糸色望「戦車道ですか……素晴らしいですね」 (51)

二年へ組

糸色望「えー、突然ですが。皆さんには戦車道をやってもらいます」

ざわざわ ざわざわ

小節あびる「いつもの展開ね」
日塔奈美「戦車道って、あの乙女がたしなむ伝統武芸の?」

望「そうです。このたび、全国の高校大学において、戦車道の集中強化を行うようにと文科省から直々の通達が届きましたので、私のクラスの生徒たちにもぜひ、戦車道をしても
らいます。ということで、みなさんの中に戦車道経験者はいらっしゃいますか?」

しーん


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あびる「戦車道ってけっこうお金もかかるし、経験者は戦車道をもともとしている学校へ進学するのでは?」
奈美「そうですよ先生、いるわけありません!」
藤吉晴美(昔はやってたなんて、言えない雰囲気……)
木津千里「経験者もいないのに、どうやって授業するんですか。だいたい先生だって、戦車のこと詳しいんですか? 戦車はどこにあるんですか? 思いつきで授業を企てるのはやめてください。」
音無芽留「めるめる」(戦車とか暑いしクセーし 乗るわけねーだろ バーカ)

そーだ そーだ

望「……完全に論破されてしまいましたね。どうしましょうか」
望(戦車道をすると補助金が出て、教師評価もうなぎ昇り! のはずだったのですが……)
望「……絶望した! やる気のない十代の上げ足とりに絶望した!」

あびる「これもいつもの展開ね」
風浦可符香「先生!」
望「なんですか? 可符香さん」
可符香「わたし、戦車道、やりたいです!」

奈美「本気で言ってるの!?」

可符香「奈美ちゃん! 私はいつでも本気だよ!」
奈美「そうかもしれないけど……」

望「可符香さんがそう言ってくれるのは、先生とっても助かります。でもどうしてそんなにやる気があるんですか?」
可符香「戦車道は乙女のたしなみ、良妻賢母を育てる伝統武芸ですよ! 奈美ちゃんも!」
奈美「私!?」

可符香「戦車道はスポーツ。ダイエットに効果抜群だよ! あびるちゃん!」
あびる「私も?」
可符香「戦車にはいろんな種類があります! 当然、しっぽのある戦車もあるんです!」
あびる「……戦車の、しっぽ……」

可符香「みなさんも戦車に乗れば、人生の大事なことは全部わかります! 戦車に乗れば、幸せになれるに違いない! ああ、めくるめく世界の珍戦車たちよ!」(クーゲルパンツァー アントノフ チャーチルクロコダイル 恐竜戦車etc……)

望「あ、相変わらずポジティブですね……」

可符香「だから皆さんも、戦車道をやるのです!」
奈美「そう言われたら、なんだかやる気になっちゃうなー」
芽留「めるめる」(やってみっか、戦車道)

あびる「しっぽはともかく、問題は全然解決してないけれど」
千里「そうです。先生、戦車道をやるにしても、きっちり、指導のやりかたを検討してください。もちろん、目的もきっちり、きめてください。」
望「皆さんがやる気になってくれたのは嬉しいのですが、先生……全然そのあたり考えていませんでした。どうしましょう」

どよんど

糸色倫「お兄様、カッコ悪いですわ!」
望「倫、どうしてここに!」

倫「それはどうでもよいですわ。そんなことより、私はお兄さまの用意の悪さを良く知っていますので、僭越ながらお世話をやかせていただきましたわ! みなさんあれを御覧あれ! 時田、あれの用意を」
時田「畏まりました。お嬢様」

ざわ ざわ

奈美「校庭に戦車があるよ!」
常月まとい「……あれは、ドイツ陸軍の三号戦車L型、イギリス陸軍のクロムウェルMkⅡ、日本陸軍の三式砲戦車ホニ、それにソ連陸軍のKV1ですね」
望「いたんですか。というか、詳しいですね。戦車」
まとい「常識問題ですよ。せんせ」

倫「糸色家の財力を生かして、私費購入いたしましたわ。当然、戦車に詳しい教官もお招きしておりますわ!」

???「――こんな格言を知ってる? 『私は楽観主義者だ。それ以外のものであることは、あまり役に立たないようだ』」
???「チャーチルですね」

望「こちらは?」
倫「横浜の聖グロリアーナ女学院、戦車道隊長のダージリンさんと、副隊長のオレンジペコさんですわ」

ダージリン「はじめまして。倫さんとは以前、とあるやんごとなき同級生と一緒に仲良くさせていただいていましたの」
望「そ、それはどういう……というか、お二人も高校生ですよね? 授業や、学校はよいのですか?」
オレンジペコ「聖グロは戦車道の名門校なので、履修者にはそれなりの自由が与えられているんです。我が校は、全国大会で準優勝したこともあるんですよ」
望「おお、それは知りませんでしたが、とても頼りがいがありますね!」

倫「そういうわけで、戦車も教官もお呼びしたことですし、目的はずばり、全国優勝ですわ」
あびる「それはあまりにも気が速すぎる」
ダージリン「そうでもないわ。実際、今年の優勝校はあなたたちと変わらない、無名の未経験者ばかりのチームでしたから」
オレンジペコ「大洗女子ですね……もっとも、あそこには一人だけ、経験者がいましたが」
倫「ということは、我々にも全然無理ってわけではないのですわ。全国優勝いたしましょう!」

千里「道具も目的も揃った以上、何も問題ありません。こうなったからには、きっちり優勝して成果をあげましょう!。」
あびる(しっぽ……ないな……)
関内マリア・太郎「マリア、戦車好キ!」
奈美「なんか、思った以上に大きな話になっちゃったな……」

ぶるんばぶるんば(戦車移動中)

糸色家私設練習場

望「いやあ、しばらく実家に帰っていないうちに、屋敷の敷地にこんな立派な練習場ができていたのですね。相変わらず倫は無茶ですね……では、みなさんお好きな戦車に別れてくださーい!」
「「はーい」」

三号戦車(フラッグ車)車長・木津千里 砲手・藤吉晴美 装填手・関内マリア太郎 通信手・音無芽留 操縦手・加賀愛

クロムウェルMkⅡ 車長権通信手・風浦可符香 砲手兼装填手・日塔奈美 操縦手・三珠真夜

三式砲戦車 車長兼通信手・小節あびる 装填手・根津美子 砲手・常月まとい 操縦手・小森霧

KV1 車長・木村カエレ 砲手・大浦加奈子 装填手兼通信手・丸井円 操縦手・丸内翔子

望「……だいたいみなさん、配置できたようですね。おや、倫は乗らないのですか?」
倫「私はこちらで、お紅茶をいただいていますわ」
ダージリン「時田さんの紅茶、なかなかのものですわね」
ペコ「おいしいです」
倫「お褒めにあずかるほどではございませんわ」
ペコ「時田さんを褒めたのですが……」
千里「ダージリンさん。さっそく教官をお願いします。」
ダージリン「あら、やる気がおありね」
千里「もちろん。やるからには、きっちり全力でこなします。」
ダージリン「では、とりあえず模擬戦闘でもしてみましょうか……」

ぶるんばぶるんば(戦車練習中)

千里「――移動やめ! 晴美、十時方向目標、距離五百!。 撃てーっ!。」どんばっ
千里「マ太郎! 装填もっと急いで!。 加賀さんも、もっとスムーズに停車!。」
千里「そのまま一気に行くわよ!。 前進前進!。」
晴美・マ太郎・加賀「「「はーい……」」」

ダージリン「あのチームは、というか車長が、やる気十分で見込みがありますわね。砲手の方もよい腕だこと」

可符香「たぶん敵はいない! ううん、絶対いない! だからどんどん進んで!真夜ちゃん! 奈美ちゃんもどんどん撃って! 絶対当たるから!」ぶるんば
三珠真夜「……コクリ」
奈美「なんでそんなにポジティブに命令できるのー!?」

ダージリン「あのチームは……ポジティブですわね……でも、『楽観主義者はあらゆる問題の中に、機会を見出す』。これも見込みがありますわ」

あびる「とりあえず敵を待ち伏せして、確実に撃破する」
まとい「……待ち伏せは得意よ。任せてね」
小森霧(いつまで待つんだろ……もうずっと動いてないや)しーん
まとい「これもひとつの、ディープラブだから。動かないという愛の形」
霧「いや意味わかんないから!」

ダージリン「あらあら、あちらは対してとっても慎重なチームね。『運命の糸は一度に一本しかつかめないのだ』とも言うし、悪くはありませんわ」

木村カエレ「ワタシの国では、戦車はとにかく機動力よ! 走りまくってー、撃破しまくってやるわ!」
丸内円「そうは言っても、なかなか……」
大浦加奈子「こーんな感じでも、いーですかー?」
カエレ「よくないわっ! もう、排気でスカートがめくれるし!」イヤーン

ダージリン「あのチームは……なんだかよくわかりませんわね。あざといチームですわ」

望「……というわけで、今日の練習は終わりです。みなさん帰宅してください」

「「「おつかれさまでしたー」」」

ダージリン「ちょっと、そこの……三号の車長の方?」
千里「はい! なんですか?。」
ダージリン「私が見ている中で、あなたがこのチームで一番……見込みがあるように思うの。だからあなたが良ければ、私の知り合いのいるチームに、特別に練習に行ってみないかしら?」

千里「よろこんで! きっちり身につけてきます!。」
ペコ「……どこに行ってもらうんですか?」
ダージリン「決まってるでしょ。ああいう選手にぴったりの学校よ」
ペコ「はあ……?」

ぱんぱかぱーん(試合当日)

ぱんぱかぱーん(試合当日)

望「いやあ、あっという間にはじめての練習試合ですか。私のクラスの生徒さんたちも、以前とは見違えるほどに、立派な戦車乗りです。みんなダージリンさんのおかげですね」
ダージリン「ふふふ、私はただ水をあげただけですわ。『私はいつでも学ぶことをいとわないが、教えられることをいつでも好むわけではない』から」
ペコ「それも、チャーチルですね」

倫「結局、初日以来千里さんのお姿が見えないのですけれど……どこへ行ってしまったのかしら?」
奈美「練習がきつくて、逃げ出しちゃったのかな?」
晴美「千里に限って、絶対にそれはないけど……」

ぶるんばぶるんば

千里「お待たせっ!。」
晴美「千里! どこに行ってたの?」
千里「そんなことより――、一同! 整列!。」ざっ
千里「今日から私がこのチームの、全権を持った総隊長となったわ。みなさん!、いえ、同士諸君!、 勝利のために力を尽くしましょう!。」
「「「はーい」」」
千里「なんだその返事はっ!。 おい、お前っ!。」
奈美「わ、私?」
千里「タンクジャケットのボタンが外れているぞ!。」
奈美「気付かなかった……」

千里「そんなことでっ!。 敵高校にっ!。 勝てると思っているのか!?。 信頼すべき同士たちに、顔向けができると思っているのか!?。罰として七十五ミリ砲弾、百回上げ下げよ!。」くわっぱ!
奈美「ひえっ……」
千里「文句があるの……?」
奈美(いつのまに戦車のOVMのスコップを……)
千里「他のみんなもそうです!。 規律と思想を乱した者には、この私が血の制裁を与えるわ!。」
晴美「どうしちゃったの!?」

ダージリン「千里さんには、特別に戦車道の名門、プラウダ高校へ短期転校していただきましたの。おかげで、きっちりプラウダ式の礼儀と技術が身についているようね」
ペコ「そんなことを根回ししていたんですか! ……それより、対戦相手はいきなり、あの大洗女子ですよ。急造チームで勝てるんでしょうか……」
千里「いいか! 絶対に勝つぞ!。」
「「「はーいッ!!」」」
千里「声がちいさーいっ!。」
「「「はーいッ!!!」」」

ぶるんばぶるんば

審判「では、これより練習試合、大洗女子学園対……えーっと」
千里「ああ、我が校はネーミングライツ制を採用しているので、今は名前がありません。スポンサー募集中です。」
審判「……戦車道よりも、学校名を先に決めてください!」
ダージリン「うっかりしていたわね」
望「そこは、既にお約束の領域だと思っていましたよ」
西住みほ「えーっと」
千里「はじめまして。私はこのチームの隊長、木津千里よ。」
みほ(なんか……いろんな戦車がいて、大洗のチームみたいだなぁ。親近感、ちょっと感じる)
みほ「西住みほです。今日はよろしくお願いします」ふかぶか

秋山優香里「どうでした? 相手校の隊長は……私も聞いたことない学校のチームですが」
みほ「西さんみたいな雰囲気だったけど……ちょっと怖かったかな」

冷泉麻子「……おい、あきらかにバールをかついだ選手がいるぞ。目つきもとても悪い」
五十鈴華「あらあら、あちらは凶器攻撃を仕掛けてくるんでしょうか?」
武部沙織「そんなのってありなの!?」
優香里「もちろん反則ですよ! どこですか!」
麻子「あのクロムウェルの上だ」
優香里「あー、双眼鏡でよく見ると、あれはバールじゃなくてスティックキャンディですね。誤解です。なぜか着火マンも持ってますが……」
麻子「なんでスティックキャンディと着火マンをふりまわしているんだ」
優香里「あれれ、クロムウェルの車体のほうが問題ですよ! あの美しい砲塔の垂直装甲に、なにやら不思議な模様がたくさん描かれています!」
沙織「……なにあれ。昔ニュースで見た、白いワゴン車の集団みたいなマーク……」
優香里「不安要素ばかりですね」

みほ「あ、そろそろ試合が始まりますよ! ……みなさん、準備は大丈夫ですか?」
あひるチーム・磯辺典子「オッケーですっ!」
かばチーム・エルヴィン「準備万端だ」
うさぎチーム・澤梓「だいじょぶです!」」
みほ「今回は練習試合ということで、相手校にあわせて四両しか参加しません。みなさん、全国大会や大学選抜チームとの戦いは素晴らしかったですが、今回も気を抜かず、がんばりましょう!」

「「「おーっ!」」」

ぱんぱかぱーん

審判「試合、開始!」
千里「全車前進よ!。 うなーっ!。」
みほ「みなさん、いきますよ! パンツァー・フォー!」

可符香「千里ちゃん!」
千里「なに?。可符香さん。」
可符香「今回の作戦は、どうなってるのかな?」
千里「カエレさんのKV1を先頭に、パンツァーカイルを組んで索敵するわ。みんなでひとつの密集陣形を構成し、一両ずつ敵車両を撃破よ!。」
カエレ「ちょっと! どうして私が先頭なのよ! 私の国ではレディーファーストなんて文化は、近代化以前まで存在しなかったわ!」
あびる「……一番装甲が分厚いからでしょう。敵の攻撃を一発なら、必ず止めるから」
カエレ「そうかしら!? 一番、セクスィーな位置だからではなくって!?」
千里「つべこべ言うなっ!。とっとと陣を組みなさいっ!。」

ぶるんばぶるんば

可符香「それにしても千里ちゃん、パンツァーカイルなんて言葉も陣形も、よく勉強したね」
千里「当たり前よ!。私の頭の中には、今やきっちり、戦車戦のすべてが詰め込まれているわ。プラウダ高校の『地吹雪のカチューシャ』に、ばっちり教育されたわよ。」
あびる「……質問。私たちの戦車(三式砲戦車)は砲塔がないから、あんまり平地に出ていると、回り込まれて狙い撃ちされるんだけど」
千里「……それもそうね。よし、あびるさんのチームは単独で迂回して、平地を望める高台に登って。敵を発見したら、無線通信をよろしくね。」
あびる(意外と素直に聞いてくれたわね)
あびる「了解。霧ちゃん、道をそれて」
霧「操縦桿が重い……」

千里「その他の車両はゆっくり前進しながら、敵を見つけ次第攻撃を許可するわ。」
可符香「りょうかい! というか千里ちゃん、あびるちゃんたちを行かせたのは、もしかして偶数だと綺麗なくさび型にならないから?」
千里「あったりまえでしょう!。パンツァーカイルはきっちり、均等に火力を配置してこそ美しいのよ!。」

優香里「作戦はどうします?」
みほ「今回はサンダース戦みたいな、平地と丘のステージだけど……森も多いし、正直、火力は向こうの戦車の方があるかな」
優香里「確かに、相手は三号戦車以外の全車両が75mm砲装備、長砲身の三式砲戦車もいますし、正面からの撃ちあいでは不利、でありますね」
みほ「うん。だから今回は、今まで戦った学校の戦術も参考に、慎重に行動してみましょう。あひるさんチーム、応答を」
典子「はい、こちらあひる! 準備はバッチリ、オッケーです!」

みほ「あひるさんチームは、単独で先行して、こっそり相手戦車の動きを探ってみてください。くれぐれも無理はしないで、見つけ次第順次通信を」
典子「わかりました! よっしゃー、いっくぞー!! バレー部、ファイッオー!」

「「おーっ!」」

みほ「他のみなさんは、とりあえず現地点に待機です。相手の動向が把握できたら、各自待ち伏せをして、死角から確実な包囲を目指します!」
優香里「まるでプラウダ戦の包囲戦術ですね」

ぶんたった ぶんたった

千里「……おかしいわね。」
カエレ「ねえ、もうずいぶん時間が経つのに、全然敵が見当たらないわよ。どーなってるのよ。作戦ミスなら訴えるよ!」
千里「あびるさん、丘の上からはどう? 敵車両は見える?」
あびる「今のところ、なにも見えないわ……あ」
まとい「ちらっと、森の影に戦車が見えたわね。たしかあのシルエットは……日本陸軍の、八九式中戦車」
あびる「……」

典子「おーっと、ストーップ!」
佐々木あけび「三両、敵チームですね。ゆっくりこちらに前進中……キャプテン、相手は気付いてないみたいだし、サーブ権とっちゃいます?」
典子「それはダメだ佐々木! まずは西住隊長にれんら……」どがんば!
河西忍「キャプテン! 別の場所から撃たれました!」
典子「なんだって!?」

あびる「……外したわ。次弾装填急いで」
美子「はいよっと」
まとい「動き出さないうちに、エンジンを狙って……」
あびる「駄目よ。エンジンは駄目」
霧「なんで駄目なの? 三式の砲なら、どこでも抜けるよ」
あびる「だって……しっぽがほしいわ」
まとい「しっぽ?……ああ、もしかしてあの、後ろについてる。あれは尾橇と言うのよ」
あびる「しっぽ」
あびる「しっぽ!」

ぶるんばぶるんば!

あけび「丘の上から敵車両、まっすぐこっちへ向かってきます!」
典子「とりあえず一端引くぞ! 西住隊長! 隊長!」
みほ「はい! 敵と遭遇しましたか!?」

典子「三式砲戦車に追いかけられてます!」
優香里「三式……珍しいことをしてきますね」
みほ「うん、あれはどっちかっていうと、待ち伏せが得意な支援車両のはずなんだけど……あひるさんチームは、とにかく振り切って、こちらに帰ってきてください! 無理に倒す必要はありません!」
典子「わかりましたっ! ……佐々木! 倒さなくていいから、機銃で撃ちまくって挑発だ!」
あけび「はいっ」だらだらだらだら!

まとい「撃ってきたわ。でも追いかけるのは慣れてるし」
霧「私は慣れてない……」
美子「それより、千里ちゃんの作戦はどうなったの?」
あびる「しっぽ……しっぽ……」
まとい「最近、しっぽの話題が出なかったから油断していたけれど」
霧「もともとはこういうキャラだったよね……」

典子「発煙筒のアタック、受けてみろ! そーれっ!」もわんもわん

霧「前が見えなくなった!」
千里「なにをしてるのあびるさん!。どういう状況なの!?。」
まとい「あびるさんは今、ちょっと混乱しているわ。敵の八九式中戦車と遭遇して、目下追跡中よ」
千里「私達がつくまで待ちなさい! まったくもう!。」

晴美「あ! あそこで煙を吹いてるのは……あびるちゃんの三式」
あびる「……しっぽは……」
まとい「逃げられたわ。煙は発煙筒のせいだから、問題はないけど」
千里「煙が晴れたら、私達についてらっしゃい!。カエレさん、可符香さん、追いかけるわよ!。」

ぶるんばぶるんば

キャラごとに改行したほうが読みやすいかも。

>>41
そうします。

典子「西住隊長、とりあえず逃げ切りました。でもまだ敵の主力はついてくるみたいです!」

みほ「敵主力……フラッグ車もいるし、包囲するなら今かな」

みほ「全車、あひるチームが戻ってくる前に、森の中へ隠れてください! 二度めの『こそこそ作戦』です!」

「「「了解です!」」」

優香里「うまく配置できましたね。これなら、あひるチームを追いかけてくる敵主力を、完全に包囲できますよ!」

みほ「うまくいきすぎるような気もするけど……」

華「でも、作戦通りなら、いいじゃあありませんか」

沙織「そうだよ! 私達が強くなってる証拠じゃない?」

麻子「相手が経験の少ないだけかもな。昔の私達みたいに」

典子「あと一分でそちらに到着します! 敵車両は三両、後方五百メートル!」

みほ「よし、みなさん配置はいいですね? 敵車両が見えたら、まずは後ろにいる車両を狙って、相手の退路をふさぎます。できれば一撃できめたい……かばさんチームの火力が大事になりますので、がんばってください!」

エルヴィン「了解だ!」

カエサル「無論!」

左衛門左「是非もなし」

おりょう「いくぜよ!」


ぶるんばぶるんば!

千里「もうすぐ追いつくわ!。というか、カエレさん!。速度が遅すぎるわ。パンツァーカイルが乱れているじゃないの!?。」

カエレ「この戦車が遅すぎるのが悪いのよ! 私の国の戦車なら、もっと早く動けるはずなのに……」

可符香「KVは装甲があるから、遅いのは仕方ないよ! でも大丈夫!」

千里「なにが大丈夫なのよ?。」

可符香「私達のクロムウェルが先頭に立って、相手の士気をくじきますから! 私達の戦
車には、戦車の神メケメケ様の加護が宿っているのです!」

奈美「ああ、そういうことね……この戦車の魔法陣みたいなラクガキは……って、そんな神様いないから!」

可符香「メケメケ様は勇敢な戦士の守護者です! メソポタミア神話にも登場する、由緒ある神様なのです! だから真夜ちゃん、安心して真っ直ぐつっこんじゃえ!」

真夜「……」ぶるんば!

千里「こういう、不確定要素って本当にイライラするわ。」

晴美「まあまあ、可符香ちゃんのはいつものことだから……」

可符香「いっけー!!」

エルヴィン「敵車両確認! 左衛門左、発射!」

左衛門左「発射!」ずがんば!

カエレ「きゃあっ!」イヤーン

円「被弾しましたぁ!」

千里「待ち伏せ!?。敵はどこ!?。」

カエサル「くそっ――撃破はできないか……」

エルヴィン「KVはソ連の重戦車の中でも、屈指の重装甲だ。一撃では難しかったな」

おりょう「じゃあ履帯を狙うぜよ」

左衛門左「承知! せめて動けなくするべきだな」

どがんば! ずがんば!

カエレ「どーすんのよ! めちゃめちゃ撃ってきてるわよ! 訴訟ものよ!」

千里「落ち着いてカエレさん。KVは簡単にはやられないわ。それより……きゃあっ。」どんばっ!

芽留「めるめる」(こっちもクソ砲撃受けてるぞ)

千里「むこうは三号突撃砲、こっちはM3中戦車ね……。 晴美!。 早く撃ち返しなさい!。」

晴美「そうは言っても……、よいしょ!」

どがんば!

大野あや「梓ちゃん、撃ち返してきたよ!」

梓「落ち着いて! 佳利奈ちゃん、一端移動するよ!」

阪口佳利奈「あいあいっ!」

ぶるんばぶるんば!

エルヴィン「隊長、初撃失敗です! 現在KVと交戦中!」

梓「こっちも場所がばれちゃいました! 今戦闘中です!」

優香里「こっちも撃って出ますか?」

みほ「うん……KVを先頭にして、装甲を生かした陣形を組んでくるかと思ったんだけど」

沙織「相手の先頭、クロムウェルだって! まっすぐこっちに来るっぽいよ! どうするみぽりん?」

みほ「じゃあ、こっちでクロムウェルは相手しなきゃ……華さん、お願い!」

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