【ジョジョ】岸辺露伴「最高のッ!」 (51)



男「ハァー、ハァー・・・・・・」


路地裏に男を追い詰める。

男の名前は岩俣洋二(いわまたようじ)。

薬物中毒であり、若い連中相手にカツアゲを繰り返す最低の男だ。



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チンケな犯罪者に興味はないが、次のマンガの題材が

このような男なので内面を知っておく必要がある。



岩俣「テッ、テメー、何なんだよ!ポリの仲間かァ?」

露伴「そんなんじゃあない。ただちょっと取材に協力して欲しいだけなんだ」

岩俣「取材だァ?テメー、スットロい事抜かしてっと・・・」


ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・


露伴「・・・ムッ」




岩俣「・・・・・・・・・『最高に』『怖い目』に・・・」

岩俣「・・・会わせちゃうよォォォォーーーー?」


ドドドドドドド・・・・・・・・・・



この男・・・スタンド使いか?

ひしゃげた人形のようなスタンドビジョンが浮かび上がる。



岩俣「『クラプトンッ!』この男に『最高』のッ!・・・」

露伴「『ヘブンズ・ドアーッ!』」ドシッ!



男がこちらに攻撃を仕掛ける前に、問答無用でヘブンズ・ドアーを叩き込む。



岩俣「・・・」ペラー・・・


男は「本」となり、この男についての情報がさらけ出しになる。



露伴「ふむ。年は28か。小さい頃から暴力的な性格で・・・」

露伴「ナメられた、という理由で同級生をボコボコにして・・・ふむ」

露伴「・・・スタンド名は『クラプトン』。相手の『最も怖かったもの』を具現化し、攻撃させる能力・・・?」


なるほど。食らっていたらちょっとばかり厄介だったかも知れない。



露伴「さて、取材は十分か・・・。この男に、『私を攻撃禁止』と書き込んで・・・」

露伴「・・・『10分後に目覚める』、と。これでいいか」



路地から出て自宅へ向かう途中、先ほどのスタンドについて考える。


最も怖かったもの、か・・・。

もしあのスタンドの攻撃を受けていたら、僕の場合何が現れたのだろうか?



承太郎「よう、先生」

露伴「おお、承太郎さん」


道すがら、空条承太郎と出会う。

この男は数々の修羅場をくぐってきたと聞く。

彼が、今まで最も怖かったものとは何だろうか・・・?



露伴「・・・唐突に変な事を聞くようで悪いんだが」

露伴「君が、今まで一番怖かったものとは何だい?」


マンガ家としての好奇心からか、つい質問を発してしまった。



承太郎「・・・?・・・。確かに随分唐突だな」

承太郎「まぁ、そうだな・・・」


彼はしばらく考え込んだ様子だったが、

やがてフッと小さく笑みをこぼすとこう言った。



承太郎「・・・『アイツ』、かもな」

露伴「アイツ・・・?アイツ、とは」




「・・・・・・見つけたゼェェェーッッ!!」





辺りに下品な声が響く。

まだ懲りずに追ってきたのか。



露伴「・・・君。今大事な話の途中なんだ」

露伴「後にしてくれないか」


岩俣「るッせーーーッ!オレはガキの頃からよォ・・・」

岩俣「ナメられるのが、大っ嫌いなんだ・・・」


ドドドドドドド・・・・・・・・・・



承太郎「先生、コイツは・・・?」

露伴「ここは、私に任せてくれ」

攻撃禁止だけではなく、記憶も消しておくべきだった。



露伴「さぁ君、・・・試しに私を攻撃して見てくれないか」

岩俣「『クラプトンッ!』・・・・・・ン・・・ンー???」


男のスタンドビジョンが薄れていく。



露伴「・・・これでわかったかい。君は」

岩俣「『クラプトンッ!』」

露伴「私に一切攻撃はできない」

岩俣「・・・で、出ねぇよォちくしょーーーーッ!!!」



露伴「諦めちゃ、くれないかね?」

岩俣「・・・ナメやがって、ナメやがって畜生・・・」ブツブツ・・・

露伴「・・・仕方ない。これ以上ムダな時間は取られたくない。悪いが、記憶を・・・」






岩俣「・・・・・・・・・『テメェ』を攻撃できなけりゃよォ」

岩俣「『そっち』の男をやりゃいいんだよなァァァーーーッ?」


ドドドドドドド・・・・・・・・・・






露伴「はっ、じょ、承」

岩俣「『クラプトンッ!』」ドシィッ!

承太郎「うぐ・・・ッ!?」



完全に虚を突かれた承太郎は、『クラプトン』の攻撃をまともに受けてしまった。

承太郎の体からもやのようなものが立ち上り、やがてそれは徐々に実体を伴った

人のような姿となっていった。











DIO「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・・・











こ、これが・・・。これがッ!

あの承太郎が最も恐れていたモノ・・・?人?



岩俣「『最ッ高』にッ!!怖いだろォォォー?」

岩俣「そいつらを、ブッ殺せーーーーーッ!!」



いけない、ここは退かなくては!

承太郎が最も恐れたもの、それが何であれ

知識もなしにまともにやり合うのは、危険すぎる!






・・・それもそうだが。それ以前に。

・・・・・・・・・・・・
アレは雰囲気がヤバすぎる・・・・・・・・・


ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・・・








露伴「承太郎さん、ここは一旦退こう!」

そう言って走り出そうとした僕の腕を承太郎が掴む。



承太郎「逃げる必要はねぇ・・・・・・・・・」

承太郎「・・・・・・『アイツ』の事は」

承太郎「よく知ってるんだ」



DIO「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

DIO「・・・ヌッ!?・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

DIO「・・・・・・ヌォォッ!・・・・・・・・・・・・・」シュウシュウ・・・



突然、ヤツは苦しそうにうめき出し、さらに体中から

煙をふき出し始めた。



承太郎「どうやら、テメーのスタンドは」

承太郎「『弱点』までも再現しちまうようだな・・・」






DIO「・・・ヌッ・・・・・・ヌァァーーーーッ!!!」ボォォン・・・





ヤツは一際高い声をあげると、ちりとなって

崩れさってしまった。



岩俣「な、何だとォーーーーッ!!?」

岩俣「『日光』を浴びただけで、消えうせたァーーー!??」

岩俣「・・・『アレ』は、何だったんだ・・・?」








       「それをテメーが知る必要はねぇ」









スタプラ「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ」

スタプラ「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ」

スタプラ「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ・・・」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・



・・・












露伴「・・・さて、我々の記憶も消したし」

露伴「あとはスタンドも使えなくしておこう」

露伴「これで、こいつは唯のヤク中さ」



承太郎「・・・」

承太郎「・・・・・・・・・チッ」

承太郎「思い出したくないモン、思い出させやがって・・・」クル



露伴「あ、待ってくれよ」

露伴「今のは何だったんだい?良かったら聞かせてくれないかなぁ」

承太郎「今はしゃべる気分じゃねーんだ」スタスタ・・・

露伴「待ってくれよ。頼むよ・・・」







岩俣「・・・」チーン

『岩俣洋二:スタンド名クラプトン:再起不能(リタイア)』












結局、アレの正体は掴めぬままだった。

承太郎は苦虫を噛み潰したような顔をしていたが、

その目はどこか懐かしげだった。



・・・それにしても、単なるチンケな犯罪者の取材だった積もりが

思わぬ収穫を得たものだ。



『アレ』のあの迫力、体の底から震えがくるような恐怖、あれを

マンガに再現できたら僕の作品はかなり完璧に近いものになるだろう。


まさしく、『最高』の取材が出来たという所だろうか。




僕は、家に帰るとさっそくマンガの執筆を開始した・・・







終わり




設定勘違いや矛盾、口調の違和感などありましたらお許しください。

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