※ガンソードのドラマCDネタです。
―――惑星、エンドレスイリュージョン
そこは、野蛮な夢が飛び交う逸れ者たちのパラダイス。
エンドレス幼稚園を無事卒園したヴァンは、義務教育に従ってエンドレス小学校へと入学した。
そんな彼に訪れるのは、新たな出会いと未知なる境地。
いつだって波乱ヴァン丈、初恋編。
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朝
ジョシュア「兄さん、ランドセルがパンパンですね」
レイ「ああ」
ジョシュア「荷物が多くて大変じゃないですか?」
レイ「心配ない」
ジョシュア「そんな強がらなくてもいいですよ。背負わなくても持ち運べるように僕がアタッシュケース型に改造してあげますよ!」
レイ「いらん」
ジョシュア「え~っ、どうしてですか!?」
レイ「背負わなければランドセルの意味が無い」
ヴァン「ふぁ~あ、ったく、なんで学校なんざ行かなくちゃならねえんだ」
ヴァン丈「それは、君が小学生だからだよ、ヴァンくん」
ヴァン「うわあ、お前いつの間に!?」
ヴァン丈「やだなあ、僕は君の親友じゃないか」
ヴァン「誰が親友だ。お前が勝手にすり寄ってきただけだろ」
ヴァン丈「友人とはいつの間にかなっているものだよ」
ヴァン「そういうもんなのか?」
ヴァン丈「そうだよ。さあ、改めて誓いの握手をしようじゃないか」
ヴァン「いや、いい。なんか胡散臭い」
一時間目
キーンコーンカーンコ-ン
ヴァン「ったく、遅刻したからバケツ持って廊下に立ってろって、何年前の漫画だよ」
ミハエル「ふっ、日頃の行いが悪いからそのような目に合うのだ」
ヴァン「てめえも遅刻したから立たされてるんだろうが」
ミハエル「僕はお前とは違う!バケツを持っていないのも、正当な理由があるからだ!」
ヴァン「正当な理由だと?」
ミハエル「ああ、そうだ。僕は毎日、まだ二年生の妹の世話をしている。ご飯を作ったり、一緒に朝風呂に入ったり、着替えを手伝ったり、行ってきますのチューをしてもらったりな!」
ヴァン丈「流石はナチュラルボーン色男のミハエルくん。妹さんからも逃れることができないみたいだね」
ミハエル「ウェンディを侮辱するな。全て、僕が進んでやっていることだ!下着の洗濯もな」
ヴァン丈「うわー...」
ヴァン「ごめん、ミハエル。今のは聞かなかったことにするわ」
ミハエル「なんだその目は!?寝坊したうえに急ぐ様子すら見せないお前に罵られる筋合いはない!」
ヴァン「てめえに比べれば十分マシだと思うがな、妹離れできないお兄ちゃん!」
ミハエル「妹を大切にして何が悪い!?今まで僕がどれだけ苦労してきたと思っているんだ!」
ヴァン「てめえのは大切通り越して変態の域に達する寸前なんだよバーカ!」
ミハエル「言わせておけば...ぼくの愛を侮辱するつもりか!?」
ヴァン「はん、俺は童貞だ!愛なんざ知ったこっちゃねえ!」
ギャー ギャー ドカッ バキッ
ガララ
ガドヴェド「うるさいぞ、お前達。それでは罰にならんだろうが!」
ヴァン丈「すみません、先生。僕は止めたんですが、二人がどうしても止まらなくて...」
ヴァン「なにぃ!?てめえ、裏切るつもりか!」
ヴァン丈「誤解を招くような言い方はやめてくれないかな。僕は君たちが止まらなかったという事実を伝えただけさ」
ヴァン「ぬぐっ...!」
ミハエル「友人にすら見捨てられるとは情けない男だ」
ヴァン「おまえもこいつに売られてるんだぞ」
ミハエル「なにぃ!?ヴァン丈、どういうつもりだ!?」
ヴァン丈「もう一度言うよ。僕は君たちが止まらなかったという事実を伝えただけさ」
ミハエル「お前もさりげなく僕の顔を殴っていたじゃないか!そう、顔ばかりだ!」
ヴァン丈「はて、なんのことかわからないなぁ」
ガドヴェド「ごちゃごちゃ言い訳をするなぁ!三人とも、校庭30周だ!」
校庭
タッタッタッ
ヴァン「ぜえー、ぜえー...」
ミハエル「なんだ、もうバテたのか?」
ヴァン「うるせえ...そういうお前はどうなんだ...」
ミハエル「僕は日々女性やモテない男たちに追い回されてるからな。お前とは鍛え方が違うんだ。先に行くぞ!」ダッ
ヴァン丈「流石はモテる男は言う事が違うよね、ミハエルくん」
ヴァン「てめえは...なんで平気なんだ...?」
ヴァン丈「僕はこう見えても陸上競技で最優秀賞を総ナメしているからね。これくらいは朝飯前さ」
ヴァン「なんだ、その無駄なハイスペック...ぐあっ!」ズシャア
ミハエル「ふん、こんなところでくたばるとは情けない。常日頃だらけているからそうなるんだ」
ヴァン「てめえ、いちいち戻ってきて嫌味をいいやがって!てめえのそういうところが俺は嫌いなんだ!」グイッ
ミハエル「うわっ」
女子A「ミハエルくんを虐めないで!」バキッ
ヴァン「ゴハァ!?」
ドドドドド
女子A「ミハエルくん、ジュース持ってきたよ!」
女子B「お疲れ様ミハエルくん、汗拭こうか!」
ミハエル「あ、ああ。ありがとう」
女子C「まったく、あの頑固親父ってば!ヴァンはともかく、ミハエルくんまで走らせることないのに!」
ミハエル「...先生のことを悪く言わないでくれ。先生は、腑抜けていた僕らのためを思って罰を与えてくれたんだ」
女子D「さすがミハエルくん!優しくてカッコイイ~!!」
ユキコ「さあ、早く教室へ戻りましょう。みんなミハエルくんを待ってるわ!」
ドドドドド
ヴァン丈「...まるで嵐のようだったね、ヴァンくん」
ヴァン「......」ボロッ
ヴァン丈「ミハエルくんに群がる女子たちにもみくちゃにされ、それでも誰にも見向きもされない...さしずめ今日のきみは、『モテない男子の金字塔、ヴァン』と呼ぶべきかな」
ヴァン「...うるせえ」グスッ
ヴァン丈「さて、ノルマも達成したことだし、"ミハエルくんのいる"教室に戻ろうか」
ヴァン「あいつの名前を強調するな!むなしくなるだろうが!」
ヴァン丈「僕は早めに戻って、女学生たちの香りを堪能してくるとするよ。モテないきみは、その傷だらけの身体をひきずり地べたを這いつくばりながら教室に帰るといいさ」
ヴァン「てめ、待ちやがれ!...行っちまった。あいつ、絶対に俺と友達になる気ないだろ」
「ねえ、そこのあなた」
ヴァン「あん?」クルッ
「すごいケガね。どうしたの?」
ヴァン「なんだよ、見せもんじゃねえぞ」
「バカになんてしないわよ。ちょっと見せてみて」
ヴァン「いいよ。こんなもん放っておけば...いでっ!」ズキッ
「やっぱり。消毒くらいはした方がよさそうね。保健室にいきましょう」
ヴァン「いや、いいって」
「いくわよ」グイグイ
ヴァン「イデデ!わかった、わかったから引っ張らないでくれ」
ヴァン(なんだこいつ、顔に似合わず強引だな...)
保健室
「失礼します。...先生はいないみたいね。仕方ない。ヴァンくん、そこに座ってて」
ヴァン「お、おう...俺、お前に名前教えたか?」
「知らないの?あなた結構有名よ。たしか、食い意地はりの男、ヴァンだったかしら」
ヴァン「昔の話だ。今の俺はモテない男子の金字塔、ヴァンだ」
「ふーん...まあ、それはどうでもいいわ。はい、足から消毒するからね」
ヴァン「...なあ。なんで俺を助ける?」
「え?」
ヴァン「有名ってことは、俺のしてきたことも知ってるだろ?」
「ええ。喧嘩を売ってきた相手にはトコトン噛みつく、食べ物には必ず調味料をタップリ追加する、授業はほぼ全部居眠り...あまりいい噂はきかないわね」
ヴァン「だったらよ、なんで...」
「怪我したあなたに、たまたま私が居合わせたから。それじゃあ駄目かしら?」
ヴァン「!」
「...はい、これで終わり。今日はあんまり動かしちゃだめよ」
ヴァン「......」
「聞いてる?」
ヴァン「お、おう」
「それじゃあ、私は教室に戻るから」
ヴァン「待ってくれ!」
「?」
ヴァン「いや...まだ礼を言ってなかったからな。えっと...」
エレナ「ああ、名前ね。エレナよ」
ヴァン「エレナ...。その、ありがとうな」
エレナ「お大事に」クスッ
ガラララ
ヴァン「エレナ...か」
数日後
ヴァン「エレナ...エレナ...エレナ」ブツブツ
ヴァン(なんでだ?なんであの女の名前が頭から離れないんだ?)
ヴァン丈「お困りのようだね、ヴァンくん」
ヴァン「おまえはどこにいてもあらわれるな」
ヴァン丈「あっはっはっは。僕と君は一心同体じゃないか」
ヴァン「怪我した俺を放って女の香りを堪能してたやつがなにをぬかす」
ヴァン丈「よく言うだろう?男は上半身と下半身が別の生き物だとね」
ヴァン丈「それにしても浮かない顔をしているね。それに、まるで獲物を屠るイェーガーのような名前を連呼しているけれど」
ヴァン「駆逐野郎はおよびじゃねえよ」
ヴァン丈「何か悩みでもあるのかい?どうかな?僕でよければ相談にのるよ。もちろん有料で」
ヴァン「......」
チャリン つ100円玉
ヴァン丈「おや?」
ヴァン丈「なるほど。そのエレナさんの顔が脳裏に焼き付いて離れないと」
ヴァン「ああ。人の顔とか名前を憶えるのは苦手なはずなんだが...」
ヴァン丈「ふふ...ついに来たようだね、ヴァンくん」
ヴァン「来たって...何がだよ」
ヴァン丈「それは思春期に抱きがちな幻想...恋わずらいさ」
ヴァン「恋...だと...?」
ヴァン丈「そうだよヴァンくん。さあ、勇気を出して告白といこうじゃないか」
ヴァン「つっても、どうすりゃいいのか...」
ヴァン丈「あっはっは。童貞は素直に気持ちを伝えて玉砕してくればいいのさ。それもまた青春の一ページとなるからね」
ヴァン「応援する気もねえんだな、てめえは」
ヴァン丈「まあ、冗談はそれくらいにして、まずは彼女と仲良くなってはどうかな」
ヴァン「仲良くって言われてもなぁ」
ヴァン丈「なぁに。とりあえず一緒に遊びにいくていどでもいいのさ。そこから徐々に関係を深めていけば、いずれは告白もできるようになるさ」
ヴァン「ほーぉ...」
校門
「それじゃあねー」
エレナ「じゃあねー。...あら」
ヴァン「...よう」
エレナ「こんにちわ、ヴァン。どうかしたの?」
ヴァン「...この前のことだが、一応はお礼は言ったが、それだけじゃ気がすまん」
エレナ「?」
ヴァン「だから、これからなにか食べに行かないか?俺が奢るからよ」
エレナ「...駄目よ」
ヴァン「えっ」
エレナ「私たちは小学生。いまあるお金は親御さんが働いて稼いでくれたもの。ちゃんと考えて使わなきゃダメよ」
ヴァン「うっ...」
エレナ「だから、一緒に食べにいきましょう。もちろん、奢りなんて無しで」
ヴァン「!...ああ!」
ヴァン「じゃあ、さっそく...」
エレナ「待って。パパに寄り道するって伝えてくるから」
ヴァン「そ、そうか。なら、俺も一緒に」
エレナ「大丈夫よ。すぐに済むから」タタタ
ヴァン「そうか、すぐに済むか...ん?」
ヴァン(なんで学校に戻っていくんだ?)
ヴァン丈「知らないのかい?」
ヴァン「だからお前は何の脈絡もなく出てくるな」
ヴァン丈「きみが光だとしたら僕は影。決してきれない宿命の赤い糸で繋がれているのさ」
ヴァン「気持ち悪いな。それで、俺がなにを知らないっていうんだ?」
ヴァン丈「彼女の父親は...」
エレナ「ごめんね、ヴァン。パパに話したらワシも行くって聞かなくて...」
ガドヴェド「幼くして不純異性交遊など言語道断だ!」
ヴァン「うそぉ...」
キーンコーンカーンコーン
タタタ
ジョシュア「待ってください、兄さん!どうして怒ってるんですか!?」
レイ「...ジョシュア。お前はランドセルの美学をわかっていない」
レイ「いいか、ランドセルは背負うものだ。例え、どんなに重くとも、背負い続けることに意味があるんだ。アタッシュケース型ランドセルなど言語道断だ」
レイ「わかったら、今後俺のランドセルに触れるな!改造するな!取っ手もタイヤもビックリ箱機能もすぐに外せ!」
ジョシュア「そ、そんな~!」
今回はここまでです。続きを書く予定は無いので、書くとしたら次スレを立てようと思います。
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