八幡「葉山は俺から全てを奪った」 (297)

葉山「もう俺達も3年だね」

八幡「そうだな」

葉山「思い返せば、2年の時と3年の時で本当に色々あったね」

八幡「色々あり過ぎたな…特に最近は」


葉山「へえ、例えばどんなことだい?」

八幡「白々しい奴だな、お前の差し金だろ?」

葉山「なんのことかな?」

八幡「お前は…」


葉山「ははは」

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八幡「一体なんの真似だ?」

葉山「だから何のことだい?」

八幡「とぼけるなよ、例えば一色だ」

葉山「いろはが?なにかな?」

八幡「奉仕部に来なくなったぞ」

葉山「彼女も忙しいんだろ、生徒会でね」

八幡「それだけとは思えんけどな」


葉山「元々部員でもないんだからいいじゃないか」

八幡「まあそれはそうだが…」

葉山「他にあるのかい?」

八幡「由比ヶ浜がよそよそしい」

葉山「ああ、それは…俺たちのグループの一員だしね」

八幡「それは前からだろうが」

葉山「だからじゃないかな?もう奉仕部だって引退の季節だろ」

八幡「それはそうだが」


葉山「はは、じゃあ猶更変なことでもないよ」

葉山「俺や優美子と結衣は親友と呼べる間柄だしね」

八幡「…俺は違うって言うのか」

葉山「少なくとも、君よりも関係は深いよ」

葉山「君は普段教室ではほとんど話さないじゃないか」


八幡「…」

葉山「今まで変な勘違いでもしてたんじゃないのか?」

八幡「勘違い?由比ヶ浜とのことか?」

葉山「そうだよ、本物なんてないさ」

八幡「!…誰から聞いた?」

葉山「おっと、いけないけない」

八幡「おい」


葉山「話を変えるけど」

八幡「変えるなよ、誰から聞いたんだ?」

葉山「しつこいな君は。誰からでもいいだろ?」

葉山「それとも勘違いを悟って焦ってるのか?」

八幡「葉山…」

葉山「話はそれるが、もう結衣に近づかない方がいいよ」

八幡「どういうことだ?」

葉山「噂になってるの知ってるだろ?ストーカー疑惑と言えばいいのか」

八幡「……」

葉山「勘違い野郎のレッテルを貼られてるぞ」

八幡「俺が由比ヶ浜に言い寄ってるっていうあれか?」

葉山「きっとそれだね」

八幡「そんなことは…」


葉山「見た目が釣り合ってないからだろ。そういう噂がたってしまうのは」

葉山「特に男の方が底辺だとそういう噂になるさ」

八幡「お前…言いたい放題だな」

葉山「自覚はあるんだろ?前から底辺だみたいなこと言ってたじゃないか」

八幡「お前…変わったな」

葉山「素直になったと言ってほしいな」

八幡「なんか色々とマイナス方面に変わってるぞ…」

葉山「ああ、大丈夫だよ。君の前だけだこういう発言をするのは」

八幡「…俺には本性見せてるのか」

葉山「まあな。君が漏らしたところで誰も信じないしね」

八幡「確かに…」


葉山「最近は戸塚を狙ってるって噂もたってて、かなり引かれてるから注意した方がいいな」

八幡「おい…お前が噂たててるだろ…それ」

葉山「さあ?…どちらにしろ、噂の出所なんていいんだよ」

葉山「火のない所に煙はたたないんだから」

八幡「お前…最悪だな…」

そのころ

三浦「戸部、隼人知らない?」

戸部「いんや知らない」

三浦「ちぇ、どこ行ったのかな」

結衣「ヒッキーと出て行ったみたいだけど」

三浦「えっ?それってマズイんじゃ」

結衣「ええっ?なんで?」

三浦「だって、ヒキオと一緒とか…変な噂たつし」

結衣「変な噂って…ヒッキーは別に」

三浦「結衣?あんた優しすぎるし、あいつ変な奴とは思ってたけど」

三浦「男も狙うとかキモ過ぎるし」

結衣「彩ちゃんのことか…あれは…あはははっ」

戸部「でも、あの噂結構広がってるらしいじゃん?」

戸部「やべ~わ~ヒキタニ君、マジキモイわ~っ」

三浦「結衣もあーしらと一緒にいるし」

結衣「ええ…でも、ヒッキーは…」

三浦「あんたもストーカーされてるとか噂たってるしさ」

結衣「あれは…」

三浦「相模みたいな奴に、いい的にされるよ?とにかくしばらく近づくなって」

結衣「で、でもさ…」

三浦「奉仕部だってもう行かなくてもいいんでしょ?」

結衣「それは、そうだけど…」

三浦「元々ヒキオと付き合いあるのが変なんだし」

戸部「それじゃさ~、カラオケでもいかね?」

結衣「えっ、カラオケ?」

戸部「そそ、いろはすも誘ってさ~」

三浦「まあいいんじゃない?隼人も来るだろうし」

結衣「じゃ、じゃあヒッキーも…」

三浦「駄目に決まってるでしょ」

結衣「う…」

戸部「いや…ヒキタニ君とか呼んでもつまんないべ?」

戸部「気遣うのもあれだし」

三浦「ま、そういうことね。あと海老名誘おっか」

戸部「賛成賛成~」

結衣「ヒッキー……」

ガラガラ

結衣「あっ…」


八幡「……」ガタ


「ひそひそ…」

「うわ~~」


三浦「いきなり噂されてるし」

戸部「うっわ、ヒキタニ君有名人だし…」

三浦「有名の意味合いが違うけどね」

結衣「……」


葉山「やあ」

戸部「あ、隼人くん~」

葉山「どうかしたのかい?」

三浦「隼人さ、ヒキオと一緒で大丈夫だったの?」

葉山「はは、比企谷はなにもしないよ」

三浦「ならいいんだけど…」


葉山「彼も色々噂はたって大変だな」

三浦「身から出た錆みたいなもんでしょ」

葉山「まあ、そうかもしれないが」

三浦「去年の夏だって、あーしら悪者にされたし」

戸部「あ~そんなんあったね~」

三浦「文化祭の時もそうだし」

結衣「……」

三浦「解決の仕方が強引っていうか…やり過ぎてんだってあいつは」

葉山「だから敵を作りやすいね」

結衣「敵…」


戸部「あ、噂って言えばさ…隼人くんのあれはどうなん?」

葉山「噂…ああ、あれか」

三浦「……」

結衣「あ、ここで話すのはさ…」

三浦「あーしは平気だって」

葉山「そうかい?それなら…雪ノ下さんのことだろ?」

戸部「そうそう」

三浦「…付き合ってんの?やっぱり」

結衣「…」

戸部「やっぱり、本当なん?隼人君」

葉山「いや…付き合ってないよ。ただ…許嫁だけどね、今は」

三浦「許嫁…」

戸部「じゃあ、時々一緒に歩いてるって噂がたつのは…」

葉山「別に恋人同士だからじゃないよ」

戸部「あ~なんだ、そうなんだ~」

三浦「でも…一緒のことでしょ?最終的には」

葉山「ああ、親の決めたこととはいえ…お互い了承済みだしね」

結衣「ゆきのん…」

戸部「うわ…なんかそそる展開だわ、これ」

三浦「童貞っぽい発想だからやめろっての」

戸部「優美子抉るわ~、俺の心バーストだわ…マジで」


葉山「おいおい、照れくさいからやめてくれよ」

結衣「は、隼人くんさ…」

葉山「ん?なにかな、結衣?」

結衣「あ、ううん…おめでとうって言えばいいのかな?」

葉山「ああ、ありがとう」

ワイワイ


八幡「……」チラ


戸部「隼人くん~それはないわ~」


葉山「いやいや、ありえるさ。お前ならいけるよ」

三浦「戸部と海老名とか…ありえないし」

戸部「優美子、マジでおかんだし…」

結衣「優美子もはっきり言ったら駄目じゃん、可愛そうだよっ」


三浦「いや、結衣も大概ひどいし」


八幡(自然な光景だな…前から思ってたが)

八幡(さっきの葉山が嘘みたいだ)


「なんか、こっちみてない?」

「やだ…」


八幡(適度に噂もされてる…おいおい、なんか中学の頃に戻った気分だな)

ヒソヒソ ヒソヒソ


八幡(由比ヶ浜は向こうでも楽しくやってるか…)

八幡(いままでの奉仕部でのことが奇跡的だったかな)

八幡(久しく感じてなかったけどな、この疎外感は)

八幡(しかし、よく考えたら…去年の文化祭でも同じことあったしな)


八幡(中学の頃は折本に噂出されたんだっけか)

八幡(去年は相模…それで今回は葉山…おいおい)

八幡(全員けっこうな美男美女じゃねぇか…俺はリア充と揉める星に生まれたのか?)



結衣「……」

三浦「結衣~どうしたん?」

結衣「ううん、なんでもないよ?」

三浦「ヒキオの方見てたでしょ?」

結衣「う…うん…」

三浦「あいつ、こっちチラチラ見てるし…普通にキモイし」

結衣「あはは…それは否定できないかな」

三浦「あんた、前に寝たふりしてるのが超キモイとか言ってたでしょ」

結衣「あ、うん。あれも超キモイよね…」


三浦「う~ん、やっぱ釣り合って無さ過ぎるわ」

結衣「え…?優美子?」

三浦「今だと絶対変な奴の的にされる」

結衣「優美子…それって…」

三浦「外見を繕う努力しないヒキオが悪いし」

三浦「結衣はあーしが守るし」

結衣「優美子…」

三浦「とにかく、今日はカラオケ行くよ」

結衣「う、うん……」

放課後


八幡「やっと放課後か…帰るか」

戸塚「あ…八幡…」

八幡「戸塚…?」

戸塚「や、やあ」

八幡「おう、部活か?」

戸塚「いや、今日は平塚先生に呼び出されてさ…進路のことで」

八幡「マジか、そういやもう引退だもんな」

戸塚「うん、八幡の奉仕部も引退でしょ?」

八幡「ああ、先生からこの前終了の報告があったしな」

戸塚「そっか、そうなんだ」

八幡「なあ、戸塚」

戸塚「なに?八幡」

八幡「よかったら、先生の面談の後一緒に…」


「ヒソヒソ」


八幡「あ、いや…」

戸塚「…?僕もう行くけどいいかな?」

八幡「おう」

戸塚「うん、それじゃあね」


八幡「…今は戸塚に迷惑だな」

八幡「…帰るか」

繁華街

いろは「いいんですかね~トップカーストの人々と一緒して」

三浦「その言い方あんま好きじゃないんだけど」

いろは「すみません」

結衣「全然いいと思うよ、いろはちゃんサッカー部のマネージャーなんだし」

いろは「最近は行ってなかったですけどね」

結衣「そういえば、奉仕部は引退する前もあんまり来なくなってたよね」

いろは「はい、生徒会忙しいのもありましたけど」

いろは「葉山先輩からお誘いもありましたから」

三浦「え…隼人から?うそ…」

いろは「まあ、葉山先輩はああいう人ですし、雪ノ下先輩いますから本気ではないと思いますけど」

いろは「というか戸部先輩とかもいたから、別にデートではないし」

三浦「あ、そうなんだ」

いろは「あ、でも誕生日プレゼントはもらいましたよ~」

三浦「……」

結衣「なんか不穏な空気…」


戸部「ねえ、隼人くん」

葉山「なんだ?」

戸部「隼人くんってさ、なんかちょっと変わった?」

葉山「変わった?俺が?」

戸部「うん、なんて言えばいいのかな…難しいけど」

葉山「…ちょっと考え方を変えたかもしれないね」

戸部「ん?」

葉山「社会的信用性の違いを見せつけたというか、そんな感じだな」

戸部「…うん?そうなの?」

海老名「社会的信用ね…ヒキタニ君とのかな?」

葉山「……」

戸部「えっ?どゆこと?」


海老名「さあ?どういうことかな~」

葉山(そういえば、鋭い人も何人かいたな)

葉山(爪が甘かったか、でももう遅いよ)

葉山(俺の勝だ比企谷。しかし、昔は元同級生から比企谷を救ったのに今は逆のことしてるね)

葉山(まあ、人生なんてそんなもんかな)


葉山(あとは、雪乃ちゃんを手に入れられれば)

校門

カラカラ

八幡「自転車引くのが重く感じる」

八幡「まあ、孤独には慣れてるしな、奉仕部も引退で自由になったし」

八幡「……暇になったな…本屋でも寄るか」

八幡「…」


雪乃「なら、私もご一緒しようかしら」

八幡「雪ノ下…」

雪乃「なに?その素っ頓狂な顔は」

八幡「それ、素っ頓狂って言いたいだけだろ」

雪乃「それより本屋に行くのでしょう?私も行ってあげなくもないわ」

八幡「待て、なんでそんな上から目線なんだ」

雪乃「なにかしら?不満でもあるの?」

八幡「別にないけどよ」

雪乃「さっき暇だと言ってたでしょう?女の人と帰れるんだから喜ぶことでしょう?」

雪乃「特に今のあなたの場合は」

八幡「…なんか見抜かれてる感があるぞ」

雪乃「事実でしょう、ストーカーさん」

八幡「根も葉もない噂だっての」



雪乃「まあ、いいわ。とにかく行きましょう」

八幡「……」

スタスタ カラカラ


八幡「…なあ」

雪乃「なにかしら?」

八幡「その…どうなんだ?」

雪乃「ぼやけすぎてて意味がわからないわ」

八幡「葉山と…」


雪乃「許嫁の話ね」

八幡「ああ…」

雪乃「本当よ、以前にも言ったと思うけど」

八幡「お前のことだから、断ると思ってた」

雪乃「そうね…実際はそんな簡単なものではなかったわ」

八幡「そっか…お前の家系、上流階級だしな」

雪乃「ただの議員よ」

八幡「雪ノ下さんはなんか言ってるのか?」

雪乃「基本的には親の決めたことになるから…姉さんは」

八幡「姉さんは?」

雪乃「どうかしら?まだ意見は聞いてないわね」

八幡「おいおい、なんだよそりゃ」

雪乃「姉さんだって、大学生の身よ?権限なんてたかがしれてるわ」

八幡「あの人がたかがって…なんかもう怖いですホント…」


雪乃「まあ、姉さんはそういうしがらみは引きちぎりそうな雰囲気はあるけれど」


八幡「お前はどうなんだよ」

雪乃「私?」

八幡「葉山との結婚、いいのか?」

雪乃「………」

八幡「おい」


雪乃「あなたは…」

八幡「えっ?」


ピリリリリ


八幡「着信?」

雪乃「もしもし?」

雪乃「……葉山くん」


八幡「…!」

雪乃「ええ…ええ…」

八幡「……」


雪乃「…わかったわ」

ピッ

八幡「雪ノ下?どうした?」

雪乃「ごめんなさい、用事ができてしまったわ」

八幡「用事?」

雪乃「葉山くんに呼ばれたのよ…」

八幡「…そうか」

雪乃「いえ、あなたとの約束が先だったから断るわ」

八幡「行って来いって、俺のは別に約束でもなんでもないだろ」

雪乃「でも…」

八幡「許嫁との関係が悪くなってもあれだろ」

雪乃「十分悪いでしょ」

八幡「それでもだ、行って来いよ」


雪乃「……わかったわ」

八幡「おう、じゃあな」

雪乃「ええ、それじゃ…あ、それと…」

八幡「ん、なんだよ?」

雪乃「さっきの件は今度話すわね」

八幡「おう…?」

スタスタ


八幡(さっきの件てどの部分だよ…)

八幡(しかし、葉山はなにがしたいんだ…?)

八幡「俺なんかの大切なもの遠ざけて…なんなんだよ」



スタスタ

雪乃「……」

葉山「やあ、雪乃ちゃん。こっちだよ」

雪乃「どういうつもりかしら?いきなり呼びつけて」

葉山「みんなでカラオケに来ただけさ、雪乃ちゃんも呼ぼうと思っただけだよ」


雪乃「あら、そう。みんながいるなら安心ね」

葉山「安心?」

雪乃「ホテルに連れ込まれる心配はなさそうね」

葉山「その気になれば、いつでもできるけどね。なんせ許嫁だし」

雪乃「……」

結衣「あれ?ゆきのんも来たんだ?」

雪乃「ええ、お邪魔ではないかしら?」


三浦「邪魔だけどね、ヒキオと仲良くしてればいいのに」

雪乃「どうしてもと呼ばれたのよ、葉山くんに」

三浦「…あっそ」


戸部「おお~いいじゃんいいじゃんっ!一気に華やかになったじゃん~!」

三浦「は?あーしらは華やかじゃなかったと?」

いろは「戸部先輩~?聞き捨てなりませんね?」

戸部「あ、いや…そういうことじゃなくて…」


雪乃「賑やかね」

結衣「うん、そうだね」

雪乃「奉仕部とは大違いね」

結衣「うん、そうだね」

雪乃「でも、私はあの静かな雰囲気の方が性に合ってるわ」

結衣「ゆきのんはそうかもね、あたしは…」

雪乃「…」


結衣「あたしは、両方大好きだよ。優劣なんかつけられないくらい」

雪乃「あなたらしいわね」


葉山「積もる話というのもあれだし、歌おうか」

雪乃「…ええ」

結衣「うん、じゃあトップバッター行こうかなっ」

戸部「おお、結衣からっ?腰とか振りまくってな~~せっかくだしっ!」

結衣「ええっ…そ、それは…」

三浦「戸部、死ね」

いろは「戸部先輩そういうの本当にいいんで」

海老名「う~ん、今のはないかな?」


戸部「」

葉山「ははは、大変だな戸部」

戸部「隼人君…笑いごとじゃないって~冗談なのに…」


三浦「嘘つけ、スカートなのいいことにあわよくば下着見ようとしてたくせに」

結衣「うわ…」

雪乃「最低ね」

戸部「いや、ほんともうすみませんでした…」

いろは「ま、戸部先輩はどうでもいいんで歌いましょうか~」

「お~~~う」

八幡「家帰ったはいいが…勉強てのもな…大体復習も終えてるし」

八幡「どうするか」

八幡「…あいつら、今頃楽しんでるのかな」

八幡「雪ノ下はともかく、由比ヶ浜は楽しんでて普通か」


小町「おに~ちゃ~ん」

八幡「おう、小町。どうした?」

小町「かー君がさ…なんか元気ないんだけど」

八幡「なに?マジか?」

小町「元気ないっていうか…アンニュイな感じ」

八幡「アンニュイ言いたいだけだろそれ」

八幡(それにしてもなんだ?俺の気持ちとシンクロしてんのか?)

小町「元気ないお兄ちゃんのアンニュイが移ったかな?」

八幡「そいつは元々アンニュイだろうが」


小町「それはそうだけどさ、お兄ちゃんはあれかな?」

八幡「なんだよ、あれって」

小町「だってさ…なんか噂が来てるよ?小町の教室にも」

八幡「マジか?」


小町「奉仕部でストーカー騒ぎがなんだとか」


八幡「はあ、事実無根だからな」

小町「うん、わかってるけど…変な噂たっちゃったね」

八幡「全くだ…」

八幡(なんでこんな目にあわないといけないんだ…)

八幡(もう慣れてるもんだと思ってたが…少し間が開くと、耐性って下がるのな)

………

結衣「やった~~~!ストライクっ!」

三浦「おお~結衣、すごいじゃんっ」


戸部「いえ~~~いっ」

いろは「結衣先輩、さすがです~~っ!」

海老名「なんかすごいテンションだね~」


葉山「楽しんでるかい、雪乃ちゃん」

雪乃「…そうね、少しは」

葉山「俺が目の前に来た瞬間に嫌な表情になるね」

雪乃「そう思うなら放っておいてほしいわね」

葉山「そうも言ってられないさ、これからがあるんだから俺たちは」

雪乃「…」

葉山「そういうことは、早めに済ましておいた方がいいと思うんだ」

雪乃「やめてちょうだい、虫唾が走るわ」

葉山「雪乃ちゃん…やれやれ」


チュ


雪乃「む…むぐ…!!」

葉山「チュ…チュ…ん」

雪乃「ん…む、むう…!」


三浦「はや…ええっ!?」

戸部「は、隼人くん…!?」

いろは「は、葉山先輩…?」

海老名「き、キマシタワ~~…じゃないか、残念」


雪乃「ぷはっ……な、なにをするのよ…あなたは…!」

葉山「いや、まあなんとなくね」

雪乃「信じられないわ…こんなところで…!」

葉山「人目につかない所ならいいのかな?」

雪乃「そういうことじゃないでしょ…!」


三浦「……!!」

いろは「あ、三浦先輩が声にならない声を」

戸部「優美子落ち着けってばっ」


結衣「ゆきのん…隼人くん…」


………


小町「意外だよね、雪乃さんに許嫁なんて」

八幡「まあな」

小町「しかも相手が」

八幡「おう、そうだな」

八幡(許嫁…雪ノ下と葉山がね)

八幡(どうしても、変な妄想してしまうな…ほら、あれだ)

八幡(もうキスとか済ましてんのか?今頃してるとか…?いや、まさかな)


八幡「…」イライラ

小町「どうしたの、そわそわして?」

八幡「いや、なんでも」

小町「そう?あとさ、結衣さん達とも距離できてるんでしょ?」

八幡「そんな話、お前にしたっけ?」

小町「噂で来るんだって、三浦さんが結衣さん守ってるって」

小町「これで安心だみたいなさ」


八幡「なにそれ」

小町「けっこう噂が一人歩きしてるよ?お兄ちゃんの名前はあんまりわかってないみたいだけど」

八幡「そうか…小町に迷惑かかりそうか」

小町「それはないと思うけどさ」

八幡「いや、それは俺の沽券に関わることだからな」

小町「お兄ちゃんは小町至上主義だもんねっ」

八幡「おう、もちろんだ」

小町「でも、それと同じくらい結衣さんや雪乃さんも大切でしょ?」

八幡「……」


小町「いや、無言にならなくてもさ…」

小町「噂、いいの?このままで」

八幡「そうだな…」

小町「結衣さん達のこと気遣ってるんでしょ?お兄ちゃんのことだから」


八幡「今、噂が独り歩きしてる状態で俺と由比ヶ浜が近づくのは逆効果だろ」


八幡「特に由比ヶ浜に対するストーカー疑惑があんのに」

八幡「その辺りは、多分三浦も分かってると思うぞ」

小町「う~ん…なんか、自己犠牲っぽくない?」

八幡「あのな…自己犠牲のつもりはないっての」

小町「いつまで離れてるの?」

八幡「噂が収束するまで……卒業まで離れてた方がいいかもな、由比ヶ浜的にも」


小町「そんなの駄目だってっ」

八幡「そうか?もう奉仕部も引退なんだぞ?」

小町「いや、そうだけどさ」

八幡「由比ヶ浜は三浦や、葉山のグループでつるんでても普通だろ」

小町「そうだけど…せっかくさ、チャンスが来てたのにっ!」

八幡「チャンス?」

小町「む…えっと、雪乃さんはどうするの?」

八幡「雪ノ下はつるむも何も…葉山の許嫁だぞ」

小町「うぐ…そうだけど…」

八幡「…ま、そうは言ってもな…俺だって納得してるわけじゃねぇよ」


小町「え?お兄ちゃん?」

八幡「昔の俺なら、ほとぼりが冷めるまで空気のように生活してたと思うが」

小町「うんうん」

八幡(今回は犯人もわかってるしな、葉山…どういうつもりだ)

八幡(リア充のお前が、おれなんかを痛めつけて楽しいか?)

八幡「雪ノ下と由比ヶ浜…一色に戸塚も奪われたな」

小町「沙希さんは?」

八幡「川越さんか?どうだろうな」

小町「怒られるよ」


八幡「さて…どうするかね」

すみません、今はここまでにします

繁華街

結衣「あ~~楽しかったっ!久しぶりにいっぱい遊んだ気がするっ」

三浦「結衣は元気な方がかわいいって、やっぱさ」


結衣「や、やだな…優美子っ」

いろは「いや~思いっきり遊びましたね~」

海老名「驚きもあったしね」

雪乃「…」

葉山「はははっ」


戸部「うわ…俺達お邪魔虫かな?このまま消えた方がいいかな?」

葉山「いやいや、俺達も普通に帰るさ」

雪乃「…」

葉山「雪乃ちゃんがどこかへ行きたいんなら、付き合うけどさ」

雪乃「ふざけないで」

結衣「……」

三浦「結衣、なに考えてんの?」

結衣「え…えっと…」


三浦「ヒキオのことでしょ?」

結衣「…うん」

三浦「離れてるのが気になるんでしょ?」

結衣「…そうだよ…」


三浦「噂が広まってるからさ、今は忘れときなって」

三浦「ヒキオもそれ望んでるだろうし」

結衣「そうかな?」

三浦「ヒキオってそういう風に解決するでしょ?自分と距離置いて、待つみたいな」

結衣「ヒッキーなら…するかも」

三浦「じゃあさ、とりあえず今は離れといた方がいいって、昼にも言ったけど」

結衣「…う、うん…」

三浦「よし、決まり~。んじゃ、今度さ…」

結衣「うん」

海老名「え、なになに~?」

ワイワイ

戸部「じゃあ、俺帰るわ。いろはす送って行くべ?」

いろは「しょうがないですね、たまには乗ってあげます」

戸部「見事なまでに上から目線…」


雪乃「もう、帰るわ。それじゃ」

葉山「あ、雪乃ちゃん…つれないな」

葉山(ふう、なんとか上手く行ってるかな?)

葉山(比企谷…どんな気分だい?はははっ)

葉山(まだだよ、俺の攻勢は終わらない。これからだ)


葉山「元同級生から救ってあげた行為とは本当に真逆のことしてるな…」

葉山「ま、これも俺の信用の成せる業かな?」


葉山「君には色々と奪われたし…俺の自信も喪失させられた、ただのお返しだよ」

葉山「別に復讐って程のことでもない」


戸部「どしたん、隼人君?なんか言った?」


葉山「いや、なんでもないさ。帰ろうか」

葉山(俺の勝だ比企谷。しかし、昔は元同級生から比企谷を救ったのに今は逆のことしてるね)

葉山「元同級生から救ってあげた行為とは本当に真逆のことしてるな…」

↑これはなんのことだろう?

>>81
折本関連の話です

次の日


八幡「……」


「ヒソヒソ」

「うわ…こっち見たぞあいつ…!」

「名前なんだっけ…?ひき…たに?」


八幡(ヒキガヤだよ、今更過ぎるだろ)


三浦「つーか、結衣さ~」

結衣「え、なに?」

三浦「今朝、告白されたんだって?」

結衣「な、なんで知ってるの…!?」

三浦「ちょっとした横のつながりでさ」

結衣「優美子の横のつながりは広いから…特定できないよ…」

海老名「本当に?へえ~そうなんだ」

三浦「で、どうなん?どう返事したん?ゆm言うてみ?言うてみ?」

結衣「優美子…えっと、わかるでしょ」

三浦「断ったの?ふ~ん、そっか」

結衣「うん、まあね」

三浦「まあ、あーしのお眼鏡に叶わないと付き合わせないけどね」

結衣「優美子…お母さんじゃないんだからさ…」


八幡「…」

八幡(由比ヶ浜、告白されてるのか…まあ、わかる気もするが)

八幡(なんだこのモヤモヤは?インフルエンザか?いや、季節じゃないだろ)

葉山「……」チラ

八幡「…」

八幡(葉山と目が合ってるな…なんなんだ?)

八幡「……!」

八幡(まさか…これもあいつの差し金か?)



葉山「察しのいい彼は気づいたかな」

戸部「どうしたん、隼人君。独り言?」

葉山「いや、違うさ」

戸部「そう?」

葉山(結衣を利用してるみたいで心苦しいけど)

葉山(彼女も早く彼氏でも見つけて、ストーカーの噂収束させた方がいいしね)

葉山(まあ、ストーカーの噂流したのは俺だけど)

葉山(比企谷はどう感じてるかな?)

葉山(君が結衣と肩を並べるっていうのがまずありえないけどね)

葉山(少なくとも、クラスの大半がそう思ってる)

葉山(辛うじてマシなのは、彼との親交が少しあった俺たちのグループくらいか)


葉山(でも残念だね、比企谷。結衣には優美子もいるし)

葉山(グループとしても君より親交が深いくらいだ)

葉山(流されやすい彼女を君から話すのは簡単だよ、案外ね)


葉山(それから…彼氏を作るのも時間の問題かもね)

八幡「おいおい、なんだよあれは…葉山…」

八幡(こんなにあいつらリア充グループを見て不安になるなんてな…)


八幡「…くそ」


…………

昼休み


八幡「昼飯どうしよう…教室で食べるのもな」

八幡「…」チラ


結衣「…」チラ

八幡(由比ヶ浜と目が合ったか、でも話しかけない方がいいな。噂になる)

三浦「結衣~、昼買いに行くなら一緒に行かない?」

結衣「あ、うん。行こっか」

三浦「海老名も行く?」

海老名「うん、そうだね~いこっか」


スタスタ


八幡「…」

八幡「奉仕部引退したのが大きいな…あいつらと話す機会も極端に減ってるし」

八幡「奉仕部って偉大だったんだな」


材木座「八幡!」

八幡「…さて、どうするか」

材木座「無視をするな、八幡!」

八幡「なんだよ…急に現れて…」

材木座「八幡よ…孤立しているな?奉仕部がなくなって?」

材木座「だが、安心しろ八幡っ、我も同じだっ!同士なのだっ」

八幡「一緒にすんな、俺は……」

材木座「…?ん、どうした?」


八幡「ま、同じようなもんか」

材木座「どうしたのだ、八幡よ?いつもの言葉のキレがないぞ?」

八幡「お前はその話し方なんとかしろよ…」

材木座「我のことはほっておけっ」

材木座「う~む、八幡よ、相当にまいってるな」

八幡「お前に見抜かれるとか…もう死にたい」

材木座「やめろ、八幡。我の心は繊細なのだ」


八幡「もういいか?行くぞ」

材木座「待て、八幡よ。こういうこともあろうかと、同士を一名連れてきている」

八幡「は?お前に友達なんかいんの?」

材木座「友達というか、というより我とお前は友では!?」


八幡「違う」

材木座「即答っ!?」


川崎「ねえ、コント終わった?」


八幡「…川崎かよ」

川崎「…なに?なんか文句あんの?」

八幡「いや、なんにもねぇよ」

川崎「なんかあんたがはぶられてるって聞いたからさ」

八幡「ああ、そんな情報もあんのね」

川崎「奉仕部のストーカー疑惑は?あれなんなの?」


八幡「想像に任せる」

川崎「……」

八幡「……」

川崎「濡れ衣でしょ?」

八幡「正解」


川崎「まあ、あんたのこと知らなかったら、信じるだろうけどさ」

八幡「ああ、そうね」

川崎「由比ヶ浜って比企谷のこと好きでしょ?ストーカー関係なくない?」

八幡「…そういうことはっきり言うな」

川崎「あたしだって言いたいわけじゃないよ」

八幡(この感じは…川崎は平気か?)

八幡(あんまり、噂とか気にしてなさそうだしな)

八幡(というより、信用してもらってる?八幡、ちょっとうれしいぞ)


八幡「お前は俺を信用してくれてるんだな」

川崎「ばっ…!別に信用とかそんなんじゃないしっ!」

八幡「違うのかよ」

川崎「あ…えと…まあ、スカラシップの一件とかさ文化祭の一件とかあるし」

川崎「あんたとは…そんな薄い仲でもないかなって」

八幡「ああ、そんなこともあったな…ん、文化祭?」

川崎「あとは…けーちゃん連れて行った、バレンタインとかでも世話になったし」


八幡「うなぎ食いたがってたな」

川崎「まあ、そんなこともあったし、ストーカーとかはしないだろうなって思っただけ」

八幡「で、材木座に俺が孤独だからって連れてこられたのか」

川崎「まあ、そんな感じ全然会話してないけど」

八幡「おい、材木座。さっきから何もしゃべってないけど、なんか言え」


材木座「う、うーむ…八幡よ」

八幡「お前が無口になるのはわかってたが…はあ、まあいいや。助かった」

材木座「そ、そうか?」

八幡「というわけで、俺は行くぞ」

川崎「どこに?」

八幡「一色のところ」

川崎「生徒会長?」

八幡(全部奪われた気がしてたが…そうでもないな)

八幡(案外、爪が甘いな葉山)


………

葉山「彼女はどうするか対策を考えてたが…遅かったかな」

三浦「ん?なにが?」モグモグ

葉山「いや、なんでもないよ、優美子」


結衣「……なんだろう」モグモグ

海老名「あ、これおいしいね」モグモグ


戸部「なんか女性陣がかわいいべっ」


………


生徒会室

コンコン


いろは「は~~い、開いてますよ~」

八幡「入るぞ、一色」

いろは「あれ?先輩じゃないですか~~!久しぶりですねっ」

八幡「ああ、そういえばそうだな」

八幡「奉仕部があった頃も、後半は来てなかったからな」

いろは「そうですね、色々忙しくて」

八幡「まあ、俺も変な噂流れてたしね」


いろは「あ……そうですね…」


八幡「…」

川崎「…遠ざけてたってことか」

材木座「う~む、なるほど」


いろは「ご、誤解ですよ……全くなかったとは言えないですけど…ほら、ね?」

八幡「ま、学年の立ち位置もあるしなお前の場合」

いろは「はい…生徒会長選挙の前のような状態にはなりたくなかったですし…」

八幡「あの、無理やり候補にさせられた時か」

いろは「はい」

いろは「あの…先輩…?」

八幡「まあ、そんなことはいいんだが…」

いろは「なんですか?」

八幡「なんか俺に言うことないか?」

いろは「あう……」


八幡「まあ、葉山に言われたら仕方ないとは思うよ」

いろは「す、すみません…ごめんなさい」

八幡「本物発言言ったのお前か」

いろは「ご、ごめんなさい…」

八幡「よりによって黒歴史を葉山に…はあ」

いろは「うう……」

川崎「本物ってなに?」

材木座「ん~?」

八幡「聞くな…悶えたくなるから」


いろは「葉山先輩が、先輩のこと詳しく知りたいって聞いてきたんです…」

いろは「それで、葉山先輩の興味引けそうだって思っちゃって…その」

八幡「色々言ったのか…?」

いろは「す、すみません…葉山先輩に嫌われたくなくて…!」

八幡「そんなくらいで嫌われるなら、長続きしないだろどうせ」

いろは「そ、そうなんですけど…」


八幡「まあ、お前の葉山に対する想いはわかってるつもりだけどな」

いろは「ごめんなさい…本当に…」

八幡「まあ、それはもういい」

いろは「あの…葉山先輩、なんで先輩のこと聞いたんですか?」

八幡「ん?それは」

いろは「なにかするため…とか?」

八幡「いや、どうだろうな…多分揺さぶるため…か?」

いろは「はあ…?」


川崎「…まあ、比企谷の話ここまで聞いた限りだとさ」

八幡「なんだ?」

川崎「噂流してるのって…葉山なんじゃないの?」

八幡「…」

八幡(すげぇ、大正解)

いろは「え、ええ…!?ど、どういうことですか…?」

今日はここまでにしておきます

そのまま考えすぎでは?
つまり遠ざけられてるのが
仲を奪われたって感じに解釈してるんだろ

いろは「葉山先輩が…先輩に対してそんなことを?うそ…」

八幡「別に確証があるわけじゃないけどな」


川崎「もう決定的だと思うけど」

八幡「理由がよくわかんねぇんだよ…あいつがそんなことする意味あるか?」

川崎「それは…」


材木座「我、出番ない」

いろは「あると思いますよ」

八幡「…は?マジで?」

いろは「はい、葉山先輩が先輩を貶める理由だったら…あると思います」

八幡「意味わからん」

いろは「嫉妬じゃないでしょうか」

八幡「葉山が?嫉妬…?」

いろは「先輩の内面に憧れがあったんですよきっと、トラブル対処能力みたいなものに」

八幡「おいおい…そんなところかよ」


いろは「憧れてたのは事実だと思いますよ、わたしと出かける時も先輩のこと買ってる口ぶりでしたし」

八幡「嬉しくねぇ…」

いろは「それと…好きになれないとも言ってました」

八幡「そうか」

いろは「わたしが否定した時も、「いろはも彼の味方か」って言ってましたよ」


八幡「……?」

川崎「…予想だけどさ」

八幡「なんだ、川崎?」

川崎「寂しさ感じてるのって、葉山も同じじゃないの?」


八幡「ん?寂しさ…?」

川崎「今の比企谷も寂しいから、こういうことしてるんでしょ?」

八幡「おい…待て」

いろは「え?先輩、寂しかったんですか?」

八幡「いや、ちょっと待て話を勝手に進めるなよ」

いろは「あ~、やっぱりわたしが奉仕部に行かなくなってから寂しさ感じてたんですね?」

いろは「なるほどなるほど」


八幡「今は何言っても駄目そうだな…」

いろは「先輩、この噂どうするつもりなんですか?」

八幡「そうだな…ほとぼりが冷めるまで待つつもりだったが」

いろは「それだと、雪ノ下先輩や結衣先輩とも希薄になりそうですね」

八幡「そうだな…というかお前が言うか」

いろは「あはは…すみません」


八幡「お前はどうするんだ?やっぱり、俺とは距離置いておくか?」

いろは「いえ…わたしが間違ってました。いつも通り接しさせてください」

八幡「いいのか?変な噂たつかもしれないぞ、ストーカーみたいな」

いろは「先輩が解決してくれますよね?信用してますもん」

八幡「はあ、なんだそれ…」

いろは「でも…その…」


八幡「葉山を敵に回すかもしれないぞ。いや、回すな確実に」

いろは「……」

八幡「その辺りは良く考えて、俺に話しかけて来いよ」

いろは「わかりました…」

ガラガラ



八幡「まあ、あとは一色の問題だしな、俺との距離も考えるだろ」


川崎「どうすんの、この後?」

八幡「さあ、どうしようかね」


教室

ガヤガヤ

八幡「…」

八幡(相変わらず、見られてるな。影のような俺がこんなに目立つなんて)

葉山「今度の休みにどこかへ行くかい?」

戸部「あ、いいじゃん。何処いくよ?」

葉山「そうだな、買い物でも…」


海老名「う~ん、でも結衣、もったいなかったかもね」

結衣「え…なにが?」

海老名「ほら、告白してきた人。なんて言ったっけ?」

三浦「あいつ、隼人程じゃないけど人気あるしね。あーしとしてもあのくらいの奴ならいいかな」

結衣「だ、だから…なんだか前提が間違ってるよ~」

三浦「告白ってかなり勇気いるんだしさ、その後失敗したら意味ないんだし」

三浦「結衣も誠意を持って対応してあげてもいいんじゃない?」


結衣「う、うん…そうかもだけどさ…」

八幡「…」

八幡(葉山が嫉妬ね…俺に)

八幡(まあ、あいつに勝ってる部分もあるかとは思うが)

八幡(発端は雪ノ下じゃないのか…)



戸部「な、なあ…」

三浦「ん?なに、戸部?」

戸部「ヒキタニ君がこっち見てるけど…なんとかなんないのあれ?怖い」

三浦「ヒキオ…」


結衣「あ、あたしがそれとなく言ってくるね」

三浦「待ちなって、結衣」

結衣「え、優美子…でも」

三浦「戸部、我慢しなってそれくらい」

戸部「え…でもさ…」

三浦「ヒキオにも世話になってたし、いいでしょ」


戸部「あ…お、おう。しょうがないべ」

結衣「優美子…どういうつもり?」

三浦「別に、あんまあいつと関わらない方がいいって。前から言ってるでしょ」

結衣「う…優美子…」


…………

八幡「あーしさんは気づいてんのかね、まあどうでもいいが」

八幡「しかし…この距離保ってる方があいつらにとってもいいのは確かか」

「ヒソヒソ」

「きもい…」

八幡(この状況だとな…)


八幡「……」

川崎「比企谷」

八幡「川崎…どした?」

川崎「お昼…どう?一緒に」


八幡「お前とか?」

川崎「お弁当とか持ってきてないでしょ?あたしも買いに行くんだけど」

八幡「…なら、材木座と小町も呼んでいいか」

川崎「いいけど」

八幡「んじゃ、ちょっと待っててな」


川崎「あたしも弟呼んでもいい?」

八幡「あいつか…まあ、いいけど」

生徒会室


葉山「悪いねいろは。お昼を一緒にしてもらって」

いろは「いえいえ、葉山先輩なら大歓迎ですけど…」

葉山「なんだい?」

いろは「雪ノ下先輩はいいんですか?」

葉山「雪乃ちゃんとはまだ仲がね…これから埋めていければいいけど」

いろは「ああ、許嫁でしたっけ。大変なんですね」

葉山「思いのほかね」


いろは「…あの、葉山先輩…」

葉山「なにかな。いろは」

いろは「……いえ、なんでもないです」

葉山「?そうかい?じゃあ、今度の休みだけど」

いろは「今度のですか?」

葉山「遊びに行かないかい、他のメンバーも来るけどね」

いろは「…わかりました」

いろは「…」

小町「意外です…こんなメンバーでお昼とか」

大志「ほんとにね」

八幡「お前は呼んでないけどな」

川崎「ちょっと、大志に突っかからないでよ、怒るよ」

材木座「う~ん、我は微妙に居心地が」


小町「沙希さんもすみません。兄が不肖なばかりに気を遣わせてしまって」

川崎「いや…いいけどさ。ていうか兄弟とは思えないくらい礼儀正しいよね」

小町「えへへ、よく言われます」

八幡「おい、俺をディスるなよ…泣いちゃうぞ」

小町「お兄ちゃんが雪乃さん達と仲戻さないから、気を遣わせてるんだよ」

八幡「それは…感謝してるが」

川崎「いや、いいけどさ。どうせあたしも一人だし、噂とか気にならないし」

材木座「我もだ!感謝するがいいぞ、八幡っ!」

八幡「ドヤ顔やめろ…」

小町「まあ不肖の兄ですけど、多分喜んでると思います」

大志「お兄さんは照れ隠しっすね」

八幡「おい…お兄さんはやめろってあれほど…」

大志「じょ、冗談っす…」


八幡「しかし…」

八幡(なんだこの面子は?おかしな面子だなホント)

八幡(悪くはないけど)

八幡(葉山…お前はやっぱり爪が甘いな)

爪じゃなくて詰めだよ

放課後


三浦「結衣、帰ろ~」

結衣「優美子…うん」

三浦「どこかに寄って行く?」

結衣「別にいいけど、ご飯くらいなら」

三浦「じゃ、そうしよ」

海老名「じゃあ、わたしもご一緒しようかな~」

三浦「んじゃ、出発」


スタスタ


八幡「あいつらは3人で帰るのか」

八幡「前までなら、由比ヶ浜と二人で奉仕部だったが」

八幡「これが自然の流れだな」


戸塚「八幡、帰るの?」

八幡「戸塚…まあな」

>>160-161
全く気にしてなかった、指摘サンクスです。

戸塚「じゃあさ、一緒に帰らない?」

八幡「…いや、やめとく」

戸塚「えっ?八幡?」


八幡「すまん、用事あるからまたな」

スタスタ

八幡「くそ…」


八幡「葉山…あの噂だけは大したもんだよ」

八幡「俺から戸塚を遠ざけるには十分過ぎる…」

八幡(戸塚を狙ってる…確かに気持ち悪さMaxでしかも、嘘でもない…完璧だな本当に)


八幡「…くそ」スタスタ

下駄箱


いろは「あれ…先輩…」

八幡「一色か…こんなところでなにしてんの?」


いろは「え、えっと待ってるんです」

八幡「待ってる?」

いろは「葉山先輩たちを」

八幡「一色…」


葉山「ゴメン、待たせたね、いろは」

戸部「あれ、ヒキタニ君もいんじゃん。なにしてんの?」

雪乃「…」

八幡「雪ノ下も…」

葉山「みんなで帰るところなんだ。君もかい、比企谷?」

八幡「まあ、帰るところだな」

雪乃「そう…」


八幡「雪ノ下も帰るのか?」

雪乃「ええ、少し彼らと寄るところもあるのだけれど」

八幡「一色もか?」

いろは「…はい、先輩」


葉山(彼がいたのは予想外だったけど、これは怪我の功名かな)

葉山「君も来るかい?せっかくだし」

八幡「俺が行くと思ってんのか?」

葉山「思ってないけどね、それじゃあ」

八幡「…」

いろは「…」

雪乃「比企谷くん、その…ごめんなさい」

戸部「ビビったわ~ヒキタニ君呼ぶとか、マジビビった~!」

葉山「おいおい、聞こえるぞ戸部…」


八幡「…この強烈な疎外感…久しぶりに感じたな」

八幡「戸部の奴は阿呆だから、なにも考えてないだろうけどな」

八幡「雪ノ下…一色…」

八幡(まさか、ここまで距離ができるなんて)

八幡(葉山がマラソンで言ってた、全てに勝つって台詞…こういうことだったのか?)

八幡「雪ノ下も決定できない奴だしな…流されてるのか?」

八幡「これは……あの人に話聞くか…あんま、気は進まんけど…はあ」

レストラン


三浦「あ~食べた食べた。ごちそうさま」

海老名「おいしかったね」

結衣「うん、体重が気になっちゃうけど」

三浦「そんなこと言ってさ、どうせ胸にしかいかないっての」

結衣「ちょ、優美子…セクハラ発言」

三浦「ああいうのって、女同士でもなんの?」

海老名「なるんじゃないかな~?」


海老名「でも、男の子同士だと…葉山くんと…」

三浦「擬態」ペシ

海老名「はい」

結衣「……隼人くんか」

三浦「結衣?どしたん?」

結衣「え…?ううん、なんでもないけどさ」


海老名「葉山くんって大分変ったよね?」

三浦「え?そう?隼人が?」

海老名「うん、気づかない?」

三浦「雪ノ下さんと付き合って…あ、キスとかしたから…まあ」

三浦「積極的にはなってると思ったけど」

海老名「それもあるけど…なんだろう、ほら、ヒキタニくんと話してたらしいから」

三浦「ヒキオと?ああ、あったね。あれがなに?」

海老名「……」

三浦「無言になってるし」

結衣「そのことなんだけどさ」

三浦「結衣?」

結衣「やっぱりさ、あたしヒッキーと離れたくないな」

三浦「結衣…」

結衣「優美子だってさ、ヒッキーが悪い人じゃないってわかってるよね?」

三浦「まあ、それくらいは…わかってるけどさ」

結衣「なら…噂があるからって離れるのは変だよ。事実を認めてることになりかねないし」

三浦「でもさ…今、一応受験期だし…格好の標的になるよ?」

結衣「それなんだけどさ…もっと話題作れば大丈夫じゃないかな?」

三浦「話題?なにすんの?」

結衣「えっと…」

そして…何日か経過


雪乃「比企谷くん…」

八幡「雪ノ下、どうだったんだ?」

雪乃「ええ、姉さんは会ってくれるらしいわ」

八幡「そうか、ありがとう」

雪乃「なんのつもりかしら…というのは野暮ね、大体わかるわ」

八幡「お前から聞くより確実だと思うしな」

雪乃「そうね」


八幡「お前、前に言ってただろ?いつか助けてくれって」

雪乃「そういえば言ってたわね」

八幡「できるかは知らんけどな」

雪乃「比企谷くん…私は」

雪乃「葉山くんに唇を無理やり奪われたわ」

八幡「…マジか」


雪乃「…でも不思議なのよ…わからないわ…嫌なはずなのに」


八幡「お前…それって」

雪乃「違うわ、そんなわけないでしょ?私は嫌悪感むき出しなのよ?」

八幡「じゃあ、なんなんだよ」

雪乃「だからわからないと言ってるでしょう?変な気分なのよ…」

雪乃「彼に対する嫌悪感は変わってないのに…」

八幡(積極的な葉山に戸惑ってるのか?それに許嫁という逃れられない鎖が効いてる)

八幡(恋愛初心者の雪ノ下にはちょっとキツイかもな。まあ、初心者の俺が言えることじゃないが)

雪乃「比企谷くん…こんなことあなたに頼めるのかわからないけど…」

八幡「なんだ?」

雪乃「私を助けて」

八幡「本屋行く約束、守ってもらわないといけないしな」

雪乃「ふふ、そうだったわね」


…………

教室


戸部「結衣、また告白されたって?」

結衣「うん、まあ…断ったけどさ」

戸部「え~またなん?もったいなくね?付き合ってみたらいいじゃん」

結衣「う~ん」

戸部「気になってる人とかいんの?」

結衣「…」

三浦「戸部、野暮だっての。やめときな」

戸部「え~?でも気になるじゃん、やっぱさ」

三浦「こいつは…」


海老名「バカなのかな?」

戸部「海老名さん…ぐふっ」

三浦「わお、クリティカルヒット」


結衣「あははははっ」

三浦「ねえ、結衣。本当にやんの?」

結衣「うん、ちょっと日にち開けてみたから、決心は固まったよ」

三浦「そっか、まあがんばってね」

結衣「反対しないの?優美子は」

三浦「結衣が決めたんなら、応援するのも重要でしょ?しっかり考えたんなら大丈夫っしょ」

結衣「優美子…ありがと」

海老名「結衣~ファイトファイト~」

三浦「失敗したら、あーしがやけ酒付き合ってやるし」

結衣「あはは、うん。わかった」


………

生徒会室


葉山「それじゃいろは、またね」

いろは「はい、葉山先輩…また」

ガラガラ


葉山「雪乃ちゃんは俺に戸惑いつつあるかな?積極的に行って正解だったね」

葉山「過去のわだかまりはデートや、身体のつながりでごまかせばなんとかなるかな」

葉山「雪乃ちゃんはそういうの慣れてないだろうしね」


葉山(結衣は…優美子たちがいるし、旨い具合に彼から引き離してる)

葉山(あとは、結衣が男からの告白にOK出してくれれば完璧なんだけど)

葉山(いろははなんだかんだで俺を選んでるね。多分俺に比企谷のこと話したのを後悔してるんだろうけど)

葉山(いろはも裏切ったりはしないだろう)

葉山(これで3人、戸塚は…あの噂だけで、比企谷の方から離れてる、しばらく様子見かな)


葉山(引き離せなかったメンバーが何人かいるのが心残りだが…それは仕方ないか)

葉山(後は、彼が卒業まで離れてくれてればいい、仲間想いの彼ならそうするはず)

葉山(この噂に流されるのは嫌うはずだからね)


葉山「はは、詰めの甘い部分もあったけど…俺の勝ちかな比企谷」

昼休み

八幡「また小町らと食べるか」

結衣「ねえ…ヒッキー」

八幡「由比ヶ浜…?どした?」

結衣「ちょっと話あるんだけどさ…いいかな?」

八幡「…話?」

結衣「うん、話」


「ヒソヒソ」

「あれ、ストーカーが…」

「おいおい、なんだ?」

八幡(すげぇ、由比ヶ浜どんだけ人気あんの?ちょっと話しただけでこれか)

結衣「ちょっと向こうで話さない?」

八幡「いいけど…大丈夫なのか?」

結衣「大丈夫だよ、優美子たちは」

八幡「そっちもあるけど…ま、いいか。わかったよ」

結衣「うん、行こう」

校舎の端


結衣「なんかさ、ちょっと久しぶりだよね。こうやって話すの」

八幡「奉仕部も引退だしな、いたって正常なことだ」

結衣「もう、そういうこと言うし」

八幡「冗談だ、噂も流れてたしな。色々あるだろ」

結衣「あ、やっぱりあたしの為だったんだ?」

八幡「まあな、それもある」


結衣「ありがと、うれしい。優美子もあたしの為にしてくれてたんだよ」

八幡「俺から遠ざけてたのはそういうことね、やっぱり」

結衣「あたし、凄くいい友達持ったよ」

八幡「そうだな、あーしさんらは良い人かもな」

結衣「うん、優美子も姫菜も親友だよっ」

八幡「そりゃ、よかったな。それで?話ってのは?このままリア充ライフ続けますって話でもないんだろ?」


結衣「うん、そうだね…えっとさ…ヒッキーとは…友達関係のままだとちょっと嫌かな」

八幡「…ん?」

結衣「あはは、去年の文化祭ではもう待たないって言ってさ、今年の初めにはそのままがいいって…」

結衣「なんかもう、あたし自身ブレブレなんだけどさ…」

八幡「ぶれてるよな、由比ヶ浜は元から。流され気質というか」

結衣「わかってるよ、そんなこと。でさ、今回奉仕部もなくなったし…」

結衣「そういうわだかまりも薄まったというか」


八幡「……」

結衣「それで、ストーカー疑惑とか噂出ちゃってさ…なんか悲しくて。ヒッキーそんなんじゃないのに」

八幡「…」

結衣「彩ちゃんの方はまあ、あり得るかもだけど」

八幡「おい」

結衣「あはは、うそうそ。それでね」

八幡「ああ」

結衣「ヒッキーの為にも、離れてた方がいいって優美子も言ってくれてたけど…」

結衣「あたしそれに従ってたけど」


八幡「おう、正しい判断だと思うぞ」

結衣「ヒッキーに対して誠実じゃなかったよ、そんなの」

八幡「…」

結衣「だから、あたしは…自分で考えて行動したんだ」

八幡「そうかよ、で?これがそうなのか?」

結衣「うん…えっと…その…すっごい緊張するけど…」


八幡「…?」

結衣「ずっと前から好きでした。付き合ってください」

八幡「……」

結衣「……」

八幡「は?」

結衣「う…なんか言ってよ…めちゃくちゃ恥ずかしいじゃん…」

八幡「いや、お前…意味がわからん…なんで告白なんだよ…?」

結衣「ええっと、考えたんだ…あたしがヒッキーに告白すれば…そっちの噂が広まるんじゃないかって」

八幡「いや…そうかもしれんが…」

結衣「それで、ストーカー疑惑の話とは矛盾するしさ…ほらいい感じじゃない?」


八幡「いや…どうなの?荒治療過ぎないか?」

結衣「そうかな、やっぱり」

八幡「つまり…告白は嘘告白か?」

結衣「もう捻くれてるんだから…本気だよ」

八幡「…」

結衣「そんなのヒッキーならわかるでしょ」

八幡「…」

結衣「一石二鳥って感じかな?」

八幡「珍しく四字熟語が合ってるな」

結衣「もうっ!ヒッキーのバカっ!」

八幡「ははっ」

結衣「あはは、やっと笑ってくれたね」

八幡「なんだよ、急に」

結衣「だってさ、最近のヒッキー…あたし達のグループ睨んでるように見えたから」

八幡「ああ…それね」

結衣「もしかして…疎外感感じてたのかなって…」

八幡「…感じてた」

結衣「あれっ?ヒッキーが素直だ」

八幡「まあ、偶にはな」

結衣「じゃ、じゃあさ…その…素直な返事も聞きたいな」

八幡「返事か…」


結衣「う、うん…ど、どうでしょうか?」

八幡「なんで敬語なんだよ」

結衣「しょ、しょうがないじゃん…」

八幡「ま、いいか…ええっと」

結衣「……!!」


……………

教室


海老名「あ、帰ってきた」

三浦「あの表情は…駄目だったかな」

海老名「ヒキタニ君もやるね~」

三浦「あいつ後で呼び出しかな」

海老名「優美子怖いって」


結衣「…」スタスタ

三浦「あ~結衣、落ち込むなって。やけ酒付き合ってやるし。愚痴でぶちまけな」

海老名「結衣…?」

結衣「…うまく、いった…」

三浦「えっ?あ、そうなん?よかったじゃん、なんでそんな表情してんの?」

結衣「自分でも信じられないよ…あのヒッキーが…嘘じゃないよね?」

三浦「まあ、現実かな」


結衣「…よ、よかったよ~~~」ヒックヒック

三浦「あ…泣くなって、結衣。こんなところで…!」

結衣「だ、だって…ヒッキーが~~っ」ヒックヒック

三浦「ああ、また喫茶店で話聞いてあげるから、ほら落ち着きなっての」

海老名「うんうん、でもいいことかな?色々悩みもあったんだろうね~」

海老名「ほんと、ヒキタニ君は罪深い…ん?」


「ひそひそ」

「ひそひそ」

海老名「……う~ん、また変な噂流れそう」


………………


放課後


八幡「あれから、由比ヶ浜の顔が見れなかった…」

八幡「あーしさんがいつも以上に睨んでた気もするが」

八幡「というか付き合うんだよな?なんか信じられんが」


八幡「まあ、今は…」

陽乃「ひゃっはろ~、比企谷くん」

八幡「この人に集中するか」

喫茶店

陽乃「しかし君から呼び出しはちょっと驚いたよ、お姉さんの魅力に気づいたかな?」

八幡「いや…ていうより聞きたいことがあるんですよ」


陽乃「ありゃ、つれないね」

八幡「大体わかってると思いますけど…」

陽乃「雪乃ちゃんのことでしょ?」

八幡「はい、許嫁の件ですね。あれって本当なんですか?」

陽乃「本当だよ~~っ」

八幡「…そうですか」

陽乃「少し残念かな?」

八幡「それはいいんすけど…ああいうのって当人の気持ちとか関係しないんですか?」

陽乃「知ってると思うけど、家って案外上流階級だからさ、そう簡単にはね」

八幡「はあ、そうなんですか」

陽乃「天皇家とかよりはマシみたいだけどね。あっちはガッチガチに固まってるから」

八幡「…ていうことは、雪ノ下と葉山の結婚は覆せないと?」

陽乃「大学卒業を目途にって感じかな?それまでに二人は身体の関係でねっとりと結ばれる」

八幡「はあ…」

陽乃「う~ん、意外とノーリアクションだね」


八幡「そんなこと言われましても」

陽乃「雪乃ちゃんのこと好きじゃなかったの?」

八幡「それは…わかりませんけど」

陽乃「ちょっとつまんないかな~」

八幡「…ふう」

陽乃「ん?どうしたの?」

八幡「一応、彼女できたんで」

陽乃「へえ、そっか。春が来たのか比企谷くん」

八幡「まだまだ、桜が咲いてもないですが」

陽乃「ということは季節は2月かな?」

八幡「…」

陽乃「相手は?誰かな?」

八幡「由比ヶ浜です」

陽乃「そっか~おめでとう。雪乃ちゃんも残念ね」

八幡「それと、雪ノ下さん」

陽乃「なにかな?」

八幡「許嫁の話、どこまでが本当なんですか?」

陽乃「ありゃりゃ、なんかつまんないよ比企谷くん、もっと右往左往してよね」 

八幡「嫌ですよ…面倒ですし」


陽乃「肝心なところは冷静というか、抜け目ないな~」

八幡「で?どこまでなんです?あの雪ノ下のお母さんがそんなこと勝手に決めるとか考えにくいんですが」

陽乃「なんでそう思うのかな?」

八幡「親は子供を腹痛めて生んでるわけですし…子供を不幸にしたいとは思わないでしょう」

陽乃「隼人が不幸にすると言いたいのかな?」

八幡「あいつと一緒になっても、絶対幸せになれないですよ、今の雪ノ下は」

陽乃「母さんはわたし以上に危険かもよ?」

八幡「だとしても、雪ノ下のこと可愛いと思ってるでしょ?一人暮らしも認めてるし」

陽乃「ふ~ん、なるほどね」

八幡「雪ノ下さんは、結構知ってますよね?雪ノ下は知らないって言ってましたけど」

八幡「今回の許嫁について」

陽乃「雪乃ちゃんそんなこと言ってたんだ?はあ、甘く見られたもんだな~」

八幡「嘘なんですか?許嫁って」

陽乃「嘘じゃないよ」

八幡「嘘ではないんですね、そうか…」

陽乃「でも二人には断れないこととしてるけど、実際はそうじゃないよ」

八幡「ていうことは…二人の行動を見る為に、餌をまいたんですか?」

陽乃「まあ、そんなところかな。雪乃ちゃんと隼人が一緒になった方が利益が大きいのも確かだし」

陽乃「でも君も言ってたけど、母さんだってバカじゃない。ちゃんと娘の心配はしてるよ」

八幡「まあ、当然ですね。そうじゃないと親失格ですし、今時政略結婚とか」

陽乃「あはは、言うね。まあそれで、二人の反応だけど」

八幡「はい」

陽乃「雪乃ちゃんは消極的、隼人は積極的だったかな」

八幡「はあ…意外ですね」

陽乃「ええ、隼人はともかく雪乃ちゃんはね、もっと拒むかと思ってた」

八幡「嫌悪感は持ってるって言ってましたよ」

陽乃「そうなんだ、じゃあ比企谷くんに助けてもらいたいのかな?」

八幡「そういうことか…」

陽乃「隼人は人が変わったみたいになったし、雪乃ちゃんは甘えん坊になったってことか」

八幡「…葉山に唇奪われたって言ってましたよ」

陽乃「へえ、隼人がそんなこと…へえ」

八幡「雪ノ下の奴、そういう強引な行動にぐらついてた…多分初めての感覚に」

陽乃「隼人なんだかんだでイケメンだしね~」

八幡「あいつにも助けてほしいって言われてます」

陽乃「そっか、どの道許嫁の話はなしの方向かな~こんなんじゃ」

八幡「そうですか、安心しました」

陽乃「比企谷くん」

八幡「はい?」


陽乃「これからも、雪乃ちゃんと仲良くやってあげてよね」

陽乃「泣かしたら承知しないぞ?」

八幡「あの…俺は由比ヶ浜と付き合うんですけど…」

陽乃「あははは、じゃあよろしくね~」

八幡「はあ…なに、この展開…」


八幡(でも、これである程度は解決したか?)

八幡(葉山の悪行を表に出すこともできるが…まあ、そんなもん俺らしくないしな)

次の日 学校


平塚「おはよう、比企谷」

八幡「あれ、先生。おはようございます」

平塚「なんだか大変みたいだな、君も」

八幡「はあ…変な噂流れてますからね」

平塚「今朝は由比ヶ浜を振ったとかなんとか言われてたぞ」


八幡「はあ?なんすかそれ…」

平塚「泣いている由比ヶ浜が目撃されたらしい」

八幡「泣いてる…はあ」

平塚「雪ノ下を選んだのか?」

八幡「いえ、違いますよ。話すと長くなるんでまた今度で」

平塚「わかった。君もしっかりな」

八幡「はい」

ガラガラ


八幡「…」

戸塚「あ、おはよう八幡」

八幡「戸塚…よう」


戸塚「なんだか、噂になってるけどさ」

八幡「由比ヶ浜と付き合うことになったんだよ」

戸塚「あ、そうなんだ?おめでとう」

八幡「ああ」


八幡「…」チラ

三浦「…」チラ


八幡(うえ…目が合ってしまった)

結衣「ヒッキー、やっはろー!」

八幡「お、おう…おはよう」

結衣「う、うん…おはよう、あはははっ」

海老名「結衣はヒキタニくんと付き合うのか~」

三浦「納得いかないし」

海老名「ま、いいじゃん。結衣、あんなに嬉しそうだし」

三浦「ふんだ」

海老名「それより、泣かしたことになってるね、噂」

三浦「ま、結衣のあの表情見てたら、すぐに消えるでしょそんな噂」

海老名「それもそうだね」


教室の外


葉山「…許嫁の話がなくなるなんて…はは」

葉山「しかも結衣と比企谷が付き合うなんて…どうしてこんな」

雪乃「葉山くん」

葉山「雪乃ちゃん…!」

雪乃「言いたいことはあるけれど…正直、私は自分を戒めるわ」

葉山「ど、どういうことだい…?」

雪乃「あなたにキスされたくらいで揺さぶられるなんて…信じがたいことだし」

葉山「そ、それなら…俺と付き合ってくれないか?許嫁なんて関係なしにっ」

雪乃「最初から、そう言うべきだったわね、あなたは」

葉山「そ、それは…」

雪乃「私も恋愛経験が無さ過ぎるからこういうことになるのよね」

雪乃「私も見つけようかしら、あなた以外の人を」

葉山「雪乃ちゃん…!」

雪乃「さようなら」スタスタ


葉山「そ、そんな…」

葉山「また…比企谷に帰属してしまうのか…みんな…」

葉山「結衣や雪乃ちゃん…いろはだって彼との関係の方が濃くなって行った…」

葉山「俺は…結局、負けるのか…」

いろは「そんなことないです」

葉山「いろは…いつからそこに…?」

いろは「わたし聞きましたよ、葉山先輩が先輩を貶めたって」

葉山「く…そうだよ、幻滅しただろ」


いろは「はい」

葉山「そうだね、やっては行けないことだった…弁解の余地はないよ」

いろは「そうですね、反省してください」

葉山「ああ、わかってるよ…」

いろは「わたしも一緒に反省しますから」

葉山「いろは?」

いろは「わたしも、先輩の情報流したから同じです」

葉山「あれは俺が聞いただけさ」

いろは「それでもです。それと、わたし葉山先輩の近くにいますよ」

いろは「葉山先輩のこと好きですから」

葉山「いろは…君は…」

いろは「多分、三浦先輩も同じこと言うと思います」

葉山「優美子か…彼女には真実を言おうかな」

いろは「はい、それから殴られてくださいねっ」

葉山「はは、なんだか怖いな」

川崎「…」

大志「姉ちゃん」

川崎「なに?」


大志「失恋でも女は強くなるんだってば」

川崎「なにマセタこと言ってんのよ…」

小町「お兄ちゃんの噂、1年のクラスにも来てますよ…ほんと」

川崎「へえ、有名人だねあいつも」

小町「というより、結衣さん有名過ぎ。さすがトップカーストメンバー」



雪乃「比企谷くん」

八幡「雪ノ下、めずらしいな、教室に来るとか」

雪乃「ええ、そういえばそうね」

結衣「やっはろー、ゆきのんっ!」

雪乃「こんにちは、なんだか奉仕部勢ぞろいって感じね」

結衣「いろはちゃんがいないけどね」

八幡「ああ、あいつは……まあ、答え出してるだろ」

雪乃「どういうことかしら?」

八幡「いや、なんでも」

雪乃「その…ありがとう。助けてくれたのね」

八幡「いや…俺なんにもしてないが、助ける前に終わったというか…」

雪乃「姉さんが直接的には関わってるのかしら?」


八幡「まあ、そんな感じだな。第一本気の許嫁なら俺は何もできなかったぞ」

雪乃「ええ、そうかもしれないわね。でも、あなたなりにがんばってくれたでしょう?」


八幡「まあ、そりゃあ」

雪乃「それで十分よ」

八幡「なんなんすか、雪ノ下さん。変な物でも食べましたか?」

雪乃「ふふふ」

結衣「ヒッキー…ゆきのん…いい雰囲気だね」

八幡「う…待て由比ヶ浜…別になにもないぞ?」

結衣「なによう…昨日からとはいえ、もう恋人なんだからね?」

八幡「わかってるから、そんな大声で言うな…悶えそうだ」

雪乃「まさか、二人が付き合うなんてね、驚いたわ」


結衣「あはは、うん」

八幡「お、おう…」

雪乃「由比ヶ浜さん、おめでとう」

結衣「ありがとう、ゆきのんっ!」

違ってたらごめんだけど>>1貞操観念の人じゃない?

戸部「…なんか、結衣が泣かされたって噂あったけど…え?ヒキタニくんと付き合ってんの?ええ~?」


「どういうことだよ?」

「ストーカーてのはデマか?」

「ここデマ多いしね~ほらこの前も、なんか葉山くんと雪ノ下さんが…」


三浦「…噂も収束すればいいけどね」

葉山「そうだね」

三浦「隼人…でもさ、最初の噂の出所がよくわかんないよね」

葉山「ああ、それだけどね優美子」

三浦「なに?」

葉山「君に言っておかないといけないことが…」


………


戸塚「八幡、今日は一緒に帰ってくれるよね?」

八幡「戸塚…俺は…俺は…」


戸塚「ええ?なに?どうしたの、八幡?」

八幡「この日をどれだけ待ったことか…」

結衣「うわ、ヒッキーきもいっ!あたしにしてよ、そういうのはっ」

八幡「戸塚の噂もいい感じに消えてくれた、よし戸塚解禁だ」


八幡(いつものメンバーが戻ってくれた…感謝かね)

八幡(なぜか、由比ヶ浜と付き合うというおまけ付きで)

八幡(一度は奪われた関係…でも取り返したぞ)

八幡(葉山…お前は二度と同じことすんなよ…今回だけだぞ許すのは)

八幡(さて、これでめでたし、めでたし…あれなんか忘れてるか?)



材木座「はちま~~ん、我のこと忘れてない?」


おわり

おわりました、どうもありがとうございました

>>236
違いますよ~

これはタイトルを『雪乃「葉山は私から全てを奪った」』に変えた方がいいと思うが

依頼して助けてもらっておきながらその助けてくれた雪乃の意中の人に逆恨みした
幼なじみに復讐目的で「娘の心配をしている」の母親によって婚約された上、
強制わいせつをうけ、貞操まで狙われている時に、
保身のために幼なじみに荷担して一緒にハブっていた親友に意中の人を取られた
わけだし

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年03月31日 (木) 22:25:54   ID: 3Lkms2WO

ここから、八幡のターン?!

2 :  SS好きの774さん   2016年04月01日 (金) 19:44:49   ID: ILyIqebD

後味良くもないし、
悪くもない、

3 :  SS好きの774さん   2016年04月02日 (土) 01:05:38   ID: Klg4k-9N

これクソおもんなそうで読む気ないけど内容だけ誰か教えて

4 :  SS好きの774さん   2016年04月02日 (土) 08:25:41   ID: EcSG56vA

嫉妬に狂ったアフォ共の茶番やで

5 :  SS好きの774さん   2016年04月02日 (土) 20:14:16   ID: GrW6rXvA

やっぱ葉山ってクソだわ

6 :  SS好きの774さん   2016年04月02日 (土) 22:04:05   ID: bPNx-boo

Hayama Equals Shit

7 :  SS好きの774さん   2016年04月03日 (日) 01:50:56   ID: cq04NXbR

前から思ってたけど、最後の流れで葉山を打ちのめさないところって俺ガイルというかわたりんの金と社会に負けた感が滲み出てるよな

8 :  SS好きの774さん   2016年04月03日 (日) 12:08:41   ID: cnKAoYMA

いろいろと整合性のない話だった。
んま、いろはが葉山についたのは面白かった。
いろはも三浦との両天秤で、愛人コースまっしぐらかなあ。
いろは嫌いだからいいんだけどね。

9 :  SS好きの774さん   2016年04月03日 (日) 23:24:39   ID: cnKAoYMA

仲間を徐々に奪われていってるのに、八幡はほぼ傍観。流石屑、最底辺の男だと思う。抵抗できない男なんて男じゃねえ。由依の告白以降、いい方に転がっただけの運任せ。雪乃に至っては、姉に尋ねる以前に決着はついていたみたいだし。八幡は何もいいところがなかったと思う。なんでこんな無能に人が集まるのか、本作では謎ですな。


10 :  SS好きの774さん   2016年04月04日 (月) 18:04:21   ID: igv4Qi16

やられっぱなしで泣き寝入りするような可愛げの
あるタマじゃないよな 八幡は

11 :  SS好きの774さん   2016年04月05日 (火) 21:37:26   ID: MsdyVXiW

と最底辺の皆様が仰っております

12 :  SS好きの774さん   2016年04月06日 (水) 03:47:13   ID: VrmYBVQf

※11
つ鏡

13 :  SS好きの774さん   2017年03月27日 (月) 11:50:45   ID: lO9fV60a

材木座と川崎は本当にいい奴らだね。

14 :  SS好きの774さん   2018年08月02日 (木) 08:59:44   ID: zeJUx32u

>9
ハイハイ、ワロスワロス

15 :  SS好きの774さん   2020年02月05日 (水) 07:34:17   ID: Ycz8gT14

>14
´・ω)つ鏡

16 :  SS好きのYcz8gT14さん   2020年02月05日 (水) 15:38:22   ID: Ycz8gT14

誤字です。
>14の人 こめんね?(ω・`)

>9の人 お前は原作を読んでから言え(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎、読んだ上での発言ならお前の目は盲目だ(。-∀-)、口を閉じとけヽ(´ー`)

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