【モバマスSS】です でもニンジャスレイヤーもでます
――――1月13日、事務所
裕子「いけーっ! テレポーテーションッ!!」ピカッ
GYURYYYGIRYYYYN!
あやめ「あぁいけません!? プロデューサー殿の机が雑巾のように捻れて……このままでは!」
裕子「アレっ!? い、いけない、止まってー!!」
YYYYN……
裕子「よ、よかった、止まった……」
あやめ「……でもあの机で仕事はもう出来なさそうですね、輝子殿のキノコも元のは無事ですが増殖していた部分がかなり巻き込まれているようですし……」
裕子「うぅ……また失敗しちゃた……なにがいけないんだろう……」
仁美「……なにしてんの?」
あやめ「あ、仁美殿! いつからこちらに?」
仁美「いやさっきからだけど……どしたのこの惨状? 一瞬入る事務所間違えたのかと思ったくらいなんだけど」
あやめ「ああいえ、これは今度ユッコ殿がテレビ番組で世界中の超能力者の方と勝負するらしくてですね。そのための特訓をしていたのですよ」
仁美「大丈夫かなその番組……ちなみにユッコちゃんはどんな超能力で対抗するつもりなの?」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1452648624
※浜口あやめ
http://i.imgur.com/1UCb6Q5.jpg
※堀裕子
http://i.imgur.com/WL9VRv7.jpg
※丹羽仁美
http://i.imgur.com/vxq5YJ1.jpg
裕子「ずばりサイキックの花形の一つ、テレポーテーションです! これを自由自在に使えるようになれば、どんな人が相手でも負けませんから!」
仁美「なるほど……って、あれ? でもユッコちゃん、前にライブでテレポーテーション使ってなかった?」
裕子「それはそうなんですが、微妙に成功率が低くて……あと近くの物を遠くに飛ばすテレポーテーションに至ってはまだ全然……」
仁美「だから特訓かぁ……で、あやめっち、事務所の被害状況は?」
あやめ「ええと、まず見てわかるとおりプロデューサー殿の机が捻れて完全に原型を留めていません」
裕子「あうっ」
あやめ「そして最初はプロデューサー殿の机の下にありました輝子殿のキノコの異常増殖により、隣の机の下にいた乃々殿が溺れかけ」
裕子「うぐっ」
あやめ「さらに壁にかけていたホワイトボードは塵になり、木製の本棚全てに結晶化が発生。また事務所内のクッションの弾力性が消滅」
裕子「えへへ……」
あやめ「他にはウォーターサーバー内の水が沸騰し、観葉植物が異常な変貌を遂げたことで壁の一部が埋もれ、テレビが巨大化したくらいでしょうか」
仁美「……うん、何一つテレポーテーション関係ないよね? 瞬間移動以外の現象起こしすぎだよね?」
裕子「うーん、ちゃんとあやめちゃんを狙ってテレポーテーションの特訓をしてたのに、どうしてなのかさっぱり」
仁美「え、ユッコちゃんの特訓になんであやめっちがいるのかと思ってたけどまさか的役してたの!?」
あやめ「的役? 違います、わたくしはユッコ殿のテレポーテーションがちゃんと発動したらどこに跳ばされるのかを確かめる役です!」
裕子「あやめちゃんにはこうして時々サイキックのパワーを高めるために協力してもらってて、今回も流れで相手になってもらいました!」
仁美「いやいや状況分かってる!? これどう考えてもあやめっちが一番危ないよね!?」
あやめ「そんなことはありません! わたくしはユッコ殿を信じております、無事にテレポーテーションを成功させてくれるはずです! ……多分」
裕子「た、多分って……だ、大丈夫! 次は! 次は必ず成功させます! させてみせます!」
仁美「えぇ……本当に大丈夫? 今日はあやめっちの誕生日なんだからとんでもない事故だけはやめてよ?」
裕子「へ? あやめちゃん今日誕生日なんですか?」
あやめ「あれ、言ってませんでしたっけ? そういえば先程から仁美殿が持っている入れ物ってもしかして……」
仁美「そう、あやめっちお寿司食べたいって言ってたでしょ? だから買ってきた。相当奮発した特上物なんだからっ!」
あやめ「なんと! わざわざありがとうございます!」
仁美「いいっていいって。あやめっちのためだし、他の料理は葵っちが、ケーキは珠美っちが用意してるはずだからこれくらいはしないとね☆」
あやめ「おお……あやめは幸せ者です……」ウルウル
裕子「話を聞いていたら特訓に付き合ってもらうのがすごい悪いことのような……」
あやめ「そんなことはありません! ユッコ殿もわたくしにとっては大事な方、特訓相手になるくらいお安い御用です!」
裕子「でも仁美ちゃんの話からすると、このあとお誕生日会みたいなことしたりしませんか?」
仁美「うん、そのためにお寿司なんか用意してるわけだから」
裕子「ほらやっぱり! だったら今日はもう大丈夫、だからあやめちゃんは仁美ちゃんと一緒に……」
あやめ「し、しかし、今まで一度もテレポーテーションが成功していないのでは……!」
裕子「まだ番組の収録までは時間があるし、それに特訓するのは1人でもなんとか!」
あやめ「ユッコ殿……ですが、これでは……」
仁美「……じゃあさ、あと1回。あと1回だけ試してみればいいんじゃない?」
あやめ「仁美殿?」
仁美「こうなったあやめっちは自分が納得しないと気を晴らさないからね。それにユッコちゃんも次は必ず成功させるって言ったよね」
裕子「確かにそう言いましが……」
仁美「だったら次を最後だと思ってやってみよう。それで駄目ならあやめっちと一緒の特訓は終わり。でも成功したらもうちょっと続ける、これでどうかな?」
あやめ「仁美殿……!」
仁美「どうせこの惨状がちひろさんに見つかったらもう特訓なんて出来ないだろうしね。だったらアタシだって少しはユッコちゃんのこと考えてあげるよ」
裕子「そ、そうだ、ちひろさんのことをすっかり忘れてた……! どうしよう……! 絶対後が怖い……!」
仁美「今更どうにか出来る相手じゃないでしょ。だったら今のうちにやれることはやっておこう、攻め時は今ぞ☆」
裕子「わ、分かりました! ということなのであやめちゃん! もう一度相手をお願い!」
あやめ「お任せ下さい! あやめはいつでも準備出来ております!」
裕子「よーし! それじゃあ……ムムム……ムムムーン!」
仁美「あ、そういや一つだけ聞きたいんだけど、ユッコちゃんってテレポーテーションをやろうとする時なに考えてるの?」
裕子「ムム? それはもちろんあやめちゃんを何処か別の場所に移動させることを考えてます!」
仁美「それでこの惨状になったのなら、今度は逆のことしてみたら?」
裕子「逆?」
仁美「つまりあやめっちを移動させようとして違う現象が起きたのなら、今度はその起きた現象を引き起こそうと考えながらテレポーテーション使ってみるの」
裕子「な、なるほど! そういう考え方がありましたか!」
仁美「正攻法で駄目なら奇策。戦のやり方は一つじゃないってね!」
あやめ「流石は仁美殿です。ではユッコ殿! まずは輝子殿のキノコが増殖するイメージをしながらわたくしにテレポーテーションをしてみてください!」
裕子「キノコが増殖するイメージですね、よーし! ジメジメした中いっぱいで、すごい高い、どこまでも……きました! 今ならいけそうですっ!」ビリビリ
あやめ「ならばどこからでもどうぞ!」
裕子「ムムム、ムムムムーン! ――いけーっ! テレポーテーションッ!!」キィィン
FLAAAASH!
仁美「眩しっ……!?」
裕子「うわわっ! この場合は、サイキック目隠し!」ギュ
あやめ(……なんと綺麗な光……ユッコ殿ってすごいのかすごくないのか本当にわからない方です……)
あやめ「しかしこういう風に仁美殿を巻き込んでしまうとは本当にすみま――」
仁美「――あれ? あやめっちなんだか透けてない……?」
あやめ「え? ……そういう仁美殿も、なにか輪郭が曖昧に」
裕子「あ、あれ、目隠ししたのに眩しいというか手が透けてるような……」
あやめ「……まさかこの光……!? まずい! お二人共逃げ」ヒュオン
仁美「そ、そんな!? あやめっちが消え」ヒュオン
裕子「あ、あれ二人共ど」ヒュオン
――100101011
◇読んで下さっている方へ:ここから忍殺文体となります。ニンジャスレイヤーが出てくるしエピソード
「ローマ・ノン・フイト・ウナ・ディエ」までの時系列のネタバレが含まれたりします。そういうの駄目な方は
次の「――100101011」出るまで読むのとばすかブラウザバックおねがいします◇
100110010000101100
灰色の雲に覆われ、人工の光で埋め尽くされた酷薄なメガロシティ、ネオサイタマ。そこを行き交う人々の姿は
マルノウチ・スゴイタカイビルの屋上からでは玩具めいて小さい。だがチャドー呼吸を行う赤黒い装束の男は
知っている。それは確かに今日を生き、明日を望む命ある者達であることを。1
壮絶なる10月10日から一日が過ぎ、フジキド・ケンジは消耗した身体を少しずつ癒やし始めていた。マスター
ヴォーパルが設定した果たし合いの日まではあまりにも短い。だがあのままイクサを続けるよりはマシであった。
スパルタカスは倒さねばならぬ敵。逃げることなど出来ないのだから。2
「スゥーッ……ハァーッ……スゥーッ……ハァーッ……」深くチャドー呼吸をする中で、フジキドは思い返す。
10月10日の中で倒してきたニンジャ達の姿を。さらに協力者達の姿。そして、大切な妻子の姿。己が何者で
あるか見つめ直し憎悪を鍛え直さねば、この身体を動かすことなど出来はしない。3
「スゥーッ……ハァーッ……スゥーッ……ハァーッ……」霧のように纏わり付く降り方の重金属酸性雨も、
瞑想する身体の熱によりすぐに蒸発してしまうのか、フジキドの周辺だけはまるでそこに優しい屋根が
あるかのように濡れておらず、風も今日は傷ついた身体を癒すように優しく吹いてくれている。4
「スゥーッ……ハァーッ……スゥーッ……ハァーッ……」ただひたすらにチャドー呼吸を行うフジキドの姿は
まるで修行僧のようであり、何者も彼の邪魔は出来ないように思われた。だが一瞬、風の気配が変わった。
違和感を覚えたニンジャスレイヤーは目を見開く。「……これは」5
感覚としてはコトダマ空間のそれであろうか。一瞬だけ吹いた奇妙な風はもはや感じられず、いつの間にか重金属
酸性雨も止んでいる。ニンジャスレイヤーは警戒し辺りを見回すが、スゴイタカイビルの屋上はいつもの姿、眼下の
街並みも何一つ風景は変わっていない。6
気のせいであったのだろうか。いやそうではないはずだ。ニンジャスレイヤーはさらに遠くの景色を注意深く
観察した後に空を見上げ、そして目を疑った。「何だと」7
「「アイエエエエエエ!」」降ってきている、雨ではなく人が。数は3人。なぜ空から降ってきているのか、なにが
あったのか。疑問はあるが、助けねばなるまい。ニンジャスレイヤーは激戦の疲労が残る身体に鞭打ち救出に動き
出そうとして、さらに驚くべき光景を目にする。8
「……あれは!」落下中の人数が突如として5人に増え、増えた少女が悲鳴を上げる少女達を空中で庇うように抱き
抱えたのだ。増えた少女の姿はみな同じ。クローンヤクザの類かとも思われたが、今の増え方、そして一瞬で
変化したあの服装。(まさか……)9
そうしている間にも降ってくる少女達は徐々にマルノウチ・スゴイタカイビルの屋上へと近づいてくる。距離はあと
タタミ30枚! 20枚! ナムサン! このままでは少女達は全員落下衝撃で床に叩きつけられたトマトめいた悲惨な
状態になってしまうぞ!「くっ……!」10
ニンジャスレイヤーは疑問を押し流すとその場から飛び上がり、まず茶色い髪を後ろで纏めている少女の元へと向かう!
「イヤーッ!」「……ニンッ!」茶髪の少女を抱き抱えていたニンジャ装束の少女は行動を理解したのか、悲鳴を上げ
続けている茶髪の少女をニンジャスレイヤーに放り投げる!11
「イヤーッ!」空中で少女を受け取ったニンジャスレイヤーはそのまま軽やかに着地すると、未だに悲鳴を上げる少女を
そっと屋上に座らせる。「アイエエエエ! ……アイエエ?」しかし最初の少女を助けた時点で残った少女達の屋上との
距離はタタミ10枚分しか残っていない!12
「イヤーッ!」急ぎ二人目を救出しに向かったニンジャスレイヤーは、次にニンジャ装束の少女からおかっぱの少女を
投げ渡されると、同じようにその少女も屋上に座らせ再度空を見る。だがもう残った少女達と屋上の距離はタタミ2枚分だ!13
「まだだ……!」それでもニンジャスレイヤーは救出に向かおうとするが、ここで無理をした身体が突然言うことを
聞かなくなり、彼の動きに乱れが生じる。(しまった……!) もはや万事休すか!?だがこの瞬間、残った3人のニンジャ
装束の少女の内、2人が突如霞のごとく掻き消えたのだ!14
さらに最後の1人はバンザイ姿勢を取ると、ニンジャスレイヤーが見ている目の前で地面へとぶつかった!まずは指先と
手のひらを地面に触れさせ、続いて頭、肩、背中を地面に触れさせた少女は、そこから勢い付けて立ち上がるとニンジャ
スレイヤーと向き合う!「前転だと……!」15
一連の動きを見ていたニンジャスレイヤーはカラテを構え、最後に降ってきた少女と対峙!「オヌシは何者だ!」
なぜニンジャスレイヤーはこれほど警戒するのか?それはもちろん事も無げに垂直降下飛び込み前転で落下の
衝撃を完全に殺した少女が人間ではないという可能性からである。16
突如として自らを増やした現象といい、身に纏うニンジャ装束といい、やはりこの少女は……!「ドーモ、ハマグチ・アヤメです」
「ドーモ、ハマグチ・アヤメ=サン。ニンジャスレイヤーです。やはりニンジャか」アイサツを交わした2人のニンジャの表情は
どちらも詳しくは読み取れない。17
アヤメはマフラーで顔半分を隠し、ニンジャスレイヤーは恐怖を煽る字体で「忍」「殺」とレリーフされたメンポで顔を覆って
いるからだ。恐ろしいメンポと無慈悲に光る赤い目。ニンジャすら慄くネオサイタマの死神を目の前にして、しかし対峙する
アヤメはまるで気にした様子を見せない。18
それどころかニンジャスレイヤーを一瞥した後は、彼につられてカラテを構えながらも屋上に呆然と座っている2人の少女を
心配そうに見つめており、自分に向けられる凄まじい殺意をまるで感じていないようであった。「そんなに後ろの2人が
気に掛かるか、どこの手の者だ」19
この時期にまったく正体不明のニンジャが現れただけでもニンジャスレイヤーにとっては看過出来ぬ事態だというのに、その
ニンジャがこれまで出会って来た者達とは全く異なる反応を見せたことが彼の心を惑わせる。このニンジャはアマクダリに
関係があるのか。それとももっと別の……。20
(((フジキド!)))ニューロンにナラクの声が響く。(((こ奴はニンジャソウルが憑依した輩ではない!ニンジャそのもの……!)))
(フィルギアのようなニンジャということか……ならば先程の現象は)(((ブンシン・ジツだ。しかし実体があるブンシンを
あの早さで作るなど……!)))21
(なぜ空から降ってきたか分かるか)(((……否……しかしオヌシの身体が万全ではないとはいえ、相手が姿を見せた以上は
必ず殺すのだ!)))ナラクの言う通りニンジャソウル憑依者ではないニンジャならば、それだけで警戒を強める理由になる。22
ますますニンジャスレイヤーの目付きが鋭くなるが、ここでアヤメは突如両手を上げ降参の意志を示したのである。
「アイエッ!お、お待ち下さい!わたくしは戦うつもりはありません!どうか敵意を向けないでください!」マフラーを下げ
顔をよく見えるようにしたアヤメは跪き、事情を話し始める。23
「わたくし達はその、信じてもらえるか分かりませんが、そこのユウコ=サンのテレポーテーションによって跳ばされて
来ました。……サン付け?」自分の口にした言葉が信じられないのか、アヤメは首を傾げる。「妙ですこれは。まるで
……あの、スミマセン!一体ここはどこなのでしょうか……?」24
「……ここはネオサイタマだ」予想外の質問を聞かれたニンジャスレイヤーは、彼にしては珍しく素直に解答してしまう。
まだカラテを構えたままだというのにどこか緩やかなアトモスフィアになっていくのは、アヤメの無防備かつ純粋な言動
のせいか。「ネ、ネオサイタマ?埼玉県では……?」25
「ネオサイタマはネオサイタマだ。オヌシはキョートから来たのか」「キョート……?ええと、アヤメは伊賀の里の者でして
……後ろのお二人はまた違うのですが」「伊賀の里だと……何の話だ」「何の話だと言われましても……ど、どういうことなん
でしょう……?」「私は知らぬ」26
どうやら根本的な認識にずれがあるのだと分かってきたニンジャスレイヤーは、もはやカラテの構えも解くと、アヤメの
後ろにあるシャチホコ・ガーゴイルに向かって歩き始めた。(((なにをしておるフジキド!)))(黙れナラク!)27
ナラクは諌めるが実際の所ニンジャスレイヤーの身体は未だ限界近くであり、イクサをすればこの後控えている果たし合いに
必ず影響が出る。それならば今は避けられる戦いを避けるだけだ。スパルタカスとの果たし合いも、ニンジャスレイヤーに
とっては最後の戦いにするわけにはいかないのだから。28
「あ、あの……ニンジャスレイヤー=サン?」近づいてくるが敵意を感じないニンジャスレイヤーにアヤメは不思議そうな表情を
向けるが、ニンジャスレイヤーは視線を合わせることなくシャチホコ・ガーゴイルへ歩いて行く。「早くあの2人の元へ行け。
私はこれ以上関知せぬ」29
それだけ言い残し再びチャドー呼吸を始めたニンジャスレイヤーへ、アヤメは感謝の言葉と共に深々とオジギする。
「助けていただき、ありがとうございました……!」そうして状況が理解出来ていないユウコ達の元へとニンジャの
アヤメが走っていくのを、ニンジャスレイヤーは邪魔をしない。30
そんな穏やかさがあるマルノウチ・スゴイタカイビルの屋上に再び奇妙な風が吹いた。風は0と1で構成された緑色をしており、
ニンジャスレイヤーとアヤメが反応した瞬間に朧気な人型を形作り0110111011010見つけました』31
『アヤメ=サン達10001101事で良かった……すぐに連れ戻しますから』人型はアヤメ達のほうを見ている素振りを
見せると、腕らしき部分を持ち上げてなにかをしようとする。(((馬鹿な、ありえぬ!これは、この感覚は……!)))
(ナラク!?)「こ……この感じ、まさかチヒ」32
パチィン!33
直後、ニンジャスレイヤーの後ろにいたはずのアヤメ達の姿は消滅し、まるで最初から誰もいなかったかのように
屋上は静寂に包まれた。ニンジャスレイヤーが理解したのは緑色の人型が指を鳴らす動作をしたということだけであり、
それだけで3人の少女を消してしまったというのか。コワイ!34
「オヌシなにをした……!」『010010彼女達を10110……元の世界に戻110010……この世界11100今色々と境011011から』
カラテを構えたニンジャスレイヤーの前で、緑色の人型は徐々にその形が崩れていく。言葉にはノイズが増え、すでに
聞き取れる内容は僅かしか無い。35
(((フジキド!急げ!あ奴が消えてしまう前に必ず滅ぼせ……!)))「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはチョップを繰り出す!
理由はわからぬが、目の前の存在を放っておいてはいけない!しかし今のニンジャスレイヤーが行える渾身の一撃は、緑色の
人型の形を崩しただけに終わってしまう。36
『1010011最後アヤ10100111戦わな01110111001感謝10110100……御礼010111110100(37
そして完全に緑色の人型が溶け消えると、ニンジャスレイヤーの足元にはもはや漁獲が望めないはずのオーガニック・アナゴに
高級イクラ・キャビア、そしてオーガニック・マグロなどのスシが敷き詰められた入れ物と温かいチャが用意され、屋上には
いつものアトモスフィアが戻ってきたのであった。38
101110010100101100
※ニンジャスレイヤー(フジキド・ケンジ)
http://i.imgur.com/P4QZafy.jpg
――――1月13日、多目的室
――100101011
ドシンッ!
裕子「いったー!?」
仁美「かはっ……」
あやめ「……え?」スタッ
珠美「うわあああああ!? いきなり人が、人が……って、あれ? あやめ殿?」
あやめ「珠美殿!? あ、あれ? ここは……」
葵「あやめさんのお誕生日会の会場っちゃ! というかどこから……?」
あやめ「いえ、あやめ達は先程まで……!?」ズキッ
葵「どしたね?」
あやめ(……なんでしょう、今の感覚。なにか、なにかを忘れさせられた感覚が……)
裕子「ん……? って、わ、わわっ! うわー!?」
珠美「こ、今度は何事です!?」
裕子「あ、あの! ここは事務所じゃないですよね!? 違いますよね!」
葵「見ての通りっちゃ。大丈夫?」
裕子「き、聞いて下さい! このユッコやりました! テレポーテーションで人を瞬間移動させましたーっ!」
珠美「……は?」
葵「あぁ、だからさっき突然現れ……ええ!?」
仁美「……ユッコちゃーん」
裕子「はいなんでしょう!?」
仁美「嬉しいのは分かったからアタシの上からどいて……」
裕子「あ、ご、ごめんなさい! 気付かなくて」スクッ
仁美「……ふぅ。ともかくまさかユッコちゃんのテレポーテーションがこんなにうまくいくとはね。アタシまで巻き込まれたし」
裕子「それになぜか私までここに来ちゃいました! これはつまりサイキックのパワーが上がっている証拠……!」
仁美「良かったね。あやめっちは無事?」
あやめ「……」
仁美「……あやめっち? どうしたの、顔怖いよ」
あやめ「……仁美殿はこのテレポーテーションでなにか違和感がありませんでしたか?」
仁美「違和感……? うーん、気付いたら事務所からここに来てたしそういうのは特には」
あやめ「そう、ですか……」
仁美「……あやめっちはなにか感じたの?」
あやめ「あ、いえ、なんでもありません! 心配しないで下さい! ただここまでテレポーテーションが上手くいったことに驚いていただけです」
裕子「いやぁ、本当にそうですよ。でもこれでコツも掴みましたし、今度の番組はユッコのスペシャルパフォーマンスで見る人の心を鷲掴みに出来そう!」
あやめ「ええ、きっとユッコ殿なら大丈夫ですよ! ですよね仁美殿!」
仁美「まぁユッコちゃんだから心配いらないって。それよりもあやめっち」グイッ
あやめ「わっ、な、なんでしょう?」
仁美「(なにか心配事があったらちゃんと相談してよ? アタシじゃ頼りないかもしれないけど、力になれることなら何でもするからさ)」ヒソヒソ
あやめ「(頼りないなんてとんでもない! 仁美殿にはずっと助けてもらってばかりで……だから心配しないでください。でも、ありがとうございます)」ヒソヒソ
仁美「……もう、そういうのいいから! アタシとあやめっちの仲じゃん! それに今日はあやめっち誕生日なんだしこれくらいかっこつけさ……あーっ!?」
葵「なんか、仁美さんとあやめさんが揃うとホント賑やかっちゃね。で、次はなにごと?」
仁美「せっかく買ってきたお寿司、今気づいたけど手元にない!」
あやめ「あ、本当ですね」
裕子「もしかして人は移動させられたけど、手にしてた物まではまだ無理だった……?」
仁美「あぁもうせっかく会場まで来たのにまた戻らないと……」
裕子「ならばお任せを! もう一度このエスパーユッコがテレポーテーションで仁美ちゃんを……!」
あやめ・仁美「「やめて」」
裕子「」
ガチャ
麗奈「なによ、えらく賑やかと思ったらもう主役来てるじゃない」
あやめ「おや、まさか麗奈殿もわたくしのお祝いに?」
麗奈「一応よ、一応……しかしこれだとどうやって……借りを返すために特大の用意したのに……」
あやめ「あ、わたくしに仕掛けるいたずらを用意したいのでしたらいつでもどうぞ。受けて立ちますよ!」
麗奈「ギクッ! な、なんのことかわからないわね……っとそういえばさっきちひろからこの会場について聞かれたけど、アンタ達なんかしたの?」
珠美「え、ちひろ殿がですか? おかしいですね、ここの使用許可はちゃんと取っていますから問題になるようなことはなにも……」
裕子「……」ダラダラ
葵「ユッコちゃん汗すごいっちゃ」
麗奈「なんか怪しいわね……」
裕子「え!? な、なんのことでしょう私にはさっぱり! こ、この通りいつも通りで」
ちひろ「……いつも通り、それは良いことを聞きました」
裕子「ひぇえええ!?」
珠美「ぎゃあああ!?」
あやめ「……いきなり現れるのやめてくださいちひろ殿。珠美殿震えてるじゃないですか」
ちひろ「……これはごめんなさい。ただ、ちょっと今そういうことに気を配れる余裕がないんです……」
仁美「あれ、なんかちひろさん疲れてません?」
ちひろ「……ちょっとだけね。今の私だと少しきつい仕事があって……それよりも仁美ちゃん、これを」スッ
仁美「あ……! そのお寿司、もしかして!」
ちひろ「……駄目じゃないですか、こんなお祝いの料理を事務所に忘れるなんて」
仁美「わざわざ届けて来れるなんて……ちひろさんありがとう!」
仁美(……あれ、でもアタシが買った時と微妙にお寿司の感じが違うような……気のせいかな)
ちひろ「……あとはあやめちゃんにこれを」スッ
あやめ「これは?」
ちひろ「私からの誕生日プレゼントです……大したものではありませんが」
あやめ「そ、そんな……恐縮です」
ちひろ「(……いいお誕生日会になりそうですね。ここには、あやめちゃんを想う気持ちがいっぱいで、おかげで私も調整だけは楽でした)」ヒソヒソ
あやめ「(それはどういう)」ズキンッ!
――オヌシは何者だ!
あやめ「(っ!? 今のは……!?)」
ちひろ「(……そのことはまだあまり思い出さないほうがいいですよ? 出来ればあやめちゃんにはこれからも無事に誕生日を迎えてほしいんですから)」ヒソヒソ
あやめ「ちひろ殿……やはりあなたは……」
ちひろ「……ふぅ、さて、私はまだまだやることがいっぱいありますから、これで失礼させて頂きます」
葵「えっ、折角来てくれたんならせめてもう少し待ってくれても……料理もあと少しで全部用意出来るっちゃ」ゴソゴソ
ちひろ「……そういうわけにもいかないんです、ごめんなさい。ね、ユッコちゃん?」
裕子「はひぃ!」ドキッ
ちひろ「自分を含めた女の子3人をテレポーテーションさせてしまうなんてすごいですね。その辺りも含めて少し私とお話しましょうか」ニコニコ
裕子「あ……あぁ……!」ガタガタ
珠美「あ、あの……もしかして裕子殿がなにか……?」
ちひろ「いえいえ、些細なことです。だけど裕子ちゃんは用事がありますのでお誕生日会には参加出来なくなりました。申し訳ありません」
葵「どうしてちひろさんが謝るっちゃ? んー、残念だけど用事があるなら仕方ないね」
ちひろ「はい、それでは失礼します。行きますよ裕子ちゃん」
裕子「た、たすけ……」
ちひろ「行きますよ?」ニコッ
裕子「……ハイ」
バタンッ
あやめ「ユッコ殿……」
仁美「……せめて無事を祈ろう。しかし最後のテレポーテーションはアタシ達にも責任あると思うんだけどいいのかな……」
あやめ「ちひろ殿が判断したのです。……追求しないほうが良いでしょう」
仁美「うん……分かった」
珠美「あの、事情が全然分からないのですが……」
仁美「こっちの話だよ珠美っち。ごめんね心配かけて、大丈夫だから!」
珠美「そ、そうですか……? ならばもっと明るく行きましょう! 今日はあやめ殿の誕生日というとてもめでたい日なのですから!」
葵「多分もうちょっとしたら他の人も来るだろうから、それまで主役は一番前の席で待ってるっちゃ!」
麗奈「あと何人くらい集まる予定だっけ?」ゴソゴソ カチャカチャ
珠美「10人は超えるはずです!」
仁美「だって。それじゃあ今日の主役はいざ上座へ! ……っとその前に」
あやめ「仁美殿?」
仁美「(ホントは皆が揃ってからなんだけど、どうしても先に言いたくて……耳貸して)」ヒソヒソ
あやめ「(はぁ……いいですが……なにを)」
仁美「(お誕生日おめでと、あやめっち! これからもよろしくね!)」
あやめ「あっ……ふふっ! ありがとうございます、仁美殿! ニンッ!」
――その後誕生日会は賑やかに行われ、あやめは時折脳裏に浮かぶ赤黒い装束のニンジャの姿に困惑しながらもとても楽しい
一日を仁美達と過ごした。そしてちひろに連れて行かれた裕子は後日、人が変わったようにサイキックを使いこなし番組で他の
超能力者達を圧倒したのであった。
〈終〉
丹羽ちゃんと仲の良いアヤメ=サンとユッコのサイキックに付き合うアヤメ=サンとニンジャスレイヤーと会話するアヤメ=サンが書きたくて
混ぜたらこうなった、アヤメ=サン誕生日おめでとう。そしてニンジャスレイヤーはいよいよ「不滅のニンジャソウル」が2016年に完結予定な
読んでくださった方ありがとうございました
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