大和「あなたとならどこまでも」 (52)

これは以前書いた
大和「まだお休みになられてなかったのですか?」
というSSの続きというか一応本編になります
恐らくは前作を読んでいなくても大丈夫だと思いますので
よろしくお願いします


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1452930063


とある前線基地近くの沖。


大和「昨夜。基地が深海棲艦隊に急襲されました」

大和「提督の指揮や艦娘の 奮闘により基地の陥落こそ免れましたが、敵の兵力も多く次に総攻撃されたら持ち堪える事が出来ない程の痛手を負いました」

大和「この基地には貴重な資材や重要な機密情報も多く保管されていて、破損した艦娘と共に安全圏内まで退避させなければなりません」

大和「しかし全ての艦娘を退避させたら確実に追い付かれてしまい、今度こそ全滅してしまう」

大和「ですから艦娘の内、誰かを壁役として深海棲艦の足止めをしなくてはいけない」

大和「そして最小の艦数でそれをこなすには、この基地の艦娘の中で最も火力が高く、且つ先ほどの闘いで損傷の少なかった私
が、その【御役目】を果たす事になりました」

大和「そこまでは分ります。私一隻で艦娘たちや他の提督や軍の方々、それに貴重な資材や情報を護れるのなら、寧ろ艦娘としての本懐です」

大和「ですが――――――」

大和「なぜ私と一緒に貴方がここに残られているのですか?」



大和「提督」



 


提督「残ってるって。何だ大和お前、怒ってんのか?」

大和「そうです。怒っているんです。なんですかこの戦場に提督が船に乗って来るなんて」

提督「お前が俺に怒るなんて珍しいな」

大和「当り前じゃないですか?ここは私一人が残れればいいのに、どうして提督が―――――」

提督「そりゃそうだろ?だってお前は俺の秘書艦であり、旗艦なんだから」

大和「!!提督…でも―――――」

提督「俺は昔はこのやり方でやってきたんだ、まぁ色々あってここの司令官になってからは、基地に籠る事が多くなって、この船に乗って指揮を採る事もなくなったんだが……」

大和「そうですよ。艦娘の多くは各々の提督をお慕いしているんです。その提督を危険な戦場に出させるなんて、寧ろ気が気じゃないんですよ」


提督「全くお前たち艦娘は……」はぁ


 


大和「まだ間に合いますから、提督は今すぐにでもその船を旋回させて、撤退中の残存艦隊と合流して下さい。私は皆に、何よりも提督に生きていて欲しいからこそ、死地(ここ)に残ったのですよ?」

提督「その気持ちは嬉しいが、悪いが艦娘たちを撤退させるためにここに誰かを残すのも、俺の旗艦であるお前にその役目を命じたのも俺だ。その俺が、お前を残してのこのこ撤退なんか出来るか」

大和「提督……ですが――――――」

提督「それに艦娘最高の戦力と容姿を誇ると謳われたお前にこんな役を負わせるんだ、俺一人の道連れ位じゃとても釣り合わんが、これで赦して欲しいと思っている」

大和「!!――――――そのお言葉、寧ろ私には勿体無いくらいです」

大和「ですが…それ以前に私だって艦娘の端くれです。お国の為に軍の為にこの命を捧げる事に何の躊躇もありません。既に覚悟は…出来ています」

提督「そうか……」

大和「ですから、私は今回の提督の御決断に何の不服もありません。寧ろ私を選んでくれた事が嬉しいくらいです。恐らくほかの艦娘たちも同じ気持ちでしょう」


 


提督「確かに…お前以外にもこの役を自ら買って出る艦娘も多かったな……特に鳥海なんかは私も提督にお供しますって、俺に泣いてしがみ付いて離れようとしなかったしな」

大和「鳥海は基地の司令官である提督付きの補佐艦でしたから……」

提督「その鳥海を俺から無理やり引き離して説得してくれたのもお前だったな。ただ、あの時のお前は少々鬼気迫るモノがあったが……」

大和「うっ…そっそうでしたか?あはは///////」あせっ

提督(声に出して言えんが…あの時のお前の貌と声色に、あの状態の鳥海でさえ顔が蒼褪めていたけどな……)

提督「……だが有り難かったよ、軍艦としてもそうだが、あいつの知識と智謀。それにサポート、事務処理、解析の能力は艦娘の…いや、軍全体の中でも群を抜いていて、とても有益で貴重なものだ。いずれ軍にとってあいつは必ず重要な存在になる」

大和「そっそうですね。ですが…それは提督、貴方も同じです。今回の襲撃であれだけの損害で済んだのは紛れも無く提督の手腕によるものですから」

提督「人を買い被ってはいかんぞ」

大和「いいえ、あの大軍の強襲の中、提督だけが冷静に状況を把握され的確な指揮をされていました。私は提督の御傍にいましたから、それがよく分かるんです」


提督「持ち上げてくれるのは嬉しいが、敵さんが攻撃してくる寸前まで気付けなかった時点で、俺は司令官として無能だよ」


 


大和「提督……でもとにもかくも提督は軍にとっても艦娘にとっても絶対に必要な――――――」

提督「それ以前にな…今回の深海棲艦との戦いでの敗北は決定的で、この基地の責任者である俺は生き延びたとしてもその責任を取る事になるだろう」

大和「ですが――提督は常々本部に掛け合っておられたではないですか。この基地の重要性に比べて兵力があまりに少ないと―――――」

提督「まあ世の中ってのはそういうもんだ。それに正味の話、大和…俺はな――――」

提督「この齢になって怒られるのは嫌なんだよ」

大和「えっ!?」きょとん

提督「まぁ…そう云うこった。だからお前が気に病んだりする事は何もない」きっぱり

大和「まったく、貴方と言う御方は……でしたら他の提督の方々はどうなんですか?提督の代わりに責任を取らされる事になりますよ?」

提督「んーそれについては、一応、提督達には、俺がここまでの経緯を認めた嘆願書をお偉いさん方に渡す様に言っておいたから、多分大丈夫だろ」

大和「もう…まったく貴方という人は、どうなっても知りませんよ」

提督「ははは。まぁアイツ等なら何とかするだろ?」

大和「……………」はぁ



大和(ホントこういう処は子どもみたい……でも私はそんなこの人の事を……そうあの時から―――――)



 

とりあえず今日はここまでです
そんなに長くはならない予定ですので
よろしくお願いします

それでは


あの時。


大本営海軍部。


大和「ほっ本日より着任し御艦隊の末席に加わらせて頂く事になりました戦艦の大和です!初着任の若輩者ではありますが、おっお国の為、軍の為、粉骨砕身務めて参る所存ですので、どうか宜しくお願いします!!」ぺこり

提督「そうか。俺がこの艦隊の提督だ。まぁ宜しく頼む」

大和「はっ!よっ宜しくお願い致します提督」びしっ

大和(うう…この提督さん、なんかちょっと怖い感じがするけど大丈夫かな……)

提督「そうか…お前が【あの】大和か……」

大和「はいっ。超弩級戦艦として相応の戦果を期待され求められている事は百も承知です。勿論その期待に応える所存であります!」

提督「そうか…それはホントに大儀なこった」

大和「はい!」びしっ

提督(…………ふむ)


提督「………だがな。そんなに肩肘を張らんでもいいぞ。俺は着任して間もないお前に最初から戦果を期待する気なんてねえから」


 


大和「えっ!?で…ですが、私は―――――――」

提督「まぁ。お前は真面目そうだからな、少しづつ慣れていけばきっと期待通りの戦果を上げられるはずだ。だから少なくても今はそう色んなモノを背負おうとなんてしなくていい」

大和「提督…しかし私は……」

提督「まぁ……そうだな…俺の下に着いたのなら、これだけは守って欲しい事が一つだけある」

大和「はい!何でしょうか?」

提督「沈むなよ。俺は自分の指揮下の艦娘が轟沈するのが、堪らなく厭なんだよ。その為に俺も尽力するからお前もその心算でいろ」

大和「はっはい!」

提督「あと一つ」

大和「えっまだ……」


提督「お前のとっての初めての提督が、俺みたいな厳つい顔のおっさんで済まんな」


 


 


大和「!?いっいえそんな事は……」

提督「ははっ。お前の顔に出てたぞ、このおっさん怖そうだっ…てな」

大和「えっ!?////////」ささっ

提督「ふむ、本当に素直で真面目だなお前は」ふふ

大和「て…提督…私……」

提督「いや意地の悪い事を言って済まんかったな。俺はお前が気に入った。改めて宜しく頼む大和」

大和「はいっ。こちらこそよろしくお願いいたします!!」ぺこり



大和(この人…こんなにお気を遣われて……顔に似合わず優しい方なんだな――――//////////)きゅん


 



―――――――


大和(そう…あの時からずっと……私は貴方の事をお慕い申し上げていたのですよ。提督……)
じ…


提督「――――――大和」

大和「はい!?//////」どきっ

提督「何かな…こうしていると、昔の……お前が初めて俺の下に着いた時の事を思い出してな」

大和「そうなんですか?」どきっ

大和(提督も私と同じ事を…………ふふ…ちょっと嬉しい)

提督「あの頃のお前は、世間知らずの真面目なお嬢さんって感じだったな……」

大和「えっ!?」

提督「それに俺が本部からこっちに移動する時に、お前は本部に残って他の艦隊に配属される予定だったんだが、どうしても俺と一緒に行くって駄々捏ねて……」

大和「そっそれは……//////」かぁ

提督「あの時は困ったもんだったが、正直、嬉しくもあったな」

大和「!!」ぱぁぁ



提督「娘に懐かれる親みたいでよ」



 



大和「えっ!?」

提督「俺は女房も子どももいねぇから、娘が出来たみたいで…しかもその娘に懐かれるなんて親冥利に尽きるってな」

大和「そう…ですか…………」

大和(やっぱり貴方にとって私は…何時までも娘なんですね…………)

提督「だが…………………」

大和「?」



提督「その娘だと思ってた女にいつの間にか惚れてたなんてな」はぁ




 


大和「えっ!!?」どきっ

大和「て…………提督…今、なんて――――――――」どきどき…

提督「大和…これ、受け取って貰えねぇかな……」すっ

大和「!!こ…これって……あの開けてもいいですか?」どきどき…

提督「ああ」

大和「…………………………………」どきどき

ぱかっ
大和「こ…これは……ゆ…指環ですか?」

提督「………………おう。そうだ指環だよ」

大和「提督……」ふるふる


大和「わっ!私とケッコンカッコカリしてくれるのですか!?」


提督「ケッコンカッコカリなんかじゃねえ」

大和「えっ?」

提督「大和…その……なんだ……………………」ぐっ




提督「俺と結婚してくれ」



大和「――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!」




 



大和「て…提督。今なんて……」ふるふる

提督「何度も言わせんな。だから結婚してくれって言ってんだよ」

大和「!!!!!!」

大和「いっ本当にいいんですか!?わ…私……大飯喰らいの超高燃費の超資材喰い艦娘ですよ……?」

提督「ああ」

大和「それに提督が鳥海と二人っきりでお仕事をされているのを知って、やきもちを焼いて、その件について鳥海と【穏便にお話
し】しようとしたくらいには、嫉妬深い女ですよ?」

提督「お…おう」

大和「それに提督から見たら、それこそ娘みたいな女ですよ?そ…それでもいいんですか?」

提督「ああ。今更何を言ってるんだ?全部知った上でだよ」

提督(正直…鳥海の事はまったく知らなかったが……)

提督「…………で、大和。お前の答えはどうなんだ?」


大和「……………………………………」ふるふる
ぽろぽろ


 


提督「おっおい!どうした大和――――――――」

大和「…………う…嘘じゃないですよね?」

提督「ばか野郎。こんな事…嘘でも冗談でも言えねえよ。だからどうなんだ大和?俺と――――――」

大和「提督!!!!」
がばっ
だきっ

提督「おっおい大和――――――」

大和「提督」じ…

提督「!!」どきっ

大和「勿論。慶んでお受けいたします……ううんお受けさせて下さい提督……」にこ

提督「そうか。ありがとな大和。でも本当にこんな強面のおっさんでいいのか?」



大和「もうっ今さら何言ってるのですか?もう何があっても絶対お離しませんからね」ぎゅっ


 


―――――

キラッ
大和「どうですか?指環…似合ってますか?///////」

提督「ああ。よく似合ってるよ。でも済まんな大和。よりによってこんな時に、もっと早く言えればよかったんだろうな」

大和「ほんとそうですよ。私は何時でもOKでしたのに……」

提督「まぁ俺自身の信念みてえのもあったし、お前に惚れてたのもこの今際の際になって、ようやく気付くようなダメ男だからな……済まんな大和」

大和「提督……もうっ、さっきから謝ってばっかりですよ。でもあの時…提督がご自身のお考えを私にお話して下さった時は…も
う私に振り向いてくれる事ないと思ってましたから……」

大和「ですから…本当に嬉しいです。私はずっとずっと前から提督の…ううん、あなたの事をお慕いしてましたから」

提督「まぁ今になって考えりゃ、お前の様な別嬪さんに、ここまで慕われて惚れない男なんて、存在す(い)る訳ないわな」

大和「もうっあなたったら……今更そんなにお褒めになられても―――――――」


ざばっ――――――――


大和「―――――――――――――――――――」
すくっ



大和「…………私には艦娘…あの子たちを無事に撤退させる事くらいしか出来ませんよ」



 



提督「来たか。敵の編隊はどうなっている?」

大和「はい。私の索敵では―――――――――――」

提督「…………そうか。第一波の時にかなり沈めたと思ったが、まだそれだけ残っていたか」

大和「はい。もしあのまま基地の皆を撤退させずに迎え撃つ様な事をしていたらと思うと、ゾッとします」

提督「この基地は他の基地に比べて規模も小さい、それなのに奴らの軍勢は過去に見ない程のモノだった」

大和「はい」こくん

提督「と…いう事は、恐らくは奴らにとってとんでもなく重要なモノがこの基地に有ったって事だ。それならば絶対にここを通す訳にはいかねえって事だ。判るな大和」

大和「はい」こくん

提督「よし――――そしたら大和。まずは俺が合図したら一時半の方向に主砲も機銃もありったけ撃て。砲弾はこの船に詰めるだけ積んである。遠慮はいらんぞ」



大和「了解しました――――――――――――――――――――提督」

―――――――――――ざばぁ!!!!!


提督「!!」


提督「今だ!!撃て!!!!」



大和「―――――――――――――――――――――――――――」
がば――――――




 

とりあえずここまでです
夜に書けそうだったら書きます


―――――――――――――

ザザー…ン……


提督の船の船上。


大和「はぁ…はぁ……て、提督…ご…御無事です…か……」

提督「ああ、なんとか生きてるよ……」

大和「よ…良かった。でも済みません…大破してしまった様で……す」カクン
ふら…

がしっ
提督「よく頑張ったな大和。本当によく頑張った」ぎゅっ

大和「あっ////////……………」ぎゅっ…

提督「!!」はっ

提督(……これは――――大破どころか何時轟沈してもおかしくない程の損傷……これでは仮に入渠したとしても……もう…………)ぐっ…

提督「済まんな大和…こんなになるまで無理させちまって……」

大和「いいんですよ。それで……敵は……深海棲艦は?」

提督「……取り敢えず、敵さんは一旦退いたみてえだから、少しの間は大丈夫だろう。どうも訝しがって、こちらの様子を伺っているみたいだな……」

大和「そう…ですか……」

提督「お前の奮戦のお蔭だ。流石は日本…いや世界一の戦艦だ。お前の提督としても旦那としてとても誇りに思う」

大和「ホントですか?提……あなた…嬉しい………」にこ

提督「俺も嬉しいよ。お前の様なイイ女が俺の嫁だなんて俺は三国一の果報者だ」にかっ

大和「ふふ…それはちょっと言い過ぎ……ですよ……それにこれもあなた指揮があっての…事ですから……」

提督「そうか。だったらこれが夫婦初めての共同作業になる訳か?」


大和「ふふ…そうですね……」



 



ジ…ジジ……

提督「!!」すっ
ピッ

提督「………………そうか。取り敢えずは良かった。後は事は頼んだぞ」

提督「はっ?今更泣き言はんか言うな。心配するな、お前達なら何とかなる。そう思ったからこそだな―――――――もういい切るぞ」
ピッ

大和「基地…の方から……ですか?」

提督「ああ。どうにか安全圏内まで辿り着いた様だ。もう何日かで救援艦隊と合流出来そうだと連絡があった」

大和「そうですか…良かった……」

提督「ああ。本当によくやってくれた。だが…すまんな大和。どうにか浮かんじゃいるが、残念だがこの船はもう動きそうもないみてえだ」

大和「そう…ですか……でもしょうがないですね」

提督「ああ。寧ろよくここまで沈まないでくれたよ」


大和「ええ……こうして今あなたに寄り添えるのもこの船のお蔭ですから……」ぎゅ


 



提督「そうだな。でも本当に済まないな……俺はもう軍人として十分生きた。いや寧ろ長生きし過ぎたぐらいだ。だが大和お前は―――――」

大和「ふふ。何を今さら、ですよ…あなた。私は最期の時をあなたと…こうしていられるのですから…もうそれだけで充分です」にこ

提督「大和……」ぎゅっ

大和「私は…大和は幸せでした。ううん…こうしてあなたと結ばれる事が…出来たのですから……今が一番…幸せです」

提督「大和……」

大和「愛してます。あなた」

提督「俺もだ。愛してるぞ大和」

大和「嬉しい……――――――――――・・……・」
かくん

提督「!!」

大和「…………………」すぅすぅ


提督「…………寝たのか…本当によくやってくれた。後はゆっくり休んでくれ大和…………」ぎゅっ



 



――――


基地から少し離れたの洋上。


ル級「コ…コレハ一体ドウイウ事ダ?敵ガ大和シカイナイトイウ事ナノカ?」

ヲ級「恐ラクソウダロウ。ソシテモウ既ニ他ノ者タチハ戦闘圏外ニ撤退シテイルダロウな」

ル級「クソッ我々ハマンマト騙サレタワケカ!?」

ヲ級「アア。最初ノ苛烈ナ砲撃デ、我々ハ大和ヲ最前線ニ置イタ決戦ノ布陣ヲ布イタノダト思ワサレタ」

ル級「我々ハマンマト騙サレタトイウ訳カ……クッ索敵ヲモットシッカリヤッテオケバ……タカヲククリスギタ……」

ヲ級「ソレモソウダガ…ソレ以上ニ大和…アノ艦ノ強サガ我々ノ想像ヲハルカニ絶シテイタ。ソレガナケレバ策トシテハ全ク体を為サナイモノダッタ……」

ル級「確カニ…何トイッテモタッタ一隻デ我々相手ニ全ク引カズ、アゲクニ…レ級マデ沈メラレルトハ……」

ヲ級「マサニ戦神トモイウベキ強サダッタ」


ル級「タシカニソレモアルガ。ソレ以上ニ、アレヲ解析サレタラ我々ニトッテ……命取リニナリナネナイ」


 


ヲ級「アア。アレヲ奴ラカラ奪エナカッタ時点デ、コノ戦イハ我々ノ負ケダ。後ハ奴等ガ、アレノ解析マデタドリ着ケナイ事ヲ願ウシカナイ」

ル級「アア。ソウダナ……ソレデドウスル?今カラデモ追ウカ?」

ヲ級「イヤ…モウ今頃ハ救援艦隊ト連絡ガツイテイルダロウ。今ノ我々ノ戦力カラ考エテモ追ウダケ無駄ダ。ソレヨリモ―――――」

ル級「!!大和カ!」

ヲ級「アア。奴ハココデ沈メナクテハナラナイ。ソレダケ危険ナ存在ダ」

ル級「ソウダナ。ソレニ奴ニハ、レ級ヲハジメトシテ多クノ棲艦ヲ沈メラレタ。コノママノコノコ帰す訳ニハイカナイ」


ヲ級「ヨシッ!全艦再ビ進軍!!攻撃ヲ再開スル!!!」


深海棲艦隊「「「「オオーーーーーーー!!!!!」」」」



 



―――――――


大和「………………………」はっ

大和「私……済みません。ちょっと寝てしまいました」

提督「いや…いいんだよ。もう休んでいいんだ……」

大和「…………はい」


提督「大和。よくここまで付いて来てくれたな。今度はあの世まで付いて来てくれるか?」

大和「もちろんです」にこ



大和「あなたとならどこまでも」



大和「天国でも地獄でも何処にだって、喜んでご一緒させて頂きます」にこ




 



――――――――


ツ級「大和発見シマシタ!!」


ル級「ヨシッ全艦大和ニ照準ヲ合ワセ―――――――――」


――――――――


提督「ふっ。やっと来たか。だがちいっとばかり――――――」




提督「遅かったな」にっ




――――――――


ル級「撃テ――――――――――――――!!!!!ッ」



――――――――――――――





この後。この基地から持ち帰ったある機密情報の解析に、鳥海を含む研究チームが結成され解析、特に鳥海の何かに憑りつかれたかの如き熱心な研究の成果により、ついに解析に成功。深海棲艦の重要な情報の取得に成功する。


それにより深海棲艦戦いは終戦に向かう事になるのであった。





おしまい。



 
 

これでおしまいです
もう少し上手く書けるのではないかと思いましたが
残念ながら上手く書けませんでした

ありがとうございました。


おまけ。


ドオオオオオオオオーーーン!!!


提督(着弾したか……俺は随分生きちまったからいいが、大和には悪い事をしたな……まあこれらはあの世で――――――)

提督(ん?何か死んじまってる割に意識がはっきりしてんな……それに何か飛んでる様な――――――)ぱち

提督「って飛んでる!?てかまだ生きてるのか!?」

?「提督…気が付いた?ふー何とか間に合ったみたいだね」

提督「!?お…お前は――――――」


提督「島風!?」


島風「そうだよ。島風だよ。お久しぶりだね、提督」にこ


 


提督「こ…これはどう言う……って大和は――――」

大和「…………あなた。島風が私たちを助けてくれた様です」

提督「無事だったか……」ほっ

島風(ん?今あなたって……?)

提督「そうか、島風が…ありがとうな島風」

島風「えへへ…昔のよしみってやつで」にこ


提督「昔の…………あっそういや…お前、俺が本営にいた時は俺の艦隊にいたな」

島風「そうだよ。忘れちゃってたの?提督たちを助ける為に、全速航行で飛んで来たって言うのに」むー

提督「いや済まん。そういう訳じゃねえんだが……でもどうしてお前がここに?」

島風「たまたまこの海域近くを哨戒中で…それで今の提督から緊急連絡があって、もし提督が無事だったら、回収してやってくれって言われて」

提督「回収って……そういや、お前の今の所属はあいつだったな。どうだあいつとは上手くやってるのか?」

島風「うん…………大事にして貰ってる///////」

提督「そうか…そいつは良かったな」

提督(ほう…いい表情(かお)するじゃないか)



 


島風「――――ってそんな事より提督、今追われてんだけど!!」

提督「そうだった!島風、少し重そうだな」

島風「うんちょっと。でも大丈夫だよ。これでも馬力(ちから)はある方だから」

大和「……………………ごめんね島風ちゃん……私、重くて……」

島風「いいよいいよ大和さん。この島風ちゃんにお任せしちゃって!」

大和「ありがとう島風」

島風(ホントはこのままだと、ちょっと追い付かれそうなんだけど、絶対逃げ切ってやるんだから!!)

提督「…………大和、まだ撃てるか?」

大和「あと一回だけなら……」

提督「よし。それだったら…すまんが大和、お前も最後の一仕事をしちゃくれねえか?」

大和「はい」

提督「俺が合図したら、十二時から九時の間にありったけの弾を撃て、少しは時間稼ぎになる」

大和「はい」すっ…


提督「今だ!撃て!!」


大和「はい!!!!」


 


ドオオオオォォォ――――――ン!!!!!


深海棲艦たち「「「「「グアアァァァーーーーーー!!!!」」」」」



提督「よし!良いぞ大和!そうしたら全ての兵装を捨てろ。そうすれば身軽になって逃げきれる確率が高くなる」

大和「はい」

島風「えっ!?でも…そんな事したら後で資材が……それにドッグじゃないところで着脱なんてしたら……」

提督「そんな事を言ってる場合か?命あっての物種だ。それに大和はもう、まともに自律航行が出来ないだろうから、俺も大和も
お前に牽引してもらうしかないんだよ。心配するな責任は俺が全て持つから大丈夫だ」

大和「分りました」


島風「もうっ。あとでどうなっても知らないから」はぁ


 



大和「脱ぎます!!」
がばっ

大和「つっ!!」びきっ

大和「くっ!!」
ばっ
ザバーン!!!

大和「と…取り外し…完了で…す……」
ふら…

提督「!!島風!」

島風「はい!」
すっ

提督「大和!」
ばっ
がしっ

提督「大丈夫か大和?よく頑張ったな」

大和「はい…ありがとうございます…てい……あなた……」にこ
がくっ



 


提督「島風あとは、よろしく頼む」

島風「はい!ここまで来たら必ず逃げ切ってみせるから!!!」

島風「艦娘一のスピードスター島風ちゃんにお任せあれっ!!」

提督「上等だ。よし大和、しっかり俺に捕まってろよ」

大和「はい…」


大和(言われなくても…………もう何があっても絶対に離しませんからね)
ぎゅっ


 



島風「提督はしっかり私に掴まっててね!」

提督「おう」
がっ

島風「あっ…///////ちょっ…ていとk…どこ触って……//////」びくんっ

提督「おお。済まん、くすぐったかったか?」

島風「ちょっとだけ…でも大丈夫だから///////」

提督「そうか」


大和「…………………………………………」むぅ…
ぎゅぎゅっ

提督「うぉふ!!?」ぐぁ!

提督「やっ大和。それは流石に強く締め過ぎだ!!」

大和「…………知りません」ふいっ


島風「じゃあ往くよ!!」


ぎゅん!!



 



提督(その後……島風の救援により何とか敵から逃げ切り、どうにか俺と大和は本部へと帰還する)


提督(最寄りの他基地ではなく、直接本部へと向かったのは、大和の修復が本部の設備ではないと無理であり、一刻も早く向かう必要があると判断したからだ)

提督(その為に島風には補給もさせずに随分と無理をさせちまったから、近い内に何か礼をしようとは思っている)


提督(そして大和は緊急入渠し、俺は大和が奇跡的に回復するのを、ただ待つしかなかった)

提督(さらにその後、撤退していた俺の基地の艦隊が、報告、重要物資の搬送及び基地を失った艦隊の再編成の為に本部に到着したとの報告を受ける)


提督(俺は部下の提督たちを向い入れ、互いに労い、報告を交わした後、随分と待たされたが、漸く大和の修復が完了したとの報告を受け、俺は彼女の入渠ドッグの前に来ていた。



ただただ大和の修復の成功を祈りながら……。


 


提督(…………まだか。そろそろだって聞いたんだが……)


がら――――――

?「司令官!!」

提督「ん?おお…お前は…よく戻ったな」



提督「鳥海―――――――」


 


鳥海「~~~~~……っ」ぐっ
だっ!!
だきっ!

鳥海「司令!!」
ぎゅっ!

提督「!?」

鳥海「ご無事で…本当によく御無事で……」

提督「おう。あそこでくたばる心算が、のこのこ生き残っちまったよ」

鳥海「莫迦な事を言わないで下さい!!私が…私が―――――」
ぽろ…
ぽろぽろ……

提督「!!すっ済まん…心配かけたな、鳥海」


鳥海「本当にそうですよ……あれから私がどんな気持ちでいたのか、司令はご存知ないでしょう」ぐす…



 


提督「まぁ…確かにああするしかなかったとはいえ、お前や他の艦娘、提督たちには悪かったとは思ってはいるが……」

鳥海「ホント…司令はご自分だけで何でも背負い込むとしますから……それに補佐艦としていつも一番近くに置いて頂いていたのに…肝心な時に連れ添わさせて頂けなかった私の気持ちがお分かりですか?」

提督「それは…確かにそうだな。鳥海、あの時は本当に済まなかったな」

鳥海「でも――――でも良かった…ご無事で本当に良かった……」
ぎゅっ

提督「鳥海……」

鳥海「司令…私……もう後悔したくないから言います……」

提督「?」


鳥海「司令。私…私は指令の事を――――――――」


がら――――


?「何をしているのですか?」


鳥海「!?」どきっ


大和「あなた」



 



提督「大和」

大和「………それに鳥海も」じっ

鳥海「そっそれは……」

鳥海(えっ?そういえば今、何て…………)

大和「それはともかく。提督、不肖この大和。修復を終え、ただいま戻りました」びしっ

提督「ああ。本当によく戻って来てくれた」


大和「はい。あなた」にこ


鳥海(また!?あ…あなたって…どういう…………)かたかた…



  




鳥海「大和さん……ご無事だったのは何よりですが…今、たしか司令の事をその…あなたって呼んで……」

大和「それは……」はっ

大和「…………………」
すっ


きらっ


鳥海「!!?」

大和「ふふ…」


鳥海「そっ…その左薬指に填めている物って…………もしかして…指環……?」


大和「そうですよ」にこ


 


鳥海「と…いう事は…もしかして…………」ふるふる…

大和「【そういうこと】ですよ。ね、あなた」にこ

提督「ま…まぁそういうこった……」

鳥海「!!!!!!?」がんっ

鳥海「それってまさか本当に…………」

大和「…………ふふ」どやっ

鳥海「!!!!あっ…ああ……あ…………」がくがく
がくん…

提督「どうした鳥海?急に―――――」

鳥海「…………ちょっと還って来たばっかりで疲れが出て……済みません…ちょっと休んできます……」ふらっ
ふらふら

提督「そうか。ご苦労だったな。ゆっくり休めよ」

鳥海「はい。ありがとうございます…失礼します……」
よろよろ…


がら―――――


大和「………………………………」ふぅ



 


提督「大丈夫かなあいつ…かなり足元が覚束無い様子だったが……」

大和「彼女なら大丈夫ですよ……………………多分」しれっ

提督「それならいいんだが」

大和「そんな事より……本当にこうして生きてまたあなたのお傍にいられるなんて、本当に夢みたいです」

提督「そうだな……まぁその所為で、この齢で俺はお偉いさんに、それこそ色んな事でしこたま怒られちまったがな……もう怒られずに済むと思ってたのに」

大和「ふふ…あなたったら」くす

提督「まぁ…なんにせよ。こうして生きて戻って来れたんだ。大和、改めてこれからもよろしく頼む」

大和「はい。もちろんです。あなた」にこ




大和「あなたとならいつまでも」




おまけのおしまい。




 

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