渋谷凛「プロデューサーの様子がおかしい」 (28)
凛「……おはようございま――」ガチャ
凛「あ、おはよう、プロデューサー」
モバP「お、おう!おはよう、凛」
凛「………」
モバP「………」
凛「……ええと」
モバP「っ!?な、なんだ」
凛「ねえ、なんでそわそわしてるの?」
モバP「……いや、別に」
凛「………」
モバP「……こ、コーヒー淹れてくるな」
凛「え?いや、それくらい私」
モバP「いや!いい、凛はそこで寛いでいてくれ」
凛「あ、う、うん」
凛「……?」
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比奈「おはようっスー。あれ?凛ちゃんだけっスか?」
凛「あ、比奈、おはよう……なんかプロデューサー、挙動不審に給湯室に行っちゃって」
比奈「?なんかあったんスか?」
凛「いや、別に何にも無いと……思う、けど」
比奈「ふーむ?謎っスね。取り合えず、手を洗うついでにプロデューサーに挨拶してきまス」
凛「……序でに、然り気無く聞いてきて貰ってもいい?」
比奈「ん、了解っス!ぼちぼち頑張ってみるっス~…」タッタッ
比奈「追い返されたっスよ!」
凛「……なんなんだろ?」
比奈「邪険というか……なんか隠してる感じっスね、あれは。アタシの勘がそう告げてるっス」
凛「比奈は何か心当たりとか……?」
比奈「あるなら言ってるっスよー」
凛「……だよね。これから仕事なのに」
比奈「プロデューサーならそこら辺はきっちりしてくれてると思うっスけど……思いたいっスけど」
凛「今日、比奈も一緒だよね?」
比奈「そうっスよ。今日は宜しくお願いしまス」ペコ
凛「あ、頭下げないでよ……!」
比奈「えへへ。凛ちゃんと一緒なの久し振りっスから。成功させて、楽しめればなお嬉しいっス」
凛「……当たり前じゃん。楽しめなきゃ、何だってつまらくなっちゃうし」
比奈「お、かっこいいっスね!」
凛「受け売りだよ、受け売り――」
モバP「こ、コーヒー淹れたぞ……」カタカタ
凛「プロデューサー…の…?」
比奈「プロデューサー、なんでソーサーの上に乗せて運んでるんスか!?」
モバP「え?」グラ
比奈「あ、あぶなっ」
ちひろ「あら?もう凛ちゃん達来てて」
ガシャーン
比奈「あっ」
モバP「あっちゃぁぉぉあたた!?!?」
凛「プ、プロデューサーっ!?」
ちひろ「えっ、何!?」
モバP「すまん……ついボーッと……」フキフキ
比奈「いやー、人間誰しも失敗は付き物っスから、気にやまないで大丈夫っスよ」フキフキ
モバP「すまん……」ズーン
凛「取り合えずズボン着替えなよ。怪我してない?」
モバP「ああ……すまん……」
ちひろ「プロデューサーさん、替えのスラックス、社で貸しますか?」
モバP「すみません、お借りします……」トボトボ
ちひろ「じゃあ案内しますねー」
凛「ちひろさん、宜しく」
比奈「あれ?何時も替えをロッカーにいれてるって言ってなかったでスか?」
モバP「……朝、来るときに水溜まりにはまったんだ」
凛「……ねえ、プロデューサー、大丈夫?」
モバP「ああ、何でもない、気にしないでくれ……」
凛「……。そっか」
ちひろ「もー、どうしちゃったんですか、Pさん。珍しいですねー」
モバP「……ちひろさん、ちょっと、いいですか」
ちひろ「?はい?」
比奈「――いや、気にしないでって言うっスけどね?」
凛「いくらなんでも気にしないって訳にはいかないよ……あんなの」
比奈「何かしら有るとは思うんスけど……あ、そうそう、じゃあ改めて、コーヒー淹れてくるっスよ」
凛「……いいの?」
比奈「やー、そもそもインスタントでスし、手間はかからないし。これくらい後輩のアタシにやらせて欲しいっス」
凛「でも、比奈は年上だよ」
比奈「ちょっとは年上と後輩を立てさせて欲しいんスよ、ね?」
凛「こんなところじゃなくていいのに……。第一、先輩後輩とか、そんなの」
比奈「それをいったら年上年下もないっスよ、ならアタシがやっても問題ないでスよね?」
凛「……。比奈に敵わない」
比奈「へへ、まーまー。じゃ、行ってくるっス――あっ」
晴「はよーございます……あ、比奈に凛、よっす!」
凛「晴、おはよ」
比奈「おー晴ちゃん、おはよーっス。早いっスね?」
晴「イヤ、二人の方が早いだろ」
凛「……まあね」
比奈「いやー、それを言ったらおしまいっスよ。あ、晴ちゃん、何か飲みたいものってあるっスか?」
晴「お、いいのか?じゃあオレ、なんか甘いやつ!」
比奈「りょーかいっス。座って待っててください」
晴「いってらー。……って何でこの部屋こんなコーヒー臭いんだ?」
凛「ああ、さっき、プロデューサーが溢したんだよ」
晴「何してんだよアイツ……あ、奈緒が言ってた、どじっ子ってヤツか、これ」
凛「うん、私も分からないけどそれは違うとは思う。……ねえ、晴はプロデューサーが変なの、なんでか知ってる?」
晴「は?そうなの……いや、そもそもPは何時も変じゃねーか?凛にバニー着せようとしたり、比奈にバニー着せようとしたり、オレにバニー着せたり」
凛「それを言ったらお仕舞いだからだめ。そういうことじゃなくて……」
晴「おー…?…じゃあ、どういう」
モバP「……戻ったぞ……って晴ーッ!?」ビクッ
晴「お、おうッ!?」ビクッ
凛「何、どうしたの?」
モバP「もう揃っ……あ、ああ、そうか今日は……いや、ええと、だな」
モバP「……その」
モバP「……………なんでもない」
晴「………」
凛「………」
モバP「………」ソソクサ
凛「……分かった?」
晴「……凛の言ってることは分かった。けど、オレなんも心当たりないぞ?」
凛「だよね……」
晴「んー、やっぱ話し合うより聞いた方が早えーよ!これ」
凛「でも、さっき比奈が試して駄目だった――」
晴「なあなあP、何か調子ワリーのか?」
凛「聞いてない……」
モバP「………は?俺?」
晴「凛が心配してたぜ。風邪なら帰った方がいいと思うけど」
モバP「あ、いや、別に違う。大丈夫だ」
晴「でもなんか変、」
モバP「大丈夫だ、心配しないでくれ。やることやれば……」
晴「は?」
モバP「!何でもない、ない……んだ、ほら、ええと、晴お前、先に出るから早めに用意しておけよ」
晴「あ、え、おおう……」
晴「駄目だった」シュン
凛「言ったのに……」
晴「うー、いやでも、P、嘘下手くそすぎんだろ……凛も、駄目だったのか?」
凛「晴が来る前に話したときに、はぐらかされたままだよ」
比奈「んー、ありゃ、二人とも煮詰まってる感じっスか?」
晴「まーなー……って、お、比奈だ」
比奈「比奈っスよ。ただいま戻りましたっス!ほい」
晴「さんきゅー。お!リンゴジュース!」
凛「……ありがとっ」
比奈「いえいえーお気になさらず……っと」
モバP「………」カタカタカタ
モバP「………」チラ
比奈「何であの人ちらちらこっち伺ってるんスか?」
晴「だよな、すっげー怪しいよな!さっきから思ってた」
凛「プロデューサー、嘘も演技も下手くそだから……」
比奈「あ、晴ちゃん、事情聞いたっスか?」
晴「おう。Pが朝からおかしいってのは分かった」
比奈「完璧っス!」グッ
晴「へへっ、まーな!」グッ
凛「……取り合えず、話してくれるの待つ?」
比奈「それが一番っスかねー」
晴「じゃあオレ、そろそろ準備してくるかな」ゴクゴク
晴「ごちそーさまっ」
比奈「お粗末様っス」
凛「あ、走ると転ぶよ」
晴「そんなヘマしないって!」タッタッ
モバP「………」ボー
比奈「……今のプロデューサーはしかねないっすね」
凛「……確かに」
モバP「……じゃあ、晴の仕事終わりに、連れて二人のところへ行くから。それまで心許ないかもだが、頑張ってくれ」
凛「うん。任せて」
比奈「気を付けてっス~」
晴「行ってくる!……あ」チョイチョイ
凛「……?」
晴(一応、Pに聞いてみるな。分かったら、帰り教えるから!)ヒソヒソ
比奈(お、無理しちゃだめっスよ!)ヒソヒソ
凛(プロデューサー意固地になるとめんどくさいから。出来る限りでいいからね?)ヒソヒソ
比奈「勿論お仕事も、頑張るっス!」ポンポン
凛「うん。頑張れ」
晴「おう、頑張る!」ニッ
モバP「………」ハァ
凛「……プロデューサー!」
モバP「おうっ!?」ビク
凛「しっかり、ね」
モバP「……あ、ああ」
凛「不安だな……」
比奈「まあ、今は信じて。アタシ達も、頑張るっスよ!」
凛「……うん、そうだね。それじゃ、私達も支度したら行こうか、比奈」
スタッフ『それじゃあ、休憩入ります!』
凛「……比奈、大丈夫?」
比奈「あ、ははは、これでも体力ついてきたんスけどね……?」ハー
凛「アニメの話題になったとたんはしゃぎすぎなんだよ、もう」
比奈「面目無い……」ガクリ
モバP「お、休憩入ったのか……って比奈大丈夫か!?」
比奈「あ、プロデューサーに、晴ちゃん……へへ」ヘラ
モバP「おいおい……」
晴「よー!凛!比奈は大丈夫か?」タッタッ
凛「うん、よー、晴。お疲れさま。多分大丈夫だと思うよ。仕事はどうだった?」
晴「んー、多分できたと思う。あ、あのな!あのWと偶然会えたんだ!別のテレビの撮影だったみたいで」
凛「W……あ、元サッカー選手の双子ユニット、だっけ」
晴「そう!リフティング見せてもらったんだ!かっけーよ、やっぱ!」
凛「……そっか、楽しかった?」
晴「すっげー楽しかった!今度一緒にサッカーの仕事しようって約束したんだ!楽しみだなぁ……!」
凛「ふふ、よかったね……。あ、そうだ、首尾はどう?」
晴「?シュビ?」
凛「えっと、例のこと」
晴「あー!……なんかスゲー会話がわざとらしいと言うか、ずーっと、オレに聞き出させないようにしてる感じだったから、駄目だった。あ、でも、仕事は何時も通りだったぜ!フツーに出来てた」
凛「そっか、ならまあ、いっか。……あ、よければ見てってね、後少しで収録終わるからさ」
晴「Pも勉強になるから見ておけって言ってたし。ちゃんと見るぜ」フンス
比奈「帰って寝たいっス……働きたくない……」
モバP「共演者の双葉さんにモロ影響くらってんなお前。頑張れ、後ちょっとだ」ポンポン
比奈「終わったぁ……」ホヘー
凛「お疲れ様、比奈」
比奈「お疲れ様っス。凛ちゃんも、ありがとうございまス。フォローしてもらったり、助かったっス」
凛「大したことはしてないよ。……比奈が頑張ったんだよ」
比奈「……」
比奈「……涙腺が緩むっス……」グスッ
凛「えっ!?」
晴「おーい二人とも、Pが呼んで……って何で比奈泣いてるんだよ?凛、なんかしたのか?」ジト
凛「違っ……濡れ衣だから!」
モバP「それじゃ、車出すぞー」
凛「疲れた……」グデッ
晴「なー、比奈、平気か?」ユサユサ
比奈「大丈夫っスよー。いやー、ご迷惑をお掛けしたっス。しかし、後ろ3席を三人で使うのは久々っスね」
凛「そうだね。……プロデューサー、気を付けて運転してね」
モバP「……あ、お、おう。勿論だ」
モバP「…………」チラ
晴(……バックミラー越しに、ちらちらこっち見るのと目が合うけど)ヒソヒソ
比奈(でスねーいつか事故るっスねこれ)ヒソヒソ
晴(オレ死にたくないぞ!?)ヒソヒソ
凛(……仕方無い、行くよ)ヒソヒソ
凛「……ねえプロデューサー」
モバP「なんだ?」
凛「何、隠してるの?」
モバP「……に、人間誰しも心に、誰にも言えない秘密を抱えているんだ」
凛「そんな飛鳥みたいな反応いいから」
モバP「……」
凛「……そりゃ、さ。私達、出会ってから、まだ一年も経ってないけど。でも、そんなに信用無いかな」
晴「お、オレ、Pが困ってるなら、……ちょっとでも力になりたい」
比奈「プロデューサー。……観念するっスよ」
モバP「……いや、その、違うんだ。本当に、悩みとかじゃなくてだな!」
凛「じゃあ、何?」
モバP「……シチュエーションとか、セリフとか、やっぱ、あった方がいいかなって考えて、でも思い付かなくてだな……」
比奈「シチュ?え?」
晴「……P?何の話してんだ……?」
凛「……。まさかとは思うけどさ」
モバP「…………」
凛「ねえプロデューサー。鞄、開けていい?」
モバP「……助手席にある」
比奈「凛ちゃん……?」
凛「比奈、晴、今日って何の日?」グッ
比奈「今日?ええと、……え?」
凛「……よいしょ、取れた。鞄、開けるよ……」ジーッ
晴「お、これ、……チョコレート……?」
比奈「チョコ……ホワイトデー、ってまさか!」
モバP「……ハッピーホワイトデー。くれたお前ら三人とちひろさんに用意して、ちひろさんにはもう渡した、から。……持ってってくれ」
比奈「……」
晴「……」
凛「プロデューサー」
モバP「……はい」
凛「へたれ」
モバP「だって俺渡したことないんだもん!バレンタインに貰ったのだって家族以外とか初めてで分かんないもん!タイミングとか全然分かんないもん!」
晴「P、もんはキモいぞ」
モバP「モバPの脆い心はくだけ散った」
比奈「えー、こんなオチっスか……ないわー」
モバP「そんなに言うなよ泣くわ……」
凛「こっちだって一日中ずっと心配してたんだからおあいこでしょ。はぁ、本当、疲れた……」ズル
晴「なんだよー。オレらバカみたいじゃねーか!くだんねー!」
比奈「はー、あはは、ふふ、やっぱプロデューサー面白いっスね!」
モバP「す、すまん、なんか本当すまん……苛めないで……」
比奈「じゃあこれ、返すっスね」ホイ
モバP「…………………………」ピシッ
晴「うおおおあおあ!?!事故る!事故るから!」グアングアン
凛「比奈ぁ!?」グアングアン
比奈「や、違っ、プロデューサーが渡さないと!受け取れないってことっスよぉあああー!」グアングアン
モバP「………………………俺?」キキッ
比奈「そ、そーっスよ。だって、アタシたちだってちゃーんと手渡ししたんスから、プロデューサーも、そりゃあ、ね」ゼーハー
モバP「………」
晴「……そーだな!じゃあ事務所帰ったら、ちゃんと渡してもらわないとだなー」ニィ
凛「道理だね。待ってるよ、プロデューサー」クス
モバP「……………。明日じゃ、ダメか?」
凛「へたれ」
晴「へたれ?」
比奈「へたれー」
モバP「……が、頑張り、ます……」ガクリ
おしまい。この三人から受け取ってこの三人に返せて満足です。比奈せんせぇの喜び具合がかなり嬉しかった
ちゃちゃっと依頼出してきます
>>20 チョコじゃないお菓子!お菓子だ!脳内補完お願いします……
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