【ごちうさ】指先の熱 (52)

喧嘩の原因は、ささいなことだった。
それでも、昨日の今日で素直に話せるような大人にもなりきれない。
なのに、どうして、この人は。

「ココアさん……」

私のベッドに寝そべっている自称姉を、寝ぼけ眼で見やった。
やけに熱いと思った。
人一人の体温がベッドを温めていたのだ。
いつの間に、この部屋に入ったのだろう。
時々、忍者のような身のこなしをする。
本当に、驚く。
起こすべきか。
否か。
起きたら、何かまた甘ったるい言葉を浴びせられそうだ。

「あの、困ります」

小声で呟いた。

「んー」

憎たらしいくらい微笑みを浮かべ、眠っている。
このままベッドから突き落として、そこの狭い溝にはめてしまおうか。
どうしようか。
肩を少し、押してみた。

「うん……ん」

唸る。
困った。
何より困ったのは、彼女が私の手をしっかり握っていたことだった。

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例え、彼女を落としても自分も一緒に道連れになる可能性が高い。

「ほんと、困ります」

ため息。
とりあえず、熱いので掛け布団を引き剥がす。
いつものパーカー姿。
と思ったら、

「コ、ココアさん!?」

下のホットパンツを履いてない。
太ももの付け根のラインにピンクの下着のラインが見えた。
咄嗟に、布団をかけ直す。
い、一体、下半身の本体はどこに?

「はッ」

ベッドの足元の方に何かずり落ちかけているものを発見。
まさか。
もしや。
熱くて、脱いでしまった。
そういうことなのか。

勘弁して欲しい。
音を立てないように、ホットパンツを拾いあげる。
ちょっと温かいのが、生々しい。

「どうしましょうか……」

「んう、チ、ノちゃ?」

「コ、ココアさん?」

何の前触れもなく、むくりと起き上がるココアさん。
ちょっと、怖い。

「あれー…」

目を瞬かせる。

「どうして、私のパンツ持ってるの?」

「こ、これは」

首が重だるいのか、傾けて、

「あ、ああ! も、もしや怒ってる? 怒ってるんだ!?」

急に覚醒したように目を見開いた。

眠いのでここまで
また明日

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