小関麗奈のお礼参り (102)
小関麗奈が誕生日にドタバタする姿を描きたかったSS
キャラ崩壊、捏造設定アリ
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-早朝 某プロダクション付属女子寮、小関麗奈の部屋-
P(皆さま、おはようございます。モバPでございます)
P(本日は3月5日、小関麗奈さんの誕生日ということでですね)
P(ちょっとしたサプライズなんかを用意してですね、丸一日かけてお祝いしたいと思います)
P(まずはこの…スーパーレイナ様クラッカーΣ。最新作です。過剰生産されたこいつで)スッ
P(盛大なモーニングコール&ハッピーバースデーをブチかまそうと思います)
P(日頃の仕返しとか、そういうのじゃないですよ?純粋な祝意です)
麗奈「……………」
P(…よく寝ているようです。それでは早速…)
P(…すぅぅぅぅぅううう)
P「ハァァァァッッピィ、バァァァァッスデェェェイ!!!!」\ッパーン!!/
麗奈「……………」
P「……………」
麗奈「……………」シーン
P「…?アレ?起きない?」
麗奈?「……………」
P「…まさか」バサッ
丸めた布団『Good morning.』
P「Shit! …麗奈め。こちらの行動を読んでやがったか…だが」
P(この温もり…そして残り香。抜け出してからそう時間は経っていないな)サワサワ
P(つまり、あいつは近くに潜んで反撃を仕掛けてくるか…)クンクン
P(離脱したにしても、そう遠くへは行っていないはず…)モソモソ
P(ならば一旦こちらも仕切り直すのが吉か…?)スーハースーハー
<ガチャ
P(! ドアノブが回る音…!仕掛けてくるか…!)
南条光(隣人)「ちょっと麗奈…こんな時間からうる…さ…」
P「」
光「」
P「あ…いや、その…」
光「……………」
P「あー…、おはよう、光。今日も可愛いな、なんて…」
光「………………不審者…」ゴソゴソ
P「いや不審者とかじゃないよ…お前達のプロデューサーじゃないか」
光「朝イチに女子の布団に潜り込んで大騒ぎする変態が、不審者じゃないわけあるか…」\ブゥンッ/
P「えっその棒なんで発光してんの?どういう原理?」
光「女子寮の平和はアタシが守る…!」ジャキッ
P「ちょっと待って、話せばわかる!」
光「ゆ゛る゛ざ ん゛!!!!!!」一欠
-女子寮裏庭-
麗奈「…フン。アタシにサプライズ仕掛けようなんて100億年早いってのッ…」
<ア”ァァァアーーッ!?
麗奈「っ!?」ビクッ
<チョットーアサカラナニー?
<ワズラワシキキョウカン…
<マダニジカンシカネテナイノニ…
麗奈「なんなのよ一体…やれやれ…」
<フシンシャダッテ!
<ウソ!ケイサツ…
<マッテ!アレPサンダカラ
<ナンデリンチャンガイルンデスカァ
麗奈「人が集まってきちゃったじゃない…見つかる前に、とっととオサラバね…っととっ」グラッ
麗奈「…詰め込み過ぎたかしら。流石に重いわね…よいしょっ…と」ズシッ
麗奈「………………フンッ」
-某プロダクション、事務室-
<ガチャッ
麗奈「…」
千川ちひろ「おはようございます!本日のロ…あれ、麗奈ちゃん?随分早いですね?」
麗奈「それはコッチの台詞だわ…まだ6時前なんだけど」
ちひろ「うわっ何ですかそのパンパンのリュックサック?その辺にぶつけないでくださいね?」
麗奈「スルーしたわね…そんなヘマしないわよ。…ところで、ちひろ」
ちひろ「なんですか?」
麗奈「今日これからする事を、黙って見ていて欲しいんだけど」つ諭吉
ちひろ「…あらあら。口封じですか?ダメですよ…こんな紙切れじゃ、戸板にもなりません」
麗奈「…いくら欲しいの」
ちひろ「いいえ…お返ししますよ。その代わり、面白そうなので片棒を担ぎましょう」
ちひろ「ふふっ…共犯者なら、口封じの必要はないですね」
麗奈「そう。………アリガトウ」ボソッ
ちひろ「…ふふふ。素直な子は好きですよ。誕生日おめでとう、麗奈ちゃん」
『from:小関麗奈
件名:no title
本文:プロダクションにて待つ。』
<バァン!!!
P「ちっひ!麗奈来てるぅ!?」ボロッ
ちひろ「騒がしいですね…ええ、来てますよ」
P「どこです!?どこに行きました!?」
ちひろ「さて…山口だったか、山形だったか…それとも、山梨でしたっけ?」
P「…いくらで買収されたんです?」つ英世
ちひろ「どいつもこいつも…無料ですよ。可愛いアイドルのお願いです…お金なんてとりません」つ10+3
P「くっ…じゃあ、麗奈からのコンタクトを待つしかないのか?」
P「だが衣装スタジオの予約時間が…虱潰しにいくか…?」パキッ ゴクゴク
ちひろ「ああ、そうそう」
P「なんです!?」
ちひろ「本日のログインボーナスは、こちらです♪」つ友情
P「ゴミよ!」
ちひろ「なんだと」
『レッスンルーム ニ イケ』
P「ゴミの中にメモが…あいつめ、俺を誘導しているのか…」ビリビリ
P「舐めた事を。とっ捕まえて連行してフリフリの…」
<キャアッ!? ドスンバタン
P「レッスンルームから悲鳴がっ!?何事っ!?」
<ガチャッ
ルーキートレーナー「うぅ…」
トレーナー「ほら立って…あっプロデューサーさん!おはようございます」
P「おはようございます…転んだんですかルキトレさん?大丈夫ですか?」
ルキ「いっ、いえ、大丈夫です!すみません、お恥ずかしい所を…!」
マスタートレーナー「体幹ができていない証拠だな。お前もアイドル達と一緒に特訓した方がよさそうだ」
ルキ「そんなぁ~」
P「なんならそのままデビューしても…」ツルッ
P「ぐへぁっ!?」\ビタァン!/
マス「君も特訓だな」
ルキ「プロデューサーさん!?大丈夫ですか!?
トレ「立てますか…?ほら、掴まってください」
P「ぐぅ…手ぇ柔らかっ…やはりアイドルに…ありがとうございます。…なんですこれ、油でも撒かれてるんですか?」
ベテラントレーナー「いや…ここで普段使っているワックスだな。残量が減っている」
ルキ「わたしもプロデューサーも靴底がだいぶ磨り減ってるみたいですから…それで転んじゃったんですね」
マス「言い訳するな」ゴスッ
ルキ「あたっ!?」
ベテ「それとロッカーに、封筒が貼ってあった…ご丁寧に私たち宛らしい」ペリペリ
『更衣室 ニ イケ』
P「この筆跡…麗奈か!あいつめ!」ダッ
トレ「あっプロデューサーさん!?どちらへ…」
P「更衣室に決まっているでしょう…!」ダダダダ ズルッ
ルキ「あっ」
P「ぶごっ」\ビタァン!/
マス「やはり特訓か…」
P「ぐくっ…それじゃ失礼します!ところでアイドルに興味はありませんか!?」
<ガチャッ バタン!
ベテ「騒がしい奴だな…むっ…もう一枚、何か入って…」
トレ「…温泉優待券?」
ルキ「温泉!温泉行きたい!」
マス「ふむ…久々に家族旅行と言うのも、悪くはないな」
―更衣室―
喜多見柚「うぅ…眠いよー…何もこんな時間からレッスン入れなくたって…」
綾瀬穂乃香「今度のLIVEは特に大きいですから…皆で頑張りましょう?」
桃井あずき「………zzz」
工藤忍「ほらあずきちゃん、立ったまま寝てないで…早くレッスン着に着替えよう」
あずき「……んあっ!?ここどこ!?フルート流ドーナツ空手大作戦はどうなったの!?」
忍「どんな夢みてたの…」
柚「実行する時はアタシにも声かけてねっ」ガチャッ
物体X『ぴにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ』ドドドドドドド
柚「ぐわぁ―――!?」
穂乃香「ぴにゃこら太―――!(歓喜)」
忍「ロッカーからブサイクが雪崩のように…!?」
<グワァ―――!?
P「何事だっ!?」バァン!
忍「Pさん!?」
P「柚が…ブサイクの山に埋もれて…!?」
柚「うぐぅ…これはいつぞの逆襲…!?」
P「柚…寝るな!寝たら死ぬぞ!」
柚「ふふ…これが祟りってヤツかな…ゴメンねみんな…ばたり」ガクッ
P「柚ぅぅぅぅぅぅううう!」
忍「何その茶番」
穂乃香「柚ちゃん羨ましいです…!私も…!」モゾモゾ
穂乃香「ああ…ぴにゃこら太に包まれてます…!夢みたい…!」ホクホク
忍「悪夢だよ」
あずき「便乗大作戦!」ピョーン
忍「収拾つかなくなるからやめて!」
穂乃香「幸せです…特にこの大きい子…一際柔らかくて…」\ピニャー/
穂乃香「!?」
穂乃香「忍ちゃん!この子鳴きました!このへごへごした声…!本物のぴにゃこら太です!」
忍「本物とかないから…背中にファスナーついてるし」ヒョイッ ジー
穂乃香「あぁっ!?」ガーン
忍「中に何か入って…紙切れ?」
P「! ちょっとそれ見せてくれ!」
忍「え?ああ…はい」
『正午前に事務所を離れる。捕まえられるもんなら捕まえてみなさいッ』
P「挑戦状…?麗奈、一体何を…」
忍「これ麗奈ちゃんなんだ」
柚「いつもよりちょっと大がかりカナ?」ヒョイッ
忍「あっ復活した」
P「くっ…早く捕まえないと俺の誕生日祝福プランが…」
忍「ああ…そう言えば今日誕生日なんだっけ」
あずき「ハッピーバースデイ大作戦!どんな感じ!?」モフモフ
P「ん?聞きたいか?どうしよっかな」
あずき「いやそんなには」
P「まあ聞け。やっぱり若い子の意見が欲しい」
P「まず衣装スタジオに連れて行ってフリフリでキャピキャピなのを着せる」
あずき「私と一緒に使ったとこかな?かわいくしちゃおう大作戦再発令!」
P「次は映画を見に行く。小梅オススメの奴だ」ワクワク
柚「大丈夫カナ?それ」
P「昼ご飯食べて、暫くショッピングとか…観光地巡りでも」
柚「修学旅行みたいだねっ」
忍「フリフリのキャピキャピで?」
P「夕方になったら東京湾クルージング」
忍「急にキザったいッ」
P「こんな感じでどうでしょう、綾瀬先生」
忍「一番採点甘そうな人に振った!」
穂乃香「~~~~~~~♪」\ピニャピニャピニャピニャ/
忍「せめて何か言って!」
P「とにかく早く捕まえないと…そろそろ予約時間になってしまう…
こんな無駄にだだっ広い事務所を手掛かりなしで探すのは…」
忍「私は麗奈ちゃんを応援するよ」
柚「ひどいデートプランだったね…」
あずき「だったらL〇NEとかT〇itterとかで目撃情報を集めればいいんだよ」
あずき「そろそろ事務所に人も集まってくるし、誰かは見かけるでしょ?名付けてSNS監視網大作戦!」
P「天才かお前!」
忍「どうして急に的確なの!?」
柚「現代の闇だね」
P「こうしちゃいられねえや!サンクス桃井!早速…」ダッ
忍「あっちょっと待ってPさん」
P「ん?どうした?見ての通り急いでるんだが」クルッ
忍「ここどこだと思う?」
P「どこって女子更衣し…つ…」
忍「……………」
柚「……………」
あずき「……………」
穂乃香「~~~~~~♪」モフモフモフモフ
P「……………てへ」
( ‘д‘⊂彡☆))P´) パーン
忍「まったくPさんは…」
穂乃香「~~~~~♪」ゴロゴロ
忍「ほら穂乃香ちゃんも!レッスン行くよ!」グイッ
穂乃香「ああっ待って…もう少し…」
忍「待ってるのはトレーナーさんだよ…っと」ドサッ \ビニャッ/
穂乃香「ああっ大きい子が落ちちゃいました…」パサッ
柚「? 大きいブサイクの背中から、何か…」
忍「…テーマパークのチケット、だね」
柚「前行ったとこだね。コイツがマスコットの」
穂乃香「今度は麗奈ちゃんも、ぜひ一緒に連れていきましょう…!」
穂乃香「こんなに沢山のぴにゃこら太…きっと麗奈ちゃんも同好の士です!」
柚「多分違うと思うなー」
あずき「洗脳大作戦!」
忍「なんか今日あずきちゃんテンションおかしくない?」
-どこかの廊下-
麗奈「………?」ゾクッ
麗奈「何やら怖気が…しかし何なのこのブサイク?なんで妙に人気なのかしら…」\ピニャッ/
麗奈「さて…予め所在がわかってたのはアイツらまで…あとは身を隠しつつ、見つけた端から…」
麗奈「…うんざりしてきたわ。多過ぎるし広すぎんのよ、この事務所…」\ブブッ/
麗奈「……っ?通知…またPからかしら?無視して…あら、今度はLI〇Eだわ…」
P『情報提供求む。
小関麗奈を見つけて欲しい。
捕獲した人にはお礼をする』08:01
麗奈「…仕事用のLIN〇使ってんじゃないわよ」
佐久間まゆ『お礼ってなんですかぁ』08:01
渋谷凛『お礼って何』08:01
麗奈「食いつき速っ!ダボハゼか!」
P『何でも言う事聞く』08:03
麗奈「馬鹿なの?死ぬの?」
麗奈「……………」
麗奈「……………」スッスッ
08:04『やれるもんならやってみろ』
-廊下の角-
新田美波「早朝レッスンお疲れさま、泰葉ちゃん。はい、お水」
岡崎泰葉「ありがとうございます。…あの、美波さん」
美波「何?泰葉ちゃん」パキッ
泰葉「いえ、…機会があったらまた、一緒にレッスンお願いしますね」パキッ
美波「ええ、もちろん♪」
-反対側-
麗奈「くくく…蒼いのも紅いのも、顔真っ赤じゃない…二人だけでTL埋めてるわ…」スッスッ
麗奈「ぶふっ…イチゴアイコンが途中参戦したわ…」プルプル
-出会い頭-
美波「んくっ、んくっ、んくっ…」
泰葉(色っぽいなぁ…)ポー…
麗奈「大体こんなのでやり取りしたらそっちの動向も筒抜けに…わっ?!」ドカッ
泰葉「えっ!?」グラッ
美波「きゃっ!?」バシャァ
麗奈「っったぁ~…ちょっと、どこに目ぇ付け…て…」
美波「いたた…大丈夫?泰葉ちゃん」ビショビショ
泰葉「だ、大丈夫です!すみません、すぐにどきますね…!」クンズホグレツ
麗奈「エロっ」
美波「え?」
麗奈「ン゛んッ…なんでもないわ…」
泰葉「ごめんなさい、麗奈ちゃんも…」
美波「怪我とかしてない?…でも麗奈ちゃんも危ないわよ?歩きスマホ」
麗奈「え、ええ…悪かったわね…これでも使って…」ゴソゴソ
泰葉「凄い荷物…スポーツタオル?」
美波「あっふわふわ…結構いいかも…」ゴシゴシ
麗奈「あげるわソレ…返さなくていいから」
麗奈「ところで…この辺りで他に誰か見た?」
泰葉「?…向こうの談話室で菜帆さんと里美さんがお茶してましたけど…」ゴシゴシ
麗奈「そう…ありがとう。じゃあね」スタスタスタスタ…
泰葉「…口が滑ったかも…」
美波「~~~~~♪」フカフカフカフカ
泰葉(可愛過ぎかこの人)
P「…なんてこった。荒らし(標的)のせいでタイムラインが修羅場に…」
P「くそっ…落ち着くまでは使えないか…フリフリ衣装は…時間切れだ…」トボトボ
P「…ん?」
泰葉「あっPさん…おはようございます」ハリツキ
美波「~~~♪……えっ?あっ…!お、おはようございます…///」ヌレスケ
P「エロっ」
泰葉「え?」
P「ン゛んッ…なんでもない…おはよう。これからレッスンか?」
美波「いえ、レッスンはさっきまでで…これから着替える所です」
P「着替えちゃうのかよ」(そうか。お疲れ様)
美波・泰葉「「え?」」
P「いやなんでも…ところで、麗奈を見かけなかったか?」
泰葉「ああ…麗奈ちゃんなら、さっき…」
-談話室-
海老原菜帆「あの和菓子屋さんは当たりでしたね~」
榊原里美「ほわぁ~♪甘~いですねぇ~~♪」
菜帆「特にこのお饅頭が、渋いお茶に絶妙に~」
里美「ほわぁ~♪」サラサラ
菜帆「甘いお茶にも、合いそうですね~」
<ガチャッ
麗奈「……………」
菜帆「ん~?あっ麗奈ちゃんじゃないですか~。凄い荷物ですねぇ」
里美「おふぁようごふぁいまふぅ」モゴモゴ
菜帆「麗奈ちゃんもお茶しますか~?席空いてますよ~」ポンポン
麗奈「……………」スッ
里美「ふぇ?…ずんだもち!久しぶりですぅ!」
菜帆「くれるんですか?ありがとうございます~。今お茶淹れますね~」
麗奈「…アタシがどうしても、我慢ならない事が3つあるわ」
菜帆・里美「「?」」
麗奈「ずんだに塩を入れない奴。
ずんだに白あんを混ぜる奴。
ずんだに砂糖をしこたま入れる奴よ!」ダッ
<バタン!!
里美「行っちゃいましたぁ」ビリビリ パカッ
菜帆「こだわりがあるんですね~」
里美「ほわぁ~♪」サラサラ
菜帆「こだわりとかないんですね~」モチモチ
P「ちょっと失礼!ここに麗奈来なかった!?」ガチャ
里美「あっPさんですぅ♪」
菜帆「麗奈ちゃんですか~さっき来ましたよ~」
P「どこに行ったかわかるか?」
菜帆「それが~これ置いたらすぐ出て行っちゃいまして~」
里美「Pさんもおひとついかがですかぁ?ふるさとの味ですぅ♪」
P「おっずんだ餅か…俺もこれ大好き…」ヒョイ
菜帆「あっそれは」
P「うぐっ…!?ゲロ甘ぇ!麗奈あの野郎!こんなのずんだじゃねえ!ド許せぬ!」ダッ
<バタン!!
菜帆「こだわりがあるんですね~」
里美「ほわぁ~♪」サラサラ
菜帆「まだ足すんですね~」モチモチ
-ヴォーカルスタジオ控室-
神谷奈緒「また凛とまゆが喧嘩してるよ…仕事用の〇INEだってわかってるのか?」
北条加蓮「いつものことじゃん」
奈緒「なおの事問題だよ…」
加蓮「奈緒だけに?」
奈緒「……………」
加蓮「…………んんっ」ゴホン
奈緒「……これじゃ麗奈見つけるなんて無理だろ…」
加蓮「なーに?奈緒はPさんに、なんでも言う事聞いてもらいたいのかなー?」ニヤニヤ
奈緒「なぁっ!?ばっ、ばか、そういうのじゃないぞ!」カァァ
加蓮「ふーん。そういうのじゃないんだぁー」ニヤニヤ
奈緒「だから違うってばぁ!」
加蓮「じゃーあー、サイン欲しいとか?フルボッコちゃんの」
奈緒「なんでそうなる!?」
加蓮「だって麗奈の事見かける度に、声かけるか悩んでるみたいだしぃ?」
加蓮「大義名分があれば、声かけるチャンスかなーって」
奈緒「そういうのでもない!サインとかいらないし、仮に欲しくても自分で…」
<ガチャ
加蓮「?」
アッキー「……クゥーン」テコテコ
奈緒「加蓮聞いて……アッキー?」
フルボッコちゃん「……………」スッ
加蓮・奈緒「「!?」」
フルボッコちゃん「……………」スタスタ
加蓮(麗奈…?なんなの?なんで衣装着てるの?)
フルボッコちゃん「……………」ピタッ
奈緒「……………」
加蓮(目の前まで来た…何?なんで無言なのよ)
奈緒「…………ふ、」
加蓮(奈緒?)
奈緒「…フルボッコちゃんだぁ…!」キラキラ
加蓮(!?)
奈緒「ほ、本物だぁ…!…あ、握手!握手してくれないか!?」スッ
フルボッコちゃん「……………」ガシッ
奈緒「わぁ…わぁ…してくれたんだね!」
加蓮「……………」ゴソゴソ
奈緒「うわー握手しちゃったよ!どうしよう!?うわー!」
加蓮「……………」スマホON
奈緒「あっそうだ!ちょっと待って…」ゴソゴソ
奈緒「サイン!サインしてくれ!このフィギュアの台座に!」
フルボッコちゃん「……………」キュッキュッ
奈緒「おお…ありがとう!大事にするよ!」
加蓮「……………」●REC
フルボッコちゃん「…………冥王星から、エクトプラズム」(←名乗り口上)
奈緒「!」ワクワク
フルボッコちゃん「冥王星から、エクトプラズム」クィッ
奈緒「…?………!」ハッ
奈緒「す、彗星に乗って、アストラル!」
フルボッコちゃん「獣の数字を魂に刻み」
奈緒「ヒトの躰に、炎を灯す!」
フルボッコちゃん「偽善を以て、善を欺き!」
奈緒「悪を成す為、悪を討つ!」
フルボッコちゃん「その名も!」
奈緒「幽体離脱!」
二人「「フルボッコちゃん!!」」ビシィッ!(←決めポーズ)
アッキー「ワン!」
奈緒「くぅ~~~……」ジーン
加蓮「……………」●REC
フルボッコちゃん「……………」クルッ
奈緒「あっ…」
フルボッコちゃん「……………」スタスタ ガチャッ
アッキー「………クゥン………」テコテコ
奈緒「冥王星に、帰っちゃうのか、フルボッコちゃん…」(←劇場版ラストシーン)
フルボッコちゃん「…還るだけよ、アタシの躰にね。…地球のアタシに、よろしくね」
奈緒「フルボッコちゃん…!フルボッコちゃーーーーん!」
<バタン
奈緒「……………」
奈緒「…うう…劇場版もう一回見にいこ…円盤も…ん?」
加蓮「……………」●REC
奈緒「」
加蓮「……………」●REC
奈緒「あ、あ、ああ、あ…」
加蓮「なおー」ニコニコ
<ウワァァァァァアァアアア!
麗奈「…これがアタシのファンサービスよ」フッ
麗奈「…アタシも火傷してるって?もう何クールやってると思ってんのよ、慣れたわ」
麗奈「もう」
麗奈「慣れたわ」トオイメ
アッキー「クゥーン…」
麗奈「それにしても神谷ってやつ、あんまり接点無かったけど…イジめ甲斐がありそうなヤツね」
麗奈「でも、渋谷と北条…自分たち以外がイジめると切れるタイプだわ…勘だけど」
アッキー「クゥーン…」グリグリ
麗奈「ああもうわかったわよ、わかったから…探してやるわよ。着替えたらね」ワシャワシャ
加蓮「奈緒カワイイ!」
P「奈緒カワイイ!!」
奈緒「やめろ…」
加蓮「奈緒カワイイ!!!!!!!」
P「奈緒カワイイ!!!!!!!!!」
奈緒「やめろよ…」
加蓮「やばいよ…可愛過ぎるよ…奈緒がいれば世界平和だって夢じゃないよ」
P「全くだな…そうだ、手始めにこのL〇NEの戦争を終わらせようか」
奈緒「え!?やめろ!それだけはやめろ!」
加蓮「それナイスアイデア!凛だって見たいだろうし!」
奈緒「やめ…」
P「だろう!?いやこの際事務所のHPのトップに…」
奈緒「………………」プルプル
奈緒「ウワァァァアアア!二人とも大っ嫌いだ―――!」ダッ
<ガチャッ バタン!!!
加蓮「………………」
P「……………」
加蓮「……………今なんて言った?」
P「……………大っ嫌いとかなんとか」
加蓮「ガフッ(吐血)」バタリ
P「ゴボッ(喀血)」バタリ
太田優「アッキー?どこ行ったのぉー?」
優「うう、ちょっと目を離した隙に、迷子になっちゃうなんて…」
優「どこぉー!?どこなの、アッキーーー!!」
麗奈「あぁもう…うるさいわね…」ヌッ
アッキー「ワン!」
優「アッキー!…麗奈ちゃんが、見つけてくれたの?」
麗奈「まあ、そう言う事にしとくわ…ハイ、これ」ゴソゴソ
優「え?…なぁに、これ?缶詰?」
麗奈「レンタル料よ。…じゃあね」スタスタ
アッキー「ワン!」
優「あっうん…またね…」
優「……………」クルッ
『猫缶(高級)』
優「……………」
優「……………まあ食べるでしょ」
アッキー「そりゃないぜ」(クゥン…)
P「……………なんとか、土下座で済んだ…」
P「…今頃、映画が始まった頃かな…」
P「これでいいんだ…チケット無駄にするよりは」
P「たまたま通りかかった幸子と蘭子(with小梅)に見てもらった方が、いいんだ…」トボトボ
P「しかし、麗奈はどこに…手掛かりが完全に途絶えてしまった…」
大槻唯「~~~~~♪」ペロペロ
P「…キャンディボックス抱えて、唯が歩いてくる」
唯「あっPちゃーーん!Pちゃんにも飴あげるー!」
P「おう…ありがとうな…」ペリペリ
P「…凄い量だな。毎回その位買い貯めてるのか?」ペロッ
唯「んーん?レイナちゃんがくれたー☆」
P「何?……………アブァッ!?」
唯「?」
P「ががががががががが、がらぁあッ!?辛いッ!?」ジタバタ
唯「えー?でもこっちはちゃんと甘いよ?」グイッ
P「もがっ…、あっ…甘ぇえ~~~~~」ベロベロベロベロ
P「トラップが仕掛けてあるんだな…他のは大丈夫か?」ジュパッペロロン
唯「レイナちゃんがPちゃんに会ったら渡せって一本だけー」ペロペロ
P「わかってて渡したのかい?」ジュゾロロロ
唯「てへ☆」
P「こいつめーかわいいなーちゅーしちゃうぞー」
相川千夏「…………そう。また麗奈ちゃんなのね」ヌッ
唯「あー!ちなったーん☆」
P「!?」
千夏「唯ちゃんを狙うなんて…引っかかったのがPさんだったからいいようなものを」ブツブツ
千夏「自分がやられたら嫌な事は人にするなって言ったのに…お仕置きが足りなかったのかしら」ブツブツ
唯「ちなったん顔こわー♪」
千夏「そんなことないわ。ねえ、Pさん?」ニッコリ
P「ひっ」
千夏「ねえ、Pさん…少し本気で、捕まえた方じゃいいんじゃないかしら?でないと…」
唯「でないとー?」
千夏「悪い舌を、引っこ抜いちゃうかも」
唯「あっそれ知ってるー!エンマサマだよねー♪」
千夏「そうよ、ふふふ…唯ちゃん可愛い。…でしょう?Pさん」
P「はひゃいっ!取り急ぎっ!」ケータイトリダシポパピプペ
P「もしもし、そういうわけでピンチだアキえもん、麗奈を自動追尾して捕獲するマシーン貸して」
池袋晶葉『助手は私をナメてるな?そんな物はない。切るぞ』
P「ああ待って…せめてプロダクションを脱走されても、見失わないような何かを」
晶葉『…つまりGPSとか、もっと言えば発信機の類か。まあその位ならあるぞ』
P「マジで!?流石晶葉!天才!」
晶葉『だが問題があるぞ、助手。どうやってターゲットに取り付けるんだ?』
P「なんか自動追尾で」
晶葉『それが出来るなら捕獲マシーンも出来るだろう』
P「…き、気合で」
晶葉『気合いでなんとかなるなら科学はいらん」
晶葉「…まあいい。発信機を付けるくらいなら、アテがある…こっちに任せてくれ』
P「すげェ!超助かる!」
晶葉『だが報酬は高いぞ…ククク。さて、何をしてもらおうかな…』ブツッ
P「…科学の発展につきものの犠牲にされちゃう?」ツー、ツー、
P「…仕方ない、リスクはやや高いが…」
P「…アイツらを直接動かすか…」プルルルル
麗奈「……………ッ」ジリッ
まゆ「Pさんがピンチと聞いては…くだらない諍いをしている暇は、ありませんよぉ」
凛「抵抗は無駄だよ…大人しく投降して」
凛・まゆ「「さあ」」
麗奈「……………」
まゆ「きゅう…」バタリ
凛「きゅう…」バタリ
麗奈「容易かったわ…獲物(アタシ)を目の前に、醜い争いを繰り広げる二人を…」ガチャガチャ
麗奈「このウルトラレイナ様バズーカΩ(最終兵器)で、諸共に気絶させるのは…」ガシュン
麗奈「とはいえ耳栓越しでも、アタシの鼓膜も痛いし…」キュポッ
麗奈「自分の位置を、わざわざ知らせるようなものだわ…そうでしょ、千夏」クルッ
千夏「……………」
千夏「麗奈ちゃん…お尻ぺんぺんで済むとは思わないことね」
麗奈「怖い怖い…バズーカは単発式…武器を失ったら、打つ手はないわね」ポイッ \ガシャン/
千夏「そう。殊勝ね…それが嘘じゃないなら、少し減刑してあげるわ」スタスタ
麗奈「ところで千夏…そこの壁に貼られているのは、何なのかしら?」
千夏「そんな手が通用するとでも?加増よ」スタスタ
麗奈「反対側の窓にも、貼られてるわ…そっちのクリップボードにもね」
千夏「くどいわ…」スタスタ
麗奈「実はアンタの足元にも、投げ捨てたバズーカの下にもあるわ…なんなのかしら?アタシにはよくわからないの」
千夏「……………」
千夏「……………」チラッ
千夏「…ッ!?」ピタッ
『大槻唯の写真(えらいかわいい)』
千夏「なっ…!こんな、おたか、じゃなくて…!」
麗奈「本当になんなのかしらね?写真みたいだけど?」ズララララ
千夏「そんなに沢山…!?あなたどこから…!」
麗奈「アタシにはさっぱりなんなのか、わからない!」バラマキ
千夏「私を、買収しようなんて…!」
<チナッターン?ドコイッタノー?
<コッチカラスゲェオトガシタゾ!
千夏「!」
麗奈「あら…Pと唯が追ってきたみたいね」
麗奈「謎の写真がばら撒かれた廊下を、全然関係ない唯が通りかかるみたいね!」
千夏「ぐっ…くっ!」ヒロイアツメ
麗奈「受け取ったわね!?じゃあこれで失礼するわ!カフェで飴でも舐めてなさい!」ダッ
<アーハッハッハッハゲホガホ…
千夏「……………」
唯「あーちなったんいたー☆」
千夏「唯ちゃん…」
P「凛―――!まゆ―――!」ダッ
P「うう…なんてひどい…そっちの休憩室で休んでてくれ…」ダキアゲ
まゆ「!!!!!!!」ヤクトクデスヨォ
凛「!!!!!!!」ハヤクカワレ
P「千夏…麗奈はどこに…どこに行った?」
千夏「………知らないわ」
P「え?」
千夏「私と麗奈ちゃんは、ここでは遭遇していない…それが事実」
P「そんなわけ…」
千夏「ところで唯ちゃん、この後時間あるかしら?いつものカフェに新メニューが出るらしいの」
唯「マジ!?いくいくー☆」
千夏「ふふふ…唯ちゃん可愛い。それじゃあまたね、Pさん」
唯「バイバーイ!」ノシ
P「あっ…はい」
P「……………」ポツネン
P「……麗奈のやつ…バズーカ放り投げていきやがって。危ないだろうが」ヒョイッ
P「ん?下に何か…………っ!?」
『大槻唯の写真(ちょっときわどい)』
P「…………(左右確認)」
P「……………うへへ」ゴソゴソ
\ボフン!!!!!/
P「ブヘァァアッ!?バズーカが、煙幕に…!?」ゲホゴホ
江上椿「どこへやってしまったんでしょうか…私のカメラ…」
麗奈「ああ…いたわね、椿。ほら」つカメラ
椿「麗奈ちゃん…あ!?私のカメラ!見つけてくれたんですか!」
麗奈「…ヒトとして当然の事をしたまでよ」
椿「うふふっ…ありがとう。あら?このストラップ…」
麗奈「付けてなさい…大事な物なら、手離すんじゃないわよ」
椿「かわいい…何から何まで、ありがとう…今度改めて、お礼しますね。…ところで」ズィッ
麗奈「ち、近いわよ…」
椿「…中身のデータ、見てませんよね?」
麗奈「…ええ。勝手に見るわけないじゃない。ヒトとして当然だわ…」
椿「…そうですか♪今回はあんまり良い写真が撮れてなくて、人に見せるのが恥ずかしくて…」スッ
麗奈「こだわりがあるのね…それじゃ」クルッ
椿「今度麗奈ちゃんも、撮らせてくださいね♪」
麗奈「機会があったらね…」スタスタスタスタ
麗奈「被写体選ばなすぎでしょ…何気にアイツが一番ヤバい気がするわ…」スタスタスタスタ
麗奈「…少なくともアンタよりはね」ピタッ
八神マキノ「……………論理的ではないわね」
麗奈「またそれ?論理論理って、結局アンタが何を言いたいのかさっぱりだわ」
マキノ「それはあなたの理解力が足りないのよ」
麗奈「論理ってのは、他人に分かるように考えるもんでしょ?」
麗奈「そもそもアンタ、別にアタシに興味ないでしょ…どいてくれる?」
マキノ「それはその通りだけど…今日の行動はあまりに不合理で、看過できないわ」
麗奈「神経質なのね」
マキノ「誕生日を『祝福してもらえる』なら『受け入れればいい』」
マキノ「誕生日に『日頃の感謝を伝える』なら『言葉や贈り物を届ければいい』」
マキノ「なのに間に余計なアクションを挟んでいるから…意味不明になる。あなたの気持ちは、誰にも伝わらない」
麗奈「前提が間違っているわ。アタシみたいなワルが…祝福とか感謝とか、そういうの有り得ないから。いつも通りのイタズラよ」
マキノ「だったら何故贈り物を置いて回る?そこそこの収入があるとはいえ、安くはないでしょう」
麗奈「報復されないようにフォローしてるのよ。他意はないわ」
マキノ「…そう。まあどうでもいいわ…これからあなたを捕縛する」
マキノ「『あなたを捕えて』『報酬を得る』。こちらはとても単純で、合理的だわ」
麗奈「Pが報酬なんて、アンタにとってはそれが合理的なのかしら」
マキノ「……当然よ。なんでもしてくれると言うなら、なんでもしてもらうわ…」
麗奈「ところでアンタ、またあの温泉行ったらしいじゃない。2回も同じ仕事を受けるなんて…随分気に入ったのね?」
マキノ「話題転換が強引すぎるわ…それがなんだというの」
麗奈「その時こずえがこんなお土産をくれたわ…」ゴソゴソ
マキノ「…ボイスレコーダー?」
麗奈「事務所を出る前にどこかの誰かが渡したみたいだけど…気に入らなかったのかしら?」
麗奈「帰ってくるなり、全然関係ないアタシに押し付けて来たわ」
マキノ「…白々しい」
麗奈「ちょっと再生してみましょうか」ポチッ
『ナニコレー…クレルノー…』『モチアルクダケデイイワヨッ』『バスデルゾー』……
『Oh…シャテキ・・・ムズカシイデス』『フワァ…タマゴー…』『アラアラコボシチャッテマスネェ』『ワタシガフイテアゲマス』
『カポーン…』『フワァー…オンセン…キモチーネー』『コズエチャン…コズエチャン…コズエチャン…』『はぁ、いいお湯…』
マキノ「!」
『背中をつたう汗が、心地いいの』『繊細にも、大胆にもなれるのよ?』『Pに踊らされているわね』
『眼鏡は外すの』『しっとりとした時間も好きよ』『大好き、の一言かしら』
麗奈「……………」カチッ
麗奈「…どう思う?ぬるま湯に浸かったみたいに油断してるけど」
マキノ「…そんなモノが、脅しになるとでも?くだらない…」
麗奈「自分でも、コレはないわーって思ったわ…破棄するわよ」
マキノ「それが妥当ね。私よりあなたの評価への被害の方が甚大だわ」
麗奈「でもアンタに捕まるくらいなら、Pに電話して自首した方がマシね」カチッ
『大好き』『よ』『P』
マキノ「え?」
麗奈「電話してる最中に、うっかり再生しちゃうかもね」
マキノ「………このっ!渡しなさいっ!」バッ
麗奈(あっっぶなっ!)ヒョイッ
麗奈「ああっ今避けた拍子に音量最大まで回しちゃったわ」
マキノ「…………ぐっ…」
麗奈「あのアホならマジモンだと思うかもしれないわね!電話越しだし!」
マキノ「……………」ギリッ
麗奈「そう、そうよ…そのまま後ろに、10歩下がりなさい…そうしたら、投げて渡すわ…」
マキノ「この不条理な気分は…………そうね、今度泣かすわ…」
マキノ「時間の無駄だって心底思うけど、泣かすわ」
マキノ「温泉で緩んでる所に、子供を利用するなんて…油断も隙もない」
マキノ「いえ…油断か。あらゆる可能性を考慮するべきだったわ…」
マキノ「…とはいえ貴重な情報源だから、一通り確認しておきましょう」カチッ
『あん?マキノの良い所?』
マキノ「!」
『お前温泉でコケにされたーってまだ根に持ってるのか?』
『まあそうだな…まずは当然容姿だな。特に体つきが…』
『イテッ!?…そういうのはいい?んー…』
『まず理知的でキリッとしてるよな。ああいうタイプはウチにももっと欲しい…』
『仕事のキモをしっかり飲み込んでから入るから、スタッフにも視聴者にもウケ良くパフォーマンスできる』
『え?お前?理知的(笑)…小指をっ!?』
マキノ「……………」カチッ
『あと最近たまに油断したところ見せてくれる。アレずるい』
『意外と甘い物とか好き。パフェとかチマチマ味わって食べてた。アレ可愛い』
『出会ったころは論理がどうとか固かったけど』
『最近は不可解だっつっても楽しんでくれてるな…プロデューサー冥利に尽きるよ』
『ん?まあ端的に言うと…大好きの一言かね。アダァッ!?』
マキノ「……………」カチッカチッカチッ
『マキノ』『欲しい』『マキノ』『可愛い』『マキノ』『大好き』
マキノ「なるほど…なかなか興味深い素ざ…情報だわ…」テクテク…
P「おっ」ノコノコ
マキノ「あっ」
P「よう事情通。この辺を麗奈が」
マキノ「…ッ!」ダッ
P「しかし にげられてしまった! …なんなの…」
佐々木千枝「あっ…Pさん!おはようございます!」
横山千佳「Pくんおはよーーーー!」ドスン
P「おおっと…ああ千枝ちゃん、千佳ちゃん。おはよう。今日も可愛いね」
千枝「そんなっ…えへへ…」
千佳「ところでPくん、レイナちゃんを捕まえたらご褒美がもらえるって本当!?」
P「ん?ああそうだな…」
千枝「なんでも言う事、聞いてくれるんですか?」
P「おっ…おう…そんな事言った気も…」
千枝「なんでも、ですよね?(熱のこもった視線)」
P「はい、その通りでございますお嬢様。何なりと仰せになってください(紳士)」
千枝「それじゃあ…麗奈ちゃんの誕生日パーティの場所取りを、お願いできませんか!?」
P「…今日?」
千佳「今日じゃないと意味ないでしょー?」
P「しかしデートが…いや、まあ…いいか。修学旅行って言われたし」
「「?」」
P「いや、なんでもない…フフフ、果たして捕まえられるかなッ!?」
麗奈「…そろそろ脱出の準備に移った方がいいわね」タッタッタッ
麗奈「見つからなかった連中には、また後日でいいでしょ…」タッタッタッ
麗奈「…………?」ピタッ
脇山珠美「そこまでです、麗奈ちゃん」ニオウダチ
麗奈「仁王立ちになってない…ッ?」/カチャッ\
???「とった!」
麗奈「上からッ!?」バッ
浜口あやめ「躱しましたか…なかなかやりますね」シュタッ
麗奈「アタシに騙し討ちが通じるとでも…!?」
大和亜季「見つけた!少々やり過ぎですあります、麗奈!」ダダダダ
麗奈「後ろからも…!」
あやめ「逃げ場を失いましたな」
珠美「ふふふ…少々卑劣ですが、これも珠美のイケイケでクールな仕事のためです」
亜季「貴様は完全に包囲されている!大人しく投降せよ!今ならお尻ぺんぺんで許してやるであります!」
麗奈「くっ…だったらこっちも、出し惜しみ無しよッ!」ゴソゴソ
-10分後-
四人「「「「………………」」」」
あやめ「不覚…まさかその大荷物自体が、爆弾として機能するとは…ばたり」
亜季「鹵獲した武器が暴発するとは…やはりレイナ製は駄目でありますな…ばたり」
珠美「普通に負けました…ばたり」
麗奈「ハァー、ハァー、ハァー、…ゲホッゴホッ…はぁ」
麗奈「…殆どの武器を持ってかれたわ…真奈美とか清良とか早苗とかに遭遇しないよう、祈るしかないわね…」
丹羽仁美「……………」
麗奈「………アンタはかかってこないの?」
仁美「え?ああ、アタシは別に興味ないわー」
麗奈「そう…ならコレあげるわ…」ゴソゴソ
仁美「映画のチケット…?あっコレ『SENGOKUデルタフォース』!」
仁美「戦国の世にタイムスリップした現代米軍のえげつない無双!」
仁美「そしてそれに対抗するため団結する武将たちのドラマの両側面を描く!」
仁美「300億円を注ぎ込んで製作、全米と奏ちゃんが泣いた話題作!」
仁美「くれるの?アタシ別に何もしてないんだけど」
麗奈「イチイチひとりずつ探す手間が省けたわ…それじゃ」
仁美「ありがとー♪早速3人とも起こして見にいこっと♪」
麗奈「うっ」
クラリス「…………⌒_⌒」ニコニコ
麗奈「…な、なによ…何見てんのよ」
クラリス「…………⌒_⌒」ニコニコ
麗奈「アタシのイタズラを咎めようってんなら、無駄よッ!天罰なんか下らないわ」
クラリス「………… ̄_ ̄」スッ
麗奈「な、なんか言いなさいよ」
クラリス「………<●>_<●>」カッ
麗奈「ヒェッ・・・」
クラリス「………<●>_<●>」
麗奈「ちょっと…やめなさいよ…そんな目で、こっちを…」
クラリス「………<●>_<●>」
麗奈「わ、わかった…わかったから…今度ボランティアでも手伝うから…見逃して…」
クラリス「………<●>_<●>」
クラリス「…………⌒_⌒」ニコニコ
クラリス「…………」スタスタスタスタ…
麗奈「……………なんなのよ…」
\ニャーン…/
麗奈「11時30分…ここまでね。そろそろ脱出しないと、間に合わなくなる…」
龍崎薫「あー!レイナちゃんいたー!」
麗奈「!?」
佐城雪美「ペロが…見つけてくれた…よ…?」
日下部若葉「お手柄ですね~」ナデナデ
古賀小春「ペロちゃんもぺろぺろです~」
麗奈「わらわらと…!?」
千枝「これから皆でお祝いしてあげますねっ。Pさんにお願いして、手配してもらいますっ」
麗奈「P…アイツときたら…子供たちに頼るとか…」
柳瀬美由紀「カニ食べにいこうよ!カニ!じょしりょくアップだよ!」
大沼くるみ「かにさん…えへへ…美味しそうでしゅ…」
「ふひひ★」
橘ありす「人数では圧倒的にこちらに分があります。包囲戦術…さながらハンニバルですね」フンス
千佳「はにばる?って言うのはよくわからないけど!囲んじゃえー!」
福山舞「皆で手作りのプレゼント、持ってきたんですっ」
成宮由愛「えへへっ…私は絵を…」
「「「「え?」」」」
「ここが楽園かな★」
薫「にげろーーーー!」
「えっなんで★みんなでパーティーしようよ★なんならアタシが全額もつから★」
雪美「★が…増えてる…たぶんあぶない…」
小春「ぺろぺろされちゃいます~!?」
くるみ「ふえぇぇぇーー!」ズベシャァ
ありす「逃げたら逆に追ってきます!囲い込んで戦闘不能にするんです!ミツバチの蜂玉のように!」
「かもーーーーーーん★」
美由紀「それ内側の人が犠牲になるやつだよ!」
麗奈「この隙にっ…!」バッ
千枝「誰か大人の人を…あっ麗奈ちゃん…!」
若葉「私がオトナですってば!あっ…!?」
「若葉ちゃん捕まえた~★」
麗奈「…真奈美と清良と早苗のL○NEグループにあの惨状を流してやったわ…そのうちなんとかするでしょ」
<タッタッタッ
麗奈「…チッ。追ってきたわね…」
舞「待って!レイナちゃん!」
麗奈「もう…アンタたち、アタシをPに突き出して、どうしたいのよ…」
由愛「突き出すってそんな…私たちは…」
麗奈「言ってみなさいよ…アタシをとっ捕まえて、Pに何してもらうっての?」
千佳「レイナちゃん…あたしたち…」
麗奈「…今のは忘れなさい。ちょっと疲れてるわね、アタシ…じゃあ、これで…」クルッ
千佳「あたしたちは!」
麗奈「!」
千佳「あたしたちは…Pくんに、もう一回、マジカルテットのお仕事したいって…お願いしたい」
麗奈「……………」
由愛「大変だったけど…とっても楽しかったから…もっと一緒に、やりたかったの。でも…」
舞「…ムリヤリ捕まえようとして、ごめんなさい…」
麗奈「……………」
舞「あの、皆のプレゼント、だけでも、受け取って…」スッ
麗奈「……………」パシッ
麗奈「……………」ゴソゴソ
麗奈「………ありえないわ。貰うばかりなんて、性に合わないのよッ!」\バシィン!/
舞「きゃっ!?何…?」
由愛「これ…企画書?『マジカルテットR クィーンレイナと愉快な下僕たち』…」
千佳「レイナちゃん…!」
麗奈「それ読んで役作りしてなさいッ!アタシの脚本に泥塗ったら承知しないわッ!」ダッ
<アーハッハッハッハッハ!
-プロダクション西側裏門-
P「くくくのく。考えてみれば分かることである」
P「プロダクションを脱走するなら、奴は恐らくここを使うだろう。塀は乗り越えるには高いからな」
P「ならばここに罠を張って待ち伏せすれば、向こうから網に飛び込んでくるという次第」
P「念の為正門の警備員にも話通してるし、万全の態勢…」
ちひろ「ふざけんな」ベリベリ
P「あぁーーーー!?何すんだ!折角作ったトラップを!」
ちひろ「いつまで油売ってんだボケ。仕事しろボケ」
P「今日有給くれたんでしょ!?」
ちひろ「チッ。…そうでしたね。でもじゃあなんでオフに職場で遊んでるんです」
P「いつものことでしょ」
ちひろ「常態化させてんじゃねえよ」
-プロダクション北側-
麗奈「まさか普通の出入り口使うわけないじゃない…ここから路地に抜けるわ」
麗奈「この塀…ちょっと高いけ…ど…っと」ヨジヨジ
麗奈「あっ!?」ズルッ
麗奈(やっ、やばっ…)
??「おっ、とと…」ガシッ
麗奈「えっ…?誰………」
古澤頼子「…もう。麗奈ちゃん…危ないですよ?私がたまたま通りかかったから良かったものを…」
麗奈「…頼子?なんでアンタがこんな裏路地を通りかかるワケ…?」
頼子「たまたまはたまたまです。そんな事より…二度とこんなことしちゃダメですよ?いいですね」
麗奈「ぐっ…うっさいわね!誰が言う事なんか聞くもんですかッ!」ダダダッ
頼子「あっ………」
麗奈「……………」クルッ スタスタ
頼子「……………?」
麗奈「…助かったわ。コレ、あげるわ」スッ
頼子「美術展の、チケット…私に?」
麗奈「じゃあ今度こそオサラバよッ!」ダッ
頼子「……………ふふっ」
-池袋ラボ-
頼子「晶葉ちゃん。いますか…?」ウィーン
晶葉「頼子か。例のアレは?」クルッ
頼子「ちゃんと付けましたよ…発信機、ですか」
晶葉「助手に頼まれてな…まあ色々勝手に機能を足したが」
晶葉「麗奈のイタズラ心はたまに良いインスピレーションをくれるな。しかも今回は試験までしてくれる」クックック
頼子「もう…ほどほどにね?ところで…」スッ
晶葉「ん…?美術展…?」
頼子「一緒に行きませんか?私はもう何回か行っていますが…二人なら、別の視点から見られるかも…」
晶葉「ふぅん…『下見』か?」
頼子「なんのことやら…」
晶葉「まあいいだろう…ロボットの造形の参考が欲しいと思っていたところだからな…」
-コンビニ前-
麗奈「…これ、発信機よね…機能を追加しまくってゴテゴテになる感じは、晶葉かしら」\ナンダト!シツレイナ!/
麗奈「…通信機でもあるのね…それこそスマホでよくない?」\シマッタ!/
麗奈「まあ、着けたままにしておきましょう…好都合だわ。いちいちPを誘導しなくてもいいもの」グー
麗奈「…ちょっとお腹空いたわ。サンドウィッチでも…」ウィーン
向井拓海「おっ」
麗奈「あっ」
藤本里奈「レイナちゃんじゃ~ん?どしたん?」
麗奈「メンドくさいのが…」
拓海「ご挨拶だな…話は聞いてっけど、別に何もしねーよ」
拓海「いやむしろわかるぜ。Pの野郎にまた変な服着せられそうなんだろ?アイツはいっつも…」
里奈「そんなこと言って~♪ホントはかまってくれてうれちー☆って思ってるっしょ?」
拓海「適当な事いうんじゃねえ!」
拓海「…ああ、それでだ。誕生日おめでとう、だな」
里奈「おめぽよ~♪プリンあげちゃう!」
麗奈「そう…ありがとう。ところで拓海」
拓海「あん?なんだよ」
麗奈「今度はペンギンモチーフ衣装だそうよ」
拓海「あの野郎!ぶっチメてやる!」ダダダッ \ブロロンブロロン/
里奈「あー待ってたくみん!」
麗奈「ちょっと待ちなさい」ゴソゴソ
里奈「んー?皮手袋?ピカピカの新品!」
麗奈「アンタのも拓海のもボロボロじゃない…アイドルなら、手にもちゃんと気を遣うべきだわ」
里奈「コレくれるの?うれちー☆ボロボロにならないように飾っとくね!」
麗奈「使いなさいよ…」
-大通り-
麗奈「そろそろPに追いつかれてもおかしくないんだけど…」
晶葉『助手なら拓海にボコボコにされてるようだぞ』
麗奈「普通に話しかけてくんじゃないわ…どんな発信機よ」
晶葉『君の独り言が大きくて気になるんだ』
麗奈「…まあいいわ。出来れば適当な所で止めてあげて」
晶葉『わけがわからないな。捕まえられたくないのに追いつかれたいのか?』
晶葉『一体どこに向かっているんだ、君は』
麗奈「さあね。天才ならアタシの行先くらい予想してみれば?」
晶葉『進行ルートから行先は大方予想はついている。だがなんの為に?それがわからない』
麗奈「実はアタシにもよくわかってないわ」
麗奈「…行先の予想がついてるなら、もうこんなの必要ないわね。電池抜くわ」
晶葉『待て!まだ試したい機能が山ほd』ブチッ
麗奈「アタシで何を試そうとしてんのよ」
麗奈「………山ほど?こんな小っちゃいのに?…なんとかその技術盗めないかしら…」
依田芳乃「見つけましてー」
仙崎恵磨「本当だ!おおーーーっす!麗奈ーー!」
麗奈「!?…うるさっ…!」
恵磨「今日誕生日らしいじゃんっ!?パーティするしかないじゃんっ!?徹カラするしかないじゃんっ!?」
芳乃「未成年の連れ回しは、いけませぬー」
麗奈「ちょっと…こんな人通りの多いところで、騒ぐんじゃ…」
恵磨「むしろ通行人にも、祝ってもらおうぜー!そっちのおにーさんも!あっちのお婆ちゃんにも!」
芳乃「ほほー。万人の祝福を得る…それもまた、あいどるの一面かとー」(おもむろに法螺貝を取り出す)
麗奈「ちょっと!?やめなさ…皆コッチ見てるじゃない!」
芳乃・恵磨「「…すぅぅぅぅううううう(深呼吸)」」
麗奈「…『まんじゅうこわい』!」ドシュッドシュッ
恵磨「もがっ」スポッ
芳乃「ふごっ」スポッ
麗奈「これやるから!黙って帰りなさい!いいわね!追ってくるんじゃないわよ!」ダッ
『オンセン・マンジュー(パリジェンヌ風)』
芳乃「………」モグモグ
恵磨「………」モグモグ
芳乃「………」ゴクン
芳乃「…熱いお茶が一杯怖いかとー」
恵磨「ふぉうふぁな!!!」ブフォァッ
芳乃「叫ぶ前に飲み込むべきでして」
-東京駅前-
麗奈「やっと着いたわ…なんでアタシこんな不合理な事してんのかしら…マキノじゃないけど…」
麗奈「Pは…ああ、いたわね…人ごみに呑まれてるけど…なんとか間に合いそうね」
<ス、スミマセン、トオシテ…ウワァァァアア
麗奈「…間に合うのかしら…」
???「そこまでだぞ!麗奈!」
麗奈「あぁ?チッ…この声…」クルッ
光「今日も今日とてイタズラ三昧!お天道様が許しても、このアタシが許さないぞ!」
三好紗南「楽しいハンティングゲーム!って言ったらちょっと悪趣味だけど!」
麗奈「出やがったわね…!」
光「麗奈!アタシは怒ってるぞ!」
麗奈「好きなだけ血圧上げてなさいよ」
光「でもそれは今日やらかしたイタズラの事じゃない!それはいつもの事だからな!」
麗奈「さっきの口上と食い違うんだけど」
光「アタシが怒ってるのは…PもL.M.B.G.の皆も、恵磨さんも芳乃ちゃんもアタシ達も…」
光「麗奈を祝福したいのに!そこから逃げようとしてることだ!」
麗奈「…勝手に祝おうとして、勝手にキレてんじゃないわよ…」
光「誕生日くらい、素直になってもいいじゃないか!」
光「変な遠慮とか、ドッキリとか、駆け引きとか、そういう回りくどいのいらないだろ!」
麗奈「……………勝手なコト言ってんじゃないわよ、イイ子ちゃん」
紗南「あたしは別に怒ってなんかいないけど、今日のレイナちゃんはちょっと変だよ」
麗奈「変?なんのことよ」
紗南「いやいつも変っちゃ変なんだけど。何て言えばいいのかな…」
麗奈「誰がいつも変ですってぇ?」
紗南「例えば普段のレイナちゃんなら、さっきみたいな場合…」
『それもそうね!中々いいアイデアだわ恵磨!芳乃!愚民ども!このレイナサマの生誕祭よ!
車も歩みも地下鉄も止めて、アタシに平伏して祝福を捧げるのよッ!
アーハッハッハッハッハゲホゴホガホゴホッ…ぐふっ』
紗南「…みたいな序盤中ボス感丸出しの」
麗奈「アンタ、アタシをなんだと思ってんの」
紗南「なんか妙にしおらしいっていうか…臆病な感じ?それとも照れてる?ツンデレ?」
麗奈「…サブイボ出たわ。…ツンデレとか変な事言うからよこのゲーム脳」
紗南「とにかく!今日は引き摺ってでも連れてくよ!」
光「今日くらい一人でワルぶらなくたっていいだろッ!」
麗奈「………………いいえ。アタシは悪よ。例えばこんな風に」ゴソゴソ
光「また武器かっ!いいだろう、受けて立つッ!」
麗奈「武器は使い切ったわ…コレくらいしか、残ってない」つ◎
光「…ディスク?脅迫か?買収か?その手には…!」
紗南「待って光ちゃん!アレは…!」
光「………………!アレは…嘘だろ………!?」
紗南「『超時空勇者オーディウス』の…ゲームディスク…!」
光「そんな…実在していたなんて…」
麗奈「そう…20XX年放映の特撮作品、『超時空勇者オーディウス』を原作とした、3D対戦格闘ゲームよ」
光「原作視聴率は極めて低く、殆ど売れなかった…アタシが一話切りを考える程に…全話見て軽く後悔する程に…」
紗南「後にゲーム自体の完成度の高さと面白さが認められた時には、あとの祭り…」
麗奈「制作会社は倒産し、中古市場にもほとんど出回らない…幻のゲームになったわ」
紗南「いったいどうやって手に入れたの…!?」
麗奈「なんかパ…父親が持ってたわ。そんなことより…これ、欲しい?」
紗南「もちろ「買収には、乗らない!」
紗南「…光ちゃん!でも…」
光「買収なんかさせて、麗奈を悪者にするくらいなら、…いらない!」
麗奈「…そう。奇遇ね…実はアタシもこんなモン、いらないわ」ググッ
紗南「あ、あぁ…そんな…」
光「……ぐっ……」
麗奈「……………」グググッ
紗南「……………うぅ…」
光「……………」
麗奈「……………」ググググッ
紗南「……………!」ギュッ
光「………………!」ギュッ
麗奈「……………アタシの負けよ」パッ
光「…………えっ?」
紗南「…………レイナちゃん……」ホッ
麗奈「今日の所は負けを認めるわ…流石に勿体ないもの。根負けだわ」
麗奈「チキンレースに負けたんだもの…煮るなり焼くなり、好きにしなさい」
光「……………」
紗南「……………」
麗奈「………どうしたの?早く捕まえればいいわ…でないとサッサとトンズラするわよ」
光「…なあ麗奈?今日の奇行は、麗奈なりに考えがあっての事なんだよな?」
麗奈「どっかの考え無しとは違ってね」
光「麗奈なりに、一生懸命計画を立てて、準備してたんだよな?」
麗奈「悪には遠大なプランが必要なのよ」
光「この後皆でパーティ開くって言っても、変更したくない?」
麗奈「でなきゃここまでしないわよ」
光「後日改めてやるって言ったら、参加してくれる?」
麗奈「…考えなくはないわ」
光「なら…いいや。今日の所は、これくらいで勘弁してあげる」
紗南「それはレイナちゃんの負け台詞だよ」
麗奈「どういう意味よ…なら、そろそろ行くわね…Pがこっちに気付いたみたいだし」
<イタゾ!イタゾォォォォォオ!
紗南「あー…これからどうしよっかな…一気に暇になっちゃったよ…」
麗奈「あっそ。なら…これで暇つぶしするといいわ」
光「え?」
麗奈「…………ん!」つ◎
光「…これは、受け取れない」
麗奈「…貸すだけよ。アンタにあげる物なんてないわ。貰う物もね」
光「…そっか。じゃあ100倍にして返してやる」
紗南「…レイナちゃん。知ってるだろうけど…このゲーム、4人対応なんだ」
麗奈「…ふん。ボコボコにしてやるわよッ」タッタッタッ…
-東京駅構内-
P「見つけたァ!今度こそ逃がさねえぞ!麗奈!」ダダダダ
麗奈「駅で走るんじゃないわよッ!?」
P「競歩だから問題ない!」
<スミマセン、ホカノオキャクサマノゴメイワクトナリマスノデ
P「あっすみませんすみません…」ペコペコ
P「あっ!?改札に入りやがった…待て麗奈!」
P「祝わせろ!祝わせろぉぉぉおおお!」つSuica
<オキャクサマ!!!
P「あっすみませんすみません…」ペコペコ
-新幹線改札-
麗奈「コレ、あそこのスーツ着た変な男と一緒に」
<ハイイイデスヨー、デモデキレバジドウカイサツツカッテクダサイネー
<アレ?キミドッカデミタヨウナ
麗奈「どうも…」スタスタ
P「待て麗奈!どこへ行くつもりだ…!」
<ハイオニイサンモハヤクハイッテー
P「えっ!?…あっ…ハイ…アレ?
-新幹線ホーム-
麗奈「………ギリギリね」
麗奈「しかし…何て言うのかしら。先っちょの形変よね、コレ」スッ
P「………いいよなあE5系。特にこのノーズの形が…ロゴマークもかっちょいいし」
P「…色が事務員カラーなのはいただけないが。いやそんなことより…」キョロキョロ
P「あっいた麗奈!待て…乗り込んじまった…」/マモナクハッシャイタシマス\
P「ぐっ…!南無三!」バッ
<ドアガシマリマス
-車内デッキ-
P「…………ああ…動きだしちまった…」
麗奈「駆け込み乗車は危ないわよ?お客様?」ニヤニヤ
P「………お前なあ…好き勝手振り回しやがって…」
麗奈「それはお互い様でしょ?大体アタシに好き勝手させるのがアンタの仕事じゃない」
P「ハァ…まあいいや。折角だから最後まで付き合うよ…」
P「乗り掛かった船ならぬ、乗り掛かった新幹線だ。船には乗れなくなったからな」
麗奈「船?なんの話よ…アタシをどこに連れてくつもりだったの…?」
-10号車-
P「……………!」ソワソワ
麗奈「落ち着きなさいよ」
P「いやだってお前…グランクラスなんだぜ?」ヒソヒソ
麗奈「だぜって言われても」
P「距離にもよるけど、席料だけでも大抵グリーン席の2倍以上とられるんだぜ」ヒソヒソ
麗奈「そのくらい問題ないわよ」
P「仕事で使う時も基本運賃しか経費で落ちないんだぜ!?」
麗奈「経費落ちるだけマシでしょ。騒がないの」
P「うわぁシート広い…柔らけえ…寝るわコレ」
麗奈「ガキかっての」
P「………zzz」
麗奈「はやっ!?………」ゴソゴソ
麗奈「………疲れてんのね。半分くらい自業自得だとは思うけど…」つ『ブランケット』
麗奈「お疲れ様、P」ファサッ
P「起きた。今どのあたり?」パチッ
麗奈「んふふっ…と、栃木、あたり、かしら…」プルプル
P「何わろてんねん。…ん?これ、麗奈が掛けてくれたのか?」
麗奈「そ、そんなお優しいことすると、思う?ふぅっ、ふふっ…」プルプル
P「でもこの匂いは麗奈だ」クンクン
麗奈「匂ってんじゃないわよ」バシッ
P「いてっ。…寝たら喉乾いたな。腹も減った…すみませーん、アテンダントさん」
<ハッ、ハイ、オノミモノ、デスカ?フフフッ…
P「ウーロン茶で。あとお弁当もお願いします…何わろてんねん」
麗奈「アタシはアップルジュースで」ニヤニヤ
<ハイ、ショウショウ、オマチ、クダサ…フフッ…
P「…なんなの?」
麗奈「あとで鏡見てみるといいわ」ニヤニヤ
P「すげえな。これタダなの?すげえな」モグモグゴクゴク
麗奈「アイドルに手ェ上げるとかないわ…」オデコヒリヒリ
P「やかましい。…お前も食え。美味いぞ?タダだぞ?」
麗奈「タダじゃないわ…それ込みでの料金に決まってるじゃない」
P「つまり席料を払えば無料でメシが食えるってことだろ?」
麗奈「その金銭感覚はどうかしてると思うわ」
P「おかわりしまくって黒字にしてやるぜ」
麗奈「軽食は一回きりよ…ドリンクで溺れる気?」
「「………………………」」
P(その後、二人で暫くくだらない話をして…)
P(でもだんだん口数が少なくなっていって…二人とも無言になる)
P(麗奈は…疲れているのだろう。ウトウトしながら窓の外をぼんやり眺めている)
P(…この子がどこに俺を連れて行くつもりか、そろそろ察しがついていた)
P「…これ、福島で乗り換えられないけどいいのか?」
麗奈「…そうね。仙台までいくわ…もうちょっと寝てていいわよ」
P「…お前が寝たら、新青森まで行っちゃうぞ」
麗奈「函館までかもね」
P「そういやそろそろ開通だったか…まあ、起きてるよ。また落書きされたらたまらん」
麗奈「それはフリかしら?」ニヤニヤ
P「ちげえよ」
P(それっきり、無言だった。麗奈は窓の外を眺める作業に戻って、俺は備え付けの冊子に手を伸ばす)
P(それから仙台まで、おおよそ30分。大して長くないけど、普段なら無言に耐えられない)
P(でもこの子とは、無言でも心地良いな、と思った)
-仙台駅-
P「早い!グランクラス早い!」
麗奈「座席は速さに関係ないわよ」
P「いやこう、相対性理論的な…もっとゆっくりしたかった…」
麗奈「帰りのも取ってあるから、ありがたく思いなさい…それより乗り換えるわよ」
P「ああ…仙山線のホームってどっちだ?乗ったことなくてな」
麗奈「こっちよ。ついてきなさい…」
-電車内-
P「…こんな山の中走るんだな…よく乗ってたのか?」
麗奈「ええ…買い物したり遊んだりするのに、よく仙台に行ったのよ」
P「山形じゃだめなのか?」
麗奈「東京に比べたら田舎だけど…それでも地元よりは、ずっと都会だわ」
麗奈「…青葉城址にアタシの城を建ててやるって思ってた」
P「無駄に壮大だな」
麗奈「ちっぽけよ。…東京に出るまで、アソコがアタシの世界で一番栄えてるトコだった」
P「……………」
麗奈「伊達政宗を蹴落として、代わりにレイナサマ像を建てて…それで世界大統領よ」
麗奈「…………思ったより、世界は広かったけど」
P「…………でも麗奈なら、世界を掴めると思うぞ。いや、掴ませてやる」
麗奈「・・・・・・フンッ。何今更、当たり前の事言ってんのよ…」
P「…これはまだ秘密なんだけどな。まあプレゼントの一つって事で」
麗奈「何よ」
P「今度、海外の仕事が決まった。ノルウェーだ」
麗奈「!」
P「世界進出の第一歩だな」
麗奈「ノルウェー…どの辺りだったかしら」
P「ん…ヨーロッパの北の方に、ぴょろっと垂れてるのがあるだろ?スカンジナビア半島ってんだけど、あの辺り」
麗奈「携帯の地図使った方が早かったわ」スッスッ
P「………………」
麗奈「…ほとんど北極じゃない。寒そうね」
P「そうだな。でも寒いだけあってオーロラが見える。実は俺も初めてなんだ」ワクワク
麗奈「……………」
P「緊張してる?」
麗奈「…まさか。このレイナサマが海外くらいで緊張するわけないじゃないッ!」
麗奈「ノルウェーを席巻して、そこを足がかりに海外侵略よ!ヴァイキングみたいにね!」
P「その意気だ。さすがレイナサマ」ワシャワシャ
麗奈「あっこら!頭撫でるんじゃないわよ!」
P「………………」グリグリ
麗奈「いつまで触ってんのよ」
P「………………」ナデナデ
麗奈「ひゃっ!?…おでこ触んなって言ってんでしょ!」
P「この照れ屋さんめ」サスサス
麗奈「ハァ!?」
P「ところでいきなり実家に帰って何をするんだい」
麗奈「ヒミツよッ!まあでも取り敢えずピンポンダッシュくらいは…」
P「イタズラ挟まなきゃ日頃のお礼もできないやつはこうだー」ウリウリ
麗奈「だからそう言うのじゃないっての!どいつもこいつも!」
P「任せとけ」
麗奈「…?何を」
P「親御さんに上手くお礼言えなくても、お前の良い所とか、頑張ってる事とか、ちゃんと伝えるから。最低50個」
P「その為に連れて来たんだろ?…お前はお前で、元気な姿見せてやれ。二人がかりで安心してもらおう」
麗奈「…フン。別にそう言うつもりじゃないわよ…」
麗奈「ただ、アンタを好き放題連れ回すのは、最高のバースデーイベント。それだけ」ニヤッ
P「ぬかしよるわ」
麗奈「どう?自分のプラン台無しにされて、こんな所まで連れて来られて…流石に愛想が尽きたんじゃない?」
P「いや全然。安心していい。むしろ大好き」
麗奈「…ここまでやりたい放題されて、まだついてくる奴なんてアンタくらいのモンよ…」
/ツギハ、○○ニトマリマス\
麗奈「…次で降りるわよ…ねぇ、P」
P「なんだい」
麗奈「仮にアタシの今日の悪行のウラが、実は日頃のお礼とやらだったとしてよ?」
P「やっと認めたか」
麗奈「万が一にもありえないわ…その上で仮に、よ」
麗奈「自分の番はもう終わり、だなんて思わないことねッ!」
P「え?このプチ旅行がプレゼントじゃないの?」
麗奈「まさか。後で交通費請求するから」
P「そんなご無体な!」ガーン
麗奈「ククッ…そうよ、そのアホヅラが見たいのッ」
麗奈「イタズラだろうがお礼だろうがご褒美だろうが、アンタにはいくらしてもし足りないわ」
麗奈「もっと目一杯、好き勝手に、振り回してやる…アンタは、アタシの手足なんだもの。…だから、」
「アタシにしっかり、ついてきなさいッ!」
P(その後、ご実家に挨拶に伺って、約束通り麗奈の活躍ぶりを熱弁した)
P(顔を真っ赤にした麗奈が自室からバズーカを持ち出したが、構うことは無い)
P(末永くよろしくお願いしますとの事だ。アイドル活動にご理解頂けて何よりである)
P(泊まって行ってはどうかと言われたが、明日からまた仕事があるので、お暇する)
P(帰りの電車が来るまで、麗奈に地元を案内して貰ったり)
P(仙台で彼女の馴染みの店を冷やかしたり、牛タンとか食べたり…)
P(仙台だから牛タンってベタ過ぎない?などと言われたが、美味い物は美味いのだ)
P(暫くぶらついてから、9時半発の新幹線に乗って…東京に帰ると11時)
P(女子寮まで送って行くと、もう日付が変わる直前だった)
P「…改めて。誕生日おめでとう。明日からもよろしくな」
麗奈「ええ。…今日は割と楽しかったわ…」ウツラウツラ
P「それは何より…眠そうだな。ベッドまで運んでやろうか?」ウヒヒ
麗奈「…いらないわよこの変態…ねえP」ウトウト
P「どうした?」
麗奈「今から寝言を言うわ。一回しか言わないから、耳かっぽじって聞きなさい」
P「…?」
麗奈「…いつもありがとう。これからもよろしくね」
P「!」
麗奈「…そ、それじゃあねッ!」ダッ
P「おう!こっちこそありがとう!」
麗奈「夜中に大声出すんじゃないわよ!」
<バタン!!!
P「…………」ニヤニヤ
P「さて…じゃあ、お仕事頑張りますか…」ニヤニヤ
-深夜、某プロダクション-
ちひろ「こんばんは、本日のログイ…うわ何にやついてんですか気色悪い」
P「気色悪いとはなんだ」
ちひろ「いや相当気色悪いですよ…職質とかされませんでした?」
P「3回ほど…いいじゃないですか、今幸せなんですよ」
ちひろ「勘弁してください…プロデューサーが逮捕とか、私イヤですからね」
P「お?」
ちひろ「今日…いえ昨日ですか。遊んでるうちに、山ほど仕事が出来てるんですから」ドササッ
P「おお…」ゲンナリ
ちひろ「頑張ってくださいね!ドリンクいかがです?」
P「いりませんよ。アイドルの笑顔だけで、俺は頑張れるんです」キリッ
ちひろ「じゃあ給料いりませんね」
P「それだけはゆるして」
以上になります。
改めて誕生日&アイプロ出演おめでとうございます
HTML依頼出してきます
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