切嗣「……召喚に失敗した、のか……!?」 (96)
切嗣「何故……! 確かに魔力は流れた、召喚に何か不備でもあったというのか?」
アイリ「でも確かに私は魔力を供給しているのよ? もしかして既に……」
切嗣「……出てこい、召喚に応じた者がいるならば」
アホ毛「ニョキッ」
切嗣「…………」
切嗣「!? (召喚陣の中央の……金の針金か?……動いたぞ)」
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アイリ「まぁ可愛い、きっとこの子がサーヴァントね」
切嗣「待て、頼む待ってくれ」クラッ
アイリ「どうしたの切嗣、まずは話しかけないと」
切嗣「話しかけ……る……?」
アホ毛「ユラユラ」
切嗣(揺れている……めっちゃ揺れてる)
切嗣(なんだあれは、毛…? 針金…? いや、生えているから草なのか…?)
切嗣「……お前が僕のサーヴァントか」
アホ毛「ピクッ」
アホ毛「シャキーンッ」
切嗣(駄目だ意思疏通が出来ない!!)
切嗣「……再召喚は可能なのかと思って試してみたが、無理だったな」
アイリ「見て? 切嗣、この子私の頭の上から生えてきたわ!」
アホ毛「ニョキッ」
切嗣「うわぁ……」
アイリ「なぁに切嗣その反応、可愛いでしょう?」
切嗣「ぁ、アイリ……そいつは生えてきて大丈夫なのかい?」
アイリ「平気よ、寧ろなんだか体の調子が良いくらいだもの」
切嗣「そうか、なら良かっ……
アホ毛「セイバー ト モウシマス」ミーミー
切嗣「うわぁああああああああ!!!」
アイリ「きゃあ!? どうしたの切嗣!?」
時臣「……この戦い、我々の勝利だ」
璃正「し、しかしこれは……」
時臣「触媒に使用した物は本物だろう、召喚された『彼』のステータスも完璧だ」
璃正「居るのですかな…? 私には何も……」
時臣「この私が召喚に失敗するとでも?」
璃正「そういうわけではないですがね……」
璃正「何故に金色の釣竿が……」
< 「恐らくは『彼』が私に与えて下さった物に違いない、只の釣竿ではないのが分かる」
< 「いやまぁ確かによく釣れそうではありますが……クラスは何ですかな…?」
< 「アサシンだ」
< 「…………ほ、本当に?」
< 「遠坂の名に懸けて」
綺礼「…………」
綺礼「……」ダラダラダラ…
綺礼(時臣師が召喚に失敗したのは明らか……)
綺礼(そして問題なのは……)
綺礼(私も、実は召喚に失敗しているという事だ……)
綺礼(…………言うべきか、いや、だが……時臣師が本当に召喚に成功している可能性がある…ならば……)
璃正「綺礼」
綺礼「……」ビクッ
璃正「?」
綺礼「……霊器盤の確認をしてきます」
璃正「うむ」
綺礼(……時臣師の言葉が本当なら、召喚に失敗した事を隠す為に私が管理している霊器盤に反応が出ている筈)
綺礼(出来れば成功していると良いのだが……)
時臣「待ちたまえ、少し話をしよう」ガシッ
綺礼「!?」ビクッ
綺礼(まさか……)
時臣「……二人で、ゆっくりと話をしよう」ダラダラダラ…
綺礼「……」
綺礼(なんという……)
雁夜「…………」
臓硯「……くく、くくくっ…」
雁夜「笑うな!! 仮にも英霊なのは間違いない……!!」
臓硯「お前の魔力量に合わせているのだとしたら、なんと皮肉な……」ククク…ッ
雁夜「……!」
チビランスロット「ピャァァア……」ズォォッ
雁夜(なんだこの手のひらサイズのすすっぽい騎士は……!!)
雁夜「……ステータスは……全てE-か」
雁夜「お前、名は…?」
チビランスロット「ピャァァア……」
雁夜「! ランスロット……あのアーサー王伝説の……ッ」
雁夜(凄いぞ、こいつなら勝てる!)
雁夜(まずは宝具を確認して、それから次にバーサーカーであるこいつの……)
チビランスロット「……!」ピタッ
チビランスロット「ピャァァア…!」
雁夜「……」
雁夜「お前、俺の言ってる事分かるか?」
チビランスロット「ピャァァア!」ズォォッ
雁夜(マジか……)
雁夜(いや、だが何となくこいつの言ってる事は分かるわけだ)
雁夜(バーサーカーの狂化のせいかは知らないが、俺の言ってる事がわかってないだけで)
雁夜(……)
雁夜「あれ? じゃあ最初の自己紹介は……」
チビランスロット「ピャァァア……」
雁夜「『王の気配がする』? って、いやだから……」
チビランスロット「ピャァァア!」ズォォッ
< トテテテッ!
雁夜「ま、待てッ! 止まれバーサーカーーーッ!!」
雁夜「車危ないから歩道をせめて走ってくれぇええええ!!」
ウェイバー「…………」
ウェイバー(おかしい、僕の召喚方法が何か間違っていたのか…?)
ウェイバー(だけど、だけどステータスは悪くない……!)
ウェイバー(寧ろそれなりに高い……!)
ウェイバー(宝具こそ分からないけど、きっと凄い英霊なのは間違いない……!)
ウェイバー(だけど、だけど…………)
ブケファラス【……ブルルォッ】ドォォン
ウェイバー「馬じゃないかぁあああああああ!!!!」
ウェイバー「ぁぁあああ……! なんで馬なんだよぉお……!」ガクッ
ウェイバー「くそ! くそ! 皆してこの僕を馬鹿にしてぇ!」
ブケファラス【……】
ブケファラス【ヒヒィンッ!!】ダンッッ
ウェイバー「ひぃ!?」ビクゥッ!!
ブケファラス【……】パカラッパカラッ
ウェイバー「な、なんだよ……! もしかして僕の言うことが分かるのか…?」
ウェイバー「悪かったよ! 馬だったって馬鹿にしたりして」
ウェイバー「でも僕は……
ブケファラス【ヒヒィィンッッ!!!】
ウェイバー「ウワァァッ!! 何でもないですごめんなさいごめんなさい命だけは助けて下さいぃ!!?」
< ピタリ…………
ウェイバー「……?」
ウェイバー(大人しくなっ……た……?)チラッ
ウェイバー「!」
ブケファラス【ブルルッ】スゥゥ……
ウェイバー「………………」
────────── この瞬間、ウェイバー少年は理解した。
召喚に応じてくれたこの英霊馬こそ、彼が本当に欲していた存在なのだと。
目の前に悠然と、しかし佇まいだけで分かってしまう程の勇猛さを備えた姿。
正に歴戦の勇者。
真に英雄と駆け抜け、そして彼の『征服王』と共に蹂躙した鋼の蹄。
正に最強の剣であり戦車。
そして今、ウェイバー少年と交差する視線の先に在る……慈愛と威厳の双方を兼ね備えた瞳。
ウェイバー少年は理解した。
英霊ブケファラス、彼女こそ勝利へと導いてくれるに違いないと。
そして、ブケファラスは雌だったのだと。
ケイネス「……」
ケイネス「おい、そろそろクローゼットを開けたまえ」
< 「……」
ケイネス「此方としても君を召喚したのは手違いではあるが、それでもサーヴァントに違いあるまい」
ケイネス「大人しくここを開けたまえ」コンコンッ
ケイネス「…………」チラッ
ソラウ「なんでそこで私を見るのよケイネス……」
ケイネス「『女の英霊』となれば、こういった事は君の方が分かるのではと思ったんだが」
ソラウ「知らないわよ、召喚された瞬間に貴方を見ていきなり逃げ出すんだもの」
ケイネス「おのれ、例の触媒さえあればこんなことには……ッ」
ソラウ「時計塔から新しく触媒を取り寄せたのよね? 誰を召喚するつもりだったの?」
ケイネス「円卓の騎士だ」
ソラウ「……ならさっきのサーヴァントじゃないわね、やっぱりユグドミレニア一族に頼んだのが間違いね」
ケイネス「う、うむ……」
< ギィィ……
ケイネス「逃がさん!! 月霊髄液! Fervor,mei Sanguis!!」ギュルルルッッ
< 「きゃあ!?」ガシッ
ケイネス「令呪を使いたくはないのだ、大人しくしてもらおう」
ケイネス「……む」
ケイネス(改めて見れば、この女……)
グラニア姫「…………ゆ、赦して下さいフィン様……」ガタガタ
ケイネス「ん?」
ソラウ「どうするのよ……ステータスは軒並み最低、強いて言えば幸運がA+な所しか……」ズーン…
ケイネス「そもそもグラニア姫と言えば愛の逃避行をしたアイルランドの王女ではないか……」ガクッ…
グラニア姫「……」コソッ…
ケイネス「……これは教会に相談すべきかもしれんな」
ソラウ「そうね」
ソラウ「…………ぷ、それにしても笑ってしまうわね? ケイネスの事を彼の英雄フィン・マックールと見間違えるだなんて」
ケイネス「……」フフン
ソラウ「何処も英雄らしさなんて持ってないのに」
ケイネス「……」ズーン…
グラニア姫「……」
時臣「……これはまずいな」
綺礼「まずいですね」
時臣「恐らく、君と私が召喚に失敗したサーヴァントはアサシンとアーチャーのクラスだ」
時臣「……もしくはキャスターか」
綺礼「アサシン、キャスター、アーチャーだけですからね……霊器盤に反応が無いのは」
綺礼(しかし他のクラスはどれも弱々しい反応ばかりなのは一体……?)
時臣「君の父上、璃正殿に知られては大問題だ……此度の聖杯戦争はどうにかして早期に脱落した事にしよう」
綺礼「と、言うと」
時臣「時計塔を通じてある魔術師をお呼びした、私に魔術の幾つかを教えてくれた人でもある」
時臣「彼と私がサーヴァントのフリをして相討ちを演じ、一先ずはやり過ごして見せよう」
綺礼「……そのある魔術師とは、此度の我々の事を知られても問題ないのですか?」
~~後日~~
アルバ「コルネリウス・アルバと申します、今宵は聖杯戦争の一端に関われると聞き喜んで参上しました」
綺礼(コルネリウス・アルバ……! 時計塔内でもその実力の高さは知られ、シュポンハイム修道院次期院長と言われている男……)
綺礼(十数年前には協会に協力を依頼され、封印指定の魔術師が起こした死徒化した島の……)
時臣「協力して頂ければ約束の資料はお渡ししましょう、今はどうか一刻も早く」
アルバ「ええ問題ありませんとも、私としては聖杯の一部さえ分かればそれで充分ですから」
時臣「綺礼、例の物を」
綺礼「!?」
綺礼「……い、いいのですか……?」
時臣「優雅に事を終えるにはこれしか無いだろう、私は釣竿を持って外に出ているよ」スタスタ
綺礼「……」チラッ
アルバ「♪」ニコッ
舞弥「切嗣、遠坂邸で動きがありました」
切嗣「早くも始まったか……」
アイリ「まだサーヴァントは揃ってないらしいけど、気が早いのね」
切嗣「いや……これが戦いなんだよアイリ、僕達はそのサーヴァントすら召喚出来ずにいるだけだ」
アイリ「でも……」
切嗣「皆まで言うな、分かってる」
舞弥「……」
舞弥(先日より増えてますね……あの金色の)
アホ毛「ユラユラ」
アホ毛B「ユラユラ」
アホ毛C「ユラユラ」
アホ毛D「ユラユラ」
アホ毛E「ユラユラ」
・
・
・
・
アホ毛X「コォォオオオオ」
舞弥「此方が録画した映像です」
< ガチャッ……
切嗣(今回の聖杯戦争における御三家の一つ、遠坂……一体どんなサーヴァントを)
< 「ふははははは!! 私こそは聖杯戦争に召喚されしサーヴァントの一人アサシンなりぃい!!」
< 「私は同じく聖杯戦争に召喚されし優雅なるアーチャー……!」
< 「Go away the shadow.It is impossible to touch the thing which are not visible.」
< 「Forget the darkness. It is impossible to see the thing which are not touched.
The question is prohibited.」
< 「(以下省略しつつこの間二秒)」
< 「ちょっ、アルバ殿……じゃなくてアサシン! それは本気じゃ……!?」
< ドドドドドドドォォオオオオッッ!!!!
< 「ハハハハハァアッ!! repeat!! repeat!!」
< ドドドドドドドォォオオオオッッ!!!!
切嗣「魔術を駆使して来るアサシン……だと」
アイリ「何かしら、何処かで聞いたような……」
< 「……お、おや? 時…じゃない、アーチャー?」
< 「……」
< 「ぐ、ぐぁあああ……っ……相討ちかぁ……(棒)」ドサッ
切嗣「」
アイリ「」
舞弥(まぁ、言葉を失いますよね)
切嗣「何だこの茶番は……どう見てもサーヴァントじゃないだろうこの二人!?」バンッ
アイリ「そこなの!?」
切嗣「そこだろう! 相討ちを装ってこのあとまさか『もうアサシンとアーチャーはリタイアしました』とでも言うつもりか!」
切嗣「聖堂教会が向こうに付いてるのは明白だな……ッ」
舞弥「しかしこうなると……我々の事を相談すべきか悩みますね」
切嗣「いっそこの二人に狙撃してやれば良かったんだ」
アイリ(狙撃?)
切嗣「……」
切嗣「まぁ、いい……とにかく当面はこいつらを育てては収穫するを繰り返そう」
舞弥「収穫……?」
切嗣「エクスカリバーの鞘を苗にしてこいつらを一本だけ植えると、大量に繁殖する」
切嗣「そしてある程度増えてきたら指で収穫するんだ」
アイリ「楽しいわよー♪」
舞弥(それは本当に英霊なんでしょうか……マダム、切嗣……)
アホ毛Z「ニョキッ」シャキンッ
雁夜「……殺せ、バーサーカー」
チビランスロット「ピャァアア!」装備:割り箸
< グシャァアアッ
雁夜「ふぅ……」
雁夜(糞爺が使ってた、使い魔? ってやつか……バーサーカーの事を知られる前に潰せたなら良いが)
雁夜(時臣め、先日は敗北したらしいが俺の目は誤魔化せないぞ)
雁夜(必ずお前は俺のバーサーカーが倒してやる!)
チビランスロット「ピー……」トテトテ…
雁夜「ん? どうしたバーサーカー」
チビランスロット「ピャァアア…」クイクイッチョイチョイッ
雁夜「もっと大きくなりたい? で、もっといい武器が欲しいと?」
雁夜「そうは言ってもなぁ……どうしたら大きくなるんだお前さん」
チビランスロット「ピャァアア…」
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