ココア「え、老害がやって来たの!?」 (38)
ある日、ラビットハウスにて……
チノ「今日はココアさんもリゼさんも用事があってお休みです。私一人で頑張らないと!」
ティッピー「わしもおるぞっ」ソワソワ
カラワカラン
チノ「あ、お客さんが来ました。いらっしゃいませーーー!」
老害「おお、ここか!? 最近話題になってるラビットハウスって店は」
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ティッピー「なんじゃかガラの悪そうな年寄りが来たのう。わしよりは下に見えるが」ヒソヒソ
チノ「おじいちゃん、お客さんに失礼なことを言わないでください」ヒソヒソ
チノ「えっと……ご注文をどうぞ」
老害「そうだな……じゃ、このオリジナルコーヒー40杯とココア特製トースト30枚、あとこの特製ケーキ15個くれっ!」
チノ「え…えッ!?」ビクビク
老害「おい、何ボォーとしてんだよ!客が注文してんだから早く用意しろよ!」
チノ「あ、はい!ただいま……」テクテク
ティッピー(なんじゃあの客、一人で大量に注文しよったぞ!!)ヒソヒソ
チノ(どう見ても普通の体型で、大食いファイターには見えません。テイクアウトでしょうか……)ヒソヒソ
ティッピー(おそらくそうじゃろうな。まあ念のため店内かテイクアウトか聞いておいたほうが良いじゃろう。ああいうじじいに限って勝手に店内で食べる用に用意したら理不尽なクレームを言い出すからの)ヒソヒソ
チノ(接客業は難しいです)ヒソヒソ
チノ「あの、お客様…?」
老害「ん、なんだ?用意出来たのか?」
チノ「いえ……あの、確認のためお伺いしますけど、テイクアウトでよろしいですよね?」
老害「アァンッ、んなもん聞かなくてもわかるだろうがッ!!」バシンッ
チノ「ひゃあっ!!」ビクッ
ティッピー「な、なんじゃこの客!!突然怒鳴りはじめたぞッ!?」
老害「俺が一人で店内でコーヒーやパンやケーキを大量に食うように見えるか!?」イライラ
チノ「い、いえ……ですから念のために確認を」オドオド
老害「俺以外に客いねえだろ!俺一人で来てんだよ。確認も何もしなくてもテイクアウトだって判断出来るだろうがッ!!」
チノ「ひ…ひぃぃ」ビクビク
後日、ラビットハウスにて…
チノ「____ということがあって、うぅぅ………」シュン
ココア「そんな事があったの!?」
リゼ「私達がたまたまいなかった時に限ってそんな老害がやって来たのか!?気の毒に……」
千夜「まあ、チノちゃん可哀想に……」
シャロ「何よその客!? 理不尽もいいとこね。店員なんだし、店内で食べないだろうなってわかってても念のために聞くじゃないのよ!」
チノ「そのあとも散々言われました。『これだから最近の若者はマニュアルばかりで判断出来ないんだ』とか、『一人で40杯もコーヒー飲む客見たことあんのか』とか………」
ティッピー「ああ、散々じゃったわい……」
ココア「そんな、チノちゃん可哀想………。チノちゃん、その老害ってどんな感じの人なの?今度見つけたら私がとっちめてやるぅ!!」ココアプンプン
リゼ「おい、落ち着けココア。気持ちはわかるが相手は一応お客様だからな。私達の方から喧嘩を売ってことを大きくするわけにもいかないぞ」
千夜「お客様は神様です……だなんて、よく言ったものよね。お客さんだからといって理不尽なクレームが許されるわけではないのに」
シャロ「あぁ〜、フルールにもたまにいるわ。客である立場を利用してセクハラしようとしてくる変な客が」
チノ「うぅぅ……私もう、バリスタとしてやっていく自信ないです」シュン
ココア「わわわ、チノちゃん落ち込んじゃった!?」
リゼ「元気出せよチノ!今回は運が悪かったと思って、その老害クレーマーの事は忘れたほうがいいよ」
千夜「そうよチノちゃん。世の中には、自分の考えが絶対に正んだと勘違いして頭の固くなった老害クソじじいやクソばばあがうじゃうじゃいるわ」
シャロ「そうよチノちゃん。接客業をしていれば、頭のおかしな客に出くわす事もあるものよ。元気出して」
チノ「皆さん、うぅぅぅ……あの老害、この店にまた来るのでしょうか?」オドオド
ココア「う〜ん、話を聞く限りだともう来ないと思うけど」
チノ「あんな老害、もう来ない方が良いですっ!! あの時は私一人でお客さんも他にいなかったから良かったですけど、もしも他にお客さんもいてお店が混雑してた時にあんな理不尽な事言われてたら………うぅぅ」ビクビク
リゼ「チノが怯えている!? よほどショックだったのか、トラウトになっているぞッ!!」
ココア「だ、大丈夫だよチノちゃん!もうそのお客さんはきっと来ないと思うから安心して」
リゼ「ああ、もし来たとしても、その時は私やココアも一緒だ。いざとなったら親父の部下達も呼ぶから安心しろ!!」
チノ「ココアさん………リゼさん…リ…」チノウルウル
ティッピー「チノ……この調子で立ち直れると良いのじゃがのぉ」
カランカラン
チノ「はっ!!」ビク
青山ブルーマウンテン「ふぅ〜、人のいないお店は落ち着きますぅ〜」
ココア「あ、青山さんだ。いらっしゃいませ〜!」
青山「あら?あそこのカウンターにかくれてブルブルとしているのは…チノさんですか?」
チノ「うぅぅぅ……うぅぅぅ!!」
ガタガタブルブル…!
ティッピー「これチノ、すっかりするんじゃーー!」
ココア「大丈夫だよチノちゃん、この人は青山さんだよ!!」
リゼ「どうやらあの老害が来たのだと思って怯えてしまったらしいな……」
シャロ「これは、思ったよりも重症のようね……」
青山「老害?重症?あの…チノさんに一体何が?」
リゼ「ああ、実は……」
青山「まあ、そんなことがあったんですね!チノさんお気の毒に…」
千夜「チノちゃんすっかり怯えちゃって……これじゃまともに仕事も出来ないんじゃ?」
ティッピー「それでもココアよりは動けそうじゃが」
ココア「そんなぁ! 私だってちゃんと働けるよーーー!」ガーン
シャロ「ココアまで落ち込んでどうするのよ!? それよりもチノちゃんが心配だわ…」
リゼ「チノも考えてみれば普通の中学生だし、今まで理不尽な老害を相手にしたことなかったんだろうなぁ〜」
青山「なるほど。どうやらトラウマになってしまったようですね……」
チノ「ぅぅぅぅぅぅ…………」ガタガタ
リゼ「チノ、休んでいた方がいいんじゃないのか? このままでは仕事もままならないだろうし、お店は私とココアでなんとかするから」
ココア「そうだよチノちゃん。調子悪い時に仕事したってかえって逆効果だよ。ここは私達に任せて、心の傷を癒して!」
チノ「ふ、二人とも……」ウルウル
千夜「ココアちゃんの言う通りね」
シャロ「そうね。今は私と千夜と、それから青山さんしかいないもんね」
ティッピー「チノや、ここはみなの言葉に甘えて休んだ方がよいじゃろう」
チノ「ぅぅぅ……皆さん、ありがとうございます」
数週間後、バータイムにて……
ティッピー「チノの様子はどうじゃ?」
タカヒロ「ああ。今日も病院へ連れて行ったのだが、なかなか改善は見られないな」
ティッピー「まあそうであろう。まさなあの老害のせいで精神的に異常をきたすまでになるとは」
タカヒロ「チノはまだ若い。これも経験だと思って乗り越えられればいいんだがな。チノが受けた心の傷は、俺達の想像を絶するようだ」
ティッピー「チノはどうした?」
タカヒロ「部屋に連れて行ったよ。今頃寝ているだろう。後のことはココア君にお願いしてある」
ティッピー「むう、この店も結構長くやっとるが、あんな迷惑な老害客人初めてじゃったわい」
タカヒロ「接客業は大変さ。そういった輩も相手にしなければならない時もあるのだからな」
ティッピー「むむむ、あの老害、今度やって来たらココアに代わってこのわしが取っちめてやるわいッ!!」ソワソワ
タカヒロ「親父……ウサギが人間に勝てるわけないだろ」
カランカラン
ティッピー「お、客が来たわい」
タカヒロ「いらっしゃいませ」
老害「おお、この店バータイムもやってんのかぁ!」
ティッピー「ッ!!?」
タカヒロ「………………」
数日後 …、
アナウンサー『続いてのニュースです。タレントの梅沢富美男さんが昨晩、木組みの街の喫茶店で乱闘を起こし威力業務妨害及び暴行罪、並びに器物損壊罪、役者気取り罪、老害罪など数々の容疑で逮捕されました。』
アナウンサー『調べによりますと梅沢さんは店に入る前からかなり酔っていた状態で、取り調べの際「まん丸の毛球みたいなウサギが喋った」や、「マスターが軍人で吹き矢や手榴弾を持っていた」などの意味不明な発言を繰り返しているようです』
アナウンサー『その時間、梅沢さん以外に客はおらず、警察は店のマスターにも事情聴取を行い、詳しい事を調べる方針です』
コメントテーター『なんとも物騒なニュースですね。私も梅沢富美男さんと何度か共演したことがあるんですけど、あんな奴とは酒飲みたくないですよぉ〜〜〜! しばらくは娑婆には出てこないでほしいですね。死ねばいいのに!』
アナウンサー『そうですね。では続いてのニュースです。木組みの街に新しく出来たパチンコ店で、タレントの和田アキ子さんが射殺_____』
チノ「お、お父さん…………」グッ
その後、成長したチノはこの街一番の、いや、世界的にも有名なバリスタとなりました。
END
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ガタガタチノちゃんかわいい