男「そうなのか」女「そうなのだ」(67)

男「そうなんだな」
女「そうなんだ」
男「信じられるとでも?」
女「信じられるとでも」

男「できるわけあるか」
女「できるわけあるさ」
男「まぁいい、いまは腹が減った」
女「ここにカップめんがある、食べると良いさ」
男「すまないな」
女「それでは信じてくれ」
男「それは断る」

女「残念だ」
男「湯を入れてくる」
女「了解した」
女「………」
女「………」

男「待たせたな」
女「待ちくたびれたぞ」
男「すまない」
女「それでは信じてくれ」
男「それはできない」
女「やはりだめか」
男「やはりだめだ」

女「どうしてもだめか」
男「どうしてもだめだ」
女「それは残念だ」
男「しかたないだろう」

女「なんでもするから、といえばどうだ?」
男「揺さぶろうというのか」
女「揺さぶろうというのさ」
男「魅力的な提案だ」
女「魅力的な提案だろう?」

男「それでもダメだ」
女「それでもダメか」
男「問題が多すぎるだろう」
女「そうでもないぞ?」

男「あなたは自分の立場が分かっているのか」
女「わかってるにきまっているだろう」

男「俺は執事で」
女「私はお嬢様だ」

男「……」
女「何に問題がある?」
男「全部だ」

男「そもそも『立場は関係なしに普通に接して欲しい』なんて提案すら無茶だったんですよ」
女「あっ………」
男「カップラーメンなんてどこからもってきたんです?」
女「友達にたのんで…かってきてもらった」

男「もうこんな馬鹿げたことには付き合せないでくださいね」ガチャ
女「………」
男「それでは、おやすみなさい」バタン
女「…………………ぐすっ…」

男「失礼します」ガチャ
女「おお、来たか」
男「やりませんよ」
女「そう………」
男「今日は二時限目からでしょう、用意をしていないんですか?」
女「いきたくない」
男「わがままばかり言っていないで真面目に勉強なさってください」
女「…………………たら…」
男「はい?」
女「普通に接してくれたら勉強する」
男「わかったよ」
女「本当か!」パァァァ
男「さぁ、支度しろ付いていってやろう」
女「わかった」

男「遅いじゃないか」
女「まだ時間がある、心配する必要は無い」
男「今は9時半だぞ」
女「なに!?この腕時計狂っているのか」
男「さ、行くぞ」

学校前

男「それでは」
女「ああ、また放課後」
男「(今更だが…なぜお嬢様は普通に接していると口調が変わるのだろう…)」

屋敷

主人「ちょっと男君」
男「はい、なんでしょうか?」
主「最近娘の部屋によく入っていると聞いたのだが」
男「ええ、お嬢様の世話をするのが私の仕事ですし」

主「ああ、出入りが多いのはまだ分かるんだ、しかしだね」
男「はい?」
主「入り浸りすぎていると聞いたのだが」
男「それはお嬢様が勉強を教えてくれ、と」
主「それに最近夕食を食べないのだ食べてもカップラーメンのほうが良いとか」
男「(初耳だ…)たまにはいつもと違うものが食べたくなることもあるんですよお嬢様にも」
主「そうだといいのだが…」

学校

友「女ーどうだった?」
女「良い感じ!」
友「そりゃよかった」
女「でもやっぱり乗り気じゃないみたい」
友「あの人も罪作りだねー」
女「鈍感だからね」

友「今日はどうすんの?」
女「そのまま帰るよ。迎えに来てくれるから」
友「え!?迎えに来てくれんの?」
女「うん、でもきっと執事としてだから」
友「そっか…」

放課後

男「お嬢様、お迎えに参りました」
女「やめて」
男「しかしお嬢様」
女「うるさい」
男「なんだと」

女「やめないのが悪い」
男「やめたじゃないか」
友「女ー。あ、どうも男さん」
男「これは友様お久しぶりです」
友「あんたねぇー私の前でもそういうのやめなさいよ」
男「それはできません」

女「やめなさい」
男「わかった」
友「(切り替わるの早ッ!?)」
女「それでいいんだ」
友「(ちょっと女)」ヒソヒソ
女「(なに?)」
友「(あいつ手馴れてない?)」
女「(アレが素なのよきっと)」

男「それじゃ帰るか」
女「そうだな」
友「(あれ?なんか女変…)」

屋敷

女「ただいまー」
男「ふう」
女「じゃあ、私は部屋に戻るから」
男「なんかあったら呼べよ」
女「わかった」トコトコ

男「さてと、まずは掃除か」
主「ちょっと男君」
男「は、はい(不味い…)」
主「さっきのはどういうことだ?」
男「さっきのとは?」
主「娘との会話の事だ」
男「それは…」

女の部屋

主「女、ちょっといいか」
女「お父様なんでしょうか」
主「お前男に『立場は関係なしに普通に接して欲しい』と頼んだようだな」
女「な、何故それを…」
主「先程お前たちが話しているのを偶然見ていてな」

女「す、すいませんでした」
主「なぜ謝るのだ?」
女「え?」

主「女、お前はどうしたい?」
女「それは…」
主「私は別に反対はしないよ」
女「お父様…」
主「しかし男君も信じてやれば良いものを」
女「私が昔からウソツキなのをしっているからでしょう」
主「まぁ頑張れ」バタン

その頃男は

男「まさかご主人にしられてしまうとは」フキフキ
男「でもやっぱり昔の接し方のほうが良いな…」
男「………あれは絶対に信じきれないけど」

主「やぁ」
男「うわっ!?ご主人!?」
主「どうした?」
男「どうした?じゃないですよ…びっくりしたぁ…お嬢様との話は済んだんですか?」
主「ああ、ところで娘…女を君はどう思う」
男「お嬢様ですか…そうですねぇ」
主「そうじゃない」
男「え?」

主「執事としてではなく男という一人の人間としてだ」
男「うーん…」
主「君は娘の言ったこと、信じれないか?」
男「え、ええ…」
主「それは何故だ?」
男「きっと…また何かの冗談なんだろうと。確かに本当でしたら嬉しいです」

主「……」
男「でも、例え本当だとしても立場の問題で」
主「つまりは私が許可を出せば良いんだな?」
男「し、しかしそれは…」
主「まぁそれは君が決めると良い、いつでも私は許可を出すよ」

男「はい」
主「それじゃ」
男「ありがとうございます」
主「ふふふ…若いな…」

女の部屋の前

男「お嬢様」
女「入って」
男「今日も、やられるんですか?」
女「あたりまえだ」

男「しかし…飽きないな」
女「これが本当だったはずだろう?」
男「しかし1つ聞きたいんだが」
女「なんだ?」
男「なぜ口調が変わる?」
女「…………」
男「いつもは女らしい口調なのに何故俺とこうやって話すときは…」

女「まぁそれはいいだろう」
男「おい、話をそらすな」
女「このページのここなんだが」
男「ん…まぁいいか、ここはだなぁ」

男の部屋

男「ふぅ…やっぱりあいつは飲み込みが早いな」
男「なつかしいな…俺がまだここに来る前はよく遊びに来たっけ」

男(中学3)『おーい、明日テストだろ?ちょっと勉強教えてくれねぇ?』
女(中学3)『またお前は…』
男(中)『いいじゃんいいじゃん』
女(中)『まぁいいけどな、じゃあ帰ろうか』

男「昔は教えられる立場だったのになぁ…」

男(俺の親父は元々家族思いの良い人だった)
男(でも仕事のストレスから覚醒剤にはまり)
男(たくさんの借金を残して自殺)
男(お袋もそれを追うように…)
男(借金のかたに連れていかれそうな俺を女、お嬢様に助けてもらったわけだけど…)

男「なんだこの説明臭いの」

男「ま、その後は必死に執事について学んで勉強して今はお嬢様に勉強を教えてるわけで…」
男「お嬢様の口調が変わるのはやっぱり昔のままが良いからなのかな…」
男「でも…じゃ…あれは…どういう…」

ピピピッピピピッピピピッ

男「寝てたのか…」ピピ…
男「行こう」

見てる人いるか分からんけど風呂

この男はひたすら独り言を言う病気かなにかか

>>47

俺「俺の癖だ、言わせんな恥ずかしい」

女の部屋の前

男「お嬢様」
女「あー、いまからいくー」
男(やっぱり執事のときは口調が)
女「おはよう」ガチャ
男「お送りしましょうか?」
女「いいや、今日は友と帰るから」
男「かしこまりました」

女「いってきます」バタン

男「今日は…ないのか…」
男(ん?何で残念がっているんだろう)

学校

友「女ーちょっと聞きたいことあるんだけど」
女「なに?」
友「昨日男君と話してたときさー」
女「う、うん」
友「口調変だったけどなんかあった?」
女「そ、それがさ…」

友「へー…で、昔の関係のままが良いから、ね」
女「うん」
友「じゃあなんであんなこと言ったのよ」
女「それはさぁ…」
友「それは?」
女「うぅ…」

友「いいよ、分かるから」
女「いじわる」
友「ふっふっふ、ま、要するにどうやって関係を崩さずに行くかってことね」
女「良い案ある?」
友「まずはすこしずーつ口調をもどしていけば?」
女「や、やってみる」

女「ただいまー」
主「おかえり」
女「お父様、珍しいですね。いつもはもうちょっと遅くお帰りなのに」
主「今日は早めに会議が終わってね」
男「お嬢様お帰りなさいませ」
女「夕食の後私の部屋にね」
男「かしこまりました」

女の部屋

男「お嬢様」
女「どうぞー」
男「失礼します」ガチャ
女「それではさっそく」
男「おう」

女「で、ここがここなの?」
男「いや、ちょっと違うな」
女「むずかしいね」

男(なんだ?なんか違和感あるぞ…)

女「ありがとう、これでばっちり」ニコッ
男「!?…あ、ああ頑張れよ」

バタン

女(こんな感じかな…うん…いけるかも)

女「で、ここでこうするっと」
男「そうそう」

それから男は素に戻っていることのほうが多くなった
そして自分が女に惹かれていることも自覚していた

学校

女「で、こう横に寄っていって」
友「大胆ねぇ…」
女「きょ、今日ねまた言う事にする…」
友「そっか、頑張ってね!!」
女「うん!」

女「ただいまー」
男「お帰りなさいませ」
女「ほらほら、もどって」
男「おかえり」
女「ただいま」
男「今日はどうすんの?」
女「今日も来て」
男「わかった」

男「入るぞー」
女「どうぞ」

女「いいたいことがあるんだけど…」
男「ああ」
女「この間言った事覚えてる?」
男「うん」
女「信じてくれる?」
男「………」

女「じゃぁさ…」
男「いや、言わなくて良い」
女「えっ…」
男「俺に言わせてくれ」
女「うん…」
男「俺は――――」

ガヤガヤ ザワ…ザワ…

友「えーやっぱり執事と跡取りの結婚って言うのは普通珍しいものだと思うんですが」
友「それに協力したのが私というわけで」
友「二人ともやっぱり昔の関係を崩したくないだとか」
友「せっかくの両思いなのにもったいないっていうかねぇ」

男(おい)ヒソヒソ
女(なに?)
男(あいつ話長くないか?)
女(それだけ嬉しかったんでしょ)
男(そうならいいんだけどさ、後半自慢話入ってるぞ)
女(っていうかお父様泣きすぎでしょ)
男(さすが親馬鹿…)

――それでは主人様のスピーチです

主「えー…あー…おめでとう…」
男「……」
女「……」
主「おい、何か反応はないのか」
男「いやぁ顔面を涙でびしょびしょにしながら言われても…」

主「なんだと!?」
女「ふふふ、お父様。ありがとう」
主「お、お、お前…」ブワッ
男「あーあーまた泣いちゃったよ」

女「男」
男「ん?」
女「私は…男とずっといっしょだからな」
男「そうなのか」
女「そうなのだ」ニコッ


          おわろ?





         爆 発 し ろ


このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom