魔王「配達に行くか・・・」(33)
魔王「久しぶりの仕事だな」
娘「魔王、どこ行くの?」
魔王「急に仕事が入っちゃって」
娘「ふぅん」
魔王「いい娘で留守番しているんだぞ」
娘「うん」
娘「あのさ」
魔王「今は忙しいから、おしゃべりはまた今度な」
魔王「じゃあ行ってくるよ」
娘「・・・」
娘「あたしも連れてってよ!」
魔王「何だ、お前も行くのか」
娘「行くの」
魔王「仕事の邪魔するなよ、じゃあ早く着替えろ」
娘「このまんまでいいよ」
魔王「いや、その服装じゃおかしいだろ」
魔王「もっとマシな服持ってなかったっけ?どこやったんだよ」ガサゴソ
魔王「あったぞ、これに着替えろ」
娘「はいはい」
魔王「早くしろよ」
娘「エッチ、何眺めてんの!あっち行っててよ!」
魔王「子供だろうが、人目なんか気にせず着替えろよ」
魔王「先にトラック乗ってるから急げ」
魔王「俺のトラックもずいぶん汚くなったものだな」
魔王「途中で洗車場を見つけて洗うとするか」
娘「お待たせしました」
魔王「よし、行くか」
娘「まだ乗ってない」
魔王「お前、一人で乗り込めるのか?抱っこしようか?」
娘「大丈夫だよ」
魔王「本当か?」
娘「おっと・・・よいしょっと・・・わたたたっ!落ちる!」
魔王「危ねえな」ガシ
娘「くっ・・・よいしょ」
娘「何で助けたの」
魔王「何で俺が文句言われてんの」
魔王「それじゃ、出発進行」
娘「今日はどこ行くの」
魔王「配達だって言ったろ」
娘「そうじゃなくて場所は?って聞いてんの」
魔王「場所はいつもの卸売市場だよ」
魔王「あとな、そういう乱雑な言葉遣いをどうにかしろ」
娘「魔王だってしてるよね」
魔王「丁寧な話し方をする魔王ってどうよ」
娘「魔王って言うかさ、配達とかしてる時点でもうタダのおっさんじゃん」
魔王「"魔王"の副業なんだからいいだろ別に」
娘「魔王、お腹空いた」
魔王「そう言えば朝飯まだだったな」
娘「何かないの」
魔王「無いな、次のSAで何か買おう」
娘「飴とかは」
魔王「そんなに腹減ってるのか、飴ならあるぞ」
娘「サンキュー」
魔王「ダンメンシュニッ」
娘「それどういう意味?」
魔王「どういたしまして、という意味だ」
娘「そっか」
娘(こいつマジで感謝されてると思ってんの?どんだけナルシ)
魔王「さ、着いたぞ。今日も朝早くから込み合ってるな」
娘「はぁー疲れたー」
魔王「まだ7kmしか走ってないけどw」
娘「あと何km走るつもりなの」
魔王「工場で荷物を積んでさらに卸売市場に行くから、あと数十kmは走るぞ」
男「ん?魔王じゃないか」
魔王「ん?」
男「俺だよ、覚えてるか」
魔王「ああ、男か!しばらくぶりだな」
男「俺はこれから調布の方へ行くんだが、魔王は?」
魔王「俺は東京方面に」
男「調布も東京だぜ」
魔王「調布は、広島だろ?」
娘「ねえ、お腹すいた」
男「お金あるから何か買って来いよ」
娘「200円じゃおにぎり1個ぐらいしか買えないな」
男「娘か?」
魔王「ああ、まあそんな様な所だ」
男「折角再会できたんだしノンアルで一杯やるか」
魔王「じゃあ一杯だけ」
娘「あたしもお邪魔します」
男「乾杯!」
魔王「乾杯!」
娘「やっぱりコーラは旨いなぁ」
魔王「じゃあそろそろ失礼するぞ」
男「安全運転でな」
魔王「ああ」
娘「魔王、また乗せてくれる」
魔王「しょうがないな、よいしょ」
娘「これからどこに行くの」
魔王「中央卸売・・・いや、もっと先にある倉庫に寄って荷物を積むんだ」
娘「うん、じゃあ着いたら起こしてねzzz」
魔王「寝るの早!」
魔王「着いたぞ」
娘「んん、魔王、ティッシュ、よだれが・・・」
魔王「はい」
娘「うん」
娘「服がよだれまみれだ」
魔王「他の液体は出てないだろうな」
娘「魔王が起こしてくれたから出てないよ」
魔王「それなら早く行って来いよ、さっきコーラ飲みまくってたから結構出ると思うぞ」
魔王「娘がいないスキに積み込んでおかないと」
魔王「相変わらず旨そうな肉だな」
老人「ええ、そこにある生豚肉と・・・奥のほうにも牛肉があったな」
魔王「奥に放り込んだって悪くなってないのか」
老人「これです、これもお願いしますね」
魔王「しかし何で俺を呼んだんだ?いつも雇っているドライバーはどうした」
老人「それが階段から落ちて両足を骨折したみたいなんですよ」
魔王「足から着地したのか、それはそれで幸運だったな」
老人「だから今回は魔王さんを呼んだんですよ」
魔王「俺のこと覚えてたんだな、忝い」
老人「ではお気を付けて」
娘「またね」
魔王「よくも俺のことを覚えていられたものだ」
娘「1回だけうちに来たことあるけどその時もかなり歳いってたのにさらに長生きしてさ」
魔王「おまけに中々頭がボケないという奴」
娘「しかも現役で牧場経営しているという魔物である」
魔王「ああ、あいつはきっと魔物の皮を被った人間なんだろうな」
娘「それを言うなら人間の皮膚を纏った魔性の生き物じゃなくて?」
魔王「逆だったか」
魔王「高速が渋滞してきたな」
娘「勇者養成施設に向かう車で混んでるんだろうね」
魔王「そのようだな」
娘「電車通勤しろよ」
魔王「というか、勇者になりたい奴がこんなにいることに驚きだ」
娘「で、一体この中のどれだけの奴が勇者になれるんだろうね」
魔王「ほんの一つまみだろうな、しかも実戦で力を発揮できるのは、たった小指の先ほどしかいない」
娘「基本的に勇者はただ正義感が強いだけの弱者なのかもしれないね」
魔王「いや、そんなことは無いんじゃないか」
魔王「戦いに勝つとか勝たないとか、結局は運がいいか悪いかなんだと思うし」
娘「どういう事?」
魔王「努力した奴が勝つとか、怠惰な奴は一生負け組だとか俗に言われるけど、俺はそうは思わないな」
魔王「戦いに勝った奴が実力者だろうがただの運のいい奴だろうが結果は結果なんだよ」
娘「過程も大事だと思うけど」
魔王「それは次の機会に実績を挙げることを期待して言われている事だ」
魔王「だけどこれからがどうかなんて誰にも分からない、この俺でさえも」
魔王「だからこそ大事なのは経験じゃなく結果なんだと俺は思うんだ」
娘「まあね・・・魔王も特別強いとか頭が冴えてるとかで魔王に選ばれた訳じゃないもんね」
魔王「そうそう、確か福引で一等を当てたら魔王にしてもらえたんだったな」
魔王「そろそろ市場に着くぞ」
ドオオン
娘「高速道路が破壊された!」
魔王「何だと」
勇者「魔王よ、久しぶりだな」
魔王「お前は10年前に俺をナメるためだけに魔王城までやってきた勇者!俺の中で一番心からムカつく勇者ではないか!」
勇者「前回はそうだったな!だが今回は違う!お前の首を取る、切り取るためにお前を探し出したのだ!」
魔王「とりあえず今は仕事中だから邪魔しないでくれ」
勇者「お前の都合など誰が聞くものか!」パァン
魔王「タイヤを斬られた!?」
勇者「俺に殺されずして死ぬことなど認めない!」ガッシャアアアン
魔王「窓ガラスまで割ってきやがった!」
勇者「フフフ・・・もうお前の首は俺の手の中にある!」
魔王「本当邪魔なんだけど、あっち行けよ」
勇者「そんなに仕事が大事か?」
魔王「そもそもお前が勝手に突っ込んで来たんだろうが」
勇者「そうか・・・ならば俺は去る・・・お前の娘を連れてな!」ガシ
魔王「えっ!?」
勇者「娘など仕事の邪魔としか思っていないのだろう」
魔王「いや、そういう訳では・・・」
勇者「もう諦めとけよ、魔王なんて根っから大悪人なんだから綺麗ごとさえもカマせるはずが無いんだよ」
勇者「では、また会おう!」
魔王「待てよ!コルアアア!」
勇者「さあ、これから君が行く所は楽園だ」
勇者「花咲く都だ!あらゆる物で満たされた理想の世界なのだ!」
娘「うっせ」バシッ
勇者「ハハハ、すぐに気に入ると思うよ、心配は無い」
娘「マジで黙れっての」
勇者「さあ、到着だ!ここでなら将来の相手もすぐに見つかることだろう」
娘「黙れ!ウザイ!ヒトの恋愛事情に気安く踏み込んでくるな!」
勇者「もしくは僕と・・・なんてね、冗談だ」
勇者「僕には既に80人のガールフレンドがいるからね」
娘「うわ、自慢かコイツ」
勇者「この液体で体を洗い清めたまえ」ドバッ
娘「ギャアアアこれ精液じゃん!」
勇者「いいから飲むんだ」
娘「んっ・・」ゴクゴク
勇者「君はもう僕の物だ」
娘「だっ誰が・・・」
勇者「ブチュウウウ!」キス
娘「んっぐっ!」
勇者「可愛い顔だ、僕が舐めて洗ってやろう」
娘「いやっ、舐めちゃいや!」
勇者「ねえ君、僕ってヘンタイなのかな?そんな訳ないよね?」
娘「純粋にキモイ!」
勇者「そうか、僕の愛情はまだ足りないんだな」
娘「顔も声も気力も根性も全てがキモ過ぎ!」
勇者「僕の愛情のハーモニーが君の耳に届くまで僕は君を愛し続けるよ」
娘「このヘンタイナルシ!」
勇者「ナルシではないね、周りの女の子達はみんな僕のことが好きだって言ってるよ」
娘「そんなん本気で言ってる奴なんかいねえよ!」
勇者「フフ・・・反抗的で可愛い子だ・・・僕のタイプ!」
娘「完全に頭イカレてやがる」
娘「あれ?この不思議な気分は何だろう・・・」
勇者「届いたようだね」
娘「はあはあ・・・勇者様とSEX・・・したいです・・・」
勇者「僕のペニスが欲しいって?」
娘「勇者様のおペニペニの汁で洗って欲しいんですう・・・」
勇者「よかろう、だがこのような街中で服を脱ぐのは下品だ」
娘「下品でもいいから入れてください・・・」
勇者「いや、こんな所でSEXはできない!」
娘「じゃああの木の陰でヤリましょう・・・」
勇者「木の陰ではすぐに目撃されてしまう・・・そうだ、森に行こう」
娘「はあはあ・・・勇者様のオペニペニ・・・」
勇者「着いたよ、森だ」
娘「しぇっくす!しぇっくす!」
勇者「ちょっちょっちょっと待て今ペニス出すから!」
娘「脱がせてあげる!」ズバッ
勇者「ウキャアアア!何という事を!」
娘「勇者様のオペニペニいただきまああす!」ガブブチッ
勇者「えっ・・・ちょ!」
娘「まずっ」ポイ
勇者「・・・え?」
娘「精液ぶっかけられたぐらいでテメーに惚れるとかありえないから」
勇者「嘘だ!」
娘「て言うかマジ視界に入り込んでるだけで迷惑だから失せろよ」
勇者「」
魔王「ここに居たか」
娘「あっ魔王、コイツ処分して」
勇者「僕はその娘のことが好きなんです!愛してるんです!」
娘「勝手に愛してろブス」
勇者「うっ・・・」
魔王「ペニスを千切られて暴言を吐かれて涙目ってだけでも十分哀れだが・・・」
魔王「俺の娘を犯したことは許さん」
勇者「まだ入れてなかったの!」
魔王「今までどれだけお前に馬鹿にされようが別にどうという事はなかった・・・」
魔王「だが、俺の許可も得ずに娘に触れたことは許さん」
勇者「うわあああん!切り殺してやる!魔王!」
娘「よっ、と」アシヒッカケル
勇者「うわあああ!」ザクッ
魔王「転んで自分の剣に頭が刺さって死ぬとかw」
娘「でも体中ベトベトになっちゃったよ」
魔王「とりあえずこれで拭いとけ」
娘「ありがと」
魔王「配達が終わったら銭湯にでも寄るか」
娘「そうだね」
魔王「いや・・・どうせなら温泉に行こうか、混浴とかしちゃう?」
娘「調子乗んなクソ野郎」
魔王「はい」
魔王「よし、無事に配達完了だ」
娘「そんな事より温泉でも銭湯でもいいからこのベタベタの体をどうにかしたい」
魔王「じゃあ銭湯に寄ろうか、温泉は金が足りなくて無理だ」
娘「そっか・・・たまには温泉旅行ぐらい行きたいよね」
魔王「暇はあるんだけどな、金が無い」
男2「温泉なら私と行きますか」
魔王「いきなり登場して何を言い出すんだ」
男2「実は私、勇者養成施設の者でして」
娘「・・・」
男2「これから合宿を兼ねた温泉旅行に行く所なのです」
魔王「温泉のほうが大きいのかよ」
娘「タダで連れて行ってくれるの?」
男2「もちろんタダではありません」
魔王「何かすればいいんだな」
男2「実は勇者を乗せたバスが故障してしまって」
魔王「勇者を荷物として運べと言うのか」
男2「実はそうなんですよ」
娘「何それウケる」
男2「では早速乗せますね」ポイッポイッ
娘「扱い雑!」
魔王「ちゃんと並べてギチギチに入れろよ」
娘「人間押し寿司ができるぐらいにね」
男2「では5人ずつ束ねて投げ入れましょう」
魔王「だから投げるのをやめろよ」
魔王「全員積んだし出発するか」
男2「まだ私が乗ってません」
娘「来なくていいよ」
男2「いえ、私は運転手兼監督として行かなければなりません」
魔王「監督なら俺がやるぜ」
男2「どちらが監督を努めるとしても、私は行きますよ」
娘「ただ温泉入りたいだけじゃん」
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