葉山「比企谷との勝負」 (44)

葉山「勝ったんだ俺は…マラソン大会の時でもそうだった」

戸部「う、そうかーヒキタニ君にね…」

葉山「彼は強敵だな…その外見とは裏腹にいくつもの武器を持ってる」


海老名「ヒキタニ君、ちょっとかわいそうじゃないかな?」

戸部「そうそうだって隼人くん~、俺らヒキタニ君に助けてもらってたじゃん?」

葉山「かわいそう?これは勝負みたいなものであって決してイジメじゃないぞ?」

海老名「周りからしたらイジメに見えるよ…

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三浦「隼人…」

葉山「なにかな?優美子?」

三浦「なんでもない…」


結衣「優美子……」

海老名「ていうか葉山くんって、性格変わった?」

戸部「あ~そういえば…」

葉山「変わったといえばそうかもしれないな…今まで繕って生きてたから」

葉山「それをやめようと考えてからは、反動がきてるかもしれないね」

海老名(つまりは、手にいれる物は手に入れるってことかな?)

戸部「え~隼人くんさ…そういう考えはちょっと…」

結衣「……」

葉山「もう疲れたんだよ…今までの自分にね…だから戸部」

戸部「な、なに?」

葉山「もしもこんな俺に幻滅したって言うんなら…離れてもらっても構わないぞ」


戸部「は、隼人くん…」

海老名「じゃあ、わたし抜けるね~」

戸部「え、海老名さん?」

海老名「今の葉山くんキライだし~」

葉山「そうか…残念だよ…」

海老名「うん、わたしも残念だよ~」

海老名「……」チラッ

三浦「………」

海老名「……」チラッ

結衣「姫菜……」


海老名「ここに居ても気まずいし、向こう行くね」

戸部「海老名さん…ちょ、隼人くんさ~」

葉山「仕方ないよ…これが代償さ…雪乃ちゃんと手に入れる」

結衣「隼人くん…」

結衣(あたし達のグループが…脆く壊れて行く…)

結衣(ヒッキーも言ってたっけ…脆い関係性だとか…)

結衣(隼人くんが変われば…こんな関係は壊れるよね)

結衣(あたしさっきからほとんどしゃべってないや)

三浦「隼人…あーしはさ…」

葉山「優美子…大丈夫だよ、君は大丈夫だろ?」

三浦「………」

結衣(あたしは本来ならここで仲裁に入ってるよね…)

結衣(でも今はしたくないかも…)

結衣(だって…ヒッキーを手に入れるチャンスだしさ…)

結衣(詳しくはわからないけど…ゆきのんと隼人君が…)

結衣(付き合ってるっていう噂が流れてるよね…)

結衣(それは前にも流れてたけど…今回違うのは)

結衣(二人とも特に否定してないこと)

三浦「……」

結衣(隼人君が噂流して、優美子も手伝ったと思うけど)


結衣(隼人君とゆきのんの間になにがあったんだろう?)

結衣(二人の間には大きな溝があったと思うけど…)

奉仕部

雪乃「………」

八幡「寒いな」

雪乃「もう冬だもの、ストーブをつけるかしら?」

八幡「それ新しくなってるな」

雪乃「先生が自費で購入されたのよ、私たちの為に」

八幡「もう部活自体はないのに使わせてもらってるしな」

雪乃「そうね、勉強の為に」

八幡「……なあ」

雪乃「なにかしら?」

八幡「おまえ、噂…」

雪乃「なに?」

八幡「いや、なんでもない」

雪乃「言いかけて終わるのはよくないわ、なにかしら?」

八幡「いや、マジでいい」

雪乃「……」

八幡(聞いてどうするんだって感じだしな)

八幡(付き合ってるわけでもないのに)

別の場所

海老名「葉山君変わっただけで、なんか雰囲気がさ…違い過ぎるし」

結衣「た、確かにね…あははは」

海老名「みんなちょっと葉山君に頼りにし過ぎてたのかもね」


結衣「頼りにしすぎてる…か」

海老名「結衣はともかく、優美子もね。葉山君の頼みだと断らないし」

海老名「だから葉山君、疲れて行ってたのかも」

結衣「……」

結衣(あたしもヒッキーに依りすぎてるかな?)

海老名「優美子は最近特に盲目的だし」

結衣「あたしも盲目的かも…」

海老名「え?どういうこと?」

結衣「あ、ううん…なんでもないよっ」

海老名「どうなるんだろ…これから」

結衣「うん…」



葉山「……」

三浦「隼人…平気?」

葉山「なにがかな?」


三浦「なにってさ…隼人だってこんなことしたくないっしょ?」

葉山「…」

三浦「…」

葉山「負けるわけにはいかないからね」

三浦「隼人…」

三浦(別人みたい…)

次の日 学校にて


結衣「あ…」

三浦「結衣っ」

結衣「やっはろ~、優美子」

三浦「おはよ…あんさ、結衣」

結衣「なに?」

三浦「隼人がさ…呼んでたよ。行ってあげてくんないかな?」

結衣「隼人くんが…?」


別の場所

結衣「隼人くん…?どうしたの?」

葉山「結衣、わざわざ呼んだりしてごめん」

結衣「いや、いいけどさ」

葉山「単刀直入に言うけど、結衣」

結衣「え?なに?」


葉山「比企谷が現在どんな感じなのかを知りたいんだ」

結衣「えっ?それって…」

葉山「気づいてるかもしれないが…俺と雪乃ちゃんが付き合ってるという噂だが」

結衣「うん…知ってるけど」


葉山「あれは俺が流した嘘だよ…まだなんでもないんだ」

結衣「あ、やっぱりそうなんだ」

葉山「でも、彼女も否定しないことを承諾してくれてる」

結衣「なんでそんなことを?」

葉山「比企谷との勝負だからさ」

結衣「えっ?意味がわからないよ…?」

葉山「雪乃ちゃんは俺に言ったんだ」

葉山「もしも、過去を清算したいと思ってるなら…それ相応の覚悟を見せてほしいって」

結衣「覚悟…」


葉山「俺と雪乃ちゃんの間には大きな確執があってね…それを清算するとなると…」

葉山「俺には今の自分を否定するくらいしか思いつかなかった」


結衣「う、う~ん…」

葉山「雪乃ちゃんが振り向いてくれる可能性のあることはなんでもしようと思ってね」

結衣「それで…ヒッキーとの勝負…?」

葉山「この噂は彼にとっても穏やかじゃないはずだ、ましてや雪乃ちゃんが否定していないなら猶更ね」

結衣「隼人くんはゆきのんと付き合いたいから、こういうことしてるの?」

葉山「ああ、もちろん」

葉山「だからお願いだ、結衣。比企谷の様子を見ててくれないか?」

葉山「俺だと、なかなかそうはいかないんだ」

葉山「彼が動揺したりすれば、俺の勝も見えてくる」

葉山「彼を欺いたことになるからね」


結衣「……」

結衣(なんだろう…?なんか変だけど…)

結衣(でもでも、これってチャンスなんじゃ…)

結衣(ゆきのんと隼人くんが付き合ったりしたら…)

葉山「どうかな結衣?協力してくれないか?」

結衣「わかった…いいよ」

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奉仕部

八幡「今日も寒いな…」

雪乃「ストーブはついてるわよ」

八幡「いや、わかってるけど」

結衣「…」

結衣(う~ん…どうなんだろ…?見た感じは変化ないかな?)

結衣(でもヒッキーって顔に出さないタイプだし)

雪乃「比企谷くん?寒いのなら病院へ行った方がいいわね」

雪乃「この時期に風邪をひいても困るでしょうし」

八幡「困るもなにも…寒いってのは部屋じゃなくて、外とかのことだよ」


雪乃「…つまり世間話の一環で言っただけなのね?」

八幡「そういうことだ、お前はなんでも本音で話すのやめた方がいいかもな」

雪乃「社交辞令を覚えろと?あなたにだけは言われたくないわ」


結衣「……」

結衣(3年になってから……ますます意気が合ってきてるというか…)

結衣(いろはちゃんも言ってたっけ、夫婦みたいですとか…)

結衣(あたしの入る余地がなくなってきてる感じがしてた…)

結衣(だってこの二人、なんだかんだで似てるところ多いもんね…)

結衣(ゆきのんはヒッキーのことどう思ってるのかな?)


結衣(少なくとも、隼人くんと付き合うのは想像できないかも…)



八幡「おい…そろそろ時間じゃねーか?」

雪乃「そうね、そろそろ帰りましょうか」

結衣「え?」

八幡「なんだ?帰らないのか?」

結衣「ううん、帰るよ」

結衣(今日は収穫なしっと…)

数日後

奉仕部


結衣(…なんだろ…やっぱり変化ないや…まだ数日だけど)

八幡「雪ノ下、この問題の解釈はこうか?」

雪乃「あら、あなたにしてはやるわね。理数系も伸びて来てるようだし」

八幡「俺の大学は関係ないけどな理数系」

雪乃「あら、ではなぜ勉強しているの?」

八幡「専業主夫になったとき、不労所得があった方がいいだろ」

雪乃「…聞いた私がバカだったわ」

結衣「ぷ…」

八幡「ん?おい…由比ヶ浜…」

結衣「あ、あはははははははっ!なにそれ~~!」

八幡「笑うなよ…俺は真面目だ」

結衣「あはは、なんだか懐かしいっていうか…変わらないよね…ヒッキーも」

八幡「当たり前だろ、人間そう簡単に変わるか」

雪乃「……」

結衣「そっか…なんだろ…?後ろめたいっていうか…変な感じ」

八幡「そもそも、変わるってのは今までの自分を否定してるんだぞ?」

八幡「今までの生き方もな」

八幡「俺はぼっちに誇りを持ってるからな。この自己完結の生き方最高」

雪乃「それ、周りに言わない方がいいわね、もう遅いけれど」

結衣「うん…遅いよね…」


雪乃「それに…簡単に誇りを捨てて、変わった人もいるのよ」

八幡「…?」

別の場所


三浦「海老名さ」たい

海老名「なに~?」


三浦「隼人が…変だわやっぱ」

海老名「うん、知ってる」

三浦「…なんか、雪ノ下さんと付き合いたいっていうより…」


海老名「ヒキタニくんに勝ちたいだけみたいだよね」

三浦「うん…」

海老名「目的が変わっちゃったんだよきっと」

海老名「もしかしたら、最初からそっちが目的だったかもしれないけどさ」

三浦「どうしたらいいかな…なんか、あーし不安だし…」

海老名「葉山くんなら、大丈夫だよ。なんだかんだで人望あるし」

海老名「伊達にサッカー部のエースじゃないんだから」

三浦「…」

海老名「負けがわかれば、すぐ戻ってくるかも」

三浦「負け?隼人が?」

海老名「ファッションで勝ってるんだから、それで満足すればよかったのに」

海老名「わざわざ、ヒキタニ君の土俵で戦うとかさ」

三浦「今回のって、ヒキオの土俵だっけ?」

海老名「だってさ、ヒキタニ君ってぶれないじゃない」

海老名「そういう意味では、雪ノ下さんもかな?」

三浦「あ…そっか…」

海老名「変えちゃった時点で…葉山君の負けかな」

海老名「雪ノ下さんに試されたんじゃないかな?」

三浦「…隼人…」

海老名「ヒキタニ君は変えないで、葉山君は…」

海老名「多分一回仮面つけて、また外してる。2回も変えてる時点でダメかな」


三浦「……そうかもね」

海老名「でも葉山君も幸せだよね、絶対傍にいてくれる子もいるし」

三浦「あーしはいつでも隼人の味方だっての」

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八幡「そういや、雪ノ下」

雪乃「なに?」

八幡「あの…噂だけどな」

雪乃「噂…ああ、あのことね」


結衣「!」


八幡「どうなんだ?葉山と付き合ってるのか?」

雪乃「いいえ、付き合ってないわ」

八幡「そうか」

雪乃「ええ、もう時間だし帰りましょうか」


結衣「え~~~っ!それだけっ!?」

八幡「それだけ?ってなんだよ」

結衣「だ、だってさ…気にならないの?」

八幡「気になったから聞いたんだよ」


結衣「あ、そうだけどさ……」

結衣(ナチュラルって言ったらいいのかな…なにこれ?)

結衣(動揺してない…いつもと変わらない…あ、でも気になってるからちょっとは動揺したってことかな?)


結衣(でも…なんか普通だ…いつもの奉仕部だし…いつもの範囲から一切外れてない…)

結衣(外れてたのは…あたしか…あははは…)


雪乃「由比ヶ浜さん」

結衣「は、はいっ」

雪乃「私とこの男はまだ友達じゃないのよ?わかってる?」

八幡「なんだよ、突然…」

雪乃「いえ、どうも勘違いをしてるみたいだったから」

結衣「…あはは、わかってるよやだな~」

雪乃「なら、いいのだけれど」


結衣(付き合ってない…この二人は付き合ってない)

結衣(うん、よくわかった)

次の日


葉山「…そうか、そんなことが…」

結衣「うん…だからさ…」


葉山「少し動揺してたが、いつもと変わらない範囲…そして彼らはもちろん付き合ってない…」

結衣「うん、少なくとも今はね」


葉山「俺の負け…かな」

結衣「それは隼人君が決めることだよ」

葉山「そうだね…」

結衣「姫菜とも仲直りしてよ、優美子も」

葉山「俺は…彼に勝ちたかっただけなんだ…」

結衣「そっか」

葉山「それを優美子に言ったら、思いっきりビンタされたよ」

結衣「痛そう…」

葉山「それでも…俺を見てくれるってさ…」

結衣「うん、優美子は本当に隼人くんのこと好きだしね」

葉山「ああ、考えていくさ。それと…」

結衣「なに?」


葉山「いろはに聞いたんだが、比企谷はライバルが多いみたいだな」

結衣「え?」

葉山「いろはもお気に入りだそうだ、結衣もしっかりね」

結衣「隼人くんに言われなくても分かってるよ」

放課後 校門


雪乃「今日はどうするの?」

八幡「はあ?なにが?」

雪乃「なにも用事がないなら、3人でご飯でもどうかしら?」

八幡「あ~」

結衣「あ、いいじゃんっ!行こうよっ!」

結衣「ね?ヒッキー?」

八幡「ん…まあ、わかったよ」

雪乃「それじゃあ、行きましょうか」

八幡「サイゼとかでいいだろ」

雪乃「あなたはレパートリーが少なすぎるわ」

八幡「お前に言われると微妙なんだけど…」

結衣「……」

結衣(二人は付き合ってない…うん、まだ大丈夫)

結衣(勝手に劣等感を持ってたりしたけれど…あたしにもまだチャンスはある)


結衣(堂々と告白をして…勝負してみるしっ!)

結衣(で、できればうまくいってほしいかな~なんて…)


結衣(て、だめだめ!考えすぎてもっ!)


結衣(二人を見習って、少しでもナチュラルに…うんっ!)

結衣(よしっ!がんばろうっ!)


おわり

ありがとうございました

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年01月19日 (火) 22:58:40   ID: 1Oturz58

なんかほっこりした。

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