八幡「ニャー」 (218)
八幡「先生苦しいでふ離してくらさい」グエエエ
平塚「いいや離さない今日という今日は絶対に逃さんぞ!!!」
八幡「グエェ」
ガラッ
平塚「雪ノ下!!!!!」
雪乃「!!は、はい……」ビクッ
平塚「コイツは新入部員だ!!というか人間的に大問題のあるヤツだ!!矯正を頼む!!!」ポイッ
八幡「ぐへぇ」ドサ
雪乃「え、えーと……」
平塚「すまんが私は用事があるんでな!!連れてくる事しかできなかったがまた後で顔を出す!!それまで絶対に逃がすんじゃないぞ!!」
雪乃「………はぁ」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1454354495
八幡「ゲホッゲホッ」
雪乃「……あなた」
八幡「……ん」
雪乃「一体何をしたら平塚先生をあんなに怒らせられるのかしら……」
八幡「……怒らせるつもりはなかったんだがな、俺が授業で書いた作文がどうにも気に入らないらしくてな」
雪乃「そのドロッとした目のように大層濁って捻くれた内容だったのでしょうね」
八幡「……」
雪乃「……何か反論はないのかしら」
八幡「……俺は素直に高校生活を振り返っただけなんだがな、こうも否定されるとは思わなかったよ」
雪乃「……参考までに聴くけれどもどんな内容なのかしら」
八幡「まぁ簡潔に言うとだな、人間関係なんてクソ、クソオブクソ、俺は将来猫になって悠々自適に暮らすっつー話を書いた」
雪乃「意味不明なのだけれど……」
八幡「他人から見りゃ大層濁って捻くれてんだろうがね、俺にとっちゃ大真面目なんだよ」
雪乃「そ、そうなの……」
八幡「……そんなことより新入部員とか言われて放り込まれたがここって部活なの?」
雪乃「え、ええ、そうよ」
八幡「一体何部なんだここは……」
雪乃「何も知らずに放り込まれたものね、当然の疑問だわ」
八幡「ああ、ちなみに俺はアンタの事は知ってるぞ、雪ノ下雪乃さんだろ、優等生だかなんだかで有名だもんな」
雪乃「……あなたは私のストーカーか何か?」
八幡「いやちげぇよお前が有名人なんだよ」
雪乃「……まあ確かに私はその雪ノ下雪乃なのだけれど」
八幡「んでその雪ノ下さんに聞くけどここって何部なの?」
雪乃「待ちなさい、あなたが私を知っているのは分かったけれども私はあなたの事を知らないわ、自己紹介をお願いできるかしら」
八幡「……ああ、俺は比企谷八幡ってんだよ」
雪乃「……比企谷君ね」
八幡「ああそうだ、んでここは一体……」
ガラッ
平塚「待たせたな」
雪乃「先生、いい加減にノックというものを覚えたらどうなのですか」
平塚「おお、すまんな」ハハハ
八幡「……んで一体ここは何部なんですかね」
雪乃「ええ、ここは奉仕部よ」
八幡「奉仕部……?ボランティア的な……?」
雪乃「いえ、ボランティアとは違うわ、言うなれば……」
ウンヌンカンヌンサカナノトリカタウンヌンカンヌン
雪乃「という部活よ」
八幡「……なるほど、理解した」
八幡「んで理解したなら余計に疑問なんすけどなんで俺がこの奉仕部の新入部員なんですかね」
平塚「ん、なんと言うか君は私の手に負えんからな、依頼という形で雪ノ下に君の人格を矯正してもらうついでに入部させるという事だ」
雪乃「私はまだ受けるとも言ってないのですけど……」
平塚「まあそう言うなって、雪ノ下にしか出来そうにない仕事なんだ、引き受けてくれないか?」
雪乃「……先生がそこまで言うのなら」
平塚「よし決まりだな!!そして比企谷!!」
八幡「あい」
平塚「君はこの奉仕部に入るのは何か不満はあるかね?」
八幡「……まあぶっちゃけこの部には興味ないっすけど年中ヒマしてるんで別には入ってもいいっすよ」
平塚「……よし、入部決定だな」
つぎのひ
ガラッ
八幡「ウイッス」
雪乃「あら、ちゃんと来たのね」
八幡「来なきゃ殺されるらしいぞ俺」
雪乃「そ、そうなの」
八幡「んで、一体俺は何をすればいいんですかね」
雪乃「今のところ特にする事はないわね、依頼があるまで自由にしてていいわ」
八幡「あ、そうなの……」
雪乃「……ねえ」
八幡「ん、なに」
雪乃「私にはあなたが平塚先生が言うほどに問題がある人間だとは思わないのだけれど……確かに捻くれていて目は濁っては……」
八幡「……どうしてそう思うんだ?」
雪乃「そうね、なぜかやけに聞き分けのいいとことか……」
八幡「……まあ俺が何をしようが俺の将来に何も影響しないからな」
雪乃「どういう事かしら……?」
八幡「……色々あんだよ」
雪乃「……まあいいわ、人には人の事情があるものね」
八幡「そういう事っすね……」
雪乃「比企谷君、紅茶でも飲む?」
八幡「お、ありがたくいただきます」
べつのひ
猫「……」トテトテ
雪乃「……あら、ん?」
猫「……」トテトテ
雪乃「!!!」ダダダダダ
猫「……ニャ?」
ガシッ
猫「ニャ!?!?!?」
雪乃「す、すごい……素晴らしい完璧なハチワレ……」
猫「……ユキ」
雪乃「え?」スルッ
タタッ
雪乃「あっ!」
猫「!!」スタコラ
雪乃「あんな子がこの学校にいたなんて……」ウットリ
その日の放課後
雪乃(……)
雪乃(比企谷君、来ないわね……)
雪乃(……)
雪乃(殺されたのかしら……)
つぎのひ
ガラッ
八幡「ウイッス」
雪乃「あら、殺されてなかったのね」
八幡「ん?ああ、昨日はすまんな、色々あって来られなかったんだ」
雪乃「そうなの、生きて今日を迎えられて良かったわね」
八幡「毎日そう思ってるよ」
雪乃「……紅茶、飲む?」
八幡「ああ、いただくよ、お前の淹れる紅茶うまいからな」
雪乃「!!……そ、そう、ならいいのだけれど……あら」
八幡「なんだ?」
雪乃「いえ、ポットのお湯が無くなってたから、汲んでくるわ」
八幡「……そうか」
雪乃「……ん」タプタプ
ガラッ
八幡「……」ペラ
雪乃「……」タプタプ
雪乃「……!!」ツルッ
雪乃(あ……!!)
バシャッ
八幡「……マジか」ビショビショ
雪乃「あ、その……ごめんなさい」
八幡「……ハァ」スルッ
パサ
雪乃「……え!」
雪乃「ひ、比企谷君!?」
雪乃(比企谷が消えた!?)
雪乃(せ、制服だけ残して……)
モゾモゾ
雪乃(!!!!!)
猫「……」ヒョコ
雪乃「……え?」
猫「……」
雪乃「あ、あなた昨日のハチワ……」
猫「俺だよ」
雪乃「ヒエッ」
猫「まさか二日続けてとはね……」
雪乃「あ、あなた比企谷君!?」
猫「そうだよ」
雪乃「な、なんなの!?どういう事なの!?」
猫「……ハァ」
猫「つーわけだ」
雪乃「呪泉郷……!?そんなものが……!?」
猫「あるからこーして俺がこーなってんだよ」
雪乃「信じられないわ……」
猫「んじゃお湯かけてみ」
雪乃「え、ええ……」
猫「あ、待って、制服に入らないと素っ裸で戻るからな……よしこれで」モゾモゾ
雪乃「……じゃあ」トポトポ
ジュワー
八幡「……ふう」
雪乃「……うそ」
八幡「マジなんだなこれが」
カクカクシカジカ
雪乃「……そう、とんだ海外旅行だったわけね」
八幡「ああ、そりゃもうとんでもなかったね」
雪乃「ならあなたが捻くれるのも分かる気が……」
八幡「あ、それは生来のものだから」
雪乃「ええ……」
八幡「ま、こうなっちまったからこそこの部活に入れられちまったからな」
雪乃「どういう事……?」
八幡「言っただろ?人間関係なんてクソだって、猫になって暮らすんだよ俺は」
雪乃「ああ、あれはそういう事なのね……」
雪乃「でもそれならどうして猫として暮らしていないの?あんな立派なハチワレなのに……」
八幡「いや、ハチワレは……まあ家族が色々とうるさいんだわ、俺は正直猫として生を全うしたいくらいなんだがそれを許してくれなくてね……」
雪乃「もったいない話ね……」
雪乃「一つ聞きたいのだけれど猫と会話なりのコミュニケーションは取ることはできるのかしら?」
八幡「おーめっちゃ取れるし取ってるぞ、なんなら人間関係なんかより猫関係のが構築されてるまである」
雪乃「とても羨ましいのだけれど」
八幡「……は?」
雪乃「私も呪泉郷に行ってくるわ」
八幡「いやお前やめとけよ……」
雪乃「私も猫として生きるのよ……!」
八幡「こんなん正直不便で仕方がないんだぞ……」
雪乃「そうなの?」
八幡「ああ、そもそも猫状態で喋られるようになったのも相当苦労したからな」
雪乃「最初からそういう機能は無かったのね……」
八幡「まあ猫とのコミュニケーションは最初から取れたがな、ウチで飼ってる猫とは今では家族であり親友でもある」
雪乃「あなたの話を聞くと私にはデメリットよりもメリットの方が多いように思えるのだけれど」
八幡「いやお前猫好きすぎだろ……まあ猫になれるって聞けばそうかもしれんが濡れたら自分の意思に関わらずってのがネックなんだわ」
雪乃「そこはある程度気を付ければ……」
八幡「まあそうなんだがな、ただ顔も洗えないくらい行動に制限がかかるからな、やっぱ面倒だぞ」
雪乃「……まあ今のところは諦めるとするわ」
八幡「今後も変な気はおこさないほうがいいぞ……」
べつのひ
八幡「……」ペラ
雪乃「……」ペラ
八幡「……なあ」
雪乃「なに?」
八幡「この部活こんなヒマなもんなの?俺ここに来てから読書しかしてないけど……」
雪乃「そうね、依頼がなければこんなものね」
八幡「俺は一体何しにこの部に入ったんですかね……」
雪乃「あら、それなら水でもかけてあげようかしら?」
八幡「何だなんのつもりだ」
雪乃「私、こう見えても猫が好きなのよ」
八幡「いや分かってたけど……」
雪乃「なら大人しくあなたの素敵なハチワレを拝ませてくれないかしら」
八幡「勘弁してくれ……」
雪乃「冗談よ」フフッ
八幡「まったく………」
天気 ドンヨリ
八幡「……」
雪乃「……」ペラ
八幡「……なあ」
雪乃「なに?」
八幡「今日はもう帰ってもいいか?依頼も来る気配ないし……」
雪乃「あら、用事か何か?」
八幡「用事っつーか……まあそんなとこだな」
雪乃「そうね、じゃあ今日はここでお開きにしましょうか」
八幡「なんだ、お前も帰るのか」
雪乃「ちょうどこの本が読み終わったところなの、手持ち無沙汰になるところだったけどあなたが帰るなら私も帰るわ」
八幡「そか、んじゃお先にな」ガラ
雪乃「ええ、また明日」
ザアアアアアアアア
雪乃(予報通りの雨……) ブロロロロロ
雪乃(だから比企谷君は早く帰ろうとしたのね……)
雪乃(……)ボンヤリ
猫八幡 トテテテテテ
雪乃(!!!)
雪乃「都築!!止めて頂戴!!!」
キキーッ! バタン
雪乃「比企谷君!!」タタタタタ
猫八幡「え、なに、どしたの」
雪乃「あなた馬鹿じゃないの!?」ガシッ
猫八幡「グエッ」
雪乃「こんなずぶ濡れになって……!!」
猫八幡「そらこの雨だしな」グッショリ
雪乃「風邪ひくわよ!」
猫八幡「まあこの体質だからな、雨降ったらそんくらい覚悟しなきゃ」
雪乃「普通にヒトのままで帰ればいいじゃない!」
猫八幡「いやお前それこそ無謀だぞ……」
猫八幡「考えてみろ、少しでも油断したら濡れて猫になっちまうんだ」
雪乃「……」
猫八幡「猫になったが最後、路上に捨て置かれる制服と荷物……そしてそれにどうする事もできない俺……ちょっとしたジンジャータウンだぞ」
雪乃「……言われてみればそうね」(ジンジャータウンって何かしら)
雪乃「じゃあさっきまで着てた制服はどうしたの?」
猫八幡「そら教室のロッカーにしまってあるさ」
雪乃「え、でも……」
猫八幡「……部室を出たあとまずペットボトルに水を汲みに行ったんだ」
雪乃「……ええ」
猫八幡「んで教室に行き周りに誰もいないのをそらもう周到に確認してだな」
雪乃「……」
猫八幡「素早く全裸になって制服をロッカーにしまって水をかぶった」
雪乃「変態ね」
猫八幡「人が聞けばマヌケな話だが俺にとっちゃ死活問題だからな」
雪乃「それは……そうね、ごめんなさい」
猫八幡「まあいいさ、んじゃ俺は先に……」ピョン
雪乃「待ちなさい」ムンズ
猫八幡「……なに」
雪乃「……車で送るわ」
車内
雪乃「……という事だから、お願いできるかしら」
都築「は……その、猫……」
猫八幡「ねえ俺が猫になれんの他人には知られてはいけない秘密にしてるんだけど何で言っちゃうのねえ」
雪乃「あらそうだったの、ごめんなさい」
猫八幡「ちくしょう……」
雪乃「だってあなた秘密だなんて言わなかったから……」
猫八幡「まあ確かに言ってないが……」
雪乃「学校では他に知ってる人はいるの?」
猫八幡「いやいない、お前だけだ」
雪乃「……そう」
猫八幡「あ、ここっす」
都築「……は、はい」
キキッ バタン
猫八幡「いや助かったわ、ありがとな」
雪乃「……あなた、こういう日はいつもこうなの?」
猫八幡「まあな」
雪乃「……そう、ところでお家の人は誰かいるのかしら」
猫八幡「誰もいないけど」
雪乃「……は?」
猫八幡「いやだから誰もいないけど……」
雪乃「……鍵は持ってるの?」
猫八幡「まさか、万が一持ってたとしてもどうやって使うんだ」
雪乃「……じゃあ」
猫八幡「誰か帰ってくるまでここで待つんだよ」
雪乃「……風邪ひくわよ」
猫八幡「まあそういう時もあるわな」
雪乃「……」
猫八幡「んじゃな、助かったわ、ありがとな」ピョン
雪乃「……」ガシッ
猫八幡「グエッ」
猫八幡「な、何……」
雪乃「……連れてくわ」スタスタ
猫八幡「どこに……」
雪乃「私の家よ」ギュウウ
猫八幡「ぐるじぃ」
雪乃㍇
ガチャ バタン
雪乃「さ、早くシャワーを浴びて体を温めないと……」イソイソ
猫八幡「お、おう」
ガチャ
シャワー
猫八幡「……」
雪乃「待ってね、すぐお湯が……」
猫八幡「いやちょっと待て、お前が浴びせんの……?」
雪乃「なにか不満かしら?」
猫八幡「……俺お湯浴びるとヒトに戻るんだけど」
雪乃「あ」
猫八幡「……っつーわけでカラダ温まったらちょろっと水浴びて猫になるからよ、合図するまで待っててくれ」
雪乃「分かったわ……」グヌヌ
猫八幡「……なんでそんな悔しげなんだよ」
雪乃「……ずっと猫だったらいいのに」グヌヌ
猫八幡「俺もそう思ってるよ」
雪乃「……じゃあ待ってるから終わったら合図を頂戴」
猫八幡「おう、すまんな」
雪乃「いいのよ、これくらい」
シャワー
八幡(……ふう)
八幡(何でこんなことになっちまったんだか……)
八幡(ま、雪ノ下に拾ってもらわなきゃまた風邪ひいてヒイコラいうのは間違いない……感謝しなきゃな)
八幡(……そろそろいいか)キュキュ
ジョロロロロ キュ
バシャッ
猫八幡「もういいぞー」
ガチャ
雪乃「身体は温まったかしら?」
猫八幡「おう、おかげさまでな」
雪乃「拭いてあげるわ」ダキ
猫八幡「何から何まですまんな」ワシャワシャ
雪乃「ええ、その代わりに雨がやむまで撫で尽くすつもりだから」
猫八幡「ええ……」
雪乃「私、こう見えても猫が好きなのよ」
猫八幡「いや知ってたけどね」
ブオオオオオオ
雪乃「このくらいでいいかしらね」
猫八幡「おう、完璧に乾いたわ」
雪乃「良かったわ、では急がないと……」ムンズ
猫八幡(いや俺逃げないから……大人しく撫でられてあげるから……)
雪乃「……」イソイソ
猫八幡「……そんな急ぐことじゃないだろうに」
雪乃「時は金なりよ、もっともこのひと時はお金になんか代えられない貴重な時間ですもの」イソイソ
猫八幡「あ、そうですか……」
ナデナデ
雪乃「♪」
猫八幡「……」
ナデナデ
雪乃「♪」
猫八幡「……」
ナデナデ
猫八幡(なんか、眠くなって……きた……)ウトウト
雪乃「♪」ナデナデ
猫八幡(雪ノ下さんはご満悦下さんですし……)ウトウト
雪乃「♪」ナデナデナデナデ
猫八幡(……ま、いい、か…………)
雪乃「♪」ナデナデ
猫八幡 スヤァ
雪乃「……」ナデナデ
雪乃(……なんだか眠くなってきたわ)ウトウト
雪乃(と言うか比企谷君寝てるじゃないの……)ウトウト
雪乃「……」ナデナデ
雪乃「……」ナデ……ナデ……
雪乃「……」ナデ………
雪乃 スヤァ
数時間後
ギュウウ
猫八幡(ウーン……)
ギュウウウウ
猫八幡(な、なに……)パチ
雪乃「♪」ギュウウウウ
猫八幡(こいつも寝てたのか……つーか苦しい)タシタシ
猫八幡「起きて苦しい放して」タシタシ
雪乃「……ん」チラ
猫八幡「結構寝ちまったな」
雪乃「……」ボケー
猫八幡「おーい」タシタシ
雪乃「……」スヤァ
ギュウウウウウウウウ
猫八幡「ヴォエエエエエエエエエ」タシタシタシタシタシタシタシタシ
猫八幡「ゲホッゲホッ」
雪乃「ご、ごめんなさい、つい……」
猫八幡「まあいいけどよ……もう21時か、すっかり遅くなっちまったな」
雪乃「そうね、送っていくわ」
猫八幡「いやいいよ、ちょうど今日は集会だしな」
雪乃「集会……?」
猫八幡「家の近くの公園で集会なんだよ、今すぐだとまだ早いからこっから走ってちょうどいい時間だと思うんだわ」
雪乃「その集会というのは……噂に聞く猫の集会のことかしら……?」
猫八幡「そうだよ」
雪乃「私も行くわ」
公園
猫八幡「いいか?こっから先に来たら気付かれて散り散りになるからな」
雪乃「ええ、分かったわ……」ハァハァ
猫八幡「大人しくそこで見てるだけにするんだぞ」
雪乃「ええ……」ハァハァ
猫八幡「……じゃあな」タタタタタ
雪乃(……これが桃源郷)ハァハァ
猫八幡(猫好きすぎだろアイツ……)タタタタタ
つぎのひ 部室
八幡「ウッス」ガラッ
雪乃「比企谷君!!」
八幡「ぅえっ!?」ビクッ
雪乃「アナタ昨夜あの三毛猫の子と何を話していたの!?」
八幡「い、いや他愛のない猫世間話だが……」
雪乃「あんな可愛い子がいるなんてなぜ言わなかったのかしら!!!」
八幡「え、いや、んな事言われたって……」
雪乃「ずるいわ!!!」
八幡「むしろお前が行きたいってゴネただけで……」
雪乃「それとこれとは話が別だわ!!!!!」
八幡「ハイ、暴論ノ下さんですね……」
カクカクシカジカ
八幡「……っつーわけであの三毛猫のミィちゃんはいわるゆガールフレンドってわけだ」
雪乃「そんな……!そんな羨ましい事あっていいはずがないわ……!!」
八幡「まあ人間状態だとただのボッチだからね、それくらいの役得あっても……」
雪乃「だからと言ってあんな可愛い子と……!!」
コンコン
八幡「……」
雪乃「……」
八幡「……依頼かな?」
雪乃「……この話はまた後日ね」
八幡(いやしなくていいから忘れていいから)
雪乃「……どうぞ」
ガラ
結衣「雪ノ下さんやっはろー」
雪乃「あら由比ヶ浜さん」
八幡(誰だこの乳……見覚えがあったような無かったような……)
結衣「ってあれ!?なんでヒッキーが!?」
八幡「……え、なに、ヒッキーって俺?」
結衣「そうだけど」
八幡「なんで初対面なのにいきなりあだ名なんですかね……ストーカーか何か?」
結衣「いや同じクラスだし何回か話しかけてるし!!」
八幡「マジかよ」
雪乃「徹底して人間関係は作らないのね……」
八幡「まあな」
八幡「んでお前何しに来たの?」
雪乃「彼女の依頼を前に受けたのよ」
結衣「そうそう!その報告というか途中経過をしにきたの!」
八幡「ほーん」
雪乃「それで?最近はどうなのかしら」
結衣「それがね!すっごい似てる猫をこの学校で見かけたんだよ!」
雪乃「あら、それは以外ね……」
結衣「そそ、だから最近はこの周辺を探してるんだ!」
八幡「……なんの話?」
雪乃「まあ当然あなたは知らないわよね」
結衣「何ヒッキー盗み聞き?」
八幡「いや普通に聞こえるからむしろ聞かれて困る話してんのかよ」
結衣「そーゆーわけじゃないけど……」
雪乃「比企谷君も奉仕部員なの、だから彼にも話をしてみたら?」
結衣「雪ノ下さんがそう言うなら……」
結衣「その……入学式の日の朝にね」
八幡「うん」
結衣「うちで飼ってる犬の散歩をしてたの」
八幡「うんうん」
結衣「それでね、ホントに私の不注意なんだけど……うっかりリードから手を放しちゃって……サブレ、うちの犬が走ってったの」
八幡「……」
結衣「そしたら道路に飛び出しちゃって……それで車がきて轢かれそうになって……」
八幡「……おう」
結衣「でもね!猫が凄いスピードで走ってきて!うちの犬を突き飛ばしたの!!」
八幡「……」
結衣「それでうちのサブレは助かったんだけど……その猫は車に当たっちゃって……」
八幡「……」
結衣「……それでも何事も無いようにすぐ立ち上がって走ってっちゃったんだよね」
八幡「……それで」
結衣「……だからさ、その子にお礼したいんだよね」
八幡「……お礼?」
結衣「……うん」
八幡「……相手は猫だぞ」
結衣「そうなんだけどさ……」アハハ
結衣「なんと言うか気が済まないってゆーか……」
八幡「……そうか」
結衣「あ、あたしバカだからさ!!そーゆーの気になっちゃってしょーがないんだよね!!」アハハ
八幡「……お、おう」
八幡「ちなみにそのお礼ってのは何するんだ?」
結衣「色々考えた結果これをプレゼントするって決めたんだけど……」ネコダイスキフリスキー
八幡「フリスキー!!!!」ガタッ!!!!!!
結衣「え!!!なに!!!」ビクッ
雪乃「ど、どうしたの急に!!」ビクッ
八幡「え、あ、いや、すまん何でもない……」
結衣「もう……」
雪乃(……今の反応……まさか)
八幡「ま、まあいいんじゃねーの?恩のある猫に恩返しする、他人が聞いたら鼻で笑うかもしれんが俺は応援するぜ」ソワソワ
結衣「ホントに!?ヒッキーイイやつじゃん!!」
雪乃(これは……)
八幡「まあこれだけお前が一生懸命になってるからな、ヒョッコリ現れたりするかもしれないぜ」ソワソワチラチラ
結衣「そう!!それなんだよね!!最近この学校ですっごく似てる猫見かけたんだって話をしにここに来たくらいだし!!!」
八幡(よし、後は適当に流してヒョッコリ奴の前に現れれば……!)
雪乃「由比ヶ浜さん」
結衣「ん、なに?」
雪乃「そういえばその猫の特徴はどんなだったかしら」
結衣「あ、そうだね、んーと……なんていうか、ピッチリ半分に別れた七三分け?いやむしろ五五分けってゆーのかな?とにかくそんな柄の子!!」
雪乃「そうだったわね……」ニヤリ
八幡(こ、こいつ……)
雪乃(ねえ比企谷君)ボソ
八幡(なんだよ)ボソ
雪乃(今のあなたに水をかけたらどうなるかしら)ボソ
八幡(……)
雪乃(これ以上あなたの体質を知られていいのかしら……?)ボソ
八幡(何が目的だ)ボソ
雪乃(ミィちゃんよ)ボソ
結衣(二人で何話してるんだろ……)ポツン
八幡(……ミィちゃんにお前を紹介すればこの場は見逃してくれるんだな)ボソ
雪乃(ええ、ただ由比ヶ浜さんにはそれとなく会ってあげてね、猫の姿で)ボソ
八幡(元よりそのつもりだったがな……)ボソ
雪乃(あらそう、でも良かったじゃない、この場でバレなくて)ボソ
八幡(お、お前……)ボソ
雪乃「ごめんなさい由比ヶ浜さん、ちょっと内輪での話があってね……」
結衣「あ、ううん全然大丈夫、急に来たのはわたしだし……」
八幡(雪ノ下め……!)
雪乃「せっかく来てくれたのだし紅茶でも淹れるわ」
結衣「あ!雪ノ下さんの紅茶美味しいからいただくよ!!」
雪乃「そ、そう」///
ポット カラッポ
雪乃「で、ではポット水を汲んでくるわね」///
結衣「あ、あたしやるよ!!いつも淹れてもらってるお返しでさ!!」
雪乃「そ、そう、ではお願いできるかしら……」
結衣「任せてよ!!」ガラッ
八幡「……」
雪乃「……ちなみにだけどその車には私が乗っていたわ」
八幡「マジかよ」
雪乃「……怪我はなかったのかしら」
八幡「まあ人間に戻って三週間入院するくらいには……」
雪乃「何ですって!!??」ガタッ
八幡「……気にすんなよ昔の事だ」
雪乃「……あなた」
ガラッ
結衣「お、おまたせ」タプタプ
八幡(雪ノ下め……たったあれだけのやりとりでミィちゃんと会わせる約束を取り付けるだなんて……)
雪乃(ふふっ……ミィちゃん……早く会いたいわ……)
結衣「んしょっと……」
ツルリ
結衣「あ」
バシャッ
八幡「うそーん」ビッショリ
雪乃「!!!!」
結衣「あ!!ヒッキーごめ……」
雪乃「由比ヶ浜さん!!!!!!!!!!」
結衣「ヒィッ!!」ビクゥ
雪乃「何てことをしてくれたのかしら!!!!!!!!!」
結衣「ご、ごめんなさい………!!!」
猫八幡「いやミィちゃんには会わせてやるから……そんな怒んなって……」ヒョコ
結衣「ぅえっ!?」
猫八幡「オッス」
結衣「え、あ、あの時の……」
猫八幡「そうだよ俺だよ」
結衣「え、ヒッキ、え、なに、え、は?」
猫八幡「……ま、そうなるわな」
雪乃「由比ヶ浜さん、実は……」
カクカクシカジカ
結衣「……うそ」
猫八幡「マジなんだなこれが」
雪乃「ミィちゃんの件は?」
猫八幡「……まぁマジにしてやるよ」
雪乃「ふふっ、ありがとう」ヒョイ
猫八幡「あっ、こら」
雪乃「♪」ナデナデ
結衣「あ……」
猫八幡「ったく……」
結衣「……」
雪乃「……ごめんなさいね、由比ヶ浜さん、」
結衣「え、なんで雪ノ下さんが謝るのさ……」
雪乃「……依頼を受けた時は知らなかったのだけれど」
雪乃「今日あなたが来て例の猫が比企谷君だって分かってしまったのよ……でもそれをあなたには黙ってようとしてしまって…」
結衣「え、でもそれはヒッキー的にはヒミツな事なんじゃ……」
猫八幡「うんそうヒッキー的にヒミツな事なんだよ」
結衣「それくらいあたしにも分かるからさ!!雪ノ下さんが謝ることないよ……」
雪乃「由比ヶ浜さん……」
猫八幡(だが俺にはガッツリ謝れ由比ヶ浜)
結衣「え、えーっと……」チラチラ
猫八幡「なに」
結衣「あ、ありがとね!その、ヒッキーが助けてくれなかったら……サブレ、どうなってたか……」
猫八幡「ん、どういたしまして」
結衣「えと……その……」
猫八幡「……」
猫八幡「フリスキー」
結衣「え?」
猫八幡「それ、くれるんだろ?」
結衣「え!?これ食べるの!?」
猫八幡「バカお前フリスキーの美味さ知らないとか人生95割損してるぞ」
結衣「まず食べないし!!」
雪乃(……食べてみようかしら)
ムシャムシャ ハムハフッ
猫八幡(うめえ)ムシャムシャ
雪乃(かわいい)ナデナデ
結衣「ホントに食べてる……」
猫八幡「まあ猫だしそら食べるわな」
結衣「いや、なんていうかヒッキーがいきなり猫になるだなんて……」
猫八幡「気にすんな、むしろ俺が猫になれたからお前んとこの犬も助けられたっつーことで」
結衣「……そ、そうだね!んでヒッキーあの後ケガとか無かったの?」
猫八幡「……」
猫八幡「……猫は身体が柔らかいからな、特に何ともなかったぞ」
雪乃「……!!」
結衣「よかった~!実は心配してたんだよね、大丈夫かなって……」
猫八幡「……見ての通り大丈夫だよ、ピンピンしてる」
雪乃「……」
雪乃「由比ヶ浜さんそれはウソよ」
結衣「えっ」
猫八幡「ニャッ!?」
雪乃「三週間入院したと先程聞いたわ」
猫八幡「お、お前そこは空気読めよ……」
結衣「え……三週間……入院……」ズーン
雪乃「貴方こそなぜそんなウソをつくのかしら」
猫八幡「……助けたっつー話だけでいいじゃねえか、立派な美談だろ?そこに俺の事情なんて必要ないんだよ」
雪乃「……」
結衣「そんな……」
猫八幡「……こうやってお前に負い目を与えんのが嫌だからウソついたんだよ」
雪乃「……貴方が平塚先生に連れてこられた理由が少し分かったわ」
猫八幡「……そうか」
結衣「……ヒッキーはさ」
猫八幡「ん」
結衣「……なんでサブレを助けてくれたの?」
猫八幡「……」
猫八幡「なんつーか……」
猫八幡「頭の悪そうな犬が頭の悪そうな飼い主に連れられてて……」
結衣「うん…………ん?」
猫八幡「んでもって案の定頭の悪そうな犬が飛び出したから仕方なく……」
結衣「……」プルプル
雪乃「えっ……と……」
結衣「なにそれ台無しだし!!!!!!!!」
猫八幡「それが事実なんだ諦めろ」
結衣「むしろそこでウソつけし!!!!!!」
猫八幡「いやもういいかなって」
雪乃「気の遣いどころが間違っているんじゃないかしら……」
猫八幡「人間関係はよく分からないからな、許せ」
結衣「なにそれーーー!!!」プンスカ
雪乃「……はぁ」
つぎのひ 朝の教室
八幡(……ねむ)ウトウト
ガラ
結衣「ヒッキーおはよ!!!」ドゴォ!!!!!!
八幡「ア!!!!!!!!!」
結衣「あ、ちょっと強かったかな」
八幡「チョットジャナイ……」プルプル
結衣「まー細かいことは気にしない気にしない!」アハハ
八幡「……朝っぱらから一体なんだよ」
結衣「ん?いやなんとなくね、ヒッキー話しかけても無視するから」
三浦「あれ、なんか結衣楽しそーに話してんじゃん、なんだっけ、あれ、ヒキ……」
戸部「おーあれヒキタニ君っしょー」
三浦「それそれヒキオね、珍しいじゃん」
海老名「あれ、なんかこっち見てるけど……」
ヒッキ……ネコ……
バカ……ネコ…………バレタラ……
海老名「ネコだとぅ!!!!!!!!」ガタン!!!!
三浦「わ!!!」ビクッ
海老名「ヒキタニクンガネコダトマサカノハヤハチ!?ソウスルトオウドウオブオウドウヘタレゼメハチハヤノタチバガ……イヤデモイマタシカニネコ」
三浦「はいはい落ち着こうね擬態しようねー」
海老名「グフフ……グフフ腐……」ジロリ
葉山「ど、どうした……?」
海老名「いやぁ、なんでもぉ……?」
三浦「はい海老名、深呼吸」
グフフ……ドボドボ オイエビナハナヂハナヂ!!
ッベーッショコレ!! ワイワイギャーギャー
八幡「お、おい……あれ鼻血ヤベーぞ……大丈夫か……」
結衣「ああ……姫菜……またなんか妄想が爆発しちゃったんだ……」
八幡「お前の友達か……行ってやれよ……」
結衣「うん、またねヒッキー」
八幡「おう……」(おかげで目が覚めちまった)
放課後
雪乃「……」ペラ
八幡「……」ペラ
コンコン ガラッ
結衣「やっはろー!!」
八幡「うお、なんだ」ビクッ
雪乃「ど、どうしたの由比ヶ浜さん」ビクッ
結衣「ねえねえ!平塚先生から聞いたんだけどゆきのんてヒッキーの更生してるって本当?」
雪乃「え、ええ……平塚先生からの依頼で……」(ゆきのん?)
結衣「私もやる!!!」
雪乃「は?」
八幡「は?」
結衣「やっぱヒッキーまともじゃないからね!!ゆきのんだけじゃ大変そうだから私も手伝うよ!!入部届も出してきたし!!」
八幡(突然のdis)
雪乃「そ、そう、それはありがたいわ……ところでそのゆきの」
結衣「でさーゆきのーん!!!」
アーダコーダウンヌンカンヌン
八幡(うるせ)
つぎのひ 放課後
八幡「……」テクテク
ユキノン……アレゼッタイ……
エエ……アレハ……
八幡「?」
八幡「なにやってんの」
結衣「わ!」
雪乃「お、驚かせないで!!」
八幡「……はいはいサーセンサーセン」
八幡「で、どうしたんだよ」
結衣「……部室に不審人物が」
八幡「不審人物?」チラ
八幡「……げ」
雪乃「知り合い?」
八幡「……いや」
ガラッ
材木座「遅いぞ八幡!!!!!!」
結衣「うるさ!!」
八幡「何の用だ材木座……」
材木座「よくぞ聞いた!!」
カクカクシカジカトモダチイナイ
雪乃「つまりこの小説の感想が欲しいのね」
材木座「ア、ハイ……」
八幡(めんどくせ)
つぎのひ
雪乃「つまらなかったわ」
八幡「ゴミ」
結衣「寝ちゃった」
材木座「オ……ア……」プルプル
八幡「……なあ」ポン
材木座「ア……?」
八幡「何パクった?」
材木座「エンッ!」バタン
八幡「ったく……」
雪乃「批評がまだよ」グイ
材木座「ヒイィ」
クドクドボロクソクドクドボロクソ
材木座「 」チーン
八幡「逝ったか」
このSSまとめへのコメント
(・∀・)イイネ!!( ̄ー ̄)bグッ!と
素晴らしい!
頑張って、続き期待してるぜ(*^ー゚)b クッ゙
期待して待ってるZE!
やめろ
事実でキレんなよビッチ
戸塚が水かけると女になる的な展開を期待
無事に完結出来ればいいね
女体化戸塚いいな…と思ったけどアレ全員同じ姿の娘になっちゃうんだったっけ…
95割?950%?残りの50%何?
自分のペースで良いと思うけど…… 流石に遅すぎかな(^-^;)
クソキモ中学生は待ちきれない様だけど、自分のペースで問題ないからね!応援してます!