【安価有】提督「闇を抱えてそうな艦娘っているよな」 (91)


かんれんさく
提督「あけぼのちゃんはツンドラ」
提督「あけぼのちゃんはツンドラ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1446847278/)



気晴らし
提督らがただくっちゃべるだけの内容です

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1455053332


食堂——


提督「と、思うんだけどどうだろう」

漣「知らんがな」

曙「何の脈絡もなく何言ってんのアンタは」

提督「那珂ちゃんいるじゃん」

提督「艦娘業やりながら未だ大成しないながらもアイドル活動も頑張ってるけどさ」

提督「両立が難しいこの二足のわらじをそうまでして続けているのは、実は誰でもいいから頑張っている自分を認めて欲しいとかそんな感じの深層意識の表れだったりとか」

提督「そしてゆくゆくは頑張るのハードルを自ら上げてってアイドル業では業界の闇に飲まれていき、艦娘業では危険な仕事ばかりに従事するようになり」

漣「思ったよりも軽いと思ったらヘビーローテンションな事になって笑えねえッスよご主人」

曙「でもそれアンタの想像でしょ?」

提督「おう、きっと我らが那珂ちゃんは純真無垢だ」

曙「アンタの想像力に引くわ」

提督「」


漣「てゆーかなんで闇? めっちゃ唐突ですやん」

曙「そもそも闇って表現」

提督「俺的には女の子は笑顔が一番、それは揺るがない」

提督「でも、笑顔にも色々あるけどそのバックボーンはどうなってんだろうなーってふと思ってしまってな。 悲しさを堪えた笑顔とか全てどうでもよくなった笑顔とか、あるだろ」

漣「あー、恥ずかしさのあまりに顔面真っ赤に燃やしながら笑っちゃったりとか」

提督「そして気付いたら思考が闇に落ちてた」

曙「その過程と表現が謎なんだけど」

漣「なにー? ご主人様闇落ち趣味に目覚めちゃったー?」

提督「闇落ちってか暗いバックボーンに興味が湧いたかもしれない」

曙「趣味悪っ」

提督「いい趣味はしてねえな。 どうせならブラック那珂ちゃんを軽く掘り下げてみようか」

漣「ブラックて」


——————————


那珂「…………」ポツン

<ガチャッ

那珂「あっ! おかーさんおかえり! あのね! 今日学校でね!」

那珂「え、でも、ごはんなら少しくらい遅くなってもいいよ、でもそれより今日ね」

那珂「あ……う、ごめんなさい……お仕事から帰ってきたばかりだし……そうだよね……」

那珂「……おとーさんなんか一週間も顔見てないよ、部屋にずっと……」

那珂「うん、分かってる……疲れてるのに邪魔してごめんなさい……」

那珂「……誰も私の話を聞いてくれないなぁ……見てもくれてない」ピッ

那珂「……テレビの人は皆に見られてて……話も聞いてもらえて……羨ましいなぁ」

那珂「テレビの人……アイドル、だっけ。 アイドルになれば私も……同じようになれるのかな」

那珂「アイドルとして凄くなればおかーさんもおとーさんも、私の事見てくれるかな……」


——————————


提督「…………」

漣「…………」

曙「…………」

提督「……という感じのジャブ程度だけど」

漣「暗いわ!!! 今のでジャブか!!!」

提督「いやぁ承認欲求って怖いですよね」

漣「今のは家庭環境の方が怖いよね!? 那珂ちゃん生きて超生きて!!」

曙「那珂の事を今までと同じように見れる気がしなくなったわ」

漣「落ち着けぼのやん、今のはフィクションだから」

提督「でも那珂ちゃん本人から昔話を聞いたことないから今のよりもっと酷い可能性も」

漣「やめーや!!!」


提督「とまあこんな感じでさ、バックボーン一つ闇に落とすだけでも笑顔の意味が変わりそうだよな」

漣「認められたいが為に笑顔振りまく那珂ちゃんとかもう純真無垢の欠片もねーです」

曙「そう言えばアイツ自分の音声入り目覚まし配ってたけど、それもその一環だと思うと」

漣「だからフィクションじゃってゆーとるやんリアル那珂ちゃんまで怖くさせないでよ」

提督「正直バックボーンが暗いと幸せにしたくなるよな」

漣「うっわ人の傷口につけ込むとかえげつなっ」

曙「一人の人間として見損なったわ」

提督「そこまで酷いこと言ったかなあ俺!?」

漣「酷いことは言ってないけど直前の話が重要っちゅー良い例ですの」

提督「まあいいや、那珂ちゃんはこれくらいにしといて誰か他に闇抱えてそうな子とかいる?」

曙「え、続けんのコレ」

漣「正直後味悪い感じあるけど楽しくなってきた」

曙「言動とは裏腹に楽しんでたのねアンタ、友達辞めようかな」

漣「そう言うない、ズッ友でしょ! んっとねー」


↓1


漣「かしまーるさんとかどう? やみふか?」

曙「鹿島? というかやみふかって何よ」

漣「闇深い? 略してやみふか」

曙「い くらい言ってやんなさいよ」

提督「鹿島かー……」

漣「カッシマーがっ!」

曙「やかましい」

提督「こないだ秘書艦やってもらった時さ、超弩級ってくらいに甲斐甲斐しく世話されたな」

提督「アイロンかけてくれたり、部屋の掃除してくれたり、徹夜してたら夜食作ってくれたり」

漣「……秘書艦なら割りと普通ちゃう?」

曙「アンタはそのどれか一つでもやったことあんの?」

提督「普通と言えば普通だけど鹿島の一つ前の週の秘書艦は漣だったよなあ?」

漣「アーアーワタシウチュージーン」


提督「で、話を戻すけど鹿島か。 鹿島のやみふかエピソードはアレだな、一度彼氏に捨てられてそう」

漣「めっちゃブッ込んできた」

提督「安心しろ、ちゃんとifの話だから」

漣「それでも急に那珂ちゃんが可愛く見えてきた」

那珂「那珂ちゃんは今日も可愛いよ!」

曙「唐突に顔出さないで、やかましい」

那珂「呼ばれた気がしたからつい」

提督「はいはい那珂ちゃん可愛い那珂ちゃん可愛い」

提督「で、かしまーるだけど一緒にいると窮屈なんだよとかって言われて捨てられるんだよ」

提督「自身では良かれと思ってやっていたことを全否定されて傷付いて。 でも他のやり方が思い付かないから傷は治らないまま」

提督「そんな傷心かしまーるがそのまま司令部に着任しました、さあ提督のお世話やお手伝いをしよう」

提督「でも加減が分からない、度が過ぎたらこの人にも捨てられるかもしれない。 さあどうしよう、ってところから」

曙「さっきとは趣向が違うのね」

提督「その辺はフィーリングだから」


——————————


鹿島「あ、あの……提督さん。 鹿島……何かお手伝い出来ることは……」

鹿島「今は……? そう、ですか……そうですよね……鹿島、戻りますね……」

鹿島「……はい? 何でしょうか……執務室のお掃除? 私に?」

鹿島「っ、はい! ありがとうございます、お任せください! 鹿島、ご期待に添えるよう頑張りますから!」

鹿島「……頼って貰えた、私に頼って貰えた。 だから、喜んで貰わないと……見放されないようにしないと……」



鹿島「——あっ、提督さんおかえりなさい! ごめんなさい、まだ掃除の途中で……もう少しで終わりますから」

鹿島「……へ? これじゃまるで大掃除? そこまでしなくても……?」

鹿島「ひ、あ、ごごごめんなさい! その、ね、熱が! 熱が入り過ぎてしまって! つい、と言うか……!」

鹿島「つ、次はちゃんとわきまえます! 程々に、程々にしますから次があれば挽回させてください!」

鹿島「頑張りますから……じゃない、頑張り過ぎないように頑張りますから……あの、どうか……」

鹿島(……この人は笑って許してくれるんだ)

鹿島(だけど、優しさに甘えちゃダメ、気を抜いたらそれだけで見限られるかもしれない、加減を忘れたら呆れられるかもしれない)

鹿島(私にはまだ踏み込んでいい領域が分かりません、どこまでなら許してくれるかが分かりません)

鹿島(だからどうか、貴方になら全てを差し出してもいいと思えるまで私のことを見限らないでください——)


——————————


漣「Oh……」

曙「うわあ」

提督「以上、依存したいし依存されたいやみふかかしまーるさんのコーナーでした」

曙「何アンタ、そんな願望あるの?」

提督「そういう訳じゃないけど、ぼのやん再現してくれんの?」

曙「や、それとは別によく思い付くわってドン引きしてる」

提督「相変わらずのぼのやんだぜ」

漣「これ最終的にどうなるんですかね……二人揃ってどっぷりズブズブ共依存エンド? しあわせ?」

提督「俺としては鹿島の依存本領発揮以上のオーバーロードエンドを推すね」

曙「ところでアンタの話に出てくる提督ってアンタ自身?」

提督「なわきゃないでしょ、自分投影してたらそんなんどんだけ自己満足したいマンなんだよお前って話になるだろう」


提督「でも人に尽くすって行動はそれ自体が依存度を孕んでる気がするんだよな」

漣「あー、尽くしてるのに報われないとまだ足りないのかと思って尽くし尽くして?」

提督「最終的には分かりやすくベッドの上でギッコンバッタンとご奉仕だよなあ」

曙「三大欲求には抗えないって事かしらねー」

漣「ヤンデレよりもデレデレ堕ちのが似合ってそうだよね、かしまーるさん」

提督「どんな形でも求められたい、愛されたい、ってのは狂気をも感じるがな。 まあifの話だし軽く流そうぜ」

漣「軽く流せるほどヘリウムみたいな話じゃないっちゅう」

提督「どうせなら次はぼのやんにお題を出してもらおうか」

曙「あ? 私? なんでよ、ったく……」


↓1


荒らしその1「ターキーは鶏肉の丸焼きじゃなくて七面鳥の肉なんだが・・・・」

信者(荒らしその2)「じゃあターキーは鳥じゃ無いのか?
ターキーは鳥なんだから鶏肉でいいんだよ
いちいちターキー肉って言うのか?
鳥なんだから鶏肉だろ?自分が世界共通のルールだとかでも勘違いしてんのかよ」

鶏肉(とりにく、けいにく)とは、キジ科のニワトリの食肉のこと。
Wikipedia「鶏肉」より一部抜粋

信者「 慌ててウィキペディア先生に頼る知的障害者ちゃんマジワンパターンw
んな明確な区別はねえよご苦労様。
とりあえず鏡見てから自分の書き込み声に出して読んでみな、それでも自分の言動の異常性と矛盾が分からないならママに聞いて来いよw」

>>1「 ターキー話についてはただ一言
どーーでもいいよ」
※このスレは料理上手なキャラが料理の解説をしながら作った料理を美味しくみんなで食べるssです
こんなバ可愛い信者と>>1が見れるのはこのスレだけ!
ハート「チェイス、そこのチキンを取ってくれ」  【仮面ライダードライブSS】
ハート「チェイス、そこのチキンを取ってくれ」  【仮面ライダードライブSS】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1450628050/)

>>1大先生の新作です!
荒らし除けにキャラ変えた癖になにも学んでないのが見ただけで判る内容!
貴虎「つゆだく!そういうのもあるのか」 【仮面ライダー鎧武SS】
貴虎「つゆだく!そういうのもあるのか」 【仮面ライダー鎧武SS】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1453306136/)
貴虎「こってり!そういうのもあるのか」 【仮面ライダー鎧武SS】
貴虎「こってり!そういうのもあるのか」 【仮面ライダー鎧武SS】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1455035899/)


曙「……名取とか」

漣「なんやて工藤!」

曙「それは服部」

提督「ああ、あの心を読む……」

曙「それはサトリ」

漣「ベリーソードは」

曙「囮」

提督「へへへ、教えてやるよ……」

曙「手取り足取り、ってアンタらから振っておいてさ、帰っていい?」

提督「すんません真面目にやります」


提督「でも名取かー、うーん」

漣「そんな悩むこと?」

提督「やー、名取って押しが強くない子だろう」

提督「そういうシンプルな弱さがある子だと俺の脳みそ様ではシンプルなのしかなあ」

曙「無理に変化球にしなくてもいいでしょうに」

提督「それもそうだけどさあ」

漣「ならこの南方の魔術師と呼ばれたサザンクロス様に任せてもらいましょうか!」

曙「シンプルやありきたりは王道って言い換えられるしさ」

提督「そーゆーもん? まあ、変にひねるよりはマシか」

漣「あのー、無視しないでー」

曙「はいはい、何よ」

提督「別に任せてもいいけどさ、色々な意味で大丈夫か?」

漣「色々な意味が気になるけどやってやるですよ! なとりんを思う存分弄んでやるわ!」


——————————


 私は出来ない子。物心ついた頃から、或いはつく前から、私の脳裏にはそんなイメージがついて回るようになりました。
 この世に生まれてから立てるようになるのにも、歩けるようになるのにも他の子よりも多くの時間を要したと聞いています。
 他の子が縄跳びで三回飛ぶ間、私は一度回して足元に情けなく縄を落とすのが精いっぱい。歌を歌わせれば歌詞を覚えるのがやっとで、音程は滅茶苦茶。

 だからか、友達や親戚、果てには家族にも鈍臭い、要領が悪い、出来が悪い、と言われ続けていました。
 悔しかったし、悲しかった。だけども、本当のことですから黙って受け入れていました。言い返すことすら出来なかっただけかもしれません。

 だけど不思議ですよね、出来ない尽くしの私なのに、唯一得意なことがあるんです。
 それは、涙を流すこと。悔しくて、悲しくて、痛くて、辛くて、虚しくて、情けなくて。そんな時はすぐに涙が流れるんです。
 いえ、やっぱり出来ない子です。貴女の命の危機にも関わらず、涙を流すことしか出来ないから。
 怖くて、恐ろしくて、貴女の命がもうすぐ消えてしまう、その事実がとても信じられなくて。
 必死に助けを請われても、恐怖に歪んだ嘆願の目を向けられても、ごめんなさい。助けたいと思う意思を拒むかのように、私の身体を幾百幾千と結ばれた呪いの言葉が縛り付けるのです。
 私には何も出来ない、出来ない私は何をしても無駄だ、と。

 艦娘になれば変わることが出来ると思いました。自分の意思で自分の道を決める、艦娘・名取としてそういう一歩を踏めば過去と決別出来るだろうという希望を抱いていました。
 でも、それは叶わない願いだったようで。踏み出したところで引き戻されない訳ではない、ということを何故思いもしなかったのでしょう。

 今、そんな私が最期に出来ることと言えば貴女の命が消える様を見守ることと、間を置かず共に逝くことだけでしょうか。
 到底許されないことだとは思います、ですがどうか許してください。許しを請うことしか出来ません。

 私は出来ない子ですから——。


——————————


漣「——以上! 漣ちゃん脳内ベストセラー・本当にあったかどうか定かではない怖い話百選より抜粋、出来ない子・名取でした!全編共にフィクションでお送りしました!」

提督「レッテル植え付け系はキツい」

曙「その上バッドエンドってかデッドエンドとか救いの欠片もないわね」

漣「いやー、救いのないダークなお話ってさー、読みたくないけど読みたくなったりしない? 思いついちゃったりしない?」

提督「ああ、それ凄く分かる」

曙「それにしてもクソ提督の話がまるで子供の演劇レベルにしか思えなくなったわね」

提督「サザンクロス様半端ねーよ……」

漣「漣様を尊敬しろォ!」

曙「うっざ」


曙「でも今の名取じゃなくても良かったんじゃ」

漣「んなもんこの世に蔓延るお話全部に言えることだあね」

漣「ソイツでしか出来ない話じゃなくて、ソイツがそうなる話が見たいってのが需要ってもんよ! たぶん!」

提督「でもさ、ちょっと救いなさ過ぎて提督さんの心の花枯れそうだよ」

漣「安心してつかぁさい、サザンクロス様のMPも爆発しそう」

曙「自爆してまでやる必要あるの?」

提督「それでもやらなきゃいけない時がある……!」

曙「少なくとも今じゃないと思うんだけど」

提督「いいやっ! 今だね! それじゃ一周回ったし俺の番だな!」

曙「一周……あ、私は語らなくていいんだ」


↓1


提督「マウンテンクラウドって言うとちょっと強そう」

曙「普通に山雲でいいでしょ」

漣「まぐまぐかー、あーいう裏表なさそうでかつ掴み所がない子ほど暗い出自が映えそう」

提督「でもそれ以前に山雲って一緒にいると絶対主導権奪われるんだよな」

曙「ああ、分かるわそれ。 アイツの独特なペース凄いわよね、ブレないし阻害されないもの」

漣「そーお? お話してると結構楽しいんだけど」

曙「アンタも人に主導権握らせないタイプだもんね」

提督「ハンドルを握らせたら山雲は高速道路でもマイペース、漣は国道でもぶっちぎりなんだろうな」

漣「スピード違反でブタ箱に突っ込まさせる気かい」


提督「山雲はな、きっといつでもニコニコ笑顔だよ。 辛くても悲しくてもきっとな」

提督「でも狂気を感じるようなそれじゃなくて、それでも笑顔でいたいからって感じ」

提督「そんな山雲に救われた人も多いだろうな、けどそんな山雲であり続けることを周りも無自覚のうちに期待して期待されて、それが本人も気付かない程度の負担となる」

提督「しかしだ、チリのような負担も積もれば、ってな」

漣「バックボーン自体は割と普通タイプ」

提督「プラスにプラスを足され続けてもプラスのままだけど、一度でもマイナスを掛けたらどうなるやら」

曙「それが爆発ってことね。 掛ける数や掛けられる数次第では手のつけようがないくらい、と」

提督「無限に膨らむ風船など無いということだな」


——————————


山雲「ただいま〜って、もう山雲達しかいませんけどね〜」

「廊下を歩いてて足音が響くのなんて〜山雲、初めて聞きました〜。 いつもは誰かがお喋りしてたり〜、走りっこしてたりで静かなことなんて無かったですしね〜」

「あー、ちょぉっと不謹慎でしたね〜、ごめんなさいね〜」

「そおだ、司令さ〜ん疲れたでしょ〜? ここ毎日ずっとお葬式ばかりで気が滅入っちゃってません〜?」

「だから〜、司令さんが大丈夫になるまでお休みしません〜? このところずぅっと働き詰めでもありましたし〜」

「小さなお仕事や〜後片付けくらいなら山雲でも出来ますから〜、ね〜?」

「山雲もですか〜? 山雲はついこの間まで病棟で休んでいましたから平気なんです〜」

「だから、ねー? 今は司令さんが代わりばんこで休む番なんです〜。 もう、どうせなら山雲も一緒に休んであげましょうかね〜」

「やだ〜もうお礼なんて〜、お気遣いするのも仕事のうちですし〜」

「え? 強いって何が、誰がですー? この場合だと山雲しかいませんけど、一応〜」

「辛くは無いのか、って……何言ってるんですかー司令さん、辛いに決まってるじゃないですか」

「お仲間やお友達が皆いなくなってー、それでも平然としていられたら、その人は人じゃなくて心のないロボットですよー」

「平然としているように見える、って? それはそうですよー、山雲が泣いたら司令さんまで泣いちゃうじゃないですかー」

「……山雲がいつもこうしてニコニコ笑顔でいたらですねー、一緒にいる人も笑顔になったんですよー」

「そして言うんです、山雲のおかげで元気が出たってー」

「だから山雲はいつでもニコニコしていないとダメなんですー、ホントは弱音も吐いちゃダメなんですけどねー」

「……あ、あれ? やだ、涙が、そんなっ」

「わぷっ、……司令さん、濡れちゃいますよ、ちょっと、止まりそうに、ない、です」

「……今までずっと、心配なんてされたこと無かったんです、ずっとニコニコしていたから、辛いのを見せないよう我慢していたから」

「司令さんは、心配してくれるんですか? 私はもう、我慢しなくてもいいんですか?」

「……ごめんなさい、受け止めてください。 泣き方なんて忘れてしまいましたけど、せき止めてるのが崩壊しそ、う、うう——」


——————————


提督「——と、壊滅した中小司令部に残された山雲の涙腺が決壊しただけの話でした」

曙「闇というかねえ」

漣「光あるところに出来た影を覗いた感じ」

提督「闇について考え過ぎると光に寄るんだよ、多分」

漣「もっとどストレートでもよかったんでないの? 虐待されてたから人を怒らせないようにニコニコ笑顔ーとか」

提督「なにそれやみふか過ぎて怖い飲まれそう」

漣「闇に飲まれよ」

曙「まあビミョーに救いがありそうなだけ後味は」

提督「この後崩壊し過ぎていつもの笑顔を失って乾いた笑顔しか出来なくなった山雲の話でもする?」

曙「後日談のが闇深いってどうなのそれ」


曙「ていうかバックボーンの話じゃなかったっけ」

提督「バックボーンの闇が深いとどうなんだろうなって話じゃなかったっけ」

漣「どっちでもいいんじゃねーです? ほらはよ続きしよーぜTHU☆DU☆KI」

提督「なんで俺よりもノリノリなんだろうコイツ」

漣「そらあーた自分の考えたお話聞くより誰かの考えたのを聞く方が楽しいからに決まってんでしょーがっ」

曙「アンタら揃って趣味悪いわ」

漣「とか言いながら残ってるぼのやんも同族じゃよな」

曙「暇なだけだし」

提督「とりあえず次だ次、順繰りに漣」

漣「お話考えるのはご主人様に任す」

提督「えー」


↓1


漣「フェニックス大鳳、君に決めた!」

提督「フェニックスを付けなくても大鳳は大鳳だよ」

曙「言っちゃあ悪いと思うけど、大鳳って他の空母連中と比べて貧相な体型って思わざるを得ないわよね」

漣「見損なったぜぼのやん! ぼのやんも出るとこ皆無なくせに!!」

曙「鏡でブン殴ってやろうかしら」

提督「俺はスレンダーな体型は好きだけどなぁ、抱き締めたら壊れちゃいそうな感じってなんかよくない?」

曙「セクハラじゃんこのスケベクソ提督」

漣「やっぱニブチン山脈だぜこのボノエッティーヌ」


曙「にしても大鳳ねぇ」

提督「フェニックスか……何がいいだろうか」

漣「ツモった」

提督「言い出しっぺがツモるのか」

漣「へっへー、この手のはシックスセンスがモノを言うんですぅー」

曙「まーたデッドエンドじゃないでしょうね」

漣「安心せい! ハートフルウォーミングな物語だぜ!」

提督「闇何処行ったし」


——————————


 私の最初の記憶は病院のベッドの上で、自身が大鳳であると自認したことだった。

 その後、私は長い間眠っていたことや、艦娘としてとある司令部に所属することが既に決まっていることを軍の関係者と名乗る男から知らされた。
 その時、自身が艦娘であることも知らされたが、自認していることを男に伝えると静かな笑みで
「そうか」
 と返されるのみだった。今にして思えば手間が省けた、くらいの意味合いはあったのだと思う。

 程なくして退院した私は所属が決まっている司令部に向かうこととなった。無論、男の付き添いつきで。
 執務室に入った際、私の上官となる提督が私と男を見るなりに男に対して不快感を露わにしていたのはよく覚えている。
 私に対しては直前の態度が嘘のように気さくに接してくれた。これは同情の意味合いが強かったのだろう。

 こうして私はこの司令部で生活することになった。
 同僚や友人にも恵まれ、文字通り何不自由のない充実した生活を送っていた。

 けれどある日、光で満ち溢れた生活に小さな影が差した。
 食事時、同僚の艦娘二人が艦名とは違う、あだ名だとしても似つかない名前で呼び合っているのを聞いた。
 ふと気になり、それは貴女達の名前ではないのではないかと尋ねた。そして返答は、
「これは本名だよ」
「艦娘だったら艦名で通してるから本名なんて滅多に呼ぶことないよね」
 と、私の常識を容易く撃ち砕いてくれた。
 本名。その単語の意味は知っている。だが、艦娘は艦名こそが本名で、自身を自身たらしめているパーソナリティである、とそのように考えていて、目が覚めた時にも同様の説明を受けたのだ。
 激しい動揺と疑問に襲われた私は、血肉を求める餓狼の如く友人の艦娘達に同じ質問をして回ったが三者一様とでも言おうか、全員が艦名とは別に本名を持っていた。

 私が最後に行き着いたのは艦娘ではない、人間である提督の元。そこで問うた質問はこれまでとは違う物。
 艦娘は艦娘として生を受け、人間は人間として生を受け。両者は見た目こそ類似せども違う存在のではないのか、と。
 提督は苦い顔をしてこう答えた。艦娘とは人間にかつての日本帝国海軍籍の軍艦の英霊が宿った存在である、と。
 そして彼は更に続けた。君にまだ告げるべきことがある、もっと早くに告げるべきだったのだろう、とも。

 私は、事故によって意識を失っていた一人の人間の女の子だったらしい。
 事故の際、脳に損傷を負ったことから記憶の喪失は確実だったとも、意識を取り戻すかさえも定かではないと。
 だが、どうやって知ったのか、例の男が私に艦娘・大鳳としての適性があることを知り、私を元々入院していた病院から連れ出したと言う。
 目論見通りに私を手に入れた男は次に提督の元へとやってきたらしい。大鳳が欲しくないか、との甘言付きで。
 なんでも、彼の親は資産家らしく、息子である彼は当時戦果を思うように上げられず苦しんでいたのだと。
 そこに男が現れ、多額の金で大鳳を、私をくれてやると。大鳳の艦娘は強力ながらも数が少なく希少価値があったらしい。
 それでも彼は飛び付いた。飛び付きかけて、そう都合のいい話があるはずがないと。彼は男に私の出自を問うた。
 すると男は、病院から合法的に攫ったのだと。ここで取引を反故にすれば身寄りのない少女が路頭に迷うことになるとも。
 結果、彼は取引に応じた。私を迷わせるという罪悪感が大きかったのだと。
 そして、今以てして私の出自は不明のままだ。事故の際に家族を失ったか、そうでないのか、未だ私同様眠り続けいているのか。そもそも初めからいないのか。

 しかし、だ。この時の私は彼の話の殆どが耳に入っていなかった。
 皆が当たり前のように持っている艦娘ではない自己としてのパーソナリティを私は記憶と共に喪失している。艦娘でなくなったら私は誰でもなくなる。
 艦娘である今はいいかもしれない、しかしその後はどうすればいいのか。
 私はどこに行けばいいのか。
 私はどこへ帰ればいいのか。
 私は何者になればいいのか。

 こんなことならずっと眠っていたかった——


——————————


漣「——以上、記憶喪失娘はホームシックになるか、フェニックス大鳳編でした」

提督「社会的な闇っぽい」

曙「人身売買そのものよね、話に出てきた提督もクソ野郎の素質あるんじゃないの?」

提督「そう言うと更にやみふか度が増すな……ってーかサザンクロスさんや、救いなさ過ぎじゃね?」

漣「提督が大鳳さんを慰めるけど結局無意味で大鳳である自身も自身として認めるべきか、そうでないかで苦悩するアフターストーリーをご自由にご想像ください」

提督「あーもうもっとひでえなあ!」

曙「記憶喪失だけはなりたくないと思わされたわ」


提督「しかし大鳳は薄幸ぽい雰囲気あるけど堕としにくそうだなって思っていたんだけどな」

曙「すき焼き食べさせて美味しい〜っ!とか言わせてる方が画になるわよね」

提督「すき焼きセット持ってくるからぼのやん再現してくれる?」

曙「え、めんどくさい」

漣「どうしてもってんなら漣が食べてやりますよ」チラッチラッ

提督「却下で」

曙「……すき焼き食べる前に卵を割ろうとしたらグジャッて卵を潰してしまう大鳳、か……」

提督「地味な不幸だなあ」

漣「でも気分はブルーになるよね、それ」


寝落ちかけてたので一旦ここまで
即興短編はとても疲れるのでごぜーますね

とりあえず安価出しときます。コンマ高い順でリスタート
コンマ高いほど闇闇してるってのも考えたけど、度合いの調整が難しいので却下


↓1〜3


文月→如月→秋月
の順で始めます。コンマの意味ないな?
しかし斯様な内容で満足頂けるか不安ですけども。ではまた後で

というかバックボーンに闇抱えていない艦娘って
存在しないくね?

>>50
それを言うたら身も蓋もなくなるので許してください
なんでもしまかぜときつかぜ


そんなわけで再開


提督「すき焼きは食べないけど今度は文月で行こうか」

漣「ふみふみの闇って想像できぬい」

提督「文月のはそうだなー、本人が闇を闇と自覚してない闇とかはどうだ」

曙「また随分ややこしそうな」

提督「文月自身はそれを何とも思ってないけれど、周りの人がそれを聞いたら あー…… ってなるような、そんな闇だな」

漣「あー、そーいう。 周りが察しちゃって反応に困っちゃうみたいな」

曙「喋る地雷原みたいなもんかしら」

提督「胃が痛くなりそうだ」


——————————


文月「ねえしれいか〜ん、もう目ぇ開けていーい?」

文月「ん〜……わあ!何これぇ、パーティ?誰の?何の?」

文月「え、あたしの?どうして?何かしたっけ……え、うん、今日はあたしの誕生日だけど……?」

文月「……そっかぁ、誕生日にはお祝いとかするんだぁ、えへへ、こういうのしたことないから嬉しいなっ」

文月「うわぁ、凄いケーキ!こんなの初めて見たよ!プレゼントもあるの!?すごいすごい!」

文月「誕生日ってすごいんだねぇ!誕生日のこと好きになっちゃいそうだよ〜!」


——————————


提督「と、さっくりとでも育った環境の闇の深さを感じ取れる文月編でした」

漣「お祝い事がないのが当たり前の環境って相当だよにぃ……」

曙「文月くらいの年齢の子には深過ぎて闇だと気付けないわよこんなの」

提督「この調子だとクリスマスやお年玉、そういうのも一切無いんだぜ……闇の深さを感じ取ると周囲は素直に祝うどころじゃなくなるんだよなあ」

漣「これまででいっちゃん救いはあるんだけどさあ……なんでそんなに、感が拭えないぜ」

提督「もし同じ家庭環境で性格も捻くれていたらなるほどなー……ってなるけど、天真爛漫だと嘘だろお前……ってなりそうで」

曙「文月のは光が強い程、影も濃さを増すって感じね」


提督「では睦月型続きで如月のターン行こうか」

漣「きさらんって闇とかってーよりさ」

曙「色気の方が強いわよね、だからこそ闇映えしそうだけど」

提督「闇映えとかいう新単語よ」

漣「何かとエロいよねぇ。意識してやってる面もありそうだけど、意識してやってないことすらそう見えるからにゃー」

曙「ラーメン食べる時とかさ、頬を上気させて左手で髪を避けて、箸で掴み取った麺に息を吹きかけてって絵面だけでもなんでアンタそうなんのよって感じ」

提督「正直、暁よりもアダルティなくらいだしな。それだけに落とし方も悩む」

漣「ところで当人の知らないところで勝手に闇を深められるのってどうなんだろねぇ」


——————————


 カーテンの隙間から入り込む朝日は嫌いだ。この日もまた、この時間まで肢体を肉欲のままに貪られたことを嫌でも実感させられるから。
 最早慣れたことだと言うのに。それでもまだ、認めたくない私がいるのだろうか。この身体はまだ誰にも穢されていない、と。
 そんな現実逃避めいた希望は抱くだけ無駄である、と引き裂くようについ先程まで私を貪っていた暴獣がいびきを鳴らす。情けない一糸纏わぬその姿を、あらゆる感情が削ぎ落とされた瞳で見下ろし、見比べる。
 情けなさは五分であろうか、何も纏っていないのは私も同じだった。強いて違う箇所を挙げれば長い髪は乱れ、全身くまなく暴獣の体液がこびり付いている点か。唾液にせよ、汗にせよ。

 こんな生活が始まった当初、この暴獣——否、兄は何を考えているのか、狂ってしまったのかと思っていた。
 両親との突然の死別により残された兄妹。私はその事実を受け入れることが出来ず、兄は重圧を十全に身に浴びることとなった。
 それ故か、兄は重圧により押し潰されかけた自己を発散するかの様に私を求めた。当然、身を許したくなどなかったが、自身の犠牲で兄が元に戻るのならば、と僅かにでも願ったのが運の尽きだったのだろう。
 以来、彼は肉欲に溺れた獣となった。一ヶ月、二ヶ月、三ヶ月といくら月日を刻んでも更生の兆しは見られなかった。
 両親の遺した遺産を食い潰し、刹那的な快楽のみを求め私を貪る日々だけが続いた。
 そんな中で彼の、もしくは私自身の命を絶とうと思ったことは一度や二度の話ではない。
 けれども、彼の前で包丁を構えれば暴力でねじ伏せられ、より酷く穢されて。自分の喉元に突き立てれば身体が死ぬことを拒絶するかの様に震え始めて。全ては未遂に終わっている。
 結果、何もかも諦めることにしたのだ、生きる事も死ぬ事も。
 私も彼も、社会的には死んだも同然の存在。なればいずれ金が尽き、金を稼ぐ方法もなく、情けなく命を落とすだろう。遅いか早いかでしかないのなら、もうどうでもいい——

 ——そう思っていた。本当に唐突に、記憶の片隅に追いやられていた自身の事実を思い出したことにより、事情は変わった。
 いつだったかの健康診断か何かの時に、艦娘の適性があると言われていた。私自身も前世の記憶の様な夢をたまに見ていたから違和感なくその事実を受け入れた。
 しかしその当時はその道を選ばなかった。艦娘は決して柔な道という訳ではなく、命を落とす事も珍しくはないとなれば積極的にその道を選ぼうとは思えなかったのだ。
 けれども今は違う。私の命の炎は道連れの様に消えるともしれない状況にあり、殺された私の未来がほんの僅かでも取り戻せるかもしれないと来ている。
 希望を失ったはずの私の心が、本能が生きる事を望んだ、望んでしまった。生きる術を持たない彼を置き去りにして自分は生きろ、と。

 お湯の出ることがない冷水のシャワーで迅速に髪と身体を洗い流し、申し訳程度に身体を清めて。
 最後に袖を通した日が分からない服を、同じくしたこの身体には窮屈になったランドセルの中に詰め込んで。
 残り十数枚程度だった、昔の偉人が刻まれた紙幣を半分程度残して握りしめ。
 全てを終え、ドアノブに手をかけたところで部屋の中へと振り返り暴獣へと、兄へと今生の別れを唱える。

「さようなら」

 そして私は嫌いな朝日が照らす外界へと駆け出した。


——————————


提督「——という如月の闇があるかもしれないよねって話でした」

漣「」

曙「」

提督「おう、君らすげー顔してんぜ」

漣「ぬるま湯っぽい闇を語ってたご主人様とは思えないくらいのグレイテストボム放り込まれちゃあこうなるってもんです」

曙「闇も闇も、深淵の奥底突き破ってるわ」

曙「て言うか普通に引く」

漣「ぶっちゃけドン引き案件だよね」

提督「ここまで言われても何一つ言い返せないくらいの話をしたとは思ってる」

提督「でもきっとここまで凄惨な如月なんてどこにもいないよ……多分な」


提督「言っちゃあなんだけど性的な話は暗い話と密接にあるから絡め易すぎるし考え易すぎるのが困りどころだな」

漣「困るの?男なのに」

提督「笑顔が一番だって言ってんじゃんね、愛のないスケベなんて俺得じゃないんだよ」

曙「あってもなくても引くけどね」

提督「至極当然の反応」

漣「まあありきたりにはなりがちかにー、ちょきちょき」

提督「だから出来ることなら別の路線で攻めたいんだよなあ」

やったー!ボノリンティウス現行だー!ってなにこれは・・・
なんだろうこの複雑な感情・・・

>>69
ぼのやん出てるけどぼのやん話の本筋とは9割くらい無関係なのです ごめんなしあ


秋月編やったら終わるつもりだったけど寝落ちかましたという言い訳
冬イベやってくるので一区切りついたら始める予定


提督「次は月続きで秋月と行こう」

漣「月って言うとムーンライト伝説思い浮かべるよね」

曙「文月、如月と続いてんだから同型の誰かにしなさいよ、睦月とか三日月とかさ」

漣「ミカは凄そう」

提督「こういうのは思い付きとフィーリングが大事なんだよ」

曙「そのフィーリングとやらで凄惨な如月が語られた訳だけど」

漣「ミカはスゲェよ」

曙「何回言うのよそれ」

漣「ミカはスゲェよ!!!」


提督「とりあえず秋月と言うと?」

漣「ウルトラど質素」

曙「地獄の防空番長」

提督「ぼのやんは他に何かなかったんですかね」

曙「アイツ一人に任せておけばイナゴの群れすら全て射ち落とすんじゃないかしら」

提督「宝の持ち腐れにも程がある」

漣「それはおいといて、他にはなんか学級委員長とか勝手に任されてそうだよね」

提督「勝手に、てところがそれっぽい」

漣「でもって嫌なことでも面と向かって嫌だって言えなくて、悩み事を色々一人で抱え込んじゃうの」

曙「鬱屈とした感情は表に出さないタイプってことね」

提督「いい子の裏に潜む闇の典型みたいなもんだな」


——————————


 もう、逃げてしまおうか——。
 深夜の公園のベンチで、空になったビーフジャーキーの袋を見ていたらそんな考えが脳裏をよぎった。
 どうせ、このまま帰ったところでこの程度のことも満足に出来ないのかとか言って殴られるに違いない。もしかしたらもっと酷いかもしれない。父に酒のつまみの買い出しを命じられた時、贔屓にしているチームが負けただとか言って気が立っていた。自分で思いつく限りの理不尽な暴力を想像しては気が滅入る。
 それでも帰らなければならない。母は逃げ、親戚には見放され、近所の人は遠巻きに見ているだけで。私を守り助ける人は存在せず、行く当てなどあるはずもないのだから。
 にもかかわらず逃げようか、などと思ったのは心が限界を迎えているということなのだろうか。限界を越え、心が折れたら自殺でもするのだろうか。いっそのこと、それでもいいかもしれない。
 今のこの場所の様に私の世界に光は差していないのだから後悔や後腐れなど感じることないはずだ。
 と言っても都合良くロープや鋭利な刃が手元にありはしないのだが。自殺に関する知識など持たないので思いつくのはこの程度だ。
 他には高所からの飛び降りか。街中で飛び降りたら道行く人に迷惑がかかるだろうから、ドラマか何かみたいに崖から海に飛び込もう。水死体を発見した人には申し訳ないが。
 そんな冗談めいた脳内会議をしていると海というキーワードに何かに引っかかるような、歯の間に挟まったもやしのような違和感を感じた。
 連鎖的に思い出すのは艦娘という存在、及び職業があることを。昔の軍艦の記憶を持ち、現代にて異形の化物と命を賭して戦う少女達のことを。
 当然、誰でもなれるものではなく、記憶をはじめとした適性がなければ門をくぐることすら叶わない。特に記憶などは先天的なものであり、後天的に軍艦の記憶を植え付けてなどという例は存在しない、と社会科の教科書に載っていた気がする。
 私には軍艦だった頃の記憶などないが、幼少期の頃からかつての記憶に目覚める者や、ある程度人として円熟してから目覚める者もいるらしく個人差があるのだとか。
 どうせ死ぬのならば、万に一つもない大博打に負けてからでもいいじゃないか。もし勝つことが出来れば三食訓練付きの化物と戦う日々が待っているだけだ。
 三食——想像しただけで涎で口の中が満たされる。最後に満足な食事をしたのはいつだろうか。
 こんなものは見果てぬ夢だ。宝くじで一等に当選する妄想をするのと同じだ。だけどいいじゃないか、最期に見る夢くらいは自分の思うまま望むままでないと悲し過ぎるから。
 崩れそうな夢の差すまま煤けた希望が導くまま、いざ行かんと立ち上がったところで何処に行けばいいのか分からないことに気が付く。交番で行き方を訊こうか?その前に時間帯的に補導されるだろう。
 であれば、朝まで待つのが賢明だろうか。先ほどから脳が未だに活動を続ける身体に異議を申し立て続けているくらいだ。
 ベンチの上は寒いし硬いけれど、朝食を作れと蹴起こされる心配もないから案外よく眠れるかもしれない。フローリングだと思えば硬さなどなんのその、だ。

 そして私は夢に見る。大海原を駆ける自分の姿を。


——————————


提督「以上、被虐待家出少女秋月でお送りしました」

曙「秋月のあの字もないけどそれでも秋月って言い張るのね」

提督「秋月なんです」

漣「ぶっちゃけきさらんと大差無いよね」

提督「何言ってんだ、この後がハッピーかどうか分からないだろ」

漣「ハッピーじゃなかったらあっきーじゃなかった子の悲劇譚になるじゃんね??艦娘じゃないね??」

曙「どちらにせよ消化不良感は否めないわ」

提督「やみふか話や暗い話ってスッキリしないよなーホント。やっぱりさっぱりとハッピーな方がいいよなあ」

漣「ハピハピしたいんじゃあ……バファリンの幸せだけを抽出したものが欲しいんじゃあ……」

曙「工場で大量生産された幸せを凝縮したのが欲しいの?」

漣「急に安くなった」

提督「バファリンの時点で安いからな?」


提督「ワンパターン感は否定しないけど暗い話ってどうにも似たり寄ったりになりそうで」

漣「終わり方も大まかに言えば救いがあるかないかだもんねー」

提督「正直どっちも好物だから困る。嫌いだけど好きみたいな」

曙「何それややこしい、新手のツンデレ?」

漣「ぼのやんに言われたらおしまいだぜご主人様」

曙「私がいつデレたと言うのかしら」

提督「どうせなら今デレてくれても」

曙「やだ」

提督「迷う余地もなく即答とは流石ぼのやん」

漣「ここまでブレないと流石の一言じゃのう」

提督「まあいいか、次行くか次」


陸奥「いやいや、次、じゃなくてね?」

漣「あ、むっちゃんさんだ。いふいふやみふか話に混ざるー?」

提督「今ならこちらの戦闘糧食もプレゼント!」

陸奥「しないし、いらないわよ……それよりも、もう消灯時間は過ぎているのだけど?」

提督「えっ、あ、マジだ」

漣「Oh……ライトニングアローのごとし……」

曙「アンタら気付いててやってんのかと」

漣「気付いてないからダベり続けてたんだぜ?そこは言おうぜぼのやん?」

曙「毎夜毎夜夜更かししてる奴が何を言うやら」

提督「まあとりあえず今日はここまでってことで」

漣「えー?どーせならぼのやんの闇を解き放ちたかったなあ」

曙「アンタらが話したのと比べたら私のなんてハエの影みたいなもんよ」

提督「闇があることにはあるのか……」

陸奥「ほーら、もうまた無駄話してないで部屋に戻った戻った」

漣「しゃーない、またあんこくトークしよーねご主人様」

曙「二度目は勘弁願いたいわ」

提督「気が向いたらな。じゃ、おやすみ」




おわれ


くぅ疲でもない
>>1の通り気晴らしついでに安価物がやってみたかっただけです
本来書くつもりの物に筆が走り出さなかったので。仕方ないね。エンジンがかかったかは別の話
暗い話は好きじゃないんですけどツンドラ関連だけ書いてたら書くことがなかったであろう話を書けたのでわりかし楽しかったです
お気に入りは特段暗い如月話。アニメは絶許


ではまた後で

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom