晶葉「出来たぞ! 嘘探知機だ!」 (17)
P「珍しくまともなものを作ったな」
晶葉「まともとはなんだ、まともとは」
P「見た感じ腕輪だな。手首に付けて脈の変化で探知するんだろ?」
晶葉「脈拍だけじゃないぞ。様々な要素から嘘を探知出来るのだ」
P「つまり簡単には誤魔化せないと」
晶葉「そんなところだ。では早速テストしよう。付けてくれ」
P「はいはーい。そういえばなんで探知機なんだ? こういうのって発見器って言わない?」
晶葉「好みの問題だな。発見器だとありきたりじゃないか」
P「なるほどね。ほら、付けたぞ」
晶葉「よし、じゃあ私の質問に全て『はい』で答えてくれ」
P「了解」
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晶葉「Pは女性である」
P「……はい」
晶葉「……」
P「……」
晶葉「……?」
P「……」
晶葉「おかしいな。なぜ反応しないんだ。質問を変えてみよう。
Pは百歳を越える老人である」
P「はい」
腕輪「ウッソで~すww」
P「うわ、なんだこれめっちゃうざい」
晶葉「音声はとりあえずサンプルだからな。ちゃんと作動するようだが……。
Pはメガネをかけていない」
P「はい」
腕輪「ウッソで~すww」
晶葉「今日の朝食はキャビアだ」
P「はい」
腕輪「ウッソで~すww」
晶葉「実はウサミン星人だ」
P「はい」
腕輪「ウッソで~すww」
P「すまない。音声を変えよう。このままじゃ腕輪を壊したくなる」
晶葉「わかった。外してくれ。しかしなんで最初の質問は反応しなかったんだ?
調整が必要なのだろうか」
P「ははは、まぁそういうこともあるよね」
晶葉「なんで棒読みなんだ。よし、調整し終わったぞ。もう一回付けてくれ」
P「普通の嘘発見器ってどのくらい信用できるものなんだ?」
晶葉「全く信用ならんだろう。仰々しい装置なんて使えばそれだけで心拍数も上がるし
仮にこんな腕輪でもこれから尋問するぞなんて言われれば脈拍なんて簡単に変わるさ」
P「じゃああまり役には立たないのか」
晶葉「しかしこれは天才池袋晶葉製だ。信用していいぞ」
さてと、質問するぞ。Pの主食は笹だ」
P「はい」
腕輪「嘘だよ!」
晶葉「月に行った事がある」
P「はい」
腕輪「嘘だよ!」
晶葉「Pは女性だ」
P「はい」
腕輪「……」
晶葉「……」
P「……」
晶葉「なぜだ」
P「あー、晶葉。実はだな。俺、女なんだ」
腕輪「……」
晶葉「……まじなのか」
P「まじなんです」
晶葉「ちょっと待ってくれ。今、心の整理をしているから」
P「この事を知っているのは本当にわずかな人間だけだ」
晶葉「えー……なぜ、女装をしている」
P「……実は俺の家系は元々武士の家系で第一子は男でないと」
腕輪「嘘だよ!」
晶葉「……」
P「あー……うちの一族は多額の借金を抱えてて」
腕輪「嘘だよ!」
晶葉「……」
P「ちひろさんに弱みを握られてこのような形になりました。
男装は元からの趣味でもありました」
腕輪「……」
晶葉「真実のようだな」
P「その……騙しててすまなかったな」
晶葉「まぁ待て。まだ私は信用しきったわけではない」
P「えっ」
晶葉「万が一の誤作動もありえる。確かめさせてもらうぞ」
P「ちょっまっ」
晶葉「本当に女性だったとは……」
P「ひどい……」
晶葉「だがこの腕輪の性能の証明にもなったな。他のアイドルでも試そう。
だから涙を拭いてくれ。どうせ嘘泣きなんだろう」
P「まぁね」
まゆ「嘘泣きでもPさんを泣かしたらだめですよねぇ?」
晶葉「ヒュウゥ」
P「ヒョエッ」
まゆ「ほら、ハンカチですよぉ。まゆが拭いて上げますね」
晶葉「まままままゆじゃないか。いいいいいつの間に」
まゆ「まゆが見たのは泣いているPさんですよ? どうして泣いているかは見てませんねぇ」
P「まゆ。これには深いわけがあるんだ」
まゆ「話してくれますよね?」
晶葉「……この腕輪を付けてくれ」
まゆ「……わかりましたぁ」
晶葉「実はだな。Pは女なんだ」
まゆ「そうですか」
晶葉「……知ってた?」
まゆ「いえ? 初耳ですよぉ」
腕輪「……」
晶葉「その割には落ち着いてるな」
まゆ「晶葉ちゃんは勘違いしてますねぇ。私はPさんの外見やステータスを好きになった
わけじゃないんですよ? 例えPさんが女であっても、老人であっても、あるいは怪物であっても
それでPさんを愛さない、という理由にはなりませんよ? うふふ」
腕輪「……」
晶葉「な、なるほど」
まゆ「それで……なんでPさんが泣いていたんですか?」
P「嘘泣きだから! ほら、大丈夫大丈夫! 冗談だったから! 俺は大丈夫!」
まゆ「Pさんがそういうなら……。でも無理しちゃだめですよ?
まゆはいつでもPさんのために何でもしますからねぇ」
腕輪「……」
P「はい」
まゆ「……Pさんが女性なら一緒にお風呂も入れますねぇ」
P「はい。検討させていただきます」
まゆ「色よいお返事をお待ちしてますねぇ。腕輪、もう外していいですか?」
晶葉「あ、ああ。すまなかった」
まゆ「……こんな玩具でまゆの愛情は計れませんよ?」
晶葉「ひゃい……」
P「まゆ……すごいな」
晶葉「ご結婚おめでとうございます」
P「いやいや、さすがに学生で結婚はまずいでしょ」
晶葉(学生じゃなければいいのか?)
桃華「お二人とも。ごきげんよう」
雪美「ごきげんよう……」
P「ごきげん麗しゅう」
晶葉「なんだその挨拶……」
桃華「また何か発明したみたいですわね」
晶葉「よし、じゃあ早速付けてくれ」
桃華「付けましたわ。それでどうなりますの?」
晶葉「私の質問に全て『はい』で答えてくれ。よろしくて?」
桃華「よろしいですわ」
P「なんだ、その会話」
晶葉「緑茶より紅茶のほうが好き」
桃華「はい」
腕輪「嘘だよ!」
晶葉「はい止め! 終わり!」
桃華「……」
雪美「桃華……目が泳いでる……」
P「そうだったのか、桃華」
桃華「これが嘘を見破るものだということはわかりましたわ。
でもこれはきっと誤作動ですわ。そうに違いありませんわ。
別の、別の質問をしてくださいまし」
晶葉「……桃華は男だ」
桃華「はい」
腕輪「嘘だよ!」
晶葉「良かった……。ちゃんと女だったんだな……」
桃華「どういう意味ですの、それ」
雪美「Pが……女だから……」
P「なんで知ってるの」
雪美「魂……繋がってるから……」
P「そっかぁ……」
桃華「え、本当に女性ですの?」
晶葉「本当だよ。私が実際に確かめた」
桃華「どうやって?」
晶葉「手で。触って」
桃華「触って」
晶葉「生まれは北海道である」
桃華「え、あ、はい」
腕輪「嘘だよ!」
晶葉「地毛は黒い」
桃華「はい」
腕輪「嘘だよ!」
晶葉「実は金持ちではない」
桃華「……」
晶葉「……」
桃華「……はい」
腕輪「……」
晶葉「えぇ……」
P「でも櫻井一族の会社ってあるよね……?」
桃華「……ちょっと揉め事がありまして、ほとんどの相続権を失いましたの。
直にあの家からも引っ越さなければなりませんわ」
晶葉「そうだったのか……」
雪美「アイドル……やめる……?」
桃華「大丈夫ですわ。櫻井桃華、この身があればアイドルは出来ますもの。
これからも一緒にやりますわよ。雪美さん」
雪美「うん……」
晶葉「……みんな何かを隠して生きているんだな」
P「人生って……そういうもんさ」
晶葉「桃華、腕輪は回収しよう。これはきっとちゃんとした使い道があるはずだ」
P「例えば?」
晶葉「冷蔵庫のケーキを誰が食べたか調べるときとか」
桃華「重要ですわね」
雪美「私も……試す……?」
晶葉「雪美は……いや、データを採るためにやろうか」
P「もう十分じゃないか?」
晶葉「どうせだしな」
雪美「付けた……」
晶葉「よし、雪美はペロのことが好きではない」
雪美「はい……」
腕輪「嘘だよ!」
晶葉「雪美は人間じゃない」
雪美「はい……」
腕輪「嘘だよ!」
晶葉「男だったりする」
雪美「はい……」
腕輪「嘘だよ!」
P「ペロの言葉はわからない」
雪美「はい……」
腕輪「嘘だよ!」
晶葉「ありがとう、雪美。もう十分だ。本当にありがとう……」
晶葉「あとはサイズと音量の調整をもう少しするか」
P「あ、待ってくれ。試したい人間が浮かんだ」
晶葉「……試すのか? 本当に試すのか?」
P「試したいだろ? 俺は試したい」
晶葉「そうか。ならば試すか」
P「ということでちひろさん」
ちひろ「さっきの前振りはなんですか?」
晶葉「知ってはならないことを知りそうで……」
ちひろ「もう……私はみなさんに隠し事なんてしてませんよ」
P「年齢とかスタドリの原材料とか」
ちひろ「女性に年齢を聞いちゃダメですよ。スタドリの原材料って言っても
私はただの販売員ですし……。はい、つけま」
腕輪「嘘だよ!」
晶葉「ん?」
P「えっ?」
腕輪「嘘だよ! 嘘だよ! 嘘だよ! 嘘だよ! 嘘だよ! 嘘だよ! 嘘だよ!」
P「えっと……これは……」
晶葉「……」
ちひろ「……」
腕輪「嘘だよ! 嘘だよ! 嘘だよ! 嘘だよ! 嘘だよ! 嘘だよ! 嘘だよ!
嘘だよ! 嘘だよ! 嘘だよ! 嘘だよ! 嘘だよ! 嘘だよ! 嘘だよ!
嘘だよ! 嘘だよ! 嘘だよ! 嘘だよ! 嘘だよ! 嘘だよ! 嘘だよ!」
P「……」
晶葉「……」
ちひろ「……」
腕輪「嘘だよ!」
以上
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