蛇神「そんなお話」(90)

蛇神「困ってることはないかな?」

蛇神「なに? 唐突に白い蛇が出てきて困った? ははは、それはすまない」

蛇神「こう見えて……むしろ見たまま神さまだよ。君に幸福をもたらしに来たんだ」

蛇神「どうしてかって? 今は昔、君の先祖に恩があってね、それを子孫であるところの君に返しにきたんだ」

蛇神「どうして今頃かって? ……、恥ずかしい話だけれど、少し長い冬眠をしてしまってね」

蛇神「む……間抜けだとでも言いたそうな顔だね? けれど力は蓄えていたから大抵のことはできるよ」

蛇神「ほらほら、なにをして欲しいか言ってごらん?」




蛇神「……家族になってほしい?」



蛇神「……事故? 天涯孤独? ……そうだったんだ」

蛇神「……眠ってる間に恩人の子孫にそんな不幸があったなんて。……神さま失格だな」

蛇神「……承知したよ。君のお願い、この私が叶えよう」

蛇神「ということで、これから私たちは家族だ。よろしくね」

蛇神「……しかし、家族というと何をすればいいのかな?」

蛇神「……そうか、君も分からないか。うーん……どうしようかな」

蛇神「……不器用な神さまでごめんね」

蛇神「……ふふ、優しいんだね」




蛇神「……少し家族について勉強してきたよ」

蛇神「料理を作ったり、掃除したりするのが家族みたいだね」

蛇神「……それだけじゃない? 多分?」

蛇神「そう……でも今のところまだ何もしてないからね。とりあえず出来るところから始めてみるよ」

蛇神「この姿のままでは不便だからね。君たちと同じ姿になろう」

蛇神「そんなことができるのかって? ふふふ、私は神さまだからね」

蛇神「……よっと」ボフン

蛇神(人)「どう? ちゃんと人間の姿になれてるかい? おかしいところはない?」


蛇神「ん、女? そうみたいだね。あまり自覚してなかったけど」

蛇神「君の望む姿に変えられるとも思うけど、何か要望はあるかな?」

蛇神「このままでいい? 分かった」

蛇神「……美人? 礼を言えばいいのかな? まだあまり人間の美的感覚が分からないな」

蛇神「あちゃあ、ところどころ鱗みたいなアザになってる……まだまだ精進しないとね」

蛇神「頬と額のあたりも? いやあ、お恥ずかしい限りだね」

蛇神「……むしろ可愛くていい? ふふ、やっぱり人間の美的感覚はよく分からないよ」

蛇神「とりあえず、料理を作ってみるね」

蛇神「この冷蔵庫とかいう箱の中に食べ物が入ってるんだよね」ガラッ

蛇神「んー、鼠と蛙はないかあ」

蛇神「え? そんなもの食べない? ……そっかぁ」

蛇神「……だ、大丈夫。少しは料理を勉強したから、信頼して待っててよ」




蛇神「……出来たよ。食べてみて」

蛇神「味見? 多分、味覚が合わないと思うからしても無駄だと思ってね」

蛇神「……してないよ」

蛇神「……やっぱり美味しくないかな」

蛇神「初めてにしては悪くない? そっか、よかった」

蛇神「……え、今度は一緒につくる?」

蛇神「……やっぱり美味しくなかった? はっきり言ってくれた方が嬉しいな」

蛇神「……そっか。うん、ごめんね。今度は上手に作るよ」

蛇神「……全部食べてくれてありがとう」



蛇神「……お風呂をいれてくるね」

蛇神「ついてこなくていいのに……。あれ、昨日は浴槽を使ってないのかな? 乾いてるね」

蛇神「ほとんど毎日シャワーですます? この私みたいな形したもの?……ふうん」

蛇神「今日からは湯船を張る? 分かったよ、掃除は任せて」


ザァァ…

蛇神「失礼。背中流すよ」

蛇神「ほら、色々と作法も知らないし、いい機会だからさ」


蛇神「ほらほら、座って座って」ポンポン

蛇神「痒いところはない? そう?」ゴシゴシ

蛇神「前も洗う? えっ、必要ない? そう……そんな必死に首振らなくても分かったから」

蛇神「わあ、湯船あったかいね……」

蛇神「……というか熱すぎ?」クラッ…

蛇神(蛇)「……きゅう」グテ…



蛇神(人)「いやあ、情けない。まさかのぼせるなんて……」

蛇神「君が上がった後に入るとちょうどよさそうだね」

蛇神「おや、一杯やるのかい? それならお酌するよ」トクトク…

蛇神「飲むかって?」

蛇神「……ふふ、私はうわばみだよ?」




蛇神「おはよう。よく眠れた?」

蛇神「……今日からまたお仕事? そっか、大変だね」

蛇神「準備手伝うよ。うん? 大丈夫、それはちゃんと勉強済みだよ」

蛇神「忘れ物はないね? それじゃあ行ってらっしゃい」フワ…



蛇神「お掃除お掃除……これじゃあ今日だけで全部きれいには出来ないだろうな」テキパキ…


蛇神「洗濯洗濯……いっぱい溜めちゃってもう……」パツパッ

蛇神「あ、ボタンが外れかけてる。縫い付けてあげよ」チクチク…


蛇神「お料理も覚えないと……この本に作り方が載ってる」ペラッ


蛇神「今の俗世のことも学ばないと……」ポチッ

蛇神「……あはは、面白いな」


蛇神「……はっ、もうこんな時間? そろそろ夕餉の準備をしないと」

蛇神「冷蔵庫の中を見た感じ、本のコレが作れそう」ガラッ  ペラッ…



ガチャッ

蛇神「あ、お帰りなさい。お仕事お疲れ様」

蛇神「疲れた顔してるね……よしよし」ナデナデ

蛇神「……どうしたの? 顔真っ赤だよ?」


蛇神「オムライスっていうの作ってみたんだ。本の通り作ったから多分大丈夫だと思うんだけど」

蛇神「……美味しい?」ドキドキ

蛇神「そっかー、よかったーっ」ホッ

蛇神「ねね、一口ちょうだい?」ア-ン パクッ

蛇神「んー。これが人間の好む味なんだね。覚えるよ」

蛇神「どうしたの? また顔真っ赤だよ?」

蛇神「……ご飯? 基本的には要らないよ。食べられないわけじゃないけどね」

蛇神「もしお腹が空いたら、その辺で鼠や蛙でも……それはやめろ? ……分かった」

蛇神「部屋だいぶきれいになったでしょう?」

蛇神「あ、洗濯物は畳んでおいたからね」

蛇神「……助かる? ふふ、それなら良かった」



蛇神「それじゃあ、おやすみ」

蛇神「どうしてくっつくかって? 朝、寒いと全然起きれないんだ」

蛇神「昨日もくっついてたのはそういうわけなんだ。君は酔っ払ってぐっすりだったけどね」

蛇神「この姿が嫌なら、蛇の姿に戻るけど……このままがいい? 分かった」

蛇神「じゃあ、今度こそおやすみ」



蛇神「うん、行ってらっしゃい。お仕事頑張ってね」フリフリ

蛇神「さて、掃除掃除……」テキパキ

蛇神「今日のうちにあらかた綺麗にしてしまいたいなあ」

蛇神「……今日は天気がいいなあ。お昼寝したくなっちゃう」

蛇神「でも終わらせてからにしよ。また寝過ごして後悔したくないもんね」



蛇神「お帰りなさい。お仕事お疲れ様」ナデナデ

蛇神「今日はハンバーグを作ってみたよ。コンソメスープもね」

蛇神「どうかな? 美味しい?」

蛇神「そっかー、よかったー」ニコニコ

蛇神「そろそろ食材がなくなってきたから、ちょっとお金をちょうだい。買ってくるよ」

蛇神「大丈夫だよ、買い方とか勉強したから」

蛇神「何か食べたいものある? あ、この本から選んでね」

蛇神「うん、それじゃあ明日はこれね」



蛇神「きれいに全部食べてくれるとやっぱり嬉しいな」

蛇神「お酌する? あ、でもその前に待って」

蛇神「これこれ。耳かきしてあげる。ほら、頭のせて」ポンポン

蛇神「耳赤いけど大丈夫? まだお酒飲んでないのに……」

蛇神「どう? 痛くない?」

蛇神「……気持ちいい? それなら良かった」

蛇神「ちゃんと綺麗にしようね」フウ…

蛇神「こそばゆかったかな?ごめんね」

蛇神「今度は反対側ね。はい、ごろんってして」

蛇神「はい、これで綺麗になったね」

蛇神「……気持ちよかった? うん、それなら良かった」ナデナデ

蛇神「……耳たぶどころか頬まで真っ赤にしてどうしたの?」



蛇神「飲み過ぎはよくないよ。歯を磨いてそろそろ寝よう?」

蛇神「面倒くさがらないの。ほら、磨いてあげるから」


蛇神「どう? 痛くない? 」シャコシャコ

蛇神「うっとりした顔してるね。気持ちいいの? お眠かな?」シャコシャコ

蛇神「でも寝ちゃダメだよ。うがいしなきゃ。ね?」

蛇神「よしよし、えらいね」


蛇神「……ちょっと子ども扱いし過ぎ? でも、そうすると喜んでる気がするんだけど」

蛇神「ふふ、甘えたいんだ? いいよ、ほらぎゅってしてあげるから」ギュゥ

蛇神「おやすみなさい」ニコ




蛇神「ふう、人間の生活にも慣れてきたよ」

蛇神「ただ外に出ると、アザと髪の毛の色のせいかよく人に見られるのがね……特に男性が多いんだけど」

蛇神「……え、アザと髪色だけじゃない?」

蛇神「そうかな? ……どうしたの、なんか不満そうな顔だね」

ギュゥ

蛇神「……また甘えたくなったのかな? よしよし」ナデナデ

蛇神「最近は家族らしくなってきたかな。私は君の親みたいだね」

蛇神は大蛇丸で脳内再生余裕です。

眠いし、今日はここで終わりでさ
短編だからあと一回か二回の更新で終わりでさ
よければお付き合いくだせい

>>19
君がそれでいいなら君の中ではそれでいいんじゃないかな
僕は嫌だけど

蛇神「そろそろお仕事行かなきゃね」

蛇神「もう……わがまま言わない。ほら、準備して。えらいえらい」

蛇神「行ってらっしゃい」フリフリ



蛇神「さて、洗い物が終わって、お洗濯も終わって、掃除も完璧と。今晩の献立を考えようかな」

蛇神「……今日は暖かいし、少しお昼寝しようかな」ボフン

蛇神「でも寝過ごしちゃうかもしれないしなあ……ガマンしなきゃ……」ウトウト…

蛇神「……zzz」


ユサユサ…

蛇神「……あれ? お帰りなさい」

蛇神「……あちゃあ、ごめん。眠り過ぎちゃった。夕飯の用意してないよ……本当にごめん」

蛇神「うー……さむいさむい。温めてくれない?」ブルッ…

蛇神「暖房? お金がかかるからダメだよ。ほら、分かるでしょ? 早く早く……」ブルッ…

ギュゥ…

蛇神「はあ、ぬくい……君、体温高いよね」ギュゥ


蛇神「よしっ、もう大丈夫。手早く出来るもの作るからくつろいでいてね」



蛇神「まだまだ寒いね。早く暖かくなるといいのに」トントンッ


蛇神「はい、用意できたよ。君が食べてるうちにお風呂いれてくるね」


蛇神「ふう……やっぱり私はお昼寝してはいけないね。ついつい眠り過ぎちゃう」

蛇神「君が起こしてくれなかったら、また永いこと眠ってたかもしれないね」

蛇神「え? これからも絶対に起こす? ふふ、ありがとう」

蛇神「……普段は私が起こしてあげてるのにね」クスッ




蛇神「ごめん、しばらく家事とかできないから」

蛇神「うん、ごめん……ちょっとね」

蛇神「しばらく姿を消すけど心配しないでね。すぐ戻ってくるから」

蛇神「ほんとだって。ね?」

蛇神「うん、いいこいいこ」ナデナデ




蛇神「ただいま」

蛇神「わわ、そんなに勢いよく抱き着いたら危ないよ」

蛇神「うんうん、一人にしてゴメンね。寂しかったね」ポンポン

蛇神「……私もちょっと寂しかった」

蛇神「ねえ、見てこれ」

蛇神「そう。私の抜け殻。ご利益があるよ」

蛇神「私がいれば必要ないんだけど」

蛇神「そう、脱皮したばかりだから肌も滑らかでしょ? 髪の毛も艶艶だし、触って確かめてみてよ、ほらほら」

蛇神「ね?」ニコッ



蛇神「ほら、うつ伏せになって。背中揉んであげるよ」

蛇神「ちょっと腰に座るね。重くない? 軽過ぎて逆に不安? こんなものだよ」ポスッ

蛇神「凝ってるところはない? 右側? ここら辺かな」グッグッ

蛇神「ふふ、呻き声出してそんなに気持ちいい?」グリリッ

蛇神「あ、痛かった? ごめん」

蛇神「え? 今度は私にするって?

蛇神「それじゃあお願いするよ」ポフッ

蛇神「んん……っ、ふっ、ぅっ」

蛇神「確かにこれは変な声が出てしまうね……ふぅぅ……っ」

蛇神「あー、そこ気持ちいいよ。うん、そこそこ」

蛇神「はふぅ……」



蛇神「んー」ギュゥ

蛇神「え? ああ、久しぶりだから会ってなかった分もくっついてようと思って……と言っても一週間経ってないけどね」クスッ

ギュゥゥ…

蛇神「……もう、そんなに固くぎゅうってされたらちょっと苦しいよ」

蛇神「……ありがと」フワッ




蛇神「ほら、早く起きて。今日からまた仕事だよ。朝餉できてるから早く食べて」

蛇神「最近は人間の味覚に慣れてきたかな」

蛇神「あはは、なんか人間っぽくなってきたかも」



蛇神「ぽかぽか暖かいし、お布団を干そうっと」バサッ

蛇神「……ん? この箱は?」

蛇神「……わあ、これって春画ってやつ? へええ……」

蛇神「……犬とか狐みたいな女の子とか、下半身が蜘蛛の女の子とかばかり。わっ、蛙や鼠も……?」

蛇神「……下半身が蛇の女の子に、蛇の鱗の女の子まである」

蛇神「……見なかったことにしよう。うん」

蛇神「本棚にしまっていいかな」ストン

蛇神「……あ、でも本棚に空きがあるのに、ベッドの下の箱にしまってたんだから、本棚じゃない方がいいのかな?」

蛇神「……うん、隠しておきたいんだろうし、元に戻してそっとしておこう」

蛇神「さあて、お布団を干そう」



蛇神「ああ、お帰りなさい」フイッ

蛇神「……ご飯出来てるよ」

蛇神「……どうかした」フイッ

蛇神「……別に避けてないよ? うん、ほんとほんと」

蛇神「そういえば、私の分の布団も買っていいかな?」

蛇神「ほ、ほら、やっぱり狭くて眠り辛いかと思って」

蛇神「そ、そんなに悲しそうな顔しなくても……」

蛇神「分かってくれた? うん、ありがとう……」

蛇神「……ほんとに避けてなんかないって」




蛇神「そろそろ寝よっか」


蛇神「え……離れ過ぎ? あは、あはは……いつもこれくらいじゃなかった?」

蛇神「きゃっ……」ズルッ

蛇神「あは、あはは……ずり落ちちゃったよ」モゾモゾ…

蛇神「そうだね……寒いと朝早く起きれないし、そうしたら朝餉も作れないどころか、見送りも出来ないかも」

蛇神「……自意識過剰だっただけかな。うん、今までも何もなかったんだから」

蛇神「あ、ああ、こっちの話だよ、うん」

蛇神「うーん…………」

蛇神「苦しい時は助けてあげるのが家族だよね、うん」ズリズリッ

ビキビキッ

蛇神「うわぁ……えっと、指で輪っかを作って……」キュッ

ビクッ

蛇神「上下にさすってあげるんだよね……先っぽから液がぷくっと出てきたのは……気持ちいいってことだよね」シュッ…シュッ…

蛇神「……ちょっと滑りが悪いかな」タラッ…


蛇神「うん、これでいいかな……」ニチュニチュ……

ビクビクッ

蛇神「……そろそろかな? えーと拭くもの……ない」ニュコニュコ…

ガクガクッ…

蛇神「……しょうがないよね、んっ」パクッ

ビュッ…ビュルルッ…ビュゥゥ…ビュクッ…ビュルルッ…

蛇神(わ、ちょ、ちょっと多過ぎ……溢れちゃうよ……もうっ)コクッ…コクッ…

蛇神「ん……」コク

蛇神「……どうしよ、人間の精っておいしい」チラッ

ビキビキッ…


蛇神「ま、まだでるみたいだね。私がいたせいで発散できなかったのかな……」ジ-

蛇神「そ、それなら私のせいだし、ちゃんとお世話してあげないとね、うん」ゴクッ

蛇神「……まずは残ってるのを舐めとってあげようかな」チロチロッ

蛇神「ん……おいし……管の中にもあるね」ニュロロ…

クチッ…クチッ…


蛇神(腰がビクついてる……気持ちいいのかな?)ニュルルッ

チュポンッ

ビュルルッ…!

蛇神「んんっ! んっ……」ズズズ…

ンポッ

ビンビンッ

蛇神「……すごい、まだ元気なんだ」

蛇神(じゃあ、今度は舌をぐるぐる巻いて……)ニュルル…

蛇神(先っぽが気持ちいいみたいだし、唇で締め付けて頭を動かせばきっと気持ちいいよね)グッポグッポ…


ビクビクッ

蛇神(あ、腰が……逃げちゃダメだよっ)ガシッ…

グッポグッポ……!

ビュルル……!

蛇神(また出たぁ)チュルル…

ガクガクガクガクッ……

蛇神(わあ、腰が小刻みに震えてる……)ガシッ

蛇神(……ふふ、捕食してるみたい)

蛇神(なんだろう……すごくドキドキしちゃうね)




蛇神「……起きて。忙しいなら尚更ちゃんと朝餉を食べないと」ユサユサ

蛇神「ん、起きたね。えらいえらい」ニコッ

蛇神「体がすっきりしてる? ……あは、あはは、それは良かったね」

蛇神「今日もお仕事頑張れそう? ……それなら良かった」ニコッ

蛇神「シャワー浴びるんでしょ? 着替え用意しておくね」


蛇神「行ってらっしゃい」フワッ…




蛇神「今日も疲労困憊、満身創痍って顔で帰ってきて、もう寝ちゃった」

蛇神「……今日もしてあげたほうがいいよね、うん」ゴクッ

蛇神「おっきくなってるし、明日も頑張って欲しいもんね」ズリズリ…

ボロンッ

蛇神「昨日はそれどころじゃなかったけど、あらためて嗅ぐとすごニオイ……お風呂入ってないもんね」スンスン…

蛇神「玉もぱんぱんだ、よしよし」プニュプニュッ

蛇神「……」クンクン…

蛇神「……どうしよ、このニオイ大好きかも」スゥ…

蛇神「ずっと嗅いでたいかも……ちょっと変態ぽいかな……」ペタッ

蛇神「こっちは、ちょっとヘビに似てるよね。でも先っぽは亀さんみたい」ツンツン


ビクンビクンッ

蛇神「あは、こっちも寂しがり屋の甘えん坊だね。ほら、ちゃんと構ってあげるから」キュッ

パクッ

ギュッポギュッポギュッポギュッポ……

ビュルッ…!

蛇神「んくっ……はあ、濃くて喉につかえそう」

蛇神「……もっとたくさん子種を作れるようにモグモグしてあげる」パクッ

モグモグ…チュピ…チュゥ…

蛇神「……あは、また大きくなったね。満足するまでちゃんとお世話してあげるからね」チロチロッ…




蛇神「……ご飯、美味しい? ……うん、良かった、たくさん食べてね」

蛇神「朝だけど、仕事とか大変そうだから精のつくものを多くしたよ」ニコッ

蛇神「……」ジ-

蛇神「うん? ……食べてる姿、可愛いなあと思って。ふふ……」ニコニコ



蛇神「行ってらっしゃい。頑張ってね」フリフリ


蛇神「……さて、家事しないとね」



蛇神「……やっぱり昼下がりは暇になるなあ。内職でも始めようかな」

蛇神「……そういえば、春画の内容、しっかり見てなかったなあ」

蛇神「……神さまなんだから少しでも多くの知識を得るのは大切だよね、うんうん」ズザザッ

パカッ


蛇神「下半身がヘビの女の子のもの、結構多いなあ」ペラペラ…

蛇神「うーん、ヘビの下半身で巻き付くかあ……そもそも下半身だけヘビにするのはかなり恥ずかしいなあ」ペラペラ…

蛇神「わっ、産卵? ぜぇったいに無理」ペラッ…

蛇神「……こういうの喜ぶのかな」

蛇神「いや、でも無理無理。絶対に無理。恥ずかしくて死んじゃう」カポッ  ズズ…



蛇神「お帰り。こんな遅くまで今日も大変だったね。頑張ったね、えらいね」ナデナデ

蛇神「うん? 夕餉は連絡がないときは一応いつも作ってるよ」

蛇神「いいのいいの、連絡する暇もないくらい頑張ってるんだもんね。かっこいいよ」ニコ

蛇神「お風呂も入る? ……分かった、入れてくるね」

蛇神「ちょっと残念かな……」

蛇神「え? な、なんでもないよっ」


グゥ…グゥ…

蛇神「もしもーし……」ツンツン…

蛇神「……ふふ、いつも通りよく眠ってるね」ナデナデ…

蛇神「今日もすっきりさせてあげるよ」スルスル…

ポロンッ

蛇神「……こっちもお疲れかな?」スリスリ…

蛇神「お口の中で大きくしてあげるね」ア-ン  パクッ

蛇神「……ん、ふ」モゴモゴ…チルチル…チュゥ…

蛇神「……ぷは」チュポンッ

ビンビンッ


蛇神「ふふ、元気元気」スリスリ…

ウ-ン…

蛇神「……っ」ビクッ

……zzz

蛇神「……起きてはないみたいだね」ホッ

ボソボソ…

蛇神「寝言かな?」ソッ

ボソボソ…

蛇神「……私のこと呼んでる? 私の夢を見てるのかな?」

蛇神「……もう、お腹がきゅんきゅんしちゃうじゃないか」クチ…


蛇神「まぐわうのは流石にまずいけど、くっつけ合いならいいよね……」ヌチッ……

蛇神「あまり体重をかけないようにして……んっ」クチ…ギシ…

蛇神「ふ……ん……これ、気持ちい……っ」グイッ…ニチュ…

蛇神「……っふ」ギュゥ…

ビュゥ……ビュルル……!

蛇神「はぁ……はぁ……んっ……」チロチロ…ズズ…ッ

蛇神「……」ギュゥ


ガチャッ!

蛇神「お帰りなさい」

蛇神「……修羅場が終わった? 新しい大口顧客? 大成功?」

蛇神「そっかあっ。頑張ったね。すごいなあ」ナデナデ

蛇神「それなら今日はもっとご馳走にすればよかったな」

蛇神「……私の料理なら嬉しいって、もう……」

蛇神「今日はお酒飲む? あ、そういう大仕事なら慰労会とかあったんじゃないの?」

蛇神「……断った? 私と飲みたい?」

蛇神「……っ」

蛇神「……え? ううん、なんでもないよっ、それなら飲もうっ」ニコニコ



蛇神「……ふー、もう酔っちゃったよ」

蛇神「……そういう日もあるの」

蛇神「……酔ったのはお酒のせいじゃないけどね」ボソッ

蛇神「……なんでもないよ」

蛇神「……ねえ、もっとそっちに寄っていい?」

蛇神「……」ピトッ

蛇神「……え、新しい布団? うーん……やっぱりいらないかな」

蛇神「……どうしてかって? 当ててみてよ」

蛇神「……ぶー。残念、違うよ」


蛇神「……ねえ、当ててよ」フゥッ…

蛇神「…………」ジ-

ガシッ

蛇神「……ふふ、正解だよ」

蛇神「当てたご褒美は何が欲しい?」ツイィ…

蛇神「……欲しいもの、なんでもあげるよ?」ボソボソッ

ガバッ

蛇神「……押し倒して、どうしたの?」クスッ


……!

蛇神「……私は人間じゃないよ? それでもいいの?」

蛇神(蛇)「ほら、これが本当の姿だよ?」

…………!

蛇神「……ふふ、クサいこと言うね」ニョロニョロ……ボフンッ

蛇神(人)「知ってる、ヘビはね……」スルル…

蛇神「とても、嫉妬深いんだよ?」チロッ



ビュルル……ッ

蛇神「ん……は……っ」ビクッ…

蛇神「……はぁ、君の熱が私の中でとぐろを巻いてるよ」ウットリ

蛇神「……うん? まだ抜いちゃダメだよ」ギュッ

蛇神「ヘビの交尾ってね、すっごおく長いんだ……」チュッ

蛇神「子種をだしたのに、まだ全然治らないでしょ? ふふ、神さまの力ってすごいでしょ?」

蛇神「ほら、口から神さまの力取り込んで? ほらほら」チロチロ…

蛇神「んんっ……んー……ちゅっ……んふふ……」レロ…

チュルル……グルグル……ヌロォ……

蛇神「ほら、もっとね? ちゅっ……」


ビュルッ……

蛇神「んん……幸せ……」ピクンッ

蛇神「……食べもの、そこに置いてあるでしょ。お腹が空いたら食べていいからね」

蛇神「今は催したりもしないから、何の心配もせずに私に溺れてね」クスッ

蛇神「……明日はお仕事お休みだもんね?」

ビュルッ……

蛇神「はぁ……好きだよ……」

蛇神「いっぱい射精できてえらいね……動かなくていいから……いっぱい、いーっぱい気持ちよくなろうね」

ニュルルッ

蛇神「こうして密着して……体をくっつけて……絡まり合って……人なのにヘビみたいだね……」クスッ


蛇神「もっといっぱいドロドロになろ……ねっ? ねっ?」チュッ…チュッ…

ビュルッ……ビュルルッ……

蛇神「少し蛇口が壊れちゃったかな? でも神さまの力もぐもぐすれば大丈夫だからね」チロチロ…

蛇神「ほら、私の中に子種ぜんぶだして。ねっ、あなたの全部ちょうだい」

ビュルル……

蛇神「好き、すき、スキ、好きぃ……」ギュッ

トプッ……トプ……ッ


蛇神「おはよう」

蛇神「朝餉、出来てるよ」

蛇神「ふふ……昨日はすごかったね。最後の方なんか白目むいてたよ」

蛇神「え? すごく可愛かったよ? また見せてね」ニコ

蛇神「さて、いっぱい食べて今日も頑張ってね」



蛇神「いってらっしゃい、あなた」チュッ


蛇神「おはよう」

蛇神「朝餉、出来てるよ」

蛇神「ふふ……昨日はすごかったね。最後の方なんか白目むいてたよ」

蛇神「え? すごく可愛かったよ? また見せてね」ニコ

蛇神「さて、いっぱい食べて今日も頑張ってね」



蛇神「いってらっしゃい、あなた」チュッ




蛇神「……え、昇進するの? この前の業績が認められた?」

蛇神「わあ、すごいなあ。いつも頑張ってるもんね。えらいえらい」ナデナデ

蛇神「……わたしのお陰? 違うよ、あなたが頑張ってるから。私の力はきっかけに過ぎないんだよ」

蛇神「……うん、私の支えがあなたの頑張る力になれてるなら、そんなに嬉しいことってないよ」

蛇神「今日はご馳走にしよっか。何がいい? 最近は和洋中なんでもござれだよ」

蛇神「ふふ……できた奥さんでしょ?」


蛇神「へえ、部下ができたんだ」

蛇神「そっかあ、頑張り屋さんだもんね」ナデナデ…

蛇神「……みんな男の子? 別に性別は聞いてないけど」クスッ

蛇神「部下の前だと凛々しい顔してるのかな?」

蛇神「ふふ、今の可愛いあなたからは、ちょっと想像がつきづらいな」




蛇神「……起業しようってお誘いがあったの? 同僚と取引先の人から?」

蛇神「そっかあ」

蛇神「……私? ……よく分からないけど、やっぱり難しいことなんだよね。失敗するかもしれないでしょう?」

蛇神「でも、あなたにその意思があるなら、私はあなたを支えるよ。あなたの奥さんだからね」フワッ…

ギュゥ……

蛇神「いつまでも甘えん坊だなあ……よしよし」ナデナデ






蛇神「……会社、上手く軌道に乗ったね」

蛇神「……私の力は、あくまでもきっかけだってば。あなたがたくさんたくさん頑張ったの、ちゃんと知ってるんだから」

蛇神「頑張ってるあなた、すっごくかっこいいよ。社員さんたちの前で見せる凛々しい顔、とっても好きだよ」

蛇神「もちろん私といるときに見せる、甘えん坊な可愛い顔も、とってもとっても好き」

蛇神「……あはは、そうだよ。私、あなたのことが大好きなんだよ」

蛇神「……知ってた? あはは、そうだよね」

蛇神「……ふふ、当然知ってるよ。大好き」チュッ



蛇神「……」

蛇神「……え?」

蛇神「……暗い顔してるかな?」

蛇神「…………実はね」


蛇神「その……出来ちゃったみたいなんだ」


蛇神「……うん、赤ちゃん」


ギュゥゥ……ッ


蛇神「……っ!」ジワッ

蛇神「はあ、よかった……っ」

蛇神「……不安だったんだ。あなたが、喜んでくれるか」

蛇神「だって、私は人間じゃないし……」

蛇神「…………うん、私はあなたの奥さんだもんね」グスッ…



蛇神「ねえねえ、これ見てよっ」ニパッ

蛇神「そう、私の戸籍っ」

蛇神「八百万の神にただならないことを伝えたら、この為に奔走してくれたんだ」

蛇神「……本当に感謝しても仕切れないよ」

蛇神「これで、私たち本当に結婚できるね」

蛇神「……ぐすっ、最近涙脆くなっちゃったな」

蛇神「……え、二十歳? あは、あはは、年金とか社会保険料とか色々都合が良いでしょ?」


蛇神「ふふ……これであなたも公式的に他の女と結婚できなくなるね?」

蛇神「……む」ドサッ

蛇神「……冗談を言ったし、冗談を返したというのも分かるよ。でもね……」

蛇神「はあ……自分でも呆れるほどあなたのことが好きなんだなあ」

蛇神「でも、言ったよね。ヘビは嫉妬深いって」チロチロ…

蛇神「……なーんて言ってみるけど、あなた、全然そんな気配がないんだよね」ハア…

蛇神「ほんと神さまも驚くくらいに一途だよ……ご褒美」チュッ



蛇神「……結婚式。うん、挙げたい」

蛇神「……神前式にする? ウェディング?」

蛇神「……私は、ウェディングドレス着てみたいな」

蛇神「……え? 八百万の神たちも教会での結婚を薦めてくれたよ」

蛇神「新しいものにとても寛容だからね。古いものも大切にするけど」

蛇神「ウェディングドレス着て……神社で結婚? あはは、何でもアリだね」

蛇神「……え、すぐ予約する? お腹が大きくなる前に?」

蛇神「……うん、ありがとう」



蛇神「……どう、似合うかな? やっぱり鱗みたいなアザがある私には純白のドレスは似合わなかったかな……」フイ

ギュゥゥ……チュッ

蛇神「……うん、あなたがそう言ってくれるなら、それでもう無上の幸せだよ」


蛇神「あはは……神さまの前で神さまが結婚を誓うって面白いね」

蛇神「……祝ってくれる家族はいないけど、こんなに多くの神さまに祝ってもらえるんだもの、すごいことだよね」

蛇神「しかも、新しい家族も……」サス…

蛇神「ふふ、これであなたの願い、完璧に叶ったね」


蛇神「……その誓いの言葉、ちゃんと守ってね」ニコ



蛇神「そろそろ産まれるから、少し待っててね」

蛇神「……産卵は絶対に見せたくない。これだけは本当にダメ。ダメったらダメ」

蛇神「……そんな甘えた顔しても本当にダメ。恥ずかしくて、卵を割ってしまうかもしれないよ?」

蛇神「……大丈夫。ちゃんと戻ってくるから。もう一人の家族を連れてね」ニコ

蛇神(蛇)「それじゃあ、またね」ニョロニョロ…



蛇神(人)「……ただいま」

ギュゥゥゥゥ……!

蛇神「……んん、苦しいよ」

蛇神「……ごめん、嘘を吐いちゃった」

蛇神「もう一人の家族を連れてくるって言ったよね……」

蛇神「…………」




蛇神「双子だったんだっ」

蛇神「はあ、可愛い……」スリスリ…

蛇神「私とあなたの子どもだよ……」

蛇神「ほら、抱いてあげて、お父さん」

蛇神「ほらほら、そんなにビクつかないの」

蛇神「あなたとの子が二人も……はあぁ……嬉しいなあ」ニヘラッ



蛇神「よしよし、たくさん飲んで大きくなるんだよ」

蛇神「あ、お父さんも欲しそうな目で見てる」ニヨニヨ

蛇神「ふふ、飲みたい?」

蛇神「……いい返事しちゃってもうっ」

蛇神「二人の分もちゃんと残してよ?」

蛇神「ヘビの母乳なんて普通なら絶対に飲めないよ」

蛇神「……ふふ、母に不可能はないんだよ」

蛇神「……美味しい?」ナデナデ

蛇神「……美味しくないと思うんだけどなあ」クスッ





蛇神「この辺が筋肉痛?」

蛇神「もうそんなに若くないんだから子どもたちの相手も程々にね」

蛇神「……あはは、私は神さまだからね」

蛇神「……大丈夫、あなたは幾つになってもカッコいいし可愛いよ」チュッ

姉「あー、お父さんとお母さん、仲良しだー」

妹「わたしもお母さんとチューするー!」

蛇神「あはは、見つかっちゃったね」

蛇神「……はあ、幸せだなあ」



蛇神「……今日を待ってたんだ」

蛇神「娘たちは修学旅行……そしてあなたの仕事がちょうどお休み」

蛇神「……ふふ、やっぱり、子どもがいると、充分な時間が取れなくて淡白になっちゃうからね」

蛇神「ただの人間なら、充分なのかもしれないけど、私は神さま。しかもヘビ」

蛇神「ああ、でも最初はデートからね。エスコートしてね」

蛇神「今日は私が甘えようかなあ」スリスリ…

蛇神「……なんて言いながら、多分いつも通りになっちゃうよね」クスッ



蛇神「はあ……若返った気がする」

蛇神「娘たちと姉妹に間違われるかも……」

蛇神「……なーんて」

蛇神「……もう、これ以上したら、絶対に明日以降に響くんだから、そんなこと言わないのっ」

蛇神「……我慢できなくなるでしょ」フイッ





蛇神「……お勤め、お疲れ様。ずっとずっと頑張ったね、えらい、えらいよ」ナデナデ

蛇神「出会ってから長い時間が経ったね。子どもたちも大きくなったし、そのうち孫の顔も見れるし」

蛇神「あなたも老けたね」

蛇神「ふふ、男前だよ。笑った顔はいつまでも可愛いけどね」

蛇神「これからはもっと一緒にいられるね」

蛇神「旅行にでも行こうか?」

蛇神「今思うと私たち、あまり旅行とかしなかったよね」

蛇神「今まで、やってこなかったこと、していこうよ」

蛇神「……愛してるよ」



蛇神「大丈夫? ほら、ゆっくり深呼吸して……」

蛇神「無理はダメだよ。ね?」

蛇神「走らなくても、一緒に歩いていこう」

蛇神「私がずっと側で支えてあげるからね」

蛇神「よしよし、えらいね」ナデナデ


蛇神「……失敗だったかな」

蛇神「ほら、周りの人には私も歳を取ってるように見えるけど、あなたは別でしょう?」

蛇神「あなたが私のせいで変な気負いをしてないかと思って」

蛇神「……そう? それならよかった」

蛇神「……大好きな人の前ではいつまでも一番綺麗な姿でいたいからね」フワッ…




蛇神「はあ、今日もいい天気だね」

蛇神「あなたとするお昼寝は最高に気持ちいいんだよね」

蛇神「最近はあなたに起こしてもらうことが多くなったね」

蛇神「やっぱり変わってゆくものだね」

蛇神「でもほら、変わらないものもあるよ」キュッ

蛇神「あなたの手の形や体温が変わろうと、ね」

蛇神「寝過ごさないように、ちゃんと起こしてね」ニコ


蛇神「……あなた、大丈夫? ねえ、あなた……っ」



蛇神「……よかった」

蛇神「……まあ生きてればそんなこともあるよね」ニコ

蛇神「きっとすぐに元気になるよ」ニコニコ

蛇神「……リンゴむいたよ。……食べる?」

蛇神「……そっか」



蛇神「……私たちってたくさんの時間を過ごしたんだね」

蛇神「もうこれから先、思い出話だけで、暮らしていけそうだよね」クスッ

蛇神「……大丈夫だよ」

蛇神「あなたは本当に頑張り屋さんだなあ」ナデナデ



蛇神「……こうやってあなたの側にいれて、あなたを支えられて、私、本当に幸せなんだよ」

蛇神「あなたにとっても感謝してるんだよ」

蛇神「だから、謝ったりしないで」ポロ…

蛇神「あは、あはは、眼から鱗が……なんちゃって……っ」ポロポロ…


蛇神「最近はあなたと初めて会った時のことを思い出すんだ」

蛇神「あなたはとても若かったね」

蛇神「私も、まだまだ若かった」

蛇神「私は不老だけど、確かにあなたと共に刻んだ時間が、私の中にあるんだよ」


蛇神「私もあなたと同じ時間を確かに生きてたんだよ」




――ピッ――ピッ

姉「お父さん……っ」

姉孫「じいじ……」

妹「……まだまだ生きてよ。お腹の中の子にもお父さんの顔、見せてあげてよぉ……」


蛇神「……最後、私たちだけにしてもらえないかな。わがままだけど、お願い」



蛇神「……苦しいよね」スッ…


蛇神「……あなたは本当に頑張り屋さんだよね」


蛇神「えらいね……もう頑張らなくていいからね」ナデナデ


――ピッ――ピッ


蛇神「あなたと家族になれて私、とても幸せだったな」


蛇神「大丈夫、輪廻転生して、また生命の炎は燃えるから」


―――ピッ―――ピッ


蛇神「……嫉妬深い私を全く嫉妬させないくらい、私だけを愛してくれたね」


蛇神「少しくらい、嫉妬させて欲しかったかな……なーんてね」クスッ


――――ピッ――――ピッ


蛇神「あなたの来世の幸運を遠くからでも祈るよ」



ヒュ-…ヒュ-…




蛇神「…………ばか」ボロボロ…

蛇神「そんな……っ、誓いの、言葉を……今持ち出さないでよ……っ」

蛇神「まだ……私といたいの……?」

蛇神「あんなに一緒にいたのに……来世もその来世も……?」ボロボロ…

蛇神「…………ばか、ばかぁ……っ」



――――ピッ――――――――ピッ



蛇神「……承知したよ。あなたのお願い、この私が叶えよう」グスッ


蛇神「あなたの魂は、いつまでも、いつまでも、私と、共に、在り続ける」


蛇神「完全な一つになることはない。いつまでも、いつまでも、二つで一つだよ」



――――――――――――ツ--




蛇神「私が寝過ごしたりしないよう、ちゃんと、起こしてね」フワ…


その日、白い病室には一人の老人の亡骸と、その薬指に巻き付いた白い蛇の亡骸が横たわっていた。

それは奇妙な光景のはずだったが、それを見た誰一人も、不自然だとは思わなかった。

その中に哀しみはなかった。

彼らはあまりにも安らかで幸福だった。

そして幸福で在り続ける。


そんなお話。





おわり

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