兵士「落とせど落とせど沸いてくる」(29)

新兵「はい?」

兵士「俺も良くわからん。けど知り合いが言うには何もないところからふっと沸いてくるらしい」

隊員「勝てることは勝てますけど不気味ですよねー」

ウーーーーウーーーー

「おまえら、奴さんが今日も飛んできたぞ! 配置につけー!」

「魔弾はきちんと装填されてるんだろーなぁ!」

「またかよ……もう嫌だわ……」

兵士「新兵は初めてだっけか」

新兵「は、はい!」

兵士「良く見ておけ、これがこの戦いの常だ」

新兵「?」

ちょっと書いてみよっかなって
魔弾とか出てる辺りで察するとか思うけど架空世界。もちろん兵器も架空
名前同じだとしても架空。明らかにおかしな形状の航空機とか出てくるかもだが鋼鉄のなんちゃらじゃ円盤どころか地球が飛んでるらしいから気にしないでね!

実際は兵器とか詳しくないんで実在する兵器じゃ無理と考えただけ
暇な時にちょこちょこ書く次第

兵士「とりあえず俺らの担当はこいつだ。説明覚えてるか?」

新兵「三式五十ミリ対空機銃、ですね」

小隊長「そんなことやってる場合か!」

兵士「あ、隊長」

小隊長「簡単に落とせるからと言って気を抜いていい訳じゃないんだ。ここを守るためにも、気を引き締めろ!」

兵士「はっ!」

新兵「……」

小隊長「君が今日配属された新兵か」

新兵「はい!」

小隊長「君はどうか、壊れてくれるなよ」

新兵「壊れ……?」

隊員「あーあー、とりあえず新兵はこっち頼むわ」バン

隊員「弾切れた機銃の給弾な」

小隊長「ふむ、確か君は総魔力が高かったっけか」

新兵「あの」

小隊長「なにかな?」

新兵「一度に全ての機銃を撃たないんですか?」

兵士「阿呆め」

小隊長「ふむ、確かに全てを撃てば弾幕は厚くなるな」

小隊長「だがそうなれば給弾をする際に一時的とは言え射撃を止めてしまう」

小隊長「その間にぬけぬけと侵入されてしまう場合もある」

隊員「つまり一時の火力より切れ目無く送った方が効果的ってことさー」

新兵「なるほど……」

「敵航空編隊接近! 編成はいつも通り爆撃機と戦闘機!」

兵士「お喋りしてる間に到達したみたいで」

小隊長「……射撃用意」

新兵「(飛行機の音がうるさい。遠くでこれって真上に来たら自分の声も聞こえなくなりそうだ)」

隊員「新兵」

新兵「は、はい!」

隊員「無理はするなよー。小隊長はああ言ったけど、実践経験の無い奴が二丁撃ってる間に魔力装填終えるなんてそうそうできねーからな」

小隊長「目標右より接近する戦闘機!」

新兵「……頑張ります。負けないためにも」

隊員「気張るなよ。装填手は一番きっついんだから」

兵士「敵距離五千……四千……」

小隊長「頼むぞ隊員」

「三千五百……三千……二千五百……」

隊員「伊達に敵戦闘機とやりあってませんよー。撃たれる前に撃ち落とします」

兵士「二千!」
小隊長「射撃開始!」

隊員「落ちろー!」ダダダダダダダダダダ

隊員が射撃ペダルを押した途端、五十ミリ機銃がリズムを刻んで魔弾を吐き出した
それと同時に周囲に設置されていた機銃も新兵達と同じ戦闘機めがけ魔弾を放った。
直進してくる敵戦闘機は十機と多い。しかし新兵が見た限りではその何倍もの銃座が曳痕を飛ばし、火箭を殺到させる

新兵「(……あれ?)」

ふと、新兵は違和感を覚えた
初めて見たからか弾幕は厚く見える
事実、たった今敵の航空機が一機、翼を抉られ地面に突っ込んだ
だけどーーー

隊員「おい! 一番の給弾急げ!」

新兵「は、はい!」

だがその疑問が氷解する前に意識は現実へと戻される
新兵達の使う五十ミリ機銃は三連装。簡単に言えば一つの銃座に三つの機銃が並んで配置されている
一つ目の銃を撃ち終えるのにかかる時間は五秒とない
隊員の怒号に跳ねるように銃座後ろの給弾ポイントに手を翳し、自分の持つ魔力を流し込んでいく

新兵「(周りがうるさくて集中出来ない……!)」

兵士「敵距離千切りました!」
小隊長「残り三機! 直進しか能がない短絡兵器、さっさと落とせ!」

隊員「二番撃ち終えた! 休む暇なんかないぞ!」

新兵のいる銃座のメンバーはもちろん、周囲の何十とある銃座が奏でる射撃音、仲間を目の前で落とされたにも関わらず平然と接近する航空機のエンジン音
それぞれが勝手な音を奏でるため騒音以外の何者でもない
魔力給弾は集中が必要な作業だ
一定量の魔力を均等に流し込まねば、射線が上下左右にズレて安定しない

隊員「一番の給弾はまだか!?」

新兵「すいません! 後少しです!」

小隊長「早くしろ! 次が来る!」

隊員と小隊長に急かされ、しかし焦ることが出来ない新兵は早く終われと思うことしか出来ない
急ごうとすれば、それだけ失敗する可能性はあがる

兵士「敵爆撃機直上! 突っ込んでくる!」
小隊長「銃身回せ! 真上だ」

新兵「一番終わりました!」

今度は地面スレスレの低空ではなく上空を飛ぶ敵だ
給弾にもたついていた新兵だが、ようやく満タンまで魔力を貯め終え、即座に二丁目へと移る

小隊長「よし、てっ!」

軽快な射撃音に割り込む重く響く爆撃機の音。
新兵の知らぬことではあったが、この時既に爆撃機は投下を終えていた
機体の腹に貯めていた魔法が記録された爆弾を何の違和感無く手放し、さっさと機体を引き起こす
その機は地面に腹を向けた瞬間、新兵達の銃座からのお見送りにしこたま魔弾をぶち込まれ空中分解してしまったのだが

小隊長「っ、伏せろ!」

新兵「まだ供給が……」
兵士「馬鹿やろう! とっとと伏せろ!」

新兵は腕を兵士に掴まれ、強引に地面とキス。土の味が広がる
ヒューっと音が近づき、やがて付近の機銃座一期へとそれは吸い込まれた

中途半端だけど今日はここまで
本物の対空戦闘とか見たことないけど頑張って書くつもり
戦闘終わったらちょろっと説明だけしてすぐに戦闘だと思う

同じシーンばっかだとアレだし例えば迎撃に上がる味方機のパイロットの場合とかも書くかも

ちょっとつーか地の文多いww

戦闘描写は割とそれっぽい感じで良いんじゃないかな

ういっす。今日もやってきますた
昨日言い忘れて鬱になってたから今言う。昨日は支援ありがとう!

>>16
正直スマンカッタwww
なんかこう出てきちゃうんだ……

>>17
サンクス。そう言ってもらえてうれしいお


んではだらだら投下
戦闘シーンは描写ありで。それ以外は無しで進めるかも

新兵「(爆発しない……?)」

地面にぶつかる刹那、新兵は確かに視界の端で爆弾はぶつかっていた
けれどそれから訪れるはずの爆発はいつまで経ってもやってこない
怪訝に思い頭を上げようとしたが押さえつけられているのか地面から離れない

兵士「いいから伏せとけ!」

新兵「しかしあれは不発だーーー」

轟音
大地が震え、土砂がまき散らされ新兵達に降り注ぐ
機銃座に申し訳程度に付いている防楯に人の顔程の土塊が直撃し、そこを凹ませる
新兵からわずか数十センチ先に空へ上げられた石が落下し、その衝撃で飛んだ土で顔面が土まみれになる
咥内と顔が土で犯され、今すぐに水が欲しくなったが戦場にそんなものはない

一通りの洗礼が終わった時、機銃座の面々は揃って肌色から焦げ茶色に変わっており、湿地を這って来たかの様になっていた
頭部から手が離れたために、泥を払いながら立ち上がってみるとそこは着弾前と大きく違っていた
爆弾の直撃した機銃座が綺麗さっぱり無くなっている
銃座も機銃員も、その残骸すらも無い
そこは落ちたら自力では出れなそうな程の大穴があるのみだ

小隊長「よそ見してる暇はないぞ新兵!」

新兵「も、申し訳ありません!」

機銃座一基が跡形も無くなくなり、四人が戦死。かろうじて確認出来たのはここまで
ゼロコンマの時間意識を逸らしたことで、小隊長から叱咤が飛んできた
ハッとした新兵はすぐに謝ると自分がすべきことーーー即ち弾が切れた機銃への魔力供給へと全神経を注げるのだった



当初来襲してきた敵は五十機にも満たなかった
基地への直接攻撃出来る爆撃機以外にも戦闘機がいたのだから、実質驚異は更に少ない
それにも関わらず、戦闘は未だ終わりを見せなかった

隊員「くそっいつもの事とは言え気が滅入る!」

兵士「新たな爆撃機!左八十度!」
小隊長「撃ちながらでいい! 銃口向けろ!」
隊員「新兵!」
新兵「三番、供給終わりました!」

当然ながら休む暇など無い。対空砲の及ばぬ空域では未だに敵と味方の航空機が入り乱れ、黒煙の尾が引かれ、時折彼我の機体が爆散していた
低空では急降下してくる爆撃機が地上からの対空網に熱烈な歓迎を受ける
十機単位で滑走路へ大穴を開けんとする中隊に、そこかしこから火箭が伸びる。
魔導エンジンや左右の翼などに披弾し進路を変える機、燃料タンクか爆弾に直撃を貰ったのか派手に散華する機
搭乗員を血肉に変えられ爆弾を落とすことなく大地に突っ込む機などバタバタと消えていく
投下高度まで下がる前に、その中隊は全機が鉄の塊として地上に骸を晒すか、破片になった

新兵「お、おかしいですよこんなの……」

新兵「空でも味方が墜として、低空にやってくるのもほぼ全て撃墜してるのに……」

兵士「言ったろ、落とせど落とせど沸いてくるって」

新兵「ただの波状攻撃じゃないんですか!?」

小隊長「敵はな、基地を機能しなくなるまで破壊するかある程度自分達が落とされるまでひたすらに出てくる」

隊員「ボタン一つで兵器量産してるのかもしれないなー」

隊員がそれを言った時、それまで無事だった格納庫に閃光が走った
火炎の柱が天高く突き上がり、建物と中に残っていた機体、整備に使う機材が等しく溶かされ、液体となった鉄が地面にこびり付く
屋根が道ずれにするかのように監視塔に当たり、そのまま突き刺さって斬新なオブジェになる

小隊長「やられた……か」

満足したのか否か、敵は基地上空から姿を消している
飛来してきた敵がパッタリと途切れ、残っていた航空機は続々と引き上げていった
やっと終わったーーー枯渇寸前まで魔力を使った影響により疲労に支配された身体で新兵はそれだけを思った

今日はここまで。pspマジ不便
すいません昨日が多すぎたんですハイ
次回からは血生臭い戦場から日常へ。それが終わったら新兵から目を外して一人のパイロットへ目を移してみませう

今日も支援とコメありがとう

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