妹「いきなりこんな事して悪いとは思うわ」
男「……」
妹「でも大好きなの…本当に好き…」
男「……」
妹「どうしようもない程好きなの」
男「……」
男「え、何このデジャブ?」
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妹「という訳でいいわよね?」
男「いやどういう訳でだよ」
妹「えーとお薬に首輪、金属バットっと…」
男「そのラインナップは不穏すぎるぞ!?」
妹「大丈夫あんまり痛くしないから」
男「絶対無理だろ!」
男「さっきの好き云々は何なんだ」
妹「あんたに対してじゃないわよ」
男「見ればわかるよ!というかこれ外してくれ」
妹「手錠は…しっかりかかってるわね」
男「ついでに鎖と足枷もね」
妹「ちょっと聞きたい事があるのよ」
男「聞きたい事?」
妹「あと復讐」
男「それ明らかに後者がメインだよね!?」
妹「叫んでも無駄よ、ここは離れの実技教棟だし」
男「待ってくれ!そもそも君は誰なんだ」
妹「……妹よ」
男「誰の妹なんだ?」
妹「……」スッ
男「無言で金属バットを構えるのはやめてくれ」
妹「尋問は既に拷問に変わった」
男「せめて質問か詰問にしてくれ!」
妹「!?この足音…」
男「誰か来てくれたのか?」
妹「うぅ…っ!」キッ!
男「な、なんだよ」
妹「お前さえ…お前さえいなければ…っ!」
男「…え?」
妹「ふんっ!!」グシャッ
男「」
妹「……今はこれ位で勘弁してあげる」
妹「けれどもしお姉ちゃんに手を出したら…もう一個の方もつぶすわよ?」ガラガラ
男「」
男「」
男「……はっ!ここは」
後輩「先輩!?大丈夫ですか!」
男「ここは誰、私はどこ?」
後輩「べたなボケをかまさないでください」
男「た、玉は……よかった無事だ」
後輩「いきなり女の子の前で何してるんですか!?」
後輩「もうびっくりしましたよ…」
男「…悪かった」
後輩「というかどうしてあんな事を?」
男「いやなんというか…」
後輩「空き教室で縛られたまま気絶するって…どんなプレイですか」
男「そうか俺は助けられたのか」
後輩「やっぱり先輩ってマゾ…」
男「否定できないのがつらいな」
後輩「マゾをですか!?」
男「拘束をだよ!」
後輩「大丈夫です私は後輩として受け入れますよ」
男「人として否定してやってくれ」
後輩「ちょっと心の距離ができましたけど」
男「がっつりひいてるじゃないか」
後輩「誰しも人には言えない性癖位ありますよ」
男「だからって学校で拘束SMプレイする人はどうかと思うんだ」
後輩「もう夕方ですし帰りましょうか」
男「え?もうそんな時間なのか」
後輩「日が暮れちゃってますよ」
男「まいったなぁ…」
後輩「早くスーパー行きましょうよぉ」
男「おぉ分かった」
後輩「今日はお鍋が食べたいですね」
男「はいはい白菜たっぷり入れたやつな」
後輩「あとごま団子もお願いします」
男「いつもじゃないかそれ…」
男「おじゃましまーす」
後輩「ただいまですー」
男「なんか結構な頻度でお前の家に来てる気がするな」
後輩「今さらすぎません?」
男「それもそうだな」
後輩「ごはん食べたら作戦会議やりますよ」
男「またやるのか…」
後輩「この間みたいに一緒にゲームやって寝落ちとか許しませんからね!」
男「あれは楽しかったな」
後輩「楽しくてもだめです、ちゃんと付き合ってもらいますからね」
男「今日も長くなりそうだ」
後輩「今夜は寝かさないぞ♪」
男「違う意味でなんだよなぁ…」
後輩「ごちそうさまでしたー」
男「お粗末さまでしたー」
後輩「相変わらず料理上手いですね」
男「数少ない取柄だからね」
後輩「男にしておくには惜しいです」
男「それになんて反応を返せばいいのかな?」
後輩「さ、今日も張り切って作戦会議やりますよ!」
男「はいはい」
後輩「愛しのお姉様へのアプローチ方法を考えましょう!」
男「俺は別に好きではないのだが」
後輩「先輩こそ実の弟なんだからもっとアイディアとかありません?」
男「有ったらとっくに教えてるよ」
後輩「これでは私の百合色な未来が開けません」
男「薔薇色じゃないんだな」
後輩「BLには興味ありませんよ?」
男「そういう意味じゃない」
後輩「私としてはやはり手紙とか定番かなって」
男「まぁ王道だよな」
後輩「とりあえず20通位?」
男「桁おかしくない?」
後輩「溢れる愛が抑えられなくて」
男「その発想はだいぶ危ないぞ」
後輩「シチュエーションとしては放課後の下校途中ですかね」
男「それも定番だな」
後輩「ゆっくりと追いつめて後ろから…ガバッっと」
男「犯罪っぽいぞ」
後輩「『はぁはぁ…今どんなパンツ履いてんの?』」
男「犯罪だぞ」
後輩「溢れる愛が…」
男「妄想の中ですら抑えられないのか…」
後輩「お姉様の事を考えるだけでドキドキします…胸が苦しいです」
男「相変わらず凄まじいな」
後輩「あぁ…なんか身体が熱くなってきました…」
男「おい大丈夫か?」
後輩「ちょっとトイレ行ってもいいですか?」
男「そのタイミングで聞くトイレ程信用できない物はないと思うんだ」
男「愛をしたためるって難しいな」
後輩「愛をしたなめる?」
男「なめてどうする」
後輩「なんかえっちぃです///」
男「愛をなめるなよ、二重の意味で」
後輩「ん…もうこんな時間ですね」
男「だいぶ時間が経ってたんだな」
後輩「そろそろお風呂にしましょうか」
男「そうだな、どっちが先に入る?」
後輩「先輩からでいいですよ」
男「そうか?悪いな」
後輩「お布団もしいておきますね」
男「じゃあ俺は洗い物をやっておくよ」
後輩「よいしょ…っと」
男「準備もできたしそろそろ寝るか」
後輩「はいですー」
男「しかしいつの間にかこうして寝るのが当たり前になったな」
後輩「布団をくっ付けて寝る修学旅行スタイルですね」
男「なにそれ初めて聞いた」
後輩「うふふ我慢できなくなったら襲ってもいいんですよ」
男「やめておくよ後が怖い」
後輩「まぁ全力で抵抗しますけど」
男「やっぱり拒否られるんじゃないか」
後輩「私の貞操はお姉様に捧げてますので!」
男「はいはい」
後輩「えへへー先輩って温かいですねぇ」
男「こっちの布団に入ってくるなよ」
後輩「だって寒いんですもん」
男「まったく…」
後輩「なんだかお兄ちゃんに甘えてるみたいです」
男「…そうかなによりだよ」
後輩「私お兄ちゃんっていうのに憧れてたんですよ」
男「うーん気持ちは分かるな」
後輩「先輩もです?」
男「兄貴とか少し憧れるよな」
後輩「兄貴と添い寝が!?」
男「曲解しないでくれ」
後輩「…うぅなんだか眠くなってきました」
男「馬鹿言ってないで早く眠るぞ」
後輩「はいー…おやすみです」
男「あぁおやすみ」
男「……」
男(そういえば今日のあの妹ってやつ…まさかなぁ)
男「ふぁぁ…」
後輩「先輩、朝からあくびですか?」
男「昨日は眠れなかったんだよ」
後輩「なんか私と寝る時いつも寝不足ですね」
男「……」
後輩「私はおかげでぐっすりなんですけど」
男「……」
『あぁそれでいいと思う』
『分かった伝えておくよ』
『それじゃ頑張ってね』
男「ふぅ…もう放課後か」
後輩「先輩ー」
男「あぁ…後輩か」
後輩「今の人たちはどなたです?」
男「部活の後輩だよ」
後輩「え?」
男「え?」
後輩「先輩って部活やってたんですか!?」
男「えぇ……」
後輩「てっきり帰宅部かと」
男「これでも部内では上級者だ」
後輩「酷いです先輩!私という後輩がありながら!」
男「君は俺のなんなんだ」
後輩「それで何の部活なんですか?」
男「剣道部だよ」
後輩「拳闘部ですか」
男「ボクシングかな?」
後輩「さっきの人って…」
男「部活の後輩だよ、少し相談をされててね」
後輩「……女の子でしたね」
男「真面目な良い子だよ」
後輩「……へーそうですか」
後輩(それにしてはあの女の子やけに機嫌が良かったような……むぅ)
後輩「なんかもやもやします」
男「いきなりどうした?」
後輩「なんでもないです」
後輩「先輩は練習とか出なくていいんですか?」
男「この間の大会で少しケガしちゃってね」
後輩「あぁなるほど」
男「しばらく休みをもらってるんだ」
後輩「療養器官ってやつですね」
男「そんな便利な物はないぞ」
男「というかさ」
後輩「なんです?」
男「お前まだ友達いないのか?」
後輩「」
男「あれから毎日のように俺の所に来てるしさ」
後輩「普通に居るに決まってるじゃないですか、先輩はいきなり何を言ってるんです?」
男「声と足が震えてるぞ」
後輩「す、少しばかり少ないと言えなくもなくないですかね」
男「どっちだよ」
後輩「本当の所10人位…」
男「……」
後輩「実は5人程で…」
男「……」
後輩「……」
後輩「ほとんどいませんよ!悪かったですね!?」
男「よく正直に言ったな」
後輩「うぅ…どうせ私は美少女ぼっちですよ」
男「美少女ではあるんだな」
後輩「あぁ…友達か彼女が欲しいです」
男「彼氏ではないんだな」
後輩「もちろん彼女とはお姉様のことで
男「もう分かったから」
後輩「あ、でも話し友達ならいますよ!」
男「おぉ良かったじゃないか!」
後輩「この間も下校の時におしゃべりしたんです♪」
男「ガールズトークってやつだな」
後輩「楽しかったです!」
男「それで誰なんだ?」
後輩「え?」
男「この学校の生徒なのか?学外の人なのか?」
後輩「き…近所のおばちゃんです」
男「……」
後輩「……」
後輩「先輩知ってますか?」
男「何が?」
後輩「夜中に口笛を吹くといけないっていう伝承ですよ」
男「あぁ蛇が出たり幽霊が出たりっていう」
後輩「あれって実は本当なんですって」
男「…へーそうなのか」
後輩「はい、口笛ってピーっていう高音が出るじゃないですか」
男「まぁな」
後輩「あの高音の周波数帯って実は蛇にとって過敏な反応を示す数値らしいですよ」
男「へー」
後輩「よく海外で蛇を操ってる人とかいるじゃないですか」
男「壺の中に蛇をいれてーって奴か」
後輩「あれも同じ原理らしいですよ」
男「じゃあ夜中に口笛を吹いてはいけないっていうのは」
後輩「蛇を怒らせてしまうからなんです」ドヤァ
男「へー」
後輩「ふふーん知らなかったでしょう」
男「それ有名なデマだぞ」
後輩「はい?」
男「蛇にはそんな器官ないし…口笛はもともと泥棒が手引きする時の合図だから」
後輩「えっ……」
男「……」
後輩「……」
後輩「ひっかけに引っかからないとは流石は私の先輩ですね」
男「間抜けは見つかったようだな」
後輩「くぅ…知的さアピールをする私の計画が…」
男「そんな事考えてる時点で…」
後輩「賢いは作れるって掲示板では言ってました!」
男「その情報源はこの世で最も参考にならないぞ」
後輩「私の目標は知的クール美人です」
男「その発言をする時点でだめだと気づけ」
後輩「あ!先輩クレープ屋さんがありますよ!」
男「あぁ最近できたのかな?」
後輩「ねぇ先輩」
男「買わないぞ」
後輩「…まだ何も言ってないじゃないですか」
男「お前の行動なんてすぐに分かるよ」
後輩「えぇ…食べたいですよぉ」
男「ご飯が食べられなくなるだろ」
後輩「先輩は私のお母さんですか!」
男「気分は父親だよ」
男「全く…」
後輩「えへへーありがとうございます」
男「一個だけだからな」
後輩「分かってますって」
男「それじゃこれを一つ…えぇこの娘と一緒で」
後輩「先輩、はんぶんこですからね?」
男「分かったから急かすなよ」
後輩「ごちそう様でした♪」
男「結局俺のおごりか…」
後輩「男が女におごるのは甲斐性ですよ」
男「そういう物か」
後輩「そういう物です」
後輩「って少女漫画では言ってました」
男「情報元が寂しいなおい」
後輩「私は恋愛テクをあれから学びましたよ?」
男「実践できてないんですがそれは」
後輩「まぁ美味しかったし私は満足ですよ」
男「それならよかったよ」
後輩「先輩も美味しかったですか?」
男「まぁね、ストレスも解消されたかな」
後輩「えっ……」
男「え?」
後輩「遠回しな親父ギャグはちょっと…」
男「いつそんな物を言った!?」
後輩「ただいまですー」
男「じゃあご飯を作るかな」
後輩「それじゃ私は洗濯をやっておきますね」
男「よし頑張るか」
ピンポーン
男「ん、誰だろう?」
後輩「先輩出てもらえますか?」
男「おう分かった」
ガチャッ
「おひさしぶりです!!お姉さ「バタン」
後輩「どなたでした?」
男「なんでもないよ」
妹「さっさと開けなさいよこの馬鹿!」
男「なぜここにいるんだ…?」
妹「ここが私の家だからに決まってるじゃない」
男「なに?それって…」
後輩「あれ、妹じゃないですか?」
男「え?」
妹「お久しぶりですお姉様!」
男「えぇ…」
男「お前って妹が居たんだな…」
後輩「言ってませんでしたっけ?」
男「欠片もな」
妹「あぁ…久しぶりのお姉様の匂いです」
後輩「あまり抱き付かないでください…」
男「見るからに残念美人って感じだな」
後輩「本当に残念ながら…」
妹「はぁ…お姉さま成分で体が満たされていきます…っ!」
男「身もだえして発情しているように見えるのは…」
後輩「たぶん気のせいじゃないですね」
妹「おっといけない危うくトリップする所でした」
男「もうだいぶ手遅れだろ」
妹「さぁお姉様、お話をしましょうか」
男「お前…妹にお姉様と呼ばせてるのか」
後輩「わ、私から言い出したんじゃないです」
妹「自発的に私が言ってるのよ!」
男「なんだこの百合姉妹は…」
妹「お姉様、今日来た事は他でもありません」クンクン
男「まずそのシャツを顔から離して喋ろうか」
後輩「あぁ…私のブラウスが…」
妹「お姉様の最近の不純交友についてです」
男「君以上の不純行動があるのか…」
妹「最近の行動は目に余ります」
後輩「え、でも不純交友なんてしてないですよね?」
男「してないよな?」
妹「そこの男との情事は全部把握しています」
後輩「情事じゃないです!」
男「突っ込む所はそこじゃない」
妹「正直私はその男に憎悪を抱いています」
男「それも理不尽だなぁ」
後輩「先輩なんてただの先輩ですよ?」
妹「ただの先輩とあんな事をするはずがないでしょう!!」
妹「する!はず!ないでしょっ!!!」
妹「よく商店街へ二人で出かけているのも知っています」
後輩「お夕飯の買い物ですよ?」
妹「放課後はほとんど一緒に過ごしてますね?」
後輩「まぁ…一緒には居ますかね」
妹「どんだけいちゃついてるんですか!」
後輩「えっ…別に普通じゃ…」
妹「お姉様…付き合ってもいない男女はクレープ屋に寄ったりなんかしません」
後輩「えぇ!?」
妹「あまつさえ…っ!互いにあーんするだなんて…」
男「そんなのしてたっけ?」
後輩「さぁしてましたっけ?」
妹「無意識でいちゃいちゃしてたんですか!?」
妹「というか同棲してるんですか!?馬鹿なんですか!!」
後輩「すごい言われようです」
男「これは否定できないぞ」
妹「二人の関係を正直に聞かせてください」
男「関係も何も…」
妹「付き合っているのか否かです」
男「別に普通の関係だよ」
妹「さっさと吐いたらどうなんですか」
後輩「おろろろろろろっ」
男「その吐くじゃねーよ」
妹「…もういいです分かりました」
妹「この事はママに相談させてもらいます」
後輩「ちょっと!?」
妹「ママに仕送り減額をしてもらいますからね?」
後輩「やめてください!私には妻と夫と三歳になる子供が…」
男「あなたいったい誰なんですか」
男「というかなぜこのタイミングで?」
後輩「今って学校中ですよね?」
妹「ちょうどお休みの期間なんですよ」
男「学校?」
後輩「妹は○△っていう全寮制の学校に通ってるんです」
男「あぁー…なるほど?」
妹「結構名門のお嬢様学校なのよ?」
男「へー知らなかった」
妹「でしょうねあんた教養なさそうだもん」
男「あ?」
妹「あぁん?」
後輩「と、とりあえずご飯にしましょう!」
男「…まぁ賛成だな」
妹「…えぇそうね」
後輩「先輩、改めてお願いしますね」
男「分かったよ、三人分だろ?」
妹「じゃあ私も手伝うわ」
男「そうか、悪いな」
妹「監視のためよ」
男「あぁ…あと和食でも大丈夫か?」
妹「え?どういう意味よそれ」
男「いやなんでもないよ」
妹「…美味しいじゃない」
後輩「ふふーんそうでしょう?」
男「君は作ってないよね」
後輩「先輩の料理じゃないともうだめですね」
男「胃袋を掌握されすぎだろ」
後輩「もう私先輩以外じゃ満足できないかも///」
男「やらしい言い方をするな」
後輩「貴方の料理じゃないとだめなんです」
男「やさしい言い方でもダメだろ」
妹「……」
男「分かったから、そう睨まないでくれ」
後輩「ごちそうさまでしたー」
妹「ごちそうさまでした」
後輩「そういえば先輩?」
男「なんだ?」
後輩「妹とどういう関係なんです?」
男「えっ……」
後輩「なんか初対面って感じじゃなかったんで」
男「いやこの娘に無理やり拘束を…」
妹『余計な事言ったらつぶす』ボソッ
男「たまたま買い物中に会った事があってね」
後輩「へー凄い偶然ですね」
妹「えぇたまたまですよ♪」
男「玉だけにな…」
後輩「?」
~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~
後輩「……うぅー」
男「おぉおはよう後輩」
後輩「…おはようごらいます」
男「寝ぼけてるな」
後輩「昨日はずっと眠れなくれ…」
男「昨日の夜は揉めたよな」
後輩「胸をっ!?」
男「突っ込まないぞ」
後輩「そりゃ朝からはちょっと…」
男「昨日の誰と寝るかの話だよ」
後輩「あんなに怖い妹は初めてみました…」
男「まぁ仕方ない」
後輩「でも一緒に寝てるとはいえ何もしてないのに…」
男「今さらだが限りなくアウトだと思う」
後輩「ナニもしてないのに?」
男「流石にしつこいぞ」
後輩「姉妹水入らずを邪魔するなーって」
男「後輩と妹が一緒に寝たんだよな」
後輩「結局先輩はソファで寝たんです?」
男「まぁこれくらいはなぁ」
男「そんなに大変だったのか?」
後輩「私の布団に入ろうとする妹をずっと…」
男「あっ……」
後輩「少し貞操の危機を感じました」
男「夜這いで失いかけるのか…」
後輩「女の子同士は…」
男「流石にフルカウントだろう」
後輩「悪い子じゃないんですけどね」
男「それは分かるが…」
後輩「きっと一途なだけです」
男「何に一途なんですかね」
後輩「そらもうナニですよ」
男「だからしつこいって」
妹「おはようございます…」
後輩「おはようです」
男「眠そうだな」
妹「昨日は眠れなかったのよ…」
後輩「夜更かしです?」
妹「そこの男が襲ってこないかを見張っていました」
男「えぇ…」
妹「男なんてみんな獣よ」
男「偏見だろそれ」
妹「だまれ駄メガネ童貞」
後輩「先輩は普段は裸眼です!」
男「いや童貞を否定してくれ」
後輩「童貞じゃないです?」
妹「どうせ童貞でしょ」
男「いやそうだけどさ…」
妹「うわぁ…」
後輩「うわぁ…」
男「黙れ処女」
後輩「しょ、処女じゃないですっ!!」
男「顔真っ赤だぞ」
妹「処女じゃないですっ!?」
男「驚くなよ冗句だろ」
妹「ちなみに私の処女はお姉さまに永久売約済みです!」
男「もらってくれる人が居ないだけじゃ…」
妹「黙れ童貞」
男「……」
妹「お姉様、姉妹同士互いに処女を捧げあいましょう」
後輩「なぜ処女前提!?いや処女ですけど…」
妹「想い合いって大事ですよね!」
男「重い愛だなぁ…」
後輩「作戦会議をしましょう」
男「……」
後輩「互いの為にも妹をなんとかしないと」
男「……」
後輩「やはり健全な付き合いを…どうしました?」
男「あのさ」
後輩「なんです?」
男「その話はあと2分待てなかったのか?」
後輩「トイレなんてどうでもいいじゃないですか」
男「今まさに個室トイレに入ろうとしてるのだが」
後輩「先輩は座ってする派です?」
男「ここが学校の男子トイレだという話をしてるんだ」
後輩「私は座ってする派です」
男「君の常識外れの思考にびっくりだよ」
後輩「そう褒めないで下さいよ」
男「どこまでポジティブなんだ」
男「で?なんの話だっけ」
後輩「鎧武者はどうやって用を足していたかの話ですよ」
男「ねぇ頼むから」
後輩「あれ絶対トイレに行きにくいですよね」
男「頼むから、トイレから離れよう」
後輩「位置的な意味でです?」
男「話題的な意味でだ」
後輩「まさか…妹があそこまで百合になっていたとは」
男「でも嫌いじゃないんだろ」
後輩「そりゃ妹としては好きですよ?家族としては愛してますよ?」
男「おぉ」
後輩「ただ女としてと言われると…」
男「あー…なるほど」
後輩「学校でも美人で評判らしいですけど」
男「女子中学校だっけ?」
後輩「ラブレターとかがたくさん貰えるそうです」
男「そりゃまた凄いな」
後輩「昔から妹にはそういった気配はあったんです」
男「百合的な意味でか」
後輩「よく布団に忍び込んだり」
男「うんうん」
後輩「お風呂に忍び込んだり」
男「なるほど」
後輩「トイレに忍び込んだり」
男「忍んでばっかだな」
後輩「一応忍びの末裔なので」
男「2秒でばれる嘘はやめようか」
後輩「はぁ…複雑です」
男「まぁ複雑だよな」
後輩「妹は男性嫌いな所が…」
男「まぁあの娘見てれば分かるよ」
後輩「学校でも噂されてるらしいです」
男「女子中の生徒に?」
後輩「三大美少女らしいです」
男「他の二大が気になるな」
後輩「美人でクールで姉御肌だって」
男「なんとまぁ」
後輩「他の生徒からお姉様とも呼ばれて慕われてるとか…」
男「なにそれ複雑」
後輩「お姉様と呼んで崇めるって…どうなんですかね?」
男「もう分かってて言ってるだろ」
後輩「やっぱり姉としては普通の恋愛もして貰いたいです」
男「お前も百合だろうが」
後輩「だからこそですよ」
男「え?」
後輩「自分がそうだからこそ…妹にはよく考えてもらいたいんです」
後輩「今の世の中…やっぱりまだ生きづらいですから」
男「……」
後輩「無理にとは言いません」
後輩「けど妹には普通の恋愛も試してみてほしいというのが姉としての本音です」
男「おぉ…なんか姉っぽい」
後輩「姉ですよ」
男「常識知らずな奴だと思ってた」
後輩「良識知らずよりはいいです」
男「そこは否定しないんだな…」
後輩「なにか…なにか良い方法を…」
男「妹の男嫌いを治す方法か…」
後輩「…あっ!そうですよ!」
男「え?」
後輩「妹に彼氏ができればいいんです!」
男「なぜそうなる」
後輩「そうすれば妹も男嫌いが改善するはず」
男「そうなのか…?」
後輩「先輩!」
男「な、なんだ?」
後輩「うちの妹とかどうですか!?」
男「」
後輩「あの子は器量良しの外見良しですよ!」
男「それは同じ意味だ」
後輩「なかなかの好物件です!」
男「まて意味が色々おかしいぞ」
後輩「先輩と妹がくっついちゃえばいいんですって」
男「そういう問題じゃ…」
後輩「でも正直な話妹の男性嫌いをなんとかしてあげたいんです…」
男「……」
後輩「その点先輩になら妹を安心して任せられますし」
男「……お前はそれでいいのか」
後輩「え?」
男「そうして欲しいのか?」
後輩「良いに決まってるじゃないですか、どういう意味です?」
男「…そうか」
後輩「妹の事お願いしますね♪」
男「俺はあいつに嫌われてるんだが」
後輩「少しずつでも改善していけばいいんです」
男「……」
後輩「とりあえずデートから始めていきましょう」
男「……」
後輩「えへへ~いつかダブルデートしましょうね」
男「気が早すぎるだろ」
後輩「未来の設計は大事です」
男「その設計図ボロボロじゃないか?」
~~~~~~~~~
~~~~~~~
男「ふぅ」
男「……」
男「…考えても仕方ないか」
男「とりあえず先に帰ろう」
男「夕飯の食材でも買いに行くか」
男「ん?あのしゃがんでる娘…」
妹「あっ」
男「え?……あっ」
妹「私動物って嫌いなのよね」
妹「だって動物って臭くない?」
妹「正直この子猫とか見るだけで嫌よね」
妹「触っちゃうと洋服に毛とかついちゃうし」
妹「あんたもそう思わない?思うわよね?」
男「いやさっき思いきり撫でまくってたよね」
妹「気のせいよ」
男「見たことない位微笑んでたよね」
妹「忘れなさい」
妹「…あんたなんでこんな所にいるのよ」
男「まぁ夕飯の買い物に」
妹「私が作るからいいわよ」
男「作れるのか?」
妹「……」
男「厳しくないか?」
妹「…私だって作れるもん」
男「妹は料理がいまいちだって」
妹「うっさい」
妹「ついてこないでよ!」
男「いや…家も商店街もこっちだろ」
妹「…」
男「だからそんな目で睨まないでくれ…」
妹「…さっさと買って帰るわよ」
妹「なんか視線を感じるわね」
男「まぁその見た目だったらな」
妹「…やっぱりそっか」
男「……」
妹「……」
男「なぁ」
妹「なによ」
男「その金髪って遺伝なのか?」
妹「……」
男「……いや言いたくないならいいんだ」
妹「やっぱり私は目立つようね」
男「まぁ金髪でそれだけ美人ならな」
妹「……」
男「…言いたくないなら別に」
妹「別にいいわよ」
妹「お姉様と私はね義姉妹なの」
男「…なるほど」
妹「というより私が異端なの」
男「え?」
妹「だって私は捨て子だもん」
妹「いや拾われ子…かしら?」
男「それって…」
妹「言葉通りよ、海外で孤児だったの」
男「…」
妹「そこを今のパパとママに拾われたのよ」
妹「薄々予想はついてたんじゃない?」
男「……」
妹「和食でいいのかとか…一応気を使ってくれたんでしょ?」
男「まぁ…けどそれは予想外だった」
妹「…この容姿で色々苦労はしたけどね」
男「そっか…」
妹「言っておくけど私はもう気にしてないわよ」
妹「大切なのは過去じゃなくて今だもん」
妹「荷物位持ってよ」
男「はいはい」
妹「はいは一回」
男「へい」
妹「……」
男「無言で蹴るのはやめてくれ」
妹「JCに蹴られるのはご褒美らしいわよ」
男「あいにくそんな性癖はない」
妹「年下になじられる趣味はあるのに?」
男「…やっぱり姉妹だな」
妹「お鍋なら白菜を買いなさい」
男「鍋には春菊も必要だろ」
妹「春菊は苦いから嫌いなの」
男「あの苦みがいいのに」
妹「お姉ちゃんも春菊が嫌いよ」
男「子供か!」
妹「子供よ」
男「そういえばさ」
妹「何?」
男「君口調が変わってないか?」
妹「あぁあれね」
男「ちょっと気になってさ」
妹「キャラ作りよ」
男「なんですと!?」
妹「冗談よ」
男「じゃあ姉に敬語を使ってるのは…」
妹「お姉ちゃんの影響ね」
男「話し方が移ったのか」
妹「私に日本語教えてくれた人だし」
男「今でも口調は変えないんだな」
妹「お姉ちゃんの前では昔みたいにお姉様って呼んじゃうわね」
男「あいつは気にしないと思うぞ?」
妹「癖みたいなものよ」
妹「まったく…八百屋のおじさんに勘違いされるだなんて」
男「カップルみたいだとからかわれたな」
妹「あんたとなんて心外ね」
男「…まぁそうだよな」
妹「あ、洗剤切れてたっけ?」
男「買っておいたぞ」
妹「…なんでうちの在庫知ってるのよ」
男「まぁよく行ってるし」
妹「気持ち悪いわね」
男「気が利くと言ってくれ」
男「おっ、このチラシを見てろよ」
妹「いきなり何よ」
男「商店街でフェアをやってらしいぞ」
妹「へー」
男「ふむ…『カップルで来店された方割引いたします』」
妹「はぁ?」
男「提携してる店でやる期間限定のサービスらしいな」
妹「粗品なんかもプレゼント…か」
男「やってみるか?」
妹「そんなに蹴られたいの?」
男「いや分かってたけどさ」
妹「あんたとなんか死んでもごめんよ」
男「そこまで嫌なのか…」
妹「だいたい粗品っていっても大した物ないでしょ」
男「無料サービスなんかも…」
妹「別にいいわよ」
男「えーと今なら特別に…」
妹「もういいから」
男「特製たいやきを2個プレゼント…ははっまぁこれは別にいいか」ガシッ!
男「え?」
妹「さぁ行くわよ」
男「プライドはどこに行った!」
妹「たいやきには変えられないわ!」
男「お前のプライドは400円以下か!?」
妹「えへ…ふへへ♪」
男「凄く嬉しそうだな」
妹「たいやきだから仕方ないわ」
男「そんなに大切か」
妹「特製たいやきなんてもう食べられないわよ」
男「まぁ分からんでもないが」
妹「女の子は甘いもの好きなの」
男「女の…子?」
男「うん冗談だから、蹴るのはやめてくれ」
男「なぁ」
妹「何?」
男「後輩の事が好きって…」
妹「あぁあれね」
男「本当か?」
妹「いや冗談よ」
男「なんだそうなのか」
妹「2割り冗談よ」
男「ほとんど本気じゃないか…」
妹「なんてね、好きなのは本当だしそういう事もしたいと思う」
男「……」
妹「けど自分の欲望は出さないわよ」
男「……」
妹「やっぱりそれ以上にお姉ちゃんには」
男「お姉ちゃんには…?」
妹「幸せになってもらいたいわね」
男「……」
妹「あわよくば付き合いたいけど」
男「やっぱりそうなんじゃないか」
妹「あわよくば突き合いたいけど」
男「欲望ダダ漏れだよねそれ」
妹「あっ…」
男「どうした?」
妹「べ、べべ別に?」
男「分かりやすく動揺するなよ」
妹「別になんでもないったら!」
男「そんなに見ていきたいのか?」
妹「……」
男「俺は構わないよ」
妹「動物なんて嫌いだってば!」
男「ペットショップの前でそういう事言うのやめようか」
妹「えへ…ぐへへ」
男「うわぁ美人が台無しだな」
妹「うっさいわね」
男「まぁその子猫可愛いよな」
妹「私は猫派なのよね…」
男「分かるなぁ」
妹「あんたも!?」
男「猫の方が可愛いよな」
妹「あんた分かってるじゃない!」
男「猫のあの自由な感じが良いんだよな」
妹「うんうん♪」
男「そっけない所がまた可愛くてさ」
妹「そこがまた良いのよね!」
男「後輩って犬派だろ」
妹「えっ…う、うん」
男「一度あいつとけんかになった事があってさ」
男「あいつは犬の方が絶対可愛いです!って譲らなくて」
男「それで俺が猫の方が可愛いねって返してさ」
妹「……」
男「周りの人から痴話げんかだってからかわれたよ」
男「その時に夫婦喧嘩は犬も食わないって言われてさ」
妹「……」
男「あのおっちゃんのギャグには思わず笑って…ん?」
妹「……」
男「おい大丈夫か?」
妹「……」
男「どうした?」
妹「うっさい馬鹿」
男「いきなり黙って変な奴だな」
妹「……」
妹「……」
男「はー楽しかったな」
妹「…まぁそうね」
男「あの後店員さんのご厚意で触らせてもらえて良かったな」
妹「……」
男「…あの、どうかしたのか?」
妹「あんた」
男「ん?」
妹「ちょっとこっち来なさい」
男「お、おい急に引っ張るなよ」
男「ここは…喫茶店?」
妹「入るわよ」
男「お、おい」
妹「今から大事な話をするから」
男「…大事な話?」
妹「さっき海外で拾われたって言ったじゃない?」
男「あぁあれな」
妹「そんな奴がいきなり日本に馴染めると思う?」
男「えっ」
妹「場所も環境も変わって…本当に居心地がいいなんて思えると思う?」
男「……」
妹「私ね…昔は馴染めなかったのよ」
男「え?」
妹「パパとかママとか…学校なんかにも」
男「……」
妹「むしろ最初の頃は荒れてたわね」
妹「そりゃ前居た所より環境はずっといいわよ?」
妹「路上で死にかけてた所を保護されたらしいし」
男「……」
妹「でもさ…いきなり今日からあなたの家族ですなんて言われて馴染めると思う?」
男「…まぁ大変だよな」
妹「最初は戸惑う事ばかりだったわよ」
妹「異性からはやたら絡まれるし、それを見て同性からも疎まれたり」
妹「なにより言葉が通じない」
妹「いじめ紛いの事をされた事もあるわ」
男「……」
妹「でも家族は…お姉ちゃんだけは違ったの」
妹「あの人は私の事を本当の妹のように扱ってくれた」
妹「だから恩返しがしたいのよ」
男「…あいつに友達が少ないっていうのは」
妹「…いじめられてた私の事を庇ってくれたりしてたから」
男「あぁ…なるほど」
妹「それを抜いても内気で人見知りな人だから」
男「……」
妹「人との接し方がよく分からないらしいのよ」
男「…だからか」
妹「お姉ちゃんってよく自分の事可愛いっていうでしょ」
男「よく言ってるな」
妹「あれ本当はそう思ってないのよ」
男「え?」
妹「あれは自分に対する自信の無さの表れね」
男「…本当に可愛いのにな」
妹「だからっ!」
男「い、いきなり顔を寄せるな!」
妹「協力しなさい」
男「え?」
妹「お姉ちゃんに友達ができるように…人見知りが治るように」
男「……」
妹「私はあの人に恩返しがしたいの」
男「……」
妹「…いいわね?」
男「…分かったよ」
妹「ふぅ…」
男「大丈夫か?」
妹「…正直あんまり言いたくはなかったのよ」
男「…そうか」
妹「でもなんか…勢いでしゃべったらスッキリしたわ」
男「ならなによりだ」
妹「別にあんたの事を認めた訳じゃないわよ」
男「それでもなによりだよ」
妹「あとまぁ…お姉ちゃんに彼氏がいた事がないのは確かよ」
男「その情報は…まぁありがたい」
妹「という訳でなんかおごりなさい」
男「なぜそうなる!?」
妹「女の子におごるのは男の特権よ」
男「押しつけじゃないか…」
妹「あ、私アイスコーヒーね」
男「…はいはい」
妹「はいは一回」
男「へい」
妹「まったく……ふふっ♪」
後輩(ん?あれって…)
後輩「せんぱーい……あれ?」
(先輩と妹が……一緒に居る?)
(お茶でもしてるのかな?)
(…………)
(なんか…凄く楽しそう…)
(…………)
(…………)ズキッ
(あれ…なんか今胸が痛んだような…)
後輩「………あれー?」
妹「お帰りなさいお姉様!」
後輩「あ…ただいまです」
男「なんかやけに元気がないな」
妹「…どうかしたのですか?」
後輩「い、いえ別に?」
男「へんな奴だな」
後輩「……」
妹「お姉ちゃ…お姉様ご飯ができてますよ」
後輩「おぉ美味しそうですね」
妹「私が作ったんです!」
男「俺の作業を手伝っただけだろ」
妹「そうとも言うわね」
男「そうとしか言わないよね」
後輩「おぉ妹の成長に泣いてしまいそうです」
男「お前…本当に下手だったものな」
妹「た、たまたまだから!」
男「料理にたまたまってなんだよ…」
後輩「ん…おいしい」
妹「流石は私ね」
男「いや手伝っただけだよね」
妹「うるさいわね」
後輩「いやいや本当に美味しいですよ」
男「なら良かったよ」
後輩「妹もありがとうです」
妹「お姉様…感激です!」
後輩「まぁ本気出せば私の方がおいしいですが」
男「そこは譲らないんだな」
後輩「お姉ちゃんとは妹の一歩先を行く存在なんです!」
男「いや…料理では負けてるぞ」
後輩「…い、一歩先を行けるよう常に努力する存在なんです」
後輩「あ、先輩コーヒー飲んでるんですか」
男「食後のコーヒーって美味いよな」
後輩「へーちょっと飲んでもいいですか?」
男「うん、いいよ」
後輩「……うげー苦いです」
男「飲ませて貰ってそれはないだろ…」
後輩「私はやっぱり甘党ですね」
男「砂糖もあるけど」
妹「あぁぁあああああああ!?」
妹「そ、そそそれ関接キスじゃないの!?」
男「いや子供かよ」
後輩「はわわわわわっ!?」
男「子供かよ」
妹「あんた何やってんのよ!」
男「いややったのは後輩…」
妹「私にも飲ませなさい!」ゴクゴクッ!
後輩「あっ…」
妹「これでお姉様と関接キス!」
男「俺との関接にもなるんじゃないのか?」
妹「うわぁあああああああああっ!?」
男「馬鹿かお前は」
妹「嵌めたわね!」
男「勝手に嵌っただけだろうが」
後輩「うぅ…私のファーストキスが…」
男「関接だろ…」
後輩「先輩に乙女の初めてを奪われました!」
男「だいぶ語弊があるな」
妹「なら私はファーストじゃないから大丈夫ね」
男「え?」
後輩「え?」
妹「…え?」
妹「実は昨夜お姉ちゃんが寝てる間に…」
後輩「寝てる間に!?」
妹「あれは流石にやった後罪悪感が…」
男「罪悪感が起きるような行為をするなよ」
妹「あっ…これ2年前の話だった」
後輩「そんな前から!?」
妹「期間の問題じゃないかしら?」
男「倫理観の問題じゃないかな」
後輩「待って下さい!私は一体何をされたんですか!ねぇ!?」
男「ところでさ」
後輩「いきなりなんです」
男「いや妹も風呂にいったし聞いておきたい事が…」
後輩「聞きたい事…」
男「妹の口調に対してどう思ってるんだ」
後輩「口調?」
男「ほら敬語使ったり使わなかったり」
後輩「あーそれ私の影響ですよね」
男「というかお前の口調もさ」
後輩「この敬語です?」
男「なんでずっと敬語なの?」
後輩「キャラ付けですね」
男「なんですと!?」
後輩「冗談ですよ」
後輩「まぁ私の場合はアニメの影響ですね」
男「理由浅いなー…」
後輩「幼少の頃見てたアニメがすごく好きで…」
男「いつのまにか抜けなくなっていたと…」
後輩「そんなえっちな目でアニメを見てませんよ?」
男「スキあらばボケるなよ」
後輩「近所の人たちにお兄様とかお姉様とかも言ってたらしいです」
男「それじゃ妹のお姉様呼びは…」
後輩「アニメの影響を受けた私の影響でしょうね」
男「そんな所に思わぬ原因が…」
妹「あれ…なんの話をしてたんですか?」
男「おぉ風呂からあがったか」
妹「どうしたの?」
男「お前の口調に対して話をしてたんだ」
妹「…えっ」
妹「また要らない事を…」
男「でもお前も話しやすい方がいいだろ?」
妹「だから私は敬語の方が話しやすいって言ってるでしょう!」
男「そうなのか…?」
妹「余計なお世話よ!」
男「と妹は言ってるが」
後輩「嘘ですね」
妹「お姉様!?」
後輩「妹のウソ位私には分かりますよ」
男「おぉ姉っぽい」
後輩「姉ですよ」
妹「お姉ちゃ…お姉様…」
後輩「照れ隠しでしょう?」
妹「えっ…」
後輩「私に対して敬語以外で話すと恥ずかしいとか」
妹「……」
後輩「昔の口調のまま話す事で甘えたいとか」
妹「…ちがうもん」
後輩(かわいい)
男(かわいい)
後輩「まぁ敬語はおいおい直していくとして」
後輩「私もお風呂に入ってきますね」
妹「…行ってらっしゃいです」
男「ゆっくりしてこいよ」
ガラガラッ
妹「さて…行ったわね」
男「えっ」
妹「さっきの話の続きよ」
妹「私お姉ちゃんを諦めるつもりはないから」
男「……」
妹「あんたなんかにも絶対渡さない」
男「あいつが本当に好きなのは…」
妹「知ってる」
男「えっ」
妹「お姉ちゃんの高校の生徒会長なんでしょう?それがどうしたの?」
男「……」
妹「相手が誰であれ私の気持ちは変わらないわ」
男「…さっきと言ってる事が違うじゃないか」
妹「そうかもね、けれど」
妹「お姉ちゃんの幸せも自分の想いも…そう簡単に諦められる訳ないじゃない」
男「……」
妹「とりあえずそれだけよ」
男「…なんでわざわざ」
妹「あんたには言っておきたかったってだけ」
男「……」
妹「…私だって迷ったり悩んだりするの」
男「…そっか」
妹「可能な限りアピールしまくる!とりあえずはそれからよ」
男「…お前はまっすぐだな」
妹「だから私は諦めないわ」
男「諦めない…か」
妹「よく言うじゃない?やらずに後悔するより」
男「やって後悔しろってか」
妹「ヤッて公開しろって」
男「どんだけ鬼畜!?」
妹「先人は良い事言うわね」
男「先人に謝れ!!」
男「…そろそろ俺は帰るよ」
後輩「え?帰っちゃうんですか?」
男「まぁ最近入り浸ってたからな」
後輩「もっと居てもいいのに…」
妹「ひゃっほう!さっさと帰んなさい」
男「ここまで露骨に分かれるのか…」
後輩「まぁ気を付けて帰ってください」
男「おう…あぁそうだ明日の話なんだが」
妹「はい?」
男「明日の昼頃に二人とも会えないか?」
後輩「えっ?」
妹「どういう意味よ」
男「なに大した事じゃないんだが」
男「二人に合わせたい人が居てね」
~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~
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妹「もうなんなのかしら」
後輩「会わせたい人って誰ですか?」
男「まぁいいから付いてきてくれよ」
後輩「あれ?」
妹「ここは…」
男「きっとびっくりするぞ」
妹「ここってまさか…」
後輩「生徒会室…?」
ガチャッ
姉「あら…弟君?」
男「やぁ姉さん」
妹「」
後輩「」
姉「もう最近帰りが遅いわよ」
男「ごめんごめん」
姉「あら…ネクタイが曲がってるわ」
男「ん?そうかな」
姉「私の弟なんだからもっとしっかりしなさい」ギュッ
男「ははっ姉さんには適わないな」
姉「これで良し…身だしなみはしっかりね」
男「気を付けるよ姉さん」
姉「ところで」
男「うん?」
姉「後ろで呆然としてる娘達はどなた?」
男「後輩とその妹だよ」
姉「口を開けて固まってるけど大丈夫かしら?」
男「全然大丈夫だよ」
妹「はっ…!」
男「おぉもどった」
妹「ちょっと!どういう事よ!」
男「どうしたんだ?」
妹「あの人誰よ!会長ってあんたの姉だったの!?」
男「言ってなかったか?」
妹「聞いてなかったわよ!」
男「でもそんなに驚く事かなぁ」
妹「あんな綺麗な人とか聞いてないわよ!なにあれ本当に人間!?」
男「まぁ信じられない位美人とはよく言われるな」
妹「お姉ちゃんが生の会長見て気絶してるわ」
後輩「…道理で半径20mに入れない訳だ」
後輩「はわわわわわっ!?」ガバッ
男「おぉもどった」
後輩「あ、あの…女神様ですか?」
姉「モデルですかと聞かれた事はあるけど…」
男「人外かと問われたのは初めてだな」
後輩「じゃなくって!あの!」
後輩「わ、私の事覚えてますか?」
姉「ん…図書室で何回か会った事がある娘よね?」
後輩「あぁ…そ、そうです!」
姉「おすすめしてくれた本面白かったわよ」ニコッ
後輩「読んでくれたんですか!?感激です!」
男「…おぉ」
妹「…お姉ちゃんの目が輝いてるわね」
姉「ん…もう時間?分かったわ」
姉「ごめんなさいそろそろ仕事に行かないと」
後輩「あぅ…そうですか」
姉「ふふっそんなに悲しそうな顔をしないで」
後輩「あ、あの…ぜひまた…」
姉「えぇまたいつでもいらしてね」
後輩「おぉ…おぉぉ…」
男「感動してやがる…」
妹「お姉ちゃん…」
後輩「はぁ…」
男「ははっ夢見心地って感じだな」
後輩「やっぱりあの人はステキです…最高です…」
男「……」
後輩「はぁ…胸のドキドキがまだ止まりません」
男「…本当に好きなんだな」
後輩「あ、当たり前じゃないですか!」
後輩「あの人は私にとって憧れの人なんです!」
男「……そっか」
男「安心しろ、約束は守るよ」
後輩「えっ」
男「お前の初恋が実るように手伝ってあげるから」
後輩「あっ…」
男「それでいいんだろ?」
後輩「は…はい…」
男「それじゃ二人ともまた放課後でな」
妹「またね」
後輩「…はいです」
妹「はぁびっくりした…まさかあんなに美人だったなんて」
後輩「…そうですね」
妹「でもお姉様が惚れるのも納得って感じです」
後輩「……」
妹「お姉様の恋も応援してますからね!」
後輩「……」
妹「…お姉ちゃん?」
後輩「……」
後輩「……」
たしかにあの人は美人だった
変わらずに美しいままだった
あの人の事を考えるだけでいまだにドキドキしてしまう
たぶんこの気持ちは好きという事なんだろう
けれど…
「……先輩」
なんで…こんなに胸が痛むんだろう…
…………
私の…本当の気持ちって一体……
【第二部完】
【おまけ】
男「…ただいまー」ガチャッ
姉「弟君!?」
男「ただいま姉さん」
姉「弟君だ!おかえりぃ~」
男「家に帰るなり抱き付かないでくれ…」
姉「もう…家ではお姉ちゃんって呼んでよぅ」
男「一回も呼んだことないよね」
姉「はぁ…お仕事疲れたよぉ」
男「生徒会長は大変だよな」
姉「優等生を演じるのはもう疲れたよ…」
男「はいはいよく頑張ってるね」
姉「えへへ~もっとなでなでして」
姉「あ、後で弟君成分を充填しなければいけないね!」
男「いつも思うけどそれ必要?」
姉「お姉ちゃんにとって必須です」
男「不可欠なのか…」
姉「はぁ…癒されるぅ」
男「胸に抱きかかえるのはやめてくれ!」
姉「男の子はおっきい胸が好きなんでしょう?」
男「いくら美人でも姉に欲情する弟はいない!」
姉「素直じゃないな~」
男「本音だよ!」
姉「おなかへったよー…」
男「自分で料理作れるだろ…」
姉「作れるけどやだ!弟君のがいい」
男「はぁ…作るからちょっと待ってて」
姉「やったー弟君大好き!」
男「その代わり料理の練習に付き合ってもらうからな」
姉「またごま団子作るの?」
男「別に嫌いじゃないだろ」
姉「美味しいからお姉ちゃんはいいけど…」
男「…美味しいごま団子を食べさせてあげたい奴がいるんだ」
「はぁ…」
「姉さんの事をどうしようか」
「家ではこんなにだらしがないなんてあいつらが知ったら…」
「きっと幻滅するだろうな…」
「……」
「……」
「幻滅したら…あるいは…」
「………」
「……はぁ」
【おまけ終】
>>158
…訂正させて下さい
妹「はっ…!」
男「おぉもどった」
妹「ちょっと!どういう事よ!」
男「どうしたんだ?」
妹「あの人誰よ!会長ってあんたの姉だったの!?」
男「言ってなかったか?」
妹「聞いてなかったわよ!」
男「でもそんなに驚く事かなぁ」
妹「あんな綺麗な人とか聞いてないわよ!なにあれ本当に人間!?」
男「まぁ信じられない位美人とはよく言われるな」
妹「お姉ちゃんが生の会長見て気絶してるわ」
男「…道理で半径20mに入れない訳だ」
このSSまとめへのコメント
期待
これはまだまだ続くと踏んでいいのかな?
ダカーポ2思い出した