＞2015年３月＜　千里山女子高校

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セーラ「泉なんか機嫌よさ気だけど何かあったん？」

泉「今年はオリックスが優勝しそうなんですよ！」

セーラ「あぁ、野球か」

怜「泉野球好きやったん？」

泉「お父さんに京セラドーム連れてってもろたんですけど、イベントとか面白くて、そっから応援するようになったんです」

竜華「でもオリックスって何年も優勝して無いんやろ？」

浩子「オリックスが最後にリーグ優勝したのは１９９６年、１２球団の中でロッテ、広島に次いで優勝から遠ざかってますね」

怜「あれ、ロッテって何回か日本シリーズ来てへんかった？」

浩子「叔母さ･･･ｺﾎﾝ。監督が発狂した２００５年と下克上と言われた２０１０年の日本シリーズは、いずれも２位および３位からクライマックスシリーズからの勝ち抜けですね」

セーラ「最近はホークスが普通に勝ち抜けるようになったからなぁ」

浩子「もっとも巨人が２位阪神に負けましたけどね」

竜華（巨人が去年日本シリーズ出なかったんはそれやったんか）

※発狂した理由が気になる方は33-4　阪神ファンで検索してください

泉「去年はあと一歩のとこで優勝逃しましたけど、今年こそ優勝ですよ！そして日本シリーズも勝って日本一！」

怜「そこまで野球がっつり注目してへんからあれやけど、オリックスってそんなポジティブ要素あるん？」

泉「それはもうエース金子の残留ですよ！」

怜「移籍しなかったらプラスっておかしない？」

泉「・・・」

怜「・・・」

浩子「現状のプロ野球ですと、戦力がマイナスにならないのは相対的にプラスになるのもままあるんですけどね」

竜華「どういう意味や？」

浩子「有名ドコロで言えば一昔前のヤクルトや広島、最近は西武なんですけど、退団の割に入団する選手の質が落ちてる事が多いんですよね」

泉「ですよですよ！マイナスにならないのは今のプロ野球じゃプラスなんです！」

怜「でもそれやったらホークスのほうが上がり幅大きんやない？」

泉「うぐ」

浩子「いえ、残留だけでなく、入団選手も良い選手が多いですね」

泉「そ、そうですよ！（バリントン以外はあんまり期待してないんやけど）」

浩子「日本ハムから小谷野選手、広島からバリントン選手、横浜DeNAからブランコ選手、ミッドランドから元西武の中島選手あたりが目立った補強ですね」

浩子「金子、バリントン、ディクソン、西らの先発投手　比嘉、松葉、馬原、平野といったリリーフ陣と投手に三人の野手を補強と力の入れ具合が凄いですね」

怜「ホークスはどうなん？」

浩子「松坂選手の電撃入団をはじめ、リンデンバーグ選手が入団してますが、優勝した関係か例年より控えめですね」

浩子「前評判で言えば王者ホークス、惜しくも２位ながら大補強したオリックスの争いといった形になりそうですね」

浩子「キャンプでの情報からの予想オーダーは」

一番（三）ヘルマン
二番（遊）安達
三番（二）中島
四番（指）ブランコ
五番（右）糸井
六番（一）T-岡田
七番（中）川端
八番（左）駿太
九番（捕）山崎

浩子「ただヘルマン選手、中島選手、ブランコ選手、小谷野選手次第でかなり様変わりする可能性も高いです」

※実際凄く変わりました

セーラ「うーん・・・」

竜華「セーラどうしたん？」

セーラ「パワプロだとやたら強いんやけど、どうも現実のオリックスが優勝するビジョンが浮かばへん」

泉「ま、まぁそれは現状で広島に次いで日本シリーズから遠ざかってますし・・・」

セーラ「いや、広島の方なら優勝するビジョンがそれなりに浮かぶんや」

泉「あー、やっぱマエケンに黒田がおるからですかね？」

セーラ「いや、それもやけど、もっとなんかオリックスには色々足りないんやないかなぁと」

泉「確かに選手層はホークスや巨人に比べるとさすがに劣りますけど・・・」

浩子「でも確かにオリックスがここ最近優勝してないのはかなり不思議なんですよね」

竜華「どうしてなん？」

浩子「補強もある程度きっちりしてますし、何より２００４年に近鉄と合併して、選手層はそこから数年はぶっちぎりで分厚くなったはずなんですよね」

怜「あったなぁ合併・・・まさか余り物からスタートした楽天に先に優勝されるなんてなぁ」

洋榎「そらオリックスは球団としてちゃんとスタートしたの最近やもん、楽天よりずっと赤ちゃんやで」

絹恵「こんにちはー」

セーラ「何しに来たんや」

洋榎「貴重なオリックスファンがいると聞いてな、シュンッ！と」

怜「シュンッ！って」

竜華「ほな、お茶用意するなー」由子「おかまいなくなのよー」

泉「それにしてもオリックスが２０１０年からスタートってどういう意味です？」

洋榎「お前さん、オリックスファンになったの結構最近やな？」

泉「ま、まぁそうですけど・・・」

洋榎「ならこの機会にオリックスという球団について、軽く歴史を勉強しとくとええで」

浩子「まぁ歴史を辿れば問題がわかるかもしれませんね」

怜「ほな、お手並み拝見といきましょか」

洋榎「漫ちゃん、恭子、例のブツは？」

末原「一応持ってきましたけど・・・」

漫「これ、麻雀用じゃなかったんですか」

竜華「お茶はいったでー」

絹恵「おおきにー」

セーラ（こいつらほんま何しに来たんや）

末原「オリックス・バファローズは阪急軍として１９３６年に創設されました」

末原「名古屋軍こと現在の中日ドラゴンズと並んで名門であり、パリーグにおいては最も歴史のある球団と言えますね」

泉「え、オリックスってそんな歴史あるチームやったんですか・・・」

末原「その後太平洋戦争などを経て、１９４６年に阪急ベアーズ、翌１９４７年に阪急ブレーブスに改称しています」

絹恵「なんで改称したんです？」

洋榎「戦争で選手層が薄かったのもあったんやけど、真ん中からちょい下くらいで弱くて、色々迷走していたんやと思うで」

末原「その後、２リーグ制となりチャンスが来たかと思ったんですが・・・」

末原「南海（現ソフトバンクホークス）、西鉄（現西武ライオンズ）の二強に遅れをとることが多かったようです」

洋榎「おまけに下にはひたすら弱かった近鉄と、川崎球場でネタにされるジプシー球団ロッテがいたりで中途半端でなー」

末原「兵庫には阪神、東海には中日、大阪には南海がいたのもあって・・・」

洋榎「人呼んで灰色の阪急と」

怜「何か今のオリックスみたいやな」

泉「今のイベント盛り沢山のオリックスと全然違ったんですね」

末原「いや、当時から阪急はイベント盛り沢山やったんですよ」

末原「そもそも阪急は沿線沿いに住宅や娯楽施設を建てる都市計画、野球チームもその一環、球場でのサービスも当時から多かったんや」

洋榎「現場のイベントでの頑張りは伝統的に受け継いでいると言えるで」

末原「話は前後しますが、２０１４年の観客動員数は１２球団中７位でした。他球団ファンでもオリックスのユニをもらった人もいるのでは？」

泉「今年もオリ姫とかイベントありますで！」

末原「その後、やる気のある阪急スタッフ、西本監督就任、福本豊の入団などで一致団結した阪急は１９７１年・７２年で連覇を成し遂げるんや」

末原「その連覇をはじめとして５回のリーグ優勝に輝きます」

泉「強い！」

セーラ「今からでは考えられへんなぁ」

洋榎「ただし、日本シリーズでは川上監督に王長島を要するV9巨人を相手に勝てず・・・」

浩子「まぁV9巨人に５回挑める阪急も大概みたいですね」

末原「その後、ノムさんが台頭した南海に遅れをとるものの、上田利治監督の就任あたりからチーム力をさらにあげていきます」

末原「そして７５年から７７年の間で日本シリーズ３連覇を成し遂げます。ついでに翌年もリーグ優勝も成し遂げています」

洋榎「このへんが阪急の歴史の黄金期であり、パリーグの名門たる所以やなぁ」

浩子「圧倒的に弱い近鉄・ロッテがいたのもありますが、ここからしばらく阪急（とオリックス）はAクラスにだいたいいますね」

泉「す、凄い・・・」

由子「まさに名門なのよー」

洋榎「しかし１９８０年代は西武ライオンズの黄金時代、野球ファンの間ではV9巨人よりも強いという評価もあるくらいやな」

竜華「間が悪いなぁ・・・」

洋榎「まぁ一応阪急含めて何度か優勝を阻止するチームが現れるんやけどな」

セーラ「名門の意地やな」

末原「そして阪急ブレーブスとしての優勝は１９８４年が最後となります」

漫「あぁ、そっかオリックスに変わるんでしたね」

末原「１９８９年からオリックスに権利を移譲します」

怜「ちょい待ちや」

末原「どうしました？」

怜「阪急めっちゃ強いやん、なんで身売りしてん？」

洋榎「強い、歴史がある、だけど、観客動員数は１１位なんや・・・」

竜華「つまり採算が取れなくなったと」

セーラ「そういえばオリックスって何の会社なん？」

末原「簡単に言ってしまえば、企業・法人向けのレンタルショップですね」

浩子「あ、ほんまですね、オリックスはオリエンタルリースって名前で途中からオリックスに改称してるみたいですわ」

漫「一般人にはあまり馴染みがないけど、取引先を選ぶ際に、野球チーム持ってる会社ってなると」

由子「信用度と知名度が段違いなのよー」

セーラ「なるほどなー」

末原「このあと不人気イメージを打破すべく、名前をオリックス・ブルーウェーブに改称、本拠地もグリーンスタジアム神戸に移転」

末原「しかし、ここから現在に至るオリックスがなかなか優勝出来ない原因の一つの行為をすることになります」

漫「ｺﾞｸﾘ」

泉「そ、それは何ですか？」

末原「監督やコーチ、そして中堅ベテラン選手から阪急色をどんどん消していったんです」

怜「ん、それは何がまずいんや？　素人や無能をわざわざ集めたわけやないんやろ？」

浩子「衰えが見え始めたベテランをトレードで良い選手を獲得、監督には近鉄を優勝に導いた仰木監督を就任」

怜「全然弱体化に至る要素がわからへんやけど」

洋榎「まぁそれはちょっとあとでな」

泉「じ、じらしますね・・・」

末原「歴史があるってことは、それだけ低迷している説明にも順序立てて説明する必要があるんですよ」

竜華（あぁ、ちょっとわかってきたで）

末原「ここから元々名門だったオリックスにイチロー選手が入団し、パリーグで最も華のあるチームへと変貌します」

泉「イチロー！！！！！！！！！」

由子「イチロー！！！！！！！」

川崎「イチローさん！！イチローさん！！イチローさん！！イチローさん！！」

セーラ「そうかイチローってこの頃なんやな」

怜（今何かスキンヘッドのおっさんの姿が見えたんやけど）

末原「１番田口、２番大島、３番イチロー、４番ニールという強力上位打線、そして鉄壁の守備陣」

末原「遅い球を武器にするエース星野伸之、大車輪の活躍を見せる平井、名門で華のあるチームとして一気に人気を集めます」

洋榎「この時に獲得したファンと思われる人は関東や北海道の試合でちらほら見かけるな」

由子「埼玉県熊谷市に武蔵ヒートベアーズが独立リーグ参戦なのよー」

浩子「あぁ、パンチ佐藤さんもこの時期の選手なんですね」※ヒートベアーズ宣伝本部長に就任したようです

末原「そして９５年・９６年リーグ連覇、９６年にはメークミラクルで脚光を浴びた長嶋巨人を粉砕してます」

末原「しかし、この９６年の優勝を最後に、優勝はしていません」

末原「さらにクライマックスシリーズには２回出ていますが、１ｓｔステージでいずれも敗退しています」

泉「ううぅ、今年！今年こそは！！」

末原「さらに言えばイチローを含めた相次ぐ主力の移籍、首脳陣の迷走などでBクラスや最下位が目立つようになっていきます」

洋榎「オリックスになってからベテランを放出しまくった結果、イチローや田口が孤立していったのも一因と言われているで」

浩子「仰木監督も退任、さらにそこから岡田監督が就任するまで監督を短期間で変えまくってるんですね」


※野手が２０代中半から前半の選手ばかりという、今現在の日ハムもびっくりの若手チームに

末原「低迷していくオリックスを短期間で立て直すために近鉄を合併するんやけど、ここがさらに低迷の原因へとつながっていくんや」

浩子「プラスではなく、マイナスなんです？」

洋榎「合併と言っても選手は半数ががらっと変わるんや、結果オリックスとして組織が培ったノウハウを活かしにくくなるんや」

洋榎「元近鉄の選手にしても、今までと勝手が違うやり方や、スタッフやコーチとのやりとりも新しくなる」

洋榎「そして折しもオリックスは９０年台からベテランを相次いで移籍させ、コーチや監督も阪急時代のOBを使わず」

洋榎「時々上位にくることはあっても、このチームで優勝や短期決戦を乗り越えるというのは至難の業やと思うで」

怜「でも条件で言えば楽天はもっと悪いやろ？　なんでなん？」

洋榎「楽天はいきなり勝ちにいくんじゃなくて、チームづくりをきっちりして、楽天としての組織を作りあげたから優勝出来たんや」

洋榎「無論２０１３年の楽天は神がかった何かがあったのは確かやけど、それを起こすための土台がしっかりしていたんや」

竜華「ゼロから作るのと、既にあるものを理解・作りなおすのでは、ヘタしたら前者のほうが楽かもしれへんなぁ」

末原「合併したら戦力はあるんだから、監督を変えればすぐに優勝出来るとフロントが判断したのかしばらく迷走が続きます」

浩子「確かに企業合併して単純に倍になる例のほうが少ないですし、言われてみるとその通りですね」

末原「まとめると」
・世代交代を急ぎすぎた
・名門としての利点を捨ててしまった
・合併例をあまり調べず短期的な結果を求めすぎてしまった

洋榎「この他に現場とフロントの意思疎通がうまくいかないという話もよく聞くで」

漫「あぁ、話が違いますやん！ってやつですね」

末原（漫ちゃんあとでデコにペンやな）

由子「ところで、なかなか優勝出来ない理由はわかったんやけど」

セーラ「どうしたん？」

由子「合併あたりからオリックスって微妙に不人気だったのよー」

泉「あ、確かに、最初の頃は球場けっこうガラガラでした」

浩子「これもフロントがあまり合併例を調べてなかったんです？」

洋榎「せやで」

末原「合併で元々の支持層をそのまま取り入れるというのは、なかなか無いんですが、日本の場合は買収する側が悪という風潮があります」

末原「ただ、それ以上にオリックスがいくつも失敗をしていたというのがでかいです」

末原「まず、合併後のユニフォームに近鉄っぽさがほとんど無く、買収のイメージも悪い影響で近鉄ファンが離れます」

末原「次に、本拠地移転から元々進めていた脱阪急に加え、脱ブルーウェーブ路線もすすめ、オリックスファンも離れます」

洋榎「本拠地が大阪ドーム、今の京セラドームにいった関係で、比率で言えば近鉄ファンの方が多く残ったらしいで」

末原「他に日本ハムが東京ドームから北海道へ移転した関係もあって、関東のオリックスファンには追い打ちを掛けることになりました」

末原「イチロー効果で全国的にいたオリックスファンは、地元の球団を応援するようになることが一番多くなるみたいです」

絹恵「他にはJリーグファンに流れた話も聞いたで」

末原「ただ、オリックスは持ち前の営業努力で球場の観客動員数を増やして今に至るんですけどね」

泉「オリックスの試合はイベントとか企画もあって楽しいです！」

洋榎「まぁオリックスが低迷したのはざっとこんなもんやな」

※石毛監督就任からどんでんが就任するまでのオリックスの迷走はすごかったです。

洋榎「そしてどんでん事岡田監督が就任するも３年目の途中で解雇」

洋榎「ただ、どんでん、森脇監督がともに３年弱としっかり組織作りをした関係で、ようやくスタートラインについた感じやな」

泉「はい！今年こそオリックス優勝ですよ！！！」

浩子（ここ近年もコーチやスタッフの人事が迷走してるんですけどね）ﾋｿﾋｿ

絹恵（それにホークスは相変わらず強そうやな）ﾋｿﾋｿ

セーラ「オリックスいいとこ行くとええな」

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浩子「２０１５年のオリックスは大半を最下位で過ごし、監督が交代」

浩子「７月と９月で多少盛り返して楽天をかわして５位で終了しました」

浩子「先発投手はリーグ２位ながら、打撃陣はリーグ最下位どころかDHの無いセリーグ水準、救援陣もリーグ最下位」

浩子「観客動員数が右肩上がりなだけに、はやいところ成績にも反映したいところです」

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