【ガルパン×龍が如く】桐生一馬「県立大洗女子学園・学園艦か」角谷杏「堂島の龍…」 (132)


■文部科学省 学園艦教育局


角谷「廃校!?」

文科省役人「学園艦は維持費も運営費もかかりますので、全体数を見直し統廃合することを決定しました」

文科省役人「特に成果のない学校から廃止します」

小山「つまり私たちの学校がなくなると言う事ですか!」

河島「納得できない!」

文科省役人「今は納得できなくとも、今年度中に納得していただければコチラは満足です」



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小山「なら……来年度には」

文科省役人「はい」

河島「急すぎる!」

文科省役人「大洗女子学園は近年。生徒数は減少してますし、目立った活動もありません」

文科省役人「昔は戦車道が盛んだったようですが」

角谷「はあ。じゃあ、戦車道やろっか」


小山・河島「「はぁ!」」

河島「せ、戦車道ですか!?」

角谷「まさか優勝校を廃校にはしないよねぇ」

文科省役人「確かに万が一にでも優勝できたら、廃校の事は前向きに検討させていただきます」


バタン

文科省役人「……」

「あのような約束をして大丈夫なのか」

文科省役人「ええ。あくまで検討する、と。廃校を撤回するとは一言も言ってませんよ」

「なら……良い」

文科省役人「万が一、廃校が撤回になったとしても、統廃合する学園艦は他にも――」

「駄目だ。どうしても大洗女子学園でないとか」

文科省役人「……まぁ大丈夫ですよ。戦車道にはなにかと金がかかります。残っている戦車の性能は高々しれてますからね」

「……」


■数ヶ月後

■神室町 ミレニアムタワー


アナウンサー『第63回 戦車道全国高校生大会の優勝校は、大洗女子学園です!』

「……」

男「オヤジ。文科省の方から電話です」

「分かった」

文科省役人『失礼します』

「今後の予定を聞いておこう」

文科省役人『は、はい。検討をした結果、今年の8月末で大洗女子学園を廃校することを決定させます』


「そうか。――だが、気をつけることだな。追い詰められた鼠は猫も噛む」

文科省役人『はい』

「……」

「おい」

男「はい。なんでしょう」

「手数を用意しておけ。文科省だけに任せておくだけではだめだ」

男「分かりました」

「……」



■一日後

■神室町 中道通り裏


角谷「……」

角谷「さっきからずっと付けてきてるけど、何かよう?」

怪しい男「大洗女子学園の角谷杏だな」

角谷「そうだけど?」

怪しい男「――忠告だ。廃校の件を受け入れろ」

角谷「イヤだと言ったら?」

角谷(中道通りから裏まで誘導されたけど、近くに質屋がある。もし暴力に訴えてくるようなら、なんとか逃げ込めば大丈夫、なはず)


怪しい男「海と違って陸は危険が多い」

角谷「……」

怪しい男「例えば木造の校舎から火の不始末で何人か死ぬ事だってあり得る」

角谷「なっ。――脅すつもり?」

怪しい男「まさか。そんな事をすれば脅迫罪だ。あくまで一般論でしかない。陸は危険だと言う、な」

角谷「……ッ」


???「何をしている」


怪しい男「――。四代目」

桐生「こんな路地裏で女子中学生を迫るのは、感心しねぇな」

怪しい男「勘違いしないで下さい。俺はただ、この子に路地裏は危ないと忠告してただけですよ。この町は色々と危険が多い」

角谷「……」

怪しい男「この子は、四代目に任せますよ。今は一般人である貴方の方が、この子も安心するでしょう」

桐生「……」


桐生「――大丈夫か」

角谷「……」カタカタ

桐生「この辺りは中学生には危険だ。移動するぞ」

角谷「……あのさ。私、中学生じゃなくて高校生なんだけど?」

桐生「なに」

角谷「まぁ、周りからすれば幼い外見だけどさ」

桐生「それはすまなかった」

角谷「ううん。別に慣れて、」


半グレ「へへ、おじさん。こんな路地裏でJCと円光かぁ」

半グレ「なぁそんなオヤジよりも、俺たちと愉しもうぜ」

半グレ「可愛がってやるからよっ」

ハハハハハハハ

角谷「――ッ」

半グレ「まずはおじさん。あんたからボコらせてもらうぜ」

ゾロゾロゾロ

角谷「後ろにも――」


桐生(前後を塞ぐやり方……。突発的な行動じゃないな。と、なるとだ)

桐生「お前ら、誰に雇われた」

半グレ「ああん。何言ってるか分からねぇなぁ」

半グレ「これから死ぬおじさんには関係ないことだ!」

半グレ「おい。やっちまおうぜ」

桐生「おい。下がってろ」

角谷「――う、うん」


~戦闘中~



半グレ「つ、つえぇぇ」

半グレ「こんなの聞いてねぇ……」

桐生「誰に雇われた」

半グレ「――……」

桐生「答えろ!」

半グレ「うぅぅう、スーツを着た、怪しい、雰囲気の、男に、ぅぅ、アンタを殺せって。ただ、女の方には、手を出すなって、ぅぅ」

桐生「……さっきの男か」

桐生「ここは危険だな。おい、移動するぞ」

角谷「う、うん」




角谷「――そう言えば、自己紹介がまだだったね」

角谷「角谷杏。大洗女子学園の生徒会長をやってる」

桐生「桐生……桐生一馬だ」

とりあえずここまで。

>>1に入れるの忘れてましたが、

これはガールズ&パンツァーと龍が如くとのクロスです。

基本的には龍が如く寄りの話が多いです。

また話の都合上、敵方はオリキャラとなってるのでご承知下さい。





■中道通り 喫茶アルプス


桐生「それでさっきの奴は何者だ」

角谷「……分かんない。初めて会う人だった」

角谷「ただ「廃校」の件を受け入れろって」

桐生「廃校の件?」

角谷「うん」


角谷「――私たちが通う大洗女子学園は、今年度いっぱいで廃校になる予定だった」

角谷「でも、戦車道で全国大会優勝すれば実績が出来て、廃校はなくなると言う一途の望みに賭けて、西住ちゃんの指揮の下で戦って勝った」

桐生「廃校の件は覆らなかった、と」

角谷「うん。あくまで口約束。それも検討した結果、八月いっぱいで廃校が決定。私たちは学園艦を追い出されて、今は大洗外れにある木造の廃校舎に住んでる」

角谷「このままで終われない。だから、文科省になんとか廃校をもう一度撤回してもらうように、文科省に行ってから帰るときに、さっきの男に言われたんだ」

桐生「……なるほどな」


桐生「一つ聞いて良いか。学園艦ってのはそんなに珍しいもんでもないんだろ」

角谷「ないよ。まー、県立だから財政問題とかあるかもしれないけど、まさかそっち系の人を動かすとはね」

桐生「文科省が絡んでいるのは問題ないだろうが……」

角谷「どうかしたの?」

桐生「――財政問題のためにヤクザを動かすかと思ってな。今の時代、万が一にでも漏れたら、その時点で詰みだ」

角谷「確かにちょっとリスクがありすぎる気がするね」



桐生「……まだ時間はあるか」

角谷「ん。うん。今日はもうホテルで泊まるぐらいだからね」

桐生「神室町も一枚噛んでるようなら、情報屋の元に行けばなにか分かるかもしれねぇな」

角谷「情報屋?」

桐生「ああ、この神室町には伝説の情報屋がいる」



■賽の河原 中枢部


サイの花屋「久しぶりだな。桐生。一年ぶりぐらいか」

桐生「ああ」

角谷「――すご」

サイの花屋「で、何の情報が欲しいんだ」

桐生「ふ。あんたのことだ。言わなくても分かってるハズだぜ」

サイの花屋「まぁな。大洗女子学園学園艦の話だろ」

桐生「ああ」



サイの花屋「大洗女子学園学園艦は、廃校が決まると解体される。――表向きはな」

桐生「表向き?」

サイの花屋「ああ。裏では文科省が、東城会直系球磨川組への売却が確定している」

角谷「売却――!」

サイの花屋「そうだ。買い取った後は、非合法なカジノなどがある裏のリゾート地に学園艦を改装するつもりらしいぜ」


角谷「ううん。それは無理だと思う」

桐生「なに?」

角谷「学園艦は兎にも角にも電力がいる。海流発電、太陽光発電、風力発電、海洋温度差発電、ゴミ焼却発電、それに道路の下には振動発電までして、なんとかギリギリでやってるのが現状なんだ」

角谷「それなのにカジノ有りの派手なリゾート地なんかしたら、学園で可能な発電設備だと破綻する」

桐生「どういうことだ」

サイの花屋「睨んだとおり、この話にも何か裏がありそうだな」


桐生「裏?」

サイの花屋「ああ。嬢ちゃんが言ったとおり、大洗女子学園学園艦の発電設備じゃあ球磨川組の立案している設計では無理だ」

サイの花屋「それに大洗女子学園学園艦に固執する理由も分からねぇ」

サイの花屋「今年度で廃艦する学園艦は、大洗女子学園学園艦だけじゃねぇんだ。嬢ちゃんがいる前で言うのもなんだが、中には発電設備が上等なモノが含まれてる」

サイの花屋「なのに、なぜか大洗女子学園学園艦だけに固執して、他の学園艦には見向きもしてねぇ」

サイの花屋「考えられるのは、裏のリゾート地と言うのは名聞で、実際は大洗女子学園学園艦で何かあるのかもしれねぇな」

角谷「……何か」

桐生「……」


桐生「花屋。球磨川組について教えてくれ」

サイの花屋「球磨川組は九州に拠点を置く東城会直径の組だ。元々は小さな組だったが、ここ数年の東城会のゴタゴタの隙を突いてのし上がってきた」

サイの花屋「今の東城会で勢力と実力で言えば五指に入るほどの組だ」

桐生「……」

サイの花屋「中道通り裏で嬢ちゃんや桐生に会ったのは、球磨川組の若頭、安心院龍馬(アジム タツマ)だ」

桐生「安心院、龍馬」

サイの花屋「ああ。球磨川組の懐刀にして大した実力だ。気を付けろよ」

桐生「ああ――」



■公園前通り タクシー乗り場


角谷「それじゃあ、私はホテルへ向かうよ」

角谷「とりあえず廃校は回避できるように、私は私なりに動いてみるつもり。このままだと西住ちゃんや、戦車道を受講してくれた子たちに悪いからね」

桐生「そうか」

桐生「――これは俺の携帯番号だ。これも何かの縁。何かあったらかけてこい」

角谷「ありがとう。桐生さん」

今回はここまで



【第 2 章  伏龍  】


東京、神室町での出来事から遡ること数日前。

大洗女子学園学園艦。

大洗女子学園。戦車、倉庫。


ナカジマ「えっと、……はい。これで全部です」

西郷「今日はまたえらい荷物やな」

ナカジマ「明日はエキシビションマッチって事で、知波単学園、聖グロリアーナ女学園、プラウダ高校との対戦があるんですよ」

西郷「ほう、どうりで町が賑わっとる訳や」

西郷「頑張りや。応援しとるで」

ナカジマ「ありがとうございます」

西郷は受取書にナカジマのサインを貰い大洗女子学園を後にした。


西郷(明日はなんの仕事もないし、せっかくやし見学でもしようか)

西郷(……にしてもや)

西郷(つけられとる)

西郷(学校に戦車の部品を運んだ時からや)

西郷(つけられっぱないしも、気分が悪いな)

西郷(しかも――気配からしてカタギやない)

西郷「……」

西郷は角を曲がると走る。

それに慌てた黒服達は、西郷の後を追った。


人気のない路地裏。

黒服「はぁはぁ、くそ、どこに……」

西郷「――つけたりして、なんか用か」

黒服「……!! ご、郷田、龍司……」

西郷「――」

郷田「……どこのもんや。お前ら」

郷田「近江連合やなさそうや。東城会の者か」

黒服「……くっ」

黒服「アンタがここに居るのは、想定外だが……」

郷田「やる気か」



黒服「……」

黒服達は無言で構える

郷田「おもろいやんけ」

黒服「ひるむな。相手は、堂島の龍に敗れて、近江連合から破門された負け犬だ!!」

郷田「……」


――ヤクザ達vs.郷田龍司――



黒服「ぐぁ!」

黒服「――つよ、い」

郷田「で、なんでワイをつけた。言えや」

黒服「そ、それは……」

郷田「言えや!!」

黒服「い、遺産を、狙っている、と、思ったんだ」

郷田「遺産? なんのや」

黒服「――と、う」

瞬間。
弾丸が黒服の頭を撃ち抜いた。


郷田「――! 誰やお前……」

安心院「初めまして、関西の龍。東城会直系球磨川組若頭、安心院龍馬です」

安心院「死体は部下に処理させますのでご心配なく」

安心院「彼女たちの最後の舞台をわざわざ潰す必要も無い」

郷田「最後の舞台やと?」

安心院「――大洗女子学園は廃艦となります。明日付けでね」


郷田「どういうことや」

郷田(今日、輸送した時はそんな感じはまるでせぇへんかった)

安心院「ああ、彼女たちは知らないですよ」

安心院「知っているのは、文科省の一握りの役員と、組長と私ぐらいです」

安心院「学園の子達には明日のお祭りが終わると同時に知らせる手はずとなってます」

郷田「……この艦になるがあるんや」

安心院「非合法なリゾート計画が持ちあがってましたね。それにこの艦を使うことにしたんですよ」

郷田「……遺産とはなんのことや」

安心院「さあ?」


郷田「知らぬ存ぜぬを通すつもりか」

郷田は拳を握りしめて構える。
有無を言わさずに、力尽くで吐かせるつもりだ

安心院「……」カチ

郷田「サイレンサーを除けた――。どういうつもりや」

安心院「ここで発砲すれば周囲に音が鳴り響き警察が来る。そして死体が発見されれば、明日の試合どころではなくなるでしょう」

安心院「もしも、彼女たちの最後の試合を邪魔する覚悟があるようなら……相手をします」

郷田「……」

苦虫を噛むような表情で郷田は拳を引っ込めた


安心院「貴方が賢い人で良かった」

安心院「流石の私も、貴方といま真正面からやり合うほど自信過剰ではなくてね」

郷田「……」

安心院「今回のお詫びに、貴方が仕事をしている輸送会社にいくつか仕事を回しましょう」

郷田「……よけいなことをせんでええ」

安心院「いえいえ。仕事があった方がよけいな気遣いをしないでいいでしょうからね。西郷隆盛さん?」

郷田「……」

安心院「伏龍は眠ったままがいい。もう一匹の龍のように、起きること無く伏せたままの龍が――」

そう言って安心院は去って行った。

今回はここまでとなります。

郷田龍司について。
各地を転々としてはその土地で仕事をしている自由人。
最近は戦車のパーツなど重い荷物を運ぶ仕事を請け負っている会社で働いている。
右手は銃器の絡繰りはないが、喧嘩でも使える強度の義手をしている。


【閑 話】


東京 某所 高級料亭


「戦車道の二大流派「西住流」と「島田流」の当主にきていただきありがとうございます」

しほ「……」

千代「……」

しほ「それでわざわざ私たちを呼び出したのし、何のようなの。――」

「あ、今は「冷泉」です」

千代「冷泉?」

冷泉「婿養子として入ったので」


しほ「――奥方の気苦労が忍ばれるわ」

千代「ええ。全く同感です」

冷泉「こうみえても円満な家庭ですよ。女の子も1人、授かりましたし」

しほ「それで、もう一度聞くけど、私たちをわざわざ秘密裏に呼びだして、何のようなの」

千代「非合法な頼み事は受け付けませんので」

冷泉「お二人に無茶苦茶なお願いをしたことはないですよね」

しほ・千代「「どの口が」」

冷泉「――あれ」


冷泉「あー、コホン。本当にたいしたお願いじゃないんですよ。コレを預かって欲しいんです」

冷泉は隣に置いてあった風呂敷に入った木箱を、しほと千代へ渡した

二人は解せんそうに木箱を開ける

しほ「これは阿修羅像」

千代「こっちは菩薩像ですね」

千代「――立派な造りですが、まさか盗品とか」

冷泉「いやいや。もう極道からは足を洗った一般人ですよ。そんな物騒なものじゃないです」

冷泉「それにそれは僕が彫った木像なんです」


しほ「相変わらずそつが無く造るわね」

千代「それでなぜコレを私たちが預からないといけないのかしら?」

冷泉「……これから言う事は内密に」

冷泉「それは鍵です。大恩ある人から預かった「遺産」を隠した扉を開くね」

冷泉「隠し場所自体は、そう簡単には見つからない場所なので問題はないと思うんだけど、念には念を、ね」

しほ「……」

千代「……」

冷泉「それに僕が持ち続ける事も難しい事態が起きる可能性があってね」

冷泉「で、旧知で信頼おけるお二人に持っていて貰おうと思いたった訳です」


しほ「1つ聞かせて貰うわ」

冷泉「答えられる範囲なら」

しほ「持っている事が難しい事態、と、言ったわね。どういう意味?」

冷泉「――ここ最近、妙にきな臭いことが多くてね」

千代「ニュースで見たのだけど、東城会三代目会長が何者かに殺されたそうね。それも関係してるのかしら」

冷泉「……」

冷泉は答えない。

ただポツポツと言葉をこぼす。


冷泉「――別に僕はどうなろうといいんだ」

冷泉「因果は応報する」

冷泉「ただ、そんなどうしようもなかった僕を受け入れてくれた妻や、娘は関係ない」

冷泉「だから、この通りだ。それを預かって欲しい」

冷泉「勿論。二人には害が及ばないように手は打つ。万が一、それを持つことで害を被るようなら、破棄、譲渡してもらって一向に構わない」

冷泉「だから、頼む」


冷泉は二人に土下座して頼み込んだ。


しほ「良く出来ているから、置物としてはいいかしらね」

千代「そうですね」

冷泉「――ありがとう、二人とも」

冷泉「何事もなければ、この恩は絶対に返す」

しほ「別に構いません。……ただ、奥さんや娘さんのためにも、生き抜くことね」

千代「ええ。私も同じ考えです」


■数日後

■熊本県 西住流本家


菊代「――島田流当主、島田千代さんからお電話です」

しほ「わかった」

菊代から電話を受け取る

千代『――彼、昨日、事故で亡くなりました』

しほ「……そう」

千代『やはり驚きませんか』

しほ「先日、会ったときに、もう会えない気がしましたから」

千代『――アレはどうするつもりです』

しほ「特に何も。預かり物として置いておくだけです」

千代『分かりました。コチラもそのように』

しほは千代からの電話を切る

しほ(結局、無茶苦茶なお願いになりそうね)


■更に十数年後

■茨城県大洗町 寄港中 大洗女子学園学園艦


麻子「……」

沙織「麻子ぉぉぉ。起きろ――!!」

麻子「んんぅぅ。あと……一時間――」

沙織「駄目だってば! 今日は聖グロリアーナ、プラウダ、知波単とエキシビションマッチする日なんだよ!」

沙織「主催する側が遅れてどうするの!」

麻子「――ぅぅ」

沙織「ほら、早く起きろ!!」


麻子「ぅぅ、人間にはできることと出来ない事があるんだぞ」

沙織「いや。早起きは人間が出来ることの範囲内だからね!」

麻子「……眠い」

沙織「ああもう。歩きながら寝ようとしないっ!」

みほ「あ、おはよう。沙織さん、麻子さん」

沙織「あ、おはよう、みぽりん」

麻子「……西住さんか。おはよう」


麻子「……」

沙織「もう。戦車道をやり始めて麻子の低血圧も少しは改善されたと思ったのになぁ」

麻子「……前に比べたらマシだぞ。それに、最近、」

みほ「最近?」

麻子「――なんでもない」

麻子(言えば心配するだろうから、いえないな)

麻子(最近、常に誰かに見られているような視線を感じる気がする)

麻子(気のせいだろうが、それの所為で安眠できない)


今回はここまでです。

一応今回でメインキャラは出そろいました。(とはいえ、桐生さんが活躍するのはもう少し先ですが)

龍が如くからは、桐生一馬と郷田龍司
ガールズ&パンツァーからは、角谷杏と冷泉麻子

桐生さんの本格的な出番はもう少し後になります
それまでは郷田さんが活躍してくれます。

後、麻子の父親についてはオリジナル設定です。



【第 3 章  反乱  】


初っぱなから間違えました

正しくは



【第 3 章  叛意  】


■東京 東城会本部

直系組長を集めての定例会。

いつものように終わりかけた直後。

それは起こった


球磨川「少し――いいですか、会長」

大吾「なんでしょう。球磨川さん」

球磨川「では、直系組長代表として言わせてもらいます」

球磨川「東城会六代目の座。降りていただきたい」


球磨川の言葉に広間の東城会直系組長の面々はざわつく。

大吾「――どういうことでしょう」

球磨川「会長。貴方が襲名してから数年。何回も東城会を……いや日本を揺るがせるほどの大事件が起きた」

球磨川「それは普通ならありえないことだ」

球磨川「更に。その内の事件を引き起こしたのは、貴方の義兄弟や側近である護衛が引き起こしてる」

球磨川「それなのに何もケジメを付けずにいられたら、組内にも不満が溜まるもんでしょう」


大吾「つまり会長を退き、貴方に東城会の会長を譲れと?」

球磨川「勘違いしないでください」

球磨川「あくまで民主主義といきましょう」

球磨川「関東一円を治める東城会のトップだ。直系組員の信任を得た方が良い」

球磨川「近々、六代目会長、貴方を信任するかの投票を行っていただきたい」

球磨川「そう。最低ラインとして直系組長の7割の信任を得れば続投。もし得られなければ、会長の座を退き、新しい者に譲る……」

大吾「……」

球磨川「現会長に楯突いた以上、7割の信任を得られ続投されるなら、いかように処分してくれて結構」

球磨川「会長。この提案、受けてもらえますかね?」


■東城会本部 会長室


真島「よかったんか? 球磨川の提案、受け手いれて」

大吾「あの場では、受け入れる意外に選択肢はありませんよ」

真島「ま、せやな」

真島「――球磨川旺(クマガワ アキラ)。きぃつけや。あいつは猛禽や」

真島「嶋野のオヤジも、アイツには警戒してたわ」

大吾「……それほどの人物なんですか?」


真島「油断はできん奴なんは間違いない」

真島「ここでこんな提案をしてきた以上、球磨川のことや。何かしたら切り札があるんやろなぁ」

大吾「切り札――」

真島「せや。勝算もなしに、事を起こす奴やあらへん」

真島「何かしらの手を打たんと危ないかもしれんの」

大吾「しかし打てる手はないですよ」

真島「――切り札がなんなのか探ってみよか」

真島「それさえ無効化できれば、大人しくなるやろ」

大吾「真島さん……・お願いします」

真島「まぁやれるだけやるわ」



■大洗女子学園学園艦 最深部 地図には無い通路


安心院「どうだ」

鍵師「……これは無理ですね。合い鍵をつくれるような物じゃない」

鍵師「下手に無理にあけようとすると、何かしらのトラップが発動して部屋の中がどうなるか見当もつかない」

鍵師「正規の鍵で開けることをオススメしますぜダンナ」

安心院「――分かった。これは駄賃だ」

鍵師「……へへ、どうも」


安心院「相変わらず手の込んだことをしてくれる」

安心院「……形状からして鍵は2つか」

安心院「あの男の事だ。別々の所に隠していることだろう」

安心院「まぁいい。探し当てればいい」

安心院はスーツの懐から携帯を取り出した

安心院「――俺だ」


『――』

安心院「あいつの娘に接触してる奇妙な奴はいないな」

『――』

安心院「なら、いい。引き続き監視を続けろ」

安心院「そういう事ぐらいしか能の無いからな。お前は」

『――』

安心院は一端切ると新しい番号にかけた。


不良『あ、な、なんか、ようッスか』

安心院「これから画像を送る。その女を囲んで、鍵について知っているか聞け」

安心院「多少は手荒にしても良いが殺すな」

不良『『鍵』ッか。なんの鍵ッスか』

安心院「――……そうだな。父親から預かり物と言えば良い。」

不良『わ、分かりました』

不良『でも、この制服って大洗女子ッスよね。学園艦までいくのは』

安心院「今日、戦車道の試合とかで陸にいる。学園艦に帰るまでに手を打て」

安心院「わかったな」

不良『了解ッス』


今回はここまで。



簡単でおおまかな現時点での時系列

■冷泉が西住しほと島田千代に遺産の鍵を渡す

↓数日後

■ミレニアムタワー爆発。三億が空中を舞う

↓数ヶ月後

■冷泉が事故死

↓十数年後

■文科省が大洗女子学園を廃校に決める

↓数ヶ月後

■大洗女子が全国優勝

↓数週間後

■西郷隆盛こと郷田龍司が球磨川組と初対決および安心院龍馬と初対面

↓翌日

■大洗女子、聖グロリアーナ、知波単、プラウダとのエキシビジョンマッタ
■球磨川旺が堂島大吾に対して不信任をつきつける
■第3章以降のできごと

↓二・三日経過

■神室町で角谷杏と桐生一馬が出会う
■桐生一馬と安心院龍馬が初対面



【第 4 章  廃校  】



大洗女子・知波単vs.聖グロリアーナ・プラウダとの戦いは、聖グロリアーナ・プラウダが辛くも勝利した。

知波単、聖グロリアーナ、プラウダと、銭湯で分かれた大洗女子の面々は、戦車に乗り込み、学園へと向かった。

が、大洗女子学園の校門は「KEEPOUT」と言うシールが巻かれ、立ち入りを制限されていた。

戸惑う大洗女子の面々の前に文科省の役員が現れる



文科省役人「キミから彼女らへ説明しておきたまえ」

角谷「……」

河嶋「会長! どうしたんですか、会長!!」

角谷「――大洗女子学園は。8月31日付けで廃校が決定した」


「「「えええええ!!!」」」

角谷「廃校に基づき、学園艦は解体される」

沙織「戦車道大会で優勝したら、廃校は免れるんじゃあ」

角谷「……あれは確約ではなかったそうだ」

河嶋「なっ」

角谷「存続を検討しても良い意味で、正式に取り決めた訳ではないそうだ」


典子「それにしても急すぎます!」

河嶋「そうです。廃校にするにしても、元々は三月末のはずじゃあ」

角谷「検討した結果。三月末では遅いという結論に達したそうだ」

河嶋「なんでくりあがるんですかぁぁぁ」

梓「……じゃあ、私たちの戦いはなんだったんですか! 学校が、無くならないために頑張ったのに」

その言葉を皮切りに、戦車道の面々は騒がしくなる

中には学校に立て籠もると言う人まで出てくる始末


角谷「残念だが、本当に廃校なんだ!!」

「「「――」」」

角谷「我々が抵抗すれば、艦内にいる一般の人の再就職は斡旋しない、全員解雇だと言われた」

河嶋「ひどすぎるぅ」

小山「桃ちゃん……」

みほ「あの、戦車は、どうなるんですか?」

角谷「全て文科省預かりとなる」

優花里「戦車までとりあげられてしまうんですか」

華「そんな」

角谷「――すまない」

その後、副会長である小山柚子が混乱する皆をまとめ、ひとまずは自宅や寮に帰りに引っ越しの準備などをすることを承諾した


麻子「……」

沙織「麻子。1人で引っ越しの準備できる?」

麻子「子供扱いするな。1人で出来るさ」

沙織「私も1回寮に帰って準備するから、麻子もきちんと準備しなよ」

麻子「……ああ。なぁ、沙織」

沙織「ん?」

麻子「――いや、なんでもない」


麻子(エキシビションが終わってから誰かに付けられているな)

麻子(……)

走って逃げようとした麻子の前に、チンピラが立つ

不良A「おっと、ようやく1人になってくれたんだ。そんなに慌てんなよ」

麻子「……」

不良B「陸で接触したかったが、まさかずっと戦車に乗ってるとはなぁ。お陰で、面倒にも学園艦に忍び込む羽目になったぜ」

麻子「私に、なんのようだ」


不良A「『鍵』だ。父親から預かってるものがあるだろ」

麻子「……知らない。おとうは、物を残さなかった」

不良B「嘘をついたら、お互いのためにならないぜ」

不良A「こっちも子供の使いじゃ無いんだ。さっさと渡してくれれば、穏便に済む」

麻子「本当に知らない」

不良B「……なぁ、本当に知らないんじゃないのか」

不良A「馬鹿野郎。あの人からの命令だぞ。「相手が知らなかった」と言ってましたで、納得してくれる人じゃねぇよ」


不良A「おい。さっき一緒にいた女を攫ってこい。こいつの前で輪姦(まわ)して、鍵の場所を吐き出させる」

不良C「分かった」

麻子「ま、待て。沙織は関係ないだろっ」

不良A「関係はある。お前の知り合いだ。それだけで十分だ」

麻子「――な」

不良B「オトモダチが輪姦されたくなかったら、正直に言ったらどうだ」

麻子「だから言ってるだろっ。私は『鍵』なんて知らないと!!」


不良C「がぁぁああ」

不良は殴り飛ばされ地面に倒れた

不良A「な、なんだ」

郷田「――学園艦の非常口からコソコソと侵入るのが気になって付けてみたら、どうやらこの艦に相応しくない鼠のようやな」

不良B「なんだ、お前は!」

不良A「全員で掛かれっ。こいつは、強い!」

不良A「だが相手は1人だ。数は力――。5人も相手にして勝てる訳がないっ」

郷田「たかだか5人ぐらいで勝った気ぃかい。まぁええ。掛かってこいや!!」


不良集団vs.郷田龍司


4章はもうちょっと続きますが、一旦ここまで

不良5名が素手で郷田龍司に勝つのって無理ゲーすぎる


不良「――ん゛ぁ……がぁ……」

郷田「大丈夫か?」

麻子「あ……ああ。――あ」

麻子は慌ててポケットから携帯電話を取り出して電話を掛ける

プルルル

プルル

麻子「おばあ……おばあ、出てくれ」

プルルル


『なんだい。電話とは珍しいね』

麻子「あ、おばあ――。そっちは無事だったんだな」

『……。こっちはなんの問題もないよ。アンタは自分の事だけを考えな。それに、アイツが何か手を打つだろうさ』

麻子「アイツ?」

『なんでもないさ。こっちは何の問題もない。だから、今は自分の事だけを考えるんだね』

そう言って電話を一方的に切る

麻子(とりあえず、おばあの方は問題ないようだな)

麻子「……その。ありがとう、ございます」

郷田「別にええ」

郷田「家まで送るわ。途中、また変なのに絡まれたら目覚めがわるいわ」


郷田は麻子が住む一軒家へと送り届けた。

郷田(……あの不良共は、安心院の差し金と考えて間違いないやろ)

郷田(確か『鍵』がどうこう言っとったな。『遺産』を開くための物の可能性が高い)

郷田(に、しても、情報不足や。安心院が何を企んでるのか、あるで分からん)

郷田「――!」

背後に気配を感じた郷田は、瞬時に攻撃。

それをスーツを着た男は驚きながらも、紙一重で交わす

>>118

誤字

×郷田(に、しても、情報不足や。安心院が何を企んでるのか、あるで分からん)

○郷田(に、しても、情報不足や。安心院が何を企んでるのか、まるで分からん)


「さすが……関西の龍。背中を取れなかったのは、かなり久しぶりのことだ」

郷田「誰や。安心院の差し金か」

「――違う。安心院とは敵対関係にある。本当なら、姿を現したくは無かったけど、麻子を助けてくれた以上は、一言はお礼を言っておこうと思ってね」

郷田「……敵対関係言うたな。なら、安心院が狙う『遺産』にも、心当たりがあるんやろ。『遺産』とは、『鍵』とはなんの事や」

「――1つ条件が」

郷田「言ってみい」

「麻子を護ってくれる事が最大条件です。そしたら『遺産』と『鍵』の事も教えますよ」

(……それに関西の龍がこの件に関わるのなら、安心院へと牽制にもなるだろうからね)

郷田「ええやろ。あの嬢ちゃんを護ったる」

「関西の龍の言葉……。信じましょう」




【第 4 章  廃校  】   終




【第 5 章  遺産  】



麻子の一軒家から少し離れた場所にあるアパートの一室

「麦茶とコーヒー。どっちがいいです?」

郷田「麦茶でええ」

男は冷蔵庫から麦茶を取り出しコップへ移し、郷田の前へと置いた

郷田「遺産の事について聞く前に、1つ聞いてもええか?」

「はい?」

郷田「お前は何者や。妙にあの嬢ちゃん気にしとるようやけど」

「……死人ですよ。或いは成仏できずに現世を彷徨う亡霊。それ以上でも、それ以下でも。あの子にとって僕はいない方がいい存在なんです。特に今は」

郷田「……」


「さて、遺産が何か、でしたね」

「別に隠すようなものでもないです。安心院が――球磨川組が探す『遺産』」

「それは――東城会初代会長、東城真が遺した物です」

郷田「東城真の遺産、やと」

「ええ。問題は、遺した物が金目の物ならくれてやればいいんですが、彼らに渡れば碌な使い道がされそうにないモノでしたね」

郷田「なんやそれは」

「この国の黒歴史。表沙汰にできない数々の情報。それを東城真は持っていた。そして、それは警察や国に対して抑止力ともなって東城会は強大になっていった」

「本来ならば、東城会の会長に受け継がれるはずだったモノですが、2005年、100億の事件の際に、三代目会長である世良さんは、それを一時的に手放した」

「それは、かつて盟友でもあった神宮やら、錦山の動きを察してですがね」

「実際、あの時も球磨川組は東城会の内乱に乗じて『遺産』目当てで活動してましたが、ヤツ等が手に入らないようにある場所に隠しました」


とりあえずここまでです。

今は龍が如く側が多いですが、艦から降りれば、戦車たちの活躍もあります。

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