この日……最上たち一行は、車に乗って山までやって来ていました。
快晴の春麗らかな野原に色鮮やかなシートを広げ、楽しいピクニックとしゃれ込んでいるのです。
最上「どうしよう、鎮守府に忘れてきちゃったみたいだぁ」ガクッ
満潮「まったくも~……着いてから思い出すなんて、呆れるわね」ハァ
ですが、当の最上はとても焦っていました。
なぜならここに来て初めて……
彼女が免許証を持たず、うっかりそのまま鎮守府を出たことを思い出してしまったからです。
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三隈「でも、今のうちに気が付いてよかったですわ」
時雨「そうだね、でも……帰る前になんとかしないと」
時雨「もしこのまま警察に見つかったりなんかしたら……」
最上「うぅ……」ゾワワ
……
…………
………………
ジャカジャカジャカジャカスキャーリィ
<トイウトデモオモッタカイ!?
<ソウテイノハンイナイダヨォ
提督「えぇ……再起動すんのかよ……」ポチポチ
提督「……うわこいつ爆発した!死んだ!」
ポイッ
提督「ダメ人間休日生活バンザ~イ、ゲームも飽きたしそろそろ飯にすっ……」
ヴーッ ヴーッ
提督「む、携帯が震えてる」
提督「何奴……」スッ
提督「もがみんだ」
提督「もしもしこちら神○市水道局です」
最上『えぇっ、水道局の人なの!?』
提督「嘘です」
最上『なんだぁ嘘か……って、そんなこと言ってる場合じゃないんだよっ』
最上『ちょっと、ボクの部屋を見てもらいたいんだけど……いいかな?』
提督「えぇ、部屋?んん?」
最上『今ボクたち、山に来てるんだけど……』
最上『実は、免許証を鎮守府に忘れちゃったみたいでさ、あはは……』
提督「あぁ、なんかもう色々分かった」ガクッ
提督「ちょっと待っててね」
……
…………
………………
提督「最上の生乳うめぇ~」ギチチ
最上「なんか嫌だなその言い方、ちゃんとセイニュウって言って!?」オロオロ
提督「アンパンと明○牛乳最高!」
三隈「ごめんなさいね、提督……わざわざここまで持ってきて頂いてしまって……」
満潮「へぇ~、こんな原付で山まで来たんだ」ジーッ
提督「滅茶苦茶怖かったぞ、誉めて奉れ」
満潮「……バッカみたい」
提督「アウチ!」
時雨「あはは……でも、本当に助かったよ」
提督「まったく……」
提督「これじゃ、せっかくの充実したダメダメ非番ライフが台無しじゃないか」
最上「うぅ……ごめん」シュン
提督「……あはは、冗談」
提督「それよりせっかく来たんだし、みんなでバドミントンしようよ!」
提督「100均で買ってきたこんなセットだけど……」スッ
時雨「うん、いいねっ。やろうよ皆?」
満潮「馬鹿ね、司令官ごときが私達に勝てると思ってるのかしら?」
提督「こんにゃろ、吠え面かかせてやるッ」
三隈「ふふふっ」
最上「……」
……
…………
………………
時雨「えいっ」ポン
提督「ククク……打ってくれと言わんばかりのコースじゃないか……っ!」
提督「そうらっ!」バシッ
ヒューーーーン
ガサッ
三隈「あら……シャトルが森に入ってしまいましたわ」
満潮「ちょっと、いくらなんでも下手すぎないっ!?」
提督「返す言葉もありません……」ズーン
最上「あはは……それよりボク、シャトル探してくるよ」
提督「いやいや、俺が行くからいいよ」
提督「責任とってきまーす」ダッ
最上「あ……」
最上「うぅ……」
三隈「……どうしたの、もがみん?」
最上「え、な、何がさっ?」
三隈「さっきから、何か様子がおかしいのですわ……」
最上「い、いやっ、そんなことないよ!」
最上「ボクはいつだってこうさ!あはは……」
三隈「?」
最上(……言えるわけないよ、自分からしようとした事だとはいえ……)
最上(この間の一件以来、提督の顔がまともに見られないなんて……)カァー…
……
…………
………………
ガサガサ
提督「やべーなぁ」
提督「まったく見つかんねー」
提督「このままじゃ、どんな目に遭わされるか……主に満潮に」
グルル~……
提督「!」
提督(は、腹が……!)
提督(まさか……さっきの生乳が?)
提督(あいでででで~、じぬぅぅ!)グルルルル
提督(……あ!ちょうど良い所に公衆トイレが!)
提督(助かった!急いで入ろう!)ダッ
バタンッ
提督「助かった~……」
提督「……ん?」
提督「あっ……紙が……」
……
…………
………………
時雨「提督、何をしてるんだろう?」
満潮「もぉ~、すっごい遅いんですけど!」ムカッ
三隈「でももし、何か変な目に遭ってたら……」
最上「……うぅ」
最上「……ちょっと、探してくるよ」スクッ
残りは夜に書きます
すみません
この間の一件については前作をご覧いただけると幸いです
【艦これ】最上「うわーん!おかま掘っちゃったよ~っ!」
【艦これ】最上「うわーん!おかま掘っちゃったよ~っ!」 - SSまとめ速報
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ガサガサ…
最上「まったく、ホントにどこ行ってるんだろ?」
最上「……まさか、見えにくい坂かなにかで滑落してるんじゃ……」ゾワワ…
『……を……ぇ……』
最上「!?」ビクッ
最上「……トイレの方からだ……」
提督『だれか紙をくれぇ~』
最上「」ガクッ
最上「提督!」
提督『おぉもがみんか、助かった!』
提督『悪いんだが、隣の女子トイレからpaperを持ってきてほしいんだ!』
最上「……はぁ」ガクッ
最上(心配して損した……)
提督『頼む!』
最上「はいはい、ちょっと待ってね」
……
…………
………………
最上(男子トイレ……)チラッ
最上(……入らなきゃこれ、渡せないよね……)ガクッ
最上「……えいっ!」ヒョイッ
最上「はい、持ってきたよ……」
ガチャ
提督「グラッチェ!」サッ
ガサガサガサ
クルクルクル
ススススス
提督「おぁ~^~」
最上「鍵ぐらい閉めなよ、もう!」
最上(って……ボクもボクで、なんで律儀に洋式トイレのドアの前で待ってるんだろ)
最上(誰かに見られでもしたら変な誤解を受けかねないし、早く出……)
「最上~」
最上「!」ビクッ
最上「ひぃっ!」ダッ
ガチャッ!
時雨「最上―っ」
満潮「提督ーっ!」
時雨「……二人とも、一体どこに行ったんだろうね……」
満潮「この辺に来てるのは間違いないはず……」
満潮「もう、戻って来るまでここで待ってやるわ!」
提督(なんでこの個室に入ってきたの!?)オロオロ
最上(ここしか隠れられなかったんだよ~っ)オロオロ
ザッザッザッ…
「提督―っ」
「最上―っ!」
提督(どうすんの、こんな所見られたら……)ボソボソ
最上(分かってるよ、だから困ってるの!)ボソッ
最上(ホントにどうしよ……どうやって出れば……)
提督(……ま、俺は見つかっても問題ないし)
提督(先に出ますね)ニコッ
最上(えぇーっ!そんな薄情な~)
提督(もがみん、君の犠牲は無駄にはしない)ニコッ
提督(機を見て脱出しておくんなまし)
最上(う~ら~ぎ~り~も~の~!)グスッ
時雨「それにしても……シャトルはもう見つかったのかな?」
満潮「分からない。でも、これだけ待たせておいて……」
満潮「シャトルもまだ見つかってないなんて言ってくれた暁には」
満潮「司令官をこの手で、ギッタンギッタンにしてやるわっ!」
時雨「あはは……やる気まんまんだね……」
提督(見つかってないです)シュン
最上(はぁ……)
提督(なんてこった、これじゃ俺まで出られないじゃないか……)
提督(とりあえず……状況を整理しよう)
提督(ここは開放式構造の男子トイレで、ドアがついているのはこの個室だけ)
提督(時雨と満潮の声から察するに、二人はここが見える位置にいるに違いない……)
提督(ここを出ようものなら、すぐに丸見えとなってしまうだろう)
提督(見つかれば、『提督と最上でナニしてたの!?不潔っ!』なんて言われても仕方のない状況だ)
最上(なんかその言い方やめてっ)
提督(だが、二人はここに居座ると言っている……)
提督(要するに、彼女達がいなくなるまでここで待つしかない)キリッ
最上(そんなぁ~!)ビェーン
すこし離れるでちゅ
提督「このくらいの声なら、外には聞こえないかな……」ボソボソ
最上「うん……多分……」ボソッ
満潮「そういえば、三隈は大丈夫なのかしら」
時雨「うぅ~ん、荷物を見てくれてるし……」
時雨「できるだけ、早めに戻ってあげないとね」
提督「お、そこまで長居する気はないみたいだな」ボソボソ
最上「そうみたいだね、よかったぁ」ボソッ
最上「……ねえ」
提督「どしたの」
ギチギチ
最上「……狭いね」
提督「……あぁ」
最上(うぅ……)カァー…
最上(どの体勢を取っても、体のどこかが当たっちゃう……)
最上(それに……まずいな)
最上(ボクも少し、トイレにいきたくなってきた……!)ゴクリ
提督「……ん?」
三隈「みんな~、どちらに行かれましたの~?」
時雨「あれ、三隈だ?」
満潮「ほんとだ……三隈!こっちよ!」
提督「あの声はくりm……くまりんこ」ベシッ
最上「怒るよ」
三隈「あぁ、いましたわ!」ホッ
満潮「荷物……見てたんじゃなかったの?」
三隈「一人じゃさみしくなったので、全部持ってきちゃいました」ウフフ
三隈「なかなかいい所ですし、ここでシートを引き直しますね」ニコッ
時雨「うん、いいよ……そうしよっか」
最上(なんでそうなるんだよぉ~!)ジタバタ
提督「ぐえ、ぐえ」グイグイ
三隈「それにしても二人とも、遅いわね……」
満潮「なにも、最上までいなくならなくたって……」
最上(なんてことだぁ、三人とも揃っちゃったよ~)
最上(……う、意識したら……“こっち”も……!)
最上(はやくどっか行ってくれないと……大変なことに……!)
提督「もがみん、どうしたそんなに体を揺らして」
最上「……な、なんでもない」モジモジ
最上(なにか……気を紛らわさないと……)
最上「……ていとく」
提督「ん?」
最上「て、提督の好きな人って……いるの?」
提督「!?」
最上(うわぁぁぁぁ!気を紛らわすのに必死すぎて……)
最上(無意識にとんでもないこと聞いちゃった!)
提督「えと……」
最上(わー!わー!聞かなかったことにしてぇぇぇ!)ジタバタ
提督「……コメントは控えるよ」
最上「え……」
最上「そ、そう……」
提督「…………」
最上(あれ、なんだろ……この神妙な空気……)
提督「ど……どしたの、いきなりそんなことを聞いて?」
最上「いや……なんでもないよ、なんでも……」
提督「……そか」
最上「…………」
最上(なんでだろ、すごく……)
最上(答えを聞きたかったような、聞きたくなかったような)
最上(こんなの、初めてだ……)
三隈「そういえば、最近のもがみんのことなのですが……」
三隈「あの子、提督と一緒にいるとき……すごく変なの」
最上「!?」
提督「?」
時雨「変?」
三隈「そう、なんというか」
三隈「あきらかにドギマギしてて……」
三隈「提督の顔を見ようともしないの」
時雨「あぁ、そのことかぁ」
提督「わわ、なんで耳をふさいでくるのっ」ジタバタ
最上「い、いいから大人しくしてっ」カァー…
満潮「もしかして、提督があの子に何かしたんじゃ?」
時雨「いや、なんだか……そういう感じでもないんだ」
時雨「ただ、最上の方がおそらく……」
最上(わーっ、わーっ!)グイグイ
提督(首、締まってるっ)ギュウ
……
…………
………………
今日はここまでにします
うゆりひもまだ途中なのですが、今夜さらに別の短編を書きます。
体力が持てば、こっちも書ききります。
わがままを申し上げてしまい、申し訳ありません
作者とISP・地域が同一の書き込みがあるため保留
【艦これ】最上「うわーん!免許持ってきてないよ~っ!」
【艦これ】最上「うわーん!免許持ってきてないよ~っ!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1459206726/)
2016/05/30(月) 00:15:24.64 ID:ArTlSsDJo
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