女「私は好きだよ、アンタの事」 (51)

友「……またここにいたんだ」

女「なんだ、お前か」

友「……今、何か隠した?」

女「お前が来るなら別に隠さなかったよ」

友「……身体に悪いよ」

女「言われなくても分かってるさ」

友「……もう」

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友「……よいしょ」

女「ぷぁー……っと」

友「……そんなに美味しいの?それ」

女「お、試してみっか?」

友「……ご遠慮しておきます」

女「ちぇっ、つまんねーの」

友「……一本だけ、なら」

女「おっ?」

女「ほれ、一本」

友「……はぐ」

女「顔、こっちに向けな。火付けてやるよ」

友「……こくこく」

女「……」

友「……?」

女「……ぷっ」

女「あはははっ」

友「??」

女「わりーわりー、あんまり必死な顔してるもんだから……ひー、おかしー」

友「……むー」

女「吸いながらじゃないと火は付かないんだなこれが」

友「……そう、なんだ」

女「やっぱお前には似合わねーわ」

友「……そうかな、分からないと思うけど」

女「……ふぅー」


女「なんかあったのか?」

友「……」

友「……なんにもないよ」

女「あっ、そ」

友「……」

女「……ふー」

友「……あなたは」

女「ん」

友「好きな人って、いる?」

女「随分急な質問だな」

友「……答えにくかったら、いい」

女「何も言ってねーだろまだ」

続く

短編予定

女「……いるよ」

友「……いる、んだ」

女「んだよ、いちゃ悪いか?」

友「……うぅん」

女「……ぷはー」

友「……ただ、少し驚いただけ」

女「似たような意味合いじゃねーかそれ」

女「そういうお前はどうなんだよ」

友「……?」

女「好きな奴とか、いねーのかって」

友「……私も、いる」

女「……へぇ」

友「……」

女「……」

友「……あ」

女「んな?」

友「……授業、始まっちゃう」

女「おう、行ってらっしゃい」

友「……じー」

女「ん?」

友「……授業」

女「あ、こらっ。返せ!」

友「……むー」

女「……はー、仕方ねぇ」

ヒソヒソ ヒソヒソ

女「……じー」

ビクッ

女「……はぁ」

女(だから来たく無かったんだが)

女(へなちょこなの癖にこういうとこは頑固だからなぁ)

女(ま、そういう所も……)

女(……あー、だりぃ)

女(どうすっかな、新しいの買うか……)

女「……ん」


友「……あ」

女「どうしたんだよ、それ」

友「……ん、少しね」

女「だから、少しってなんだよ」

友「……少しは、少しだよ」

女「……」

友「……」

女「あー、そうかい」

友「……」

女「そうだな、私には関係ねーな」

友「……そう、関係ない」

女「っ」


女「ならせめてタバコは返せよ」

友「……やだ」

女「あ?」

友「……」

女「……チッ」


女(なんだってんだよ、全くよ……)

女「……ふー」

女「……」

女(ダメだ、気になって仕方がねぇ)

女(確か書道部だったよな、あいつ……)

女「……あー」

女(うだうだ悩むのはらしくねぇな、行くか)

女「……」

女(文系の部室棟は静かでどうも苦手だ)

女(っと、ここだここだ)

女「失礼しまーすっと」


友「……?」

女「お、丁度いい。一人か」

友「……ど、どうしてあなたが?」

女「んー、そうだな……入部希望、ってのあどうだろうか」

友「……絶対、嘘」

女「失礼な」

女「楽しいのか?それ」

友「……楽しいとは少し違うかも」

友「……落ち着く、って感じかな」

女「ふーん」

友「……やってみる?」

女「え」

友「……入部希望、なんでしょ」

女「あ、あー……」

友「……はい、どうぞ」

女「よ、よーし。やってやらぁ」

女(くそ、指先が震えやがる……)

友「……肩の力、抜いて」

女「そうは言うがなぁ」

友「……んしょ」

女「お、おい」

友「……?」

女(こいつ着痩せするタイプだったのか……じゃなくて)

女「逆に書きづらいんだが」

友「……そうかな」

友「……そんなに力入れちゃダメ」

女「んなこと言ったってなぁ……」

友「……あっ」

女「げっ」

友「……」

女「わ、悪い。すぐに洗って……」

友「……大丈夫」

女「いや、染みになっちまうだろ。ほら」

友「……ダメッ」

女「……お前」

友「……っ」

女「いつからだ」

友「……」

女「あいつらだな、それ以外ありえねぇ」

友「……大丈夫、だから」

女「大丈夫なわけあるか!」

友「……っ」

女「お前は大丈夫でも、私が大丈夫じゃない」

友「……無茶して欲しくない」

女「バカ、無茶してんのはお前だろ」

友「……」

ぎゅう

女「大丈夫だ、心配すんな」

友「……墨が」

女「げげっ」

まだ続く

女「さて、と」

友「……」

女「帰るか」

友「……ん」


女「次からは隠さずちゃんと言えよ」

友「……約束は、出来ない」

女「聞こえねぇ、もっかい言ってくれ」

友「……約束は」

女「……じー」

友「……出来る限りは言う」

女「うむ」

友「……私の家、こっちだから」

女「知ってるよ」

友「……あなたの家、向こうじゃ」

女「おう」

友「……」

女「別に私が遅くなっても誰も何も思わねーさ。そんな事よりお前の事の方が心配だ」

友「……あり、がと」

女「お、おう」

友「……それじゃ」

女「あぁ、また明日な」

友「……うん、また明日」

女(さて、どこで時間潰すか……)

女「……ん?」

友「……はぁ……はぁっ」

女「どうしたんだよ、息切らせて」

友「……これ」

女「ん、あぁ」

女(こんなもの返すためにわざわざ走って来たのか)

友「……それだけ、だった」

女「……待ちなよ」

友「……?」

友「……むぐ」

女「そら、顔をこっちに寄せな」

友「……」

女「そうだ、上手上手」

友「……ごっほ、げほげほっ」

女「ははは、吸いっぱなしだとそうなって当然だ」

友「……まずい」

女「だろうな」

友「……」

女「おいっす」

友「……遅かったね」

女「ちょいと野暮用でな」

友「……」

女「ちょっ、どこ触って……い、いちちっ」

友「……やっぱり、無茶した」

女「お前と会う前は日常茶飯事だったさ」

友「……」

友「……ごめんね」

女「何で謝んだよ」

友「……私がこんなだから」

女「それは別にお前が悪いってわけじゃねーだろ」

友「……そう、かな」

女「まぁ、私の言葉じゃ信用ならねーってんならこれ以上何も言えないな」

友「……そっか」

女「ふぃー……」

友「……じー」

女「ん」

友「……一本、いい?」

女「へ?」

友「……」

女「ん、あぁ。別に構わないけど」

友「……はぐ」

女「ほれ、火だ。気を付けろよ」

友「……ん」

女「……ふぅー」

友「……ぷぁ……ごほっ」

女「大丈夫か?」

友「……うん、平気」

女「無理して吸わなくてもいいのに」

友「……別に無理なんて、してないよ」

女「ならいーけど」

友「……」

友「……こほこほ」

女「……ふぃー」

友「……どうしたら」

女「?」

友「……どうしたらあなたみたいに、なれるかな」

女「急になんだよ」

友「……急じゃないよ」

友「……あの日からずっと、思ってた」

女「あの日って……」

友「……あなたが私を助けてくれた、あの日」

女(あぁ、やっぱり)

友「……あの日からずっと、憧れてた」

女「あぶねぇぞ」

友「わ、ちちっ……」

女「灰皿、ほら」

友「……ありがと」

女「こんなもんに憧れても仕方ねぇと思うが」

友「……そんなこと無い」

女「私はアンタの方が羨ましいけどな」

友「……どこが」

女「あー、んー……」

友「……」

女「……胸、とか」

友「……じとー」

女(あながち冗談ではないんだが)

友「……帰る」

女「あー、待て待て」

友「……?」

女「その、だな……うん。私が言いたかったのは」

友「……言いたかった、のは?」

女「そのままのお前でいいじゃないかって事だ」

友「……」

女(……確実に伝わってない顔だな)

女「私は今のアンタでも十分好きだ」

友「……」

女(って、何言ってんだ私は)

女「えーと……」

友「……私も、好き」

女「へっ」

友「……両想い?」

女「……そう、みたいだな」

友「……」

女「……」

友「……いつから?」

女「強いて言えば最初から」

友「……一緒」

女「そうだったのか」

友「……じー」

女「?」

友「……胸とかって、そういう意味だったの?」

女「……改めて言われると恥ずかしいからやめろよ」

友「……ふふ」

女「……ぬぬ」

友「……ぷっ」

女「わ、笑うなよ」

友「……ごめん、ごめん」

女(あの時の入部希望は本気じゃなかったんだが)

友「……」

女(これも悪くないな……)

友「……?」

友「……胸?」

女「お前引っ張るな、それ」

友「……いいよ」

女「えっ」

友「……触る?」

女「嫌じゃないなら……ぜひ」

友「……ん」

女「……」もみもみ

友「……んっ」

女(……こんな柔らかい物なのか)

友「……あ、ぅ」

女(どうやったらこんな大きさに……)

友「……」

女「……」

友「……満足?」

女「半々、と言ったところだろうか」

友「……何が?」

女「何がだろうか、自分でも分からん」

友「……それじゃ、今度は私から」

女「私から?」

友「……ん」

女「へ?わっ、ちょ……」

友「……ちゅ、ん」

女「んー、んー」

友「……じゅる」

女「んぅーっ」

友「……ぷはっ」

女「はーっ……はーっ……」

友「……これでお相子」

女「なわけあるか」

友「……ごめん」

女「いや、別に嫌では無かったが」

友「……私も」

女「ん」

友「……私も、大好き」

女「そう言われながら迫られると拒絶できなくて困る」

友「……ふふふ」

友「……」

女「……今度からは人の気配に気を付けような」

友「……うん」

女「さて、帰るか」

友「……ぎゅっ」

女「手、冷たいな」

友「……あなたが、温かいんだと思う」

女「そうかねぇ」

友「……そう、きっとそう」

女「お前が温まるならそれでいいや」

友「……ん」

女「……温かくなってきた」

友「……ん、温かい」

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