D.C.しゅーこ (16)
周子「んー、甘味が足りないかったるーい」
ありす「またごろごろしてお菓子食べてるんですか? 太りますよ?」
周子「ん? ああ、これ? だいじょーぶ、消費してるのあたしのカロリーだしプラマイ0、むしろマイナス。ほら」
ありす「……手品ですか? いきなり手のひらに和菓子が……」
周子「魔法だよまほー。ま・ほ・う」
ありす「信じられません。非科学的です」
周子「いや、魔法が科学なわけないっしょ」
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ありす「それはそうですけど……じゃなくて、本当に魔法なんですかそれ?」
周子「タネも仕掛けもないよ? ほらほらー」
ありす「本当になんにもないところから出てきてる……認めるしか、ないみたいですね」
周子「わかったかーしゅーこちゃんは正義の魔法使いなのだー」
ありす「正義のって、戦ったりでもするんですか? 手のひらから炎を出せたり」
周子「全然。魔法なんてこれしか使えないし」
ありす「微妙に役に立たない……」
周子「言ったなー」
ありす「ちょっと無理矢理口に入れないでむぐっ」
周子「どう? これでも和菓子屋の娘だから自信あるよ」
ありす「おいしいです」
周子「たくさん出したらお腹すいたーん♪」
ありす「そういえばカロリー消費って言ってましたね。ダイエットになるじゃないですか」
周子「でも空腹がねー、つらたん。ということでじゃーん、十秒チャージー」
ありす「それでいいんですか。最初から無駄に出さなきゃいいんじゃ」
周子「あ、お一つどうぞ」
ありす「んむっ…………ありがとうございます」
周子「ありすちゃんにはこれ言ってなかったっけ?」
ありす「初めて聞きましたよ。これって知られても大丈夫なんですか?」
周子「んーあんまりよくないねー」
ありす「ああもう、駄目じゃないですか」
周子「お、そーだ。バレてしまっては仕方ない……かくなる上は魔法で記憶を――」
ありす「そんな魔法使えないってさっき言ってましたよね」
周子「お、ありすちゃんよく気づいたねー。ご褒美にこれあげる♪」
ありす「はむっ……」
周子「でもね、ホントはあんまり言っちゃいけないから秘密にしててね?」
ありす「いいですよ。周子さんの魔法って生まれつきなんですか?」
周子「そうみたい? お父さんも使えるし……あっ」
ありす「どうかしたんですか?」
周子「これもあんまり言ったらいけないんだった」
ありす「今までなんでバレなかったのか不思議です」
周子「だからさ、これも秘密ね?」
ありす「わかってます。何度も言われなくても誰にも言いませんから」
周子「ホントに?」
ありす「本当です」
周子「ホントのホントに?」
ありす「言いませんってば!」
周子「おお、いい子いい子。というわけで追加ー」
ありす「ちゃんと、手で、受け取れますから!」
周子「むー、あーんできないのつまんなーい」
ありす「そのくらいで拗ねるなんて子供ですか」
周子「子供でいいもーん」
ありす「これで六歳差ですか……」
周子「なになに? あたしって六歳だったの?」
ありす「ありえません寝言は寝て言ってください」
周子「ありすお姉ちゃんつめたーい」
ありす「誰が姉ですか誰が」
周子「あれー? こんなとこにちょっと地雷? まぁまぁ、これで機嫌直して」
ありす「……和菓子なんかで誤魔化されると思わないでください」
ありす「そういえば、和菓子以外って出せないんですか? ケーキとか」
周子「……けーき? …………けーき……?」
ありす「……ケーキになにがあったんですか」
周子「なーんにも。洋菓子とかはなぜか失敗するんだよねー」
ありす「ああ、そういうことですか」
周子「実家的に洋菓子は敵だし? 和菓子の正義の魔法使いだし?」
ありす「魔法って慣れ親しんだものの影響が出るものなんでしょうか?」
周子「さぁ? でもつくり方とか知ってるのは和菓子だし、意外と種類多いんだぞー。飽きないくらいには」
ありす「そうですね。お店に行くと食べきれないくらいありますし」
周子「あ、これウチの新作でーす」
ありす「ありがとうございます。でもそろそろお腹がいっぱいになってきました」
周子「むーむーむー」
ありす「どうしたんですか唸って」
周子「ありすちゃんさっきまでレッスンだったよね?」
ありす「そうですけど、それがなにか?」
周子「頑張ったー?」
ありす「手を抜くことはしません」
周子「よしよしー、あと、はいっ」
ありす「もう食べあむっ……だんだん理由が適当で無理矢理になって来てませんか?」
周子「あはは、あんまりやりすぎると嫌われそうだね。じゃあこれでやーめた」
ありす「そうしてください。おやつにしては少し食べ過ぎました」
周子「で、どうだった? しゅーこちゃんの和菓子は」
ありす「……本当においしかったです。全部苺が入ってて……あの、またくれますか?」
周子「いいよー修行しとくね♪」
以上です。短いですがお付き合いいただきありがとうございました。
ありすは由夢くらいちょろそう。
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