モバP「佐久間まゆがウブすぎる件」 (27)
小早川紗枝「まゆはん。うちに相談てなんやろか」
佐久間まゆ「あの……ごにょごにょ」
紗枝「まだプロデューサーはんと きすしてないんどすか!?」
紗枝「付き合いはじめて、どれくらい経ってます?」
まゆ「3ヶ月……です」
紗枝「2人とも忙しいんは分かりますけど、いくらなんでも進展なさすぎやしまへん?」
まゆ「で、でも恥ずかしくて……」
紗枝「はぁ……お風呂でプロデューサーはんを待ち伏せした、聞きましたえ?」
紗枝「そっちのほうが恥ずかしいんやないどすか?」
まゆ「あのときとは全然違いますよぉ、正式にお付き合いしてるんですから」
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紗枝「うーん、そないなもんやろか……」
まゆ「そないなもんです」
まゆ「お付き合いしてるっていう事実は、多分紗枝ちゃんが思ってる以上に影響力大きいんですよ」
紗枝「……あんまり変化が無いようなら、うちがプロデューサーはん取ってしまいますえ?」
まゆ「ふえっ」
まゆ「そ、そんなのだめぇ~っ。プロデューサーさん取らないでぇ……っ」ポロポロ
紗枝「あー、うそうそ、冗談やて。そんな泣かんでも」
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紗枝「正直に答えてください。きすしたいどすか、したくないどすか?」
まゆ「したい……です」
紗枝「なら例えば……女子寮まで車で送ってくれたりとか、ありますやろ?」
紗枝「車の中は二人きりなんやから、良い感じの雰囲気作って……別れ際にきすしたりとか」
まゆ「む、無理ですっ」
紗枝「なんでなん?」
まゆ「女子寮の門の所でキスなんてしちゃったら、そこを通るたびに思い出してしまって……」
まゆ「一生女子寮から出られません」
紗枝「そんなに?」
紗枝「ほんなら、少し離れたところで降ろしてもらうとか」
まゆ「キスしたいけど恥ずかしいから離れたところで、なんて言えませんよぉ……」
紗枝「今まで、でーとは何回くらいしてはります?」
まゆ「えーと、特に数えてないですけどたくさん」
紗枝「なんや、でーとは出来てるんどすか。どこに行ってます?」
まゆ「○○TV局とか……」
紗枝「TV局?」
まゆ「××の収録スタジオとか……」
紗枝「お休みの日にもそういう所行ってはるんどすか?」
まゆ「いえ、お仕事の付き添いや送り迎えも兼ねて」
紗枝「それは紛れも無い仕事! でーととは言い難いどすなあ」
まゆ「ええっ、そんな……じゃあ1回もデートしたことないです」
紗枝「どうせ送り迎えで二人きりになっても良い雰囲気作れんのやろ?」
まゆ「はい……緊張しちゃって」
まゆ「お仕事の打ち合わせとかなら大丈夫なんですけど」
紗枝「…………」
まゆ「あの……紗枝ちゃん、頭痛い?」
紗枝「誰のせいやと思うとるんどすか……」
紗枝「うちもなぁ……恋愛経験多い方やないけど、まゆはんは相当やねぇ」
まゆ「ご、ごめんね……でも、相談したとはいえどうしてこんなに気にしてくれるんですか?」
紗枝「友達の幸せを願ったらあきまへんか?」
まゆ「紗枝ちゃん……ありがとう」
紗枝「今までにやった、一番恋人らしいことってなんどすか?」
まゆ「えっと……移動中人混みに巻き込まれて、はぐれないように」
紗枝「腕を組んだ?」
まゆ「じゃなくて」
紗枝「手をつないだ?」
まゆ「でもなくて」
紗枝「なんなの」
まゆ「服の裾をちょっぴり掴ませてもらいました」
紗枝「幼稚園児か!」
紗枝「今どき小学生でも手くらいつなぎますえ」
まゆ「それは恋愛を分かってないから出来るんですよ」
紗枝「今のまゆはんには言われたくないどすなぁ」
まゆ「だいたい腕を組むなんて……30cmまでしか近づけませんし」
紗枝「緊張するから?」
まゆ「はい」
紗枝「はぁ……」
まゆ(また頭抱えちゃった……)
紗枝「好きすぎて、付き合ってるていう事実の影響力が強すぎて」
紗枝「恋人らしいことしようとすると おーばーひーとしてしまう」
紗枝「多分そんな感じなんやろうねぇ」
紗枝「ということは、いっそ別れたら普通に恋人らしいこと出来るんやないどすか?」
まゆ「わか、れ、る……」
紗枝「わーっ、冗談! 冗談やて! 絶望した顔せんといて」
紗枝(うーん……これは、プロデューサーはんの方にも発破かけなあかんようどすなぁ)
紗枝「――というわけなんどすけど」
紗枝「がっとやって ちゅっと吸って はぁ~ん とさせてしまえばええやないどすか」
P「無理。ムリムリムリ。俺にそんなギャルゲーの主人公みたいなこと出来るわけない」
紗枝「大勢の女の子に囲まれてるんは十分ぎゃるげーみたいや思いますけど……」
P「だってまゆだぞ? あの佐久間まゆが俺を好きって言ってくれて、付き合ってるんだぞ?」
P「それだけでも幸せなのにこれ以上幸せになったら本当に昇天してしまう」
紗枝「へ た れ」
P「うっ!」グサアッ
紗枝「なんだかんだ言うても、プロデューサーはんが りーどせなあきまへんよ?」
紗枝「あら? どないしはりました?」
P「くくぅ……」
紗枝「うちの言葉そんなに痛かったどすか?」
P「おお……日本刀でぶった切られたような気がしたよ」
紗枝「……あ。それ、ええかもしれまへんなぁ」
P「俺を殺すつもり?」
紗枝「違いますっ」
紗枝「まあ、原因はなんでもええんどすけど、プロデューサーはんが死にかけてる演技をするんどす」
紗枝「それで、まゆはんに人工呼吸するよう促して、きすを」
紗枝「一線越えてしまえば緊張しなくなるんやないかなぁ」
P「なるほど……」
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紗枝「えー、結論から言うと作戦は失敗しました」
紗枝「事務所で倒れてるプロデューサーはんを発見」
紗枝『大変、息してへんわ! うちが心臓まっさーじします、まゆはんは人工呼吸を!』
紗枝「て言うても何も反応がないなー思うたら、まゆはん気失ってはりました」
緒方智絵里「うわぁ……」
三村かな子「まゆちゃんには刺激が強すぎたんだね……」
紗枝「ほかになにか良い案、ないやろか」
輿水幸子「キスさせればいいんですよね?」
紗枝「きすに限定せんでもええけど、とにかく二人の仲が進展することやなぁ」
幸子「催眠術か何かで、まゆさんの性格を肉食系にするというのはどうでしょう」
紗枝「そんなん出来る人いてます?」
幸子「……いませんね」
智絵里(ユッコちゃんのサイキックじゃダメかな?)
かな子(狙い通りに発動しないからね、仕方ないね)
かな子「こういうのはどうかな?」
幸子「聞きましょう」
かな子「プロデューサーさんとまゆちゃんを、強引に抱き合わせて」
紗枝「それやとまゆはんは、多分恥ずかしくて逃げてまいますえ?」
かな子「うん。だから、逃げられないように縄で二人を縛っちゃうの」
智絵里「か、かな子ちゃん過激ですっ……」
幸子「でも、案外良いかもしれません」
幸子「筋肉は負荷をかけることでより強くなると言いますから、同じように」
幸子「長時間抱き合ってたら流石に慣れて緊張しなくなるでしょう」
智絵里「あとは、一応二人きりにしてあげたほうが良いんじゃないでしょうか……」
紗枝「せやなぁ。ほんなら……」
紗枝「まゆはん、ちょーっと待っててな?」
まゆ「良いですけど仮眠室で何するんですか?」
紗枝「すぐに分かります。まぁ、悪いようにはしまへんから」
紗枝「それと、目つむってておくれやす。良いって言うまで開けたらあきまへんえ?」
まゆ「はぁ……」
紗枝「まゆはんは準備おっけーどす」
かな子「ではプロデューサーさん、作戦のおさらいです」
智絵里「物音を立てず仮眠室に入り、目をつむったまゆちゃんを抱きしめたら」
智絵里「すかさず私達が、二人を縄で縛ります」
幸子「あとは、仮眠室に誰も入れないようにしますので、二人きりの時間をたっぷり過ごしてください」
P「作戦は分かったけど、いきなり抱きついて大丈夫かな?」
幸子「びっくりはするでしょうけど恥ずかしいだけで、まゆさんだって本気で嫌なわけじゃないはずです」
P「いや、まゆじゃなくて俺のメンタルが」
P「作戦聞いただけで、心臓が飛び出しそうなくらい緊張してるんだ」
幸子「スカウトという名のナンパは出来るくせに、まゆさんがからむと本当にノミの心臓ですねぇ」
P「それくらい真剣に好きなんだよ」
幸子「あーはいはい、惚気にしかならないのでそれ以上言わなくていいです」
紗枝「プロデューサーはん、えーかげん覚悟を決めんと うち怒りますえ?」
智絵里「紗枝ちゃんが怒ったら……どうなるんですか?」
紗枝「さあ~? うち、あんまり本気で怒ったことないからなぁ~」
紗枝「どうなるか分かりまへん」
かな子(絶対怒らせちゃダメなタイプだ……)
P(普段怒らない人ほど怒らせたら怖いって言うよな……)
まゆ(いつまで目つむってれば良いのかしら)
まゆ(あっ、誰か入ってきたみたい。紗枝ちゃん?)
紗枝「まゆはん、目開けて良いどすえ」
まゆ(パチ)
まゆ「えっ、プロデュ――」
P「おらあああ!」ダキッ
まゆ「きゃーっ!?」
智絵里「かな子ちゃんっ!」
かな子「うんっ!」
グルグルグルグル
まゆ「えっ、えっ、なんですかこれぇ!?」
智絵里「縄結びました!」
幸子「ではベッドに寝かせますよ。せーの」
ボフッ
幸子「作戦終了! 撤収します!」
かな子・智絵里『らじゃー』
紗枝「ほなごゆっくり~」
まゆ(なんだったのかしら……)
まゆ「――はっ! プ、プロデューサーさんと密着して……!」
まゆ「はわわわわわわわわ」
P「まゆ、落ち着いて」
まゆ「あばばばばばばばば」
P「まゆ。まーゆー」
まゆ「はっ、はい……」
P(耳まで真っ赤だ)
まゆ「あの、この縄……ほどけないんですか?」
P「自力じゃ無理だなぁ」
まゆ「恥ずかしいです……あうぅ」
P「しばらくこうしていれば慣れるよ」
P「せっかく俺達を思ってこんな作戦考えてくれたんだから」
P「それなりの成果を出さないと、申し訳ないだろ?」
まゆ「そう、ですね……」
まゆ(そして、できればキスも……)
まゆ「んっ、しょっ……」モゾモゾ
P「どうした?」
まゆ「縄が痛くなってきて……少しでも位置をずらせないかと」
まゆ「ふっ、んん……はぁ、んっ…………」
まゆ「あっ、痛ぁ……もう、少しっ。くふぅっ」
まゆ「はあっ。やっぱりキツイ、です……」
P(えろい)
まゆ「ようやく慣れてきました……」
まゆ「プロデューサーさんがこんなに近くに……えへへ」
まゆ(これならキスできるかも)
まゆ「プロデューサーさん……んっ」
P「まゆ……」
千川ちひろ「仮眠室どうしたんですか?」
智絵里「あっ、ごめんなさい。しばらく使えないんです」
かな子「中でプロデューサーさんとまゆちゃんが……」
ちひろ「あらあら、仮にも職場で大胆ですね」
幸子「いや、多分ちひろさんが考えてるようなことはないですよ?」
幸子「30cmまでしか近づけないらしいですから」
かな子「特訓が上手くいったとしても、そう急速に進展するとは思えないよね」
紗枝「近づいても緊張したり恥ずかしくならないよう特訓中なんどす」
ちひろ「特訓って……自分自身と向き合ってるとか?」
幸子「いえ、プロデューサーさんと向き合ってます。というか抱き合ってます」
P「おーい、ほどいてくれー」
智絵里「噂をすれば、ですね」
かな子「えーと……1時間18分。結構かかったね~」
ちひろ「1時間!?」
紗枝「お疲れ様どす~。きすは出来ましたやろか」
P「縛られたままじゃ届かなかった」
幸子「あー……身長差有りますからね」
かな子「位置合わせして縛れば良かったかなぁ」
智絵里「でもしようとはしたんですよね……特訓成功、ですね」
ちひろ「せっかくだから、この場でキスしてもらえませんか?」
まゆ「えっ!?」
ちひろ「仕事せず、1時間以上もイチャついて遊んでたんですから」
ちひろ「せめて誰もが納得する成果を見せてもらわないと」
まゆ「言いたいことは分かりますけど、流石に皆の前でというのは……」
まゆ「それに最初は二人きりで……ごにょごにょ」
P「逃げよう」ダッ
ちひろ「あっ、こらー! 待ちなさい!」
智絵里「わぁ……二人、手繋いでます……っ」
かな子「駆け落ちカップルみたい……あっ、まゆちゃん転んだ!」
幸子「普通に起こすだけじゃなくて、お姫様抱っこでもすれば良いのに」
幸子「プロデューサーさんは本当に気が利かないですねぇ!」
紗枝「と言うより、初々しいんどすえ。ふふっ」
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紗枝「まゆはんから相談されるんも久しぶりやなぁ。新婚生活は上手くいってます?」
紗枝「……まだえっちしてないんどすか!?」
終わり
たまにはウブなまゆも良いと思います
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