廃ビル
そこは秘密裏に通信室としての機能が備えつけられているという

ボクは周囲を警戒しながらその廃ビルを目指した

ボスの言った通り、小さいながらもしっかりとした設備が整えられていた

既にモニターの電源が付けられており、ある場所の映像が映し出される
見たことも無い廃ビルの一室があらゆる角度から撮られている

不気味な部屋だった

全てが御膳立てされた空間
ボクは気にし過ぎないように、台本を手に取った

ボスの話によれば置かれているマイクはあるヒーローと繋がっているという

台本を開き、その筋書きにボクは戦慄を覚えた

いつものように演説のような書き出し台詞ではなかった
事細かに状況が書き込まれた、『演劇台本』であった

台本を読み進めようとしたとき、外から大きな破壊音が聞こえてきた……


視点変更:空色北斗


私が居ながら、失態だった
本部で怪我人を出してしまった

まさか、あの甲斐アギトが脱走するだなんて

しかし、あの厳重な拘束をどうやって?
…いや、そんな事は後だ。今は目の前に集中しなければ!!


北斗「止めろアギト君!!それ以上罪を重ねるな!!」

アギト「ハハハハハハ!!いいぞ!追って来い!!決着をつけよう!!」

北斗「アギト君…!キミという男はどこまで……」

今すぐ鉄拳制裁を加えてやりたかったが、アギト君は私を未開発区画に誘い込んでいるようだ

そちらの方が壊しても問題ない建物が多い
ならば、今はその誘いに乗ろう


私は一定の距離を保ちながら甲斐アギトの後を追った


視点変更:音田奏


慌てて外に目を向ければ、甲斐アギトの姿と共に絶叫が鳴り響く

甲斐アギトの姿が月明かりに照らしだされる
最早その姿は人間の体を成しておらず、飢狼のように猛り吠えていた

それに応戦するは希望の空色。北斗さんだった


何が?何が起きている?
この騒ぎは…『決まっていたこと』だと言うのか?

台本に書きだされた台詞は、空色北斗と甲斐アギトの会話だった

刻一刻と時間が迫っている
ボクは慌てて台本を細かく読み進めた

誰だ?

ボクが変声すべき人間は誰だ?

これは、ボクに何をさせようとしているんだ?


言いようのない不安が渦巻く

そして、読み進めるうちに見つけた一つの台詞
空色北斗でも甲斐アギトでもない人物のたった一言

それがボクに任された仕事だった


突如、モニターの映像が切り替わる

…いや、映し出された部屋の状況が変わったのだ

そこには満身創痍の甲斐アギトと
悲しげに顔を曇らせる空色北斗の姿であった


アギト「はぁッ…!はぁッ…!!」

北斗「もう止めろ。キミでは決して私に勝つことはできない」

アギト「クッ…ハハハハハ!それがヒーローが俺にかけるべき言葉か?」

北斗「厳しさもまた愛ゆえだ。愛が無ければ、こうして君を許しはしない」

アギト「俺は赦しなど求めていないッ!!」

二人の会話が展開される

ボクが手渡された台本通りの会話が繰り広げられている
それはまるで、決められた運命であるかのように

彼らはそう演じさせられているかのように


アギト「誰が赦してほしいと言った!!オレが何時赦しを乞うた!!」

北斗「赦しこそ、今のキミの救いとなるからだ」

アギト「ハハッ…ハハハハハ……救いか」

力なく笑い、甲斐アギトは立ち上がった


アギト「ならばお前は、これでも俺を赦せるか?」

甲斐アギトの腹部が裂け、その中から一人の人間が吐き出された

北斗「―――君!!」

ノイズが走り、人の名前が聞こえなかった
しかし、その人物は空色北斗の知り合いなのだろうという事は分かる

アギト「脱獄の最中、こうして一人保険にとっておいたのだ」

アギト「さあどうする?この人間を殺すのが早いか、俺を殺すのが早いか試してみるか?」

そう言って甲斐アギトは吐きだした人物の頭に足を乗せた


「うっ…うう……」

人質が力なく呻き声をあげる

北斗「――君!平気かい!?必ず私が助ける!!」

アギト「ほう?ならば俺を殺してくれるのか?」

北斗「キミも救いだす!誰一人として見捨てはしない!!」

北斗「私の愛に限界はない!!」

アギト「ならば何故あの時お前は見捨てた!!!」

北斗さんの熱い言葉が、悲痛の叫びに切り裂かれる

見捨てた?あの北斗さんが?
あり得るはずがない、救出任務達成率100%だ。そんな記録残っていない
何よりあの北斗さんの熱意が、そんなこと赦すはずがない

だがそれもまた、台本に書かれた内容の一つであった


北斗「私が…見捨てただと?そんな事はありえない!」

アギト「ハハハハハ!自分に嘘をつき続けるのも大概にしろ。空色北斗」

アギト「お前が謳う正義に、俺の妹は殺された!!」

アギト「罪人は俺一人だった!!なのに何故俺が赦され、罪なき俺の桜が赦されなかった!!」

アギト「答えろ!空色北斗!!俺の妹の罪はなんだ!!」

北斗「………」

北斗さんは苦々しい表情をし、押し黙った

アギト「答えられないとは言わせないぞ!俺を救うというのならば、俺のこの痛みも救って見せろ!!」

北斗「それは…!………私が…知らなかったからだ」

北斗「その時その瞬間、キミの事を何も知らなかったから…私にはどうすることもできなかったんだ」

アギト「クックックックック!ハーッハッハッハ!!知らないと来たか!!そうか……」




アギト「そんな言い訳赦されるかあああああああああああああああああああああ!!!!」



甲斐アギトの絶叫が鳴り響く
その瞳は怒りで真っ赤に濁り、一筋の涙があふれていた


アギト「お前が答えられないのならば代わりの答えてやる!」

アギト「俺の妹は、『俺の妹だったが故に』殺されたのだ!!」

アギト「俺の妹はただ、俺という超人の兄を持つただの人間だった」

アギト「ただそれだけで、俺と共に親に捨てられ、社会からも見捨てられた!!」

アギト「俺は確かに罪を犯した。生活に困り、窃盗に手を染めた」

アギト「だが俺はこうして未だにその罪を裁かれていない!!」

アギト「ただ罪人の妹というだけで、桜は虐待の限りを受け殺された!!」


アギト「お前たちヒーローにだ!!!」


アギト「これがお前の謳う愛か?これがお前の作り上げた正義か?」

悲壮感に満ちた独白が続けられる
空色北斗は何も言えず唇を噛んでいた


アギト「俺の桜は…生まれたこと自体が罪なのか?」

アギト「超人と血を分けるというのは罪か?」

アギト「罪人の親族は罪人か?」

アギト「そうだと言うのなら!お前も断罪されるべき犯罪者だろうが!!!」

北斗「なっ…!?何を言っている…?」


「ふっざけるなあああ!!」


重苦しい沈黙を突き破り、足蹴にされていた人質が暴れはじめる

北斗「やめろ――君!無理に抵抗しなくていい!私が救い出す!!」

「いいえ!譲れません!!こんな自分勝手な理屈をこねる男に、北斗さんを侮辱されたくない!!」

アギト「この男を庇うか?俺の妹を殺したこの男を?」

「知るか馬鹿!確かに社会がお前の妹を殺したかもしれない!でも、北斗さんの正義と愛は何も間違っちゃいない!!!」

人質は甲斐アギトの足にしがみ付き、抜け出そうと必死にもがく
しかし、甲斐アギトは何も動じなかった


アギト「どうやら何も知らないようだな。自分の口で言ってやれ、お前が見捨て人の名を」

「北斗さんは誰も見捨てない!クズみたいなお前だって見捨てたりなんかしない!!」

北斗「…………」

「北斗…さん?」


空色北斗は固く口を閉ざしていた
その姿に人質は不安げにその表情を曇らせる


アギト「言えないのだろう?当然だ、言ってしまえばお前が積み上げたすべてが崩れ去る」

北斗「止めろ」

アギト「では、聞いてもらおうか。お前に心酔するこの人間に」

北斗「やめてくれ」

アギト「18年前、一家が全焼する火事があったな?3人家族の内二人が死亡した事件だ。家主である父親だけが生き残った」

北斗「やめてくれええええ!!」

空色北斗が耳を塞ぎ膝をつく
その大きな体を強張らせ、縮こまる

しかし、それでも断罪の言葉は止まない


アギト「『空色文香(ソライロ フミカ)』、『空色美波(ソライロ ミナミ)』。お前が見捨てた者の名だ」

北斗「はぁっ…!…くぅぅ………!」

空色北斗は目を覆い、慟哭をあげる


北斗「あの時の…あの時の私は無能力者だった。異能に目覚めていなかったんだ…だから…」

アギト「だから見捨てたと」

アギト「昔の過ぎたことだから救わなくていいと?」

アギト「お前は全てを救うのだろう?お前の愛に限界はないのだろう!!」

アギト「そう謳うのならば!過去の痛みすらも救って見せろ!!」

北斗「……出来ない…!しては…いけない。この痛みは…永遠に私が抱いているべき痛みだ」

アギト「はっ!聞いたか?これがこの男の謳う愛の姿だ」

甲斐アギトは膝をつき懺悔する空色北斗の姿を鼻で笑う


アギト「限界が無いなどと、愛が全てを救うなどと、全て嘘だ」

アギト「ここに居る、全ての人間を救えてなどいないのだ!!」

アギト「それが貴様の限界だ!」

アギト「それがお前たちが作り上げてきた正義の限界だ!!」


アギト「ならば知れ、我らの声を、我らの嘆きを」


          痛み
アギト「我々の『PAIN』を知れ!!」



アギト「俺こそ、真に虐げられし者を守る。嘆きの声を聴くものだ」

アギト「真に虐げられし、弱き人々の『PAIN』の代行者だ!!」


アギト「我らの嘆きの痛みを思い知れ!!!!」


甲斐アギトの足が人質に向かって振り下ろされた


一秒にも満たない刹那

空色北斗は立ち上がり、人質の体を抱き上げていた


北斗「だとしても!私はもう誰も見捨てたくない!」

アギト「そう来ると、思っていたぞ」

北斗「なにをっ――!」

空色北斗が言葉を言い切る前に、甲斐アギトの体は爆散した
甲斐アギトはその肉体に、すでに自殺の仕掛けを仕組んでいたのだ


アギト「ほうら、これで3人目だ。お前の目の前で人が死んだ」

アギト「俺は超人を超えた超人なれど、一人の人間」

アギト「痛みを抱えた弱き…者…だ……」


アギト「ああ……さく…ら……」


最後のその一言は台本にはなかった
その言葉を発する瞬間、甲斐アギトの眼から怒りの炎が消えていた


北斗「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

再び、空色北斗は膝をついた
大粒の涙を流し慟哭する


北斗「私は…私は……彼を救えなかった……」

北斗「私はまた……見殺しにしてしまった…」

助けられた人質は、急激な事態の変化に戸惑っている
そして、空色北斗にかける言葉を探していた


さて、ここからがボクの仕事だ

ボクが任されたのはたった一言
あの人質であった人が空色北斗に駆ける慰めの言葉だ

だが、こんなことにどんな意味があるというのだろう?

『仕方ありませんよ』

その一言をボクがあの人に言わせることに、どんな意味があるというのだろう?

何故そんな事が、ボクに任されてしまったんだ?


きっと、きっと良い事なんてない
本能がそう告げている

しかし、逆らったらどうなる?

大人のご機嫌取りさえしていれば安心で幸せに生きていられるんだ
ボクがここで逆らう事にどんなメリットがある?

どうする?
どうすればいい?

何をしたらボクは傷つかずに済む?


分からない…

分からない……


何も最善の選択が見えてこない

でも、選ばなければ


モニターには、今まさに人質だった人が北斗さんに声をかけようとしていた



ボクは―――――



1、任務を遂行した
2、任務を拒絶した

安価↓1から先に3票獲得したルートを進行


安価得票結果:2 反逆


と、いう所で今日の更新はここまでです

此処から一気に終盤にお話がなだれ込みます



ではでは、お付き合いいただきありがとうございました


名前:甲斐アギト(カイ アギト)
性別:男性
年齢:27歳

立場:アンチヒーロー
所属:『P.A.I.N』



身長は187cm
手入れのなされていない黒くうねった髪の毛と、その想いを表すかのように燃える赤い狂気的な瞳が特徴的な青年
世界的に有名な異能者を殺し続けた殺人鬼
その在り方に性格と呼べるものは無く、怒りと恩讐がその身を動かし続けている
かつて超人差別により職を失い、生きることに困った事により窃盗に手を染めた
その因果により、唯一の家族であった妹が異能者に虐待を受けその命を落とした
妹は超人の兄を持つ、ただの人間だったのだ
守るべき弱きものを守らないヒーロー及び異能者に復讐を誓う
真に虐げられし弱き者の痛みを知らしめるべく、仲間と共にアンチ異能者集団『P.A.I.N』を立ち上げる
彼は世界から異能者を排除するまで、殺戮と闘争をやめることは無いだろう
異能者の判別の為に『天雲財閥』に手を借りている
彼は知らない、己は観衆を喜ばすただの道化師だという事を………



【特殊技能】

『揺らがぬ信念』
決して曲げられない自らの信念


『到達者』
超人を超えた超人
超人の行きつく果て【怪異】へとその身を変貌させる
彼の体には決して満たされぬ飢狼が潜んでいる


メッチャいいところですが
今日の更新はお休みっす

今日の更新もお休みです…
申し訳ないっす……


お待たせしました!
今日こそは更新再開でございます!!


ボクはいつもどうしていただろう?

ボクの始まりは両親に捨てられたことだ

奴隷として生活をしていた時間が、人生の中で一番長い

その生活の中でボクは何をしていただろうか?

ボクは…自分で何かを選んできただろうか?

最初も、その次も…自分の力ではどうしようもなかった

だけど、今はどうだ?
今この瞬間はどうだ?

ボクの目の前には、勝ち取ることのできる自分の選択肢があるのではないか?

そこに何の意味がある?
それにどんな価値がある?

その問いに――――答えは出た


ボクは、ボクの直感に従おう
ボクの人生だ、ボクに未来を決める権利がある


ボクは初めて、人生で初めて大人の決定に逆らった



イベント判定
00-95で発生

直下コンマ


コンマ判定:97 失敗



マイクのスイッチを切ったその瞬間

『ああ、残念だ。キミには失望したよ奏くん』

何処からか声が聞こえた
そして、窓ガラスを突き破って何者かがこの簡易通信室に侵入してきた


まさか、こちらも監視されていたという事なのだろうか?
ボクがこうして裏切る事さえも、台本を書いた人物の想定内だったのだろうか?

突然の事に、ボクは足がすくむ

ようやく一歩を踏み出したばかりだって言うのに、ボクはここで終わるのだろうか?
結局ボクの人生は大人の都合に振り回されるしかなのだろうか……



ボクは―――


1、幸運判定
2、精神判定

安価↓1

1


>>616採用:1



ボクはきっと、その程度の人生だったんだろう

無意味と知りながら、ボクはその身を丸めて身を守った



幸運判定
00-95で発生

直下コンマ


コンマ判定:53



イベント選択

1、傍に寄り添う者
2、闇を切り裂く音無き音
3、無敵のヒーロー…?

安価↓3までで最もコンマの高いものを採用

1


>>622採用:1


フッ…と光が消える

そこには予想していた衝撃も、痛みも何もなかった
ただボクを優しく包み込み、体を持ち上げる

日和「安心してください。奏様の傍には日和が居りますよ」

奏「日和ッ!?どうしてここに?」

日和「それは後で説明します。まずはこの窮地を脱しましょう」

ボクは目を開けて周囲を見渡す
ボクの体は日和に軽々とお姫様抱っこされていた

その周囲には日和の異能の影が、手のような形を持って円を描くように蠢いていた


それに対峙する相手は……


1、泥のような人形
2、死んだ目の青年

安価↓1


>>624採用:2、死んだ目の青年



死んだ目をした男だった

まるで生きているのかそうでないのか定かではない
その死んだ双眸は、ぼぅっとボク達を捕えている


男「見知った顔だ」

日和「もう二度と会うことも無いと思っていましたけれど。嫌な縁もあるモノです」

奏「知り合い?」

日和「はい、天海の者です」

奏「天海…となれば今回の任務の依頼主はアンチなのか?」

日和「…ッ!応戦します!絶対に前に出ないで下さいね!」


ボクの思案も他所に、異能者同士の戦いが幕を開けた


敵の設定決め安価


↓1名前


↓2コンマで異能者判定

0、1  レベル1
2、3  レベル2
4-6 レベル3

7-9 レベル4



名前:一条 夜咲(イチジョウ ヤサキ)
性別:男性

異能:レベル3


異能設定
安価↓3までで最もコンマの数値が高いものを採用 


名前:一条 夜咲
性別:男性

異能:レベル3『超音波』
体のあらゆる部分から音波を発することができる
口からの音波が最も安定する
また、音波を感知することもできる



来歴とか性格とか(今までの描写をあまり気にしなくて構いません)
安価↓3までをMIX

裏切り者として有名
かつて色々な組織は個人、家を裏切ってきた


>>635-636をMIX



夜咲「すぅ…」

夜咲が小さく息を吸う

日和「ッ!奏様!耳を塞いでください!!」

日和の指示通り耳を塞ぐ
その直後に体が異常に重くなり、喉の奥から吐き気が湧いてくる

微かに大気が震えていることを感じ取った

普通の人間ならば気が付かないような微細な振動
普段から使う事があるボクだからこそ分かる変化だ

超音波だ

それを理解したボクは―――


1、応戦した音波を相殺する
2、夜咲の音声を変更する
3、何もせずじっとしている

安価↓1

1


>>640採用:1


奏「すぅ……~~~~~~!」

より強い音波を吐き出し相殺する

夜咲「………?」

音がかき消されたことに気付いたのか、男は不思議そうに頭を傾げた

奏「日和!出来るだけサポートするから!!」

日和「ありがとうございます奏様!」

身動きが取れるようになった日和は相手がもう一度動き出す前に前進する

日和「妙に様子が依然と違いますが…どうでもいいことですッ!」

日和は男に目がけてハイキックを繰り出した


戦闘判定
6以上で成功
天傘直伝護身術 +2
??? +1

直下コンマ


コンマ判定:7+3成功


男は防御動作を取ることもできずに、ハイキックが首に直撃した
体はバランスを崩し倒れ、泡を吹いている


日和「ッ…!?…あの男にしてはいやにあっさり倒れましたね」

日和「これも私と奏様の共同作業の愛ゆえでしょうかね?」

奏「わ、分かんないけど…不気味なのは分かる」

日和「これ以上刺客が放たれても厄介です。一先ずは退散いたしましょう」

奏「うわっ!うわあああ!?」

ボクの体が日和に抱きかかえられたかと思えば、日和は突き破られたその窓から飛び降りる
空恐ろしい浮遊感を味わった後、影のクッションが衝撃を吸収する

月明かりに照らされた影を異能の影で繋ぎ、まるで胴上げをされているかのように運搬されながら帰った


家に帰ると、日和がコーヒーを一杯淹れてくれた
とても落ち着く、優しい味だった

心も頭も冷静になり、これでまともに思考が出来そうだ


奏「……で、日和。助けてくれたのは感謝してるけど、どうしてボクの居場所が分かったの?」

日和「愛です♪」

奏「……真面目に聞いてるんだけどな」

日和「私だって真面目ですよ。『ご主人様を完璧にお守りする機能』略してGPS(Goshuzinnsama Perfect Security)のおかげです」

奏「………つまり、ずっとボクの居場所は筒抜けだったって事?」

日和「はい♪」

2年間共に過ごした、ここに来て衝撃の真実だった
しかし、役に立ったのだから大目に見てあげるべき………なのだろうか?


何はともあれ、一つの謎は解決した


考えるべきことはいくらでもある


まずは……

1、甲斐アギトと空色北斗の会話について
2、ボクが下した決断について
3、今回の仕事について
4、自由安価

安価↓1

3


>>646採用:3、今回の仕事について



と、いう所で短いですが今日の更新はここまでです

どうにも最近は忙しくってキチンと時間を取れずに申し訳ないっす
明日は少し早い時間から再開するかもです


それではまた、お付き合いいただきありがとうございました


ちょっと早く更新するかと思ったがそんなことは無かった
そのうえ今日は更新お休みっす…

今まで音沙汰無くて申し訳ありませんでした!!
漸く時間が取れたので、明日から更新再開します


そろそろ再開です!



前回までのあらすじ
メイド、有能


奏「今回の仕事の事を考えないとね…」

今回の仕事にはいくつも不可解な点がある


そもそもの『仕事の内容』
演劇の台本のような、これから起こることがあらかじめ記された指令書
その中で、一言『仕方ありませんよ』と言わせること

明確な目的が全く見えてこない、不気味な命令だ
だからこそボクは直感に従い任務を放棄したんだけれど、この言葉をいう事で果たしてどんな結果が待ち受けていたのだろうか?

次にこの『指令書』
決められた演目であるかのように現実の出来事を先に記していた
この指令書は一体どうやって作られたんだろう?

考えられる予想としてはやっぱり異能だろう

その次に『ボクを始末しようとした人物』
マイクの電源を切った瞬間に聞こえた何者かの声
ボクを監視していたかのような口ぶりだった

十中八九今回の仕事の依頼者だろうと予想が出来る
襲い掛かって来た刺客もこの人物の差し金だろう
日和はその人物を知っていたようだけど、様子に違和を感じていたようだった


考えるべきことは多分この三つだ

奏「何処から解決していこうか…?」

日和「………あの、一つ宜しいですか奏様」

奏「どうしたの?」

日和「その…奏様はこの厄介ごとに首をツッコむ御積もりなのですか?」

奏「うん。そのつもりだけど」

日和「ご主人様の決定であれば、日和も余計な口を挟むつもりはありません。ですが、らしくないなと思いまして」

奏「…?」

日和「いつものご主人様であれば、こういった危険な事を徹底して避ける傾向にあると思います」

奏「……あれ?確かに…」


日和に指摘されてふと気が付く
確かに不明瞭な事が多い依頼だ
しかし、これほどではなくとも秘匿性の高い怪しい依頼なんていくらでも受けてきたじゃないか

それとこれに違いなどないはずだ


日和「私としましては、ご主人様の御身が一番と考えています」

日和「天海…つまり天雲の息がかかっている事件である以上、そう簡単に解決できるものではありません」

日和「今こうして新たな刺客が来て居ない事を考えると、ここで手を引けば間に合うかもしれません」

日和「それでも奏様は、今回の事件の全容を明らかにしたいと考えていますか?」

奏「…………」


今の今まで考えてなかった
そうか、逃げてもいいんだ

いつもいつも嫌な事から目を逸らして生きてきた

ほんの少し、前を向いてしまったから後ろが見えなくなっていた
勇気を出したその行動で、確かに少し変われていたのかもしれない


………さて、どうしようか?


1、いつも通りに、ささやかな幸せのために見なかったことにしよう
2、もう逃げない、自分で決めた選択に責任を持つ

安価↓1

2


>>658採用:2


今日初めて、新たに理解したことがある

自分で考え、自分で未来を選んだ
その先にはたくさんの困難が待ち受けていることが分かった

ボクはその困難に立ち向かおうと無意識に考えていた
それは今までボクが知らなかった、持っていなかったものだ

多分、これが勇気というモノなんだろう

勇気が未来の恐怖と絶望を、知らず知らずに克服していたんだ

だから―――

奏「もう逃げないよ。なんだか気分がいいんだ」

奏「今までのボクとは違うっていう確かな感覚があるんだ」

奏「今回の事件の事、解き明かしたい」

しっかりと日和の眼を見て、そう宣言した
日和は少しだけ驚いたように目を開いて、いつものように優しく微笑んだ

日和「奏様がそう仰るなら。日和はいつでもお傍に居ますよ」


逃げないを選択したため成長判定

精神力が反転:3→7  心に勇気が灯った


成長判定
1-3  特になし
4-6  より広く
7-9  深く鋭く
0    ???
精神 +2

直下コンマ


コンマ判定:3+2 より広く



異能:レベル4『変音』
音を生み、音を変える異能
声などの音を変更する。物を擦りあわせる音を人の喋り声に変えるなど応用は多岐にわたる
効果範囲は自らの把握した音全て
副作用として常人より聴覚が発達し、細かな音などを聞き取れるようになる



奏「……異能が…成長している?」

ティーカップをスプーンでカチャカチャと回して音を鳴らす
その音を意識的に把握できる

この、音が自分のモノになる感覚は今までの人の声に感じていたモノと同じだ

試しにスプーンでカップの縁を叩く
『ボ~ン』と重苦しい鐘のような音が鳴る

どうやら声以外の音も変化させることができるようになったようだ


奏「異能レベルは精神に強く影響されるって聞いたことがある」

奏「ボクが勇気を持って一歩踏み出して成長したから、異能もそれに影響された……ってことなのかな」

奏「……これで今まで以上に色々なことができるようになった。頑張らないと」


突然の変化に戸惑いもあったけれど、受け入れて前に進むことにした


プロフィール改定



名前:音田 奏(オンダ カナデ)
性別:男性
年齢:14歳

身体能力:4 年相応
精神力:3  年相応に不安定 → 7 心に確かな勇気の火が灯る
運命力:95 類い稀なる豪運



艶のある黒髪、大きな黒目の中性的な容姿の愛らしい少年
身長は155cm
貧困な家庭に生まれ、家計難に陥った両親に奴隷として売られる
大富豪の性処理として買われ幼少期を過ごす
しかし、主人の失脚を境に幸運に恵まれ現在では幸せな生活をしている
幸運の一例をあげると、失脚した主人が家を捨てて逃走した際に置き去りにされていた多額の金を手にし屋敷を脱出
その金を元に闇市のギャンブルで一財産儲ける
その一連の流れの中で一度も誰かに目を杖られることが無かった事実。などなど
偶々行った病院で異能者であることが判明し、そのまま医師にヒーローの仕事を紹介してもらって現在に至る
経験上、大人の男がこの世の何より嫌い




異能:レベル2【変声】
あらゆる生物の声を自由に操作することが可能
自分と自分が声をかけた人物、1秒以上目を合わせた生物の声を操ることができる
同時に一人まで効果を発揮する
声色ではなく『音声』を操作する

↓成長後

異能:レベル4【変音】
音を生み、音を変える異能
声などの音を変更する。物を擦りあわせる音を人の喋り声に変えるなど応用は多岐にわたる
効果範囲は自らの把握した音全て
副作用として常人より聴覚が発達し、細かな音などを聞き取れるようになる




【特殊技能】


『豪運』
ここぞという時に絶対に外さない運を持つ
ピンチをチャンスに変える


『確かな勇気』
勇気は絶望を吹き飛ばす
追い詰められたその時、心は真価を見せる


奏「気を取り直して次の事を考えよう」

奏「この事件の根本はやっぱり『依頼者』にあると思う」

奏「依頼者が誰であるかを突き止めることで、全ての謎が解明されるはずだ」

奏「どうすれば突き止められるだろうか?」



1、地下に向かいボスに聞く
2、明日、地下の皆にこの事を話す
3、幸運判定

安価↓1

3


>>666採用:3


幸運判定
00-95で発生

直下コンマ


コンマ判定:71 成功


さらに判定
0-4 ???
5-9 ???

直下コンマ


コンマ判定:5  最悪の回避



これからどうするべきか考えていた時、電話が鳴る
相手は『ボス』からだった

奏「もしもし」

冷汗をかきながら電話に出る
確実に仕事の話だ、あちらからかけてきたという事はボクの処分の話だろうか?

嫌な事ばかりが脳裏に続々と湧き出る

永嗣「奏君」

奏「…はい」

永嗣「話したいことがある。直ぐに来なさい」

奏「はい」

返事と共に直ぐに通話が切れた
……怖いけれど、行くしかないだろう

ボクは地下に向かった


永嗣「………」

奏「………」

重苦しい緊迫した空気が流れる

無事に地下に到着したものの、ヒーロー協会本部は大騒動に発展していた
甲斐アギトの脱走の事だろう

その脱走事件の結末を眺めていた身としては気が気ではない

永嗣「奏君」

沈黙を破ったのはボスだった

永嗣「キミは任務を放棄したね?」

奏「…はい。そうするべきだと思ったので」

相手は大人の男
そんな人に睨まれながらも、自分の決意を声に出した

永嗣「この場合はなんというべきなのだろうね?キミは多くの期待を裏切った裏切り者だ」

永嗣「キミが取った行動でどんなことが起こったか理解できるか?」

ボスがボクを追い立てる様に問い詰める


永嗣「まったく…やってくれたものだ」

永嗣「だが一応、ヒーロー側に立つ者として言っておこうか」


永嗣「キミは正しい選択をした。よくやったよ」


奏「…え?」

ボスに告げられた言葉は予想とは違うモノだった
ボクに贈られた言葉は罵倒も叱責も無く、賛辞であった

奏「あ、あの…処分……とかは?」

永嗣「特に無い。君の行動のおかげで空色北斗は生きていたのだからね」

奏「そうで…え!?」

永嗣「何を驚く?キミが司令通り動いていれば予定通り空色北斗は死んでいた。知らなかったのか?」

奏「し、知りませんでした……」

驚愕の事実だった
ボクは危うくNO.1ヒーローを殺してしまう所だったようだ

しかし、逆にボスはどうしてそうなることを知っていたのだろうか?


永嗣「やれやれ、これで空色北斗は死に損なったか…」

奏「そ、その言い方だと北斗さんに死んで欲しかったように聞えますよ?」

永嗣「そう言っている」

奏「えぇ!?でもさっきよくやったって…」

永嗣「『ヒーロー側に立つ人間として』だよ。私としてはとっとと死んで研究材料にしたかったのだがね」

永嗣「どのみち私はキミに『よくやった』と褒めた事だろうね。クックック…」

奏「あ、あはは…」

ボスの冗談は全く笑えなかった
………冗談だという事にしておこう


ボスは今回の件について知っているようだ
聞けるだけ聞いておこう



1、仕事の内容について
2、依頼者について
3、甲斐アギトと空色北斗について
4、自由安価

安価↓1

2


>>675採用:2



奏「今回の件の依頼者は誰だったんですか?」

永嗣「萩原俊太(ハギワラ シュンタ)。まだ32と若いが、最近幹部に上り詰めた男だ」

奏「…つまり、ヒーロー協会の人間ですよね?」

永嗣「そうだ。君はどう見る?」

奏「……以前、幹部の会議室から大きな声が聞こえてきたんです『空色北斗を失脚させる』と」

奏「なので、本部内の幹部がそういった依頼を出してきても不思議ではない。そう思います」

永嗣「ふむ。悪くはない…が、読みが甘いね」

奏「と、いうと?」

永嗣「この依頼にはどんなメリットがあるか考えたことがあるか?」

奏「分かりません。ですが、何かしらのメリットがあるから依頼を出したはずです」

永嗣「そう、そうだ。その考えが正しい」

永嗣「この依頼には明確なメリットが存在する。『空色北斗の失脚』というメリットがね」

つい先ほど説明したことを繰り返し言われる
まだボクには意味が理解できていないのかもしれない


奏「だから、北斗さんの失脚が幹部にとって何らかのメリットになりえるんですよね?」

永嗣「君は事実を信じすぎている節があるね。発想を逆転してみたまえ」

永嗣「『幹部にとってメリットがあるから依頼をした』ではなく『空色北斗が失脚した。それ自体がメリットになる存在』が居るとすれば?」

奏「…アンチ」

永嗣「そう、私はこの依頼主はアンチではないかと踏んでいる。ヒーロー協会にとって空色北斗を失脚させるメリットは何もないからね」

奏「じゃあ依頼主であるその幹部の人は、アンチからのスパイという事なんでしょうか?」

永嗣「そこまではまだハッキリしていない」

永嗣「成り代わり、洗脳、幻覚、偽装。異能者が噛んでいると仮定すればその可能性は多岐にわたる」

永嗣「が、アンチが何らかの手を加えていることは想像に難くない」

奏「なるほど……」

ボスはボクなんかよりよほど深い見識を持っていた
確かに、アンチの仕業と考えた方が自然だ
事実を信じすぎる…か、難しいな


他にも聞いてみようか?

1、仕事の内容について
2、依頼者を特定する方法
3、甲斐アギトと空色北斗について
4、自由安価

安価↓1

1


>>679採用:1


奏「仕事の内容についてなんですが…」

永嗣「改めて説明するなら、空色北斗を失脚させるための依頼だった」

奏「どんな事をするかは知っているんですか?」

永嗣「具体的には知らないが、空色北斗の精神を破壊する方法が命じられているはずだろう?」

どうやらボスは台本の内容までは知らないらしい


永嗣「異能は精神によってその力を発揮する。精神の揺らぎが異能の揺らぎ」

永嗣「精神が崩壊してしまったとき、異能は暴走してしまう」

永嗣「レベル5ともなれば、一度の挫折で容易く崩壊してしまうだろう」

もっともらしく語るボスに違和感を覚える
どうしてボスは異能についてこれほど詳しいのだろうか?

異能研究はまだ発展段階で、様々な事が謎に包まれていたはずだ


奏「……」


1、異能について詳しく聞く
2、今は関係ない。台本をボスに見せる

安価↓1

1


>>681採用:1


奏「ボスは異能について詳しいんですね」

永嗣「ふむ、まあそれなりに…ね」

奏「何処でその知識を身に着けてきたんですか?」

永嗣「………ふふ、君は存外鋭いな」

降参だと言うように諸手をあげる
顔には楽し気な笑みを浮かべていた

永嗣「異能研究の大手は天雲財閥。そう、私もかつて天雲の研究機関に身を置く存在だったよ」

永嗣「今はこうしてここに居るがね。こんな地下に軟禁されている理由の一つに、私の異能者の知識が欲しがっているのさ」

永嗣「納得したかい?」

奏「……はい。ボスならなんら不思議な話でもありません」

永嗣「私が裏切り者だとは思わないのかい?」

永嗣「さっき話したように今回の一件は確実にアンチが絡んでいる。その元アンチの私がスパイで裏工作を計っていたという可能性は高いぞ」

奏「そう言っている時点でボスは白だと思います。そもそも、ボスは組織の転覆だとか陰謀だとかに興味がなさそうです」

永嗣「クックック…確かにな。私は権力だとかというモノにはとんと興味がないね」

『やはり君は面白い』と、ボスは笑った


永嗣「異能のレベルについて聞きたいことがあれば、次の機会にでも答えよう」

永嗣「簡単に言っておくと、レベル5は非常に危うい存在だという事だけは知っておくと言い」



そろそろ話を戻そうか
何を聞こう?

1、レベル5について
2、依頼者を特定する方法
3、甲斐アギトと空色北斗について
4、自由安価

安価↓1

3


>>684採用:3



奏「甲斐アギトと空色北斗の事について聞きたいんですけど」

奏「まずどうやって甲斐アギトは脱走に成功したんですか?」

奏「あの甲斐アギトであろうとこのヒーロー協会本部の強固な警備を突破できるとは思えません」

永嗣「私も同じ感想だ」

奏「…というと、ボスでもまだ分かっていないんですね」

永嗣「だが、いくつか予想は立てられるだろう」

永嗣「まず今回の件の事を考えると、あの脱走が偶然ではないだろうね」

あの台本がある時点で、確実に偶然ではないだろう

永嗣「そこで考えるべきは、脱走させる隙があったか否かだ」

永嗣「今日、もしくは昨日。いつもとは違う何かがあったはずだ。分かるかい?」

奏「………」


コンマ判定
5以上で閃く

直下コンマ


コンマ判定:2 失敗


奏「………分かりません」

永嗣「そうか、なら私にも分からない」

永嗣「何せ私はずっとこの地下に居たのでね、あの甲斐アギトに接触した人物が居たかどうかなんて把握していない」

永嗣「だが、確実に脱走を援助した人間が居るはずだろうね」

永嗣「直接的か、間接的かは別としてね」

奏「なるほど」


甲斐アギトの脱走を援助した人物
この人物を突き止めることが、大きな手掛かりになりそうだ



永嗣「さて、もうそろそろいいかね?これから忙しくなるのでね」

奏「え?ああ…もうそんな時間ですか」

時計を確認すると午前3時を回っていた

永嗣「今回の件の後処理と調査、それに今回の件が明るみに出れば確実に『P.A.I.N』が動き出す」

永嗣「どういう報道がされるかは分からないけれど、甲斐アギトは死んだ。それだけは確固とした事実だからね」

永嗣「緊張状態が爆発して、暴動が起きても不思議でもないよ」

永嗣「とまあ、私はやる事が山積みだ。帰るか寝るかして私の仕事を邪魔しないでくれたまえ」

奏「あ、はい。ありがとうございました」


ボクは慌てて頭を下げ、地下を去った


一先ずボスは今回の件の黒幕ではなさそうだと思えた
処分の心配もなさそうだし、思ったより未来は明るいものだった


※六日目終了


七日目 昼


随分と遅い時間に寝たせいか、昼頃に起床する
朝食代わりの昼食を食べながらテレビをつける

案の定、緊急速報と称して甲斐アギトと空色北斗の事を報道していた

もうすでに『P.A.I.N』達による小さな暴動が起き始めているらしい

この神戸には続々とトップヒーローが招集されて、『P.A.I.N』鎮圧に向けて動き出しているようだ


そのニュースの中で気になったことは、空色北斗が一時的にヒーロー活動を休止するという話だ
甲斐アギトとの戦いで負傷をしていた形跡はない
となると、精神的なモノなのだろうか?

とにかく、今回の『P.A.I.N』鎮圧作戦に参加できるかどうかわからないという状況らしい
そのことが人々に多大な不安を煽っているようだ

あの現場を知らない人から見れば、甲斐アギトを殺害したのはあの不殺のヒーロー空色北斗だ
しかもその無敵のヒーローが一度捕えた犯罪者に逃げられ、その人物に活動休止にまで追い込まれた
そういった印象を抱いても仕方のない状況だ

そう、ヒーロー協会に対して不安の声が上がっているのだ

今回の件がアンチが絡んでいるとすれば、空色北斗の失脚とまではいかなくても信頼を貶めた時点で、あちらの思う壺なのかもしれない


ボクはその『P.A.I.N』鎮圧に参加することは無いだろう


その代わり、ボクには今回の件の黒幕を暴き出すという目的がある

さて、まずは何をしようか?



1、甲斐アギトの脱走を援助した人物を洗い出す
2、あの仕事の依頼主を特定する方法を考える
3、自分が居た現場に向かってみる
4、自由安価

安価↓1

2


>>691採用:2


今日の更新はここまでです


今回の最終目的は『黒幕の看破』となりました
普通のヒーロールートでは『P.A.I.Nの鎮圧』が目的になると思いますね
奏君はちょっと特殊なヒーロールートでしたので致し方なしです

甲斐アギトさんは何処までも徹底して咬ませ犬ですが、物語を大きく動かす最重要人物もありました
やっぱすげぇぜ!アギトさん!!


『P.A.I.N』鎮圧の模様は要望があれば書こうかなと思います



それではまた、お付き合いいただきありがとうございました

二週目にまたヒーロールートを選べば別の角度からでも見れるんよね


>>695
勿論別の立場から状況が見れますよ!


そろそろ再開っす


あの仕事の依頼主を特定する方法を考えよう


どんな方法があるだろうか?

手がかりとしてはこの台本
未来予知とか、行動を支配するような異能だと思う

次にボクに『失望した』と言ったあの声
ボクと知り合いか、もしくは一方的に知られているのか?
何にせよ、ボクの事を知っている人物だ

そういえばあの時襲って来た刺客、天雲の手先らしい
アンチの仕業であることにはほとんど間違いないだろう
萩原俊太とかいうウチの幹部と、日和が言っていた様子がおかしい刺客の事を考えると、『洗脳』のような異能な気はするけど



さて……



1、台本の事を調べる
2、声から本人を特定してみる
3、洗脳や支配と言った異能の持ち主から洗い出す
4、人探しが得意な人を頼る
5、自由安価

安価↓1


>>698採用:2



あの声か…機械越しではあったけど、変声機をつかっている様子はなかった

記憶頼りにはなるけれど、声と音を操る異能使いとして何とか特定してみよう…



閃き判定
6以上で成功
記憶 -1
異能 +2

直下コンマ


コンマ判定:3+1 失敗


…………聞き覚えがある声だと思うんだけど、誰の声かまでは特定できないな

あの声の録音とかがあれば特定の精度があげられそうだけど…
そういえばボスが事件があった場所の後処理と調査をすると言っていた

あの時の音声が残っているかもしれないな

あとで行ってみてもいいかもしれない


特に仕事も無いので早めに晩ご飯を日和と食べる
今日は日和の手打ちうどんだった


日和「調査の算段は付きましたか?」

奏「うん、あの事件の依頼主をまず突き止めようと思ってね」

日和「流石は奏様、手堅い手ですね」

日和「…あ、そう言えばあの依頼の報酬はおいくらでしたか?」

奏「前払いで200万だったはずだよ」

日和「そんなお金をポンと出せるという事は、金銭的に裕福な人ではないでしょうか?」

奏「そっかそっか…そういう特定方法もあったね。となると、依頼者はますます天雲関係者と考えてよさそうだね」


日和と話しながら夕食を終える


さて………


1、台本の事を調べる
2、一度現場に向かってみる
3、洗脳や支配と言った異能の持ち主から洗い出す
4、人探しが得意な人を頼る
5、自由安価

安価↓1


>>703採用:2



早速調査が始まっているであろう現場に向かった
一人では危ないという事で、日和も着いて来てくれた


幸運判定
00-95で発生

直下コンマ


コンマ判定:90 成功


実際に現場に赴き、その悍ましい参上にゾッとした

真っ黒に塗り固められた無数の泥人形が部屋中を歩いていたのだ
まるであの時ボスの研究室で見たような…いや、それそのものだった

日和が戦闘態勢を取った瞬間

永嗣「やあ奏君。こんな場所にどんな用かね?」

そのままにしてあったモニターにボスの顔が写される
それに反応して泥人形たちはいっせいにボスを見て固まる

奏「えっ?あの、ここの調査に協力しようと思って」

永嗣「そうか、熱心なのはいいことだ」

奏「それよりこの泥人形?はボスの…」

永嗣「そう、私の異能さ。君の助言に従って愛を練り込んで作って見たんだが大成功だったよ。まだ試作品だが優秀な手足だ」

永嗣「私の指示なしに人を襲うことは滅多にないので安心したまえ」

奏「そ、それはまあ分かりましたけど。あ、愛を練り込むとは?」

永嗣「あの空色北斗の髪の毛を混ぜたのさ」

奏「な、なるほど」

そんな無茶な説明で納得してしまうのも、空色北斗さんの凄いところではないだろうか


取り敢えず、現状調査中だという事らしい


奏「あの、ボス。ここを監視していた形跡とかって残っていませんか?」

永嗣「この場所の監視カメラの記録か?ふむ、確かにあるにはあるな」

奏「依頼主と思われる人間がボクを監視していたんです」

奏「ボクが仕事を放棄した途端、通信と共に刺客を放って来ました。刺客は天雲の手の者でした」

永嗣「ふむ…ふむふむ。それが事実なら大事な証拠になるな」

奏「そこでボクはその時入ってきた通信音声から、本人を特定しようと思っているんですけど。音声記録を見せてもらえませんか?」

永嗣「いいだろう、少し待ちたまえ。―――――よし、これでいいか?」

暫くしてモニターに新たな窓が映し出させる
その新たな窓にはボクの背中が写っていた
時刻は昨日の深夜だ

真剣に聞き入り、その声が来るまで待ち構えた………



コンマ判定
6以上で成功
異能   +2
音声記録+1

直下コンマ


コンマ判定:8+3 成功



――――!

改めて聞いてみればその声の主がハッキリと思い浮かんだ
間違いない


奏「分かりました」

永嗣「言ってみてくれ」

奏「……天雲雲雀。彼に間違いありません」

永嗣「ふむ、そう来たか」

奏「天雲雲雀は異能者らしいとは聞いたことはあるんですが、洗脳のようなことができる異能なんでしょうか?」

奏「もし違うならまた別に裏があったりしそうなんですが…」

永嗣「………」



知識判定
7以上で成功

↓1齋藤永嗣の判定
元・天雲研究員 +1

↓2天海日和
元・天海 +1


永嗣判定:3+1 失敗
日和判定:6+1 成功


永嗣「私はただの一研究位だったのでね、彼についてはよく知らない」

奏「そうですか…」

手詰まりか
そう思ったが

日和「……可能かと思います」

日和がそう答えた

奏「あの男の異能を知ってるの?」

日和「はい。天海は情報を扱う信頼を必要とされる部門ですので、天雲雲雀の前である命令を受けるんです。『私を殺せ』とそう命じられました」

奏「は?」

日和「そう命令されて、それだけです。それで暗殺対策が完成する異能なのです」

日和「異能『反骨』。命令に逆らわせる異能だと言っていました」


日和「これを応用すれば、洗脳のような使い方が可能かと」

奏「命令に逆らってしまう異能か……お手柄だよ日和!」

日和「奏様のお役に立てて光栄でございます」

ボスの前だからか日和は気取っているのか変態的な発言はしてこなかった
あとでいっぱい褒めてあげよう


永嗣「ふむ…天雲雲雀か。彼が引き金なら色々と辻褄が合う」

永嗣「甲斐アギトの脱走した前日、天雲雲雀が訪ねて来ていただろう?」

奏「ああ…そんな事もありましたね」

正直その日はあの男との会話の心労が酷過ぎて、何をしていたとか気にしていなかった

永嗣「詳しくは知らないが、あの時あの男は『甲斐アギトと面会』をしにやって来たらしい」

永嗣「何を話していたか定かではないが、脱走の手引きをしたとなればそこが最も怪しいだろう」

永嗣「そしてその異能、発動条件が命令する事ならば。牢屋番の警備員に何かしらの命令をしていたのだろうね」


永嗣「君に放たれた刺客も天雲の者ならば、天雲雲雀が手回ししていたという事実と当てはめても矛盾はない」

奏「そうなると、ますます天雲雲雀が今回の黒幕と見て間違いなさそうですね」

永嗣「最も可能性が高い事には違いないだろうね」

永嗣「だが、一つ問いをいいかい?」

奏「はい、なんでしょうか?」

永嗣「黒幕は確かに暴けそうだ。しかし、それでどうするつもりなんだ?」

永嗣「天雲雲雀を殺すか?例えそうした所でどうなるんだ?」

永嗣「君は黒幕を暴いたところでどうしたいんだ?」

永嗣「聞いておきたいと思ってね」

奏「………そう…ですね」


謎ばかりのこの事件の事を知りたいと思ったのが発端だ
そして、この謎が解けかかっている

天雲雲雀

ボクを、空色北斗を罠に嵌めようとしていた彼をボクはどうしたいんだろう?


1、どんな意図をもって、何をしようとしていたのかを知りたい
2、ヒーローとして罪人には罰を与えるべきだと思う
3、自由安価

安価↓3までで最もコンマの数値が高いものを採用

2


>>715採用:2



奏「……どんな意図があったにせよ、あの行いには悪意しか感じませんでした」

奏「許されるべき行為ではないと、ボクは思っています」

永嗣「天雲雲雀を罰するつもりだと?」

奏「はい」

永嗣「……雰囲気が変わったな、奏君。不思議だ、以前までのキミなら決して言わない言葉だ」

奏「ボクもそう思います」

永嗣「クククッ…。まあ、私は何も言わないさ」

永嗣「だがな、あの天雲雲雀はそう簡単な男ではない。君の予想など遥かに超えた次元でモノを考えている」

永嗣「それでも罪は罪だと言うのなら、君の言う罰というモノが何なのか興味がある」

ボスのこういった諄い言い回しにも少し慣れてきた
これはボスなりに応援してくれているのだろう



永嗣「それで、これからどうする?天雲本部に乗り込むか?」

奏「えっ?」

永嗣「なんだ、おかしなことを言っているか?」

奏「ま、まぁ確かに会わないと真相を確かめることすらできませんし。会わないといけないんでしょうけど」

永嗣「新君の異能を使えば本部に侵入するだけなら容易いぞ。どうする?」

奏「え、えっと今すぐですか!?」

永嗣「君が決めろ。君がすると言ったことだ」

奏「えっと……」


1、今すぐ
2、明日にする

安価↓1

1


>>720採用:1


奏「じゃあ、今すぐにします」

永嗣「……君は本当に変わったな。別人になったのかい?」

奏「勢いのままに行動する勇気が出来たんだと思います」

永嗣「そうか、まあ勢いは大事だ」

永嗣「人間はいつだって欲求を満たすために生きている。やりたいことをしたいと思ったときにしなければ生きているとは言えない。私の持論だがね」

永嗣「それでは新君に手伝ってもらうとしよう。指定した場所に向かってくれたまえ」


そうしてボスに指定された場所は、天雲本部が良く見えるビルの屋上だった
新さんの異能の適応範囲は視界の中、そこからならば容易く天雲雲雀のいる最上階にたどり着けるだろう

ボクはその場を離れ、日和の影を使ってそのビルに向かった


新「………お前、マジで言ってる?」

奏「はい」

新「……ボスに脅されたりしてねぇか?」

奏「いいえ」

新「じゃあボスに天雲雲雀の死体持ち帰ってとか言われなかったか?」

奏「言われましたね」

新「やっぱボスの命令じゃねーか!」

奏「いえいえ、ボクの意思です。ボクの我儘で天雲雲雀に会いに行くんです」

新「マジかお前…ちょっとついてけねーけど、まあやりたいってんなら付き合うぜ」

新さんは全く状況についていけていなかったが、取り敢えず手伝ってはくれるようだ





新「んで、どのフロアに飛ばせばいいんだ?」

日和「最上階でお願いします。そこが天雲雲雀の仕事部屋です」

新「あいよ……って、誰この人?」

奏「ボクの召使です」

日和「奏様の忠実なる僕、天海日和です」

新「……ああ、ついてけねーわ…」

新さんはもういいやと考えるのをやめ、するべきことに集中する
標準を合わせるように指を使って、位置を交換する先を観測している

新「……なんか部屋の中に目印になる物とか無いか?位置も分かるならそれが理想だ」

日和「では、ここから見える観葉植物なんてどうでしょう?」

新「ん~……ああ見えた…よし、じゃあ今から位置交換するけど言い残すことはねぇか?」

奏「言い残したこと…ですか……」


特に無い気もするけど……


1、日和に
2、新さんに
3、特に無い

安価↓1


>>724採用:2


奏「それじゃあ、危なくなったら外に飛び降りるので何とかして安全に着地させてください」

新「マジかよ!?じゃあ俺ここで張り込んどかないといけねーの!?」

奏「行きます」

新「ああクソッ!展開がジェットコースター過ぎるんだよ!!行って来い!!」


半ばやけくそ気味ながら新さんは異能を使った
しかし、こうやってボクの我儘を受け入れてくれているのは、やはり新さんの優しさゆえだろう


さて、ここからは何が起きるか分からない
心しておこう


ボクが再び目を開けた時、目の前には……


今日の更新はここまでです

次回更新でうまくいけば決着まで行くと思います


それではまた、お付き合いいただきありがとうございました


そろそろ再開です

今回は安価が少なめです


雲雀「やあ、来ると分かっていたよ」

突然の来訪であったにも拘らず、その男はニヤついた顔で此方に手を振る
『来ると分かっていた』と言うその心は仮面かそれとも……

奏「突然の来訪ですみません」

緊迫した状況に見合わず、ボクはつい挨拶をしてしまう
これも染みついた癖なんだろう

雲雀「それで、君は私にどんな用事かな?」

奏「単刀直入に伺います。貴方がボクの依頼者ですか?」

雲雀「そうだけど?」

奏「では、貴方が甲斐アギトの脱走を促し、空色北斗を失脚させようとした張本人で間違いありませんね」

雲雀「ああ、そうだよ」

男は事も無げに己の罪を受け入れた




雲雀「それで君は、そんな私をどうしたいと?」

奏「然るべき罰を受けてもらいたいです」

雲雀「なるほど、誰が私を裁く?キミか?」

奏「それは…カワサキに判断を委ねます。ウチとアナタ方は浅からぬ因縁があるでしょうし、ボクの一存では決められません」

雲雀「おいおいおい、ここまで大胆に進入してきてそんな事を言うのかい?」

奏「アナタを捕まえて本部に連行するくらいならできると思いますけど」

雲雀「……はぁ…つくづく拍子抜けだよ。奏君」

天雲雲雀がボクの名を呼ぶ
何故名前を?などという疑問など今はどうだっていい

ボスはこの男の事を、『違う次元でモノを考えている』と評していた
確かにその通りなのか、ボクとこの男は見ているモノが全く別のような気がする


雲雀「君は一体どうしたんだい?君は『傍観者』だったじゃないか」

奏「それはもう辞めました」

雲雀「勇気を出して一歩踏み出して変われたから、正義の味方になる。とそういう事か?」

奏「…はい。愛ある秩序こそが正義だと、ボクは思っていますから」

雲雀「カワサキが正義だと?そうじゃないことはキミが身に染みて分かっているだろう?」

奏「確かにボクの信じる正義はカワサキにありますが、『カワサキが正義』では無いというのも分かります。カワサキは秩序の守護者です」

奏「ボクの信じる正義は空色北斗です。だからこそ、アナタのしようとしたことが許せない」

雲雀「そうかそうか、いや安心したよ。平等な君までもカワサキの秩序贔屓になってしまったかと思ったよ」

雲雀「しかし、君はそんなに空色北斗のファンだったのかい?」

奏「いえ、ファンというほどではありません。あの人が居るだけでボクもみんなも安心します。だから、死んで欲しくないだけです」

雲雀「ふ~ん…そうか、キミの言い分はよく分かったよ」

天雲雲雀はそう言って背を向けた
二人きりの空間で、敵であるボクに平然と背を向けている
問答無用で襲い掛かってもよかったかもしれないが、ボクは何故かそうする気が起きなかった


雲雀「私を捕まえて罪を償わせる。君の好きにするといい」

雲雀「だがその前に、少し話をしようか」

ボクは少し身構える
この男に命令させてはいけない
そう考えながら、次の一言を待った

雲雀「君は神を信じるか?」

雲雀「おっと、勘違いするなよ。『私が神だ!』などという安っぽい前振りなんかじゃあない。君の教養を問うているんだ」

奏「……いいえ」

質問の真意はつかめなかったが、一応は本心を答えた
今までの人生の中で神の存在なんて信じたことが無い。ボクは大人の我儘で不幸に落ち、その中で何とか幸運を拾い上げて生きてきたのだから。そこに神の介入を感じた事なんてない

雲雀「神頼みとかしないかい?」

奏「したことありません。願ったところで、叶うモノなんてありませんし」

雲雀「うんうん、そういう考え方も確かにある」

天雲雲雀は嬉しそうに大きく頷く


雲雀「私も神を信じていなかったが、神とはどういう物だろうと考えたんだ」

雲雀「多くの人は言う『どうかお願いします』と神に祈りを捧げる」

雲雀「そんな事をして未来が変わるわけも無い。しかもその内容は、己の身勝手な欲望やわがままで都合のいいものばかりだ」

雲雀「そんな怠惰を神が許容するはずもないだろう。清貧こそと聖書にも書いてある」

雲雀「と、なれば。本当に人が求めているのは『狡』を助長する悪魔なのではないだろうか?」

雲雀「人に苦難という試練を神は与える。人に近道という怠惰を悪魔は与える」

雲雀「どちらが善で、どちらが悪で、どちらが正しく、どちらが過ちなんだろうか?」

天雲雲雀はボクに問う
神も悪魔も居ないのだから、どうでもいいとしかボクは思わなかった


雲雀「もし、常に正しき道を選べる異能があるとしたら。それは悪魔の力か?それとも神の力か?」

雲雀「もし、常に誤った道を選ばせる力があったとして、その苦難は神が与えし試練というのか?それとも悪魔の破滅への誘いか?」


雲雀「そしてもし、そのどちらも可能な人間が居れば。そいつは神か?それとも悪魔か?」


そう言って天雲雲雀はニヤリと大きく口を歪めた
まさか、日和の言っていた情報は間違いで別の異能を持っているとでもいうのだろうか?

雲雀「そう身構えなくていい。私の異能は『反骨』、君が知っている情報で確かだよ」

雲雀「全部が全部、夢物語。事実としてそんな人間は存在しないだろうね」

奏「ならどうしてそんな話をするんですか?」

雲雀「君だからだよ。こんな話、誰も耳を傾けてくれないからね」


雲雀「まあ、茶番はこれくらいにしておこうか」

雲雀「カワサキに死んで欲しい理由は『弱者を守るからだ』」
                                    カワサキ
雲雀「私はこんなに強く、必死で努力してきた男だ。なのに秩序は守ってくれはしない」

雲雀「秩序に安心し、強き者に寄生する。強くなることを諦めた人間なんて死ぬべきだ」

雲雀「そんな弱者を蔓延らせることを善しとするカワサキは最悪だ」

雲雀「世間は我らをアンチと呼ぶ。正しい呼び名だ、我々は正しく『アンチ人間』」

雲雀「弱者を守る偽善を善しとする空色北斗さえ居なければ、どれほど多くの人は生きることに必死になれるか考えたことはあるか?」

雲雀「我々は進化するべきだ。もっと強く、もっと洗練された人類へ」

雲雀「その為に、秩序なんて無用な蓋は必要ないのだよ」

その時初めて、目の前の男の本当の笑顔を見た
爛々と輝く獣のような目をして、男は大きく口の端を持ち上げていた


雲雀「君は不思議に思わなかったかい?私を守る従者の一人もこの部屋に居ない事に」

雲雀「始めて君と話をしたとき、私は一人で出歩いていたことを」


雲雀「答えは簡単。私は負けない自信があるからだ」

カツカツと男はこちらに歩み寄る

     アカ・マナフ
雲雀「『最悪の結末』」

男の手には、片方が欠けた二又の槍


雲雀「先に君の敗因を教えておこう。私と会話をしたことさ」


男は槍を振り上げた……



幸運判定
00-95で成功

直下コンマ

絶運


ボクはその男に向かって一歩踏み出した
いつかの模擬戦の時のように槍を持つ男の腕を引っ掴む
洗練された暗殺者のような鋭さの無いその動きは、ボクでも容易にとらえられた

雲雀「『そのまま手を――――ッ!!」

命令しようとしたその音を消す

奏「無駄です。アナタに命令はさせません」

奏「此処から先、どんな言葉であろうとも喋らせません。会話が敗因になるというのなら、その一切を禁じます」

ボクはそのまま拘束しようとし『その手を離した』

奏「なッ!?」

ニヤリと笑って雲雀はボクに槍を突き立てる
ボクはそれを間一髪で避けることができた


>>737幸運判定成功です



しかし、状況が悪化したことに変わりはない

確かに雲雀の命令をキャンセルしたはずだ
どんな命令もされていない

だと言うのに、行動しようとした意思に反して手を離したのだ

あのよく分からない二又の槍の所為だろうか?

それともあれほど啖呵を切っておいて別の異能者が潜んでいたのか?


天雲雲雀を睨みつける
雲雀は不敵な笑みを浮かべるだけだった

雲雀「不思議か?思うように体が動かないことが」

奏「…何をした?」

雲雀「私と会話をしていいのか?私としてはどちらでも構わないがな」

明らかに此方を挑発している


ボクが思うように動けないその理由は……


閃き判定
5以上で成功
幸運 +1

直下コンマ


コンマ判定:5+1 閃き


奏「……――ッ!まさか、あの時!」

ボクの脳裏に閃いたのはこの男との会話の記憶
初めて出会ったとき、その去り際にボクがヒーローであるという推論を披露したこの男
その時に言っていたのだ『私を捕えてみろ?殺してみろ?さぁ、やれよ』と言っていた

その後に冗談だと言っていたが、冗談ではなかったのだ
その命令が異能だったのだ

つまり、初対面の時点でこの男は保険をかけていたのだ

雲雀「言っただろう?私と会話をしたのが君の敗因だと」

奏「こんなに効力が続く異能だなんて…」

雲雀「私の異能は取り消せない。命令は一生だ」

雲雀「だから君の異能で私になんと言わせても、君は私を捕まえられないし、殺せない。」


奏「アナタ、立場やいう事に反して小賢しいですね」

雲雀「用意周到と言ってくれ」

雲雀「さて、どうする?諦めるか?帰るなら見送りをつけてやってもいい」

奏「…………」

雲雀「よく考えるといい。私を捕えることが本当に正しいかどうか。するべきかどうか」

雲雀「先にネタを明かしておく、私のこの槍は覚醒者の証さ。『常に誤った選択しか取れなくなる』それが私の槍の力だ」

雲雀「君はどうする?勢いのままにここまで来て、どうしようもないと悟った時、何をする?」

雲雀「一歩踏み出したばかりの小さな勇気で、君はどんな選択を取る?」

奏「………」


殺すことも、捕まえることも叶わない

ボクにとれる選択肢は………


1、敗北を認める
2、運に身を任せる

安価↓1

2運まかせこそ最強

>>743選択:2


一歩踏み出して、勇気を得た
一歩踏み出して、新たな異能に成長した

しかし、目の前の男の周到さにボクは手も足も出ない

ボクはそれほど成長できていないのかもしれない
いや、どれほど成長を重ねればこの男を追い越せるかの方が問題だ

結局は、ボクにはこれしかないんだろう


奏「一ついいですか?」

その言葉に反応して雲雀は口を開く

雲雀「『コインが表なら私は君に捕まえられる!コインが裏なら君は尻尾を巻いて逃げる!これは命令だ!!』」

雲雀は予想だにしない命令が自分の口から飛び出し、やられたという風に眉間に皺を寄せた
ボクは雲雀にコインを投げ渡した

ボクの意思に反して捕まえられないのなら
ボクの意思がに反骨するというのなら

奏「アナタを捕まえるのはボクの意思じゃない」

奏「そして、アナタを捕まえるかどうかを決めるというのもボクの意思じゃない」


奏「決定するのは天運だ!!」


運命のコインは宙に投げられた―――


幸運判定
0-4 裏
5-9 表

豪運 +3

直下コンマ


コンマ判定:8+3 表


天から降りたるコインは雲雀の掌の中に落ちた
その絵柄は表であった

この瞬間、運任せではあるが精神的にボクはこの男に勝利した

異能とは精神に左右される力
今、この瞬間だけはこの男の異能呪縛から逃れられるはずだ

その『かもしれない』に全てを賭けてボクは雲雀に向かって駆けだす


奏「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


大声を出し筋肉の緊張をほぐし、その音を変え強烈な衝撃波へと変化させた
その衝撃波は天雲雲雀の体を吹き飛ばし、巨大なガラス窓をぶち破る

宙に浮く天雲雲雀の体に体当たりのように抱き付き、ボクと雲雀はビルから跳び落ちる


雲雀「君は馬鹿か!?まさかそんな!?こんな未来見えていなかった…!」

奏「安心してください、一緒に死のうだなんて思っていませんから」

雲雀の異能の影響か、それとも自分の意思か
どちらか分からないけど、ボクは雲雀の体を突き放した

その瞬間、雲雀の体がその場から消失した

……いや、小石と入れ替わっていた

また、新さんには厄介な事を押し付けてしまったけど。大手柄だから許してほしい


そういえば、自分はこのままどうなるのだろうか?
さっぱり考えていなかった

ボクではなく天雲雲雀が隣に居て、新さんはもう一度異能を使う余裕がないだろう

となれば、どうすれば助かるだろうか?


………まあいいか、運に任せるとしよう

絶望的な状況ながら、ボクの心は落ち着いていた
ボクはとても運がいい

これだけは、自慢出来ることだったから


再びボクが目を開けた時、ボクは優しさに包まれていた

ボクを包んでいたのは無数の影の手だった

日和「目が覚めましたか奏様?」

奏「……ボク…生きてるよね?」

日和「当然です。奏様にはこの日和が傍に居りますから」

ボクの体は日和と共に影に運ばれていた


日和「ですが奏様、もう二度とあんな危険な事はお止めください」

奏「う~ん…気を付けるよ」

日和「ダメです!もう、怒っているのですよ?」

奏「うん。でも…偶にはボクの事も大目に見てよ。ね?」

日和「うう…ん…。仕方ありませんね。今回だけですよ?」

日和はボクを咎めるようにそう言った
何だかいつもと立場が逆だな。とちょっとだけ可笑しかった

影は運ぶ、ボク達を
帰るべき場所に向けて――――



<エピローグへ続く>


<エピローグ>




日和「奏様。もう…こんなにお洋服を汚して。駄目ですよ?」

奏「あはは、ごめんね」

あれから、ボクは日和に怒られることが多くなった

『子供みたいになった』と日和は言う
とすると、ボクは無意識のうちに、あるはずだった子供時代の喜びの時間を取り戻そうとしているのかもしれない

最近はいつもカナエさんのトレーニングに付き合っている
それなりに筋肉もついてきた気がする。―――相変わらず背は伸びないけど

今日は模擬戦をしてきた帰りだ

奇襲の対処というテーマだったため、普段着で模擬戦をしていた
日和が選んできたお気に入りの服がドロドロになっている

とにかくボクは、あの日以来強くなることに積極的だ


あの後、天雲雲雀は本部に連行された
そして後日、平然とした足取りで本部を去って行った

異能を一切使わず、交渉で逃げ延びたらしい
何処までも用意周到な男だ

しかし、一度でもあの男を本部に連行することができたという事実
それが本部のお偉方を大層喜ばせた

他のヒーローの士気高揚にもつながり、大きな犠牲も無く『P.A.I.N』制圧も完了した

あれ以来、天雲雲雀が動いているという情報は入ってこない
此方に接触してくることも無かった


本部に連れてきたとき、色々と取り調べを受けたようでいくつかの謎が判明した

 アカ・マナフ
『最悪の結末』という槍は、『覚醒者』としての能力らしい。つまり、異能【反骨】を発展させた力だ
異能者の到達点と言われる『覚醒者』にレベル1の異能者がたどり着いたことは、異能研究に大きな衝撃を与えただろう

そして更にあの男は万能の願望器の破片『神の眼』というモノを所持していたらしい
万能の願望器とやらも、神の眼とやらも詳しく知る機会は無かったが
つまるところ、天雲雲雀は『常に正しき道筋を知る。問いの答えを得る』事が出来ていたらしい

つまり、未来を知ることも容易だったという事だ
ならばあの台本を用意できた理由にも頷ける


なんにせよ、あの場でボクがほんの少しでも優位に立てていたのは奇跡的なほど、あの男の底は知れないという事だ


日和「……奏様?聞いていますか?」

奏「え?ああごめん…なんだっけ?」

日和「お風呂が沸いていますから、先に入って下さい。その後夕食にしましょう」

奏「そっかそっか、そうだったね。うん、わかったよ」

日和「最近の奏様、ボーっとしていることが多くありませんか?」

奏「……かもしれない」

そう、話は今に戻そう
ボクは今、悩みがあったのだ

強くなろうとした切欠と言ってもいい悩みだ


奏「ねぇ日和」

日和「どうかしましたか?」

奏「……今と昔、どっちのボクが好きかな?」


ボクは、今までとは違う意味で日和の事が好きになり始めていた


日和「今も昔も変わらず、この世の何より奏様を愛していますよ」

奏「そ、そっか……」

どうやら、まだまだ成長が足りないらしい
どうにかして日和にも頼られるような強い男になろうとはしているのだけれど、未だにカナエさんとの模擬戦で勝てたことは一度も無い
日和には尚更勝てないだろう

奏「ねえ日和」

日和「どうしました?」

奏「………やっぱりいいや」

日和「そうですか?何でも仰っていただいていいのですよ?私は奏様のメイドなんですから」

奏「……じゃあ、ずっとそばに居て」

日和「はい、常に日和は傍に居ますよ」

日和はいつものように笑顔でその言葉を返す


今は、まだこれでいい
いつの日か、日和よりも大きく、強くなったとき

その時は―――――




【落ちた影に寄り添う影】END


という事で第一部完でございます


後半駆け足だったのは、一重に私の構成力の甘さです
まだまだ研鑽が必要ですね

このまま二部といきたかったのですが、移転云々の事が気がかりなんですよね
性的な描写に関しては問題ないと思うのですが、暴力的描写についてはかなりグレーな所です(特に奏の過去)

なので、一度ここで一区切りとしてしばらく様子を見たいと思います

再開するときにはもう一度全く同じスレタイで立てると思うので、お付き合い下さると幸いです


スレを落とす前に、日和と奏のゆるゆるな恋愛の小話も書きたいかなと思っております


ではでは、今までお付き合いいただき本当にありがとうございました!!

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