【モバマスSS】 藤原肇と熱の日 (17)
モバマスSSです
書き溜めあります
藤原肇ちゃんと小早川紗枝ちゃんのSSです
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ケホケホ
ピピピピ
小早川紗枝「……37.8度」
コテン
紗枝(あかん、熱見たら余計に頭ぼーっとなってきたわぁ……)
ケホケホ
紗枝(これ、いんふるえんざやったらどないしよ……注射はうっとるけど……)
コンコン
紗枝(んーだれー? こないなときに……寝てるふり……)
コンコン
紗枝(しつこいわあ……寮生の誰かやろ。今日は勘弁してや)
コンコン
紗枝「だれー、あいてますえ……」
ガチャ
藤原肇「寮の中とはいえ、鍵は開けたまま、ですか」
紗枝「あー肇はん。安全やあ、みんなええ子やし」
肇「一人暮らしする時が来たら、気をつけてくださいね」
紗枝「はいはい、今は許してやぁ」
肇「……はぁ」
紗枝「なにー? 部屋入っていきなりため息て。用ないんやったら、今日は」
肇「やっぱり、風邪でしたか」
ピト
紗枝「ひゃ、肇はん、手ぇつめた」
肇「私の手が冷たいというより、紗枝ちゃんのおでこが熱いですね」
紗枝「……37.8度」
肇「測ってはいたんですね。なかなかな高熱じゃないですか」
紗枝「頭ぼーっとしてかなわんわぁ」
肇「まったく、昨日から変だとは思ってたんですよ」
紗枝「……そお?」
肇「一緒にお風呂入ったときもおっとりしてましたし」
紗枝「べつに、それはいつもやろ?」
肇「いつも以上に。髪もあんまり乾かしてないのに、乾いたってそそくさと部屋に帰っちゃうし」
紗枝「……はよ休みたかったん」
肇「ちゃんと乾かしておけば、こんなひどくならなかったかもしれないのに」
紗枝「もう、肇はん……お説教なら堪忍してや。今日はゆっくりさせて」
肇「ええ。どうぞごゆっくり。私が看病しますから」
紗枝「えぇ……?」
肇「なんか変だな、そう思いながら見過ごしてしまった私にも責任があります」
紗枝「そんなことありまへん。うちの管理が悪かったんどす」
肇「いいから、病人は素直に甘えてください」
紗枝「病人て、熱があるだ、ケホケホ」
肇「咳までして」
サスサス
紗枝「……ありがとうさんどす。背中さすってくれたおかげで、だいぶ楽になりましたえ」
肇「少しは甘える気になりましたか」
紗枝「……でも、風邪うつってしまうかもしれへん」
肇「まずは自分の身体の心配をしてください」
紗枝「……うん」
肇「それに、うつったときは紗枝ちゃんが私を看病してくれるんでしょう?」
紗枝「うーん、それはどうかなあ?」
肇「いけず、ですね。ふふ」
紗枝「ふふ、ケホケホ」
肇「ほら、横になってください。じっとしてるんですよ。ちょっと買い出しに行ってきます」
ガチャ
肇「ただいま……」
紗枝「スゥスゥ」
肇(おやすみみたいですね。じゃあ、その間に)
グツグツ
紗枝(ん……あ、寝てしもうてた……頭おもぉ……)
肇「~♪」
紗枝(肇はん、帰ってきてたんや……かいらしいはなうたや)
肇「どんどんどん♪ うどんどーん♪ どなべで~♪ ぐつぐつ~♪ うどんできたど~ん♪」
紗枝「ぷ、うは、あははは」
肇「さっ紗枝ちゃん!?」
紗枝「あはっ、うふっ、あははは」
肇「起きてるなら起きてるって言ってください!」
紗枝「うは、あは、か、堪忍してや、あはは」
肇「もう、ダメ、あげません! 私が食べます!」
紗枝「いややあ、おいしいうどん、たべたいど~ん」
肇「なっなっなっ!」
紗枝「あは、も、もうだめや、笑うと頭いたい、でも、うははは、あはははは」
肇「もう……ふふ、私までおかしくなってきました、ふふ、あはは」
紗枝「乙女が下品に声出して笑ったらあきまへん、ってお母はんに言われとったのに」
肇「紗枝ちゃんは笑いすぎです」
紗枝「だって、かいらしかったんやからしゃあないやろ?」
肇「今年一番恥ずかしい出来事です」
紗枝「そんなぷりぷりせんで、な?」
肇「もういいですよ。あったかいうちにおうどん、いただきましょう」
紗枝「はい~♪」
紗枝「肇はん……」
肇「はい?」
紗枝「このおうどん、ほんまおいしいどす」
肇「ふふ。土だけじゃなくて、生地をこねるのも得意なんです」
紗枝「熱であついはずなのに、とーっともぽかぽかしますえ」
肇「おうどんは消化もいいですから、すぐ元気の源になってくれますよ」
紗枝「はよう元気になりたいわ……ほんま、やさしい味やわ」
肇「ふふ、愛情もたっぷり入ってますから」
紗枝「……肇はん、時折すっごい大胆なこと言いはる」
肇「ふふ」
紗枝「おうどん食べたら、あっつくなってきたわ……それだけやないけど」
肇「ずっと寝てましたし、寝汗もかいてると思いますよ」
紗枝「ほんまや……ぺたぺたする」
肇「着替えましょうか」
紗枝「うんー……起こして、脱がしてえ」
肇「やっと少し甘えん坊になってくれましたね」
紗枝「うふふ、熱のせいや」
肇「身体も拭きましょうか」
紗枝「お願いします~」
肇「……」
紗枝「ん~なに~?」
肇「紗枝ちゃん、改めてこうしてみると、華奢ですね」
紗枝「……肇はん」
肇「はい?」
紗枝「今、明らかに胸見て言うたやろ」
肇「ギクり」
紗枝「わかりやすくぎく言いましたなあ。ほーん」
肇「もっと食べた方がいいですよ」
紗枝「そう言いはるけど」ピト
肇「ひゃ」
紗枝「身長の割に、肇はんも小さいんとちゃう?」
肇「私は華奢とは言いましたけど、小さいとは言ってませんよ」
紗枝「うふふ、それは失礼しましたなあ」
肇「わ、紗枝ちゃん、お腹が黒いですね、しっかりふかなきゃ」
紗枝「ひゃう。むむう、肇はん、風邪うつったんちゃう。頭がぼーっとしすぎやで」
肇「いえいえ、元気そのものです。ふふ」
紗枝「うふふ」
肇「ふふ」サワ
紗枝「ひゃう。えい」サワ
肇「きゃ」
コチョコチョ サワサワ
あは、あはははは
紗枝「んもう、風邪ひいとるときにくすぐりあいっこってあほちゃう」
肇「あほですね、ふふ」
紗枝「余計汗かいたわあ」
肇「でも、少しスッキリしたんじゃないですか」
紗枝「心なしか、そんな気がするわぁ」
肇「もう一度ゆっくり横になれば、良くなりますよ」
紗枝「うんーな、肇はん」
肇「なんですか」
紗枝「そばに……いてくれはります?」
肇「はい、もちろんです」
紗枝「東京来て、初めて風邪ひいたわあ……」
肇「そうなんですか」
紗枝「もっと不安なると思っとったけど、そうでもないなあ」
肇「ふふ」
紗枝「ほんま、ありがとうな、肇はん」
肇「いいえ」ナデナデ
紗枝「んっ」
肇「お茶、いれてきます」
紗枝「ええ香り……」
肇「ほうじ茶です。さっき私の部屋から持ってきておいたんです。」
紗枝「やっぱり? うちの部屋にはないもんなあ」
肇「お茶には厳しいと紗枝ちゃん。いかがですか」
紗枝「とーってもおいしゅうございますえ」
肇「ふふ、良かった」
紗枝「この器も、肇はんが?」
肇「ええ。備前焼とほうじ茶、色味があうでしょう?」
紗枝「ほんまやね。目も、身体も、心も、ぽかぽかになりますわあ」
肇「愛情、込めましたから」
紗枝「うふふ、二回目は素直に受け取れるもんやなあ」
紗枝「なあ、肇はん」
肇「はい」
紗枝「特別な人、ってどんな人やと思う?」
肇「特別な人、ですか」
紗枝「そう、特別」
肇「甘えられる人、甘えてくれる人、一方通行じゃなくて、お互いに。そんな人でしょうか」
紗枝「どないして?」
肇「田舎から出てきて、見ず知らずの人の中、いつも緊張して生活してきました」
紗枝「うちもそうやもしれん」
肇「ええ。そんな中、その緊張を解き放って、思いっきり弱い自分を見せあえる人が、特別だと思います」
紗枝「なるほどなあ……」
肇「紗枝ちゃんは?」
紗枝「ないしょ、どす」
肇「本当に紗枝ちゃんはいけずな人ですね」
紗枝「ふふ、肇はん」
肇「今度はなんですか」
紗枝「風邪治ったら、絶対うちに甘えてや?」
肇「……もう。もちろんです」
翌日、紗枝の抱き枕から、湯たんぽになった肇が見つかるのは、また別の話
おしまい
ありがとうございました。
京都にゆかりがないので言葉不安な上に、勢いで書いたので誤字脱字、そのほかミス、お許しください!
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