シンジ「ゼロさん、僕たちは決めました」ウルトラマンゼロ「……!」 (768)

☆このスレは
『ウルトラマンゼロ「お前たち自身で決めるんだ!」シンジ「……!」』
の第2部です。先にこちらをご覧ください。


☆このスレはエヴァンゲリオン旧劇場版とウルトラマンゼロのクロスオーバーストーリーです。


☆独自設定、独自解釈などが頻出します。ご了承ください。


☆前回より投下量、スピードは下がるかもしれません、ご容赦ください。


☆ウルトラマンゼロ世界の時系列ですが、ゼロファイト2部後にしたかったのですがやはり現在進行中の作品であり、今後このSSとの矛盾が生じる恐れがあるため、
今回もゼロファイト2部前に設定させて頂きました。シャイニングゼロの登場を期待されていた方には本当にごめんなさい。
シャイニングゼロの活躍は一緒にテレビで見ましょう。


☆前回の板にコメントをくださった皆さん、見やすくまとめてくださったエレファント速報さん、そしてそこにもたくさんのコメントを残してくださった皆さんに心よりお礼申し上げます。
第2部も応援頂けるとありがたいです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1360720256
























———とある惑星





    バキィィン!


「ぐあああああああああああ!!!」 ドガァッ

???「フハハハハハハ!どうした、そんなものか?」

「お、おのれナックル星人!うおおおお!!」グワッ

「たああああ!!」バッ

ナックル星人(以下、ナックル)「フン」ジャキッ


    ブンッ    
 ズバババババババ!!

「ぐあああああああ!!」

「がはっ……!」

ナックル「クックック……もはやウルトラ戦士すらも我が敵ではない……」

???「そこまでだ、ナックル!」

ナックル「ほう……ウルトラマンジャックか。かつては同族が世話になったな」

ウルトラマンジャック(以下、ジャック)「なぜ我々を襲う?何が狙いだ!」

ナックル「狙い?知れたこと、このナックル様の強さを全宇宙に知らしめんがためよ!」

ジャック「何だと……その槍はなんだ」

ナックル「これか? クックック、天からの授かりもの、とでも言っておこうか」

ジャック「天からの……?」

ジャック(あの槍から悍ましいエネルギーを感じる……まさか、あれは!)

ナックル「話は終わりだ、貴様もこの槍の錆にしてくれる!」 ドヒュッ

ジャック「仕方ない……!ウルトラランス!ヘアッ!!」 キュイン!

ナックル「キェェェェェェーーー!!」


        ギィン!!          ガギィン!!

              ギャイン!


ナックル「フハハハハハハ!どうしたどうしたァ!」 ガキィン!

ジャック(く……!なんというパワーだ!明らかにこのナックル星人自身のものを越えている!) ギギギギギ

ナックル「ずぅあぁっ!!」 ドギャッ

ジャック「ぐはっ!」 ズザザッ

「ジャックさん!」

「そんな……」

ナックル「素晴らしい……今の俺ニハもはやウルトラ兄弟すら敵デはない!」

ジャック「その槍を捨てろナックル……!それは危険だ!」

ナックル「命乞イか?フゥ、何とも情ケナい……」 ザッ ザッ

ナックル「醜態を晒すな、今楽にしてやる!」 ザッ

ジャック「うぐ……!」 フラフラ

ジャック(くそ……ダメージが……!)

「ジャ、ジャックさん!」

ナックル「死ねぇ!ウルトラマンジャック!!」 グオッ

ジャック「……くっ!」



   ビビビビビビビビビビ!!



ナックル「むう!?」 バチィン!

ジャック「!?」




      ビビビビビビビ……


ナックル「ぐぬぬぬぬぬぬ……」ズザザザザザ……

ナックル「ぬあぁ!!」 バチィン!

「おお!救援だ!」

「た、助かった!」

ナックル「ふぅ、驚かせやがる……だがこの槍はウルトラ兄弟の光線をも弾き返せることを証明した……!」ニヤリ

ウルトラマンエース(以下、エース)「大丈夫ですか!?ジャック兄さん!」 

ウルトラマンタロウ(以下、タロウ)「ここまでだナックル!おとなしく降伏しろ!」

ジャック「エース!タロウ!すまない」

エース「救護班!負傷者の保護を!」

救護隊員「はい!」

ナックル「……くっくっく」

タロウ「なにがおかしい?」

ナックル「数だケ揃エレば俺に勝てルト思ったカ……?」 ジャキッ

エース「まだやる気か?」 グッ

タロウ「ジャック兄さん、あの槍は……」

ジャック「お前たち、気をつけろ……!」 シャキン

ナックル「マケルキガシナイ……ヌオオオオオオオオオオオ!!」

     ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ジャック「来るぞ!」

エース・タロウ「「!!」」

ナックル「カアアアアアアアアア!!」


         ドガァァァァァァァ……ン!!



つづく

本当に2部前にしてよかったと思いました

再開
























———惑星エスメラルダ





———ゼロ食堂


      ワイワイ 
             ガヤガヤ


    ガラッ

おっさん「ふいー!腹減ったー!」

おっさん「女将さーん!いつもの!」

女将「いつものじゃわかんないよ!ちゃんと注文しておくれ!」

おっさん「んだよー、そろそろ俺の顔覚えてくれてもいいんじゃねえの?」

女将「毎日毎日ごつい顔ばかり相手にして、一つ一つ覚えろってのかい?あんまり美人をいじめるんじゃないよ!」

おっさん「美人だってよ、うへへ」

おっさん「美人ってのは……なぁ?」チラッ

女将「聞こえてるよ!そんなに飢えたいならさっさと出ていきな!」

おっさん「うへぇ、冗談冗談!俺ゼロ定食!」

おっさん「俺グレン定食ね!」

女将「まったくこれだから男って奴は……ミラー定食上がったよ!持ってっておくれ!」

アスカ「はーい!ただいま!」

おっさん「アスカちゃんいつもご苦労だねえ」

アスカ「いえいえ、いつも来ていただいてありがとうございます!」ニッコリ

おっさん共(くぅ〜〜〜!!かわいい〜〜〜〜〜!!////////) デレデレ

女将「アスカちゃん、そんなのにいちいち愛想振る舞わなくてもいいんだよ」

おっさん「おいおい、看板娘のサービスに水差すなよ女将さん!」

おっさん「アスカちゃんは『いつも来てくれて』って言ってくれてるんだぜ?」

おっさん「俺たちの顔、覚えててくれてるんだろ?」

アスカ「……えへへー♪」 ニッコリ

おっさん共(くぅ〜〜〜!!かわいい〜〜〜〜〜!!////////) デレデレ

先生「お邪魔するよ」

アスカ「あ、先生!いらっしゃいませ!」

先生「頑張ってるねアスカくん」

アスカ「これも生活のためですからね」フフン

先生「明日は二人で学校に来てくれるんだろう?待ってるよ」

アスカ「はい!」

先生「ところで、今日はシンジスペシャルは注文できるのかな?」

アスカ「ええ、ご用意できますよ!」

先生「ほっほっほ、ではシンジスペシャルを頂こうかな」

アスカ「はーい!!シンジー!シンジスペシャル一つ、先生から注文いただいたわよー!!」

シンジ「はーい!少々お待ちくださーい!」

先生「すっかり君の味のファンになってしまってね。よろしく頼むよ」

シンジ「お任せください!」

新人おっさん「シンジ? 何だ、キッチンにもう一人若いのがいたのか」

ベテランおっさん「なんだ新入り、知らねえな? シンジはアスカちゃんのコレだぜ」

新人おっさん「えぇー!! ア、アスカちゃんの彼氏ー!?」 ガックリ

女将「二人は地球って星から来た子でね!良く働いてくれるんだよ!」

ベテランおっさん「ここが忙しくないときは二人であの先生の学校で勉強しているそうだ。まったく頭が下がるよ」

新人おっさん「はーあ、アスカちゃん……」 ションボリ

アスカ「ごめんね?おじさん」 テヘッ

女将「あららぁ」

ベテランおっさん「ま、ここの客の誰もが通る道だわな! ハッハッハ!」

新人おっさん「じゃあ先輩も?」

ベテランおっさん「るせーやい」 バシッ

シンジ「ハハハ……」




シンジ(あれからどのくらい経っただろう。僕たちは今、平和に暮らしている)




シンジ(ここは都会からは少し離れた小さな町。村と言ってもいいぐらいのところだ)

シンジ(新居を決める時、アスカは文明の最先端を行くという中央都市に住みたがると思ったんだけど)


アスカ『使徒との戦いとかいろいろ思いだすからもう都会暮らしはまっぴらよ!』

アスカ『それよりもおとぎの国にあるような小さな町での〜んびり暮らすの!』


シンジ(って言うもんだから探してもらったらここにありついた)

シンジ(ホントにファンタジーの世界のような町で、エメラナ姫の王宮も近い)

シンジ(家は小さいけれど二人で暮らすには十分な一戸建て。格安で貸してもらってる)




シンジ(もちろん約束通り、僕たちは離れることなく一緒に生活している)




女将「ボット定食とグレン定食、あがったよー!」

アスカ「はーい!」



シンジ(ここはゼロ食堂。毎日じゃないけどアスカと一緒に働かせてもらってる)

シンジ(家賃や生活費、それにエメラナ姫への借金を返すため、まずは働ける場所が無いか探して、この食堂を訪ねた)

シンジ(僕の料理とアスカの愛嬌が女将さんの感性にヒットしたらしく、すぐに雇ってもらえた)

シンジ(最初のころはアスカは慣れない接客に四苦八苦してたけど、女将さんの指導の甲斐あって今では立派な看板娘だ)

シンジ(僕たち二人女将さんには頭が上がらないよ)

シンジ(旦那さんはキッチンで僕と一緒に料理してる。寡黙だけど僕に料理をいろいろ教えてくれる良い人だ)

シンジ(アスカという看板娘ができたことで、この食堂の客足は一気に増え、女将さんもご満悦だ)


女将『あたしだってまだまだ美人よ、ねえシンちゃん?』

シンジ『あはは……』


シンジ(ミサトさんが歳を取ったら、こんな感じになるんだろうか……)

シンジ(ちなみに女将さんはゼロさんたちの大ファンだそうで、店の名前からメニューにまでゼロさんたちの名前が付けられてる)

シンジ(シンジスペシャルっていうのは、女将さんに認めてもらって出してる僕のオリジナルメニューのこと)

シンジ(僕がいる時にしか出せない、僕の自信作だ)

シンジ(食べ物は、やっぱり地球とは全然違う)

シンジ(それでも肉や野菜、魚など根本的なものは同じなので、地球と同じ感覚で料理すれば全く地球のそれと変わらない)


アスカ『いやー!怪獣の肉なんて食べれなーい!』


シンジ(最初はアスカもこう言ってたけど、慣れてしまえばなんてこともない)

シンジ(シンジスペシャルのメインのおかずだって、地球で言う肉じゃがみたいなものをエスメラルダの食材で再現したものだったりする)


   ガラッ

女将「あら、いらっしゃい!」

おっさん「よう女将さん、またごちそうになるぜ」

アスカ「いらっしゃいませ!」 ニッコリ

おっさん「アスカちゃ〜ん! 会いに来たよ〜♪」

シンジ(主にこの食堂に食べにくるのは町の近くの鉱山で働くおじさんたちだ)

シンジ(アスカのうわさが広がりまくって、昼時の食堂はいつもてんやわんや)


おっさん『アスカちゃんを守る男ってんなら、そんな貧相な体じゃあダメだな!』

おっさん『たまには俺たちの仕事場に来い!鍛えられっぞ!』


シンジ(こんな感じでたまに僕も鉱脈に連れて行かれて、働かされる。正直かなりしんどい)

シンジ(でも体を鍛えなきゃアスカを守れないのは事実だし、何気に結構給料もいい)

シンジ(なんだかんだでおじさん達にもかわいがってもらえてる)

シンジ(……変な意味じゃなくてね)



シンジ(僕たちがこの星に馴染めるように、エメラナ姫もいろいろ手を尽くしてくださった)

シンジ(その一つが、学校だ)

シンジ(僕たちの家の近くに、僕たちと同じ異星人が通う学校がある)

シンジ(そこで僕とアスカは、エスメラルダの文字や歴史、経済なんかも学んでる)

シンジ(さっきシンジスペシャルを注文してくれた人が、僕たちの先生だ)

シンジ(白ヒゲが立派な先生で、雰囲気がちょっと副指令に似てる気がする)


先生『アスカくんに負けてるぞ。料理だけじゃなく勉強も頑張りなさい、シンジくん』

アスカ『だってさ、シンジ』ドヤァァ


シンジ(……)

シンジ(……学校では、おじさんたちが採掘しているこの星の重要な資源、『エメラル鉱石』についても色々学ぶ)

シンジ(緑色に光る宝石のような石で、小さな石ころでもとんでもない量のエネルギーを生み出すんだそうだ)

シンジ(アスカ曰く、エメラナ鉱石が1kgあればポジトロンライフルを5発は撃てるんだとか。ホントかなぁ)

シンジ(でもこれでジャンボットさんやジャンナインさんが動いてるんだと思うと納得できるような気もする)

シンジ(歴史ではかつてゼロさんたちがこのエスメラルダを救ったことも教えてくれる)

シンジ(教科書の中ではまるで完全無欠の英雄として神様のような扱いを受けている)

シンジ(普段の姿を知ってる僕らとしては……なんとも言えないね、ってアスカと笑ってた)




先生「ふむ、やはり美味しいね」

シンジ「ありがとうございます、先生」




シンジ(あと、それから……)



アスカ「シンジ—!シンジスペシャルもういっちょー!」

シンジ「はーい!ありがとうございまーす!」

おっさん「二人もすっかりこの町に馴染んできたな」

女将「そうだねえ、あの子らがここに来てもうどれくらいになるかねぇ」

エメラナ「地球の暦で言えばもう1年以上になるそうですよ」

おっさん「そうか1年かぁ、っていってもここの暦とは違うから良くわかんねえなあ」

女将「自分の誕生日も分からなくなっちゃったのは可哀想だねえ」





アスカ「エメラナ姫!いらっしゃいませ!」

エメラナ「こんにちは、アスカさん!」





おっさん一同「ええええええ!!!エメラナ姫ええええええええ!!?」 ドンガラガッシャーン

女将「あらいらっしゃいませお姫様、どうぞお座りになって」 ガタッ

エメラナ「女将さん、ありがとうございます」

新人おっさん「な、な、な、なんで姫様がこの店に……!?」ヒソヒソ

ベテランおっさん「シンジとアスカちゃんをウルティメイトフォースゼロから直接預かった縁で、ちょいちょい顔を見にこられるそうだ」ヒソヒソ

新人おっさん「だ、だからってこんなむさ苦しいところにわざわざ……」

アスカ「エメラナ姫、なんになさいます?」

エメラナ「じゃあ〜……シンジスペシャルください!」

新人おっさん「アスカちゃんはともかく女将さんも手馴れすぎでしょ……」

ベテランおっさん「初めて姫様が訪ねてこられた時の女将さんのリアクションをお前にも見せてやりたいよ」プププ

女将「コラ、聞こえてるよ!」

シンジ(エメラナ姫はたまにこうやって僕たちの様子を見に来てくださる)

シンジ(3人で遊ぶこともあったりして、アスカはまるでお姉さんができたみたいに懐いてる)


エメラナ『私も妹ができたみたいで嬉しいですよ』


シンジ(なんてエメラナ姫もニコニコ言うもんだから、まあいい……のかな?)

シンジ(もうアスカ、エメラナ姫はこの星のお姫様なんだよ……と、いつもヒヤヒヤ)



アスカ「シンジ!エメラナ姫からもシンジスペシャル一丁よー!美味しく作んなさいよー!」

シンジ「はーい!エメラナ姫、ありがとうございます!」




シンジ(こんな忙しい日々を送ってる。でも、毎日楽しい)

シンジ(いつも平和で、周りの優しい皆に囲まれて、皆に必要とされて)

シンジ(もうエヴァに乗らなくてもいいんだって思えて)





アスカ「こらバカシンジ!エメラナ姫を待たせちゃだめよ、さっさとやる!」

シンジ「わ、分かってるよ」

エメラナ「相変わらずお二人は仲がよろしいんですね」クスクス

シンジ・アスカ「「……////」」





シンジ(何より、アスカがいる)

つづく

再開

——————夕方



女将「今日はもう上がっていいよ!お疲れさん!」

シンジ「では、失礼します」 ギュッ

アスカ「女将さん、またね!」 ギュッ

女将「あらま、やっぱりラブラブね〜! 二人はいつ結婚するのかしらね?」 ニヤニヤ

アスカ「や、やだわ女将さん!結婚だなんて〜」テレテレ

シンジ「そうですよ、僕達まだ子供ですから」 ドグッ!

女将「エスメラルダではそんな決まりないのよ〜、いつでもしたいときにしちゃいなさい!」

女将「じゃないとシンちゃん、アスカちゃんをどっかの誰かに取られちゃうわよ?」

シンジ「あ……あはは……」 プルプル

アスカ「もう、あんまりからかわないで女将さん! じゃあまた今度ね」

女将「はいよ! じゃあ気を付けて帰んなさいね〜」 ヒラヒラ

アスカ「さ、帰るわよシンジ」ツカツカ

シンジ「な……なんでいきなり肘打ちしたのさアスカ……」プルプル

アスカ「自分の胸に聞いてごらんなさい」

シンジ「……結婚の事?」

アスカ「……」

シンジ「ま、まだ早いと思うな、だって僕らまだ15になったくらいなんだし……」

アスカ「意気地なし」 ボソッ

シンジ「え?」

アスカ「なんでもない!今日の晩御飯ハンバーグがいい!」

シンジ「……はいはい」

アスカ「返事は一回!」

シンジ「はい」

アスカ「……よろしい!」 ニコッ



シンジ(相変わらず僕はアスカの尻に敷かれている)

シンジ(でもこんなアスカも朝になったら)


——————翌日


シンジ「アスカ、起きて。今日は学校の日だよ」

アスカ「うぅ〜ん」

シンジ「早く仕度しないと遅刻しちゃうよ」

アスカ「しんじぃ〜、おはようのチューはぁ〜?」

シンジ「はいはい」 チュッ

アスカ「えへへ〜////」

シンジ「ほら起きて、朝ごはんもできてるよ」

アスカ「起きれな〜い、起こして?」

シンジ「はいはい」 ギュッ グイッ

アスカ「えへへへへ〜/////」




シンジ(学校でも食堂でも見せないアスカのこんな姿)

シンジ(僕だけが見られると思うと、ちょっとした優越感に浸れるんだよね)

シンジ(アスカも使徒と戦わなきゃいけない気の張った生活から解放されてこんなふうになったんだと思う)

シンジ(最初はびっくりしたけど……かわいいから、いいかな////)


アスカ「いただきま〜す!」

シンジ「いただきます」


シンジ(学校も食堂も無いたまの休みの日には中心都市に行ったり近所の草原でのんびりしたり)

シンジ(そんなときも約束通り、僕が鉱山に行くときとか以外はだいたいいつも一緒にいる)


アスカ「ほらシンジ、ちゃんと戸締りした? 遅れるわよ!」

シンジ「アスカの身支度が長かったんじゃないか」ボソッ

アスカ「なんか言った!?」

シンジ「いえいえ、何も」



———学校



クラスメイト♂「おはよーっすシンジ!アスカ!」

シンジ「うん、おはよう」

アスカ「おはよっ!」

クラスメイト♂「今日も二人揃って登校とは、憎いね〜」

シンジ「あはは……」


シンジ(学校にも友達ができた。もちろんみんな宇宙人だ)

シンジ(僕たちと同じように自分たちの星を失ったという宇宙人もたくさんいる)

シンジ(見た目は人間タイプだったりそうじゃなかったり色々だけど、みんな優しい人ばっかりだ)



クラスメイト♀「おはよう、シンジくん、アスカ」

アスカ「おはよう!」

シンジ「おはよう」


シンジ(そう言えばなんで文字が読めないわりに言葉が通じてるのか、最初は自然すぎて気がつかなかった)

シンジ(優れた進化をした宇宙人は言語が違ってもテレパシーに似た物でお互いの気持ちを読み取りコミュニケーションを取れるらしい)

シンジ(例えば僕が『こんにちは』って言っても、アスカが『グーテンモーゲン!』って言っても相手は等しく『こんにちは』って返してくれる)

シンジ(そして僕たちはそれぞれその意味が伝わる。こんなことがエスメラルダの人々は皆できるってことだ。凄いなあ)

シンジ(それができない僕たち地球人は相手のテレパシー能力に甘んじて会話しているってわけだ。別に心の中を読まれるわけじゃないから心配はいらない)

シンジ(ファントン星人みたいにお互いできないときは困るけど、学校でも習ってる宇宙語で最低限のコミュニケーションはとれる)

シンジ(ゼロさんに教わった「キエテ コシ キレキレテ」。この意味は「ボク、キミ、友達」なんだそうだ)


シンジ(ちなみにここでも)

クラスメイト「ああ、やっぱりアスカ様は美しいなあ」

クラスメイト「ホント、一緒に暮らしてるなんてシンジが羨ましいよ……」

シンジ(ホントにアスカは宇宙クラスの美少女ってことになったみたい)

アスカ「♪」ドヤァァ

シンジ(……ま、嬉しそうで何よりだ)

クラスメイト♀「シンジくん、アスカ!放課後、皆で都会へ行かない?」 

クラスメイト♂「なんかすっげー宇宙船が来てるらしいぜ!」

シンジ「あ、ごめん!明日大事な用事があるからその準備しなきゃ」

アスカ「また誘ってね!ホントごめん」













シンジ(そして、ゼロさんたちは)



——————翌日


———草原




アスカ「シンジ、そろそろよ」

シンジ「……うん」



                           キラーン


シンジ「来た!」


       キィィーーーー……ン







             ズズーン!


ウルトラマンゼロ(以下、ゼロ)「いよっ!元気にしてたかよ!」

シンジ「ゼロさん!」

アスカ「ゼロ!」


ミラーナイト(以下、ミラー)「久しぶりですね、お二人とも」

グレンファイヤー(以下、グレン)「前来たのはいつだったかな?」

ジャンボット(以下、ボット)「地球時間でおよそ二か月前だ」

ジャンナイン(以下、ナイン)「なんだ、たったそれだけか」

アスカ「あんたらにとってはたったそれだけでも私たちには2か月って結構長いのよ!」

シンジ「そうですよ、ずっと待ってたんですから」

グレン「お、お前ら……くぅ〜!」グスッ

ゼロ「はいはい、積もる話は宇宙で聞くぜ! また新しい面白い星を見つけたんだ!」

ミラー「きっとお二人もお気に召すことと思いますよ」

ボット「さあ二人とも、私に乗れ! 食料は揃えてあるぞ」

シンジ「はい!」

アスカ「今回もエメラナ姫のお部屋使っていいんでしょー?」

ボット「……許可は取ってある」

アスカ「やった!」

シンジ「もう、アスカったら」


シンジ(こうやってたまに、宇宙に連れてってもらっている)

シンジ(やっぱり宇宙を旅するのはすごく楽しい)

シンジ(もちろん、食堂や学校のみんなには内緒だ)

シンジ(星を救った英雄にホイホイ宇宙旅行させてもらってるなんて言えないからね)

シンジ(今日はまずゼロさんたちの秘密基地に連れて行ってもらった)




アスカ「眩しいところなのね」

シンジ「そうだね」

グレン「感想それだけ!?」


シンジ(これまでには、エスメラルダでも会わないような宇宙人と出会った)

シンジ(両手がハサミの宇宙人や、口紅みたいな面長の宇宙人、みんな個性的だったなぁ)

シンジ(彼らの同族が地球へ侵略したこともあると聞いて驚いたけど、恐らく僕たちの地球のことじゃないだろう)

シンジ(僕たちの地球が滅んだことを伝えると、皆残念がっていた)


ゼロ「地球という星はそれだけ、他の宇宙人からの憧れの対象でもあったんだ」


シンジ(ゼロさんはそう言っていた)

シンジ(……そんな地球を守れなかったことを)

シンジ(あの地球から離れたことを、ごくたまに、ほんのちょっとだけ———)



アスカ「もう、過ぎたことをいつまでもウジウジしないの!」

シンジ「!」

アスカ「もう私たちには新しい故郷があって、迎えてくれる人がいるじゃない! だからいいのよ」

シンジ「アスカ……」

アスカ「そ、それに……私だって……いるんだし……」 ゴニョゴニョ

シンジ「……」クスッ

アスカ「な、なによ/////」

シンジ「ううん、ありがとう、アスカ」







シンジ(父さん、母さん、ミサトさん、みんな——)


シンジ(今の僕たちを見たら呆れられてしまうかもしれませんけど)


シンジ(それでも僕たちは今、幸せです)

つづく

今週も面白かった

再開

———光の国・宇宙警備隊本部大隊長室



ウルトラの父(以下、父)「おお、帰ったか!」

ゾフィー「はい、負傷した戦士はすでに」

ウルトラの母(以下、母)「ええ、銀十字軍が引き取っています。大怪我をした者もいますが、みな命に別状はありません」

父「そうか、よかった……」

ゾフィー「しかし、なぜナックル星人が……」


  ガヤガヤ……

「お、お待ちください!」

「あなたも治療を……」


父「どうした、騒がしいな」

     ウィーン

ジャック「失礼します」 ボロッ

タロウ「待ってよジャック兄さん!」タタッ

ゾフィー「ジャック!何をしている、お前も治療を受けねば」

ジャック「ゾフィー兄さん、先に報告をさせてください……ぐっ」 ガクッ

母「ジャック!」

父「ううむ、その様子ではどうやら急を要するようだな……マリー、ここで手当てを」

母「ええ。ジャック、こちらに」

ジャック「すみません……」 ヒョコヒョコ

タロウ「父さん、母さん、すみません。ジャック兄さんがどうしてもって聞かないから……」

父「わかっている。ジャック、タロウ、話してみてくれ。いったい何があったのか……」

ジャック「はい、実は……」

———光の国・宇宙警備隊本部ロビー



ウルトラセブン(以下、セブン)「ジャックが帰ってきたのか!?」

エース「はい、ですが治療も受けずに大隊長へ報告に行っちまって……」

セブン「何を見たのか、お前は聞いてないのか?」

エース「ナックル星人が急に撤退してからはずっと深刻な顔をして黙ったまんまですよ」

セブン「そうか……む?」

タロウ「……」 スタスタ

エース「タロウだ、おいタロウ!」

タロウ「エース兄さん、それにセブン兄さん」

エース「お前はジャック兄さんについて行ってたんだろう? なんて言ってたんだ?」

タロウ「詳しくは後で話すよ、その前に……」

エース「その前に?」

タロウ「……ゼロに招致が掛かった」

エース「え!?」

セブン「!?」


———惑星エスメラルダ



アスカ「んー!楽しかった!」

シンジ「いつもすみません」

ゼロ「いいってことよ!約束だしな」

ボット「いつもコクピットを掃除してもらって悪いな」

シンジ「いえ、僕らにはこんなことぐらいしかできませんから」

ナイン(……たまには僕も掃除してもらいたい)

ミラー「今回の旅も楽しめてもらえたようで何よりです」

グレン「途中でベムスターの群れに遭遇した時はどうなることかと思ったけどな!」

ゼロ「俺のワープのせいじゃねえぞ!」

アスカ「あれ可愛かったじゃない、昔飼ってた鳥を思い出すわ」

ミラー「結構危ないところだったんですが……楽しめたんなら良しとしましょう」

ゼロ「はは、そうだな……じゃ、そろそろ行くとするか!」

アスカ「ね、次はいつ来てくれるの!?」

ボット「どうかな……エメラル鉱石の補給も済んだしな」

ナイン「しばらくはまたゆっくり広い範囲をパトロールすることになるだろう」

ゼロ「ここんとこはキナ臭ぇ話も聞かねえし、そうなるだろうから……また数か月後だな」

ミラー「次に立ち寄るときもまた姫様を通じて連絡しますよ」

シンジ「気を付けてくださいね、皆さん」

アスカ「そーよ、あんたたちには宇宙を守る他に私たちのガイドって仕事があるんだから」

グレン「ナンデヤネン!」 ビシッ

ミラー「ははは、分かっていますよ」

ゼロ「それじゃあな!」

シンジ・アスカ「「行ってらっしゃい!」」

一同「おう!!」


          ドヒュー……ン


シンジ「帰ろっか」 ギュッ

アスカ「そうね」 ギュッ


———宇宙



グレン「ガイド、ねぇ」

ミラー「我々の気晴らしにもなるし、いいじゃないですか」

グレン「そうだな、年を取ったらそういう仕事始めて見るかな?」

ゼロ「なーに爺くせえこと言ってんだ……ん?」


                キラーン


ボット「どうしたゼロ?」

ゼロ「ウルトラサインだ……」

ナイン「ウルトラサイン……我々には見えないウルトラマンの連絡手段だな」

グレン「たまにゼロそれ見てるふりしてとぼけたりするよな」

ゼロ「しねーよ! 何々……至急光の国へ帰ってこい、か」

ミラー「帰還命令ですか」

ゼロ「そうらしい、しかも急ぎの用ときたもんだ」

ボット「何かあったんだろうか、すぐに戻ったほうがいいだろう」

ゼロ「わかった、お前ら悪いが先にマイティベースに帰っててくれ」

ミラー「分かりました、お気を付けて」

グレン「お土産よろしくなぁ〜」 フリフリ

ゼロ「ジュワッ!」シャキィン (ウルティメイトイージス装備)

ゼロ「じゃあちょっくら行ってくるぜ!」 ドギュッ


 
             キィィィーー……ン





ナイン「……ここからマイティベースまでは大分かかるが」

グレン「あ」


———光の国・宇宙警備隊本部



ゼロ「よっと」 スタッ

ウルトラマンメビウス(以下、メビウス)「お帰り、ゼロ」

ゼロ「お、メビウス! 出迎えに来てくれたのか?」

メビウス「大隊長が君を呼んでるんだ、案内しろって言われて」

ゼロ「大隊長……ウルトラの父が?」

メビウス「さあ、こっちだ」 スタスタ

ゼロ「お、おう」 タタッ

メビウス「……」 スタスタ

ゼロ「……なぁ、大隊長は俺に何の用なんだ?」

メビウス「……僕も聞いてないんだ」

ゼロ「は? そうなのか?」

メビウス「またセブン兄さんに怒られるんじゃない?」

ゼロ「な、なんだよ!俺は最近そんな褒められこそすれ怒られる道理なんてねーぞ!」 アセアセ

メビウス「あはは、冗談だって。上層部にしか伝えられてない機密事項らしいよ」

ゼロ「ふーん……にしたってなんで俺が」 グチグチ

メビウス「……」

メビウス「……赤い地球の事、聞いたよ」

ゼロ「!」

メビウス「大変だったんだね」

ゼロ「まーな、でもあれから結構経つが、生き残った奴らは今も元気にしてるよ」

メビウス「……そっか」

ゼロ「……なんだよ、それがなにか」

メビウス「着いた、この部屋だ」 ピタッ

ゼロ「お、おう……お前は入らないのか?」

メビウス「うん、僕は君をここに送るまでが仕事さ」

ゼロ「あ、そう……」

メビウス「……そうだ、今日レオ兄さんはK76星に行ってるらしいよ」

ゼロ「え、なんで急にレオの話?」

メビウス「じゃあ、頑張って」 タタッ

ゼロ「あ、おい! ……ったく、何なんだあいつ」 ポリポリ

ゼロ「失礼しまーす」 シュィン



メビウス(ごめんね、ゼロ。僕本当は知ってるんだ)

メビウス(これから君が、聞かされることを……)




ゼロ「!」

父「よくきた、ゼロ」

ゾフィー「まあ、楽にしたまえ」

セブン「……」

ゼロ(大隊長にゾフィー隊長……それに親父?)

ゼロ「……あ、あの」

セブン「まずは挨拶しろ」

ゼロ「え!? あ、お、お久しぶりです、大隊長」

父「うむ」

ゼロ「……」ドキドキ

父「……」

ゾフィー「……」

セブン「……」

ゼロ(な、なんだよ、マジでなんか怒られんのかな……)ドキドキ

父「……君はまた、別の地球を訪れたそうだな」

ゼロ「! はい……」

父「その地球は、すでに壊滅状態であった」

ゼロ「……」

父「そして君たちウルティメイトフォースゼロはそこから2名の地球人を救出し、他の文明の惑星に預けた。間違いないな?」

ゼロ「……間違いありません」

父「そうか……」

ゼロ「……それがどうかしたかよ」

セブン「!」

ゼロ「俺は間違ったことをしたつもりはねえ! 俺たちがああしなきゃあいつらは……!」

セブン「落ち着け、ゼロ!」

ゾフィー「そうだ、誰も君たちが間違っているとはいっていない。むしろ正しいことだ」

ゼロ「だったら、なんで……」

父「君の報告を受けたのち、我々の方からもその地球への調査団を派遣した」

ゼロ「!」

父「その調査団の団長と兼任して護衛を務めたのが彼だ、入ってくれ」

     シュイン

???「失礼します」ヒョコヒョコ

ゼロ「ジャック……その怪我は!?」

ジャック「やあ、久しぶりだな、ゼロ」

ゼロ「その怪我は……やっぱり奴らにやられたのか!?」

ジャック「……」

父「奴ら……とは、誰のことだ?」

ゼロ「誰って……ジャックも見たんだろ!?あの地球にたくさんいた人型の怪物を!」

ジャック「……ゼロ」

ゼロ「無理もねえよ、あいつらとんでもねえ火力だ……でも大隊長、あれは元は地球人なんです! カヲルのやつがそう言って」

ゾフィー「待て、ゼロ」

ジャック「落ち着いて聞いてくれ、この怪我は調査遠征の帰路でナックル星人に襲われてつけられたものだ」

ゼロ「ナックル星人……?」

ジャック「そしてゼロ、君の報告にあった元地球人という怪物は一体も確認できなかった」

ゼロ「……は?」

つづく

再開

ゼロ「待て待て待て……そんな訳あるかよ、だって」

ジャック「あの地球に生物は見られなかった……あの地球は本当に滅びたんだ」

ゼロ「地球を間違えたんじゃねえか?」

ジャック「座標は合っている、まぎれもなく君たちが訪れた赤い地球だ」

ゼロ「んな……じゃあカヲルは?綾波レイは?」

ゾフィー「確か、人間の子供の形をした使徒、という超生物だったな」

ジャック「その子供たちも発見できなかった」

ゼロ「……そんな……そんなことあるわけ……」

セブン「ゼロ……」

父「……」

ゼロ「だってあいつらは、あの地球に残って、地球の行く末を見守るって……」

ジャック「待て、死骸すらも発見できなかっんだ、だからその子供たちも地球を脱出したのかも知れん」

ゼロ「……」

セブン「ゼロ、話はまだ終わっていない」

ゼロ「……」

父「その調査の帰りに彼らはナックル星人に襲われたと言ったな?そのナックル星人はある武器を持っていた」

ゾフィー「映像に出してくれ」

       ヴィン


ナックル『フハハハハハハハ!!』 

エース『バーチカルギロチン!』 ギュルルル!

ナックル『効かぬわ!』 ギィン!


ゼロ「……」

ゾフィー「これはエースとタロウが救援に向かったのち撮影されたものだ」

ジャック「ナックル星人の持っているものを見てくれ」

ゼロ「……なんだこれ、槍?」

父「この槍は超パワーを備えており、ジャックらの光線技をもなんなく弾き返した」

ジャック「実際に戦った経験から言うと、あのパワーはナックル星人自身のものを大きく超えている」

ゼロ「よく無事だったな、ジャック」

ジャック「それも不可解な点の一つなんだ、映像の続きを見てくれ」



タロウ『ぬう、なんという槍だ!』

エース『我々の攻撃がまるで通用しない!』

ナックル『フハハハ……ハ……』

エース『?』

ナックル『……ヤメダ』

タロウ『な、何!?』

ナックル『出デヨ、ブラックキング軍団』 ボンボボン!

ブラックキング『グルルルル……』

ジャック『これは!?』

エース『カプセル怪獣……!』

ナックル『……』 シュバッ

タロウ『しまった、ナックルが!』

ジャック『に、逃がすわけには……!』

ブラックキング『ガオオオオオオオオオオオ!!』

ジャック『くっ……!』


     ヴィン

ジャック「こうして不覚にもナックルには逃げられてしまった」

ゾフィー「不可解だろう?あれほどまでに熱中していた戦いを急に放棄して逃走を図った」

ゼロ「……確かに」


父「ゼロ」

ゼロ「!」

父「私は奴の持つあの槍こそが君の報告にあった『ロンギヌスの槍』であると考えるが、どうかな?」

ゼロ「な!?」

父「君の報告ではあの槍は地球を滅ぼした一因であり、また地球再生の為のキーアイテムである……とのことだが」

ゼロ「ま、待ってください! そんなこといきなり言われても、まだあれがそのロンギヌスの槍と決まったわけじゃ」

ゾフィー「確かにそうだが、これを見てほしい」

         ヴィン

ゼロ「星系図?」

ゾフィー「我々はあのナックル星人の行方を追うのだが、この広大な宇宙で奴一人を追跡するのは困難だ」

ゾフィー「だが、あの槍の放つ強力なエネルギーをキャッチすることは成功した」

ゼロ「この点滅してるのが、ナックル星人って訳か」

父「うむ、正確には槍だがな」

ゾフィー「そしてジャックと交戦した惑星から現在反応のある座標の延長線上には……」


        ピピピピピピピピ……     ピピッ


ゼロ「!! これは……」

ゾフィー「例の赤い地球がある、という訳だ」

ゼロ「そんな……」

ゾフィー「これが我々があの槍がロンギヌスの槍であると推察する根拠だ」

ジャック「私たちは奴とすれ違いになった、ということですね」

ゾフィー「そう考えるのが妥当だな」

セブン「奴があの地球に向かっているのは推測できるが、その目的は分からない」

ゼロ「目的……」

父「確かにナックル星人の進路や槍の正体についても未だ推測の域を出ていない」

父「だがこのままナックル星人を捨て置くわけにもいかないし、あの槍も放っておくわけにはいかない」

ジャック「奴は自分の強さを宇宙に知らしめると豪語した、もはや危険人物であると断定せざるを得ない」

ゼロ「……」

父「さらに我々は詳しい話を生き残った地球人から聞くべきだ、と考えている」

ゼロ「な、なんでだよ!?」

父「ジャックの調査結果と君からの報告は大きく食い違っている。さらに槍の問題もある。確認のためだ」

ゾフィー「そのためにゼロ」

ゼロ「ちょ、ちょっと待ってくれ!シンジとアスカは、もうそういう血生臭い生活から解放されたんだ!」

父「……」

ゼロ「今あいつらはエスメラルダで楽しく暮らしてる、だから今更宇宙のゴタゴタに巻き込みたくはねえんだ!」

ゾフィー「だがゼロ、あの槍がもしロンギヌスの槍だとしたら、地球を再生できるチャンスになるのではないのか?」

ゼロ「!!」

ゾフィー「地球は彼らにとって故郷だ、その地球が戻ってくるのなら……」

ゼロ「だから……槍が本物と決まったわけじゃ……」

父「槍が本物かどうかぐらいは彼らも知っていよう」

ゼロ「……」

セブン「ゼロ、彼らは槍があれば地球を元に戻せると知っているのか?」

ゼロ「……たぶん、知らねえ」

ゾフィー「そうなのか?」

ゼロ「槍で地球を戻せるって話は、あいつらからは聞いたことねえからな……」

父「なるほど……渚カヲルという超生物からのみ聞かされたのか」

ゼロ「それに俺は材料を聞いただけで、それでどうすればいいかまでは教えてもらってねえし……」

ジャック「……」

ゼロ「しかも必要なのは槍だけじゃねえんだ、なんてったっけ、エバーのショゴーキだかなんだかが欠けてるって……」

父「ふむ、かつて子供たちが搭乗していたという戦闘ロボットだったな」

ゾフィー「そのような宇宙を漂うロボットの存在は現在報告されていません」

ゼロ「それら材料が宇宙に散らばっちまったから諦めろって……そんだけだ」

ゾフィー「なるほど……渚カヲルは地球の再生が不可能だと諦めて、地球を退去したのだろうか?」

ゼロ「そんなはず、ねえよ」

セブン「ゼロ……」

ゼロ「あいつはずっと地球を見守るって……言ったのによ……」 ガクッ

セブン「ジャック、地球に生命反応は無かったのは間違いないんだな?」

ジャック「はい、ですが生命反応探査装置を開発したヒカリ博士が言うには、仮死状態になっている生物には反応できないとか……」

ゼロ「!」ピクッ

セブン「仮死状態か……死骸もなかったと考えると、その状態で地中に身を潜めているとか……」

ジャック「我々も精一杯捜索したつもりではありますが、ゼロたちや地球の子供たちでないとわからないような場所もあるのかもしれません」

ゼロ「……まだ希望はあるってことだな」

ゾフィー「とにかく今我々がやるべきことはナックル星人を逮捕し槍を回収することだ、その後のことは」

ゼロ「待ってくれ」

セブン「どうした、ゼロ」

ゼロ「この一件……俺に預けちゃくれねえか」

ジャック「!」

父「……」

ゼロ「ナックルのヤロウをブッ飛ばして、槍をぶんどってやる。そこまでは約束する。その後のことは……俺がきっちりけじめをつける」

ゾフィー「……」

ゼロ「だから頼む……お願いします……!」ペコッ

セブン「ゼロ……」

父「顔を上げろ、ゼロ」

ゼロ「……」スッ

父「……もとよりそのつもりだ、だから今日君を呼んだのだ」 ニッ

ゼロ「大隊長……!」 ホッ

父「君が受けないようなら我々で処理するつもりだったが、自らけじめをつけようとする態度は立派だぞ、ゼロ」

セブン「……」

父「この件は、正式に宇宙警備隊よりウルティメイトフォースゼロに一任する!」

父「協力が必要ならば言ってくれ。できる限りのことはする」ニコリ

ゼロ「あ、ありがとうございます!」ペコッ

ゾフィー「よかったな、ゼロ」

ジャック「私の仇をとってくれ、ははは」 ポンポン

ゼロ「ゾフィー隊長……ジャック……」

セブン「……」

ゼロ「親父……」

セブン「もしその槍が本物だった時」

ゼロ「!」ドキッ

セブン「お前は地球の子らに『地球を元に戻せるかもしれない』と伝えられるか?」

ゼロ「そ、それは……」

セブン「もうすでにお前に任された。子供たちにこの件を告げずお前たちだけで解決してもいいのだ」

ゼロ「!!!」


ゼロ(あいつらに黙って……!?地球を元に戻せる可能性を知りながら……!?)

ゼロ(そんなこと……でも……!)


セブン「ゼロ」

ゼロ「!!」ギクッ

セブン「お前ももう立派な宇宙警備隊のリーダーだ。責任のある立場だ。だったら……」

セブン「お前自身で決めるんだ!」

ゼロ「……!」

つづく

再開

———光の国・宇宙警備隊本部・ロビー



ゼロ「……はぁ」


『お前自身で決めるんだ!』


ゼロ(俺がシンジたちに言ったことを、今度は俺が親父に言われることになるとはな……)

ゼロ(やっぱ親子ってことかな、はは)

ゼロ(……)

ゼロ(……今、シンジとアスカはエスメラルダで楽しく暮らしてる)

ゼロ(新しい友達や仲間もできて、充実した日々を送っている)

ゼロ(……今更あいつらに地球に帰れるかもしれない、なんて言える訳ねえよ)

ゼロ(あいつらを宇宙へ連れ出したのは他でもない、俺たちなんだからな)

ゼロ(だが……それでいいのか?)



『君の気持ちだけ大切に受け取っておくよ』

『ありがとう、ウルトラマンゼロ』


ゼロ(カヲル……お前、どこいっちまったんだよ……まだ地球にいるんだろ?)

ゼロ(俺は地球を元に戻せるなら戻したい……お前も思ってんだろ!?)

ゼロ(じゃなきゃ不可能とはいえ方法があることを俺に伝えるわけがねえ!)

ゼロ「……よし」

ゼロ(回収した槍が本物だったら、まずは地球を戻す方法を知る! それはもう譲らねえ……!)ギリッ

ゼロ(地球の再生のシステム、それさえ知ることができれば……)

ゼロ(いやいや、とはいえ知ったところで今更あいつらに伝えられんのか……)

ゼロ(そうだ、結局ショゴーキとやらもどこにあるのか分かんねえのによ……)

ゼロ(やっぱ黙ってやるべきなのか……)

ゼロ(俺はどうすればいいんだ……!)

ゼロ(……)ボリボリ

ゼロ(……あ〜わかんねえ!!やっぱ誰かに相談しよ)

ゼロ(親父には自分で決めろって言われたばっかだし、他に身近に適任な奴は……)

ゼロ「適任……」




『……そうだ、今日レオ兄さんはK76星に行ってるらしいよ』




ゼロ(……)

ゼロ「けっ、知ってたんじゃねえかメビウスの奴」 ボソッ

———K76星



ゼロ(……ここは俺が昔、警備隊の掟に逆らって追放された時、レオやアストラと修行した場所)

ゼロ(根性叩き直すんだって、相当厳しくされたっけなぁ……)

ゼロ(そして初めて、小さな命を守る大切さを学んだ場所)

ゼロ(あの時のピグモン、まだ元気にしてんのかなぁ……)

ゼロ(……小さな命、か)

ゼロ(……レオ、ね。なるほど適任だ)






ゼロ「レオ!!」

ウルトラマンレオ(以下、レオ)「よく来たなゼロ、俺に話があるんだろう?」

ゼロ「へへっ、やっぱ耳が早ぇな」

レオ「おおよそはセブンから聞いている。まあ座れ」

ゼロ「……ああ」 ドサッ

ゼロ(……さすが親父だ、読んでたか)

レオ「何が聞きたい?」

ゼロ「あのさ、レオは……その、故郷を……」

レオ「そうだ。俺の故郷獅子座L77星は侵略者によって滅ぼされた」

ゼロ「……」

レオ「あの日のことは、今でも忘れない……」 ギリッ

レオ「アストラや家族ともはぐれ、ボロボロになりながら逃げだした先に故郷と瓜二つの星、地球を見つけたのだ」

レオ「俺は地球を第2の故郷として守り抜くことを誓い、地球のために戦った……」

ゼロ(第2の、故郷……)

ゼロ「……もしも、さ」

レオ「なんだ?」

ゼロ「もしも獅子座L77星が元通りになって復活するとしたら……どうする?」

レオ「……そうだなあ」

レオ「あのときは地球にたくさんの仲間がいて、たいちょ……いや、セブンという親代わりもいた」

レオ「今でも光の国の皆が俺たち兄弟に家族の様に接してくれる。ありがたいことだ」

レオ「だがなゼロ、それでももしも故郷が元通りになるんだとしたら、俺はやっぱり故郷に帰りたい」

ゼロ「……!」

レオ「地球のころや今に不満があるわけじゃない、しかし帰る場所があるのであれば誰でも帰りたくなる。故郷とはそういうものだ」

ゼロ「……そうか」

レオ「ただし、本当に帰るべきなのかどうかを決めるのはその当人次第だ。他人が勝手に決めていいことじゃない」

レオ「故郷を捨て新たな世界で生きるのも、また一つの道であることに変わりないのだからな……」

ゼロ(……)

レオ「確かに地球を元に戻せる保証などない、だがやらずに後悔するよりはまずはやってみることに価値はあると俺は思う」

レオ「だがそれはお前の中でのけじめの問題だ。この件を引き受けた以上、納得できる形に納めて見せろ!」

ゼロ「ああ!もちろんだ」

レオ「その後のことも同じだ。自分の気持ちに嘘をつかず、お前が正しいと思った道を行け!」

ゼロ「正しいと思った、道……」

レオ「……」ニヤッ

    バシッ

ゼロ「いてっ」

レオ「そう心配するな! お前が信じた道ならば、それは正しい! 俺が保証してやる!」

ゼロ「レオ……」

———マイティベース



グレン「ゼロの奴、おっせーなー」

ミラー「よほどのことだったのでしょうか、心配です」

ボット「うむ……光の国に連絡を取ってみるか?」

ゼロ「お前らは俺のお母さんか」

ミラー「ゼロ! 帰ったのですね」

ゼロ「ああ」

ナイン「一体何の用事だったんだ?」

ゼロ「今から話す、聞いてくれ。実は———」

グレン「お土産は!?」

ゼロ「無い」

グレン「えぇー……」









ゼロ「……ということだ」

ミラー「……」

ボット「……」

グレン「……」

ナイン「……」

ゼロ「……あれ、どうした?」

ミラー「……呆れましたね」

ボット「まだ諦めていなかったのか」

ナイン「地球好きも大概だな」

ゼロ「おいおい、俺はだな」

ミラー「地球を元に戻せる方法があるのをどうして今まで黙ってたんです?」

ボット「あの巨大女の中で聞いたという話もお前から聞かされたのはあの化け物の正体が地球人だったということぐらいだ」

ナイン「この分だとシンジやアスカにも話していないようだな」

ゼロ「……すまねえ、いらない希望は抱くもんじゃないと思っていた」

ミラー「……」

ゼロ「お前らに全部話しちまったら、意地でも槍とショゴーキを探し出そうとして、お前らやシンジとアスカを振り回しちまうかもしれないと思ったんだ」

ナイン「だから今まで自分の胸に秘めていたということか……」

ゼロ「だがよ、槍は見つかった! いやまだ本物と決まったわけじゃねえんだけど」

ゼロ「地球を元に戻せる可能性がそこにあるのに、見てみぬふりなんか俺には出来ねえ!!」


ミラー「……これから地球に向かい、ナックルという不埒者を成敗し、槍を押収した後……あなたはどうするおつもりですか?」

ゼロ「カヲルを探す。そして地球再生の方法をちゃんと聞きだして、覚えておくんだ」

ゼロ「いつかショゴーキってのが見つかったそのときの為によ」


ナイン「渚カヲルという少年は宇宙警備隊が調査に向かったときはいなくなっていたのではないか?」

ゼロ「そう聞いたけど、多分あいつは隠れてたんだと思うんだ。俺たちが最初来た時も見つけられなかったろ?」

ゼロ「あいつは綾波レイと地球を見守るって言った……その言葉に嘘はないと信じたい」


ボット「シンジとアスカには……どう説明するつもりだ?」

ゼロ「……あいつらには、まだ言わねえ」

ゼロ「確証もないのにあいつらを困惑させるようなことは言いたくない。ただし地球再生が可能になったと判断で電たら、ちゃんと打ち明ける」

ゼロ「ショゴーキが見つかるのは何百年も先の話かもしれないしな……だが、あいつらに地球再生の可能性があることを、隠したくはねえ」

ゼロ「地球はあいつらの、故郷なんだからよ……」

ミラー「……」

ナイン「……」

ボット「……」

ゼロ「……これは俺個人で勝手に決めたことだ、お前らが宇宙警備隊として納得できないなら俺一人ででも」

      ポン

ゼロ「!」

ミラー「何を言うのです、ゼロ」

ナイン「僕たちのリーダーはお前だ」

ボット「お前の決定には我々も従う、当然だ」

ゼロ「お前ら……」

ナイン「今のお前の言葉には、地球で化け物を全滅させるなどと言ったときのようなものとは違う、信念の籠ったものを感じる」

ボット「お前が正しいと信じたことなんだろう? ならば私たちも信じる。だから私たちはお前の下に集ったのだ」

ゼロ「……すまねえな、リーダーのくせにまた一人で抱え込んじまったりしてよ」

ミラー「ゼロも水臭いことを言うのですね」クスクス

ゼロ「う、うっせえ!////」

ボット「そうと決まれば、早速行こう!」

ナイン「うむ……ところでグレンはどうした?」

ゼロ「ん? そういえば途中から姿が見えなくなったな……」 キョロキョロ

グレン「よー!話済んだ?」 スタスタ

ゼロ「お、おい!お前何やってたんだよ!」

グレン「何って、戸締りだけど?」 キョトン

ゼロ「は?」 キョトン

グレン「もっかいあの地球に行くんだろ? だったら早く行こうぜ!」

ミラー「……やれやれ、全く」

ボット「ちゃんとわかってるんだか、わかってないんだか……」

ナイン「話を聞いていなかったのか?」

グレン「何だよ!どうせまた難しいこと言ってたんだろ!?ゼロが行くって言うなら行くんだ!そうだろ!?」

ゼロ「……ああ、そうだ!行こう!」

                     キラーン

 


ゼロ「! ウルトラサインだ!」

ミラー「今度はなんです?」

グレン「お土産忘れてるぞー、とか」

ゼロ「今度買ってくりゃあいいんだろ! ったく何々……ナックル星人、地球に接近!……か」

ボット「よし、これで間違いないな」

ナイン「ナックル星人とやらはやはりあの地球を目指していたということか」

ゼロ「よーし、首洗って待ってやがれナックル! お前もお前の得物も全部俺らの獲物だ!!」 バシュッ!

グレン「何?早口言葉?」 バシュッ!

つづく

再開

———惑星エスメラルダ・ゼロ食堂


      ズズズ…

女将「う〜ん……」

シンジ「……」

旦那「……」

アスカ「どう?女将さん?」ドキドキ

女将「……煮込み時間が少し長いね、しつこくなっちゃってる」

アスカ「う!」ギクッ

女将「それともうちょっち灰汁取りを丁寧にやったら美味しくなると思うねぇ」 ズズ

アスカ「……またダメかぁ」 ガックシ

シンジ「でもかなり進歩したと思うよ」 ズズ

アスカ「そ、そう?」


女将「ま、もうちょっち頑張れば、このアスカちゃんのオリジナルスープもウチのメニューで出していいわよ!」

アスカ「ホント!?女将さん!」

女将「あたしの舌に狂いはないよ!ね、アンタ!」

旦那「……」コクリ

アスカ「よーし!もっと頑張らなきゃ!シンジ、帰って特訓するわよ!」

シンジ「はいはい」

アスカ「じゃあ女将さん、またね!」

シンジ「失礼します」

女将「お疲れさーん!」 バイバイ


     テクテク

アスカ「ふふふ、このスープが完成すればあのお店の看板メニューになること間違い無しね! 打倒!シンジスペシャル!」 ニヤニヤ

シンジ「だ、打倒って……」

アスカ「だって看板娘のかわいい私が愛情たっぷり込めた手作りスープよ!話題かっさらってシンジスペシャルなんてそのうち忘れさられるわ」フフン

シンジ「う……!(そ、それは嫌だ)」

アスカ「それが嫌ならせいぜい精進することね、バカシンジ♪」

シンジ「くっそ〜」

シンジ(アスカも女将さんや旦那さんから料理を教えてもらって、その実力はめきめき上達してる)

シンジ(家でもたまに作ってくれるから嬉しいんだけど、食堂ではうかうかしてはいられないな)


アスカ「ね、明日はお休みよね? どうする? 久しぶりに都会へ行かない?」

シンジ「いいね、しばらく行ってないからまた面白いものが来てるかも」

アスカ「私新しい服が欲しーい! 買ってもいいよねシンジぃ〜?」 ゴロゴロ

シンジ「ええ〜!?」

シンジ(けっこう家賃や最近のアスカの特訓用食材購入費でギリギリなんだけどな……それに……)

アスカ「ねえいいでしょ?」ジッ

シンジ「……仕方ないな、1着だけだよ?」

アスカ「やったー!」

シンジ(……はぁ、やっぱアスカには敵わないや)

シンジ(ま、明日も楽しい一日になりそうだ)


——————翌日



———エスメラルダ中心都市



シンジ(エスメラルダの中心都市は普段僕らが住んでいる町とはまるで世界が違う)

シンジ(高すぎるビル、チューブ状の通路、空を飛ぶ車、そして道行く宇宙人)

シンジ(まるで子供向け雑誌に載ってるような未来の世界が現実に目の前に広がっている)

シンジ(初めて来たときは二人ではしゃぎ過ぎちゃって、引率してくださったエメラナ姫に笑われちゃった)



アスカ「ねえシンジ! これとこれどっちがいいと思う!?」

シンジ「もう、1着だけだってば」

アスカ「分かってるって!だから慎重に選んでるの!」



シンジ(ここではたくさんのお店をたくさんの宇宙人が経営してる。なるほどこれは一生見ていても飽きないかも)

シンジ(かと思えば地球のプリクラみたいなものも置いてあったりして、アスカとエメラナ姫と3人で来たときに記念に撮った)

シンジ(もちろん服屋もあればレストランだってたくさんあるし、空気屋なんていう良くわからないお店もある)

シンジ(エメラナ姫曰く、エスメラルダの空気が体に合わない種族の宇宙人のための店なんだそうだ。うーん、いかにも宇宙らしい)


シンジ(中には——)

シンジ「!」

『地球コレクトショップ・ヒマラ』

アスカ「どしたの?シンジ」

シンジ「あの店、入ってみてもいい?」

アスカ「雑貨屋?いいけど……」

シンジ「うん、行こう」

シンジ(ちなみにエスメラルダ文字は僕の方が読めるんだ)

シンジ(本を読むのは好きだからね)


アスカ「これって……」

シンジ「あ、日付時計がある。はは、今11月だって」

アスカ「昔やってたアニメのグッズもあるわ、懐かしー」

店員「いらっしゃい!おや、お二人地球の人?」

シンジ(店員の人は見るからに地球人じゃなかった)

シンジ「はい、今はエスメラルダに住んでるんですけど」


店員「そうかいそうかい、故郷が懐かしいだろう。ゆっくり見ていきな!」

シンジ「ありがとうございます」

アスカ「あーあ、こんな店あるんなら初めてここに来た日、時計をここで買っておけばよかったなー」

シンジ「そういえばそうだね、でもあの時からもう日にちなんて分からなくなってたし……」

アスカ「あっ……そうよね、ゴメン」

シンジ「いや、僕こそ……」

アスカ「……」


シンジ(海岸で過ごしていた数日間は、今も鮮明に記憶に残ってる)

シンジ(日常のふとしたことで思い出したりもするけど、二人とも話題に出すのは自然と避けるようにしている)

シンジ(余り思い出に浸ると、地球が恋しくなっちゃうからね)

シンジ(僕たちはあの頃失った青春を取り戻すかのように、今を一生懸命生きてるんだ)

シンジ(地球のことは全部思い出。全ては心の中、ってやつだね、父さん)


アスカ「見て、シンジ」

シンジ「?」


アスカ「これが、本当の地球だったのかな……」

シンジ「……!」

店員「おいおいお客さん、まさか地球儀を知らないなんてことはないでしょう?」

アスカ「……」

シンジ「あ、はは……ちょっと、懐かしくて」

店員「あ、そうか。茶茶入れてごめんよ」

シンジ「いえ……」

シンジ(僕の知ってる日本列島と形が違う。セカンドインパクト前の地球の姿だろうか)

シンジ(そうだ、もともと地球は青かったんだ)

シンジ(ジャンボットさんの中から見た地球は、赤かった)


アスカ「シンジ、そろそろ……」クイ

シンジ「あ、そうだね、えっと……」 キョロキョロ

シンジ「すみません、この時計下さい」

店員「あいよ、でもこれエスメラルダじゃあ使えないよ?」

シンジ「いいんです、記念に、ってことで」

店員「そうかい、じゃあ故郷記念ってことで少しおまけしとくよ」

シンジ「ど、どうも」

店員「また来てね〜」

シンジ(少し安くしてもらった)

シンジ(故郷、か……)





アスカ「……」

シンジ「……」

シンジ(会話が途切れた)

シンジ(話の種に、って軽い気持ちで入ってみたけど、やっぱりまずかったかな)

シンジ「ア、アスカ、お腹空かない?」

アスカ「……そうね、そろそろお昼食べたい」

シンジ(適当なレストランに入って食事にした)

シンジ(会話はするけど、どこか雰囲気が重かった)

シンジ(……時計買ったのも失敗だったかな)


シンジ「あ、あのさ!この時計……」ゴソゴソ

アスカ「いいの」

シンジ「え?」

アスカ「捨てないで持っててよ、もったいないし」

シンジ「な、なんで」

アスカ「わかるわよ、あんたの考えてることなんか。どれだけ一緒に暮らしてると思ってるのよ」

シンジ「アスカ……」

アスカ「別に怒ってるわけじゃないわ、ちょっと地球の事思い出してセンチメンタルになってただけよ」


シンジ「……アスカはすごいや。なんでも僕の事、分かっちゃうんだね」

アスカ「ま、あんたは単純で分かりやすいってのもあるけど」 ケラケラ

シンジ「僕は今さっきもなんでアスカが機嫌悪くなっちゃったのか分かんなかったんだ」

アスカ「……」

シンジ「僕は、まだまだ……」

アスカ「あんたバカァ? それがあんたの望んだ今なんでしょ?」

シンジ「!」

アスカ「相手のことを完璧にわかることなんて無理なのよ、だって自分じゃないんだもん」


アスカ「それでもお互い触れ合い、分かり合おうとすることはできるわ」

アスカ「それにあの時言ったじゃない、私のことが分からないなら何でも教えてあげるから、って」

シンジ「……!」

アスカ「だから、その……焦ることなんてないのよ、私たちは、ずっと一緒なんだし……」 モジモジ

シンジ「アスカ……」

アスカ「……//////」

シンジ「ありがとう、アスカ。僕は」

アスカ「じゃあここでクーイズ!!」

シンジ「へ?」


アスカ「私は今、何を考えているでしょーか!?」

シンジ「え、ええ!? そんな急に言われても……」

アスカ「制限時間は10秒! 9! 8!」

シンジ「ちょ、ちょっと待ってよ!えーと、えーと」

アスカ「待たなーい! 7! 6! 5!」

シンジ「む、むむむむむ……」

アスカ「4! 3! 2! 1!」





シンジ「ぼ、僕の事……とか?/////」テレテレ



アスカ「……」

シンジ「……」

アスカ「……正解は」

シンジ「……」 ゴクリ

     ピラッ

アスカ「ここのお会計よろしく♪ でしたぁ〜!」

シンジ「へ?」

アスカ「じゃ、そういうことで! 外で待ってるわね」 ガタッ

シンジ「え、あ、ちょっと」

アスカ「さーって!浮いたお小遣いでもう1着服買おーっと!」 ルンルン

シンジ「あ、アスカ〜」

店員「お会計ですね。ありがとうございます」

シンジ「とほほ……」

シンジ(アスカはいつもこうやって後ろ向きがちな僕の背中を押してくれる)

シンジ(でも僕は、僕はちゃんとアスカの助けになれているのだろうか)











アスカ「な〜にが、僕の事、よ」

アスカ「あんたの事なんていつも考えてるに決まってるじゃない、バカシンジ」 クスッ







——————3時間後



———エスメラルダ・王宮


     ザワザワ
          ドヨドヨ

兵士「衛星防衛システム、攻撃受けています!」

通信兵「ダメです!通信に応えません!」

兵士「これは……時空揚陸舟艇デルスト!?」

兵士長「そんな馬鹿な、ベリアル軍の残党はウルティメイトフォースゼロが駆逐したはずではなかったのか!!」

通信兵「衛星防衛システム壊滅!侵入されます!」

エメラナ「着陸予測地点周辺の町に避難勧告を!一体どこに……!」

兵士長「ここよりそう遠くありません……!鉱脈付近と予測されます!」カタカタ

エメラナ「鉱脈近辺……!?そ、それは、まさか……」

兵士「予測地点の近くに町があります!避難勧告急げ!」 プルルル

兵士長「地上迎撃システム起動!陸上部隊出動準備!もたもたするな!」 バタバタ

エメラナ「シンジさん……アスカさん……!」


つづく

皆さん、ネタバレ防止のためにゼロファイトの話題はご遠慮いただきますようご協力お願いします。
皆さんのコメントは大変ありがたく、励みにさせてもらっています。今後もよろしくお願いします。

コメントが嬉しい余りに見過ごしていた私にももちろん問題があります。
ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。

皆さんご理解ご協力ありがとうございます


再開

———都市〜シンジ達の町 道路

 
     フィィィィ……ン


アスカ「はー!楽しかった!」

シンジ「またいろいろ買っちゃったね」

アスカ「ほんと、エアバイクの積載重量ギリギリよ」

シンジ「アスカ結局服のほかに靴まで買っちゃうんだもんなぁ」

アスカ「何よ、女の子はおしゃれしてナンボでしょ! これくらい大目に……」


        ウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウ…………


シンジ「!?」

アスカ「な、なに!?サイレン!?」

シンジ「あ! アスカ、あれ……!」

アスカ「空から何か……降ってくる……」


———町


   ザワザワ      ガヤガヤ


女将「避難警報だよ! 早くシェルターへ避難を!」

おっさん「こりゃまずい!おめえら急げ!!」 バタバタ

女将「こんなのベリアル軍が来たとき以来だよ……恐ろしいねえ」

ベテランおっさん「見ろ!あれはベリアル軍のロボットを乗せたキャリアじゃねえか!?」

町人「そんな……!?まだベリアル軍の残党が!?」

女将「大変なことになったよ……あんた、早く!」

旦那「……シンジとアスカは」

女将「……! 大変、あの子たちシェルターの場所知らないんじゃ……!」

       ブォォォォォォ……   キキィ

兵士「皆さん!落ち着いて指定のシェルターへ避難してください!落ち着いて下さい!!」

旦那「きっと二人はエスメラルダ兵が誘導してくれる。俺たちも早く」

女将「ああ……無事でいておくれよ、二人とも……」

アスカ「シンジ……!」

シンジ「とにかく、町へ」


      ビシュン!        ドガァァァァ……ン!!


シンジ「うわ!」

アスカ「きゃあ!」

シンジ「攻撃してきた……!」


     ウィィィィ…ン     ゴゴゴゴゴゴゴ……


アスカ「ゼ、ゼロ!? あんなにいっぱい……」

シンジ「違う、偽物だ!」


ダークロプス「……」 ズズーン


———鉱脈付近



陸戦隊長「ダークロプスか……何故今頃……」

兵士長「隊長! 攻撃準備整いました!」

陸戦隊長「よし、降りてきたやつを片っ端から各自攻撃開始!!空挺団にも連絡、デルストへの直接攻撃を要請しろ!!」

兵士長「了解!」 タタタッ

陸戦隊長「せっかく平和になったこの星を汚そうったってそうはいかねえぞ……」

兵士長「撃てー!!」

兵士「おおおおお!!」


      ズドドドーン!  ズドーン!


ダークロプス「……」 ビシュン!


        ドゴォ……ン





シンジ「……」


———王宮



通信兵「デルスト内部からダークロプス出現、数は50機ほどであるとのことです!」

兵士長「50だと……少し厳しい数だ」

兵士「エメラナ姫、ご避難は……」

エメラナ「しません。私はここにいます」

兵士「かしこまりました。ですが相手はダークロプスです」

兵士長「ウルティメイトフォースゼロに救援を要請しますが、よろしいですか?」

エメラナ「……はい、お願いします」


———エスメラルダ大気圏外



???「ぐっふっふ……まさか宇宙の片隅で機能停止していたベリアル軍のロボットを見つけてしまうとは」

???「捨てる神あれば拾う神ありとはまさにこのことよ」

???「これを上手く使えば我々カタン盗賊団も再び盛り返せる!」

カタンA「捕まったお頭も助け出せるってもんよ!」

カタンB「そしてにっくきウルティメイトフォースゼロに復讐を……」

カタンABC「「「ぐふ、ぐふふふふふふふ……」」」

カタンA「よーしまずはエメラル鉱石を奪い、ダークロプスの改造エネルギーやらなんやらにしてくれる!」

カタンC「おい、けっこう行き当たりばったりな感じがするのだが大丈夫か?」

カタンA「構うな、行け!ダークロプス!」


———宇宙


      ギュイイイイイイン

グレン「おいおいゼロ!いくらなんでも飛ばし過ぎじゃあねえか?」

ナイン「いくらウルティメイトイージスの力でもあまり酷使しすぎると……」

ゼロ「構わねえよ、これくらい!」

ゼロ(カヲル、今行く……待ってろよ!)

ミラー「やれやれ……」


     ビー!    ビー!


ゼロ「!?」

グレン「な、なんだ、誰だ!? マナーモードにしとけよ」

ボット「これは……! 姫様からの救援要請だ!!」

ゼロ「なに!? エメラナの……!」

ミラー「エスメラルダに危機が!?」

ナイン「こんなときに……!」

グレン「おいおい!こっからだと姫さんとこまで結構掛かるぞ!」

ミラー「ゼロ、私が鏡の道を通ってエスメラルダに急行します! 皆さんは……」

ゼロ「馬鹿言え! 今襲われてるエメラナたちをほっておけるか! 俺たちもすぐに戻る!」

ミラー「分かりました、ではお先に」 キュイキュイーン!

ゼロ(すまねえカヲル、綾波レイ。もう少しだけ待っててくれ)

ゼロ「よおし! 俺たちも急いで戻るぜ!」

一同「おう!」


———惑星エスメラルダ・鉱山付近



ダークロプス「……」 ビビッ!

    ドカァン……  ズドォ……

陸戦隊長「ひるむな!撃てー!」

        ドドーン


シンジ(町に近づいてる……!)

アスカ「シンジ、どうしよう……!」

シンジ「アスカ、心配しないで、僕が……」

アスカ「……?」

シンジ(僕が?)

シンジ(何を言ってるんだ、僕はもう)

シンジ「……とにかく、町へ戻ってみよう」

シンジ「こんな開けた場所にいる方が目立って危ない、多分町のみんなもどこかへ避難してるはずだからそこへ行こう」

アスカ「そ、そうね」

シンジ「……」

     フィィィィ……ン



シンジ(僕が、の後なんて言おうとしたんだろう)

シンジ(エヴァがあれば。一瞬、そう思ってしまった)

つづく

再開


———シェルター



女将「あの子たちはまだ来てないのかい!?」

兵士「現在地上で逃げ遅れた人がいないか見回っています」

女将「ああ……」フラッ

旦那「! おい、大丈夫か」

    キャー   ウワァァァ

旦那「……?」

町人♀「お願いです、出してください!」

町人♂「まだ私たちの娘が、外に!」

兵士「外は危険です!我々に任せて……」

       ドドォーーーン!

「きゃああああああああ!!」   
                      「町に落ちたか!?」
          「おい!今の近いぞ!」
 

町人♀「いやあああ! ピコーーー!」



———町



シンジ「誰もいない……!」

アスカ「やっぱりみんな避難したんだわ……!」

シンジ「みたいだね、じゃあ僕たちも行こう!」

アスカ「ええ……    ?」

シンジ「? どうしたの?早く」

アスカ「……」 タタッ

シンジ「アスカ!」




ピコ「……」

アスカ「あなた、どうしたの?」

ピコ「あ、食堂のお姉ちゃん!」

アスカ「早く避難しなきゃ危ないわよ?」

ピコ「あのね、私の友達のパナがこの穴の奥に入っちゃって出てこないの」

アスカ「パナ?」

ピコ「エメラ犬のパナ。一緒に逃げたいんだけど、一人で入るの怖くて……」

シンジ「アスカ!どうしたの!」 タタタッ

アスカ「シンジ、この子の犬がね、この奥に入って出てこないって……」

ピコ「パナっていうの」

シンジ(余り大きい穴じゃない……大人じゃ無理だ)

シンジ「そうか……よし、お兄ちゃんに任せて!」

アスカ「シンジ……」

シンジ「アスカはこの子を連れて避難するんだ、きっと誘導してくれる人がいる」

アスカ「でも」

シンジ「僕は大丈夫だから、ね?」

アスカ「……」

兵士「おーい! まだ誰かいるのか!?」

シンジ「いけない、じゃあ行くよ!」 ゴソゴソ

アスカ「シンジ!」

ピコ「お兄ちゃん」


   ザッザッザッ……



兵士「シェルター聞こえますか、子供を二人発見しました!」ザザ

アスカ「……」

兵士「おい君たち何やってる、早く避難するんだ!」

ピコ「え、でも」

アスカ「」シーッ

ピコ「!」

アスカ「分かりました……さ、行こ」

ピコ「うん……」

兵士「さあこっちだ、シェルターへ……」

アスカ(シンジ……お願い、無事で)


———洞窟



シンジ(薄暗い……普段持ってるエメラナ鉱石で照らしたいけど、そしたら外の兵隊さんにばれちゃうかな)

シンジ(もう少し、もう少し奥に行ってから)

シンジ「パナちゃ〜ん……?」

シンジ(しかし狭い。今ここにいたら爆発で崩れて生き埋めにされちゃうかも)

シンジ(まずいな、やっぱり明かりを……いや、もう少し)  ガラッ

シンジ「あ」 ズルッ

シンジ「うわわぁ〜〜!」 ガララララ……     


———鉱脈近辺



      ズドーン   ドドーン

兵士長「隊長!このままではジリ貧です!」

陸戦隊長「うぬぬ……! やはりダークロプス、火力が違いすぎるか……!」

兵士「付近に町もあり、強力な兵器は使えませんからね……」

兵士「しかし敵の侵攻で町の方にも被害が出始めています! 住民の避難は完了しているはずですが……」

兵士「被害甚大、敵軍接近……うわ!」


      ズズーン

ダークロプス「……」 ギラリ


兵士「た、隊長……!」

陸戦隊長「くそ……!ここまでか!?」







  「シルバークロス!!」  キュイーン!




ダークロプス「!?」 ズバッ!    

     ドドォー……ン

陸戦隊長「おお!! ミラーナイト様だ!!」

   スタッ

ミラー「すみません、お待たせしてしまいました」

陸戦隊長「伝説の王族守護隊長殿、ともに戦うことができ光栄であります!」ビシッ

     ズズーン    ドーン

ミラー「!」

ダークロプス「……」ウィーン

ミラー「我々の留守を狙うとは卑怯な……親玉はどこです!」

ダークロプス「ミラーナイト……ハイジョ……」

ミラー「答える気はありませんか……ならば手加減しません!」キュイキュイン!

陸戦隊長「ミラーナイト様に続け!全ミサイル掃射!」

       ドドドドドーン!

 


———シェルター



町人♀「ピコ!」ギュッ

ピコ「お父さん!お母さん!」

町人♂「よかった、よかった!無事で……」ボロボロ

アスカ「……」

町人♀「本当に、本当にありがとうございます!」ペコッ

町人♂「あなたは恩人です、なんとお礼をしたらよいか……」ペコッ

アスカ「いえ、そんな……」

ピコ「お姉ちゃん……」

アスカ(シンジとパナちゃんのことは内緒よ)コソッ

女将「アスカちゃん!」

アスカ「女将さん、旦那さん!」

女将「よかったぁ〜!無事で〜!」 ギュウウウウ

アスカ「ご、ごめんなさい……心配かけて……(く、苦しい)」

女将「シンちゃんは!?シンちゃんは一緒じゃないのかい!?」

アスカ「シンジは……」

旦那「はぐれたのか」

アスカ「いえ、別のところに逃げていて……あいつも無事です、大丈夫」

女将「そうなのかい? 全くシンちゃんたら、こんなときにアスカちゃんを一人にするなんて許せないね全く! 御給金下げてやろうかしら!」プンプン

アスカ「そ、それは私も困るんだけど……」



アスカ(ホントよ、バカシンジ)

アスカ(無事じゃなかったら、タダじゃ済まさないんだから)

つづく

YOUTUBE配信開始でゼロファイトの話題は解禁してもいいこととさせてください。
DVD待ちの人はごめんなさい。
このSSもよろしくお願いします。

お…?いつの間にか配信してたのか…
そういや列伝は4月以降も続くのかな?OPの感じで最後なんじゃないかと不安になる……

>>241
4月以降もやるみたいですよ


あと今日放送のゼロファイトの内容はここでは一週間我慢してもらうよう引き続きご協力お願いします。

ちなみに今日のゼロファイト配信分
http://www.youtube.com/watch?v=Iv8PEDR5R4s

再開


———洞窟










「クゥ〜ン、クゥ〜ン」ペロペロ

シンジ「……」

「クゥ〜ン」ペロペロ

シンジ「……」

「……」

シンジ「……」

「キャン!」

シンジ「うわっ!」ビクッ

「ワンワン!」

シンジ「あれ、ここは……いたたた」

シンジ(エメラナ鉱石……これを岩に打ち付けて)ゴソゴソ  カツン!

      キラキラキラ

シンジ「そうか……僕、足滑らせて落ちちゃったんだ……」

「……」パタパタ

シンジ「……きみ、もしかしてパナちゃん?」

「ワン!」

シンジ「はは、よかった、無事だったんだね」

パナ「クゥ〜ン♪」スリスリ

シンジ「ははは、くすぐったいよ、ははは……はぁ」

シンジ(さて、どうしよう)



        ズズゥ……ン

  パラパラ……

シンジ「!」

シンジ(まだ戦いは続いてるみたいだ)

                  ドドー……ン

            パラパラ……

シンジ(ホントにここも崩れるかもしれない、なんとか脱出しなきゃ)

シンジ「パナちゃん、おいで」

パナ「ワン!」 テテッ

シンジ「よしよし、一緒にここから出ようね」ダキッ

パナ「♪」

シンジ「よっ、と……よし、立てるぞ」 パッパッ

シンジ(まずは石の光を頼りになんとか道を……)

シンジ「!」

                ヒュウゥゥ…

シンジ(あっちのほうから風が……外に繋がってるんだ)

シンジ「よし、行くよ、パナちゃん」

パナ「ワン!」

シンジ「……」ザッ ザッ

シンジ(アスカ、大丈夫かな)

シンジ(こんな傷だらけになったとこ見せたら、また怒られるんだろうなあ)

シンジ(何やってんのよバカシンジ!ホントどんくさいんだから!……って)

シンジ(そういえば初めて鉱山の仕事しに行くってなったときもめちゃくちゃ心配されたっけ)

シンジ(エメラナ姫、女将さん、旦那さん、鉱山のおじさんたち、先生、学校のみんな……)

シンジ(みんなちゃんと避難してるだろうか……)

シンジ(あの襲ってきた連中は何者だろう)

シンジ(でもゼロさんの偽物は教科書で見たことあるぞ、確かベリアル軍のなんとかっていうロボットだ)

シンジ(それにしても侵略戦争とは……ホントにここって宇宙なんだなぁ……って感心してる場合じゃないか)

シンジ(……)ザッ ザッ

シンジ(……エヴァがあれば……)

シンジ「!!」 ブンブン

シンジ(何を考えてるんだ僕は、僕はもうエヴァに乗らなくてもいいんだ、それを喜んでたじゃないか!)

シンジ(僕がエヴァに乗らなくったって、ゼロさんたちや誰かがやっつけてくれる)

シンジ(でも……)

シンジ(……でも、エヴァが、戦う手段が無ければ、今の僕は逃げるだけで何の役にも立たない)

シンジ(アスカも守れない)

シンジ(力なんて無くても、一緒にいるだけでアスカを守れる、地球を脱出するときはそれでいいと思ってた)

シンジ(でも、本当にそれだけでいいのか?)

シンジ(肝心なことから逃げて、キレイ事で誤魔化してるだけなんじゃないのか?)

シンジ(……そういえば、あの時も逃げたな。加持さんに諭されて戻ったけど……)

シンジ(最後の時も……ミサトさんに送ってもらったのに……)

シンジ(加持さん、僕は僕にしかできないことから結局逃げたんだ。ごめんなさい)



『俺はここで水をまくことしかできない。だが君には、君にしかできない、君ならできることがあるはずだ』

『誰も君に強要はしない、自分で考え、自分で決めろ』

『自分が今、何をすべきなのか。ま、後悔の無いようにな』



シンジ(僕にしかできないこと)

シンジ(あの時僕がエヴァに乗っていたのは……何のためだったんだ?)

シンジ(誰かを、守るため?)


シンジ「……」チラリ

パナ「♪」パタパタ

シンジ(今僕は、一つの命を助けてる)

シンジ(でもそれは、エヴァに乗ってた時も変わらなかったんだ)

シンジ(エヴァに乗って戦うことで、仲間や、友達や、たくさんの命を守ることができたんだ)

シンジ(命を守る……?何のために……?)


『理由なんていらねえだろ』


シンジ「!!」

シンジ(そうだ、理由なんていらないんだ。命を守る尊さ、それは決して何かの代償を得るためにやることじゃない)

シンジ(今僕がパナちゃんを抱えて必死に助けようとしてるのはなんでだ?)


『俺たちが助けたいから助けたんだ』


シンジ(理由なんてない!今だって僕がそうしたいからそうしてるんだ!)

シンジ(こんな当たり前のことに、今更気が付くなんて……!)

シンジ「……」ポロポロ

パナ「?」

シンジ(ゼロさん、僕はあなたみたいになりたかった、いや、なるべきだったんだ)

シンジ(僕がゼロさんの様にたくさんの命のために、皆のために必死に戦えてたら、きっとサードインパクトも阻止できたんだ!)

シンジ(ヒーローに、なりたかった。きっと僕はなれたんだ)

シンジ(僕にしかできないことだったんだ!)

シンジ(それなのに、僕は……僕は最後の最後まで自分のことばっかり!)

シンジ(そのせいでアスカを……皆を苦しめたんだ!)



パナ「」ペロペロ

シンジ「!」

パナ「キャン!」

シンジ「……ごめんねパナちゃん、大丈夫だよ。大丈夫……」ゴシゴシ

シンジ(こんな穴倉でいくら悔いても、あの日は戻ってこない)

パナ「……ワンワン!」

シンジ「!」

シンジ「明かり……出口だ!」タタッ




シンジ(町の裏の岩場に出た)

シンジ(そこから町を一望できる見晴らしのいい高台に行けるので登ってみた)



シンジ「……!!」



シンジ(外で見た光景は)

シンジ(偽物のゼロさんの大群)

シンジ(煙を上げて燃えている見慣れた町)

シンジ(ひっくりかえった戦車や火を噴き落ちてゆく戦闘機)

シンジ(そして必死に戦っているミラーナイトさんとエスメラルダの軍隊)



シンジ「あ……ああ……」ガクガク



シンジ(今朝までの平和は、もうどこにもなかった)

シンジ(僕はこの光景を、知っている)

シンジ(久しぶりに感じる死への恐怖と実感が、身を包んでいく)


シンジ(僕は今、無力だ)

つづく


ゼロファイトネタバレは自重願います。

再開



ミラー「シルバーナイフ!」 キュイーン

陸戦隊長「いいぞ!押し返せる!行けるぞ!」

ミラー「ハァ……ハァ……もう少しです!」





———エスメラルダ大気圏外・宇宙船



カタンA「ミラーナイトめ、なかなかやるな」

カタンB「だが疲労困憊のようだ」

カタンC「今なら奴だけでも倒せそうだぜ」

カタンA「よし、ならばおかわりをくれてやれ」




   ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


ミラー「!?」

陸戦隊長「ま、まさか……」

兵士「デルストが……もう一機……!」

      ウィーン     バシュシュシュシュ!

ズズーン       ズーン         ズズーン


ダークロプス「ハイジョ……」ギロリ

ミラー「……これはちょっと……まずいかもしれませんね」ハァ ハァ

ミラー(全く……だから飛ばし過ぎるなと言ったのですよ、ゼロ)

陸戦隊長「お、おのれぇ……」プルプル




パナ「キャン!キャン!」

シンジ「!」

パナ「グルルルルルル……」

シンジ「パナちゃん……」

シンジ(偽物のゼロさんを威嚇している)

シンジ(犬でさえ、自分の居場所を、大事な人を守ろうと戦おうとしている)

シンジ(僕は何をしている?)

シンジ(使徒と戦っていたあの頃、僕は図らずも地球のために戦っていた)

シンジ(でも僕にそんな実感はなく、当の僕は逃げたい、戦いたくない、乗りたくない)

シンジ(それも人の感情としては当たり前だし、あそこで戦ってる兵隊さんもそう思ってるかもしれない)


「くそぉ!!引くな!撃てー!!」    ズドドーン!


シンジ(それでもみんな守りたいものがあるから逃げずに一生懸命戦ってるんだ!)

シンジ(僕は何をしてるんだ! 町が大変なことになってるのに、僕にも守りたいものがたくさんあるのに!)

シンジ(今、こんなにも、何もできない無力な自分が、たまらなく嫌だ!)


シンジ「なんでだよ……!僕は戦いたくなんかなかったんじゃないのか……!」ポロポロ

シンジ「僕の代わりに戦ってくれる人がいるのなら……それでいいんじゃないのか!」ボロボロ


シンジ(なんで今! こんなにもみんなのために戦いたいと思ってしまうんだ!!)




陸戦隊長「うおおお!撃てー!!」


        ズドーン! ズドドドドーン!


ダークロプス「ハイジョ……」ギロッ

兵士「ひっ!」

ミラー「危ない!」バッ


     バシュッ  ビビビビッ


ミラー「ぐああっ!!」 ドドォッ

陸戦隊長「ミラーナイト様ァ!!」

ダークロプス「……」ガシャン ガシャン

シンジ「ミラーナイトさん!」

シンジ(戦わなきゃ!)

シンジ(どうやって?)


シンジ「ジャンボットさん!!」


シンジ(返事は、ない)


シンジ「ジャンナインさん!!」


シンジ(後ろ盾は、ない)

シンジ(違う、違うんだ)

シンジ(ジャンボットさんたちに乗って戦っても僕はあの人たちに甘えてるだけなんだ)

シンジ(じゃあ僕はどうする?)

シンジ(僕に何ができる?)




シンジ(僕は)


      ドクン


シンジ(もう嫌だ、何も失いたくない)

シンジ(僕も自分の居場所を、大事な人々を、アスカを守りたい)


      ドクン


シンジ(僕も)






シンジ(僕も戦う)





      ドクン


シンジ(大切な人のために)

シンジ(愛する人を守り抜くために)


      ドクン


シンジ(もう一度!)










「シンジ」









シンジ「母さん!」



シンジ「僕はもう一度、戦いたい!!」




















———宇宙


      ギュィィィィィィ

グレン「おい、急げゼロ!」

ゼロ「ハァ……ハァ……わかってんよ!!」

ナイン「無理もない……これほど連続してワープを続けていては体力は大きく消費する」

ボット「だが急がねば……姫様とエスメラルダが!」

ゼロ(くそっ……くそっ……!俺としたことが!)

ゼロ(頼む、間に合ってくれ……!)







                         キラン

ボット「?」

ナイン「後ろから……」

グレン「は?」


 

    ギュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!


グレン「うおっ!?」

ゼロ「!?」

ボット「な、なんだ!?」


                  ビュウウウウウウウウウウウウ……


ナイン「エスメラルダの方角に……!?」


———エスメラルダ大気圏外・宇宙船



カタンC「よし、もう少しで行けるぞ!」

カタンA「やった、これでわれらカタン盗賊団もついに復活! ミラーナイトを討ったとしてその名を全宇宙に……」

     
     ドヒュッ


カタンA「……」

カタンB「……」

カタンA「……今、なんか横を通り過ぎなかったか?」

カタンB・C「「さあ……」」


———エスメラルダ・王宮


通信兵「超高速でエスメラルダに接近する物体を感知!正体不明です!」

兵士長「新手か!?」

通信兵「分かりません……迎撃システム起動不可能、侵入されます!」

エメラナ「それはどこに降りるのですか!?」

通信兵「……鉱山近辺です!」






        ズズー……ン






通信兵「来ました!映像に出します……!」

兵士「巨人……!?」

エメラナ「何ですか……これは……!?」


———鉱山



陸戦隊長「……!?」

兵士長「……!?」

兵士「……!?」




ミラー(新手……ですか!?)

ミラー(ですがこんなベリアル軍、見たこともありません!)

ミラー(全く別の……生き……物……?)



ダークロプス「……!?」

ダークロプス「カイセキフノウ、カイセキフノウ」




シンジ(突如空から現れたそれは)


シンジ(その場にいたすべてのものの視線を集めていた)


シンジ(ロボットであるはずのゼロさんの偽物ですら、それを見て固まっている)


シンジ(きっと誰もが混乱しているだろう、こぞって正体を解析しようとしているだろう)


シンジ(でも僕にはすぐにそれが何かわかった)


シンジ(青白い髪、剥き出しのピンクの肌、胸の赤いコア、背中のエントリープラグ)


シンジ(そして、身にわずかばかり付着している紫色の装甲の残骸)


シンジ(僕には空から降ってきたそれが)


シンジ(エヴァンゲリオン初号機であると即座に理解した———)





シンジ「母さん」






初号機「ウオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォン!!!!」




 

 

つづく

再開


———エスメラルダ大気圏外・宇宙船



カタンA「お、おい!俺たちあんなの拾ったっけ!?」

カタンB「ばか!どう見たってありゃあロボットじゃねえじゃねえか」

カタンC「何なんだ一体……?ただの怪獣か?」

カタンB「とりあえず様子をみよう、攻撃して来たら始末してしまおう」

カタンA「そ、そうだな」

カタンC「あわよくばあれも捕まえてゼロたちにぶつけちまうってのも……」

カタンABC「「「ぐふふふふふふふふふふ」」」


———惑星エスメラルダ・鉱山戦線



兵士「ぐわ!耳が!」 キーン

兵士長「なんという咆哮だ!」

兵士「た、隊長!あれはなんです!?敵ですか!?」

陸戦隊長「わからん……ベリアル軍のロボットには見えんが……」



ミラー(これは……シンジくんたちの地球にいた人型の化け物に似ている……!?いや、そんなはずは)



初号機「グルルルルルルルル……」

 



シンジ「母さん……」



初号機「……」ギロリ

ダークロプス「!?」

初号機「ウオオオオオオオオォォォォォォ!!」 ダッ



兵士「謎の巨人、ダークロプスに向かっていきます!」

兵士長「み、味方なのか!?」

ダークロプス「テキ……ハイジョ……」 サッ

     ビシュッ    ビビッ!

シンジ「母さん!危ない!」

初号機「……」ダンッ

ダークロプス「!?」

陸戦隊長「跳んだ……!?」


       グシャッ!!


ダークロプス「……!」バチバチッ ガクン

初号機「ハァァ……」ギロリ

ダークロプス「……!!」


———エスメラルダ大気圏外・宇宙船



カタンC「や、やっぱり敵だ!」

カタンB「なんて動きだ……あのダークロプスがまるで追いついていない」

カタンA「く、もういい!奴も始末させろ!」

カタンB「攻撃指令!ミラーナイトごとその闖入者も始末してしまえダークロプスども!」




———エスメラルダ・王宮



エメラナ「……!」

通信兵「ダークロプスを一撃で……」

兵士長「あの巨人はこちら側……ということなのでしょうか」

エメラナ「分かりません……でも、あの巨人からは禍々しいものを感じます……」






初号機「グオオオオオオ!!」






シンジ(初号機はその後も暴走を続けた)

シンジ(束になって飛び掛かってくるゼロさんの偽物を掴んでは投げ飛ばし)

シンジ(首をもぎ取り、腕を千切り、腹に穴を空ける)

シンジ(ゼロさんの偽物集団はたちまち動かなくなるか、爆発するか)

シンジ(瞬く間に残骸を積み上げていった)


———シェルター



兵士「なに!?空から現れた巨人がダークロプスを蹴散らしている!?」

兵士「そうだ、ミラーナイト様や陸戦部隊を救ったそうだ」

アスカ(ミラーナイト!来てくれたんだ)

女将「ちょいとアンタ!その巨人って、もしかしてウルトラマンゼロかい!?」

兵士「い、いえ!ウルティメイトフォースゼロの誰でもない全くの謎の巨人だそうです」

女将「謎ったって……どんな特徴してるとかないの?」

兵士「特徴……ピンクの肌で青白い髪を生やしているそうだ」

アスカ「……」

女将「な、なんだいそりゃ」

兵士「それに紫色の装甲が着いてるって……」

アスカ「……!!」 ダッ

女将「な、なんかイメージできない……ってアスカちゃん!どこ行くんだい!」

兵士「コラきみ!待ちなさい!」

アスカ(そんな……まさか……!)タタタ

       ガチャッ

兵士「な、何をしている!今外に出ては危ないぞ!」

アスカ「はぁっ……はぁっ……!」





初号機「オオオオオオオオ!」 グシャッ

ダークロプス「……」 ズズー…ン





アスカ「初号機……!?」




シンジ(恐らくエスメラルダの人々のほとんどがこの地獄絵図を恐々と眺めていることだろう)

シンジ(その戦い様は、僕にとっては見慣れたものだ)

シンジ(みんなは初号機をどう見てるだろう)

シンジ(人々の危機を救った救世主か、破滅をもたらす悪魔か)

シンジ(でも、僕には……)








兵士「す、すごい!凄すぎる!」

兵士長「あの大軍をモノともせんとは……」

ダークロプス「……!!」 ジャキン!  ブンッ

     ギュルルルルルルルル!

初号機「」 ブゥ……ン

     ガキィン!!

ダークロプス「!?」

ミラー「!!」

陸戦隊長「奴はバリアーも使えるのか!?」

兵士長「隊長!今のうちに戦力を整えましょう!」

陸戦隊長「!」

兵士長「奴がダークロプスを片付けたその次は、恐らく……!!」

陸戦隊長「……そうだな、全員持ち場に戻り弾薬補充、負傷者の回収を急げ!態勢を立て直せ!」

兵士「了解!!」

兵士長「あれはおそらくダークロプスよりも厄介ですね……!」

陸戦隊長「考えたくはないが……な」



ミラー(間違いない……!今のは地球で見たものと同じバリアー!)

ミラー(こいつは一体……!?)


———エスメラルダ大気圏外・宇宙船



カタンB「なんてことだ……ダークロプスたちがあんなにもあっさり……」

カタンA「や、奴は化け物だ!!」
 

     ピピピッ     ピピピッ


カタンB「む、またなにやらエスメラルダに近づいてくるぞ」

カタンC「この反応は……まずい、奴らだ!」

カタンA「く、クソ!ええい撤収だ!引き上げよう!」

カタンC「え、ダークロプスとあの強い化け物は……」

カタンA「回収できるかあんなもん!さっさと逃げるぞ!」

カタンBC「ラジャ!」ガシャン


                              ピュー

 





初号機「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ………………!!!」




陸戦隊長「勝ち鬨のつもりか?」

兵士「ダークロプス、全機沈黙……!」

兵士長「久しぶりですよ、こんなに震えが来るのは……」ガクガク

陸戦隊長「気を抜くな、お前たち……!」

初号機「……」クルッ

陸戦部隊「!!」 ビクッ!

初号機「……」 ズンッ

兵士「く、来る!」

陸戦隊長「戦闘準備……!」チャキッ

ミラー「待ちなさい!」バッ

陸戦隊長「ミラーナイト様!」

初号機「……」

ミラー「助けていただいたことには感謝します、ですがこちらの方々はこの星の原住民です。手出しは」

初号機「オオオオオオオオ……」ギラリ

ミラー「!!」 サッ




シンジ「母さん!!」

初号機「」ピタッ

ミラー(シ、シンジくん!?なぜあんなところに……!?)

シンジ「母さん、もういいよ……もう終わったんだ」

初号機「……」



      キュウウウウウ……ン


陸戦隊長「……動かなくなったな」

兵士長「まるで電源が落ちたかのように見えます」

陸戦隊長「電源?馬鹿なこと言うな、あれはどうみても生き物じゃねえか」




初号機「……」



兵士「……本当に動きませんね」

陸戦隊長「休憩ってか?舐めやがって……総員」

ミラー「ま、待ってください!」

陸戦隊長「ミラーナイト様!?」

ミラー「撃っては」


  ギュルルルル!

          ドシュッ!



初号機「!」グラッ


ミラー「!?」


シンジ「母さん!」



      ピキッ




(ごめんね、シンジ……)




シンジ「……えっ!?」



         ズズゥ……ン

 



     ギギギ……


一同「!?」


ダークロプス「セン……メ……ツ……」ギギギ


陸戦隊長「まだ一機動けるやつがいたのか!」 チャキッ

兵士「ですが隊長!奴はあの巨人を狙っています!」

兵士「奴は一瞬でも我々に敵意を向けました!」

兵士「何故止まったのかはわかりませんが、ここで処分するなら今……!」

兵士長「ダークロプスごと攻撃しますか!?隊長!」

陸戦隊長「う……ううむ……!」




ダークロプス「センメツ……センメツ……」ジャキン



初号機「……」


シンジ「母さん!しっかりしてよ!母さん!!」



ミラー「!!」

ミラー(陸戦部隊の人々には遠くて聞こえませんがシンジくんはたしかにこの巨人を『母さん』と呼んだ!)

ミラー(そして巨人はその声に反応し実際に動きを止めた!)

ミラー(ということは、まさかこれが……!?)




ダークロプス「シ……ネ……」 ギラッ

初号機「……」

ミラー「ハッ!しまった、やめ……」







           ビビビビビビビビビ!!



ズバァッ!!


ダークロプス「……!!」 バチバチ

    
          ドッゴォォォォォォォ……ン


シンジ「ゼロさん!」

ミラー「ゼロ!」

陸戦隊長「おお!ウルティメイトフォースゼロだ!」

      ワー!!        ワー!!



ゼロ「……」ス…

ボット「ダークロプス……だな」

ナイン「ああ……だが……」

グレン「うわぁ……エグ……」

ゼロ「これをやったのは、ミラーナイト……じゃあないよな」

ボット「ああ、恐らく倒れているアレ、だな」

グレン「なんなんだぁ、ありゃ?」

ゼロ(……! あの岩場にいるのは……シンジ?)





初号機「……」

シンジ「……」


———王宮



通信兵「ダークロプス全機沈黙!我々の勝利です!」


「うおおやったー!」「よかった!本当に良かった!」「はぁぁぁぁ終わった……!」

「お疲れさん!」「おめでとう!おめでとう!」「家族に連絡を……」



エメラナ「我々の……ですか……」

兵士長「姫……」

エメラナ「……即座に負傷者の救護を、村にも救急隊を送ってください」

兵士長「はい、すでに」

エメラナ「瓦礫処理はウルティメイトフォースゼロの皆さんにも手伝ってもらいましょう」

兵士長「は、……あの巨人は如何いたしますか」

エメラナ「……」

つづく

ウルトラマンエースの声を担当されていた納谷悟朗さんのご冥福をお祈りいたします



再開


——————夜



———町



兵士「他に怪我なさってる方はいらっしゃいませんか!?」



「まあ!無事だったのね!」「おう!」
「怖かったよ〜!」「よしよし」「パパは無事なの!?」
「大分ひどくやられてやがんな……」「ったく、修理代置いてけってんだ」



アスカ「……」

女将「シンちゃん、どこ行ったんだろうねえ……」

旦那「……」

アスカ「……大丈夫ですよ、あいつは」 フルフル

女将「アスカちゃん……」

アスカ「……」




ピコ「あ!パナ!」

アスカ「!!」

パナ「ワンワン!」ステテテ

ピコ「パナぁ〜!」 ギュッ

パナ「キャン!キャン!」スリスリ

ピコ「ありがとう!お兄ちゃん!」

シンジ「いえいえ、どういたしまして」

パナ「キャン!」

シンジ「よかったね、パナちゃん」

ピコ「本当にありがとう!バイバイ!」ブンブン

パナ「ワン!」

シンジ「うん、バイバイ」フリフリ

ピコ「お父さん!お母さん!パナ元気だったよー!」タタタッ

パナ「ワンワン!」

シンジ「……」

アスカ「バカシンジ!」

シンジ「!」ビクッ

アスカ「あんた……何やってんのよ!傷だらけじゃない!」

シンジ「や、やあアスカ。無事でよかった」

アスカ「何が、やあ、よ!なんでそんなボロボロになってんのよ!アホ!どんくさいんだから!」ズンズン

シンジ「ちょ、ちょっと転んじゃってね、心配かけてゴメン」

アスカ「バカ、誰があんたの心配なんて……心配なんて……」ウルウル

シンジ「ア、アスカ……」オロオロ

アスカ「うわぁ〜〜ん!!バカシンジ!!ドジシンジ!!グズシンジ!!」ボスボス

シンジ「いてて、ごめんよアスカ、ごめん」

アスカ「許さない〜!!」 ギュッ

女将「やれやれ、そういうことかい」

シンジ「女将さん!旦那さん!ご無事だったんですね!」

女将「ま、減給は勘弁してやろうかね」

シンジ「え?」


———ゼロ食堂・跡



シンジ「……!」

アスカ「女将さん……!」

女将「……やれやれ、また建て直しかね」

旦那「む、まあ仕方ないな」

シンジ「旦那さん……」

旦那「生きていたらそれでいい。店は何度でも作り直せる」

アスカ「女将さん、『また』って……」

女将「あんたたちも学校で習ったんだろ?以前ここはもっとひどい侵略を受けたのさ」

シンジ「たしか、ベリアル軍……」

女将「その時が初めて本格的に侵略を受けた時でね、お店どころか命も諦めかけてたところさ」

女将「でも姫様やウルティメイトフォースの方々が諦めないで頑張ってくれたおかげで、ここにまた店を出すことができたんだ」

アスカ「そうだったんだ……」

女将「だからね! あたしらもあの人たちの様に命ある限り諦めないって決めたのさ! 何度潰されたってもう一度やり直す!」

シンジ「!」

女将「ここはあたしらの、故郷だからねぇ……」

シンジ(故郷……)

旦那「調理器具は無事だ。食材もいくらか無事なものはある」ガラガラ

シンジ「だ、旦那さん!危ないですよ!」

女将「何言ってるんだい!ゼロ食堂開店だよ!」ニコッ

アスカ「え、ええ!?」

女将「炊き出しするのさ、お腹が空いてちゃ直せるもんも直せないでしょ!」

シンジ「女将さん……僕も手伝います!」

アスカ「私も!」



     ガチャン       ガチャン


旦那「シンジ、鍋を置いてくれ」

シンジ「はい!」ガシャ

アスカ「よし、っと……女将さん、何作るの?」

女将「う〜ん、この食材なら、あれかねぇ……」

旦那「」コクリ

シンジ「!」

アスカ「あれって?」

女将「……アスカちゃん、作ってみるかい? アスカちゃんのあのスープ!」ニンマリ

アスカ「え、ええっ!?で、でもあれはまだ未完成だし、何もこんな時に……」

女将「大丈夫! こういうときはあったまるスープのほうがいいの! ね!?」

シンジ「僕も手伝うよ、アスカ」

アスカ「シンジ……」

シンジ「やってみようよ。こういうときこそ看板娘が明るくなくっちゃ」ニコッ

アスカ「……うん!」



      ガラガラ……      ドシャーン


おっさん「どっこいしょ、っと……おーい!そっち大丈夫か〜!」

おっさん「ああ、問題ないよ!」

新人おっさん「こういう時こそ俺らの出番ですね!」

ベテランおっさん「ああまったく、いいとこ見せて町娘から嫁さんになってもらおかな、っと」ガラッ

新人おっさん「全くこの人もなんだかんだで……お?」クンクン

ベテランおっさん「なんだ、どしたい」

新人おっさん「いや、やけにいい匂いが……」クンクン

ベテランおっさん「どれどれ……ホントだ! そういやえらく腹が空いたなあ」クンクン

新人おっさん「一旦腹ごしらえして、作業はそれからにしませんか!?」

ベテランおっさん「それもそうだな……よしお前ら!いったん休憩だ!炊き出しよばれようぜ!」

おっさん共「「「うぃーっす!」」」

新人おっさん「こりゃゼロ食堂の方からっすね」クンクン

ベテランおっさん「そうだな……あの辺も酷いことになってた、早く直してもらわんと……」クンクン



「「うおおおおおおおーーーっ!!」」



新人おっさん「な、なんだ!?」クンクン

ベテランおっさん「列の先頭の方からだな」クンクン

新人おっさん「……そういやさっきからこの匂い、食堂の中じゃ嗅いだことない匂いですね」クンクン

ベテランおっさん「確かにな……一体何が……お?」クンクン



おっさん「いやあ感激だな!」ズズズ

おっさん「俺もう死んでもいい!」ズズズ


ベテランおっさん「おい!それが炊き出しか? 美味そうじゃねえか!」

新人おっさん「なんすかそれ、新メニューっすか?」

おっさん「おう、なんとこのスープアスカちゃんの手作りだそうだ!」

ベテラン・新人「「な、なにぃ!?」」

おっさん「おうよ、その名も……」



      ワイワイ
               ガヤガヤ


アスカ「はいはーい!アスカちゃん特製愛情たっぷりスペシャルスープはこちらですよー!」

シンジ「まだまだあるので焦らないでくださーい!」

ピコ「お姉ちゃん!このスープ美味しいね!」

パナ「キャン!」

アスカ「ありがと、お代わりもあるわよ?」

ピコ「わーい!」

おっさん「ア、アスカちゃん俺にも!」

おっさん「お、俺にも注いでくれえ!」

女将「はいはい、恵んだげるから寄っといで!」

おっさん「お、女将さん!」

おっさん「こういうのは、アスカちゃんの手から……」

女将「こんなときまで何言ってるんだい!」

先生「一杯貰えるかな?」

シンジ「先生!よかった、ご無事だったんですね」ホッ

アスカ「どうぞ、先生!」チャプ

先生「うむ、ありがとう……」 ズズズ…

先生「ああ……温まるねえ……」

シンジ「先生、学校は……」

先生「うむ、学校も手酷くやられてねぇ……しばらく開校は無理だろうな」

アスカ「そうですか……」

先生「なあに、生きてさえいれば学びの機会などいくらでも作れる」

先生「大切なのは、その意志を失わないことだよ」

シンジ「意志を……」

先生「以前も酷い侵略があったことは、もちろん知っているね?」ズズ…

シンジ「ええ、授業でも習いました」

アスカ「女将さんも言ってましたし」

先生「その侵略の際、ここの町民もちりぢりに避難したのだ」

先生「でもこの星が救われたのち、この星の人は誰もこの町も星も出て行こうとしなかったんだよ」

シンジ「先生も?」

先生「無論、私もその一人さ」

先生「みんなここが帰るべき場所だと知っているんだ」

先生「大事な、故郷だからねぇ……」

シンジ「……」

アスカ「先生、女将さんと同じこと言ってますね」クスッ

先生「ははは、年寄りは皆似たようなことしか言えんようになるからな」

女将「先生!聞こえてますよ!」

先生「おおっと、こりゃ失敬。じゃあ私は失礼するよ、スープご馳走様」

シンジ「はい、お気を付けて」

アスカ「さよなら、先生!」

先生「うむ、二人もあまり無理せぬようにな」 ザッ


シンジ「……」


「そういえば、あの巨人はなんだったんだろうねえ」


シンジ「!」



「話ではまだあそこに置いてあるみたいよ」
「動かなくなったままらしい」
「ウルティメイトフォースゼロじゃないんだろ?」
「怖いねえ……暴れたりしないのだろうか」
「さっさと処分しちまえばいいのによ!」



シンジ「……」

アスカ「……シンジ?」

シンジ「ん、何?」

アスカ「……ほら、しっかり配んなさい」

シンジ「う、うん」

つづく

震災の日にめげずに生きる人々の回とはやるな
アスカスープ飲みたい


納谷さんと被災した方々に黙祷

>>353
書きためは結構前からしていたので偶然です
被災された方々にもご冥福をお祈りします



今後諸事情でさらに投下速度が遅くなると思います
この駄文を楽しみにしてくださっている皆さんには申し訳ありませんが
必ず完結させますのでどうかよろしくお願いします

再開


——————同時刻


———鉱山周辺



グレン「よっと!」ガシャ

ゼロ「ダークロプスの残骸はだいたいこんなもんか?」パンパン

ボット「そうだな、町には入れないから、我々の仕事はだいたい片付いた」

グレン「あの空になってるニセゼロちゃんの乗りもんはどうすんだよ?」

ナイン「この残骸と一緒に解体か融解して資源として再利用するそうだ」

ゼロ「ふーん、なかなか目ざといんだな、エメラナも」

ボット「姫様をケチな小者みたいな言い方をするな!」

ゼロ「し、してねーよ!しっかりしてるなーって、そう思っただけで……」

ナイン「そして、アレは……」

ゼロ「……」




ミラー「……」

初号機「……」


 

ボット「姫様はとりあえず、ここに座らせておくそうだ」

グレン「なあなあミラちゃんよ、ホントにこれが動いてダークロプスを全部こんなにしちまったのか?」

ミラー「……ええ」

ナイン「だが生命反応は無い」

グレン「手当してあっけどさー、この胸の傷じゃ死んでんじゃねーの?」ゴンゴン

ミラー「手当は私がしましたが……見てください」パラッ

ゼロ「?」

ミラー「コレは確かに背後からスラッガーで貫かれたのですが、すでに傷が塞がっているのです」

グレン「あ、ほんとだ!重傷に見えたのは出血の跡か!」

ミラー「そうなのです、しかも私が手当てをする前にすでに完治していたようなのです」

ナイン「超回復能力……それをこの生物は持ち合わせているのか」

ゼロ「だがこの通り全く動かない……なぜだ?」

ミラー「それは……胸のコレだと思われます」

グレン「赤い玉みたいなのが埋まってるな? 割れてっけど」

ミラー「傷は塞がったのにこの器官だけは回復していない。おそらくコレはこの生物の心臓に値する重要な部位だと推測できます」

ボット「なるほど、急所だったということか」

グレン「傷は塞げても心臓は直せないってか?」

ミラー「コレが『生物』であるとしたら妥当な推測であると思いますよ」

ゼロ「まるで……カラータイマー……」ボソッ

グレン「ん? ゼロ、なんか言ったか?」

ゼロ「いや……」

ナイン「さて、こいつをどうするか……」

ボット「死んでしまったのなら丁重に弔ってやればいいだろう」

グレン「過程はどうあれこいつはニセゼロちゃんを倒してくれたんだろ? 感謝感謝」ナムナム

ゼロ「……なあ、ミラーナイト」

ミラー「はい?」

ゼロ「お前、正直なところこいつが何者か見当がついてるんじゃねえか?」

ミラー「!」

グレン「な、何だそうなのか?」

ゼロ「しかもお前、こいつをエスメラルダ軍から庇ったそうじゃねえか」

ナイン「この手当も君がしたんだったな、そうまでしてコレを保護しているのはなぜだ?」

ボット「姫様にここに放置してもらうよう進言したのもお前だったんだな?」

ミラー「……」

ゼロ「どうなんだ、ミラーナイト」

ミラー「……コレ、何かに似てると思いませんか?」

グレン「何かって?」

ミラー「シンジくんたちの地球にいた、我々を襲った怪物ですよ」

ゼロ「!?」

ボット「何!?」

グレン「そ、そういわれてみれば背丈とか風貌とか……この胸の玉も……似てる気がしないでも……」サワサワ

ナイン「……確かに似通った人型の生物だ」

ゼロ「ということは、まさかこれはシンジとアスカに関係があるってのか?」

ミラー「それだけではありません。今日シンジくんは戦闘中シェルターに入らず、この近くにいました」

ゼロ(やっぱりあれはシンジだったか……逃げ遅れたって感じじゃあなさそうだったが……)

ミラー「コレはダークロプスを全滅させた後、私たちにも襲い掛かろうとしました」

グレン「やっぱ危険な奴なんじゃ」

ミラー「しかし、シンジくんの一言でこれは活動を停止し直後に攻撃を受け、今に至るのです」

ボット「シンジの一言!?」

ゼロ「どういうことだ! こんなデカいのがシンジの言うことを聞いたってのか?」

ミラー「そうです、それもたった一言」

ミラー「……『母さん』と」

ゼロ「な……!!」

ボット「!!」

ナイン「……!!」

グレン「……は?」

ゼロ「そんな……!じゃあまさか、これが!?」

グレン「シンジの母ちゃん!?」

ミラー「あの時地球でシンジくんから聞いた話を思い出してください」

ボット「彼の母親はエヴァンゲリオン初号機というロボットのコア……制御装置のようなものと一体化してしまったという」

ナイン「その後宇宙を漂っていたところ……息子の危機に飛来した、というわけか」

グレン「えーっと、つまり……?」

ゼロ「こいつが……エヴァンゲリオン初号機……!!」

グレン「へぇー……え、えぇぇーー!!?」

ナイン「ここに向かう途中高速で僕たちの横を通り過ぎたのはこれだったのか……」

ボット「コア……核……まさか、この胸の器官が……!?」



初号機「……」



ミラー「まだ彼らに詳しい話を聞いてみないことには断定できませんが……」



ゼロ(なんてことだ……揃っちまった!)

ゼロ(地球再生の手掛かりが……!)





















———地球



       フワッ…    スタッ


ナックル「……」

ナックル「……ここは、地球か?」


         ヒュウウウウウウ…


ナックル「赤い海……滅んだ文明……」

ナックル「……なぜ俺はここに……?」


        チャキ


ナックル「!! そ、そうだ、滅んでいるとしてもここが地球であることには変わらん」

ナックル「丁度いい、ここを俺の築くナックル大帝国の本拠地として……」





???「……よくぞ来た……来訪者よ……」



 

ナックル「!? な、何者だ!」ジャキッ

???「私はこの地球の王……そして全宇宙の神となるもの……」

ナックル「どこだ!姿を現せ!」キョロキョロ

???「その必要はない……貴様の役目はもう終わった……」

ナックル「役目だと……?」

???「そうだ……よくぞ……よくぞロンギヌスの槍をこの地球へ再び運んだ……」

ナックル「ロンギヌス……?この槍の名前か?」

???「遠路遥々ご苦労だった。さあ、槍をこちらに……」

ナックル「な、なにを言うか!この槍は我が物!ナックル大帝国の帝王たるこの俺様の武器として」


           ドキュン


ナックル「……あ……?」ポタポタ

ナックル(胸に穴……?光線……?どこから……?)ドシャッ

???「只の運び屋が手間を掛けさせるな」


       ザザザザザザザザ……


ナックル(後ろ……海の中か……!)


      ググッ


ナックル「!?」


            グググググググ……


ナックル「や……槍が……独りでに……!」



       ドシュン!   ガシィン!


ナックル「あ……ああ……俺の槍……宇宙を支配できる力……!」

???「ふむ……やはり形状が元に戻っている。サードインパクトが不完全だったことの表れだな」

ナックル「か……返せ……!」

???「最後に教えてやろう」

ナックル「!?」

???「貴様は自らの意思でここに来たのではない。この槍の運命に導かれてここへ来たのだ」

ナックル「運命……? な、なにを……」

???「ご苦労だった、来訪者よ……安らかに眠るがいい」

ナックル「ま、待て……!」

ナックル(おのれ……こ、こんなところで……!) ググッ

ナックル「!?」

???「……」

ナックル「お、お前は……!?」



???「安らかに眠るがいい」


       ズズズ……  


「ラー」



ナックル「ウルトラマン……!?」


       ピキャオン!!


ナックル「ぎゃあああああああああ〜〜〜〜〜!!!」



      ズドドドドォォォォーーーーーーン!!




           ゴゴゴゴゴゴ……








???「槍は使徒と引かれ合う運命……これでいい」

???「……さて、あと一つ……」

 

つづく

このSSはゼロファイト2部前です



再開


———惑星エスメラルダ・シンジとアスカの家



シンジ(僕たちの家は、無事だった)

シンジ(女将さんたちのように今回の襲撃で家を失った人は、王宮や公共施設に宿泊するんだそうだ)

シンジ(僕たちだけ家に帰るのも、って思ったけど、女将さんに『ゆっくり休みなさい』って言われたので素直に帰ることにした)


シンジ「ただいま……」

アスカ「ただいま……」


シンジ(炊き出しの後、僕たちはあまり言葉を交わさなかった)

シンジ(アスカも何かをずっと考え込んでるようだった)

シンジ(簡単に食事を取って、シャワーを浴びて、すぐに寝た)




アスカ「おやすみ、シンジ」

シンジ「おやすみ」



シンジ(……)











ゴソゴソ



キィ












アスカ「……」


———草原



シンジ(眠れるわけがない)

シンジ(ここからでも座り込んで動かない初号機と、いまだ作業が行われている町が遠巻きに見える)

シンジ(ミラーナイトさんやゼロさんたちは、もういなかった)

シンジ(……)

シンジ(……やっぱりあれは、初号機なんだろう)

シンジ(髪の毛が生えたこととか、見た目は僕の知ってる初号機と大分変わっている)

シンジ(それでもゼロさんの偽者を蹴散らしたあの戦い方、あれはまぎれもなく、エヴァのそれだった)

シンジ(……)

シンジ(母さん……)






アスカ「シンジ」

シンジ「!」


アスカ「まーた私を一人にして」

シンジ「ゴ、ゴメン。なんか寝付けなくって」

アスカ「私も座ろ」トスッ

シンジ「……」

アスカ「……」

シンジ(ケンカしたわけでもないのに、なぜか気まずい)

アスカ「ねえ」

シンジ「ん?」

アスカ「あそこに見えるあれって……初号機、よね」

シンジ「……わかる?」

アスカ「あんたバカァ?わかるに決まってるでしょ」

アスカ「髪の毛生えてるのは……びっくりしたけど」

シンジ「うん……」

アスカ「……あんたのお母さんが乗ってるんだっけ」

シンジ「うん……」

アスカ「私の弐号機と同じね」

シンジ「え、そうだったんだ」

アスカ「そうよ」

シンジ「へぇ……」

アスカ「……」

シンジ「……」

アスカ「……なんで来たんだろ」

シンジ「僕が呼んだからだと思う……たぶん」

アスカ「あんたが?」

シンジ「僕、岩場の高台からミラーナイトさんや軍隊の人々が戦ってたのを見てたんだ。壊される街も」

アスカ「……」

シンジ「僕は何もできなかった。ジャンボットさんやジャンナインさんもいないし、いたとしても結局皆に頼ってしまうことになる」

シンジ「それでもどうしてもアスカや、町の皆を守りたいって強く思ったら……空から降ってきたんだ」

アスカ「……うん」

シンジ「それで……初号機が暴走してゼロさんの偽者をやっつけて……ミラーナイトさん達とも戦おうとしたんだ」

シンジ「だから僕がもうやめてって叫んだら、それっきり……」

アスカ「……」

シンジ「多分みんな驚いてるだろうね。あれは一体何なのかって」

シンジ「またここでも……迷惑かけちゃったよ、僕」

アスカ「そんなことない!」

シンジ「……!」

アスカ「あんたが初号機を呼ばなかったら、ミラーナイトや軍の人々も殺されてたかも知れないのよ!」

アスカ「あんたがミラーナイトや、この町を救った……そう思いなさいよ」

シンジ「皆はそうは思わないよ」

アスカ「……」

シンジ「あれが僕が呼んだってことが知られたら、きっとまた僕たちは奇異な目で見られるよ」

シンジ「やっぱり僕は、ここでも……」

アスカ「じゃあどうするのよ」

アスカ「このまま初号機が処分されるのを黙って見てろって言うの!?」

シンジ「……!」

アスカ「あれにはあんたのママが乗ってるんでしょ!?」

シンジ「そんなこと言われたってわかんないよ! 今更エヴァが来たところで、僕にどうしろって言うんだよ!」

シンジ「またあれに乗って戦えって言うのかよ!NERVも無い、使徒ももういないのに!」

シンジ「なんで……今になって……」クシャ

アスカ「シンジ……」

シンジ「戦おうとしたって人を巻き込んでばっかで……結局自分一人じゃ何もできないんだ……」

アスカ「……」

シンジ「うっ……うう……」グスッ

アスカ「……今日ね」

シンジ「?」

アスカ「私たち、ピコちゃんとパナって犬助けたじゃない」

シンジ「……うん」

アスカ「あんたと別れた後シェルターにピコちゃん連れて行ったらさ、すっごい感謝されたのよ。ピコちゃんのご両親に」

アスカ「そんなつもりじゃないのに、深く頭下げられて涙ながらにさ」

シンジ「……」

アスカ「でね、私思ったのよ。私たちがエヴァに乗って戦ってたのも、こういうことの為なんじゃないかって」

シンジ「!!」

シンジ(アスカも……僕と同じことを……!)

アスカ「今日私たちは、エヴァの足元にいたのよ」

シンジ「足元?」

アスカ「そ。地球で私たちがエヴァに乗って戦ってたときも、足元では今日みたいなことがいつも起こってたの」

アスカ「いくらあそこが要塞都市だったとはいえ、女将さん達みたいに家やお店を失った人もいれば、家族を失った人もいたでしょうね」


『ワシはお前を殴らなイカン』


アスカ「ずっとエヴァに乗ってた私たちは、その視点での世界を知ってるつもりで実は何も知らなかったのよ」

シンジ(確かに……)

アスカ「そういう人たちだって、エヴァに乗れなくても一生懸命大切な何かを守ろうとしてたんだと思う」

シンジ「女将さんや、ピコちゃんみたいに……」

アスカ「なのに当のエヴァに乗ってた私ときたら……やれ自分の居場所だプライドだって、自分のことばっかり」

アスカ「ママのことがあったとはいえ、情けないわよね。ホント」

シンジ「……今更だよ、そんなの。僕だって……」

アスカ「確かに今更ね。でも実際、エヴァはまた私たちの前に現れたわ」

シンジ「……!」

アスカ「これからのために初号機は来たんじゃない?」

アスカ「今からでも私たちにきっとできることがあるはずよ。今日の炊き出しだってそう」

アスカ「あんたのママは、それを教えに来たのよ、きっと」

シンジ「母さん……」

アスカ「それにさ、あんたあの日のパーティーの後の事覚えてないの?」

シンジ「?」

アスカ「あんたが言ったんじゃない、これからの自分の道を自分で見つけて行くんだって」 ニヒ


シンジ「アスカ……」

シンジ(アスカはいつもこうやって後ろ向きがちな僕を前へ前へと向けてくれる)

シンジ(アスカは僕を、助けてくれている)

シンジ(やっぱり僕にはアスカがいないと、ダメだ)

シンジ「……ありがとう、アスカ」

アスカ「あんたは私を守るんでしょ? だらしないカッコしないでよ、バカ」プイ

シンジ「……うん、ごめん」ニコッ

アスカ「……///」

シンジ(そうだ、エヴァが来たことにはきっと意味がある)

シンジ(今からでも僕らにできることがきっと……)

シンジ(そうですよね、加持さん)

シンジ「帰ろっか、そろそろ眠くなったよ」スクッ

アスカ「そうね」

シンジ「ほら、手」スッ

アスカ「ん」ギュッ

シンジ「よっ……と」グイッ

アスカ「きゃっ」グラッ

シンジ「あっ」 ガシッ

アスカ「あ……/////」

シンジ(か、顔が近い……////)

アスカ「シンジ……」ギュッ

シンジ「……」ギュ

アスカ「……ね、あの日の事、忘れたわけじゃないわよね」

シンジ「うん、僕はアスカを守るって」

アスカ「そうじゃなくて、パーティーの後のことよ」

シンジ「あぁ……うん、もちろん」

アスカ「じゃあ、あの日と同じように……ん!」グイッ

シンジ「へ」

アスカ「んんっ!」ググッ

シンジ「あ、ああ、うん」スッ







シンジ(あの日僕らは二度目のキスをした)

シンジ(明日からも共に生き続けるという約束のために)

シンジ(今日は、僕一人で心に誓った)

シンジ(僕はもう後ろを向かない。これからの運命に向き合い続けると)


———シンジとアスカの家



シンジ「明日の朝、王宮に行ってゼロさんたちやエメラナ姫にエヴァのことを話すよ」

アスカ「!」

シンジ「エメラナ姫が初号機をどうするかは分からないけど、あれはエヴァで、僕が呼んだってことは伝えなくちゃ」

アスカ「うん」

シンジ「それによって僕がどうなるかは……」

アスカ「もう、僕たちが、でしょ?」ギュッ

シンジ「!」

アスカ「私も一緒に行くわ。当たり前でしょ」

シンジ「……うん、わかった。行こう」ギュッ

アスカ「ええ、じゃ、おやすみ……」

シンジ「うん、おやすみ」






シンジ(僕はもう、逃げないって決めた)

シンジ(例えもう一度、エヴァに乗ることになったとしても)

シンジ(自らの運命から、逃げたりはしない)



















——————翌日





シンジ「ん……」パチ

アスカ「おはよシンジ。ご飯出来てるわよ」

シンジ「ん、ありがと。アスカ」

アスカ「いーえ」



  カチャカチャ…


シンジ「……」モグモグ

アスカ「……」モグモグ


シンジ(今日僕たちは、謎の巨人の関係者として王宮に出頭する)

シンジ(結果によれば、最悪僕らはここにいられなくなるかもしれない)

シンジ(アスカもそのことは覚悟しているだろう)

シンジ(でも、大丈夫)

シンジ(どこへ行くことになっても、僕たちは一緒だから)


シンジ「ごちそうさま」

アスカ「ごちそうさま」

シンジ「アスカ」

アスカ「分かってる。仕度してくるからシンジも」パタパタ

シンジ「うん」


シンジ(正直、怖い)

シンジ(今まで僕たちに良くしてくれたみんな)

シンジ(エメラナ姫、女将さん、旦那さん、先生や学校のみんな、鉱山のおじさん達……)

シンジ(皆が僕らを見る目を変えてしまうかもしれない)

シンジ(二度と口をきいてもらえなくなるかもしれない)

シンジ(二度と会えなくなるかもしれない)

シンジ(でも僕には、アスカさえ、アスカさえいてくれれば)




        トントン




シンジ(ん?)




        トントン



シンジ(誰か来た?)

シンジ(こんな朝早くから誰だろう、女将さんかな……?)

シンジ「はーい」タタタッ


        ガチャ


シンジ「……!」









ゼロ(人間体)「ようシンジ!おはようさん!」

シンジ「ゼロさん……!」

ゼロ「今、いいか?」

つづく

>>450
前スレで人間体は心も同体になってたランが成り易い言ってたし、多分今回もランじゃない?

ブログ列伝より。配信待ち組に朗報だ!

>さて、次回の「列伝」は、総集編「闇からの復活!蘇れウルトラマン!!」なのですが、「ウルトラゼロファイト」のクライマックスとも連動したスペシャル総集編ですので、来週のYoutube配信では、「ゼロファイト」最終話もくっつけた状態で3/29(金)17:30から配信いたします。

>つまり、こういうことです。

>3/27(水)17:30 「列伝」TV放送。(総集編&ゼロファイト最終話)

>3/29(金)17:30 「列伝」Youtube配信。(総集編&ゼロファイト最終話)

>4/3 (水)00:00 「ウルトラゼロファイト」最終話 Youtube配信。

>配信待ちのファンの皆さん。ゼロファイト最終話はいつもより早く金曜日の17:30から無料視聴できますよ。さらに、配信スタート翌日の3/30(土)は「ラゾーナ川崎」のイベントにて・・・ お楽しみに!

ゼロファイトが明後日には配信されるぞ!

>>451
ゼロの人間体は一貫してランをモデルに変身しています



再開

シンジ「は、はい、どうぞ」

ゼロ「おう、邪魔するぜ」

シンジ(ゼロさん……どうして?)

ゼロ「シンジ、怪我してんのか? アスカは?」

シンジ「かすり傷ですよ、アスカも無事です」

ゼロ「そうか、よかった……いや、俺たちが来るのがもっと早けりゃ町への被害ももっと抑えられたんだ、すまん」

シンジ「いえ、そんな」

アスカ「シンジ、誰か来たの?」ヒョコッ

ゼロ「ようアスカ!邪魔してるぜ!」

アスカ「ゼ、ゼロ!? どうして……?」

シンジ「ここ、座ってください」ガタッ

ゼロ「おう」ドサッ

シンジ「お茶、どうぞ」 コトッ

ゼロ「お、すまねぇな……あちち」ズズ

アスカ「そういえばあんたのその姿を見るのも久しぶりよね」

ゼロ「へへ、そういやそうだな」

シンジ「ゼロさん、今日は……」

ゼロ「ん、ああ……」ズズ

ゼロ「……お前らに話があるんだ。座ってくれ」

シンジ(テーブルをはさんで僕たちとゼロさんが向かい合う)

シンジ(ゼロさんの話。なんとなくは予想できた)




シンジ「あの……今日は僕たちも皆さんにお話があって」

ゼロ「……あの巨人のことだな?」

シンジ・アスカ「「!!」」

シンジ(さすが、ゼロさんは鋭い)

シンジ「……はい」

アスカ「あ、あのねゼロ」

ゼロ「単刀直入に聞く」

シンジ「はい」

ゼロ「あれがお前たちの言うエヴァンゲリオン初号機、だな?」

アスカ「!」

シンジ「……はい」

シンジ(隠すつもりはない。でもすべて見透かされてるようで委縮してしまう)

シンジ(ゼロさんたちにも見限られてしまうんだ。一瞬、そう思った)

ゼロ「……そうか……」

シンジ「……」

シンジ(ゼロさんは腕を組んだまま黙ってしまった)

ゼロ「……」

シンジ(そうだ、ちゃんと言わなきゃ)

シンジ「……あの、あれは僕が呼んだのかもしれないんです」

ゼロ「なに?」

シンジ「あのとき傷ついたミラーナイトさんや破壊される町を守りたくて、夢中になって母さんを呼んだんです」

ゼロ「母さん……」

シンジ「初号機のコアには母さんが入ってるんです。以前お話ししましたよね」

ゼロ「ああ」

シンジ「母さんは、僕のもう一度戦いたいという思いに反応して、飛んできたんだと思うんです」

ゼロ「……あの戦闘は、お前が操作したものなのか?」

シンジ「いえ、あれはエヴァの暴走です」

ゼロ「暴走?」

シンジ「エヴァは生きているんです。エヴァの意思、母さんの意思でゼロさんの偽者と戦ったんだと思います」

ゼロ「生きてる……」

シンジ「……」

ゼロ「……」

シンジ(しまった。暴走なんて言ったら悪い印象を持たれてしまうかも)

シンジ(初号機は処分しないでほしい。少なくともそう思う)

シンジ(だって、初号機の中には母さんが……)

ゼロ「あの初号機にはお前の母親の魂が入っている。だからお前の声に反応して戦闘を止めたんだな」

シンジ「やっぱり、ミラーナイトさんは僕に気づいてたんですね……」

ゼロ「まあな」

アスカ「……ねえゼロ」

ゼロ「ん?」

アスカ「初号機はどうなるの? 処分されちゃうの?」

ゼロ「……」

アスカ「それに私たちは巨人の関係者よ、アレを呼び寄せた私たちもタダじゃ済まないんでしょうね」

ゼロ「んなことはねえよ」

アスカ「え?」

ゼロ「アレが初号機ってことは今聞いたことだし、エメラナも今のところはアレをどうこうするつもりはねえ」

ゼロ「当然、お前らが関係者だとしてもお前らに何かするってこともしねえよ、心配すんな」

アスカ「そ、そう……」

シンジ(それを聞いてひとまず安心した)

シンジ(でも、ゼロさんの表情は浮かないままだった)

シンジ「ゼロさん、僕たちは今日そのことを話しに王宮へ」

ゼロ「まあ待て、その前に俺の話を聞いてくれ」

シンジ「は、はい……」

ゼロ「お前たちにまず確認したいことがあるんだ」

シンジ「なんでしょう?」

ゼロ「……『ロンギヌスの槍』」

アスカ「!」ビクッ

シンジ「!」ドキッ

ゼロ「アレがどのような形状だったか、覚えているか?」

シンジ「……はい」

ゼロ「教えてくれ」

アスカ「……」グッ

ゼロ「すまない、辛いことを思い出させてしまうかもしれないが大事なことなんだ」

シンジ「アスカ、大丈夫?」

アスカ「……ええ、はっきり覚えているわ。赤色の二又よ」

シンジ「持ち手が螺旋状……でした」

ゼロ「……そうか」

シンジ「……?」

ゼロ「やっぱ間違いねえか……」

アスカ「どういうことよ」

ゼロ「……いいか、落ち着いて聞いてくれ」

シンジ(ゼロさんが何を言おうとしてるのか)

シンジ(どうしてロンギヌスの槍のことを聞くのか)

シンジ(僕たちにはその瞬間までわからなかった)







ゼロ「お前たちの地球を、元に戻せるかもしれない」

シンジ・アスカ「「!!?」」






  


——————昨夜


———王宮



兵士長「姫様、ウルティメイトフォースゼロの方々がお見えです」

エメラナ「はい」







ミラー「姫様、ご無事で」

ボット「到着が遅れてしまって申し訳ありませんでした」

エメラナ「いえいえ、あなたたちの存在は心強かった、だから皆戦えたのです」

グレン「姫さん悪ィなー! 遅れたのはこのゼロちゃんのせいでよー!」 バシバシ

ゼロ「……」

ナイン「グレン」

グレン「……ごめんなさい」

エメラナ「瓦礫除去など手伝わさせてしまってごめんなさい、今日はゆっくり……」

ボット「いえ、その前に」

ミラー「姫様にお話があります、お人払いを……」

エメラナ「!」

兵士長「そ、そうでしたか、では……」

ゼロ「めんどくせえ、外で話そうぜ」

グレン「外って……」

ゼロ「外って、宇宙(そと)だよ」

ナイン「ああ……なるほど」


———惑星エスメラルダ・大気圏外



エメラナ「あの巨人が、シンジさんとアスカさんに関係が……!?」

ミラー「まだ推測ですが、少なくとも無関係ではないと断言できます」

ボット(ジャンバードモード)「姫様、詳しくご説明します———」







エメラナ「なんと……あの巨人にシンジさんやアスカさんが乗って……」

ミラー「俄かに信じがたいことですが……」

ナイン「背中や脊髄に当たる部分にメカニックが確認された。おそらくあそこが搭乗口や何かなのだろう」

ゼロ「……」

エメラナ「そしてあの初号機と呼ばれる『生き物』……それに今シンジさんとアスカさんの地球にあるとされる槍があれば」

エメラナ「お二人の故郷を元に戻せるというのも……本当なのですか!?」

ゼロ「恐らく、な」

エメラナ「……!!」

グレン「かぁ〜、恐らくだ推測だばっかりで、はっきり言えないでやんの」

ミラー「仕方ありません、全てはゼロの聞いた話が元なのです」

ナイン「我々はその渚タヲルなる人物には会ってはいないのだからな」

ボット「カヲルだ」

エメラナ「お話は分かりました。それでゼロ、あなたは私にどうして欲しいのです?」

ゼロ「!」

ミラー「姫様……」

エメラナ「これは惑星エスメラルダ代表としてウルティメイトフォースゼロリーダーのあなたに聞いています」

グレン(やべぇ、姫さんマジだ)

ゼロ「……まず、俺の考えを話す。聞いてくれ」

つづく

ゼロファイト2部の公式設定でこのSSと矛盾が生じなくてホッとしています
ここからまた理屈っぽい展開が続きますがご容赦ください





再開




ゼロ「俺は明日、あいつらに地球に帰る意思があるか聞く」

一同「!!」




ミラー「ゼロ、それは……!」

グレン「おいおい、まだ何もかも『かもしれない』レベルなんだぞ! あいつらを混乱させるのはよくねーってお前が基地で言ってたじゃねえか!」

ミラー・ボット・ナイン(ちゃんと聞いてんたんだなお前)

ゼロ「そもそもあの巨人が本当にエヴァンゲリオンだろうがなかろうが、アレをエスメラルダに放置していくことはできない」

エメラナ「尤もです」

ゼロ「アレがシンジの制御下にあるとはいえ、いつまた暴走するか分からないからな」

ナイン「制御下……。シンジの声に彼の……シンジの母が反応した、というやつだな」

ゼロ「さらにあいつら……特にシンジがが飛んできたアレを見て何を思うか?」

ミラー「何を?」

ゼロ「あの初号機を使ってエスメラルダを守ろうとする、と俺は思う」

一同「……!」

グレン「ま、まさかぁ」

ゼロ「今まで自分とともに戦ってきた『兵器』が自分たちの危機に飛来した、あいつはこれに何か運命めいたものを感じると思う」

ナイン「運命……」

ゼロ「新しく手に入れた故郷、エスメラルダを守るため……あのエヴァ初号機を使いたいと考えるんじゃないだろうか」

ボット「そんなこと……!」

エメラナ「当然、許可できません」

ミラー「姫様……」

ゼロ「当たり前だ、アレはシンジ達の地球を破滅させた一因……アレのせいでエスメラルダが同じ運命をたどらないとも限らない」

ボット「確かに……その可能性は否定できない」

ナイン「それだけあの初号機は危険な代物だということだな」

ミラー「昨日の様に暴走してこの星の生命に危害をもたらす恐れもありますしね」

ゼロ「……だが、同時にあのエヴァンゲリオンとやらはあいつらの故郷を再生させるカギでもある」

グレン「恐らく、ね」

ボット「よってあの初号機を破壊する、などということはできないな」

ゼロ「つまり! この時点であの初号機が辿る道は1つ!」ビシッ

ゼロ「地球に送って地球再生のために使っちまう! これはほとんど俺のエゴなんだが……」

ミラー「いえ、ウルティメイトフォースゼロの総意です」

ボット「お前が決めたことには我々も伴う。そう言っただろう?」

ゼロ「……ああ、そうだったな」

エメラナ「巨人の処遇についてはお任せします、とにかくエスメラルダとしてはあの危険な巨人を我が星に置いておく訳には行きません」

ゼロ「だからあの初号機はあるべき地球へ戻す、ということだ」

グレン「おうおうちょっと待てよ! あの巨人は地球に持ってくとして、なんでシンジとアスカがここを出て行く行かないの話になるんだ!?」

ミラー「無論、地球が彼らの故郷だからです」

ゼロ「故郷は誰もが帰りたくなる場所……基地で言ったとおり、地球再生の可能性がある以上あいつらにキチッと話すのが筋だ」

グレン「それで?」

ゼロ「またお前の言うとおり、聞いてみるんだ」

ゼロ「地球に帰るか、ここに残るか、な」

グレン「えぇー……またそれ?」

ゼロ「当然だ、あいつらが故郷に帰るか帰らないかを決めるのはあいつら自身しかいない」

ゼロ「あいつらが帰ると言ったら俺たちは送る。それがあいつらをここに連れて来た俺たちのけじめだ」

エメラナ「ですが地球を元に戻せるという保証はまだないのでしょう? また彼らを危険に巻き込むことになるのでは?」

ミラー「地球が元に戻る、という漠然な情報だけではうまくいくかどうか……」

ゼロ「そうだな……だが、何があっても俺たちはあいつらを責任持って最後まで面倒見てやる! 命に代えても……!」グッ

エメラナ「……!」

ナイン(そうだゼロ、その熱い決意の眼差し)

ミラー(私たちはあなたのそれに惹かれてあなたの下へ集ったのです)

ボット(お前が命を懸けると決めたことなら私たちも懸ける)

グレン(それが仲間って……ん?)

グレン「お、俺いい事思いついたぞ!」ポンッ

ゼロ「何だよ?」

グレン「まず俺たちだけで地球に行ってなんとか地球を元に戻す!」

グレン「そして無事成功したらまたエスメラルダに戻ってシンジとアスカを連れて行く!」

ゼロ「え」

グレン「どうだ!完璧だろ!」

ゼロ「そ、それは」

ボット「無理だな」

グレン「よっしゃ!     え、なんで!?」

ミラー「ウラシマ効果、というものをご存知ですか?」

グレン「ウラシマコーカ?何だそりゃ」

ミラー「私たちはあのとき地球で彼らを拾ってからどれだけの時間でここへ来たか覚えていますか?」

グレン「えーっと……結構いろんなとこ寄ったからなー……忘れた!」

ミラー「私たちはゼロのウルティメイトイージスで超光速でここまで戻ってきました」

ミラー「本来ならばかなりの年月を掛けて進む距離を縮めて飛んできたのです」

ミラー「ですが地球ではその本来の年月は実際に経過しているのですよ」

グレン「???」

ボット「例えば例の地球からエスメラルダまで普通に宇宙船などで行くには100年かかるとする」

ボット「我々はウルティメイトイージスで1日で行けるとする」

ボット「この方法で我々がウルティメイトイージスで地球からエスメラルダまで飛んで着いたころには」

ミラー「地球では100年経過しているのです」

グレン「なるほど……えぇー!!!」 ガーン

ボット「さっきのお前の作戦に当て嵌めれば、一度地球を復活させたとして、二人を連れて戻ってくるころには地球は200年経過しているということだ」

ミラー「例え地球をあの惨事になる前の姿に戻したとしても、二人が来たところで彼らの元の生活ができる環境があると言い切れないでしょう?」

グレン「な、なるほど〜! そりゃあ無理だなぁ……」シュン

ボット「ちなみに実際にあの地球で何年経過しているかは分からないが、私の航行記録から計算すると地球時間ですでに100年以上経過していることは確実だ」

グレン「とほほ、ワープに慣れちまうのも考えもんだな……」

ミラー「それに彼ら抜きで再生した地球が彼らの世界と全く同じ、とも限りませんからね」

ゼロ「ま、そういうことだ、諦めな」

ナイン(分かっていたのか……?)

ボット「槍が地球にあるうちに初号機を持っていく。彼らが地球に帰れるタイミングは今だけだ」

グレン「でもそんな時間が経ってるんじゃ地球も今ごろどうなってることか……そのカヲルってガキだって死んでたりすんじゃねーの?」

ゼロ「あいつは何億年も先に出る答えを見届けるって言ってたんだ、ってことは結構な長生きなんだろうからその心配はない、と思う」

ナイン「彼らが生きていれば、の話だがな……」

グレン「はあ、結局未確定情報だらけで行くしかねえのか……?」

ゼロ「……ああ、そうだ。だが何もやらないよりはやれることをやっておきたいんだ」

ゼロ「目の前に鍵は揃ってんだからよ」

エメラナ「後は彼ら次第……ということになるのですね」

一同「……」

エメラナ「まだ私への頼みを聞いていませんでしたね? ゼロ」

ゼロ「ああ、実は……」










グレン「でも姫さんはいつ見ても変わらねーな?」

エメラナ「エスメラルダ人も比較的長命ですから」

グレン「そうなの? 姫さん何歳?」

ボット「無礼者! 姫様にお歳を尋ねるとは何事だ!」

グレン「えぇー……」


——————現在


———シンジとアスカの家



シンジ「カヲルくんが、そんなことを……!?」

ゼロ「そうだ。初号機と今地球にあるロンギヌスの槍でフォースインパクトってのを起こせば、地球は元に戻せるそうだ」

アスカ「……」

ゼロ「元に戻る……って言ってもどんな風に戻るのかは分からねえ」

ゼロ「環境だけ元に戻るのか……お前らの家族も帰ってくるのか……」

シンジ「……」

シンジ(サードインパクト……また、アレを体験することになるのか)

ゼロ「だが俺は、カヲルを信じて地球再生に挑戦してみるつもりだ」

ゼロ「そのためでもあるが、初号機は王宮で調査させてもらう」

シンジ「え!?」

ゼロ「すでにグレンたちが回収しているはずだ。いつまでもあそこに放置しておくわけにはいかねえからな」

アスカ「で、でも」

ゼロ「心配すんな、壊しゃしねえよ」

シンジ「……」

ゼロ「そしてはっきり言っておく。お前らにはここでアレに乗らせるわけにはいかない」

シンジ「!」

ゼロ「シンジ、お前が今朝まで何を考えていたのか、俺には分かる」

シンジ「……」

ゼロ「だがいつアレの詳しい話も分からない以上、エヴァンゲリオンをお前らに任せるわけにはいかない」

シンジ「……わかっています。もともとそのつもりでした」

ゼロ「そうか……」

シンジ「……」

アスカ「……」

シンジ(重い沈黙。確かに僕は、もし許されるなら初号機に乗ってこの星を守りたい、なんてことを心のどこかで考えていた)

シンジ(今度こそ故郷となるこの星で、この星のために戦うことを望んでいた)

シンジ(そんな甘い話なんて無い、許されるはずが無いって、分かっていたはずなのに)

ゼロ「シンジ、お前が今朝まで何を考えていたのか、俺には分かる」

シンジ「……」

ゼロ「だがアレの詳細も分からないまま、エヴァンゲリオンをお前らに任せるわけにはいかない」

シンジ「……わかっています。もともとそのつもりでした」

ゼロ「そうか……」

シンジ「……」

アスカ「……」

シンジ(重い沈黙。確かに僕は、もし許されるなら初号機に乗ってこの星を守りたい、なんてことを心のどこかで考えていた)

シンジ(今度こそ故郷となるこの星で、この星のために戦うことを望んでいた)

シンジ(そんな甘い話なんて無い、許されるはずが無いって、分かっていたはずなのに)


——————1時間前


———王宮



ゼロ(人間体)「じゃあ、行ってくる」

ミラー「本当にいいんですね」

ゼロ「ああ……これでもう、俺たちゃあいつらに顔を見せられなくなるかもな……」

グレン「ゼロ……」

ゼロ「勝手に故郷から連れ出しておいて今度は帰れるかもしれない、だってよ。ある意味残酷な拉致宇宙人だな俺。最低だ、へへ」

ナイン「……」

ボット「ゼロ、お前は本当はどう思ってるんだ」

ゼロ「……初号機なんて、見つからない方が良かった」

ゼロ「あいつらにはここで平和に暮らして欲しかった……!」ザッ

ボット「……」

グレン「ちきしょー……せっかくここで楽しく生きてたのに……」

ミラー「まるで、見えない何かに導かれているようですね」

ナイン「見えない何か……それが」



ゼロ(これも、運命だっていうのかよ……カヲル……!)


———町



ゼロ「……」ザッザッザッ


   「おーい、持ち上げてくれー!」    「こりゃひどいな……」

             「もうちょっと掘ってみよう」             


ゼロ(……ここにいれば、あいつらにもう辛い思いはさせられずに済むと思ったのに)

ゼロ(運命ってやつは……クソくらえだ!)


「うわあああああああ!!」


ゼロ「!」


「母さん!母さーん!!うわああああああああ!!」


ゼロ「……!」





ゼロ「くそっ!」ガンッ

ゼロ(あれは初号機なんかじゃねえ!槍だってまったく別もんだ!)

ゼロ(頼む、シンジ!アスカ!そう言ってくれ!)

ゼロ(俺はもうお前らに、これ以上辛い思いをさせたくない!!)



ゼロ「……」

ゼロ「……」フゥ

ゼロ(やってやるよ)

ゼロ(あいつらに過酷な運命が待ってるってんなら、俺も一緒に背負ってやる!)

ゼロ(俺は……ウルトラマンだ!)









        トントン




ゼロ「ようシンジ!おはようさん!」

シンジ「ゼロさん……!」

ゼロ「今、いいか?」






——————現在


———シンジとアスカの家



ゼロ「じゃあ要点をまとめるぜ」

ゼロ「エヴァンゲリオン初号機は俺が地球に持っていき、地球再生のために使う」

ゼロ「もしもお前たちに地球に帰る意思があるなら、一緒に連れて行ってやる」

ゼロ「だが全て元に戻せるなんて保証はない、大きな危険が伴うかもしれない」

ゼロ「それでも地球に行きたいなら、俺たちが全力でサポートしてやる。信じてほしい」

ゼロ「ここに残って平和に暮らすか、俺たちと一緒に地球に戻って再生を試みるか」

ゼロ「……もう一度、お前たち自身で決めてくれ」

シンジ「……」

アスカ「……」

ゼロ「……返事はまた明日聞く、今日一日ゆっくり考えてくれ。王宮には来なくていい、俺から伝えとく」ガタッ

シンジ「あっ……」ガタッ

ゼロ「槍がいつまでも地球にあるという保証もないからな、初号機の調査が済み次第俺たちは行く」スタスタ

アスカ「……」

ゼロ「邪魔したな」ガチャ

シンジ「ゼ……ゼロさん」

ゼロ「……」




ゼロ「……すまん」



    バタン




 

つづく

まさかと思うけどウルトラ家族さらに増えるのではあるまいな?

ウルトラの家系図を見せて欲しい。父の前にキングだかいてウルトラ8兄弟が出てきてセブンがゼロ持ちだろ?ゼロの母親はアンヌになってるのか?

個人的にはゼロの息子or娘で1シリーズかタロウかゾフィーの息子が出てきて欲しい。

>>513
家系図っつっても血のつながりがあるのは
親子:父母とタロウ、セブンとゼロ
従兄弟:セブンとタロウ(ウルトラの母とセブンの母が姉妹だったはず)
だけだったはず。


ウルトラ兄弟:血よりも強い絆でつながれた義兄弟、六兄弟が有名だがレオやアストラもウルトラ兄弟として本編では扱われている

エースがウル父を「お父さん」と呼ぶ:エースはウル父の養子という設定

ゼロの母:不明。だがゼロが初登場した映画の冒頭で何万年も未来と明言されているため、アンヌが寿命で死んでからゼロが生まれた可能性も否定は出来ない…

キング:年齢的に、ウルトラの一族が超人化する以前から生きている。

再開

シンジ(地球に帰れるかもしれない)

シンジ(そんなこと、考えたこともなかった)

シンジ(地球が懐かしいと思いこそすれ、もう二度と戻らないものだと割り切っていたつもりだったから)

シンジ(でも、また地球で暮らせるかもしれない?)

シンジ(また、皆に会えるかもしれない……?)

シンジ「……」

アスカ「……」

シンジ(死を待つだけだった僕らに新しい世界を与えてくれたゼロさん)

シンジ(僕たちはゼロさんたちに全幅の信頼を置いている)

シンジ(そのゼロさんから、地球に帰れる可能性が明示された)

シンジ(ゼロさんが嘘を言う訳がない、だからさっきの話も本当なんだろう)

シンジ(でも今更地球に帰れるなんて、突然言われてもどうしたらいいかわからない)

シンジ(でも、僕は……)

シンジ「……」

アスカ「……」

シンジ(アスカはイスに座ったまま動かない)

シンジ「ゼロさん、帰ったよ」

アスカ「……そう」

シンジ「……」

アスカ「……」

シンジ(アスカはどう思ってるんだろう)

シンジ(……うん)

シンジ(僕はやっぱり、アスカのしたいようにしてあげたい)





シンジ「ねえ、アス」

アスカ「ダメ」

シンジ「え?」

アスカ「聞かないで」

シンジ「な、なに? どうしたの?」

アスカ「過程はどうあれ、地球を滅ぼしたのはあんたよ」

シンジ「!?」

アスカ「だからこの問題はあんた自身で答えを出しなさい」ガタ

シンジ「な、何言い出すんだよ! 僕だけで決められるわけないだろ! アスカも一緒に考えてよ!」

アスカ「ダメ。今日一日別々に考えましょ。誰に相談してもいいけど、お互いだけは無しね」スタスタ

シンジ「そ、そんな」




シンジ(ここで暮らすようになって、僕たちはいつも一緒だった)

シンジ(買物にしてもお出かけ先にしても、夕飯だって二人で相談して決めていた)

シンジ(たまにケンカすることだってあったけど、最後はいつも仲直りしてた。なのに)

シンジ(こんなに冷たく突き放されたのは、初めてだった)







アスカ「じゃあね、シンジ。夕飯はここで一緒に食べましょ」ガチャ



シンジ「あ……」

シンジ(待ってよ、アスカ)

シンジ「た——」

シンジ(助けてよ、アスカ)

アスカ「……」




       バタン

 

 





シンジ(一人になった)

シンジ(この感覚は、ずいぶん久しぶりな気がする)

シンジ(ああ、寂しいんだ。僕は)





シンジ「……」




シンジ「……」




シンジ「……」




シンジ「……」



        ガチャ





            パタン



  




女将「どうしたのシンちゃん?今日はゆっくり休んでくれていいんだよ?」

女将「もう材料も使い切っちゃったからね、炊き出しもできないよ」

女将「なあに、エスメラルダの技術なら店なんてすぐ立て直せるさ! 保険も入ってるし、ね!あんた!」

旦那「……」コクッ

女将「え、アスカちゃん? いや、来てないねぇ」

旦那「……」フルフル

女将「……どうしたんだいシンちゃん、思いつめた顔して」

女将「困ったことがあるなら何でもいいなよ!」


  




先生「やあシンジくん、昨日はスープご馳走様」

先生「学校は公共施設だからね、修繕は後回しなんだそうだ」

先生「まずは民の家や民間施設を優先して再興させる。慈愛溢れる姫様らしい方策だねぇ」

先生「無論、教室が無くても土と枝があれば授業はできる。昨日教えたとおり、意志が大事なのだよ」

先生「アスカくん? いや、今日は見ていないな」

先生「……まあ、何かあったのだろうが深くは聞くまい」

先生「昨日の今日だ、あまり煮詰めるなよシンジくん。ほっほっほ」


 




クラスメイト♂「よおシンジ!無事だったか、よかった!」

クラスメイト♀「あたしたち昨日は都市の方にいて騒ぎを知らなかったのよ」

クラスメイト♂「学校はしばらく休みだってな、無理もねえよ」

クラスメイト♀「アスカは大丈夫だった?」

クラスメイト♂「今回の襲撃で滅んだ故郷を思い出した異星人もいたそうだ、ひどいやつは心療科に掛かってるらしいぜ」

クラスメイト♀「かわいそう……せっかく平和に暮らせていたのに……」

クラスメイト♂「アスカ? いや、今日は見ねえけど」

クラスメイト♀「一緒じゃなかったの?」

クラスメイト♂「ま、何よりお前らが無事でよかったよ!」

クラスメイト♀「また学校でね!」


 







『この問題はあんた自身で答えを出しなさい』






シンジ(アスカはそう言った)


シンジ(僕の中で、僕は今どう考えてる?)


シンジ(僕は……)




『自分で考え、自分で決めろ』

『全て一人で決めなさい』





シンジ「……」

つづく

再開


———王宮



グレン「どうだ?姫さん」

エメラナ「背中のソケットから電力を供給し、それをエネルギーとして稼働することが判明しました」

ボット「だがいくら電力を流し込んでも、再び動くような気配は見せない」

ミラー「暴走の恐れはない、ということですか?」

エメラナ「分かりません……少なくともこれは、ロボットのようなものではないと断定できます」

エメラナ「つまり、これは紛れもなく『生き物』です」

ナイン「電力で動く有機生命体……ということか」

グレン「あいつらは生き物に乗って戦ってたってのか? 訳わかんねえな」

ボット「それが動かないとなると、やはり『死んだ』と定義するべきなのでしょうか?」

エメラナ「それも分かりません……エスメラルダの技術では、これ以上はどうにも……」

ボット「ゼロの頼みは『これを動くようにしてほしい』、ということでありました」

ミラー「地球を再生させるに当たり、これが万全な状態であるべきと考えるのは自然なことです」

エメラナ「ですが、いくらエスメラルダの技術でも、死者を甦らせることはできません」

ボット「もう少し調査してみる必要がございます、姫様」

エメラナ「もちろんです、今技術局で背中上部のプラグのような部品を調査しています」

グレン「死者、ねえ……おい、聞いてんのかよ、ゼロ」

ゼロ(人間体)「……あぁ、聞いてるよ」

ナイン「ゼロ……」

ゼロ「……」

グレン「帰ってきてからずっとあの調子だな」

ミラー「姿もあのまま戻りませんね」

ボット「彼らはやはり今、一生懸命悩んでいるんだろう」

ナイン「我々は、待つしかない……な」

ゼロ「……」

エメラナ「……」

ゼロ「……」ハァー…

エメラナ「ゼロ、少し外の空気を吸って来たらいかがです?」

ゼロ「え、いや、俺は……」

エメラナ「エヴァンゲリオンの解析にはまだ時間がかかります、気分転換も必要ですよ」

ゼロ「……あぁ、そうするか」 トボトボ

グレン「おい、ゼロ」

エメラナ「行かせてあげてください、彼も辛いお気持ちなんでしょう」

ナイン「これも、心か……」




兵士「姫様、失礼致します」

エメラナ「どうしましたか?」


———草原



ゼロ(シンジ……アスカ……)

ゼロ(もっと『今更なんでそんなこと言うんですか!』って具合に怒ってくれたほうが楽だったのによ)

ゼロ(何も言わないお前たちに『許してくれ』、なんて言えねえよな。それこそ俺のエゴだ)

ゼロ(今頃二人とも悩んでんだろうな……すまねえ……)




         キラン


ゼロ(!)



セブン『ゼロ、聞こえるか』

ゼロ「通信用ウルトラサイン……! 親父か!?」

セブン『どうしたゼロ、なぜ地球に向かわない』

ゼロ「あ、いや、救援要請を急に受けてて……」

セブン『む、そうか。しかし槍の反応は依然地球に留まっているとはいえ、いつまでもそこにあるとは限らん』

ゼロ「……」

セブン『任務を受けた以上、早急に槍を回収しろ』

ゼロ「ああ、分かってるよ……」

ゼロ「!」



『いくらエスメラルダの技術でも、死者を甦らせることはできません』



ゼロ「親父! あのよ……」

セブン『なるほど……エヴァンゲリオンの修理を……』

ゼロ「エスメラルダじゃ限界なんだ、光の国の技術が必要なんだ! 頼むよ、親父から大隊長やゾフィー隊長に話しつけてくれねえか?」

セブン『……』

ゼロ「……」

セブン『……いいだろう。エヴァンゲリオンの件は、私から父とゾフィーに相談してみよう』

ゼロ「本当か!」

セブン『エヴァンゲリオンについては我々も調査したかったところだ、恐らく了解は得られるだろう』

ゼロ「すまねえ、親父!助かるぜ!」

セブン『……』

ゼロ「?」

セブン『本当に地球の再生を試みるんだな?』

ゼロ「……ああ、そのつもりだ」

セブン『ならば、彼らにはそのことは話したのか?』

ゼロ「!」

セブン『どうなんだ』

ゼロ「……話した。どうするかはあいつら自身に任せてある」

セブン『そうか……』

ゼロ「……」

セブン『後悔していないか?』

ゼロ「!!」

セブン『お前の通告は彼らを再び迷わせる結果となった。お前は後悔しているか?』

ゼロ「……後悔……?」

セブン『……』

ゼロ「……後悔なんて、しねえ」

セブン『!』

ゼロ「あいつらに辛い思いをさせちまってるのは俺も辛い、だけど俺はこれが正しいことだったと信じてる!」

ゼロ「だからあいつらも自分にとって納得できる正しい答えを出してくれると俺は信じる!」

ゼロ「だから心配すんな! 俺もあいつらも大丈夫だぜ、親父!!」

セブン『……』

セブン『……ゼロ』

ゼロ「!」

セブン『レオだけではない。私も、父も、ゾフィーも、皆お前の正しいと思った道にもう間違いはないと信じている』

ゼロ「親父……」

セブン『槍の反応は引き続きこちらで監視する。エヴァンゲリオンの件も追って連絡しよう』

ゼロ「ああ、頼んだぜ!」

セブン『ではな、ゼロ』  プツッ

ゼロ「……」

ゼロ(俺もお前らを信じてるぜ、シンジ、アスカ)








???「……」





 

つづく

ギンガ良いじゃん!ACTが出たら動かしてカッコイイポーズ決めたくなるウルトラマンじゃん

にしても>>1は大丈夫かな?明日明後日くらいに更新あれば嬉しいんだが…

>>598
心配してくださってありがとうございます
リアルが忙しいため以前に比べて更新が減ってしまって申し訳ないです
ですが更新がないにも拘らず皆さんのウルトラ・エヴァ談義によってスレを盛り上げて頂いて大変感謝しています
必ず完結させますのでこれからもどうぞよろしくお願いします
私もウルトラマンギンガにもシン・エヴァンゲリオンにも大いに期待しています!




再開


——————夜



———シンジとアスカの家



シンジ(明かりがついてる。アスカ先に帰ってたんだ)


      ガチャッ


シンジ(あ、この匂いは)

シンジ「ただいま、アスカ」

アスカ「お帰りシンジ! 今日の晩御飯はアスカちゃん特製元気いっぱいスーパーウルトラスープよ!」

シンジ「はは、昨日と名前変わってるじゃない」

アスカ「いいの! ほら、座って?」

シンジ「うん、ありがとう」ガタッ



シンジ・アスカ「「いただきます」」



   ズズ…


アスカ「どう?」

シンジ「うん、美味しいよ。昨日よりももっと良くなってる」

アスカ「ふふん、このエリートの私が作ったんだもん、常に向上していくのはとーぜんよ!」



シンジ(これならお店で出せるね)

シンジ(僕のシンジスペシャルよりも話題になりそうだね)

シンジ(なんて、言いたい)



シンジ「はは、そうだね」ズズ

アスカ「お代わりもあるわよ!」

シンジ「うん、もらうよ」



シンジ(でも)

シンジ「ごちそうさま」

アスカ「お粗末様」

シンジ「お茶、淹れるね」

アスカ「ありがと」


     コポポ…


シンジ「はい」

アスカ「ん」


     ズズ…


シンジ「……」

アスカ「決まった?」

シンジ「……うん」



アスカ「聞かせて、あんたの答え」


    コト


シンジ「アスカ、僕は」

アスカ「うん」










 


——————数時間前



———草原



シンジ(……)

シンジ(……)

シンジ「!」



ゼロ「……」


 



シンジ(あれは、ゼロさん?)

シンジ(やっぱりゼロさんに相談を……)

シンジ「ゼ……」



ゼロ「ああ、そのつもりだ」

シンジ(! 誰かと喋ってる?)



ゼロ「話した。どうするかはあいつら自身に任せてある」


シンジ(誰と喋ってるんだろう? 携帯電話かな?)

シンジ(話してるのは……僕たちのことだろうか)


ゼロ「……後悔……?」


シンジ「!!」




シンジ(そうだ、ゼロさんも僕たちに地球に帰れる可能性があることを明かした時、辛そうにしていた)

シンジ(地球に帰れる可能性を明かす。それはゼロさん自身が与えてくれた今という日常を、ゼロさん自身が壊してしまうことになる)

シンジ(……やっぱりゼロさんも、僕たちに話したことを後悔して———)



ゼロ「後悔なんて、しねえ」



シンジ「!」





ゼロ「あいつらに辛い思いをさせちまってるのは俺も辛い、だけど俺はこれが正しいことだったと信じてる!」

ゼロ「だからあいつらも自分にとって納得できる正しい答えを出してくれると俺は信じる!」

ゼロ「だから心配すんな! 俺もあいつらも大丈夫だぜ、親父!!」





シンジ「……」

シンジ(ああ、そうだ)

シンジ(どんなときでも、自分が正しいと信じた道をまっすぐ進む)

シンジ(それが、僕が憧れたゼロさんの)

シンジ(『英雄(ヒーロー)』の姿なんだ)





シンジ(決めた)

シンジ(僕は)


——————現在


———シンジとアスカの家






シンジ「地球に、戻りたい」

シンジ「戻って、地球を元に戻す」

シンジ「それが僕の、使命だと思うから」



アスカ「……」


シンジ(心のどこかで、ずっと考えていたのかもしれない)


シンジ(昨日洞窟で考えたこと、宇宙の旅の最中でふと悔やんだことを取り返せるチャンスが巡ってきたんだ)


シンジ(女将さんや先生が言っていたように僕らにも地球という故郷がある)


シンジ(半ば諦めていた故郷を取り戻せるというのなら———)


シンジ(僕は、地球に戻りたい)


シンジ(もう一度、皆に会いたい)


シンジ(もう一度、皆と一緒に生きていきたい)


シンジ(でも、確実じゃない)


シンジ(危険は伴うし、失敗するかもしれない)


シンジ(地球を取り戻せても、皆には会えないかもしれない)


シンジ(そしてなにより、今エスメラルダで暮らす日々を手放すことになる)


シンジ(それは、辛い)


シンジ(生活の基盤を与えてくださったエメラナ姫や、僕たちにいろいろ教えてくれた食堂のみんなや学校のみんな)


シンジ(皆と別れ、エスメラルダで手に入れた今を、全て捨て去ることになるんだ)


シンジ(それでも)


シンジ(それでも僕は、地球を取り戻したいと思ってる)


シンジ(初号機がここへ来たとき、僕にはまるで母さんが僕たちを迎えに来たように見えたんだ)


シンジ(道があるなら、可能性があるなら、僕はもう一度地球へ戻ってできることをやりたい)


シンジ(それが、地球を壊した僕にしかできないこと。地球に対しての責任の取り方だと、ゼロさんの話を聞いた時に思った)


シンジ(だけどそれ以上に、僕はアスカが望むようにしてやりたかった)


シンジ(例え地球が元通りにできたとしても、そばにアスカがいないんじゃ意味がない)


シンジ(アスカと一緒にいられない人生なんて、今では死んだ方がマシに思える程だ)


シンジ(だからアスカと一緒に考えたかった)


シンジ(でもアスカは僕を突き放した)


シンジ(最初はどうして?って思ったけど、しばらく考えて、ふと思った)


シンジ(アスカは僕に決めてもらいたいんじゃないか?)





シンジ「アスカは、どうしたい?」




シンジ(自意識過剰かも知れないけど)


シンジ(地球を壊した僕だけが、地球を元に戻す決断を下せるんじゃないか)


シンジ(この選択は僕自身が決めるべきだってことを、アスカは考えていたんだ)


シンジ(そして、アスカは)




アスカ「……ハァ」

シンジ「……」

アスカ「あんたバカァ?」

アスカ「私はあんたと一緒に居られればそれでいいの」

アスカ「地球でもエスメラルダでもブラックホールでも、どこへでも一緒に行くわよ」

シンジ「……ありがとう、アスカ」

アスカ「……えへへ」ポロポロ

シンジ「! アスカ、どうしたの!? やっぱり……」

アスカ「違うの、嬉しいのよ」グスッ

シンジ「え?」

アスカ「あんたがそうやって、自分自身で道を選べるようになって、ね?」

シンジ「アスカ……」




アスカ「帰りましょ、地球へ」

シンジ「……うん、帰ろう」













シンジ「そういえば、アスカは今日ずっとどこにいたの?」

アスカ「内緒」

シンジ「えぇー……」

アスカ「……」クスッ


——————数時間前


———王宮



兵士「姫様、失礼致します」

エメラナ「どうしましたか?」



兵士「姫様にご面会賜りたいと、地球の方がいらしております」

ミラー「地球の? 彼らでしょうか」

グレン「なんだ? あいつら結局来やがったのか」

兵士「いえ、惣流・アスカ・ラングレー氏だけでございます」

ボット「アスカが……?」

エメラナ「わかりました、お会いしましょう」

ミラー「姫様、では私たちも……」

エメラナ「それには及びません」

一同「?」

エメラナ「女同士のほうがいいでしょう、初号機の調査は引き続きよろしくお願いします」スタスタ

ボット「かしこまりました、行ってらっしゃいませ」

グレン「アスカの事、よろしく頼むな〜」

ナイン「なぜ女同士の方がいいのだ?」

ミラー「それはまた、『女心』という難しい心なのですよ」

ナイン「はあ……?」


———王宮・玄関



エメラナ「こんにちは、アスカさん! ご無事で安心しました」

アスカ「エメラナ姫もご無事で!」ギュッ

エメラナ「ええ」ギュッ

アスカ「ごめんなさい、昨日の今日で忙しい中訪ねてしまって……」

エメラナ「いえ、いいんですよ。アスカさんも私に大事な用があるんでしょう?」

アスカ「あはは……実はその……」モジモジ

エメラナ「?」

アスカ「かくまってください……なんて……」チラッ

エメラナ「……」キョトン

アスカ「……」

エメラナ「ええ、構いませんよ?」ニコッ


———王宮・中庭



エメラナ「どうぞ」

アスカ「ありがとうございます……」ズズ

エメラナ「……」

アスカ「……もう、全部ご存じなんですよね?」

エメラナ「……エヴァンゲリオンはこちらでお預かりしています」

アスカ「ごめんなさい、私たちがまた迷惑を……」

エメラナ「そんな、アレのおかげで町は救われたようなものですよ」

アスカ「……」

エメラナ「……ゼロから、聞かされましたか?」

アスカ「……はい」

エメラナ「そうですか……」

エメラナ「これからお二人は、また今後の道を選ばなければならないんですね」

アスカ「はい……」

エメラナ「アスカさんは、どうなさるおつもりなんですか?」

アスカ「……」

エメラナ「……」ニコニコ

アスカ「……もー! 意地悪言わないで下さいよ! 私がどうしたいかなんて知ってるんでしょ!」

エメラナ「ごめんなさい、ちょっと聞いてみたくて」クスクス

アスカ「そう……だから決めるのはあのバカに託しました」

エメラナ「シンジさんに……」

アスカ「あいつは、ここで暮らしてても地球のことを心のどこかで忘れられないようでした」

アスカ「過程はどうあれ、あいつはずっと地球に対して責任を感じてるようだったんです」

エメラナ「シンジさんは……優しい方ですからね」

アスカ「それにねあいつ、どうせ私に気を遣うんですよ!」

アスカ「今日だってすぐ私の顔色伺って、アスカはどうしたいのー、なんて聞いてくるだろうから、今日一日見つからないように逃げてきちゃいました」テヘ

エメラナ「あは、そうだったんですか? ケンカしちゃったのかと思いましたよ」

アスカ「あはは……すみません、心配かけちゃって」

アスカ「……でも、これだけはあいつ自身の意思で決めなきゃいけない気がするんです」

アスカ「いつも目の前の壁から逃げてきたあいつは、自分からけじめをつけに行かなきゃいけないと思うんです」

エメラナ「なるほど。アスカさんは、シンジさんが地球に帰ることを選ぶと思ってますね?」

アスカ「……はい」

エメラナ「寂しくなりますね」

アスカ「ええ……や、でもまだ決まったわけじゃないですけど」

エメラナ「アスカさんがそう言うんでしたら、きっとシンジさんもそう決断なさるでしょう」

アスカ「……そう、ですかね……」

エメラナ「アスカさん、大人になりましたね」

アスカ「そ、そうですか? そんなこと」

エメラナ「いえ、初めてここに来た時より、ずっと大人ですよ」

アスカ「……///」

エメラナ「地球でのご健闘をお祈りしています。明日王宮でお待ちしていますね」

アスカ「はい」

エメラナ「エヴァンゲリオンのこともお任せください、今解析を進めています」

アスカ「え、それなら私たちも……」

エメラナ「それはまた今度お伺いします。今日は私たちに任せてお二人でゆっくり話し合ってください」

アスカ「ありがとうございます、いろいろと……」

エメラナ「きっと、あなた方の地球での日常を取り戻せますように……」

アスカ「……」

エメラナ「まだ何か不安なことがあるんですか?」

アスカ「……いやぁ……その……」

エメラナ「うふふ、当ててあげましょうか?」

アスカ「え!?」

エメラナ「それは……」


——————現在



———シンジとアスカの家



アスカ「一つだけ、条件」

シンジ「な、何?」

アスカ「地球を元に戻しても……」

シンジ「ん?」

アスカ「……レイと浮気なんかするんじゃないわよ! バカシンジ!」

シンジ「し、しないよ! 何言うんだよこんなときに」

アスカ「念の為よ念の為! あんたすぐ誰にでも鼻の下伸ばすんだから」

シンジ「なんだよ、最近アスカ随分大人っぽくなったなって思ってたのに、そういうところはまだ子供っぽいなあ」

アスカ「な、なぁんですってぇ〜!!?」

シンジ「……」

アスカ「……ぷっ」

シンジ「ふふ」


シンジ「あはははははは!」
アスカ「あはははははは!」


アスカ「……お風呂入って、寝よっか」

シンジ「うん」

つづく

このSSの初号機描いてみました。

http://m.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=35099404&PHPSESSID=5fb179cd0b89d7a2e2b41924d76e779c&guid=ON

>>636
すばらしいイラストをありがとうございます
夢が一つ叶いました



再開


——————翌日


———王宮



シンジ「おはようございます」

アスカ「おはよ、皆」

グレン「おいーっす!」

ミラー「おはようございます」

ボット「おはよう」

ナイン「おはよう」

エメラナ「おはようございます。シンジさん、アスカさん」

ゼロ(人間体)「……」

グレン「おいゼロ」

ゼロ「分かってるよ」




シンジ「ゼロさん、僕たちは決めました」

ゼロ「……!」



エメラナ「……」チラ

アスカ「!」ニコッ

エメラナ「!」ニコッ





ゼロ「……聞かせてくれ」

シンジ「はい」






シンジ(僕の、僕たちの正しいと思った道を信じる)スゥ





シンジ「僕たちは、地球に帰ります」

シンジ「地球を、故郷を、取り戻すために」




ゼロ「……」


 

ゼロ「……本気なんだな」

シンジ「はい」

アスカ「もちろんよ」

ゼロ「本当に元に戻せるかわかんねえんだぞ」

シンジ「わかってます」

ゼロ「……今エスメラルダでだって十分」

ミラー「ゼロ! 彼ら自身の決断ですよ!」

ゼロ「俺は覚悟を聞いてるんだ!」

シンジ「ゼロさん」

ゼロ「!」

シンジ「僕たちも、これが正しいことだと信じて決めた事なんです」

アスカ「そうよ、これっぽっちも迷いはないわ」

ゼロ「お前ら……」

グレン「おいおいゼロちゃんよ、あんまり野暮なこと言うなよ?」

ボット「彼らの決断を見届ける」

ナイン「それが我々のけじめだ」

ミラー「あの日この子たちと出会ったときから、ずっとそうしてきたでしょう?」

ゼロ「……そうだったな、悪かったお前ら」

シンジ「いえ、そんな。分かってもらえてよかったです」

シンジ「だからその……よろしくお願いします」

アスカ「最後まで迷惑かけるわね」

ゼロ「何言ってんだ、俺らの言い出したことだぞ?」

ミラー「最後まで、責任もってお供しますよ」

グレン「当然だ!」ビシッ

ボット「うむ!」

ナイン「」コクリ

アスカ「みんな……」

シンジ「……ありがとう、ございます!」ガバッ

ゼロ「急ですまねえが出発は明日だ」

アスカ「あ、明日!?」

グレン「そんな急ぐ話か? こいつらにも準備ってものがあるだろ」

ミラー「ロンギヌスの槍とやらがいつまでも地球に留まっているとは限りません」

ゼロ「そう、槍が地球周辺にあるうちに行かねえと手遅れになっちまうかもな」

シンジ「そ、そうですよね」

アスカ「じゃあ、今日の内に……」

シンジ「うん……」

ゼロ「ああ、今日は町でゆっくり過ごして来い」

アスカ「部屋の片づけもしないとね」

シンジ「そうだね」

ゼロ「明日の昼過ぎに迎えに行くからな」

シンジ「はい……」

エメラナ「王宮でお待ちしています」

アスカ「はい、わかりました」

シンジ「よろしくお願いします。じゃ、行こう、アスカ」ギュッ

アスカ「うん」ギュッ



      バタン


ミラー「……エヴァンゲリオンのことは……」

ゼロ「明日でいいよ、いきなりいろいろ話し過ぎてもあいつらの負担になる」

エメラナ「あの子たちしか知らないこともあるかもしれませんが、結局ここではこれ以上何もできないでしょう」

ゼロ「この町の人々とも別れなきゃいけないんだ、今日くらいはゆっくりさせてやりたい」

ミラー「そうですね、出過ぎました」

グレン「おいゼロ、そういえばお前の親父さんとこがアレを直してくれるんじゃなかったっけ?」

ゼロ「ああ、まだ返事待ちなんだがたぶん大丈夫だ」

ボット「光の国の技術なら、あるいは……」

ゼロ(頼むぜ、親父……)


———ゼロ食堂



女将「そうかい……地球に帰ることにしたのかい」

旦那「……」

シンジ「こんなときに突然ごめんなさい、女将さん、旦那さん」

アスカ「私たち、行かなきゃならないの」

女将「いいんだよ、故郷は大事だって話したのはあたしらなんだからね」

旦那「……」コクリ

女将「今までご苦労様、ありがとうね」

アスカ「……女将さんん〜」ウルウル

女将「こらこら、泣かないの!」ギュッ

シンジ「本当に、お世話になりました」グスッ

旦那「……シンジ」

シンジ「はい?」

旦那「行く前に教えてくれ」

シンジ「え、何を?」

旦那「シンジスペシャル」

シンジ「……!」

女将「そうだ! あたしもアスカちゃんスープ作れるようになっとかないとね!」

旦那「客もアレが食べられなくなるとガッカリするだろうからな」

シンジ「……はい!」

アスカ「わかったわ! 女将さんに私の極意を教えたげる!」

おっさん「えぇー! アスカちゃん辞めちゃうの!?」

アスカ「みんな今までありがとうね」

おっさん「そ、そんなぁ……」

シンジ「皆さん、今まで本当に」

おっさん「オラ!シンジィ!」グイッ

シンジ「ぐえっ」

おっさん「ついに俺たちのアスカちゃんを独り占めする気か〜!」

おっさん「ふざけんなこの〜!」グイグイ

シンジ「あぐ、ちょ、やめて……」

女将「こら、離してやんな! もともとアスカちゃんはシンちゃんのものだよ!」

アスカ「ちょ、ちょっと女将さん!//////」

おっさん「ちっ、ほいよ」パッ

シンジ「でっ」ドテッ

ベテランおっさん「故郷に帰るんだってな」

シンジ「はい、お世話になりました」

ベテランおっさん「そうか……寂しくなるが気を付けてな」

新人おっさん「アスカちゃんをしっかり守んなよ!」

シンジ「はい、もちろんです」

アスカ「もう、バカ……/////」

女将「二人とも、学校にも行かなきゃ行けないんでしょ?」

旦那「昼飯食っていけ、ご馳走してやる」

シンジ「え、でも材料が……」

女将「今朝王宮から配給があったのさ、あんたたちにご馳走するには十分だよ!」

おっさん「女将さん! 俺らの分は……」

女将「あるわけないだろ!」

おっさん「とほほ……」

旦那(おい)コソッ

おっさん「ん?」

旦那(明日の朝、お前らのぶんの配給持ってこい)

シンジ「ご馳走様でした!」

アスカ「やっぱり旦那さんと女将さんの料理は美味しいな……」

女将「もう大分長くやってるからね、まだまだ現役だよ」

おっさん「……」

女将「ほら、学校行きな! 先生や友達にも挨拶しといで!」

シンジ「うん、女将さん」

アスカ「また明日会いに来るわ」

女将「当然だよ、待ってるからね」

アスカ「うん、じゃあね」

シンジ「失礼します」


      ガラッ   

 



女将「……」

旦那「……」ポン

女将「あんた……」



おっさん「でも女将さんと旦那さんもかわいそうだな」ヒソヒソ

おっさん「旅に出たっきり帰ってこねえ息子さんの代わりに食堂継いでもらうつもりだったんだろ?」ボソボソ

おっさん「息子が嫁連れて帰ってきたみたいって嬉しそうにしてたのによ……」コソコソ

女将「こら、聞こえてるよ」

おっさん「うへ、女将さん」

女将「あの子らにも帰るべき場所があるんだ、それを邪魔なんてできる資格があたしらにあるかい」

旦那「……」

女将「それにあの子らは地球人、どうしたってあの子らが先に老いて死んじまうよ」

おっさん「ええ、そうなんかい!?」

ベテランおっさん「継いでもらうなんて冗談で言ってたんだろ?」

女将「当たり前じゃないか、今更息子なんて……」グスッ

おっさん「女将さん……」

女将「……さて、明日はパーッとやろうかね! あの子らへの餞別も用意しないと!」

旦那「前々から準備していた、アレだな」

おっさん「じゃあ、俺らはアレか」ヒソヒソ

おっさん「配給持って来いってうめえもん作ってくれんのか? やったぜ!」

おっさん「町の連中にも声かけなきゃな!」

女将「よし、決まりだね! 皆であの子らを笑って送り出そうかい!」




「「「おおーーーー!!!」」」



 


———学校・跡



先生「そうか、寂しくなるなぁ」

クラスメイト♂「まあ、帰れる故郷があるなら帰った方がいいよな」

クラスメイト♀「元気でね、二人とも」

シンジ「今までありがとうございました」

アスカ「みんなも元気でね」

クラスメイト♂「明日いつ行くんだよ?」

シンジ「昼ごろ迎えに来てくれるって」

クラスメイト♀「じゃあ見送りに行くわ!」

アスカ「ホント!?」

クラスメイト♂「いいだろ!?先生!」

「行こう行こう!」「お願い先生!」「特別授業ってことで!」

        ワイワイ

先生「ふむ、そうだな、そうしよう」

クラスメイト♀「やった! 二人とも、絶対行くからね!」

クラスメイト♂「黙って行くとかドラマみたいなことするなよ!」

アスカ「しないわよ!」

シンジ「みんな……ありがとう!」

先生「そうと決まれば今日はいろいろ仕度せねばならんだろう、もう帰りなさい」

クラスメイト♂「じゃあ、みんなで引っ越しの手伝いを……」

クラスメイト♀「馬鹿、空気読みなさいよ!」グイッ

シンジ「あはは、引っ越しじゃないんだから持っていくものなんてないよ」

アスカ「そうね、借家だし家具も元々あったものだから……あ、でも服は」

クラスメイト♀「ほらほら、いろいろ仕度があるなら先生の厚意に甘えて帰りなさい」

クラスメイト♂「明日絶対行くからな!」

先生「ほっほっほ」

シンジ「うん、ありがとう! では先生、失礼します」

アスカ「じゃあ明日ね皆! さよなら、先生!」

      タタタタ……



クラスメイト♂「……ほんと、急な話だな」

クラスメイト♀「せっかく友達になれたのに、寂しくなるわね」

先生「心配はいらんよ」

クラスメイトたち「!!」

先生「友の絆は宇宙を超える。ウルティメイトフォースゼロのようにな。ほっほっほ」

クラスメイト♀「……私、絶対シンジくんとアスカのこと忘れない!」

クラスメイト♂「俺だって!」


——————夜



———王宮



エメラナ「準備は整いました」

グレン「結局あれから動力以外にわかったことは……」

ミラー「この『生物』は『死んでいる』ってことですね」

エメラナ「申し訳ありません……エスメラルダではこれ以上は」

ゼロ「いや、こっちこそ無理言って悪かった」

エメラナ「ですが、解析結果をもとにできる限りの支援はさせていただきます」

ゼロ「すまねえなエメラナ、この埋め合わせは必ずするから」

エメラナ「何を言うのです、ゼロ」クスクス

ゼロ「え?」

エメラナ「私たちがこの星と宇宙を救ってくれた埋め合わせをさせてもらっているのですよ?」

ゼロ「え、でも、基地作るの手伝ってもらったし……」

エメラナ「それに私たちは友達です、なにも遠慮なさらないでください」

ゼロ「……」ジーン

グレン「あれあれ? ゼロちゃん泣いちゃうの?」

ゼロ「な、バカ、ンなわけねえだろ!」




『ゼロ』



ゼロ「!」

ボット「どうした、ゼロ」

ゼロ「親父だ!」ダッ

グレン「あ、おい!」

ミラー「彼はあまり人前でお父上と話したがりませんね」

エメラナ「照れていらっしゃるんでしょうか?」

グレン「ゼロちゃんかーわいい♪」


———草原



セブン『聞こえるか、ゼロ』

ゼロ「親父! どうだった!?」

セブン『うむ、その前に』

ゼロ「?」

セブン『あの子たちは決断したのか?』

ゼロ「ああ……」

セブン『どうするんだ?』

ゼロ「……俺たちとともに行く。一緒に地球を取り戻す!」

ゼロ「あいつらが自分でそう決めたから、俺たちはあいつらに全力で力を貸すぜ!」グッ

セブン『……そうか……』

ゼロ「……なんだよ、俺にもあいつらにも迷いはねえぞ」

セブン『うむ、わかった』

ゼロ「……で、修理の件はどうなったんだよ」

セブン『とりあえず了解はもらえた』

ゼロ「本当か親父!」

セブン『ヒカリ博士の所属する宇宙科学技術局が全面的に協力してくれるそうだ』

ゼロ「す、すげえ! それなら」

セブン『ただし、だ』

ゼロ「え」

セブン『一つ、条件がある———』


———シンジとアスカの家


      ボスッ  

シンジ「うん、こんなもんかな」

アスカ「ぶー!」

シンジ「もう、機嫌直してよアスカ」

アスカ「うー」

シンジ「服全部なんて持っていけるわけないだろ」

アスカ「あんたがおしゃれに無頓着すぎるのよ! これでも大分減らしたのよ!」プンプン

シンジ「こんなに服ばっかり買うからなかなか……」ブツブツ

アスカ「何よ! まだ文句あるの!?」

シンジ「何もないよ……」

アスカ「ホントにお別れするのね、こことも」

シンジ「……うん、そうだね」

アスカ「最初女将さんのとこ訪ねたときのこと、覚えてる?」

シンジ「覚えてるよ、いきなりアスカが『ここで働かせてください!』なんて言うもんだから女将さん驚いてたじゃない」

アスカ「ち、違うわよ! あんたが初めて食べたゼロ定食に感激したって言うからここしかないって思って……」

シンジ「そうそう、それでさ……」

アスカ「ああ、あったあった、でね……」



シンジ・アスカ「「あははははは!」」

シンジ「地球の時に負けないくらい、いろいろあったね」

アスカ「そうね」

シンジ「……やっぱり、寂しいや」

アスカ「じゃあここに残る?」

シンジ「意地悪言わないでよ」

アスカ「だったらいいのよ」

シンジ「でも、ここも紛れもなく僕たちの故郷になった」

アスカ「第2の故郷って感じ? なんか故郷が増えて得した気分ね」

シンジ「何だよそれ」

アスカ「ふふっ」

シンジ「……また、皆に会えるかな」

アスカ「……」

シンジ「……ごめん、割り切らなきゃダメだよね、やっぱり僕はこういうところが」

アスカ「会えるわよ」

シンジ「!」

アスカ「……きっと、ね」

シンジ「……うん。きっと」



シンジ(また、会える)

シンジ(信じていれば、きっと……)

つづく

ゴールデンウィーク中に区切りつけます。
今日ももう少ししたら再開します。
もう少しお付き合い下さい。

再開


——————翌日



シンジ「行こうか」

アスカ「ええ」




      ガチャ









    ワァァァァァァァ!!!




シンジ・アスカ「「!?」」   




「シンジー!アスカちゃーん!」「よっご両人!」
「元気でねー!」「美味い飯ありがとー!」「行くなバカー!」

  
         ワイワイ
               ドヤドヤ


アスカ「どうしたの、これ……?」

女将「おはよう!シンちゃん、アスカちゃん!」

シンジ「女将さん!」

アスカ「なんなの!? こんなにいっぱい人が」

女将「何言ってんだい! あんたたちを見送るために、町中の人が集まってくれたのさ!」

シンジ「ま、町中って」

旦那「食堂に行こう。皆が待ってる」

アスカ「旦那さん……!」


「おお!行こう行こう!」ワイワイ


———ゼロ食堂



「おう!来た来た!」「シンジくん!アスカちゃん!」
「待ってたぜ!」「こっちこっち!」


女将「ほら、入んな!」

アスカ「わ! すっごいお料理!」

シンジ「どうしたんですか、こんなに……!」

女将「細かいことは気にしないの! ほら座って」

旦那「宇宙で飢えないようにしっかり食っとけ、弁当もある」

シンジ「旦那さん……」

「おーい!」

シンジ・アスカ「!!」

ベテランおっさん「元気でなシンジ!アスカちゃん!」

新人おっさん「道中気をつけろよ!」

ベテランおっさん「お前はどんくさいからなシンジ!鉱山でも転んでばっかだったもんな!」

「はっはっは!」

シンジ「鉱山の皆さん……」



おっさん共「「「「「アスカちゃああああああん!!!!!!」」」」」



アスカ「みんなありがとー!!」

シンジ「あ、あはは……」

「シンジくん?」

シンジ「は、はい」

   ムギュッ

シンジ「うわっ」

町人♀1「シンジくん行ってしまうのね〜」ギュウウウウ

町人♀2「あなたの料理の味のファンだったのよあたし達〜」ナデナデ

町人♀3「お婿さんに欲しかったわ〜」

シンジ「あ、ありがとうございます……」

シンジ(む、胸が……苦しい……)クラクラ

アスカ「ちょっとなに鼻伸ばしてんのよエロシンジ!」 ゴン!

シンジ「あいた!」

町人♀123「あらあら、うふふ」

クラスメイト♂「全く、お前らは相変わらずだな」

クラスメイト♀「地球に帰ってもケンカばかりしちゃだめよ?」

先生「無事故郷に帰れるよう、我々も祈っているよ」

シンジ「先生、それに学校のみんなも!」

クラスメイト♂「これ、皆で書いた寄せ書き、読んでくれよ」

クラスメイト♀「これ見てせっかく習ったエスメラルダの文字を忘れないように、ね?」

シンジ「うん、文字もみんなのことも忘れないよ!」

クラスメイト「アスカさん、今からでも僕と……」

クラスメイト「バカ! 空気読め!」

クラスメイト「遠く離れても私たち友達だよ!」

クラスメイト「皆の事、忘れないでね!」

クラスメイト「ゲッゲッゲ」

アスカ「ありがとう……みんな……」グスッ

シンジ「でもみんな、町がまだ修復してないっていうのに、僕たちのために来てくれるなんて……」

女将「何水臭いこと言ってるんだい!」バシッ

シンジ「あてっ」

女将「町の全員が来てるわけじゃないけどね、皆あんたたちのことを我が子の様に思ってるんだ」

女将「愛する子の旅立ちを見送るのは当然のことさね!」

アスカ「皆の子……? 私たちが……?」

女将「この町は皆ね、あんたたちの家族なんだよ」ニコッ

ベテランおっさん「そういうことだ!」

先生「ほっほっほ」

アスカ「家族……」ポロポロ

おっさん「ア、アスカちゃん!」オロオロ

シンジ「ほら、ハンカチ」

アスカ「ありがと……」グス

おっさん「……」

女将「これがアスカちゃんの旦那たる所以だね、あんたたちとは違うよ」

おっさん「……ちくしょーシンジ! アスカちゃんをよろしくな!」

シンジ「はは、もちろんです」

おっさん「娘を嫁に送り出す心境だ……娘いねーけど」グスッ

アスカ「みんな、本当に……本当にありがとう!」ペコッ


     パチパチパチパチパチ……


  

ベテランおっさん(おい、そろそろ……)チラッ

女将「!」オッケー

女将「実はね、二人にみんなで用意してた贈り物があるのよ」

シンジ「え?」

旦那「ほら、シンジはこっちだ」ドンッ

おっさん「オラ、早く来い!」

シンジ「は、はい!」

女将「アスカちゃんはこっちよ」チョイチョイ

町人♀「さ、いらっしゃい」

アスカ「わぁ、なんだろ?」

女将「はいこれ、開けてみな!」

アスカ「うん!」パカッ


     フワッ


アスカ「こ……これって……ヴェール?」

女将「ホントはあんたたちが結婚するって言ったときに渡そうと思ってたんだけどねえ」

町人♀「ドレスじゃあサイズ合わなくなるかもしれないけど、ヴェールなら融通聞くからね」

町人♀「町の女衆でこしらえてたの、エスメラルダで最高のものよ!」

アスカ「でも……こんなキレイなの、私」

クラスメイト♀「きっと似合うわよ、アスカ」

アスカ「!」

女将「地球でシンちゃんと幸せにやんなさいね?」

アスカ「……うん! ありがとう!」

女将「それからね、シンちゃんからちゃんとプロポーズされるまで、これは大事にしまっておくんだよ?」

アスカ「そ、そうね」ゴソゴソ

女将「ほら、箱に入れて」パカッ

アスカ「うん……」パタン

女将「どうしたの、アスカちゃん?」

アスカ「女将さん」

女将「ん?」

アスカ「皆が家族ってことは、女将さんも私のママなのよね?」

女将「!」

女将「……もちろんだよ、アスカちゃん」

アスカ「ほんと!? 嬉しい!」

女将「……!」ウルッ

アスカ「私、地球で幸せになるわ!ママ!」ギュッ

女将「ア……アスカちゃぁ〜ん!!」ギュゥウウウ

町人♀「あらあら、女将さんったら絶対泣かないんだっておっしゃってたのに」

町人♀「仕方ないわよね、あの子たちの事あんなに大事に思ってたんだから……」グスッ

女将「元気で……元気でねぇ〜アスカちゃ〜ん!」ワンワン

アスカ「女将さぁ〜ん!」ボロボロ

町人♀「ほらほら、いつまでも泣いてないで戻りましょ?」

アスカ「う……うん……」グスン

女将「ほら、ちょうどシンちゃんも戻ってきたね」グスン

アスカ「シンジィ……」ゴシゴシ

シンジ「ア、ア、アスカ! ど、ど、どしたの、そんなに目を腫らして……」

アスカ「なんでもないわよ……あんたこそどうしてそんなに顔真っ赤なのよ」

シンジ「え! いやその、それはなんでも……ない……よ……」ドギマギ

アスカ「あんた何貰ったの!? 見せなさい!」

シンジ「だ、だ、ダメ! 見せられないって!」

アスカ「あーっ!? 私に隠し事する気!? シンジのくせに!」

シンジ「ア、アスカこそ何貰ったんだよ!?」

アスカ「え!? あ、わわ、私は……な、内緒よ!」プイッ

シンジ「ほらアスカだって見せられないじゃないか!」

アスカ「私はいいのよ! あんたは私に見せる義務があるのよ!!」

シンジ「なんでだよ! 見せられないったら見せられないの!」

アスカ「あー! わかった、何かエッチな本もらったのね! そんなものもらって喜ぶなんて不潔よ、サイテー!」

シンジ「そんなわけないだろ!? 何言ってんだよ!」

アスカ「エッチバカ変態しんじらんなーい!」

シンジ「違うってばー!」


         ギャーギャー
                ヤイヤイ


女将「まったくもう」ニヤニヤ

ベテランおっさん「仲良いねえ」ニヤニヤ





???「あー、すまねえ、ちょっと通してくれ」





シンジ「分かった、分かったよ! じゃあ地球に帰ったら見せ合おう!」

アスカ「えぇ!? そ、それは……まだ早いような……」ゴニョゴニョ

シンジ「ね、それでいいでしょ?」

アスカ「うぅ〜……分かったわよ……ただし!」

シンジ「ただし?」

アスカ「あんたが先に見せるのよ! それから私のも見せていいか決めるわ!」ビシッ

シンジ「なんでだよ〜」

アスカ「なんでもよ!」





???「おう、盛り上がってんな!」

シンジ・アスカ「「え?」」クルッ

ゼロ(人間体)「よっ! 迎えに来たぜ!」

シンジ「あ、おはようございます!」

アスカ「……そっか、いよいよか……」

ゼロ「心残りは……ねえか?」

シンジ「……大丈夫です。みんなが気持ちよく送り出してくれてます」

アスカ「これでまだ行きたくないなんてダダこねてたら、皆に失礼よ」

ゼロ「……そうか、それはよかった。それじゃあ」

女将「ちょいとちょいと、あんたは誰だい?」

ゼロ「ん?」

ベテランおっさん「王宮の人か? それにしちゃ見ねぇ顔だな」

ゼロ「俺か? へへっ」ザッ

シンジ「あっ」

アスカ「ちょっ」



ゼロ「俺の名はゼロ! ウルティメイトフォースゼロリーダーのウルトラマンゼロだ!」ジャキーン!



          「……」



ゼロ「……あ、あれ?」

シンジ(あちゃー……)



「ゼロ……?」「ゼロってあの?」「マジかよ……」
「いやまさか……」「でも噂では……」「英雄がここに……?」

        ザワ ザワ
                ドヨ ドヨ


ゼロ「……なんだこの空気」

シンジ「あ、あのですねゼロさん」



「きゃあああああああああああああーーーーー!!」



ゼロ「うおおっ!?」

アスカ「きゃっ!」

シンジ「な、なに!?」

女将「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ」ガクガク

アスカ「女将さん?」

ゼロ「な、なんだおばちゃん」

女将「あ、あんた本当にウルトラマンゼロなのかい!?」

ゼロ「お、おう」

女将「ひええええーーー!」

ゼロ「」ビクッ

女将「あ、あ、握手しておくれ!」

ゼロ「お、おう」ギュッ

女将「サインしておくれ!」

ゼロ「お、おう」サラサラ

女将「じゃあ、あと、へ、変身してみせておくれ!」

ゼロ「お、おう……それは後でな?」

クラスメイト♂「すっげー!!本物のウルトラマンゼロかよ!」

クラスメイト♀「素敵! けっこうかっこいい!」

クラスメイト♂「も、もう一度名乗ってくれよ!」

ゼロ「お、おう」コホン



ゼロ「俺はゼロ! ウルトラマンゼロだ!」ビシッ


「うわあああーー!!かっけーーー!!」

おっさん「ほええー! この兄ちゃんがこの星を救った英雄かい!」

町人♀「ほんと、いい男だわぁ〜」

ゼロ「ああ、どうも」


「おう、ちょっと俺にもツラ拝ませてくれよ!」「あの時は助かったぜ〜!ありがとな!」
「ほら、本物のウルトラマンよ〜」「あー!ぜろ!ぜろ!」
「私も握手してー!!」「サインくださーい!!」「変身してー!!」


ゼロ「え、あ、ちょっと……」


        ワイワイ    ガヤガヤ

 

アスカ「もう、ゼロってばこの星の英雄って自覚が足りないわよね」

先生「ほっほ、彼はこの星のみんなの憧れであるからな」

シンジ「あはは……」

シンジ(英雄……か)




ピコ「お兄ちゃーん!! お姉ちゃーん!!」タタタッ

アスカ「ピコちゃん!」

パナ「キャンキャン!」テテテッ

シンジ「パナちゃんも!」

ピコ「はぁ……よかった、まだ行ってなかった!」

アスカ「お別れ言いにきてくれたの? ありがとう」ナデナデ

ピコ「あのね、お兄ちゃんとお姉ちゃんにあげたいものがあって」

アスカ「私たちに?」

ピコ「うん! ちょっとしゃがんで?」

アスカ「こう?」スッ

ピコ「はい!」


      フワッ

 

アスカ「……! これ、花の首飾り?」

ピコ「うん! お母さんと一緒に作ったの!」

アスカ「……!」

ピコ「お兄ちゃんも、はい!」フワッ

シンジ「ありがとう、ピコちゃん」ナデナデ

ピコ「えへへへ♪」

シンジ「……そうだピコちゃん、お返しあげるね?」

ピコ「え?」

アスカ「?」



      チャラッ


シンジ「はいこれ、首飾りのお返し」

ピコ「わぁ!」

アスカ「シンジ! それ、ミサトの……」

シンジ「……いいんだ」

アスカ「え? でも……」

シンジ「また会えるなら、もう形見なんていらないよ」

アスカ「……そうね」

ピコ「ありがとう! 大事にするね!」ニコッ

パナ「ワンワン!」

シンジ「うん、僕たちもこの首飾り大事にするよ」ニコッ

ゼロ「ひー、おいシンジにアスカ、そろそろ」



ピコ「また、会えるよね?」



ゼロ「!」

女将「ピ、ピコちゃん……!」

おっさん共「……」

町人「……」

クラスメイト「……」

ピコ「?」



シンジ「……」ニコッ

シンジ「また会えるよ、きっと」

アスカ「いつになるかわからないけど、また会えるわ」

ピコ「ほんと!?」

シンジ「うん、約束」

アスカ「私も」

ピコ「約束だよ!」

ゼロ「お前ら……」

シンジ「……僕たちは嘘を吐くつもりはありませんよ」

アスカ「もちろんよ」

ゼロ「……そっか」ニッ

エメラナ「きっと、いつかまたここにいらしてください」

 
      「姫様!」      「姫様だ!」
          「いつの間に……」 


シンジ「エメラナ姫!」

アスカ「来て下さったんですね!」

エメラナ「ゼロと一緒に来てたのですが、戻りが遅いから……」

ゼロ「いや、その、まーな」テレテレ

エメラナ「エスメラルダはいつでも、あなた方を歓迎します」

シンジ「ありがとう……ございます!」

エメラナ「さて、では王宮へ……」

女将「あ、あの! 最後にいいですか!?」

エメラナ「どうなさいました女将さん?」

女将「最後に、みんなで写真を撮りたいんですけど……」モジモジ

シンジ「写真?」

アスカ「いいじゃない、撮りましょ!」

おっさん「おう! みんな集まれ!」

シンジ「ほら、ゼロさんも」

ゼロ「俺もか?」

アスカ「当たり前じゃない! ほら、エメラナ姫も!」

エメラナ「はい!」



  「もっと寄ってー!」       「入りきるか?」       「ほっほっほ」


       「こら!デカいのは後ろに回んな!」         「へいへい」


   「ポーズ決めりゃいいのか? こうか?」       「何ですかそのポーズ?」


 「ある地球人に教えてもらったんだよ、フィニッシュ!っだっけか」    「何よそれ、へんなの」

 
  「ウルトラマンゼロのポーズだ!真似しようぜ!」        「もう、男子はこれだから……」

                 「兵士長、シャッターをお願いできますか?」     「かしこまりました、姫様」 


    「ピコちゃん、パナちゃんと一緒に前に来てね」     「うん!」  「ワン!」




            「ほら、アスカ笑って」    「笑ってるわよ、バカシンジ」



                    「では撮りますよー!」




                        カシャッ!



 

つづく





次回、最終回

皆さん支援ありがとうございます



再開


———王宮



初号機「……」



シンジ「初号機……」

エメラナ「補修はしてあります、胸部の球体部分は修復できませんでしたが……」

アスカ「とんでもない、ここまでしてくださってたなんて……」

シンジ「僕たちも、そこまでエヴァの構造について詳しいわけじゃないんです、なぜ動かないかもちょっと……」

エメラナ「そうですか……でも、私たちでも解析できたところはありますよ」

アスカ「! 見てシンジ! アンビリカルケーブル繋ぐところに何かくっついてる!」

シンジ「エメラナ姫、あれは……?」

エメラナ「エヴァンゲリオンは電力をエネルギーとして稼働しますね?」

アスカ「え、ええ。その通りです」

エメラナ「あの装置はエメラル鉱石を積み込んだ小型バッテリーです」

エメラナ「ジャンボットやジャンナインに使用しているものの簡易版ですよ」

シンジ「バ、バッテリー!?」

エメラナ「エヴァンゲリオンの内部電源の最大値は調べましたので、このバッテリーなら連続起動で3時間は持つと思われます」

シンジ「3時間も!? す、すごい……!」

アスカ「NERVでもできなかったことをあっさりやっちゃうなんて……!」

エメラナ「これが私からの贈り物です、受け取ってくださいますか?」

シンジ「エメラナ姫……本当に、本当にありがとうございます!」

エメラナ「ええ、ですが……」

ボット「いくら電力を満タンにしても、一向にエヴァンゲリオンは起動する様子も見せない」

グレン「電源スイッチも見当たんねえしな?」

シンジ「エヴァの起動……ですか」

アスカ「起動にはいろんな機械使ってたし、そればっかりはリツコとかじゃないと……」

シンジ「そっか……そうだよね……」

エメラナ「脊髄部分のプラグがコクピットというのも分かりましたが、詳しいことはこれ以上は……」

シンジ「あの、エメラナ姫」

エメラナ「はい?」

シンジ「エントリープラグの中は……わかりませんか?」

エメラナ「あのコクピットはエントリープラグというのですか?」

シンジ「はい、電力もそうですけどあの中に僕らが乗り込んで、LCLという液体を満たさないと操縦できないんです」

アスカ「そういえばそうよね……どこにでもあるようなもんじゃないし」

エメラナ「LCL……液体が入っていた、という報告は受けていません」

シンジ「そうですか……」

ミラー「LCLとは、今地球人類が集まっているところのことではなかったのですか?」

シンジ「詳しいことは分からないんですけど、エヴァを動かすにはそれが不可欠ってことは確かです」

アスカ「それに、インターフェイスヘッドセットは私のでもいいのかしら?」

ボット「なんだそれは?」

アスカ「私の頭についてるコレよ、エヴァとシンクロするにはこれが必要なのよ」

エメラナ「シンクロ……ですか?」

アスカ「はーぁ、もう一度これに乗るには、問題が山積みね」




シンジ(でも、本来エヴァは生きているものだ)

シンジ(人間の制御から離れて暴走という形でも自発的に動いていたことは何度もあった)

シンジ(サードインパクトのときも……ここに来たのだって……)

シンジ(それが電力を入れても動かないってことは、やっぱり、母さんは、もう———)

ゼロ(人間体)「そこでだ、お前ら」ポンッ

シンジ「え?」

ゼロ「一度このエヴァンゲリオン初号機を俺の故郷、光の国に持っていく」

アスカ「え!? どういうこと!?」

ゼロ「もう一度解析し直すんだ、ちゃんと動かせるようにな」

ミラー「地球を再生するために、このエヴァンゲリオンが万全な状態であるべき、と考えるのは自然なことです」

ゼロ「そこで、ここより技術の進んでいる光の国でエヴァンゲリオンをさらに調査するって訳だ」

グレン「あれ、じゃあシンジもアスカも急ぐことねえんじゃねえか? エヴァが戻ってくるまでここで待ってりゃいいじゃん」

ゼロ「いや、それがそうもいかねえんだ」

アスカ「なんでよ?」

ゼロ「エヴァンゲリオンを修理する条件を光の国から提示された」

シンジ「条件?」

ゼロ「お前たちにも光の国に来てほしい、ということだ」

アスカ「お前たちって……私たち!?」

シンジ「僕らがゼロさんの故郷に!?」

グレン「なんでそんな話になってんだよ?」

ゼロ「まあ……親父たちにも何か考えがあるんだろう、付き合ってくれるか?」

シンジ「……もちろんです、エヴァを直してくれるなら」

アスカ「ひかりのくに……」ポヤポヤポヤ





ゼロそっくり「うふふふふ」キラキラキラ

ゼロそっくり「あはははは」キラキラキラ

ゼロ「ただいまみんな! 今日は僕のお友達を連れて来たよ!」

ゼロそっくり「やあ! いらっしゃい!」

ゼロそっくり「ここは素敵なひかりのくにだよ!」

ゼロそっくり「さあおいで、こっちで皆でラッパを吹こうよ!」

ゼロそっくり「キレイなお花やおいしいお菓子もたっくさんあるんだ!」

ゼロそっくり「君たちにも背中に羽根をつけてあげるね!」

ゼロ「これでみんな友達だ!」

ゼロそっくり「うん、みんな友達だ!」


      ウフフフフフフ
                アハハハハ

 









アスカ「」ゾクッ

ゼロ「おい、なんか失礼な想像しただろ」

アスカ「べ、別に〜?」

シンジ「ゼロさんの故郷に行けるなんて、感激です!」

アスカ「光の国って響きにも、興味はあるのよね♪」

ゼロ「おいおい、今度は遊びに行くんじゃあねえんだぞ?」

アスカ「わかってるわよ!」

ゼロ「そういうわけでそろそろ出発だ、準備に入ろうぜ」

ゼロ「光の国へは俺とジャンボットで行く、ミラーナイトたちはマイティベースで待っていてくれ」

ミラー「分かりました」

アスカ「初号機はどうやって運ぶのよ?」

ゼロ「俺のウルトラ念力でちょちょいっとな」

グレン「光の国での解析はどれくらいかかるんだよ?」

ゼロ「ん、それは行ってみねえと分からねえが……」

エメラナ「あの、よろしいでしょうか?」

ゼロ「ん?」

エメラナ「少しでも調査が円滑に進むように、こちらでの調査結果を光の国に送信しておきました」

ゼロ「おお! すまねえなエメラナ!」

ミラー「さすが姫様、段取りが良い」

ボット「うむ、ご立派であられる」

エメラナ「うふふ」テレテレ

兵士「姫様」

エメラナ「は、はい! なんでしょう?」

兵士「民衆が碇様と惣流様の見送りに詰めかけております」

シンジ「皆……」

ゼロ「いい機会だな、そろそろ行くか!」

エメラナ「そうですね、いきましょう」

シンジ「……はい!」

アスカ「ええ!」

グレン「よっしゃあ!」

ミラー「グレン、我々は専用の玄関から出ますよ」

グレン「あ、そうか」


———王宮前・広場



「シンジー!」「アスカちゃーん!」「姫様ー!」

「あの兄さんがウルトラマンゼロ!?」「うおー!本物!?」

「さよならー!」「こっち向いてー!」「元気でねー!」


アスカ「どうやらゼロ目当ての人も集まっちゃってるみたいね」

シンジ「人気者ですね、ゼロさん」

ゼロ「て、照れるなおい///」ポリポリ

女将「シンちゃん! アスカちゃん!」

シンジ「女将さん!」

女将「ほら、写真現像できたよ!」

旦那「みんなの贈り物やピコちゃんの花飾りも全部一緒にこの袋にいれてある、持って行け」

シンジ「ありがとうございます!」

アスカ「ありがとう!」

ピコ「お兄ちゃーん! お姉ちゃーん!」

パナ「キャンキャン!」

クラスメイト♂「元気でなー!!」

クラスメイト♀「地球でも仲良くねー!」



「達者でやれよー!!」「さようならー!」「バイバーイ!」



シンジ「みんな……」



「おい!あっち見てみろ!」

「おお!ウルティメイトフォースゼロだ!」

      キャー!

             うおーー!



グレン「へへ、俺たちもあいつらも人気だねえ」

ミラー「少し照れますね」

ナイン「あの悲鳴はなんだ? 敵襲か?」

グレン「バーカ、愛想よく手ェ振ってりゃいいんだよ、おーい!」ブンブン


        「キャー!グレンファイヤーさまー!」


 
          キィィィィィ……ン


「あ! あれはエスメラルダ王宮伝説の宇宙船、スターコルベット・ジャンバードだ!!」



クラスメイト♂「すっげー! いいなああいつら、あれに乗れるのか!」

先生「うむ、羨ましいのぉ。ほっほ」

ボット『ゼロ、燃料も食料も準備は出来た、いつでもいけるぞ!』

ゼロ「よっしゃあ、じゃあ行くぜ!」サッ


     キュインキュインキュイン!


女将「キャー!キャー!」

旦那「落ち着け」

ゼロ「デュワッ!!」


      ギュイイイイイイイイイイイイイン!!



      ズズー……ン


ゼロ「へへっ、待たせたな!」ビシッ


    ワァァァァァァァァァァ!!


女将「あんた!見てるかい!?本物、本物のウルトラマンゼロだよ!」バシバシ

旦那「落ち着け」

クラスメイト♂「ゼロー!!」

クラスメイト♀「かっこいー!」




シンジ「す、すごい人気だね……」

アスカ「全員結構おとぼけた所もあるけどね」ボソッ

シンジ「ア、アスカ……」

ゼロ「さて、行く前に……」チラッ

ゼロ「エメラナ、アレを出してくれ」

エメラナ「わかりました」


   ガシャン!  ウィィィィィィィィ…ン


「おい、王宮からなんか出てくるぞ?」

      ザワザワ…


    ウィィィィィィ…     ズズン!



「あ、あれって……!」



初号機「……」



    ザワザワ……


「どういうことだよ!?」「王宮が保護していたのか?」
「ママ、あれ何?」「大丈夫、大丈夫よ」「死んでるのか?」
「処分していなかったんだ」「なんか、怖い……」


                ガヤガヤ……          


シンジ「……」

アスカ「シンジ……」

エメラナ「皆さん、落ち着いて下さい!!」

民衆「!!」

エメラナ「この巨人はウルティメイトフォースゼロが引き取ってくださります! ここに留まることはありません、安心してください!」

「そ、そうですか……」
「そういうことなら……」
         
         ザワザワ…


シンジ「……あの!!聞いて下さい!!」


      「!?」

アスカ「シンジ!?」

エメラナ「シンジさん!?」

ゼロ「……!」

シンジ「こ……この巨人は! ぼ、僕がここに呼び寄せてしまったんです!」



グレン「あ、あいつ何を!」

ミラー「グレン! ここは見守りましょう……!」



シンジ「ですから僕が責任を持って地球へ運びます!」

シンジ「皆さんに不安に思わせて……あとご迷惑も掛けて!」

シンジ「本当に、ごめんなさい!!」ガバッ




      「……」




シンジ「……」

アスカ「シンジ……」

エメラナ「シンジさん……」

ゼロ「……」

シンジ(これでいい)

シンジ(エヴァのことを隠したまま、ここは去れない)

シンジ(例え石を投げられる結果になっても、これだけは言っておきたかった)

女将「……するってーと、あれかい?」

シンジ「……」

アスカ「?」

女将「あの巨人はダークロプスをやっつけてこの星を守ってくれたんだろ? ということは……」

クラスメイト♂「ということは……?」

女将「シンちゃんがこの星を守ってくれたってことじゃないのかい?」

シンジ「……え?」ムクッ

ベテランおっさん「……おお、確かにそうだ!」

クラスメイト♂「すげえぜシンジ!」

クラスメイト♀「この星を守ってくれてありがとう! シンジくん!」

シンジ「そ、そんな……僕は……」

ゼロ「胸を張れシンジ!」

シンジ「ゼロさん……」

ゼロ「ヒーローってのはな、名乗ってなるもんじゃねえ」

ゼロ「人に認められてなるもんなんだ!」

シンジ「ヒーロー……僕が……?」



「シンジー!」「シンジくーん!」「シンちゃーん!」
「ありがとー!」「よくやったー!」「最高だぜお前はー!」


      ワァァァァァァァァァァァァ!!



シンジ「僕……僕は……」フルフル

アスカ「バカシンジ!」バシッ

シンジ「あたっ」

アスカ「ほら、しゃんとしなさいよ! あんたはこの星を救った英雄って認められたのよ!」

女将「その通りだよ、シンちゃん!」

旦那「立派だぞ、シンジ」

シンジ「……!」ブワッ

アスカ「も、もう! ヒーローが泣かないでよ!」グスッ

シンジ「みんな……ありがとう……! ありがとう……!」ボロボロ

エメラナ「良かったですね、シンジさん!」

シンジ「うぅ……ありがとう……ございます……!」ヒックヒック

女将「あらあら、もう」ウルウル

旦那「……」ウンウン

クラスメイト♂「英雄と友達だなんて、最高だぜ、まったく」

クラスメイト♀「信じられない……」ゴシゴシ

クラスメイト♂「でもま、ヒーローって言うにはちょっとウジウジしすぎな気もするけどな」

先生「それでもいいのだよ」

クラスメイト♂「え?」

先生「泣いてもいい、転んでもいい」

先生「また笑って立ち上がることができれば、それだけで誰でも英雄になれる」

先生「彼らも、ワシらもな。ほっほっほ」

クラスメイト♂「英雄……か」



シンジ「じゃあ皆……行ってきます!」

アスカ「さようなら! 皆も元気で!」


     ワァァァァァァァァァ……





エメラナ「御武運を」

シンジ「エメラナ姫……あっ!」

エメラナ「?」

アスカ「実はエメラナ姫にも贈り物があったんです」

エメラナ「まあ! 何でしょう?」

シンジ「これ、ここでは使えないですけど……」ゴソゴソ

エメラナ「これは……時計、ですか?」

シンジ「この前都市で買ったんです、地球の思い出に、って」

アスカ「でも、私たちにはもう必要ない……だから姫様に差し上げます」

エメラナ「ありがとうございます、二人とも!」

アスカ「ほら、ここ見てくださいよ! 3人で撮ったプリクラも貼ってるんですよ!」

エメラナ「ホントだ、懐かしいですね」

シンジ「……僕たちは、ここでの日々を忘れません」

アスカ「もちろんです」

エメラナ「私たちも、あなた方のことは忘れません」

エメラナ「また、いつかお会いできるその日まで……」

ボット『……では行こう、この光のサークルに入ってくれ』

      キュインキュイン

シンジ「さよなら、みんな!」

アスカ「バイバイ!」

エメラナ「ええ、お元気で」

女将「シンちゃーん! アスカちゃーん!」

クラスメイト「じゃーなー!!」

おっさん「あばよー!」



       ワァァァァァァァァァァァ……

ゼロ「よし、乗ったな?」

シンジ「はい!」

アスカ「いつでもいいわよ!」

ゼロ「……よし」ピッ

初号機「……」フワッ


「おお!巨人が宙に浮いた!」「超能力だ!」「さすがウルトラマンゼロ!」


ゼロ「じゃあ、行ってくるぜ!」

ミラー「ええ、マイティベースでお待ちしています」

グレン「お土産は……」

ナイン「そのネタはもういいだろう」

ボット「姫様、行って参ります」

エメラナ「お二人をよろしくお願いします」

ボット「ははっ! それでは光の国へ向けて発進する!!」


       ゴォォォォォ……      バシュッ!



            キィィィィ……ン










クラスメイト♂「はっえー……あれがジャンバード……」

女将「体に気を付けるんだよ、二人とも……」グスッ

エメラナ「シンジさん、アスカさん。どうか、ご無事で……」










イメージソング 今日の日はさようなら
http://www.youtube.com/watch?v=DqRfTL_CjSA






 


———宇宙



アスカ「ひとまずエメラナ姫の部屋に置いとくわね、荷物とみんなのお土産」

シンジ「……うん」

アスカ「……」


       バシッ!


シンジ「いてっ! もう、最近叩きすぎだよアスカ!」

アスカ「あんたがシャキッとしないのがいけないんでしょ! しっかり前だけ向いてなさい!」

シンジ「分かってるよ、分かってるけど……」

アスカ「あんたはエスメラルダを救った英雄碇シンジ様なんでしょ〜?」ニヤニヤ

シンジ「あ、あんまりからかわないでよ……」



ボット「全く、相変わらずだな」

ゼロ「ああ、だがそのほうがいい」

ボット「……お前にも、迷いはないな」

ゼロ「へっ、当たり前だろ」

アスカ「……きっと、また会える」

シンジ「!」

アスカ「あんたがピコちゃんに言ったんでしょ!? 嘘つきにならないように、いろいろ頑張りなさい」

シンジ「……うん」

アスカ「そんな心配そうな顔しないの! 信じる心は不可能を可能にするものよ!」

シンジ(アスカ……)

アスカ「私はいつも……あんたと一緒にいるから」

シンジ「ありがとう、アスカ……」


———エメラナの部屋



アスカ「」スー スー

シンジ「……」


     ウィーン


シンジ「ゼロさん」

ゼロ「ん、どうしたシンジ?」

シンジ「あの、ちょっと……」

ゼロ「今はエヴァンゲリオン運んでるから人間型にはなれないが、このままでいいか?」

シンジ「ええ、というかそのままで聞いてほしいんです」

ゼロ「わかった」

シンジ「……ありがとう、ございます」

ゼロ「はは、また礼かよ? いつも言ってるだろ、これは俺たちの……」

シンジ「僕も、ゼロさんみたいになります」

ゼロ「?」

シンジ「自分の信じる道を、迷わずまっすぐ進む」

シンジ「僕も、そうしていきたいと思います」

ゼロ「……そっか、ありがとな」

シンジ「え?」

ゼロ「さあ、もう寝とけ。ウルティメイトイージスがあれば、光の国になんかあっという間につくぞ!」

シンジ「は、はい。おやすみなさい」


       ウィーン


シンジ(待っててね、綾波、カヲルくん……!)





ゼロ「待ってろよ、カヲル、綾波レイ……!!」



ゼロ「どんな運命が待っていようと、俺たちは逃げねえ!!」



ゼロ「俺たちは、ウルティメイトフォースゼロだ!!」




 

        ギィィィィ……ン




 








ウルトラマンゼロ外伝 エヴァンゲリオンサーガ


第2部「輝ける明日へ」 完






イメージソング 運命のしずく
http://www.youtube.com/watch?v=JPZKpiBC_5o





 



   ______/\     __  r‐--、
   ヽ───‐ァ  ヽ    | `.ヽ|   Y ヘ
      =‐‐.、イ >-'"   /  ∠.  !-' ヽ
      ヘ  ) ., ヘ   / / ̄|   | ̄ ̄
 ヽニニニニニヽ 'ニニニ  ヽ ._//___|   |_/´\
       |   |  / ィ."ヽ───────‐‐'
       |   | .//    |``ヽ___/´\
       |   |        |  |──‐i  Y
    r─‐  |        |  |    .|. .|
     `Y   .i        |  └‐─‐   .|
      |.__ノ       |_ノ ̄ ̄T_ノ







少年と少女は決意の下、地球を目指し旅に出る




光の国の宇宙人との邂逅が彼らにもたらす希望の光




そして地球で待ち受ける最後の試練




彼らは再び絶望の中に落ちるのか、宇宙を超えた想いが運命に勝るのか




「人間」の「決断」の物語は、今ここに終結する





次回、第3部「絆、そして」




さぁ〜て最後まで、サービスサービスよん♪


 

第2部は以上になります。
第2部で終わらせるつもりだったのにここまで長くなるとは思いませんでした。
次回でエヴァゼロ完結となります。
支援くださった皆様、イラストを描いてくださった方、誠にありがとうございました。
第3部が終わるのが先かウルトラマンギンガが始まるのが先かシンエヴァが公開されるのが先かという製作状況ですが、
もう少しだけお付き合い下さるとありがたいです。

では、次スレもよろしくお願いします。


第3部いつ始まるの?

>>756
ゴールデンウィークにゆっくり書き溜めて日を見て始めようと思います
そこまで間が空かないうちには再開したいです

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