和久井留美「か、家庭用200グラム……」 (90)

留美さーん!
せっかく留美さんの誕生日なのに、それにぶつけるSSがこんなのでいいのかな……。



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美優「はい、お昼ご飯できましたよー」

友紀「わーい! 待ってましたー!」

留美「今日はハンバーグよ。私が作ったのは普通の焼いたハンバーグ、美優は煮込みハンバーグ」

珠美「わあ! どっちにするか悩みますな!」

美優「ふふ……♪ 中くらいの大きさにしたから」

留美「焼きハンバーグと煮込みハンバーグ、ひとつずつ食べてね?」

友紀「やったー!」

珠美「うむ! しっかり食べられるのはありがたいですな!」

友紀「じゃ……」

「「「いただきまーす!」」」

美優「あむっ。ふんふん……。うん、美味しい……!」

友紀「あたし煮込みハンバーグ初めて食べたー! 美味しいね!」

珠美「ええ! ファミレスの物よりずっと美味しいですな!」

留美「本当、煮込みハンバーグなんて私にはまだ難しいわ」

美優「留美さんも普通のハンバーグが作れるんですから、煮込みも簡単にできますよ?」

留美「そう? じゃあ今度しっかり教えてもらおうかしら」

友紀「んでんでー? お次は留美さんの作ったハンバーグ……!」

珠美「あーん、んっ! んんぅー……! 閉じ込められた肉汁がお口の中に染み渡り……!」

友紀「凄い美味しいねー!」

美優(語彙力の差が……)

留美「あ、そうそう。はい、これをかけてみて?」

珠美「これは…、デミグラスソースですな!」

美優「あ、留美さんの作るデミグラスソースって美味しいですよね……!」

友紀「あたしもかけて食べるー!」

友紀「ハンバーグに軽くかけて……!」

珠美「はむっ! くぅぅー……! さっぱりとした酸味と芳醇なスパイスの香りがお肉のジューシーな味わいと、非常にマッチして……!」

美優(食レポ、目指してるのかな……)

美優「でも、へっほう美味しいでふね…、このデミグラス……!」

珠美「やっぱり、作るのは少し難しそうですな……」

留美「いいえ? とっても簡単よ?」

留美「フライパンにウスターソースとケチャップを適当に入れて、弱火でゆっくり温めるの。それにお好みソースを大さじ一杯いれて、少しまろやかさが欲しいと思ったら牛乳や生クリームをちょっと入れたら出来上がりよ」

美優「へえ…! 今度やってみますね……!」

留美「ま、これもPさんから教わったんだけれど」

留美「さ、私も食べましょう。よいしょ!」ドンッ!

http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira102225.jpg


珠美「ひゃあ! や、やっぱり大き過ぎです!」

美優「え? 留美さんせっかく作ったデミグラスソースかけないんですか……?」

留美「うーん、どちらかというと私はこっちのほうが好みなのよね。みんなはそっちの方が好きかと思って」

友紀「うーん…、さすがにハンバーグにまではかけないかなぁ。お好みソース」

留美「え? か、かけないの? 私はもう何年もハンバーグにはお好みソースと、たまにマヨネーズを……」

珠美「かけませんなぁ……」

留美「ええ……」

ガチャッ

早苗「とゅうぇーい! 早苗さんと!」

P「プロデューサーさんのお帰りじゃあい!」

珠美「お帰りなさい、早苗殿、P殿」

早苗「え? 珠ちゃん……? あ、そっか、土曜日か……」

P「お、ハンバーグじゃん。いいないいなー」

美優「2人もご飯食べますか?」

早苗「うん! いやー、こちとら朝にパン1枚だけでお腹ぺこぺこよー?」

留美「お疲れ様、あたためなおしてくるわ」

P「お、デミグラスソースのいい香り。味は……」

友紀「あ! あたしの取るなー!」

P「んー……、少し酸味が強いか。みりんかバター辺りをちょっと入れると優しい味わいになりそうだ」

珠美「さ、流石ですな……」

P「あれ? この茶色いソースは……」

P「って、これお好みソースか? 留美さんのだな……」

早苗「あ、相変わらずなみなみとかけてるわねー……」

P「一時期量を抑えてたと思ったんですが……」

美優「結局、お好みソース断ちも1日と持ちませんでしたしね……」

留美「はい、2人の分よ」

早苗「お! ありがとう!」

P「ありがとうございます……。よし」

スッ スッ

留美「あら? 私のと取り替えっこ?」

P「ええ」

留美「食べかけだけど……。ふふっ、まぁ、Pさんがいいのなら私も構わないわ」

留美「さて、またソースをかけ……」

ヒョイッ

P「……没収」

留美「…………」

留美「……んっ?」

留美「え、あの、Pさん。い、いま何て?」

P「だから、流石に塩分控えめでヘルシーだなんだと言っても留美さんの摂取量はちょっとおかしいです」

留美「そ、そんな事……!」

P「でも、まったく摂るな、とは言いません。1日にどれくらいまで食べてていいかとかは俺が管理します」

留美「……い、いや、大丈夫よ? 大丈夫。大丈夫だからそれを……」

P「だ、め、です!」

留美「…………!」ギリギリ…!

早苗(食べかけを取り替えっこしても動じなかった留美ちゃんが……)

美優(は、歯を食いしばってる……)

P「少し可哀想ですが……、さ、お昼の分をかけてあげるのでお皿を貸してください」

留美「す、少し多めに……」

P「聞き入れられません」

留美「……ぐすっ」

P「ってか、このソース重い…。注ぎ口も大きいから加減が難しい……」トプッ…

P「はい、どうぞ」

留美「……これだけ?」

P「はい」

留美「…………」チラッ…

留美「…………」チラッ…

留美「…………」チラッ…

P「そんなハンバーグと俺を交互にチラ見しても増えない物は増えませんよ」

留美「うぅ……」

P「じゃあ、いただきます。あむっ…。んー……」

P「……ソース味」

早苗「そりゃそれだけかかってたら、ねぇ……」

P「いや、美味しいんですよ? けど、本当にソースかけ過ぎですよ、留美さん……」

留美「…………」

珠美「留美殿の目が死んでいますな……」

P「ほら、留美さん。せっかく自分で作ったんですから、食べないと勿体無いですよ」

留美「……ええ」

P「じゃあ……。ほら、あーん」

美優「っ!?」ガタッ

留美「えぇっ!? あ、あの、えと…。あ、あーん……」///

留美「あむっ…。んっ……」

P「ほら、自分で作った料理は格別に美味しいでしょう?」

留美「え、ええ……!」///

P「ソースを控えめにして、素材の味を楽しむ。香辛料のピリッとくる感じも、若干の臭みや舌触り。これらを楽しむのも食事ですから」

留美「ええ……!」

友紀「プロデューサー。あー」

P「甘えてないで自分で食べなさい」

友紀「ぶー……」

P「さ、またお昼過ぎには留美さんはテレビ局に行きますからね」

留美「ええ、そうね。早く食べて、お腹を落ち着かせておかないと」

P「さ、付け合せのポテトサラダも……。うん、うまい!」

美優「あ、それ作ったの私です……」

友紀「ごちそうさまー! 美味しかったー!」

珠美「ええ! またお願いします!」

美優「うん、またいつか作るわ……」

早苗「さーて、食休みっと……」

留美「…………」

P「……あの、留美さん」

留美「なに、かしら?」

P「ちゃんとまた夜にもソースあげますから、ね?」

留美「うぅ…、はい……」

P「さ、ゆっくり出かける準備して置いてくださいね。結構移動に時間かかりますから」

留美「分かったわ。歯磨きもしておかないと……」

ここで一旦ストップです。

誕生日の日付け的には留美さんはこの5人の中では真ん中の子になるのかな。

>P「ちゃんとまた夜にもソースあげますから、ね?」
夜のソースか…(思春期の中学生感)

ーーーーーーーー………


P「すみません…、留美さん……」

留美「ふふっ、大丈夫よ?」

P「まさか打ち合わせがまた後日に変更されるとは……」

留美「それにしても、突然の変更だったわね」

P「ええ、なんでも他の事務所から出演するアイドルがみんな授業参観で学校らしくて……」

留美「大人は私だけって事ね……」

P「ま、まあ! 大人の落ち着きで子供達とは一味違うって所を見せつけてあげましょう!」

留美「ふふ……、そうね」

P「じゃあ、帰り……。いや、ちょっとスーパー寄って帰りましょうか」

留美「あら、晩御飯のお買い物? 」

P「まあ、そんな所ですかね」

ーー スーパー ーー


留美「今日の晩御飯は何にしようしら……」

P「そうですねぇ……。たけのこご飯とかどうでしょう?」

留美「あら、いいわね。ならおかずは……」

P「たけのこごはんとかの日には、かぼちゃと鶏肉の煮物とか、うちのオカンがよく作ってくれたんですよねぇ」

留美「美味しそうね……。ならそうしましょうか」

P「あと……。豆腐! 揚げ豆腐なんか出汁つゆにつけて食ったら美味いですよー! おろしを乗せて日本酒と一緒に……!」

留美「お、お酒も買っていきましょう……!」

P「じゃあ、俺あっちのコーナー見てますね」

留美「ええ、お豆腐は……」


P「……さて、さっきネットで探した物は果たしてあるのかなー」

P「んー……。おっ! あった! これなら留美さんに……」

留美「さて、材料はこんな所かしら?」

P「ええ、早苗さん喜びますよー? あの人煮物大好きですから」

留美「ふふっ。お酒も進んじゃって、どうなるかしらね?」

P「じゃあ俺お会計してくるんで先に車に戻っててください」

留美「分かったわ。じゃあ、先に行ってるわね」

P「はい。……さて、さっきのアレを買い物カゴにいれて、と」

P「留美さんに見つかったらなんて言われるかわかったもんじゃないしなぁ……」

ーーーーーーー………


P「またこの長い道のりを車で、かぁ……」

留美「もう、せっかく貰えたお仕事なんだから」

P「そうなんですけどねぇ」

留美「……あ、見知った景色になって来たわね」

P「さあ、そろそろ事務所に着きますよ」

留美「さっそくたけのこの下ごしらえをしておかないといけないわね」

P「糠はあったはずなんですけど……」

留美「……相変わらず料理に関連するものはなんでもあるわね」

今日中に終わらせないと留美さん泣くぜ?

P「ふぅ、ただいまー」

早苗「あら、おかえりなさい。どうだったー?」

留美「それが、打ち合わせが今度に変更。スーパーで買い物だけして帰ったわ」

美優「あら…、残念でしたね……」

友紀「あ、なになにー? お菓子買って帰ってくれたのー?」ガサゴソ

珠美「珠美はチョコが食べたい気分です!」ガサゴソ

P「晩御飯の食材くらいしか買ってないよ」

友紀「やっぱりかー……。ん? これは?」ガサ…

>>33

る、留美さんは大人だから泣かない……。


……まあ、金曜日には終わるかと(目そらし)

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留美「ッ!?」

早苗「あら、なにこれ? ちっちゃくて可愛いじゃない」

P「留美さん。はい、どうぞ」

留美「う…、いら、ない……」

P「えー? いいんですかー? これは俺の配給の分とは別に留美さんの好きに使っていいやつなんですが……」

留美「っ! な、なら貰うわ!」

P「はい、どうぞ。ひと月につきこれ一本ですから」

留美「……でも、せめて300グラムのほうがいいのだけれど」

P「スーパーに置いてなかったんですよ」

留美「うぅ……」

P「まあ、普段の料理にソースをかけて、またこれもかけて……。でも、結構な消費量になりそうですね……」

早苗「ほんと…、あたしなんてこの小さいのひとつで十分よー……」

留美「これひとつって…。これは使い切りサイズでしょう……?」

珠美「つか……、えっ?」

P「別に一度の食事で使い切っても構いませんけど」

留美「でも、今度は自由に使える分がなくなるのね……」

友紀「頑張って、留美さん! あたしもプロデューサーにビールは週に3本までって決められてるし!」

早苗「えー!? それソースなんかよりキっツいわよー!」

友紀「そー…。いいおつまみがあっても肝心のビールがないって事が多いからさー……」

P「お前は腹を出す衣装が多いのにぽっこりお腹になってもらっちゃあ困るからな」

友紀「うーん……」

P「さ、今日の献立はお好みソースをかけなくてもいいような献立にしてるんですから。ゆっくり慣れていきましょう」

留美「……ええ」

P「それと、また留美さんの家にもあるお好みソースも差し押さえますね」

留美「……ぐすっ」

美優「そ、その…、私の家にまだお好みソースが3本……」

P「そうですね……。美優さん預かっててもらえます?」

美優「えぇっ!?」

留美「美優…、あなたに預けるわ……」

美優「そ、そんな…。せっかく頑張って1本減らしたのに……」

ーーそれから、翌日のお昼ーー


留美「…………」

珠美「留美殿が机に突っ伏してる……」

留美「…………」

珠美「る、留美殿ー?」

留美「どうしたの? 珠ちゃん……」

珠美「いえ、その…。なんだか元気がないような……」

留美「ええ…。大好きな物を我慢する……」

留美「ただそれだけの事すら出来ないなんて、まだまだ私も子供ね……。ふふ、ふふふ……」

珠美(瞳に生気がない……)

珠美「な、ならば留美殿!」

留美「なぁに…。珠ちゃん……」

珠美「お好み焼きを食べにいきましょう!」

ーー お好み焼き屋 ーー


留美「さ! 珠ちゃん! なんでも好きな物を注文していいわ! 今日は私の奢りよ!」

珠美「あ、ありがとうございます! どれにしましょうかなー……」

珠美(珠美がお好み焼きに誘った途端、すぐさま起き上がり事務所の車の鍵を持ち出してきましたな…。留美殿……)

留美「そう、そうよね! 普段の食事、プラス! あの200グラムソースだもの!」

留美「私の普段の食事はこれ! つまりここでは何を食べようと……! そういう事ね!」

珠美(積極的にルールの裏をかく大人……。こうも人を変えるとは、禁欲生活とは恐ろしいものですな)

留美「ふふ、ふふふ……! 今日はタブルでいっちゃおうかしら! それともイカ天やバラ肉なんかも好きにトッピングしちゃうのも……!」

珠美「うーむ……。珠美はどれを注文しようか……」

留美「すいませーん! 注文お願いします!」

珠美「なっ!?」

留美「肉玉ソバダブルのイカ天シーフードバラトッピングをひとつ! 珠ちゃんは?」

珠美「えと、この…。肉野菜うどん……? をひとつ」

留美「じゃあ、以上で! ふふ、来るのが待ち遠しいわね!」

珠美「……先ほど留美殿が何やら呪文を唱えていましたな」

留美「呪文? ああ、注文の事かしら? あんなの普通よ? ほら、コーヒー屋さんでも長いオーダーがあるでしょう?」

珠美「まあ、たしかに……」

留美「それで、少し前にPさんと来た時も珠ちゃんと同じような事を言われて、思わずなんて返していいのか分からなくて、黙りこくっちゃったわ」

珠美「ほー……。やっぱり、地元の人はひと味違いますなぁ」

留美「ふふ……、それもPさんが言ってたわ? 珠ちゃんとPさんは、本当そっくりというか……」

珠美「珠美がP殿と? えへへ……」

留美「あっ、運ばれて来たわ」

珠美「お、おー……。美味しそうですな!」

留美「ソースは…。ふっ……、彼との約束だもの。控えめにしておきましょう……」

珠美「はいっ! P殿の見ていない所でもしっかり約束を守る留美殿は大人です!」

留美「もう、こんな事で大人だなんて。それならこうやって私に気を使って励ましてくれる珠ちゃんも、もう立派なオトナよ?」

珠美「そ、そうですか! ならば珠美ももっとお淑やかに振る舞わねばりませんな!」

留美「ええ? その心意気よ? じゃあ、いただきます」

珠美「いただきます! ……えと、箸は?」

留美「え? ヘラがあるでしょう?」

珠美「へっ! こ、これで食べるのですか!?」

留美「ふふ? もう…、可笑しな珠ちゃん」

珠美「テーブルと鉄板が一体化しているのはともかく、それを食べるのはヘラとは……。熱くて舌を火傷してしまいそうです」

留美「しっかりふーふーして食べるのよ? 熱々が美味しいんだけれどね?」

珠美「は、はい。では、いざっ!」

珠美「ヘラでー…、食べやすい大きさに切ってー……」

珠美「ふー…、ふー……。あつつ……。ふー……。あーん……、あっ?」

珠美「あー……! こ、このヘラ、珠美の口よりも大きくて入らな……!」

留美「ほら、頑張って頑張って?」

珠美「あー……! あー…、んっ! わ! あ、あひゅっ! ひゅいへふぅ……!」

留美「あらあら……。大丈夫?」

珠美「ふー…、んっ! な、なんとか……。確かに熱々でしたが、とても美味しいですな! うどんのモチモチな食感など、珠美の好みです!」

留美「ふふっ! お気に召してくれて何よりだわ」

珠美「留美殿のそばのお好み焼きを一口もらえませんか? うどんとの違いが気になりますな」

留美「ええ、いいわ。ふー…、ふー……。はい、あーん」

珠美「あーん……。んー! こっちもとても美味しいです!」

留美「でしょう? うどんもいいけれど、そばも負けて無いのよ?」

珠美「ええ! ですな!」

留美「さ! どんどん食べましょう!」

ここでもまた一旦ストップです。

すみません、やっぱり完結は土曜日になりそうです。今日が木曜日だと思ってました……。

ーーーー……


留美「はぁ…!美味しかった!」

珠美「お腹いっぱい、ごちそうさまです!」

留美「ふふっ、今日はありがとう。珠ちゃん」

珠美「そんな、お礼を言うのは珠美です! 奢ってもらっているわけですし……」

留美「私は頭が固いから、もし珠ちゃんが誘ってくれなかったらあのまま1日を終える所だったわ……」

珠美「た、たしかに、ピクリとも動かずに伏せっていましたし……」

留美「んー……! さ、帰りましょうか」

珠美「ええ! ……でも、その」

留美「あら? どうしたの? 珠ちゃん」

珠美「か、帰りは安全運転でお願いします……」

留美「……うん」

ーー 翌日 ーー


留美「…………」クウゥー…

早苗「おーい、留美ちゃーん?」

留美「…………」キュゥー…

早苗(珠ちゃんから話は聞いてたけど、ほんと、ピクリともしないわね……)

留美「…………」クルルゥー…

早苗「ってか、腹の虫が凄い鳴いてるんだけど……」

留美「……はっ! こ、ここは?」

早苗「事務所よ……?」

留美「え…? 事務所……? 私はお好みソースのお風呂に浸かっていたんじゃあ……?」

早苗「留美ちゃん、頭の病院行きましょう」

留美「いえ…、大丈夫。いつもの事よ……」

早苗(なら尚更行くべきじゃあ……)

留美「はぁ…。今の時間は……、あら? もう12時?」

早苗「留美ちゃん、朝来てからずっとソファで上向いてたから生きてるのか心配で……」

留美「そう……。ごめんなさい、心配かけたわね」

早苗「とにかく、お腹空いてるの? だったらあたしと一緒にご飯食べに行かない?」

留美「ええ、もうお昼時だしそうするわ」

早苗「よーし! 最近あたしのお気に入りのお店に行くわよー!」

留美「あら、何屋さん?」

早苗「んー? つけ麺屋!」

ーー つけ麺屋 ーー


< ラッシャッセーィ

早苗「んー? 今日はがらんどうねー。待ち時間が少なくて助かるわ」

留美「普段は混んでるのかしら。まあ、座りましょう。……さて、つけ麺なんて久々ね」

早苗「久しぶりー? ここのはかなり美味しいんだから!」

留美「ええ、上京して初めて食べるわ」

早苗「ふふっ、ならお姉さんのイチオシつけ麺がオススメなんだけど……」

留美「じゃあ、私は早苗さんと同じ物を食べようかしら」

早苗「よしよし! すいませーん」

早苗「さて、注文も済ませたし……。で、どーよー? 留美ちゃん」

留美「どう、って……。何のこと?」

早苗「最近はP君にソースの量とか管理して貰ってるじゃない?」

留美「ああ…。頭ではちゃんと理解してるのよ? 我慢しないといけないって……」

留美「けど、身体は正直なの……! 彼がかけてくれるのが待ち遠しくて、身体が疼いて……!」

早苗「その言い方はやめなさい」

留美「はぁ…。少し、辛いわ……」

早苗「まーまー、P君も留美ちゃんの体を思っての事なんだし」

早苗「でも、いいじゃない? 何はどうあれ、異性に自分を管理されるって言うのは滅多に経験できない事でしょ?」

留美「管理…、まあ、そうだけれど……」

早苗「お前の全部は俺が管理するからな……。なんて!」

留美「ぷっ! 似てないわよ! 早苗さん! あはは!」

早苗「むぅー……!」

< オマッシャシター

早苗「お! 来た来た!」

留美「もうお腹ぺこぺこ…。さて、つけ麺は……」

留美「……ん?」

早苗「いっただっきまーす! ずずっ……! くはっ! 美味い!」

早苗「それでスープも……! んぅー! やっぱこれね!」

留美「…………」

留美「さな、早苗さん? こ、これは?」

早苗「これ、って。見ての通りつけ麺よー。さ、早く食べないと冷めちゃうわよー?」

留美「ち、違う……」

早苗「……ん?」

留美「ち、違うのよ! つけ麺はこれじゃないわ!」

早苗「ちょっ!? 店員さん睨んでるから! なに? どうしたの!?」

留美「私の知ってるつけ麺はつゆは冷たくて赤くて、唐辛子粉を浮かべて! 茹でたキャベツと一緒に食べるのよ!」

早苗「え!? 何それ!? 冷やし中華じゃん! 辛い冷やし中華じゃん!」

留美「麺、つゆ、キャベツ! それが、それが……!」



店員「……あの姉ちゃん広島のモンか。こっちのつけ麺を初めて見るんじゃあ無理もねぇなあ」

ーーーーーーー…………


留美「……取り乱してごめんなさい」

早苗「いいのよ? こっちこそごめんね? こんなカルチャーギャップがあるとは思わなくて……」

留美「私も、初めてで……」

早苗「でも、美味しかったでしょう!」

留美「ええ、美味しかった。美味しかったわ。けど……」

留美「ラーメンじゃ、ダメなの……?」

早苗「そこは……」

ーー またまた翌日 ーー


留美「」

P「留美さーん、出発しますよー」

留美「」

P「えっ? 留美さん? 留美さん!? 生きてます!?」

留美「ええ……」

P「いや、瞳から完全に輝きを失ってたんで大丈夫かと……」

留美「昨日…、1日ソースを使わない物ばかり食べたの……」

P「いや、いい事じゃないですか」

留美「その反動で、お好みソース200グラムの残りを一気飲みしちゃったの……」

P「うひゃあ」

留美「終わった…、終わったの……。今月はあと2週間もあるのに……」

P「でも、それは自業自得という事で……」

留美「うぅっ…。さ、さぁ……。お仕事に行きましょう……」

P「留美さん、めっちゃ猫背ですよ」

留美「にゃん……」

P「可愛い……。じゃなくて、意識をしっかり保ってください!」

留美「ええ……」

ーー テレビ局 ーー


P「じゃあ俺はプロデューサー、マネージャー向けの説明会に行ってくるので、合同楽屋でお弁当を食べててください」

留美「ええ…。あら? このお弁当……」

P「留美さんの為に、俺の手作りですよ。じゃあ、行ってきますね」

留美「……ええ! 頑張って!」

留美「お弁当…、お弁当……! 彼が、私の為に作ってくれたのね……!」

留美「……ふふっ! 彼と一緒なら、ずっと我慢出来るかも!」

留美「ずっと、ずっと……。ふふふ……!」



P「……留美さん、ずっとくねくねしてるな」

ーーーー……


みく「にゃにゃっ! 今日のお弁当はハンバーグ弁当にゃ!」

藍子「ここのお弁当屋さんのハンバーグ弁当って、とっても美味しいよね」

みく「うんっ! みくの大好物だもん!」

藍子「じゃあ、いただきまーす」

みく「いっただっきまーす! ……にゃ?」


留美「えへへ……」


みく「あのお姉さん、お弁当開いてニヤニヤしてるにゃあ」

藍子「もう、他の人をジロジロ見ちゃ、めっ、だよ?」

留美「わぁ…! お好みソースの小袋……!」

留美「ふふふ…! コロッケに……!」


みく「う”ぇっ!? あのお姉さんコロッケにお好みソースかけてるにゃあ!」

藍子「え、え? あ、本当だ……!?」

みく「コロッケにかけるソースって、あの黒くてサラサラの奴くらいのもんだにゃあ!?」

藍子「う、うん…。あと、何もかけなくても美味しいけど……」


留美「ソースがちょっと余ったわね。よし……」


みく「にゃあぁああー!? しろ、白ご飯にまでかけ始めたのにゃあ!?」

藍子「ええーっ!? み、みくちゃん…、私、怖いよお……!」

留美「はぁ…。美味しい……!」

留美「Pさん…。こんな物まで用意してくれてるなんて……」

留美「ああ…、ありがとう……」

< ワーワー! キャーキャー!

留美(それにしても、あのみくにゃんと高森藍子ちゃんがいるなんて……、驚いたわ)

留美(2人で騒いで、トップアイドルと言ってもまだ10代半ばだもの。あれくらいはしゃぐわよね……。ふふっ)

留美「それにしても……、やっぱり美味しいわね」

留美「冷えてるのに美味しい……。いえ、冷えてなお一層美味しいとでも言うべきかしら……」

留美「はぁ…、やっぱり、料理の腕で追いつけそうにないわね……」

留美「ふう、ごちそうさま。……このお弁当箱はこのまま返すのかしら? やっぱり洗って返した方がいいのだろうけれど……」

ピロロン♪

留美「あら、Pさんからメール……。なになに? 6階の西の第2会議室へ……」

留美「よし、じゃあ早く行こうかしらね」

みく「……!」ビクビク

藍子「……!」ビクビク

留美「あら、おはようございます」ペコリ

みく「にゃ!? こ、こんにちにゃ!」

藍子「こんばんは!」

留美「え、ええ……?」

ーー 会議室 ーー


留美「こほん。失礼します」ガチャッ

P「あ、こっちです」

留美「あ、Pさ……。んんっ! プロデューサーさん」

麗奈「光、今あの人担当のプロデューサーの事名前で……」

光「うん……。仲がいいのはいい事じゃないか!」

監督「では、これでみんな揃いましたね?」

由愛「はいっ」

千佳「うんっ! みんないるよー!」

舞「は、はい!」

監督「よし! では皆さんには夏から放送予定の新番組『希望勇士 ヒーロー ミツル』でのメインキャストを務めていただきます」

留美「えっ!?」

光「みつる? ……はっ! もしかして!?」

監督「主人公の『南ミツル』役には南条光さんを。そのミツルをサポートする妖精役には横山千佳さん以下3名を……」

麗奈「はあっ!? な、なんで光が主人公なのよ! 主役っていったらこのアタシ! 麗奈様しかありえ……!」

監督「小関さんには敵に洗脳されてミツルの敵となったマジカルガール・フレイム改め、マジカルダークガールとしてほぼ毎話に登場予定です」

麗奈「え、そ、そう? でも、希望とかそういうのよりそっちの方がアタシな向いていそうね! アッーハッハッ! ハハッ! うっ、げほっ!」

光「だ、大丈夫か?」

留美「あ、あの…、私は……」

監督「和久井留美さんにはマジカルダークを洗脳した闇の女王ルーミン……。いわゆるラスボスをお願いします」

留美「わ、私が!?」

監督「序盤は出番が少ないですが、フレイムガールがフェードアウトする頃か一気に出番が増えますので、よろしくお願いします」

麗奈「え? アタシ死ぬの?」

P(こういう現場って結構ネタバレするんだな…。外にいればよかった……)

監督「とりあえず、細かい撮影の日程等は追って説明をしますので、今日はメインキャストの挨拶と言うことで……」

光「よしっ! じゃあこれからの新番組の撮影をアタシ達で盛り上げて行こう! おーっ!!」

「「「おーっ!」」」

留美「お、おー!」

麗奈「えっと…。和久井さん……?」

留美「え? あ、なにかしら?」

麗奈「あ、悪役が苦手って言うんなら、アタシが演技指導してやってもいいわ!」

留美「えっと……」

麗奈「その、ラスボスがアタシみたいな中ボスより迫力がないと威厳がないでしょ! アタシより強い役なんだから!」

留美「……ふふっ! なら、今度お願いしようかしら」

ーーーーーーーー………


留美「…………!」

P「……あの、留美さん? どうしました?」

留美「その……、今まで着物やハロウィン衣装なんかの写真撮影だった私が、いきなりテレビのメインキャストだなんて……!」

P「ハロウィンの時の衣装を見て、留美さんに悪役をやって貰いたいって、監督はかねてより考えてたらしいので」

留美「そう……! 私って、運がいいわ!」

P「いいえ、これは留美さんの魅力と実力ですよ!」

P「留美さんが少し気にしてる目つきも、なんだかミステリアスな雰囲気も、他のアイドルにはない立派な武器なんですから!」

留美「Pさん……!」

P「さ! かなりでかいお仕事ですからお祝いでなにか食べましょうか! 晩は何にします?」

留美「……あっ! その、今すぐでもいいかしら?」

P「え? 今すぐ、ですか? お弁当食べたばかりじゃ……」

留美「えっと……」

P「ふう。……はっはっは!」

留美「……もう」

P「何かと思えば クレープが食べたい なんて、留美さんもまだ女の子ですね」

留美「いいでしょう……? 甘いものは別腹なんだから」

P「ええ! さ、買ってきますよ。何がいいです?」

留美「あ、そのことなんだけれど! わ、私が買ってくるわ! Pさんの分も!」

P「そ、そうですか? じゃあ、代金くらいは俺に出させてください。はい、2千円。俺はチョコバナナカスタードで」

留美「あ、ありがとう……。じゃあ、行って来るわね」

ーーーー……


留美「はい、チョコバナナのカスタードクリームクレープ」

P「お! ありがとうございます。やっぱりこれだよなぁ。留美さんは何にしたんです?」

留美「え!? その、わ、私もチョコのクレープよ?」

P「クレープ生地とチョコの相性はいいですからねー。いただきまーす」

留美「いただきます。あむっ…。んぅー! 美味しいわね!」

P「んむっ。んぐんぐ……。うん! 甘くて美味い!」

留美「はむっ……。んー…! やっぱりこの味……! あむっ!」

P「もう、留美さん? ペース早いですよ?」

留美「あ、ごめんなさい。あんまり美味しくて」

P「あ、口元にチョコが付いてますよ?」

留美「えっ? あ、やだ…、みっともない……」

P「ハンカチハンカチっと……。拭きますからじっとしてくださいね?」

留美「え!? そ、そんな、子供じゃないんだから……」

P「いいんです。はい、ぐしぐしー……」フキフキ

留美「んぅ……」

P「はい。綺麗になりました」

留美「その、ありがとう……」

P「……留美さんの可愛い所は、真面目でしっかりしてるけど、どこか抜けてる所ですよね」

留美「か、かわ…! その、あ、ありがとう……」

留美「……えへへ」

P「さて。……ん? このチョコ、いや? これチョコか?」

留美「あっ……!?」

P「……くんくん。お? この匂い……!」

留美「…………!」

P「ちょ! ちょっと! 留美さん! そのクレープよく見せてください!」

留美「い、嫌よ!」

P「えーい! 背を向けるとは! くすぐりますよー? いいんですかー? さーん、にー、いーち……」

留美「うっ…、わ、わかったわ……」

P「もう。ほら、早く見せてください」

留美「うぅ……」

P「……な、なんだこれ!? クレープ生地の中にキャベツとかイカ天とかお好みソースとか入ってる!?」

留美「そ、その…。お好み焼き風クレープ……」

P「……るーみーさーん!」

留美「や、やっぱり! 私には大好きな物を我慢するなんてできないわ! こればかりは! こればかりは私の好きにさせて! お願い! なんでもするわ!」

P「……はぁ。今、何でもするって言いましたね?」

留美「え? そ、そうだったかしら……?」

P「もう量を制限したりはしませんから。せめて、せめて控えめに抑えるように意識だけ! これだけは心がけてくださいよ!」

留美「Pさん……! ありがとう! 私、心がけるわ!」

P「絶対ですよ? さ、早くみんなに教えてお祝いしましょうか! じゃあ、帰りましょう!」

留美「あ、それと……、少し寄りたい所があるわ!」

P「……スーパーですね?」

留美「ええ!」

留美「お好みソース、買って帰るの!」




留美さんお誕生日おめでとうございました!あと、総選挙ではいい順位になるよう尽力します!

お付き合いありがとうごちそうさま。これにて完結です。
留美さんだって可愛さと美しさは美優さんにだって負けてない!

それではネタが浮かべば、またいつか。

ーーおまけ?ーー


留美「」

P「いや、そりゃあのデカいサイズが東京に置いてあるわけないじゃないですか……」

留美「こ、こうなったら業務用スーパーよ! 私が運転するわ!」

P「えぇっ!? る、留美さん運転上手いけどめちゃくちゃ荒いですし……」

留美「ぶつからなければいいの! さあ、行くわよ!」

P「ええぇーーー!?」



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