【咲-Saki-】松庵女学院二年生・多治比真佑子(16)のお話【R-18】 (43)


・大星淡×多治比真佑子

・百合、R-18要素を含みます

・地の文ありです

・特に内容はないただのエロです

・特に多治比さんにかなり勝手な性格付けをしています


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 そこは、暗い部屋の中。
 スポットライトに照らし出された四角形。
 それを取り囲む四人の少女たち。

 それは西東京都予選、団体の部の決勝大将戦。
 私の上家に座っているセーラー服の少女は全国ランキング一位・白糸台高校の選手で――

 ――ああ、もうすぐ来る。

 私はそれを予期していた。
 この光景を「見る」のはもう何度目かになるから。

 ――もうすぐ。

 「あれ」が。
 恐ろしくて忌まわしく、もう二度と思い出したくない――そう思っていた「あれ」が。

 ――ああ。

 瞬間、総毛立つ全身。駆け走る寒気。揺さぶられる大脳。
 心臓を刺し貫く、殺気にも似た禍々しい気配。

 ――ああ……。

 私は来たる運命を覚悟する。彼女の力が炸裂し、今から私は完膚なきまでに叩きのめされるのだと。


 ――ああ、だけど……。

 それはもう、どうでもよかった。
 私が待ち望んでいるのは――

「――リーチ」

 死刑宣告の如く冷酷に言い放つ彼女の唇。
 同時に彼女の背後に広がる邪気が肥大化する。まるで、新たな獲物に食指を伸ばすかのように――

 ――ああ……!

 ここに座っている「私」はあの時の体験を回想している。
 あまりのことに恐怖して、頭が真っ白になって。

 でも同時に、これを見ている「私」は――

 ――ああ……!!

 全身に走る電流。爪先指先に至るまで私の肉体を麻痺させ、正常な感覚を奪っていく。
 下腹部に疼く、痛みにも似た感覚。――心地よい痛み。
 ずきずき、と……。きゅう、と……。

 血が巡っていく。熱がある一点に集中していく。
 奥底に眠っていた火が激しく燃え盛り、居ても立っても居られなくなる。
 早く欲しい。早く、早く。早く早く早く……。


「カン」

 風が嵐になるように、彼女の邪気が更に勢いを増す。
 彼女の下家に座っている私の肌に、何の抵抗もなく刺さる。
 体内に侵入した邪気は、私の肉体を内側から蝕み、血流に乗って全身へ――

 ――っ!!

 途轍もない痛み。それに重なり、被さり、そして覆い尽くす、怒涛の快感――

「――ツモ」

 彼女が最後の宣告を下す。
 闇が私を呑み込む。何も見えなくなる。
 手足の自由が利かなくなる。桎梏に縛られた如く身動きができなくなる。
 息ができなくなる。酸素を求める口に闇は躊躇なく入り込み、私の肉体を侵し出す。

 ――なのに。

 それなのに。
 私の身体は悦楽に浸っていた。

 苦しいのが気持ちいい。痛いのが気持ちいい。犯されるのが気持ちいい。
 目の焦点が定まらない。全身が痙攣する。耐えられなくなって、私の口から絶頂が叫ばれる――

「――ああああああああああああっ!!!」


   ☆


真佑子「――っ!」

 目が覚めると、そこは薄明るい自室だった。
 静かな朝。窓の外から微かに聞こえてくる小鳥の声と――私の絶え間ない喘鳴。

真佑子「はあ、はあ、はあ……」

 全身に熱がこもっていて、ぐっしょりと汗ばんでいた。
 パジャマの袖で額を拭うと、ひとまず深呼吸をする。まだ秋口とはいえ、朝の空気は肺に心地よい冷たさだった。

 呼吸が整えられると気分も落ち着いてきた。と同時に、私は自己嫌悪に陥った。
 ――最近の私はどこかおかしい。そう思わざるを得なかった。

 インハイの都予選、団体決勝の大将戦で大星淡に敗北してから、私は頻繁にこんな夢を見るようになった。
 最初はただの悪夢だった。きっとチームを敗退させてしまった自分を責めているからこんな夢を見るのだと思った。

 しかし、回数を経るごとにそうではないと感じ始めた。
 それは、私がこの夢の中で快楽を覚えるようになったからだ。

 あの夢の何が私に快楽をもたらすのだろう。大星さんに叩き潰されたというあの過去に。
 そしてどうして私はそんな夢を飽き足りないと言わんばかりに見続けるのだろう。

 もう何が何だか分からなくて、至った結論は「私は少しおかしくなってきている」というものだった。


真佑子「……シャワー浴びよ」

 わざと声に出して思考を中断し、ベッドから出た。
 まだ時間は早い。家族の誰も起きていないくらいに。今からシャワーを浴びても登校にはきちんと間に合うだろう。

 そう思って、脱衣所に入って、てきぱきと服を脱ごうとして――
 結局私は、その事実を眼前に突きつけられることになったのだった。

真佑子「……!」

 ショーツを脱いだとき、股間から透明な糸が引いた。
 その瞬間、私の全身は火照りを取り戻した。下腹部がじくじくと痛み、刺激を求め始める。
 私は咄嗟にティッシュでショーツのシミを拭き、バスルームに駆け込んだ。

 シャワーで汗を流しても、頭から被って思考をまっさらにしようとしても、胸からこびりついて離れないその欲望。
 次第に胸が動悸を訴え始めた。ここで鎮めなければ、今日一日中こんな焦燥感に身を焼かれることになる――そんな脅迫じみた動悸だった。

真佑子「んっ……」

 思い切って、胸を掴んでみる。すぐさま身体が反応し、水に濡れたピンクの乳首が固くなる。
 前まではこんなではなかったのに。あの夢を見るようになってからは、いつもこうだ……。

真佑子「ん、はぁ……」

 まだ皆寝ている時間とはいえ大声を出したら気付かれるだろう。
 できるだけ声を殺しながら胸を弄っていく。


真佑子「……っ」

 でも、下腹部の疼きは収まらない。
 むしろどんどん酷くなっている。
 身体が更なる快楽を求めている。

真佑子「はあ、はあ……」

 太腿にシャワーの水とは違う液体が流れたことで理性の糸が切れた。
 手を割れ目に宛がい、二本の指でそれを押し開く。クリトリスを指の腹でこねくり回す。

真佑子「あぅ……はぁっ……あっ、あっ、ひゃうぅっ……」

 たった数秒触れただけで足腰に力が入らなくなって、半ば崩れ込むように床に寝転がった。
 M字に脚を開いて、敏感な部分への愛撫を続けていく。空いた手で胸を揉む。

真佑子「あ、あぁぁっ、うぅんっ……はぁっ、はぁっ」

 出しっぱなしのシャワーの水がバスルームの床にうっすらと湛えている。
 快感によがって身を跳ねさせるたびにばしゃばしゃと水面が波打つ。

真佑子「はぁ、はぁ……うぅぅ~……」

 柔らかい乳肉を揉みしだき、勃起した乳首を扱き、クリトリスを弄り続ける。
 だがまだ足りなかった。もっと深く……身体の奥底、芯を貫くような快感が欲しかった。

 クリトリスを責めていた中指を、膣内に侵入させていく。


真佑子「あううぅぅぅ~~~……っ!」

 自分の身体が自分の意識と離れたところで動いて、中指をぎゅうぎゅうに締め付ける。
 でも私は、

真佑子(……『あれ』、持って来ればよかった……)

 自室の鍵付きの引き出しにしまってある『あれ』のことを脳裏に過ぎらせた。
 自分の指よりも圧倒的に太くて大きい『あれ』。あれならもっと強い快感が得られる……。

 だがもう手遅れだ。今から部屋に戻るなんて手間がかかり過ぎるし、誰かが起きてくるかもしれない。
 だから今はこのままで、指をぐにぐにと動かした。

真佑子「ああぅぅぅ……っ! はあっ! はあっ!」

 第二関節を折り曲げて刺激を送り込みながら、指を抜き挿しする。
 ぬるぬるした液体が指に纏わりつく。膣から抜くとそれが溢れて、肌の上をお尻の方につっと落ちていく。

真佑子「はあっ、はあっ、あっ、くるっ、くるぅっ!」

 津波のように押し寄せてくる何か。それを呼び込むために、私は指の動きを速めた。


真佑子「あぁんっ、あぁっ! らめっ、足りないっ、足りないっ! あぁんっ!」

 絶頂が待ち遠しくて、更に人差し指も突っ込む。

真佑子「あぁぁああああっ――!!」

 一気に絶頂までの距離が近くなる。もう止められない。
 心の堰を破壊し、理性の箍を外し、怒涛の波が私の芯に近づいていく。

真佑子「ああぁぁっ!! イくっ!! イっちゃうぅぅっ!! ひゃあぁぁああっ!!」

 シャワーの音、波の音、それらに負けないくらいに大きく響く淫靡な音。
 ぐちゅぐちゅぐちゅぅっ! 耳に入るたびに恥ずかしさで顔が紅潮し、性感を昂ぶらせる。

真佑子(あ、も、ダメ……! イくぅっ……!)

 残る距離を一気に詰め、快楽の波濤が私を呑み込んだ。

真佑子「あぅぅううああああああああ…………っ!!!」


 背骨に棒を入れられたように全身が強張る。
 自然とお尻が持ち上がり、頭と足の裏だけが接地している体勢になる。

真佑子「ああぁぁぁ…………っ…………」

 びくんっ!と全身が痙攣し、次の瞬間、私の身体は支えをなくしたように床に落ちた。
 ぴしゃっ……と飛沫の音が立つ。

真佑子「……はあ……はあ……はあ……っ……」

 そのまま私は喘鳴を繰り返した。ざああああ……というシャワーの音。
 目を閉じて余韻に浸る。もうそのまま寝てしまえるのではないかと思うほど全身がぐったりと疲れていた。

真佑子「あ……う……ふぅ……んっ」

 だがいつまでもこんな状態でいるわけにはいかない。
 私はだるい身体を持ち上げて、よろよろと鏡に寄りかかった。

真佑子「……はあっ、はあっ……」

 そして頭からシャワーを浴びる。
 今までのことを、全て洗い流そうとするように……。


   ☆


 大星さんと二人での取材を打診されたのはインハイが終わって少し経った九月のことだった。

「やっぱりやめとく?」

 その話を持ってきた顧問の先生は不安そうに私の顔を見ていた。
 大星さんは一年下にも拘わらず都予選で私を破った選手だ。心理面での影響を心配したのだろう。

「いえ、大丈夫です。お願いします」

 でも私はそう答えた。いや、当然と言った方が正しい。
 むしろ私は彼女に会いたかったのだ。その機会が訪れて、それを逃す手はなかった。

 ただそうは言うものの、何をすればいいのかは皆目見当がつかなかった。
 ただ会いたい。彼女の声を聞きたい。彼女の醸し出す空気に触れたい。そして――

真佑子「っ!」

 ハッと、私は我に返った。

 放課後の電車の中。人も多くいる中であんな妄想をしかけそうになるなんて……。
 じゅんと、下腹部が疼いてくる。抑えなければ……だって……。

真佑子(これから大星さんに会いに行くんだから……)

 今日がその取材の日。
 今から待ち合わせの――大星さんがいる場所へと行くのだから……。


   ☆


記者「それじゃあ最後に一枚だけ写真撮らせてね~」

 取材も終わり際。撮影場所まで移動しながら私は悶々と考える。


淡「あっ、おっひさっしぶり~」

 待ち合わせ場所の喫茶店に入ると大星さんは既に到着して待っていた。
 そして私の顔を見るや否や親しげに手を振ってくれた。

真佑子「お久しぶりです。……ええと、私のこと憶えてくれてますか?」

 こわごわとそう切り出すと大星さんは笑い出して、

淡「憶えてるよー。松庵の多治比真佑子でしょ?」

 そう言うと、指を組み合わせた両手の甲に顎を乗せて、上目遣いで、

淡「ね、マユ?」

 蠱惑的な表情で、そう言った。

 それから私の心はどきどきしっぱなしで、取材の時もほとんど上の空だった。
 年下の大星さんに「しっかりしなよー」なんてツッコまれつつ何とかやり終えた。


真佑子(なにやってんだろ……私)

 やっぱり、最近の私はおかしいのだ。特に彼女に関わることになると。
 心の中がぐちゃぐちゃに掻き混ぜられて、混沌とした黒に塗り潰されていて。

 だから、私は私の心が読み解けないのだ。
 何がしたいのか。何故こうなっているのか。私にとって彼女とは何なのか。

 どうしてもわからなくて、現実に対しても、まるで薄絹を通して見ているようで……。

淡「――マユ?」

 その一言に、私はぴたりと足を止めた。

淡「どうしたの?」

 振り返ると、彼女のそばに佇んでいた記者の人たちも怪訝そうな顔をしていた。


記者「多治比さん? ここが気に入らない?」

真佑子「えっ……?」

淡「今からここで撮影するって話。ちゃんと聞いてた?」

 なるほどそういうことになっていたのか……などと、妙に他人事な考えが淡々と頭に思い浮かんだ。

真佑子「すみません……」

記者「体調でも悪い?」

真佑子「いえ、大丈夫です」

記者「そう? なら撮らせてもらうわね。二人並んで」

 話が飲み込めたはいいものの、ここからも問題だった。

 大星さんの隣に立つと、平常心を保てないのだ。
 中々自然な笑顔にならなくて、カメラマンさんは困っているようだった。
 私もどうすればいいのかわからなかった。世界中でたった独りになってしまったような、五里霧中の状態……。


 これまではこんなことなかったのに。
 多治比さんは一発で良い画が撮れるから助かる、なんて褒められたこともあった。
 それなのに、今は……。

 悔しくてたまらない。同時にもどかしい。
 この状態から抜け出す方法がわからないから。その糸口さえ掴めないから。

真佑子(私は……)

 私はどうすればいいのだろう……記者さんとカメラマンさんが話し合いをしている前で、私は考え続けていた。
 と、その時。

淡「ね、マユ。ポーズ、こんなのどう?」

 そう言うと、大星さんは自分のミニスカートの裾をぴらっと捲り上げた。
 まるで頭の中で火花が散ったようだった。私の心臓はその瞬間に跳ね上がり、息が止まった。


 ちらと垣間見えた彼女の白い肌。その輪郭。
 脳神経に電流が走る。様々なイメージが脳裏に映っては消えていく。

 白い肌。汗。曲線。感触。
 そして――私の内を侵す邪気。駆け巡る痛み。それに伴う快感。

 ――それに浸っている私。そして……。

淡「……マユ?」

 私の変化を敏感に感じ取ったのだろう、大星さんは一瞬ぽかんとしたが、

淡「――ははあ」

 鹿爪らしい顔をしながら、私の耳元に顔を近づけた。
 すっと、滑るように。

 そして囁く。
 そっと、悪魔のように。

淡「――マユ、私のこと好きなの?」


 それは、私自身も考えていなかった感情の名だった。
 全身が固まる。でも心の中では氷解していた。

 好き。私は大星さんが好き。

 都予選で私を叩き潰したこの少女が。
 本来なら憎むことはあっても好きになど決してなるはずのないこの少女が。

 だが、好きになった理由はそこにこそあるのだ。
 私を恐れ慄かせたあの邪気。あれに私が快感を覚えてしまったから……。

 そんな歪な形の恋慕が、私の心の内に芽生えていたのだ。

淡「後でいっぱいご褒美あげるから。頑張ろ? ね?」

 子供をあやすかのような口調で彼女は囁き掛ける。
 耳から脳へ、脳から心へ。私の芯へと入り込んで、私を彼女の色に染め上げていく。

真佑子「……うん」

 私は、それに抗えるはずもなくて……。


   ☆


淡「へ~、マユの部屋ってこんな感じなんだ」

 取材終了後、私は大星さんを家に連れ帰った。
 両親は共働きで夜まで帰ってこない。更に私はひとりっ子なので、今家にいるのは私たち二人だけだった。

真佑子「お、大星さん……」

淡「ん?」

真佑子「あ、あの……」

 さっき聞いた「ご褒美」を貰いたいと暗に言ったつもりだったのだが、彼女は本気でわかってなさそうな顔をしている。
 私は帰り道の電車の中でも身体が疼いてたまらなかったのに。

真佑子「ご、ご褒美を……」

 年下の子に何を言っているんだろう――顔が耳まで真っ赤になった。
 でも大星さんはますます首を傾げて、

淡「ご褒美……何? 何が欲しい?」

真佑子「え……っ?」


 私には信じられない言葉だった。
 部屋まで連れてきたのに。他には誰もいないのに。ここまで来ればもうすることなんて――

 すると大星さんは不審げに顔を歪ませた。

淡「まさか、そういうの期待してる?」

真佑子「え……」

淡「聞くけど、本当にマユは私のこと好きなの?」

 私は俯きながら、こくりと頷いた。
 だが大星さんが続けた言葉で、目の前が真っ暗になった。

淡「だけど、私は別にマユのこと好きだなんて言ってないよね?」

 まさに急転直下だった。奈落の底に突き落とされたかのよう。
 だが、考えてみるとそうだ。私がおかしいのだ。まだ付き合ってもいないのに、部屋に連れ込んだりして……。
 期待していることが「そういう」ことなのも。それに関して最近の自分がおかしいと何度も思っていたはずなのに……。


淡「――なあんて」

真佑子「えっ?」

 弾かれたように顔を上げると、大星さんがにやにやと笑みを浮かべていた。

淡「嘘だよ」

真佑子「えっ……」

淡「そういうの期待してるんでしょ?」

真佑子「え――」

 急展開に頭がついていかないまま、近づいてくる彼女の顔を私は止めることが出来なくて――

淡「ん――っ」

 そのまま、唇を重ねられた。
 その妙な感触にぞわりと背筋に悪寒が走る。


淡「ぷはっ」

 顔を離して、大星さんが深呼吸をする。息を止めていたらしい。
 そして鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている私を見て、首をひねる。

淡「あれ? もしかして違った?」

 私は首をぶんぶんと振ることしかできなかった。

淡「そっかあ。じゃ、も一回しよっか」

 強引に身体を抱き寄せられる。よろめきながら彼女の顔を見上げると、同時に唇が衝突した。
 今度は何度か軽く突き合わせる。そうした後、突然私の唇を割って、魚のように何かが飛び込んできた。

真佑子「――っ!?」

 それが舌だと理解するのにあまり時間はかからなかった。
 だが受け入れる準備もなしのディープキスは軽いパニックを引き起こした。

 私の舌先をちろちろと舐る彼女の舌。私はただされるがまま口内を凌辱され続けた。
 ……でも。


真佑子(……気持ちいい……)

 私はいつの間にかその刺激の虜となっていた。
 悪寒も、絶え間なくぞくぞくと流れる快感に変わり、私の脳をぴりぴりと麻痺させていく。

真佑子「んちゅ、じゅるるっ。んー……ちゅぱっ、んちゅ、――はぁっ。――んっ。ちゅる……ちゅぱぁっ」

 息継ぎを挟みながらキスを繰り返す。

真佑子「じゅぱぁ、んじゅるるるっ、んっ、んっ、ふはぁ……ひゃむぅっ……んぅ……じゅぷっ、ちゅぅぅ……」

 次第に水音も激しく、よりはしたないものになっていく。
 溢れた唾液が互いの唇を濡らすのも気にしない。ひたすら舌を絡め合うのに集中する。

淡「ちゅぷっ、ちゅぱぁっ! はぁん……ふむぅ……っ、んちゅ、ちゅっ、ちゅっ、……はぁっ」

 ただ、少し疲れたのか口を離す。
 お互い、近い場所で荒い呼吸を繰り返した。

 大星さんも疲れた様子だったが、急に挑発的な表情に変わると、

淡「――これで終わっていい?」

 これにも、私は首を振ることしかできなかった。


   ☆


真佑子「……っ」

 ベッドに押し倒される。

淡「合意の上だからね?」

 念を押すように訊いてくる大星さんに、私は頷いてみせた。
 大星さんは笑うと、私の上に覆い被さってキスをした。

真佑子「ん――っ、ふはぁっ、んちゅっ……ちゅぷ、ちゅぷっ、ちゅるるっ」

 抱き合って身体を絡ませ合いながらのディープキス。興奮度は先程とは段違いだった。

淡「んちゅっ……ふはぁっ。……マユ、結構おっぱい大きいね」

真佑子「えっ……」

 突然、大星さんが私の胸に手をやった。
 自然にびくりと身体が跳ねる。


真佑子「うぅ……」

淡「うふふ。柔らかいよ」

真佑子「言わなくていいからぁ……」

 だけど大星さんの手は止まらない。
 カーディガンの上から輪郭を確かめるようにさすり、そして鷲掴みにする。

真佑子「んん――っ!!」

淡「カーディガンの生地が柔らかくて、いいカンジ」

真佑子「だ、だから……ひゃうっ!」

 乳首の上を指が滑り、思わず声が漏れる。乳首はもう痛いほど固くなっていた。

淡「いい反応。……脱がすよ」

真佑子「はぁっ、はぁっ……」

 目尻に浮かんだ涙を拭う余裕もなく、私はされるがまま服を脱がされた。
 腕を上げさせられてカーディガンを抜き取られ、リボンをほどかれ、ブラウスの前のボタンを外され……。


淡「うわ。やっぱ大きい」

真佑子「~~っ」

 全てのボタンを外し終わると大星さんが前を開かせた。
 刺繍の入ったピンクのブラジャーが彼女の目に晒される。

淡「カップどれくらい?」

真佑子「……D……」

淡「へえ。サイズは?」

真佑子「…………」

 恥ずかしすぎて、もうこれ以上は言えなかった。
 顔の前に腕を翳して視線を遮る。

淡「ま、いいや。今から調べればいいし」

真佑子「……?」


淡「じゃ、触るね」

 ブラの上から大星さんの手が胸に触れた。
 シャツとカーディガン越しの時とはだいぶ感触が違う。
 彼女の手の体温が、より伝わってくる。

真佑子「んっ……はあんっ……」

淡「ブラも取るよ」

真佑子「え、待っ――」

 しかし大星さんはそれを聞こうとはしなかった。
 私のブラを上にずりあげ、乳房全体を露出させる。

真佑子「い、いや……」

 咄嗟に腕で隠そうとしたが、その腕が掴まれる。

真佑子「……っ!」


淡「おとなしくしてて」

 幾分トーンの下がった声で命令するように言うと、大星さんは私の腕を拘束したまま、顔を胸に近づけた。
 ピンと立った乳首をまじまじと見られ、更に顔が熱くなる。しかしすぐそれどころではなくなった。

淡「ぺろっ」

真佑子「う、ひゅぅぅぅん……っ!!?」

 大星さんがちろと舌を出し、私の乳首を舐めたのだ。

真佑子「ま、待ってぇっ!」

淡「れろれろ……」

真佑子「あっ、うぅぅんっ……!!」

淡「……」

 口を離したと思いきや、今度はもう一方の乳首を責めてくる。


真佑子「あぅぅ、うぅぅぅっ……」

淡「むちゅぅー」

真佑子「ひゃうぅぅっ!?!?」

 比較にならない刺激が走る。大星さんの口が私の乳首を含んでいた。

淡「じゅぷ、ちゅぱっ! じゅぷっ、んじゅっ」

真佑子「ああぁっ! ひゃうぅっ! ら、らめえっ……!」

 唾液を含んで吸われて大きな水音が立つ。
 乳首だけでなく、周りの乳輪にも一緒に快感が送り込まれる。

真佑子「あっ、あっ、あぁぁっ! はぁぁっ! んぅぅぅ……っ! ひぁぁんっ!」

 念入りに両乳首を責めた後、満足したのか大星さんは口を離した。


真佑子「はーっ……、はーっ……」

淡「だいぶ気持ちよさそうだったね。感度高いんだ」

 私は首を振って否定した。

淡「そう?」

真佑子「相手が……大星さんだから……」

 それは本心であったし事実でもあった。
 好きになった理由からして彼女に責められることが快楽になるのだ。他の人でも同じになるとは限らない。

 だが、だからこそ今のままでは物足りなかった。
 私が欲しいのはあの時の対局の時のような……暴力的で、無慈悲に相手を踏み躙るような邪悪な意思で……。

真佑子「大星さん……」

 だから私は、恥を忍んで言った。


真佑子「これ、鍵……一番下の……大きい引き出しの……」

淡「? 開けろってこと?」

 これ以上は口に出せなかったので、黙って頷いた。

淡「びっくり箱とかじゃないよね? どれどれ……」

 鍵穴からかちり、と音がした。寝返りをうって身体ごと顔を背ける。

淡「うわ……」

 案の定、彼女は声を上げた。見てはいけないものを見た時のような、呆然とした声……。

淡「マユ、これ……」

 しかし驚くのも無理はない。だって……。


淡「ここにあるオモチャ、全部マユの……?」

真佑子「……うん」

 そこにあるのは、おびただしい数の性具――アダルトグッズなのだから。

淡「アナルビーズとかあるんだけど……これも使ってたの?」

真佑子「…………」

 黙って頷いた。

淡「バイブもいっぱい種類あるし……あ、ペニスバンドもある」

真佑子「…………」

 それらは皆、私が「おかしく」なってから買ったものだった。
 雑誌のインタビューや写真撮影が多くお金は結構貰っていたから、性的好奇心をそそられたものは片っ端から買うことができたのだ。


淡「ふーん、これで責められたいの?」

真佑子「…………うん……」

 消え入りそうな声で、私は肯定する。

淡「マユって実はドM?」

真佑子「…………大星さんにだけ……」

淡「――ふぅん」

 大星さんは満足げな声を出すと、数種類の性具を引っ提げてベッドに戻ってきた。

淡「じゃあ――」

 あの時みたいに、私の耳元に口を近づけて、彼女は言った。

淡「――私好みに、調教してあげる」


   ☆


真佑子「あああああああああああああっっっ!!!!」

 秘所から噴水のように潮が飛ぶ。もう濡れに濡れたスーツを更に濡らしていく。

淡「うふふ。マユ、すごーい」

真佑子「あ、あぁ……」

 私の目はもう虚ろで、恐らく焦点も定まっていないだろう。

 大星さんの調教が始まって既に二時間。
 彼女はありとあらゆる性具を使って私を徹底的にイかせた。

 今はお尻にアナルビーズを入れ、膣に電動バイブを突っ込み、両胸への愛撫をされながら、クリトリスを卵型バイブで責められている。


淡「ほらほらぁっ、気持ちいいっ!?」

 バイブをクリトリスに押し付けながら、膣のもう一方を前後に動かす。
 もう耐えられない。とうに防波堤が破壊された秘所から潮が溢れて吐き出される。

真佑子「ひゃあぁああああああっっ!!」

淡「じゃ、そろそろこっちも……♪」

真佑子「あ……ぁぁああああ……!!!」

 奥まで全てくわえ込んでいたアナルビーズを、ゆっくりと引き抜いていく。

真佑子「あああああああああああーーーーーーーっ!!!」

 最初の一個がお尻の穴を出た瞬間、再び潮が吹き出した。
 全身が痙攣して止められない。もう私の身体は私の支配下にはないのだ。


淡「二個目……♪」

真佑子「ふぅぅぅううううう……っ!!!」

 涙が際限なく溢れ、顔をびしゃびしゃに濡らしていく。
 もう人には見せられない面相になってしまっているだろう。だけど……。

淡「マユ……かわいい……♡」

 大星さんは、そう言ってくれていて。

淡「もっとイって? 私の手で、もっともっと……♡♡」

真佑子「あ、あああ……!!」

 三個目のビーズが、そして間を置かず四個目、五個目のビーズが、乱暴に引き抜かれる。

真佑子「あぁぅぅううああああああああああ!!! もうらめええええええええっっ!!!!」


 六個目がお尻の穴に引っ掛かった時。

真佑子「んふぅっ……!?」

淡「んちゅ、ちゅるぅっ……」

 大星さんが強引に唇を重ねてきた。それと同時に六個目を取り出しにかかる。

真佑子「ん、んふうぅぅぅっ……!!」

 絶頂を口から放出することが封じられて、身体の中に押しとどめられる。
 凄まじいエネルギーが巡る。身体が爆発してしまいそうなほどだった。

真佑子「んちゅ、んじゅ……ぅぅぅうううううう……っ!!!」

淡「ちゅばあっ、んんんっ! んちゅるるるっ!」

 キスを深くして更に動きを封じる。そして六個目。七個目、八個目と順に引き抜かれた。

真佑子「んぐぅぅぅぅ……っ!! んふぅうぅううううっっ!!!」


真佑子「はあああ……あーっ、あーっ……はぁ、はぁ……っ」

淡「ふふん……♪ 私のマユ、かわいい……♡」

 こんな、セックスでも何でもない、ただの凌辱。
 でも私にはこれが望んだことだった。内側から全てを支配され、その激痛と共に生じるこの快楽が。

淡「じゃ、これで最後かな」

 裸になった大星さんが、自分の腰にペニスバンドを巻いた。

淡「最後は『私の』で、イかせてあげる……♪」

真佑子「きてぇっ! きてぇっ!」

淡「うん。私のかわいいマユ……♡」

 ピンク色の張形の、凶悪な形をしたその先端を、私の秘所に宛がう。
 バケツをひっくり返したように濡れそぼっているそこにそれは、いとも容易く挿入された。


真佑子「んっうぅぅぅぅぅぅん……っ!!!」

淡「気持ちいい? マユ?」

真佑子「気持ち……いいれすぅ……」

 もう呂律も充分に回らない。でもそんなこと構わずに私は続ける。

真佑子「突いて……っ、突いてぇ……っ!」

淡「マユ、マユっ!」

 大星さんが腰を前後に動かしだす。極太サイズの張形が私の膣内を抉り、犯し尽くしていく。

真佑子「ああああぅっ!! イくぅぅっ!! イぐぅぅぅぅっ!!!」

 私はまた呆気なくイって、潮を漏らした。

真佑子「あああーーーっ……はぁぁっ……はぁ……っ」

淡「マユ……♡」

 大星さんはそばに散らかっていた性具からお尻用の電動バイブを取り上げた。


真佑子「はぁぁぁぁんっ……♡」

 また来たる快感を予測して私の脳が蕩ける。
 お尻の肉をむんずと掴まれ、割れ目を開かれ、露出した穴にねじ込まれる。

真佑子「ひぅぅぅううううう……!!」

淡「スイッチオン……♪」

真佑子「ひあああああああああああっっっ!!!」

 お尻の中でオモチャが細かく振動する。それが膣内にまで響いてきて、極太の張形をも揺らしていく。

真佑子「ひゃああああああうぅうっ!!! ひゃあんっ!! ああっ! あっ、あぁぁああんんんっ!!!」

淡「次、クリね……♪」

 最も大きい電動バイブが最大出力でクリトリスに押し付けられた。

真佑子「あああああっっ!! らめらめらめえええっ!!! イく、イく、イくイくイくぅぅぅううっ!!!」

 もう大星さんも潮吹きなどに構わない。二本のバイブで陰核と後の穴を責め、張形で膣内を抉り続ける。
 もはや人間以外の何物かに堕ちてしまったかのように、私の口は絶頂を叫び続ける。

真佑子「イぐぅぅぅぅっ!!! ああああっっ!! ひあああああああああああっっっ!!!」


淡「マユぅっ!!」

 大星さんが抱きついてくる。

淡「んちゅ、ちゅるるっ!」

真佑子「んふぅぅっ……! ふんんっ、んじゅるぅっ、じゅぅっ」

 激しいキスをしながら身をくねらせる。
 バイブはずれ落ちてしまったが、その代わり大星さんの愛液たっぷりのクリトリスが私のにぶつかる。
 潰しあう乳房も、二人のビンビンに勃起した乳首が擦れ合ってそのたびに快感が駆け抜けていく。

淡「マユ、好き、好きぃっ!!」

真佑子「おおほししゃんっ! わらしもぉっ! しゅき、しゅきぃっ!!」

淡「マユ、マユぅっ……!!」

 乱暴に張形を突き続ける大星さん。私は彼女の腰に脚を回してがっちりと抑え込んだ。

真佑子「いっしょにぃっ、いっしょにイきたいれすぅっ!!」

淡「マユぅっ、イくっ、イくっ!! わらしもイっちゃうぅぅっ!!!」


真佑子「うぅぅぅうぅうううううう――――っっっ!!!」

 張形の先端が、私の一番奥を突き崩す。
 その衝撃が全身の至るところまで一瞬の内に駆け巡って――

真佑子「ああああああああうううぅぅぅんっっっ!!!」
淡「ひああああああああああああああああっっっ!!!」

 大星さんが絶頂を叫ぶと同時に、私も果てた。

淡「マユ……キス……」

真佑子「んぅっ」

 私たちは溶け合うようなキスをした。互いの汗をまぶし、火照りを共有した。
 まるで身体も心も混じり合って、ひとつになるようだった。


カン

あの特典見ちゃうと誰でもいけない妄想しちゃうよね。
支援

間違えた。
何だよ支援って。
支援×
乙〇

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